IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特開-永久励磁式電気機械 図1
  • 特開-永久励磁式電気機械 図2
  • 特開-永久励磁式電気機械 図3
  • 特開-永久励磁式電気機械 図4
  • 特開-永久励磁式電気機械 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010665
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】永久励磁式電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20230113BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022109535
(22)【出願日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 117 625.5
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノエル マーター
(72)【発明者】
【氏名】ドルド スタンコヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ゼガー ボンティンク
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB05
5H622PP10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】漏れ磁束を低減し、永久励磁式電気機械の効率を改善する。
【解決手段】ステータ17と、ステータ17内でシャフト5と共に回転軸線14の周りを回転可能なロータ4とを含む永久励磁式電気機械1に関し、半径方向外側を向いた、ロータ4の周囲面30と、半径方向内側を向いた、ステータ17の周囲面との間に空隙21が構成されており、ロータ4のロータ本体10に切抜き部13が構成されており、少なくともいくつかの切抜き部13に永久磁石15が収容されている。永久磁石15が収容されている切抜き部13は、空隙21に向かって開いているように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(17)と、前記ステータ(17)内でシャフト(5)と共に回転軸線(14)の周りを回転可能なロータとを含む永久励磁式電気機械(1)であって、半径方向外側を向いた、前記ロータ(4)の周囲面(30)と、半径方向内側を向いた、前記ステータ(17)の周囲面との間に空隙(21)が構成されており、前記ロータ(4)のロータ本体(10)には切抜き部(13)が構成されており、少なくともいくつかの前記切抜き部(13)に永久磁石(15)が収容されている、永久励磁式電気機械(1)において、
前記永久磁石(15)が収容されている前記切抜き部(13)は、前記空隙(21)に向かって開いている、ことを特徴とする、永久励磁式電気機械(1)。
【請求項2】
一方では前記切抜き部(13)に続きまた他方では前記空隙(21)に続く開口部(24)が、外側を向いた、前記ロータ本体(10)の周囲面(30)に構成されている、ことを特徴とする、請求項1記載の永久励磁式電気機械。
【請求項3】
前記開口部(24)の縁部(25)はそれぞれ、半径方向に突き出ており、これにより、前記切抜き部(13)に収容される前記永久磁石(15)はそれぞれ、部分的に被されている、ことを特徴とする、請求項2記載の永久励磁式電気機械。
【請求項4】
前記永久磁石(15)は、前記ロータ(4)の前記回転軸線(14)の周りにスポーク状に配置されている、ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項5】
前記ロータ本体(10)は、少なくとも1つの金属から成るセグメント(9)を有し、前記セグメント(9)は、前記ロータ(4)の前記回転軸線(14)の周りにスポーク状に配置されており、かつ前記ロータの周方向に見ると、前記永久磁石(15)間に配列されている、ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項6】
前記セグメント(9)は、別々のセグメントである、ことを特徴とする、請求項5記載の永久励磁式電気機械。
【請求項7】
前記セグメント(9)はそれぞれ、複数の薄板から構成されており、前記薄板は、前記回転軸線(14)の方向に見ると、薄板ユニットに積み重ねられている、ことを特徴とする、請求項5または6記載の永久励磁式電気機械。
【請求項8】
前記セグメント(9)は、鋼から構成されるか、または鋼を含む、ことを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項9】
前記セグメント(9)は、前記セグメント(9)の半径方向内側を向いた周囲面において、ハブ本体(8)に結合されており、前記ハブ本体は、前記シャフト(5)に少なくとも相対回動不能に結合されている、ことを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項10】
前記セグメント(9)は、形状結合的に、かつ/または力結合的に、かつ/または素材結合的に前記ハブ本体(8)に結合されている、ことを特徴とする、請求項9記載の永久励磁式電気機械。
【請求項11】
前記ハブ本体(8)は、半径方向外側を向いたフック(26)を有し、前記フック(26)は、相補的にフック形状に形成された、前記セグメント(9)の半径方向内側を向いた前記周囲面における凹部(27)と協働して、前記フック(26)と前記凹部(27)との間に、アンダーカットされた断面を有する形状結合部がそれぞれ構成されている、ことを特徴とする、請求項10記載の永久励磁式電気機械。
【請求項12】
前記ハブ本体(8)は、反磁性材料および/または常磁性材料から構成されている、ことを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項13】
前記ハブ本体(8)は、アルミニウムから構成されている、ことを特徴とする、請求項12記載の永久励磁式電気機械。
【請求項14】
前記永久励磁式電気機械は、ブラシレス直流モータ(BLDC)によって形成されている、ことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項15】
前記永久励磁式電気機械は、永久磁石同期モータ(PMSM)によって形成されている、ことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載された、ステータと、ステータ内でシャフトと共に回転軸線の周りを回転可能なロータとを含む永久励磁式電気機械に関する。本発明はさらに、請求項16記載の、このような永久励磁式電気機械を備えた車両にも関する。
【0002】
このような電気機械は、独国特許出願公開第102013206418号明細書から公知である。この明細書では、複数のロータ薄板から構成されるロータのロータ薄板に、永久磁石が収容される溝が形成されている。溝の外側縁部と、ロータ外形輪郭との間には、いわゆるブリッジが構成されており、このブリッジにより、溝がブリッジされ、これによってロータ薄板の領域は、溝の横で互いに結合されている。
【0003】
さらに、独国特許出願公開第102009047677号明細書にもこのような電気機械が開示されている。図1には、上記の明細書に記載されている従来技術の電気機械1が示されており、この電気機械1は、電気モータ2または発電機3として使用可能である。電気機械1は、回転軸線14の周りに回転するシャフト5を有する。鋼製のシャフト5では、図示しない絶縁部によって包囲される薄板16が、回転軸線14の軸線方向に重なり合って、薄板ユニットに配置されているかまたは積み重ねられている。薄板16もしくは薄板ユニットは、軸線方向の複数の切抜き部13(図2)を有し、これらの切抜き部13に永久磁石15が配置されている。したがって、電気機械1のロータ4は、シャフト5、永久磁石15、薄板16を有し、さらに2つのバランスディスク6を有する。ロータ4は、第1端部11および第2端部12を有する。第1端部11および第2端部12にはそれぞれ、バランスディスク6が配置されている。バランスディスク6は、金属、特に鋼から成り、ロータ4におけるアンバランスを調整するために使用される。バランスディスクには、一方の面に切欠き部7が設けられている。シャフト5は、転がり軸受部19により、電気機械1のケーシング20に支承されている。ケーシング20には、電磁石18を備えたステータ17が配置されている。ステータ17とロータ4との間には空隙21が構成されている。
【0004】
永久磁石15が保持されている薄板16の、軸線方向の切抜き部に起因して、永久磁石15は、回転軸線14に対して垂直な断面で見て、半径方向外側に向かって、いわゆる「ブリッジ」22が、薄板16毎にアーチ状にかかっている。したがって、薄板16のこれらの「ブリッジ」22により、ロータ4が回転軸線周りを回転する場合、永久磁石15がその位置に固定される。したがって、ブリッジ22は、永久磁石15の横で、半径方向外側を向いた、薄板16の領域を互いに結合することにより、薄板16の機械的な安定性を保証するのに役立っている。
【0005】
図2には、内部に収容された永久磁石15と、このようなブリッジ22とを備えた薄板16におけるこのような切抜き部13が、回転軸線14に対して垂直な方向の断面において示されており、ブリッジ22は、従来技術では、破線の円によって示された領域に設けられている。さらに、図2には永久磁石15の磁場の磁束線23も示されている。ここで見て取ることができるのは、磁束線23もブリッジ22に沿って延びていることである。したがってブリッジ22により、漏れ磁束が発生し、ひいては電気機械1の効率が低下している。しかしながらすべての薄板16においてブリッジ22を取り除くことは、上述の理由から、ロータ4の回転数が高い場合には、構造的な問題を生じさせてしまい得る。というのはこの場合に比較的大きな遠心力が、永久磁石15に作用するからである。
【0006】
しかしながら、まさに永久磁石を備えた電気モータ、例えばブラシレス直流モータ(BLDC)および永久磁石同期モータ(PMSM)では、永久磁石の効率的な利用を実現するために、空隙に向かって磁束流を集中させることが、望ましい。
【0007】
これに対し、本発明の根底にある課題は、冒頭で述べた形式の永久励磁式電気機械を発展させて、この永久励磁式電気機械が、高い安定性を有しながらより高い効率を有するようにすることである。さらに、このような永久励磁式電気機械を備えた車両も提供する。
【0008】
この課題は、本発明にしたがい、請求項1および請求項16の特徴的構成によって解決される。
【0009】
発明の開示
本発明が出発点とするのは、ステータと、ステータ内でシャフトと共に回転軸線の周りを回転可能なロータとを含む永久励磁式電気機械であり、半径方向外側を向いた、ロータの周囲面と、半径方向内側を向いた、ステータの周囲面との間に空隙が構成されており、ロータのロータ本体に切抜き部が構成されており、少なくともいくつかの切抜き部に永久磁石が収容されている。
【0010】
電気機械は特に、電気モータまたは発電機として構成されていてよい。永久磁石は特に、多極に磁化されている。
【0011】
本発明によると、永久磁石が収容されている切抜き部、特にすべての切抜き部は、空隙に向かって開いているように構成される。換言すると、この場合、永久磁石の半径方向外側を向いている表面の少なくとも一部が、空隙と直接に接続されている。これにより、従来技術の上で説明したブリッジが省略される。したがってロータ本体は、このようなブリッジなしに実施される。このような手段により、漏れ磁束が低減され、ひいては電気機械の効率が改善される。
【0012】
従属請求項には、本発明の有利な発展形態が開示されている。
【0013】
従来技術のブリッジを回避するために、例えば、一方では切抜き部に続きまた他方では空隙に続く開口部が、外側を向いた、ロータ本体の周囲面に構成されていてよい。開口部には特に、透磁性の要素は配置されていないかまたは設けられていない。
【0014】
開口部の縁部はそれぞれ、半径方向に突き出ていてよく、これにより、切抜き部に収容される永久磁石はそれぞれ、特に縁部によって該当する開口部が空けられながら、部分的に被されている。したがって、開口部の縁部により、永久磁石は、半径方向外側を向いたそれらの端部が、開口部に形状結合的に保持されるかまたは固定される。半径方向内側を向いた、永久磁石の端部は、切抜き部から半径方向内側に向かって突き出しかつハブ本体に接触していてよく、ハブ本体は、少なくとも相対回動不能にシャフトに結合されておりかつロータ本体を相対回動不能に支持している。この場合、永久磁石は、半径方向外側に向かって開口部の縁部によって、また半径方向内側に向かってハブ本体によって固定される。ロータ本体における切抜き部は、例えば、ハブ本体からロータ本体の開口部まで延在していてよい。
【0015】
永久磁石は、また特に切抜き部は、ロータのロータ軸線の周りにスポーク状に配置されていてもよい。
【0016】
ロータ本体は、少なくとも1つの金属から成るセグメントを有していてよく、これらのセグメントは、ロータの回転軸線の周りにスポーク状に配置されており、かつロータの周方向に見ると、永久磁石間に配列されている。セグメントは特に、別々のセグメントであってよく、それぞれ複数の薄板から、特に鋼薄板から構成されていてよい。したがってセグメントは、鋼から構成されるか、または鋼を含んでいてよい。
【0017】
複数のセグメントは、それらの半径方向内側を向いた周囲面において、ハブ本体に結合されていてもよく、ハブ本体は、少なくとも相対回動不能にシャフトに結合されておりかつロータ本体を相対回動不能に支持している。したがってロータ本体は、少なくとも相対回動不能にハブ本体に結合されている。
【0018】
特に、セグメントは、形状結合的に、かつ/または力結合的に(例えば、ねじ止めまたは締め付けにより)、かつ/または素材結合的に(例えば、接着により)ハブ本体に結合可能である。
【0019】
ハブ本体とセグメントとの間の形状結合的な結合を構成するために、ハブ本体は、半径方向外側を向いたフックを有していてよく、フックは、相補的にフック形状に形成された、半径方向内側を向いた、セグメントの周囲面における凹部と協働して、フックと凹部との間に、アンダーカットされた断面を有する形状結合部がそれぞれ構成される。
【0020】
ハブ本体とセグメントとの間の上述の形状結合的な、かつ/または力結合的な、かつ/または素材結合的な結合により、特に、スポーク状に配置される別々のセグメントにより、ロータ本体全体を実現することができる。このようなセグメンテーションにより、ロータ領域全体が一体で打抜き加工される方法の場合よりも、より多くの材料を鋼板から打抜き加工することができる。このことは、製造の際の材料の使用効率が増すことを意味する。さらに、すべてのセグメントまたはセグメントプレートの打抜き加工用に1つの打抜き加工ツールだけしか必要としない。さらに、これらの結合により、セグメントは、その位置を維持し、このことはまさにロータの回転数が高い場合に重要である。
【0021】
1つの発展形態によると、ハブ本体は、反磁性材料および/または常磁性材料から、特にアルミニウムから構成されていてよい。
【0022】
好ましい発展形態によると、永久励磁式電気機械は、ブラシレス直流モータ(BLDC)または永久磁石同期モータ(PMSM)として実施されていてよい。
【0023】
さらに本発明には、上で説明した永久励磁式電気機械を備えた車両も開示されている。
【0024】
以下では、本発明の実施例を、図面に示し、以下の説明において詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術の電気機械1を示す図である。
図2】内部に収容された永久磁石15と、ブリッジ22とを備えた薄板16における切抜き部13を回転軸線14に対して垂直な方向の断面において示す図である。
図3】本発明による永久励磁式電気機械の好ましい実施形態のロータの概略断面図である。
図4】ロータのロータ本体の切抜き部に収容された永久磁石と、永久磁石の磁場の磁束線とを示す、図1の部分を示す図である。
図5】従来技術の電気機械に対し、本発明による電気機械によって生成されるトルクと、ロータの角度位置との間の関係を示す線図である。
【0026】
実施例の説明
図3に部分的に示された永久励磁式電気機械1は、例えば、永久励磁式電気モータ2であり、この永久励磁式電気モータ2は、例えば、ブラシレス直流モータ(BLDC)として、または永久磁石同期モータ(PMSM)として実施されている。
【0027】
電気機械1は、回転軸線14の周りに回転するシャフト5を有する。例えば鋼から構成されるシャフト5には、ハブ本体8が、相対回動不能に結合されており、ハブ本体8には、一方ではロータ本体10のセグメント9が、他方では永久磁石15が保持されている。セグメント9は、例えば鋼から構成されるか、または鋼を含んでおり、回転軸線14に関してスポーク状に、または半径方向に配置されている。好適には、ロータ本体10は、例えば、別々のセグメント9だけから構成される。
【0028】
好ましくは別々のセグメント9は特に、回転軸線14の軸線方向に重なり合って薄板ユニットに配置されているかまたは積み重ねられた薄板16によって形成されてよい。ロータ本体10もしくは薄板16もしくは薄板ユニットは、半径方向の切抜き部13を有しており、これらの切抜き部13に永久磁石15が配置されている。ハブ本体8は、シャフト5と少なくとも相対回動不能に結合されておりかつロータ本体10を相対回動不能に支持している。ハブ本体8は、反磁性材料および/または常磁性材料から、特にアルミニウムから構成されていてよい。したがって電気機械1のロータ4は、シャフト5と、永久磁石15と、この実施例では特に薄板16およびハブ本体8から成るセグメント9であるロータ本体10とを有する。
【0029】
シャフト5は、この図では縮尺上の理由から図示されていない支承部により、縮尺上の理由から同様に図示されていない、電気機械1のケーシングに支承されている。ケーシングには、この図では途切れて示されている、電磁石18を備えたステータ17が配置されている。ステータ17とロータ4との間には空隙21が構成されている。
【0030】
半径方向外側を向いた、ロータ本体10の周囲面には、例えば、開口部24が構成されており、開口部24は、一方が切抜き部13に、また他方が空隙21に続いている。開口部24には特に、透磁性の要素は配置されていないかまたは設けられていない。したがって、開口部24は、半径方向外側を向いた、ロータ4のロータ本体10の周囲面30に、または周囲面30内に構成されている。
【0031】
図4に特に示されているように、それぞれ好ましくは周りを取り込む、開口部24の縁部25はそれぞれ、半径方向に突き出ており、これにより、切抜き部13に収容される永久磁石15はそれぞれ、特に、該当する縁部25によって該当する開口部24が空けられながら、部分的に被されている。したがって、開口部24の縁部25により、永久磁石15は、半径方向外側を向いたそれらの端部が、切抜き部13において形状結合的に保持されるかまたは固定される。半径方向内側の、永久磁石15の端部は、ロータ本体10の切抜き部13から半径方向内側に向かって突き出てよく、ハブ本体8に接触していてよい。この場合、永久磁石15は、半径方向外側に向かって開口部24の縁部25によって、また半径方向内側に向かってハブ本体8によって固定される。ロータ本体10の切抜き部13は、図3に示されているように、例えば、ハブ本体8からロータ本体10の開口部24まで延在していてよい。さらに、永久磁石15および切抜き部13は、ロータ本体において、例えばロータ4の回転軸線14の周りにスポーク状に配置されている。
【0032】
ロータ本体10のセグメント9は、少なくとも1つの金属、好適には鋼から構成されており、かつロータ4の周方向に見ると、それぞれ隣り合う2つの永久磁石15間に配置されている。さらに、ロータ4の周方向に見ると、永久磁石15はそれぞれ、隣り合う2つのセグメント間に配置されている。
【0033】
図3から明らかなように、セグメント9は、その半径方向内側の周囲面が、ハブ本体8に結合されていてよい。特に、セグメント9は、形状結合的に、かつ/または力結合的に(例えば、ねじ止めまたは締め付けにより)、かつ/または素材結合的に(例えば、接着により)ハブ本体8に結合可能である。
【0034】
ハブ本体8とセグメント9との間の形状結合的な結合を構成するために、ハブ本体8は、図3に示されているように、半径方向外側を向いたフック26を有していてよく、フック26は、相補的にフック形状に形成された、半径方向内側の、セグメント9の周囲面における凹部27と協働して、フック26と凹部27との間に、アンダーカットされた断面を有する形状結合部がそれぞれ構成される。フック26は特に、ハブ本体8から半径方向外側に向かって遠ざかるように突き出ている。
【0035】
図4には、そこに示された切抜き部13に収容されている永久磁石15の磁場の磁束線23が示されている。このことから明らかになるのは、従来技術において破線の円によって示した領域に設けられている上で説明したブリッジがないことにより、かつ空隙21の方を指し示す、ロータ本体10もしくは切抜き部13における半径方向外側を向いた開口部24により、複数の磁束線23が、少なくとも半径方向外側には、互いに合体し得ないか、もしくは中断され得ることである。これにより、漏れ磁束が低減され、ひいては永久励磁式電気モータ1の効率が改善される。
【0036】
図5には、本発明による永久励磁式電気モータ1によって生成されるトルクMと、ロータ4の角度位置φとの間の関係を中抜きの線28によって示す線図が示されている。中実の線29により、従来技術の永久励磁式電気モータにおける同じ関係が示されており、この従来技術は、冒頭で述べたブリッジ22をロータ本体に有する(図1図2)。ここで確認できるのは、本発明による永久励磁式電気モータ1のトルクMが、ロータ4のすべての角度位置φについて、従来技術の電気モータのトルクMよりも大きいことである。
【符号の説明】
【0037】
1 電気機械
2 電気モータ
3 発電機
4 ロータ
5 シャフト
6 バランスディスク
7 切欠き部
8 ハブ本体
9 セグメント
10 ロータ本体
11 第1端部
12 第2端部
13 切抜き部
14 回転軸線
15 永久磁石
16 薄板
17 ステータ
18 電磁石
19 転がり軸受部
20 ケーシング
21 空隙
22 ブリッジ
23 磁束線
24 開口部
25 縁部
26 フック
27 凹部
28 中抜きの線
29 中実の線
30 半径方向外側を向いた周囲面
M トルク
φ ロータの角度位置
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(17)と、前記ステータ(17)内でシャフト(5)と共に回転軸線(14)の周りを回転可能なロータとを含む永久励磁式電気機械(1)であって、半径方向外側を向いた、前記ロータ(4)の周囲面(30)と、半径方向内側を向いた、前記ステータ(17)の周囲面との間に空隙(21)が構成されており、前記ロータ(4)のロータ本体(10)には切抜き部(13)が構成されており、少なくともいくつかの前記切抜き部(13)に永久磁石(15)が収容されている、永久励磁式電気機械(1)において、
前記永久磁石(15)が収容されている前記切抜き部(13)は、前記空隙(21)に向かって開いている、ことを特徴とする、永久励磁式電気機械(1)。
【請求項2】
一方では前記切抜き部(13)に続きまた他方では前記空隙(21)に続く開口部(24)が、外側を向いた、前記ロータ本体(10)の周囲面(30)に構成されている、ことを特徴とする、請求項1記載の永久励磁式電気機械。
【請求項3】
前記開口部(24)の縁部(25)はそれぞれ、半径方向に突き出ており、これにより、前記切抜き部(13)に収容される前記永久磁石(15)はそれぞれ、部分的に被されている、ことを特徴とする、請求項2記載の永久励磁式電気機械。
【請求項4】
前記永久磁石(15)は、前記ロータ(4)の前記回転軸線(14)の周りにスポーク状に配置されている、ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項5】
前記ロータ本体(10)は、少なくとも1つの金属から成るセグメント(9)を有し、前記セグメント(9)は、前記ロータ(4)の前記回転軸線(14)の周りにスポーク状に配置されており、かつ前記ロータの周方向に見ると、前記永久磁石(15)間に配列されている、ことを特徴とする、請求項1または2記載の永久励磁式電気機械。
【請求項6】
前記セグメント(9)は、別々のセグメントである、ことを特徴とする、請求項5記載の永久励磁式電気機械。
【請求項7】
前記セグメント(9)はそれぞれ、複数の薄板から構成されており、前記薄板は、前記回転軸線(14)の方向に見ると、薄板ユニットに積み重ねられている、ことを特徴とする、請求項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項8】
前記セグメント(9)は、鋼から構成されるか、または鋼を含む、ことを特徴とする、請求項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項9】
前記セグメント(9)は、前記セグメント(9)の半径方向内側を向いた周囲面において、ハブ本体(8)に結合されており、前記ハブ本体は、前記シャフト(5)に少なくとも相対回動不能に結合されている、ことを特徴とする、請求項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項10】
前記セグメント(9)は、形状結合的に、かつ/または力結合的に、かつ/または素材結合的に前記ハブ本体(8)に結合されている、ことを特徴とする、請求項9記載の永久励磁式電気機械。
【請求項11】
前記ハブ本体(8)は、半径方向外側を向いたフック(26)を有し、前記フック(26)は、相補的にフック形状に形成された、前記セグメント(9)の半径方向内側を向いた前記周囲面における凹部(27)と協働して、前記フック(26)と前記凹部(27)との間に、アンダーカットされた断面を有する形状結合部がそれぞれ構成されている、ことを特徴とする、請求項10記載の永久励磁式電気機械。
【請求項12】
前記ハブ本体(8)は、反磁性材料および/または常磁性材料から構成されている、ことを特徴とする、請求項記載の永久励磁式電気機械。
【請求項13】
前記ハブ本体(8)は、アルミニウムから構成されている、ことを特徴とする、請求項12記載の永久励磁式電気機械。
【請求項14】
前記永久励磁式電気機械は、ブラシレス直流モータ(BLDC)によって形成されている、ことを特徴とする、請求項1または2記載の永久励磁式電気機械。
【請求項15】
前記永久励磁式電気機械は、永久磁石同期モータ(PMSM)によって形成されている、ことを特徴とする、請求項1または2記載の永久励磁式電気機械。
【請求項16】
請求項1または2記載の永久励磁式電気機械を備えた車両。
【外国語明細書】