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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106682
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】樹脂封止装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20230726BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007549
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【テーマコード(参考)】
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AC04
4F204AD19
4F204AH37
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ40
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA22
(57)【要約】
【課題】ワークや成形品の表面に付着した塵埃を除去して不良品の発生を防止できる樹脂封止装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂封止装置1は、ワークWが収容されるワークストッカ102と、ワークWをワークストッカ102からワークセット部104へ移動させるワーク移動部130と、成形品Wpが収容される成形品ストッカ108と、成形品Wpを成形品セット部114から成形品ストッカ108へ移動させる成形品移動部132とを備え、ワーク移動部130による移動途中におけるワークWの上面もしくは下面の少なくとも一方の面に対して吸引力を作用させて集塵する第1ダクト部117を有するワーク集塵部116、または、成形品移動部132による移動途中における成形品Wpの上面もしくは下面の少なくとも一方の面に対して吸引力を作用させて集塵する第2ダクト部119を有する成形品集塵部118、の少なくとも一方を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型と下型とを有する封止金型を用いて、ワークを樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置であって、
前記ワークが収容されるワークストッカと、
前記ワークストッカに隣接して配設され、前記ワークを前記ワークストッカからワークセット部へ移動させるワーク移動部と、
前記成形品が収容される成形品ストッカと、
前記成形品ストッカに隣接して配設され、前記成形品を成形品セット部から前記成形品ストッカへ移動させる成形品移動部と、を備え、
前記ワーク移動部による移動途中における前記ワークの上面もしくは下面の少なくとも一方の面に対し、所定距離離間した位置から吸引力を作用させて集塵する第1ダクト部を有するワーク集塵部、
または、
前記成形品移動部による移動途中における前記成形品の上面もしくは下面の少なくとも一方の面に対し、所定距離離間した位置から吸引力を作用させて集塵する第2ダクト部を有する成形品集塵部、
の少なくとも一方を備えること
を特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
前記ワーク集塵部を備える場合において、
前記ワーク移動部は、連続送りもしくは順送りによって前記ワークを移動させる構成を有し、
連続送りの場合には、前記ワークを移動させている状態で前記ワーク集塵部によって前記ワークの集塵を行う構成であり、
順送りの場合には、前記ワークを前記第1ダクト部と平面視において一致する位置で停止させた状態で前記ワーク集塵部によって前記ワークの集塵を行う構成であること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記成形品集塵部を備える場合において、
前記成形品移動部は、連続送りもしくは順送りによって前記成形品を移動させる構成を有し、
連続送りの場合には、前記成形品を移動させている状態で前記成形品集塵部によって前記成形品の集塵を行う構成であり、
順送りの場合には、前記成形品を前記第2ダクト部と平面視において一致する位置で停止させた状態で前記成形品集塵部によって前記成形品の集塵を行う構成であること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記ワーク集塵部は、前記第1ダクト部の吸引力によって前記ワークが上下方向に移動しないように規制するガード部をさらに有すること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記成形品集塵部は、前記第2ダクト部の吸引力によって前記成形品が上下方向に移動しないように規制するガード部をさらに有すること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記ワーク集塵部は、集塵対象となる面に摺接して塵埃を除去するブラシ部、又は、圧縮エアやイオンエアを吹き付ける吹き付け部、もしくは超音波を放射する放射部をさらに有すること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記成形品集塵部は、集塵対象となる面に摺接して塵埃を除去するブラシ部、又は、圧縮エアやイオンエアを吹き付ける吹き付け部、もしくは超音波を放射する放射部をさらに有すること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する樹脂封止装置の例として、トランスファ成形方式や圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
トランスファ成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる二個の上下型の封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給するポットを設け、当該各封止領域に対応する位置にワークをそれぞれ配置して、上型と下型とでクランプしポットからキャビティに樹脂を流し込む操作によって樹脂封止する技術である。また、圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うフィルム及び樹脂を供給して成形する技術等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-18745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来の樹脂封止装置において、ワークの表面に塵埃が付着すると、成形時(樹脂封止時)に封止金型が噛み込み、成形不良を生じさせるという課題がある。特に、供給機構として複数のワークを一括収容するストッカを備える装置の場合には、ストッカの運搬もしくはセット時に上下反転されることが少なからずあり、その動作に起因して、当該ストッカの内部に収容されたワーク同士で、例えば、ワークの電子部品に付着した塵埃が落下して、別のワークの基材に付着するといったケースが生じ易い。
【0006】
一方、樹脂封止後の成形品に塵埃が付着すると、当該成形品が組み込まれる製品において動作不良を生じさせるという課題がある。
【0007】
これらの課題に対し、封止金型のクリーニングを行うことによって塵埃を除去しようとする技術等が開示されている(特許文献1:特開2011-18745号公報参照)。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ワークの表面に付着した塵埃を除去して成形不良の発生を防止でき、また、成形品の表面に付着した塵埃を除去して動作不良の発生を防止できる樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る樹脂封止装置は、上型と下型とを有する封止金型を用いて、ワークを樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置であって、前記ワークが収容されるワークストッカと、前記ワークストッカに隣接して配設され、前記ワークを前記ワークストッカからワークセット部へ移動させるワーク移動部と、前記成形品が収容される成形品ストッカと、前記成形品ストッカに隣接して配設され、前記成形品を成形品セット部から前記成形品ストッカへ移動させる成形品移動部と、を備え、前記ワーク移動部による移動途中における前記ワークの上面もしくは下面の少なくとも一方の面に対し、所定距離離間した位置から吸引力を作用させて集塵する第1ダクト部を有するワーク集塵部、または、前記成形品移動部による移動途中における前記成形品の上面もしくは下面の少なくとも一方の面に対し、所定距離離間した位置から吸引力を作用させて集塵する第2ダクト部を有する成形品集塵部、の少なくとも一方を備えることを要件とする。
【0011】
ワーク集塵部を備える構成によれば、ワークにおける吸引対象面に吸引力を作用させて、当該面に付着している塵埃及び近傍の空間を浮遊している塵埃を吸引除去することができる。また、成形品集塵部を備える構成によれば、成形品における吸引対象面に吸引力を作用させて、当該面に付着している塵埃及び近傍の空間を浮遊している塵埃を吸引除去することができる。
【0012】
また、前記ワーク集塵部を備える場合において、前記ワーク移動部は、連続送りもしくは順送りによって前記ワークを移動させる構成を有し、連続送りの場合には、前記ワークを移動させている状態で前記ワーク集塵部によって前記ワークの集塵を行う構成であり、順送りの場合には、前記ワークを前記第1ダクト部と平面視において一致する位置で停止させた状態で前記ワーク集塵部によって前記ワークの集塵を行う構成であることが好ましい。また、前記成形品集塵部を備える場合において、前記成形品移動部は、連続送りもしくは順送りによって前記成形品を移動させる構成を有し、連続送りの場合には、前記成形品を移動させている状態で前記成形品集塵部によって前記成形品の集塵を行う構成であり、順送りの場合には、前記成形品を前記第2ダクト部と平面視において一致する位置で停止させた状態で前記成形品集塵部によって前記成形品の集塵を行う構成であることが好ましい。これによれば、連続送りの際には、吸引対象面に対して移動方向に沿って均等に吸引力を作用させることができ、特に移動方向端部の吸引不足を防ぐことができる。また、順送りの際には、吸引対象面に対して長い時間吸引力を作用させることができ、集塵効果を高めることができる。
【0013】
また、前記ワーク集塵部は、前記第1ダクト部の吸引力によって前記ワークが上下方向に移動しないように規制するガード部をさらに有することが好ましい。また、前記成形品集塵部は、前記第2ダクト部の吸引力によって前記成形品が上下方向に移動しないように規制するガード部をさらに有することが好ましい。これによれば、吸引時に、ワークや成形品が所定の移動経路から逸脱してしまうことが防止できる。
【0014】
また、前記ワーク集塵部は、集塵対象となる面に摺接して塵埃を除去するブラシ部、又は、圧縮エアやイオンエアを吹き付ける吹き付け部、もしくは超音波を放射する放射部をさらに有することが好ましい。また、成形品集塵部は、集塵対象となる面に摺接して塵埃を除去するブラシ部、又は、圧縮エアやイオンエアを吹き付ける吹き付け部、もしくは超音波を放射する放射部をさらに有することが好ましい。これによれば、吸引のみでは除去困難な塵埃に対しても、こすり取るようにして除去することができる。あるいは、圧縮エアやイオンエアを吹き付けて、もしくは超音波を放射して塵埃を浮かせて除去することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワークの表面に付着した塵埃を除去して成形不良の発生を防止することができる。また、成形品の表面に付着した塵埃を除去して動作不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る樹脂封止装置の例を示す平面図である。
図2図1の樹脂封止装置のワーク集塵部の例を示す側面図である。
図3図1の樹脂封止装置のワーク集塵部の他の例を示す側面図である。
図4図1の樹脂封止装置のワーク集塵部の他の例を示す側面図である。
図5図1の樹脂封止装置の型開閉機構、封止金型、ローダの例を示す側面図である。
図6図1の樹脂封止装置の成形品集塵部の例を示す側面図である。
図7図1の樹脂封止装置の成形品集塵部の他の例を示す側面図である。
図8図1の樹脂封止装置の成形品集塵部の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る樹脂封止装置1の例を示す平面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により樹脂封止装置1における前後、左右、上下の方向を説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
本実施形態に係る樹脂封止装置1として、キャビティが設けられた上型と、下型とを備える封止金型を用いて、複数個(一例として、二個)のワークを一括して樹脂で封止し、複数個(一例として、二個)の成形品を形成する圧縮成形装置を例に挙げて説明する。但し、この構成に限定されるものではない。
【0019】
先ず、成形対象であるワークWは、基材に複数個の電子部品が搭載された構成を備えている。より具体的には、基材の例として、長方形状、円形状等に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状部材が挙げられる。また、電子部品の例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0020】
基材に電子部品を搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)を剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品を貼付ける方法もある。
【0021】
一方、樹脂Rの例として、顆粒状(円柱状等を含む)、粉砕状、もしくは粉末状(本願において「粒状」と総称する場合がある)の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。尚、樹脂Rは、上記の状態に限定されるものではなく、液状、板状、シート状等、他の状態(形状)であってもよく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0022】
続いて、本実施形態に係る樹脂封止装置1の概要について説明する。図1に示すように、樹脂封止装置1は、左から順に、ワークWの供給を主に行うワーク供給ユニット100A、樹脂Rの供給を主に行う樹脂供給ユニット100B、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100C(一例として、二台)、及び樹脂封止後の成形品Wpの収納を主に行う成形品収納ユニット100Dを主要構成として備えている。但し、この構成に限定されるものではなく、各ユニットの構成変更や、他のユニットの追加等、適宜、変更することができる。
【0023】
また、樹脂封止装置1は、各ユニット間を移動して、ワークW、樹脂R、及び成形品Wpの搬送を行う搬送装置100Eを備えている。一例として、搬送装置100Eは、ガイドレール126及び当該ガイドレール126に沿って往復動するローダ124を備えて構成されている。尚、変形例として、ローダ124とは別に封止金型202への搬入・搬出を行うローダを備える構成としてもよい(不図示)。
【0024】
本実施形態に係るローダ124は、ワークW(本実施形態では、樹脂Rが載置された状態)を保持可能なワーク保持部124A、及び成形品Wpを保持可能な成形品保持部124Bを備えている。ここで、ワーク保持部124A及び成形品保持部124Bには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。但し、この構成に限定されるものではない。尚、ローダ124に関して、ワーク保持部124Aとは別の成形品保持部124Bを独立に設けたローダ形状で独立に動くことのできるアンローダを設けてもよい(不図示)。
【0025】
(ワーク供給ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備えるワーク供給ユニット100Aについて説明する。ここで、図2にワーク供給ユニット100Aの主要構成の側面図(概略図)を示す。
【0026】
図1図2に示すように、ワーク供給ユニット100Aは、ワークWの収容に用いられるワークストッカ102と、ワークWを保持(載置)するワークセット部(例えば、テーブル)104と、ワークストッカ102に隣接して配設され、ワークWをワークストッカ102からワークセット部104へ移動させるワーク移動部130と、を備えている。当該ワークストッカ102には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個のワークWを一括して収容可能となっている。尚、ワークセット部104に載置されるワークWの個数は二個に限定されるものではない。
【0027】
また、ワーク供給ユニット100Aは、ワーク移動部130による移動途中におけるワークWの上面及び下面に対し、所定距離離間した位置から吸引力を作用させて集塵する第1ダクト部117を有するワーク集塵部116を備えている。具体的に、第1ダクト部117は、管状部材を用いて形成されており、吸引装置(不図示)に接続されると共に、先端の開口部117aがワークWの上面及び下面に対して所定距離離間した位置に配置されている。これにより、ワークWにおける吸引対象面(ここでは、上面及び下面)に吸引力を作用させて、当該面に付着している塵埃及び近傍の空間を浮遊している塵埃を吸引除去することができる。尚、変形例として、第1ダクト部117は、ワークWの上面もしくは下面の一方の面に対してのみ設ける構成としてもよい(不図示)。また、別の変形例として、上下の一方を清浄エアの吹き付け側とし、他方を吸引する側としてもよい(不図示)。
【0028】
上記のように、ワークWに対して吸引力を作用させる構成であるため、ワーク集塵部116は、第1ダクト部117の吸引力によってワークWが上下方向に移動しないように規制するガード部(不図示)を備える構成とすることが好適である。これにより、吸引時に、ワークWが所定の移動経路から逸脱してしまうことが防止できる。尚、ガード部の構成は特に限定されないが、ガードレール、押さえローラ、把持クリップ等を用いることができる。
【0029】
一方、ワーク移動部130は、レール130A、プッシャ130B、及び牽引グリップ130Cを備えて構成されている。これにより、プッシャ130Bを用いてワークストッカ102からワークWを押し出し、次いで、牽引グリップ130Cを用いてワークWをレール130A上で移動させることができる。但し、ワーク移動部130は、この構成に限定されるものではなく、コンベアを備える構成や、ローラ及びベルトを備える構成等としてもよい。さらに、公知のピックアップやエレベータ等を並設する構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0030】
本実施形態に係るワーク移動部130は、「連続送り」、及び「順送り」のいずれの移動方式も実施可能に構成されている。したがって、「連続送り」の場合には、ワークWを移動させている状態で(すなわち、移動させながら)、ワーク集塵部116によって当該ワークWの集塵を行うことができる。これにより、ワークWの移動方向に沿って均等に吸引力を作用させることができ、特にワークWにおける移動方向端部の吸引不足を防ぐことができる。また、「順送り」の場合には、ワークWを第1ダクト部117の先端の開口部117aと平面視において一致(一例として、相互の中心が一致)する位置で停止させた状態で、ワーク集塵部116によって当該ワークWの集塵を行うことができる。これにより、ワークWにおける吸引対象面に長い時間吸引力を作用させることができ、塵埃の除去効果を高めることができる。
【0031】
ここで、ワーク集塵部116の他の実施形態を図3に示す。具体的に、第1ダクト部117の先端の開口部117aが、ワークWの吸引対象面と平面視で同程度の大きさに拡張された構成を備えている。この構成によれば、特に、ワークWを順送りする場合に、ワークWにおける吸引対象面の全域に吸引力を作用させることができ、塵埃の除去効果をより一層、高めることができる。
【0032】
また、ワーク集塵部116の他の実施形態を図4に示す。具体的に、ワークWにおける集塵対象となる面に摺接して塵埃を除去するブラシ部120を備えている。この構成によれば、吸引のみでは除去困難な塵埃に対しても、こすり取るようにして除去することができる。さらに、別の実施形態として、圧縮エアやイオンエアを吹き付ける吹き付け部、もしくは超音波を放射する放射部を設けてもよい(いずれも不図示)。この構成によれば、例えば、ブラシ部が設置できない場合や、ブラシ部の摺接が適切でないワークWである場合等において、圧縮エアやイオンエアを吹き付けて、もしくは超音波を放射して塵埃を浮かせて除去することができる。尚、上記のブラシ部120、吹き付け部、放射部は、第1ダクト部117の先端に設けてもよく、あるいは、別個に設けてもよい。
【0033】
上記構成を備えるワーク供給ユニット100Aにおける動作概要は次の通りである。先ず、ワーク移動部130によってワークストッカ102からワークWが移動される。当該移動の途中時点で、ワーク集塵部116によって塵埃の除去が行われた後、ワークWがワークセット部104上に載置される。次いで、ワークセット部104上に載置されたワークWが、ローダ124によって保持されて樹脂供給ユニット100Bへ搬送される。
【0034】
(樹脂供給ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える樹脂供給ユニット100Bについて説明する。
【0035】
本実施形態に係る樹脂供給ユニット100Bは、ワークWを保持(載置)するワークセット部(例えば、テーブル)106と、樹脂Rを供給する樹脂供給部140とを備えている。これにより、ワークセット部106上に載置されたワークWの上面に、樹脂供給部140から設定量の樹脂Rが供給される。
【0036】
尚、他の実施形態として、ワークWとは別に、樹脂Rを直接、封止金型202内へ搬入する樹脂ローダを備える構成としてもよい(不図示)。あるいは、樹脂供給ユニット100Bを個別に設けずに、ワーク供給ユニット100Aのワークセット部104にワークWが載置された状態で、当該ワークW上に樹脂Rを供給する構成としてもよい(不図示)。
【0037】
上記構成を備える樹脂供給ユニット100Bにおける動作概要は次の通りである。先ず、ローダ124によってワーク供給ユニット100Aから搬入されたワークWが、ワークセット部106上に載置される。次いで、ワークセット部106上に載置されたワークWの上面に、樹脂供給部140から設定量の樹脂Rが供給される。次いで、上面に樹脂Rが供給(搭載)されたワークWが、ローダ124によって保持されてプレスユニット100Cへ搬送される。
【0038】
(プレスユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備えるプレスユニット100Cについて説明する。ここで、図5に樹脂封止装置1の型開閉機構250、封止金型202、及びローダ124の側面図(概略図)を示す。
【0039】
プレスユニット100Cは、開閉される一対の金型として、鉛直方向上方側の上型204と下方側の下型206とを有する封止金型202を備えている。本実施形態においては、上型204の下面にキャビティ208が設けられると共に、対応する下型206の上面にワーク保持部205が設けられている。但し、この構成に限定されるものではなく、上型204に代えて、もしくは、上型204と共に、下型206の上面にキャビティが設けられる構成としてもよい(不図示)。
【0040】
また、封止金型202は、公知の型開閉機構250によって型開閉が行われる。一例として図5に示すように、型開閉機構250は、一対のプラテン252、254と、一対のプラテン252、254が架設される複数の連結機構256と、プラテン254を可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている。
【0041】
上記構成を備えるプレスユニット100Cにおける動作概要は次の通りである。先ず、ローダ124によって樹脂供給ユニット100Bから搬入されたワークWが、封止金型202内の所定位置(本実施形態では、下型206のワーク保持部205)に保持される。次いで、型閉じを行ってワークWが樹脂封止されて成形品Wpに加工される。次いで、型開きした封止金型202内から取り出され成形品Wpが、ローダ124によって保持されて成形品収納ユニット100Dへ搬送される。尚、樹脂封止の際に、適宜、公知のリリースフィルム(不図示)を用いてもよい。
【0042】
(成形品収納ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える成形品収納ユニット100Dについて説明する。ここで、図6に成形品収納ユニット100Dの主要構成の側面図(概略図)を示す。
【0043】
図1図6に示すように、成形品収納ユニット100Dは、成形品Wpの収容に用いられる成形品ストッカ108と、成形品Wpを保持(載置)する成形品セット部(例えば、テーブル)114と、成形品ストッカ108に隣接して配設され、ワークWを成形品セット部114から成形品ストッカ108へ移動させる成形品移動部132と、を備えている。当該成形品ストッカ108には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個の成形品Wpを一括して収容可能となっている。尚、成形品セット部114に載置される成形品Wpの個数は二個に限定されるものではない。
【0044】
また、成形品収納ユニット100Dは、成形品移動部132による移動途中における成形品Wpの上面及び下面に対し、所定距離離間した位置から吸引力を作用させて集塵する第2ダクト部119を有する成形品集塵部118を備えている。具体的に、第2ダクト部119は、管状部材を用いて形成されており、吸引装置(不図示)に接続されると共に、先端の開口部119aが成形品Wpの上面及び下面に対して所定距離離間した位置に配置されている。これにより、成形品Wpにおける吸引対象面(ここでは、上面及び下面)に吸引力を作用させて、当該面に付着している塵埃及び近傍の空間を浮遊している塵埃を吸引除去することができる。尚、変形例として、第2ダクト部119は、成形品Wpの上面もしくは下面の一方の面に対してのみ設ける構成としてもよい(不図示)。また、別の変形例として、上下の一方を清浄エアの吹き付け側とし、他方を吸引する側としてもよい(不図示)。
【0045】
上記のように、成形品Wpに対して吸引力を作用させる構成であるため、成形品集塵部118は、第2ダクト部119の吸引力によって成形品Wpが上下方向に移動しないように規制するガード部(不図示)を備える構成とすることが好適である。これにより、吸引時に、成形品Wpが所定の移動経路から逸脱してしまうことが防止できる。尚、ガード部の構成は特に限定されないが、ガードレール、押さえローラ、把持クリップ等を用いることができる。
【0046】
一方、成形品移動部132は、レール132A、及びプッシャ132Bを備えて構成されている。これにより、プッシャ132Bを用いて成形品Wpを押してレール132A上から移動させ、成形品ストッカ108へ収容することができる。但し、成形品移動部132は、この構成に限定されるものではなく、コンベアを備える構成や、ローラ及びベルトを備える構成等としてもよい。さらに、公知のピックアップやエレベータ等を並設する構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0047】
本実施形態に係る成形品移動部132は、「連続送り」、及び「順送り」のいずれの移動方式も実施可能に構成されている。したがって、「連続送り」の場合には、成形品Wpを移動させている状態で(すなわち、移動させながら)、成形品集塵部118によって当該成形品Wpの集塵を行うことができる。これにより、成形品Wpの移動方向に沿って均等に吸引力を作用させることができ、特に成形品Wpにおける移動方向端部の吸引不足を防ぐことができる。また、「順送り」の場合には、成形品Wpを第2ダクト部119の先端の開口部119aと平面視において一致(一例として、相互の中心が一致)する位置で停止させた状態で、成形品集塵部118によって当該成形品Wpの集塵を行うことができる。これにより、成形品Wpにおける吸引対象面に長い時間吸引力を作用させることができ、塵埃の除去効果を高めることができる。
【0048】
ここで、成形品集塵部118の他の実施形態を図7に示す。具体的に、第2ダクト部119の先端の開口部119aが、成形品Wpの吸引対象面と平面視で同程度の大きさに拡張された構成を備えている。この構成によれば、特に、成形品Wpを順送りする場合に、成形品Wpにおける吸引対象面の全域に吸引力を作用させることができ、塵埃の除去効果をより一層、高めることができる。
【0049】
また、成形品集塵部118の他の実施形態を図8に示す。具体的に、成形品Wpにおける集塵対象となる面に摺接して塵埃を除去するブラシ部121を備えている。この構成によれば、吸引のみでは除去困難な塵埃に対しても、こすり取るようにして除去することができる。さらに、別の実施形態として、圧縮エアやイオンエアを吹き付ける吹き付け部、もしくは超音波を放射する放射部を設けてもよい(いずれも不図示)。この構成によれば、例えば、ブラシ部が設置できない場合や、ブラシ部の摺接が適切でない成形品Wpである場合等において、圧縮エアやイオンエアを吹き付けて、もしくは超音波を放射して塵埃を浮かせて除去することができる。尚、上記のブラシ部121、吹き付け部、放射部は、第2ダクト部119の先端に設けてもよく、あるいは、別個に設けてもよい。
【0050】
上記構成を備える成形品収納ユニット100Dにおける動作概要は次の通りである。
先ず、ローダ124によって成形品Wpが成形品セット部114上に載置される。次いで、成形品移動部132によって成形品セット部114上に載置された成形品Wpが移動される。当該移動の途中時点で、成形品集塵部118によって塵埃の除去が行われた後、成形品Wpが成形品ストッカ108へ収容される。
【0051】
以上、説明した通り、本発明に係る樹脂封止装置によれば、ワークの表面に付着した塵埃を除去して成形不良の発生を防止することができる。また、成形品の表面に付着した塵埃を除去して動作不良の発生を防止することができる。
【0052】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、上記の実施形態においては、ワーク集塵部及び成形品集塵部の両方を備える構成を例に挙げて説明したが、いずれか一方のみを備える構成としてもよい。
【0053】
また、上記の実施形態においては、上型にキャビティを備える圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、下型にキャビティを備える圧縮成形装置にも適用可能である。さらに、圧縮成形装置に限定されるものではなく、トランスファ成形装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 樹脂封止装置
116 ワーク集塵部
117 第1ダクト部
118 成形品集塵部
119 第2ダクト部
130 ワーク移動部
132 成形品移動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8