(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106685
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】接続モジュール及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/161 20200101AFI20230726BHJP
【FI】
G01L5/161
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007553
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 澄玲
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 誠一
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB09
2F051BA07
2F051DA03
2F051DB01
(57)【要約】
【課題】対象物と接続可能かつ離脱可能であって、センサの取り付け部位の材質が限定されず、対象物からかかる荷重を測定する。
【解決手段】接続モジュール100は、基部の上面から突出して軸方向に延びる接続ピン部を含む荷重受け部材130と、接続ピン部が挿入可能な嵌合孔154を有する取り付け部材150と、荷重受け部材130の基部を収容する溝部を有するセンサ取付部材110と、センサ取付部材110に取り付けられる複数のセンサ120と、を備え、複数のセンサ120は、軸方向に交差する平面のうち第1方向に、基部を挟んで配置され、基部に接して基部の変位に応じた第1測定値を測定する第1センサ群と、平面のうち第1方向に交差する第2方向に、基部を挟んで配置され、基部に接して基部の変位に応じた第2測定値を測定する第2センサ群と、基部に接して基部の軸方向に沿う第3方向の変位に応じた第3測定値を測定する第3センサ群と、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視形状が正方形状である基部と前記基部の上面から突出して軸方向に延びる接続ピン部とを含む荷重受け部材と、
対象物に取り付けられ、前記接続ピン部が挿入可能な嵌合孔を有する取り付け部材と、
前記荷重受け部材の前記基部を収容する溝部を有するセンサ取付部材と、
前記センサ取付部材に取り付けられる複数のセンサと、
を備え、
複数の前記センサは、
前記軸方向に交差する平面のうち第1方向に、前記基部を挟んで配置され、前記基部に接して前記基部の変位に応じた第1測定値を測定する第1センサ群と、
前記平面のうち前記第1方向に交差する第2方向に、前記基部を挟んで配置され、前記基部に接して前記基部の変位に応じた第2測定値を測定する第2センサ群と、
前記基部に接して前記基部の前記軸方向に沿う第3方向の変位に応じた第3測定値を測定する第3センサ群と、
を含む、
接続モジュール。
【請求項2】
前記第1センサ群は、前記基部の前記第1方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第1センサ群が前記第1測定値を測定することで2つの前記第1測定値を測定し、
前記第2センサ群は、前記基部の前記第2方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第2センサ群が前記第2測定値を測定することで2つの前記第2測定値を測定する、
請求項1に記載の接続モジュール。
【請求項3】
前記センサは、
四角環形状の板体である外枠と、
前記外枠の内周縁の一辺に連結して前記外枠の内周側に設けられる四角形状の板体である舌片と、
前記舌片の一方の面から突出して前記基部に接する突起部と、
を有し、
前記基部の同一の側面を支持する2つのセンサは、互いに前記突起部の前記第3方向の位置がずれるように前記センサ取付部材に取り付けられる、
請求項2に記載の接続モジュール。
【請求項4】
前記接続ピン部は、
前記軸方向に視た形状が真円以外の形状を有する第1柱部を上端部に含み、
前記嵌合孔は、第1孔部、第2孔部、第3孔部が順に連通し、
前記第1孔部は、前記第2孔部に向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有し、
前記第2孔部は、前記第3孔部に向かって徐々に小さくなり、かつ前記第1孔部のテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有し、
前記第3孔部は、前記接続ピン部の前記第1柱部が嵌合可能である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の接続モジュール。
【請求項5】
前記対象物は、車体と、前記車体に支持される複数の従動輪と、を備える搬送対象であり、
請求項1から4のいずれか1項に記載の接続モジュールと、
装置本体に支持されて前記装置本体を搬送する駆動輪と、
前記装置本体に対して一方向に移動可能に設けられる摺動部材と、
前記装置本体と前記センサ取付部材とを接続し、かつ前記摺動部材の移動に伴って前記センサ取付部材及び複数の前記センサを介して前記荷重受け部材を前記装置本体に対して昇降させる昇降機構と、
前記摺動部材を前記装置本体に対して前記一方向に移動させる直動アクチュエータと、
を備え、
前記荷重受け部材は、前記車体の下面側に固定した前記取り付け部材の下方から上昇することで、前記取り付け部材を介して前記搬送対象を保持可能、かつ下降することで前記取り付け部材及び前記搬送対象から離脱可能である、
搬送装置。
【請求項6】
前記第1測定値と、前記第2測定値と、前記第3測定値と、に基づいて、前記荷重受け部材にかかる3軸の荷重を算出する制御部を備える、
請求項5に記載の、搬送装置。
【請求項7】
前記第1センサ群は、前記基部の前記第1方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第1センサ群が前記第1測定値を測定することで2つの前記第1測定値を測定し、
前記第2センサ群は、前記基部の前記第2方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第2センサ群が前記第2測定値を測定することで2つの前記第2測定値を測定し、
前記制御部は、前記第1測定値と、前記第2測定値と、前記荷重受け部材の所定の原点から前記基部と前記センサとの接点までの距離と、前記荷重受け部材の前記第3方向回りの回転角度と、に基づいて、前記取り付け部材を介して前記荷重受け部材にかかる前記第3方向回りのモーメントを算出する、
請求項6に記載の、搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続モジュール及び搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宅配ロボット、無人搬送台車(AGV;Auto Guided Vehicle)、搬送用カート、ストレッチャー等、搬送物を積載して床面上を走行する搬送車両の移動を実現する搬送装置が知られている。近年では、工場内や倉庫内等で搬送作業を行う自動搬送ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)の開発が進められている。例えば、医療現場で使用されるベッドやストレッチャー等はサイズが大きく重いため、運ぶ際に搬送者の足腰や腕に負担がかかる。このため、医療現場や介護現場でも、ベッドやストレッチャー等のロボットによる搬送、搬送アシストの実現が期待されている。
【0003】
搬送ロボットには、搬送対象物と一体型されたものの他に、搬送対象物を持ち上げるものや、搬送対象物と接続して搬送するもの等がある。搬送対象物を持ち上げるものや接続して搬送するものは、既存の製品に適応可能であるが、搬送対象にロボットを固定させたり接続させたりする構成が必要となる。また、既存の医療ベッドは車高が低く、搬送ロボットがその下に潜り込み接続する場合には、できる限り搬送ロボットを低床化する必要がある。
【0004】
搬送ロボットの例として、特許文献1には、搬送ロボットと搬送対象物との接続時に、凹凸構造を含む支持部で互いを接続するロボットシステムが開示されている。搬送アシストロボットの場合には、さらに、搬送者の力を検出する機能が必要となるが、既存の6軸力覚センサは高価であり、試作や低コストの製品への導入は難しい。例えば、特許文献2には、柔軟接触センサにかかる力をXYZ軸の荷重及びZ軸回りのモーメントに分離して4軸で測定する測定システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-070082号公報
【特許文献2】特開2014-085306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2は、荷重センサの下部で荷重を受けるのが、電圧印加下で荷重を付加することで電気抵抗値が変化する導電性複合材料の導電性部材に限定されてしまうる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、対象物と接続可能かつ離脱可能であって、センサの取り付け部位の材質が限定されず、対象物からかかる荷重を測定することができる接続モジュール及び搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る接続モジュールは、平面視形状が正方形状である基部と前記基部の上面から突出して軸方向に延びる接続ピン部とを含む荷重受け部材と、対象物に取り付けられ、前記接続ピン部が挿入可能な嵌合孔を有する取り付け部材と、前記荷重受け部材の前記基部を収容する溝部を有するセンサ取付部材と、前記センサ取付部材に取り付けられる複数のセンサと、を備え、複数の前記センサは、前記軸方向に交差する平面のうち第1方向に、前記基部を挟んで配置され、前記基部に接して前記基部の変位に応じた第1測定値を測定する第1センサ群と、前記平面のうち前記第1方向に交差する第2方向に、前記基部を挟んで配置され、前記基部に接して前記基部の変位に応じた第2測定値を測定する第2センサ群と、前記基部に接して前記基部の前記軸方向に沿う第3方向の変位に応じた第3測定値を測定する第3センサ群と、を含む。
【0009】
対象物から取り付け部材を介して荷重を受ける荷重受け部材は、センサ取付部材に取り付けられた複数のセンサを介して4側面及び底面が支持され、複数のセンサによって、荷重受け部材の第1方向、第2方向、及び第3方向の変位に応じた第1測定値、第2測定値、及び第3測定値が測定される。これにより、例えば、接続モジュールが搭載される搬送装置等の制御部が、接続モジュールが測定した各測定値に基づいて3軸の荷重を算出可能である。したがって、接続モジュールは、センサが取り付けられるセンサ取付部材の材質が限定されない。また、接続モジュールは、荷重受け部材が、接続ピン部を有し、対象物に取り付けられる取り付け部材が、接続ピン部が挿入可能な嵌合孔を有するので、対象物と接続及び分離が可能な接続機能を有する。すなわち、接続モジュールは、荷重受け部材と取り付け部材との接続時に、対象物からかかる荷重が、取り付け部材を介して荷重受け部材にかかることで、対象物からかかる荷重を3軸に分離して算出するための各測定値を測定することができる。
【0010】
本発明の一態様に係る接続モジュールにおいて、前記第1センサ群は、前記基部の前記第1方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第1センサ群が前記第1測定値を測定することで2つの前記第1測定値を測定し、前記第2センサ群は、前記基部の前記第2方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第2センサ群が前記第2測定値を測定することで2つの前記第2測定値を測定する。
【0011】
接続モジュールは、荷重受け部材に対して第3方向回りの回転方向にモーメントがかかった場合、基部の対向する側面に配置された4つのセンサのうち、対角状に位置する2つのセンサが押圧される。したがって、基部の各々の側面に2つずつのセンサを配置することで、例えば、接続モジュールが搭載される搬送装置等の制御部が、接続モジュールが測定した各測定値、センサまでの距離、第3方向回りの回転角度に基づいて、第3方向回りのモーメントを算出することが可能である。すなわち、接続モジュールは、対象物からかかる荷重を4軸に分離して算出するための各測定値を測定することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る接続モジュールにおいて、前記センサは、四角環形状の板体である外枠と、前記外枠の内周縁の一辺に連結して前記外枠の内周側に設けられる四角形状の板体である舌片と、前記舌片の一方の面から突出して前記基部に接する突起部と、を有し、前記基部の同一の側面を支持する2つのセンサは、互いに前記突起部の前記第3方向の位置がずれるように前記センサ取付部材に取り付けられる。
【0013】
これにより、荷重受け部材の側面を支持する箇所が第3方向にバラつきができるので、センサ取付部材に対する荷重受け部材の意図しない回転を抑制することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る接続モジュールにおいて、前記接続ピン部は、前記軸方向に視た形状が真円以外の形状を有する第1柱部を上端部に含み、前記嵌合孔は、第1孔部、第2孔部、第3孔部が順に連通し、前記第1孔部は、前記第2孔部に向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有し、前記第2孔部は、前記第3孔部に向かって徐々に小さくなり、かつ前記第1孔部のテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有し、前記第3孔部は、前記接続ピン部の前記第1柱部が嵌合可能である。
【0015】
これにより、接続モジュールは、荷重受け部材と取り付け部材とを位置決めする際に、第1孔部で軸方向に交差する平面の2軸方向の位置決めをし、第2孔部で軸方向回りの回転方向の位置決めをし、第3孔部での嵌合で軸方向の1軸方向の位置決めをすることによって、一組の嵌合孔と接続ピン部との組み合わせのみで、4軸の位置決めが可能である。また、荷重受け部材は、第1孔部において取り付け部材に対して第2孔部の方向に移動すると、第1柱部の上端縁の1つの角状部が第1孔部の内壁に接触して内壁に案内されることで径中心方向に移動する。また、荷重受け部材は、第2孔部において取り付け部材に対して第3孔部の方向に移動すると、第1柱部の長径の両端部に位置する角状部が第2孔部の内壁に接触しながら第2孔部の角状部に向かって案内されることで軸中心回りに回転移動する。すなわち、接続モジュールは、接続ピン部と嵌合孔とを対向させた状態から、接続ピン部を嵌合孔に挿通するだけで、軸方向に交差する平面の2軸方向、軸方向回りの回転方向、軸方向の1軸方向に順次位置決めされるので、容易に4軸の位置決めが可能である。
【0016】
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記対象物は、車体と、前記車体に支持される複数の従動輪と、を備える搬送対象であり、前記搬送装置は、前記接続モジュールと、装置本体に支持されて前記装置本体を搬送する駆動輪と、前記装置本体に対して一方向に移動可能に設けられる摺動部材と、前記装置本体と前記センサ取付部材とを接続し、かつ前記摺動部材の移動に伴って前記センサ取付部材及び複数の前記センサを介して前記荷重受け部材を前記装置本体に対して昇降させる昇降機構と、前記摺動部材を前記装置本体に対して前記一方向に移動させる直動アクチュエータと、を備え、前記荷重受け部材は、前記車体の下面側に固定した前記取り付け部材の下方から上昇することで、前記取り付け部材を介して前記搬送対象を保持可能、かつ下降することで前記取り付け部材及び前記搬送対象から離脱可能である。
【0017】
これにより、搬送装置では、移動時に搬送対象からかかる荷重を接続モジュールによって測定することが可能である。また、搬送装置が搬送対象の下に潜り込んで、接続モジュールが下方から搬送対象に接続するので、牽引する搬送装置と比較して、右左折や旋回、前進と後進との切り換え等が容易であり、安定的な走行が可能である。また、搬送対象への接続前に搬送対象の下方に潜り込む際は、接続モジュールを下降させることにより、搬送装置の全高を小さくできるので、低床の搬送対象にも対応が可能である。また、接続モジュールを下降させることにより搬送対象との接続が容易に解除できるので、複数の搬送対象を次々に搬送可能である。
【0018】
本発明の一態様に係る搬送装置は、記第1測定値と、前記第2測定値と、前記第3測定値と、に基づいて、前記荷重受け部材にかかる3軸の荷重を算出する制御部を備える。
【0019】
搬送装置が備える接続モジュールは、荷重受け部材と取り付け部材とが接続している状態において、搬送対象からかかる荷重が、取り付け部材を介して荷重受け部材にかかることで、搬送対象からかかる荷重によって変位する荷重受け部材の変位に応じた第1測定値、第2測定値、及び第3測定値を測定する。搬送装置は、接続モジュールによる各測定値に基づいて、制御部によって、3軸の荷重を算出可能である。
【0020】
本発明の一態様に係る搬送装置において、前記第1センサ群は、前記基部の前記第1方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第1センサ群が前記第1測定値を測定することで2つの前記第1測定値を測定し、前記第2センサ群は、前記基部の前記第2方向に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の前記第2センサ群が前記第2測定値を測定することで2つの前記第2測定値を測定し、前記制御部は、前記第1測定値と、前記第2測定値と、前記荷重受け部材の所定の原点から前記基部と前記センサとの接点までの距離と、前記荷重受け部材の前記第3方向回りの回転角度と、に基づいて、前記取り付け部材を介して前記荷重受け部材にかかる前記第3方向回りのモーメントを算出する。
【0021】
接続モジュールは、荷重受け部材に対して第3方向回りの回転方向にモーメントがかかった場合、基部の対向する側面に配置された4つのセンサのうち、対角状に位置する2つのセンサが押圧される。したがって、基部の各々の側面に2つずつのセンサを配置することで、接続モジュールが搭載される搬送装置等は、接続モジュールによる各測定値、センサまでの距離、第3方向回りの回転角度に基づいて、制御部によって、第3方向回りのモーメントを算出可能である。これにより、搬送装置は、第1方向、第2方向、及び第3方向にかかる荷重に加え、第3方向回りのモーメントを算出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、対象物と接続可能かつ離脱可能であって、センサの取り付け部位の材質が限定されず、対象物からかかる荷重を測定することができる接続モジュール及び搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施形態に係る搬送装置の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す搬送装置の昇降機構の構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の昇降機構の上昇状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の状態における摺動部材の構成例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る接続モジュールの構成例を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す接続モジュールのセンサ取付部材の構成例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す接続モジュールにセンサを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す接続モジュールの荷重受け部材の構成例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図8に示すセンサ取付部材及びセンサに
図9に示す荷重受け部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図6に示す接続モジュールのカバー部材の構成例を示す平面図である。
【
図12】
図12は、
図6に示す接続モジュールの取り付け部材の構成例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、X軸方向又はY軸方向に対向して配置されるセンサの回路図の一例である。
【
図14】
図14は、Z軸方向の上方に突起部を向けて配置されるセンサの回路図の一例である。
【
図15】
図15は、
図1に示す搬送装置の搬送対象への接続前の状態を一部断面で示す側面図である。
【
図16】
図16は、
図1に示す搬送装置の搬送対象への接続後の状態を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0025】
(実施形態)
[搬送装置1の構成]
まず、実施形態に係る搬送装置1の構成について、
図1から
図5までを参照して説明する。
図1は、実施形態に係る搬送装置1の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す搬送装置1の平面図である。
図3は、
図1に示す搬送装置1の昇降機構40の構成例を示す斜視図である。
図4は、
図3の昇降機構40の上昇状態を示す斜視図である。
図5は、
図4の状態における摺動部材30の構成例を示す斜視図である。なお、これらの図において、発明に係る構成要素以外の構成要素は、適宜省略して図示される。また、以下の説明では、搬送装置1の水平な長手方向(
図2の左右方向)を「前後方向」、短手方向(
図2の上下方向)を「幅方向」と言う。
【0026】
搬送装置1は、搬送対象B(
図15及び
図16参照)の下に潜り込んで下方から搬送対象Bに接続し、走行することで搬送対象Bを搬送する装置である。搬送対象Bは、少なくとも、車体と、車体を水平姿勢に維持して水平方向に移動させることが可能な複数の従動輪とを備え、搬送装置1が車体の下に潜り込める隙間を有する搬送車両である。搬送対象Bは、例えば、台車、搬送カート、ストレッチャー等である。
図1に示すように、実施形態の搬送装置1は、装置本体10と、4つの駆動輪20と、摺動部材30と、昇降機構40と、直動アクチュエータ50と、接続モジュール100と、を備える。
【0027】
装置本体10は、水平姿勢の板状の基台11上に、駆動輪20、摺動部材30、昇降機構40、及び直動アクチュエータ50等の搬送装置1の主な構成要素を支持する。基台11には、各々の駆動輪20の一部を基台11より下方に露出させるための駆動輪用開口11aが形成されている。また、基台11は、各々の駆動輪20の回転軸を支持する4組8つの駆動輪支持部12と、直動アクチュエータ50の固定部51(
図3等参照)を基台11に固定するアクチュエータ支持部13と、基台11に設けられる他の構成要素の各種支持部材と、を有する。
【0028】
また、装置本体10は、基台11に設けられる構成要素の側方及び上方を覆うカバー部材15を有する。カバー部材15は、昇降機構用開口15aを有する。昇降機構用開口15aは、カバー部材15の上面15bの中央部分に設けられる。昇降機構用開口15aからは、後述の接続モジュール100が昇降に伴って出没する。実施形態の搬送装置1において、駆動輪20の走行面との接地面からカバー部材15の上面15bまでの高さは、125mmである。装置本体10は、基台11とカバー部材15とが略直方体形状の筐体をなす。
【0029】
駆動輪20は、実施形態において、装置本体10に対して前後左右に合計4つ設けられる。駆動輪20は、実施形態において、全方向移動が可能なメカナムホイールであるが、例えば、オムニホイールであってもよい。各々の駆動輪20は、基台11に固定された駆動輪支持部12によって、回転軸回りに回動可能に設けられる。1組の駆動輪支持部12は、実施形態において、1つの駆動輪20を挟み対向して配置される2つの支持部材を含む。支持部材は、1つの駆動輪20の回転軸の両端部を各々支持する。
【0030】
駆動輪20は、回転アクチュエータ21から回転駆動力が伝達される。回転アクチュエータ21は、各々の駆動輪20を駆動する4つの回転アクチュエータ21を含む。回転アクチュエータ21は、例えば、BLDC(Brush-Less Direct-Current)モータを含む。回転アクチュエータ21は、実施形態において、前後に配置される駆動輪20の間に空間において、出力軸が駆動輪20の回転軸と平行となるように駆動輪20に隣接して配置され、プーリ及びベルト等を介して駆動輪20にトルクを伝達する。
【0031】
回転アクチュエータ21は、モータドライバによって制御される。モータドライバは、例えば、搬送装置1の各構成を制御する制御部22に含まれる。制御部22は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを有する演算処理部、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ、記憶部、及び入出力インターフェース装置等のハードウェア資源を備える。制御部22の機能は、記憶部に格納された所定のプログラムを演算処理部が実行することで実現される。例えば、制御部22は、プログラムが実行され、後述の荷重受け部材130にかかる3軸の荷重Fx、Fy、Fzを算出する。制御部22は、演算処理部による演算結果に従って、各構成要素に各種機能を実行させる制御信号を出力し、演算結果を外部へ出力する。
【0032】
制御部22は、実施形態において、装置本体10の前後方向の一方の端部側であって、後述の直動アクチュエータ50の固定部51の上方に配置される。モータドライバは、例えば、4つ配置される。また、回転アクチュエータ21及びモータドライバを含む制御部22は、バッテリ23から電力が供給されて駆動する。バッテリ23は、装置本体10の前後方向の他方の端部側に配置される。さらに、装置本体10には、非常停止ボタン24と、リレースイッチ25と、が設けられる。搬送装置1は、非常停止ボタン24が操作者によって押されると、リレースイッチ25が主電源を切り、バッテリ23からの電力供給が停止される。
【0033】
摺動部材30は、装置本体10の基台11に対して前後方向に移動可能に設けられる。摺動部材30は、例えば、水平姿勢かつ前後方向に平行に設けられるガイドレールに沿って移動可能なように設けられてもよい。摺動部材30は、一対のガイド軸部31と、被固定部32と、を有する。
【0034】
ガイド軸部31は、装置本体10の幅方向に延びる軸部材である。ガイド軸部31は、後述の昇降機構40の一対のガイド孔41bに各々挿通する摺動軸部材44bと同芯かつ一体に設けられるか、摺動軸部材44bに固定されるか、あるいは摺動軸部材44bと共用で設けられる。摺動部材30は、ガイド軸部31及び摺動軸部材44bがガイド孔41b内を移動可能な範囲で、基台11に対して前後方向に移動可能である。
【0035】
被固定部32には、後述の直動アクチュエータ50の可動部52が固定される。摺動部材30は、直動アクチュエータ50が駆動して伸縮することによって、可動部52とともに基台11に対して前後方向に移動する。
【0036】
摺動部材30は、実施形態において、平面視形状が、直動アクチュエータ50に固定される被固定部32が凹状部33となるコ字形状に形成される。すなわち、被固定部32に対して、直動アクチュエータ50が収縮する方向の端部が二叉となる形状を有する。ガイド軸部31は、二叉の端部に各々設けられる。摺動部材30は、凹状部33がガイド軸部31に対して、直動アクチュエータ50の伸長する方向に設けられる。すなわち、摺動部材30は、昇降機構40との接続部に対して、直動アクチュエータ50の可動部52との接続部が、直動アクチュエータ50が伸長する方向に位置するように形成される。
【0037】
昇降機構40は、実施形態において、X状のリンクを含むシザースリンク機構を含む。昇降機構40は、装置本体10の基台11と後述の接続モジュール100とを接続し、かつ接続モジュール100の水平姿勢を維持した状態で上下動可能に支持する。昇降機構40は、摺動部材30の前後方向の移動に伴って、接続モジュール100を装置本体10に対して昇降させる。実施形態の昇降機構40は、基台固定部41と、接続機構固定部42と、第1リンクアーム43と、第2リンクアーム44と、中央軸部材45と、を含む。
【0038】
基台固定部41は、装置本体10の基台11に対して固定される。基台固定部41は、実施形態において、前後方向に延びる断面L字形状の一対の支持フレームを含む。基台固定部41は、L字の底面部分が、基台11に固定される。基台固定部41は、L字の底面部分の幅方向の一方の端辺から上方に折り曲げたフランジ部に、軸孔41aと、ガイド孔41bと、を有する。
【0039】
軸孔41aは、前後方向に延びる基台固定部41の直動アクチュエータ50が伸長する方向の端部に設けられる丸孔である。軸孔41aは、水平姿勢かつ装置本体10の幅方向に貫通して設けられる。軸孔41aには、第1リンクアーム43の下端側に設けられる回転軸部材43aが挿通する。
【0040】
ガイド孔41bは、前後方向に延びる基台固定部41の直動アクチュエータ50が収縮する側の端部から中央に亘って設けられる長孔である。ガイド孔41bは、水平姿勢かつ装置本体10の幅方向に貫通して設けられる。ガイド孔41bには、第2リンクアーム44の下端側に設けられる摺動軸部材44bが挿通する。
【0041】
接続機構固定部42は、後述の接続モジュール100の下端に位置するセンサ取付部材110に対して固定される。接続機構固定部42は、実施形態において、前後方向に延びる断面逆L字形状の一対の支持フレームを含む。接続機構固定部42は、倒L字の天面部分が、センサ取付部材110に固定される。接続機構固定部42は、倒L字の天面部分の幅方向の一方の端辺から下方に折り曲げたフランジ部に、軸孔42aと、ガイド孔42bと、を有する。
【0042】
軸孔42aは、前後方向に延びる接続機構固定部42の直動アクチュエータ50が伸長する方向の端部に設けられる丸孔である。軸孔42aは、水平姿勢かつ装置本体10の幅方向に貫通して設けられる。軸孔42aには、第2リンクアーム44の上端側に設けられる回転軸部材44aが挿通する。
【0043】
ガイド孔42bは、前後方向に延びる接続機構固定部42の直動アクチュエータ50が収縮する側の端部から中央に亘って設けられる長孔である。ガイド孔42bは、水平姿勢かつ装置本体10の幅方向に貫通して設けられる。ガイド孔42bには、第1リンクアーム43の上端側に設けられる摺動軸部材43bが挿通する。
【0044】
第1リンクアーム43は、基台固定部41と接続機構固定部42とを連結する。第1リンクアーム43は、長手方向の下端部に設けられた回転軸部材43aを介し、基台固定部41に対して、装置本体10の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。回転軸部材43aは、基台固定部41に設けられた軸孔41aに挿通する。回転軸部材43aは、例えば、ピン部材である。
【0045】
第1リンクアーム43は、長手方向の上端部に設けられた摺動軸部材43bを介し、接続機構固定部42に対して、装置本体10の前後方向に摺動可能かつ装置本体10の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。摺動軸部材43bは、接続機構固定部42に設けられたガイド孔42bに挿通する。摺動軸部材43bは、例えば、ピン部材である。
【0046】
第2リンクアーム44は、基台固定部41と接続機構固定部42とを連結する。第2リンクアーム44は、長手方向の上端部に設けられた回転軸部材44aを介し、接続機構固定部42に対して、装置本体10の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。回転軸部材44aは、接続機構固定部42に設けられた軸孔42aに挿通する。回転軸部材44aは、例えば、ピン部材である。
【0047】
第2リンクアーム44は、長手方向の下端部に設けられた摺動軸部材44bを介し、基台固定部41に対して、装置本体10の前後方向に摺動可能かつ装置本体10の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。摺動軸部材44bは、基台固定部41に設けられたガイド孔42bに挿通する。摺動軸部材44bは、摺動部材30のガイド軸部31と同芯であるように、ガイド軸部31に固定される。摺動軸部材44bは、例えば、ボルトである。
【0048】
中央軸部材45は、第1リンクアーム43及び第2リンクアーム44の各々の長手方向の中央部同士を、回動可能に連結する。中央軸部材45は、例えば、ピン部材である。
【0049】
直動アクチュエータ50は、装置本体10の前後方向に伸縮する一軸アクチュエータである。直動アクチュエータ50は、例えば、装置本体10に搭載される制御装置が駆動源を駆動させることによって、駆動源の駆動力により伸縮する。直動アクチュエータ50は、固定部51と、可動部52と、を含む。
【0050】
固定部51は、実施形態において、軸心が水平姿勢かつ装置本体10の前後方向に平行な筒形状のハウジングである。固定部51は、長手方向の一方の端部が開口し、可動部52の一部を内部に収容する。固定部51は、長手方向の他方の端部が、装置本体10の基台11に設けられたアクチュエータ支持部13に固定される。
【0051】
可動部52は、実施形態において、軸心が水平姿勢かつ装置本体10の前後方向に平行なシャフトである。可動部52は、長手方向の一方の端部側の一部が、固定部51の内部に収容される。可動部52は、長手方向の他方の端部が、摺動部材30の被固定部32に固定される。
【0052】
可動部52は、固定部51及び装置本体10に対して前後方向に直動移動可能である。可動部52は、直動アクチュエータ50が伸縮することによって、固定部51及び装置本体10に対して前後方向に直動移動する。直動アクチュエータ50は、可動部52が前後方向に直動移動することによって、摺動部材30を前後方向に直動移動させる。
【0053】
[接続モジュール100の構成]
次に、実施形態に係る接続モジュール100の構成について、
図6から
図12までを参照して説明する。
図6は、実施形態に係る接続モジュール100の構成例を示す分解斜視図である。なお、以下の説明では、水平な一方向をX軸方向といい、X軸方向に直交する水平な交差方向をY軸方向といい、X軸方向及びY軸方向に直交する垂直方向をZ軸方向という。また、Z軸回りの回転方向をθ回転方向という。
【0054】
接続モジュール100は、接続モジュール100にかかる荷重をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びZ軸回りに分離して測定する。実施形態の接続モジュール100は、さらにZ軸回りのモーメントを測定する。また、実施形態の接続モジュール100は、搬送装置1の装置本体10側と搬送対象B(
図15及び
図16参照)とを接続する接続機構としての機能を備える。
【0055】
接続モジュール100は、実施形態において、センサ取付部材110と、複数のセンサ120と、荷重受け部材130と、カバー部材140と、取り付け部材150と、感圧センサ160と、緩衝材170と、を備える。接続モジュール100は、センサ取付部材110、複数のセンサ120、荷重受け部材130、カバー部材140、感圧センサ160、及び緩衝材170が、取り付け部材150と分離可能である。センサ取付部材110、複数のセンサ120、荷重受け部材130、及びカバー部材140は、摺動部材30の前後方向への移動に伴い昇降機構40によって昇降する。
【0056】
図7は、
図6に示す接続モジュール100のセンサ取付部材110の構成例を示す斜視図である。センサ取付部材110は、実施形態において、平面視形状が角丸の正方形状である略四角柱形状に形成されている。センサ取付部材110は、接続モジュール100の基部となる部分であって、昇降機構40の接続機構固定部42に固定される。センサ取付部材110は、例えば、底面及び側面を接続機構固定部42に支持された状態で取り付けられる。センサ取付部材110は、摺動部材30の前後方向の移動に伴って、昇降機構40を介し、装置本体10に対して昇降する。センサ取付部材110には、複数のカバー固定ねじ穴111と、ピン脚収容溝部112と、8つのセンサ取付スリット113と、2つのセンサ取付凹部114と、配線穴115と、が形成される。
【0057】
カバー固定ねじ穴111は、
図6及び後述の
図11に示すカバー部材140をセンサ取付部材110の上面110a側に固定するためのねじが挿通される穴である。カバー固定ねじ穴111は、センサ取付部材110の上面110a側から、Z軸方向の下方に向かって形成される。カバー固定ねじ穴111は、実施形態において、4つ設けられる。4つのカバー固定ねじ穴111は、平面視におけるセンサ取付部材110の4角近傍の位置に形成される。
【0058】
ピン脚収容溝部112は、後述の荷重受け部材130の脚部135を収容するための溝である。ピン脚収容溝部112は、センサ取付部材110の上面110aから下方に凹状かつ平面視が四角環形状に設けられる。センサ取付部材110は、平面視において、ピン脚収容溝部112の内周より内側の部分が、センサ取付部材110の上面110aにおけるZ軸方向の高さより低く形成される。
【0059】
8つのセンサ取付スリット113は、各々後述のセンサ120が挿通して取り付けられる穴である。各々のセンサ取付スリット113は、センサ取付部材110の上面110aに細長い開口部を有し、上面110a側からZ軸方向下方に向かって形成される。センサ取付スリット113は、平面視において、センサ取付部材110の外周とピン脚収容溝部112の外周との間であって、ピン脚収容溝部112の外周に細長い開口部の長手方向が沿うように形成される。各々のセンサ取付スリット113には、センサ120の検出部がピン脚収容溝部112側に向いた状態で露出するように、ピン脚収容溝部112側にセンサ用開口113aが形成されている。
【0060】
8つのセンサ取付スリット113は、ピン脚収容溝部112の外周近傍に取り付けられるセンサ120が均等に配置されるように形成される。すなわち、8つのセンサ取付スリット113は、センサ取付部材110の中心に対して、X軸方向に線対称、Y軸方向に線対称、Z軸回りに90°の点対称、かつZ軸方向の高さが同一であるように形成される。具体的には、センサ取付スリット113は、ピン脚収容溝部112の外周の4辺各々の近傍に2つずつ形成される。
【0061】
2つのセンサ取付凹部114は、後述のセンサ120が取り付けられる凹部である。各々のセンサ取付凹部114は、センサ取付部材110のピン脚収容溝部112の内周より内側の部分の上面110bから下方に向かって凹状に形成される。各々のセンサ取付凹部114には、センサ120の検出部が上方を向いた状態でセンサ取付凹部114に固定するための爪部114aが形成されている。爪部114aは、センサ取付凹部114の縁から、平面視で内側に向かって突出してセンサ120の上面側の一部を覆うように形成される。
【0062】
2つのセンサ取付凹部114は、取り付けられるセンサ120が均等に配置されるように形成される。すなわち、2つのセンサ取付凹部114は、センサ取付部材110の中心に対して、X軸方向に線対称、Y軸方向に線対称、かつZ軸方向の高さが同一であるように形成される。具体的には、センサ取付凹部114は、Y軸方向に並んで2つ形成される。
【0063】
配線穴115は、センサ120に接続する配線が通る溝及び孔である。センサ取付スリット113に取り付けられたセンサ120に接続する配線は、センサ取付スリット113からピン脚収容溝部112の外周側の内壁に沿って形成された溝を通ってピン脚収容溝部112の底面112aに延びる。
【0064】
また、センサ取付凹部114に取り付けられた120に接続する配線は、センサ取付凹部114からピン脚収容溝部112の内周より内側の部分の上面110b及びピン脚収容溝部112の内周側の内壁に沿って形成された溝を通ってピン脚収容溝部112の底面112aに延びる。各々の配線は、ピン脚収容溝部112の底面112aと荷重受け部材130の脚部135の下面131bとの間(後述の
図10参照)を這うように配線され、ピン脚収容溝部112の底面112aに形成された孔を経由して、接続モジュール100の外部の他素子に接続する。
【0065】
図8は、
図7に示す接続モジュール100にセンサ120を取り付けた状態を示す斜視図である。複数のセンサ120は、実施形態において、荷重を検出するひずみゲージ式のロードセルを含む。1つのセンサ120(ロードセル)は、2つのひずみゲージを有している。各々のセンサ120は、外枠120aと、舌片120bと、を有する(
図6参照)。
【0066】
外枠120aは、四角環形状の板体である。舌片120bは、外枠120aの内周側に設けられる四角形状の板体である。舌片120bは、一辺が、外枠120aの内周縁の一辺に連結して、外枠120aと一体で設けられる。舌片120bの両面には、各々ひずみゲージが1つずつ設けられる。また、舌片120bの一方の面の中心には、後述の荷重受け部材130と接する突起部120cが形成されている。舌片120bは、突起部120cを介して押圧されることで外枠120aとの連結部を中心に揺動する。この際のひずみに基づいて、センサ120は、面に垂直な方向に加わった値からを検出する。
【0067】
複数のセンサ120は、第1センサ群と、第2センサ群と、第3センサ群と、を含む。第1センサ群は、荷重受け部材130の基部131を水平な一方向(例えば、Y軸方向)に挟んで支持する。第2センサ群は、荷重受け部材130の基部131を水平かつ一方向に直交する交差方向(例えば、X軸方向)に挟んで支持する。第3センサ群は、荷重受け部材130の基部131を一方向及び交差方向に直交する垂直方向(Z軸方向)の下方から支持する。
【0068】
第1センサ群は、実施形態において、第1正センサ121p及び第2正センサ122pと、第1負センサ121n及び第2負センサ122nと、の4個のロードセルを含む。第2センサ群は、実施形態において、第3正センサ123p及び第4正センサ124pと、第3負センサ123n及び第4負センサ124nと、の4個のロードセルを含む。第3センサ群は、実施形態において、第5センサ125及び第6センサ126の4個のロードセルを含む。すなわち、実施形態の複数のセンサ120は、合計10個のロードセルを含む。なお、以下の説明において、各々のセンサを特に区別しない場合は、単にセンサ120と称する。
【0069】
第1正センサ121p、第1負センサ121n、第2正センサ122p、第2負センサ122n、第3正センサ123p、第3負センサ123n、第4正センサ124p、及び第4負センサ124nは、突起部120cがセンサ用開口113aに向くように立たせ、センサ取付部材110のセンサ取付スリット113に挿通して取り付けられる。センサ取付スリット113に取り付けられたセンサ120は、上端部がセンサ取付部材110の上面110aより上方に突出している。センサ取付スリット113に取り付けられた8つのセンサ120は、センサ用開口113aから突起部120cがピン脚収容溝部112側に突出した位置で、外枠120aがセンサ取付部材110に支持される。
【0070】
第1正センサ121pと第1負センサ121nとは、センサ取付部材110の中心に対してY軸方向に対向する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。第2正センサ122pと第2負センサ122nとセンサ取付部材110の中心に対してY軸方向に対向する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。第1正センサ121pと第2正センサ122pとは、X軸方向に隣接する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。第1負センサ121nと第2負センサ122nとは、X軸方向に隣接する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。
【0071】
第3正センサ123pと第3負センサ123nとは、センサ取付部材110の中心に対してX軸方向に対向する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。第4正センサ124pと第4負センサ124nとは、センサ取付部材110の中心に対してX軸方向に対向する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。第3正センサ123pと第3負センサ123nとは、Y軸方向に隣接する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。第4正センサ124pと第4負センサ124nとは、Y軸方向に隣接する位置のセンサ取付スリット113に取り付けられる。
【0072】
また、センサ取付スリット113に取り付けられる8つのセンサ120は、隣接するセンサ120と上下が逆になるように取り付けられる(
図6参照)。具体的には、第1正センサ121p、第2負センサ122n、第3負センサ123n、及び第4正センサ124pは、外枠120aと舌片120bとの連結部が上方に位置するように取り付けられる。また、第1負センサ121n、第2正センサ122p、第3正センサ123p、及び第4負センサ124nは、外枠120aと舌片120bとの連結部が下方に位置するように取り付けられる。これにより、センサ120は、隣接するセンサ120の突起部120cのZ軸方向の位置がずれた状態で配置される。
【0073】
第5センサ125及び第6センサ126は、突起部120cが上方を向くように寝かせ、センサ取付凹部114に嵌め込んで取り付けられる。センサ取付凹部114に取り付けられた2つのセンサ120は、突起部120cがピン脚収容溝部112の内周より内側の部分の上面110bより上方に突出した位置で、外枠120aがセンサ取付部材110に支持される。
【0074】
また、センサ取付凹部114に取り付けられる2つのセンサ120は、外枠120aと舌片120bとの連結部の位置がY軸方向に逆になるように取り付けられる。具体的には、第5センサ125は、外枠120aと舌片120bとの連結部がY軸の負方向に位置するように取り付けられる。また、第6センサ126は、外枠120aと舌片120bとの連結部がY軸の正方向に位置するように取り付けられる。
【0075】
図9は、
図6に示す接続モジュール100の荷重受け部材130の構成例を示す斜視図である。
図10は、
図8に示すセンサ取付部材110及びセンサ120に
図9に示す荷重受け部材130を取り付けた状態を示す断面図である。荷重受け部材130は、搬送対象Bにかかる荷重を受け、センサ120に伝達する部材である。荷重受け部材130は、基部131と、接続ピン部132と、を有する。
【0076】
基部131は、センサ120を介してセンサ取付部材110に支持される部分であり、実施形態において、平面視形状が角に丸みを含む正方形状である略四角柱形状に形成されている。基部131は、荷重受け部材130がセンサ120を介してセンサ取付部材110に支持されている状態において、上面131aがセンサ取付部材110の上面110aより下方に位置する。基部131は、凹状部133、134と、脚部135と、を含む。
【0077】
凹状部133は、基部131の下面131b側から上方に向かって凹状に形成され、底面視形状が、角に丸みを含む正方形状の凹状部である。凹状部134は、凹状部133の天面からさらに上方に向かって凹状に形成され、底面視形状が、角に丸みを含む正方形状の凹状部である。凹状部133及び凹状部134は、平面視における中心が基部131の中心となるように形成される。すなわち、基部131の下面131b側には、2段階の四角環形状部分が形成される。脚部135は、凹状部133の外周より外側の四角環形状部分である。
【0078】
荷重受け部材130は、センサ取付部材110に対して、直接接触しないように設けられ、複数のセンサ120を介してセンサ取付部材110に支持される。この際、基部131は、脚部135がピン脚収容溝部112に収容され、4方の側面がセンサ120に接触されて支持される。また、基部131は、凹状部133及び凹状部134がピン脚収容溝部112の内周より内側の部分の上面110bと対向する。
【0079】
荷重受け部材130は、凹状部134の天面が、第5センサ125及び第6センサ126の突起部120cに支持されることによって、下方から支持される。凹状部133及び凹状部134は、第5センサ125及び第6センサ126の外枠120aには接触しない。すなわち、第5センサ125と第6センサ126とは、隣接して配置され、いずれも荷重受け部材130の底面(凹状部134の天面)側からかかる荷重を受けるので、第5センサ125及び第6センサ126に荷重受け部材130から加わる力は、同方向となる。
【0080】
荷重受け部材130は、脚部135の外周側の側面が、第1正センサ121p、第1負センサ121n、第2正センサ122p、第2負センサ122n、第3正センサ123p、第3負センサ123n、第4正センサ124p、及び第4負センサ124nの突起部120cに支持されることによって、側方から支持される。脚部135は、ピン脚収容溝部112の内壁及び底面112aには接触しない。
【0081】
前述のとおり第1正センサ121pと第1負センサ121nとは、Y軸方向に荷重受け部材130を挟んで対向して配置されるので、第1正センサ121p及び第1負センサ121nに荷重受け部材130から加わる力は、逆方向となる。同様に、第2正センサ122pと第2負センサ122nとは、Y軸方向に荷重受け部材130を挟んで対向して配置されるので、第2正センサ122p及び第2負センサ122nに荷重受け部材130から加わる力は、逆方向となる。
【0082】
また、第3正センサ123pと第3負センサ123nとは、X軸方向に荷重受け部材130を挟んで対向して配置されるので、第3正センサ123p及び第3負センサ123nに荷重受け部材130から加わる力は、逆方向となる。同様に、第4正センサ124pと第4負センサ124nとは、X軸方向に荷重受け部材130を挟んで対向して配置されるので、第4正センサ124p及び第4負センサ124nに荷重受け部材130から加わる力は、逆方向となる。
【0083】
接続ピン部132は、基部131の上面131a側の中心部から突出して軸方向(Z軸方向)に延びて形成される。接続ピン部132は、後述の取り付け部材150の嵌合孔154に下方から挿通して嵌合孔154に挿入可能である。接続ピン部132は、第1柱部132aと、第2柱部132bと、を含む。
【0084】
第1柱部132aは、接続ピン部132の上端部に位置し、軸方向がZ軸方向に平行かつXY断面の形状が一定である柱形状である。
図9に示す実施形態の第1柱部132aは、軸方向と直交する平面で切った断面(以降の説明では、XY断面と称す)形状が角部に丸みを含む正方形状である四角柱形状であるが、本実施形態では真円柱を除く柱形状であればどのような形状でもよく、四角柱以外の角柱又は楕円柱でもよい。さらに、第1柱部132aは、XY断面形状が、ルーローの多角形やレモン型等、辺の部分が外側に膨出しているような形状でもよい。すなわち、第1柱部132aは、軸方向に視た形状が真円以外の形状を有する。第1柱部132aは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0085】
また、第1柱部132aの側辺に対応する角状部132cは、実施形態のように角丸や面取りされた形状であってもよい。なお、第1柱部132aが楕円柱である場合は、長軸の両端部分を角状部132cとみなす。また、第1柱部132aの上面132dは、実施形態において、XY平面に平行な平坦面に形成される。
【0086】
第2柱部132bは、第1柱部132aの下方に位置し、軸方向がZ軸方向に平行かつ指数関数テーパ又は放物線テーパ等の裾広がりである柱形状である。第2柱部132bは、上端部の側面が第1柱部132aの下端部の側面に連続し、下端部の側面が基部131の上面131aに連続する。
【0087】
図11は、
図6に示す接続モジュール100のカバー部材140の構成例を示す平面図である。カバー部材140は、センサ取付部材110に支持されたセンサ120の上方を覆う四角環形状の保護部材である。カバー部材140は、下面がセンサ取付部材110の上面110aに固定され、荷重受け部材130に対して直接接触しないように設けられる。すなわち、カバー部材140の下面は、センサ取付部材110に固定されている状態において、センサ120を介してセンサ取付部材110に支持される荷重受け部材130の基部131の上面131aとの間に間隙を有する。カバー部材140は、固定ねじ孔141と、センサ用穴142と、ピン用開口143と、押圧ピン貫通孔144と、配線孔145と、を有する。
【0088】
固定ねじ孔141は、カバー部材140をセンサ取付部材110(
図7等参照)の上面110a側に固定するためのねじが挿通される穴である。固定ねじ孔141は、Z軸方向に貫通して形成される。固定ねじ孔141は、平面視において、センサ取付部材110のカバー固定ねじ穴111に対応する位置に同数設けられ、実施形態では、平面視における4角近傍の位置に各々1つ、計4つ形成される。
【0089】
センサ用穴142は、8つのセンサ取付スリット113に取り付けられた各々のセンサ120の、センサ取付部材110の上面110aより上方に突出している上端部が挿入するための孔である。センサ用穴142は、カバー部材140の下面側から、Z軸方向の上方に向かって形成され、実施形態においては、Z軸方向に貫通して設けられる。センサ用穴142は、平面視において、センサ取付スリット113に対応する位置に同数設けられ、実施形態では、4辺近傍の位置に各々2つずつ、計8つ形成される。カバー部材140がセンサ取付部材110の上面110aに固定された状態において、8つのセンサ取付スリット113に取り付けられたセンサ120は、上端がセンサ取付部材110の上面110aより下方に位置する。
【0090】
ピン用開口143は、荷重受け部材130の接続ピン部132が挿通される開口である。すなわち、ピン用開口143は、四角環形状のカバー部材140の内周より内側の部分を示す。ピン用開口143は、平面視において、接続ピン部132より外側に内縁が離隔するように形成される。
【0091】
押圧ピン貫通孔144は、後述の取り付け部材150に形成される押圧ピン155が挿通するための貫通孔である。押圧ピン貫通孔144は、押圧ピン155の径より大径であるように、Z軸方向に貫通して設けられる。押圧ピン貫通孔144は、平面視において、押圧ピン155に対応する位置に同数設けられ、実施形態では、対角線上の2つの固定ねじ孔141近傍に1つずつ、計2つ形成される。
【0092】
配線孔145は、後述の感圧センサ160に接続する配線が通る孔である。配線は、配線孔145を経由して、例えば、センサ取付部材110の配線穴115を経由して、接続モジュール100の外部の他素子に接続する。
【0093】
図12は、
図6に示す接続モジュール100の取り付け部材150の構成例を示す斜視図である。取り付け部材150は、搬送対象B(
図15及び
図16参照)に取り付けられる部材である。取り付け部材150は、荷重受け部材130と接続可能かつ分離可能である。取り付け部材150を荷重受け部材130に接続することにより、搬送装置1は、搬送対象Bに接続される。取り付け部材150は、基部151と、孔形成部152と、複数(実施形態では4つ)の固定孔153と、嵌合孔154と、押圧ピン155と、を有する。
【0094】
基部151は、搬送対象B(
図15及び
図16参照)に取り付けられる部分であり、実施形態において、平面視形状が角に丸みを含む正四角環形状の厚板状に形成されている。基部151の上面151a(
図6参照)側は、搬送対象Bの下面側に対向する。
【0095】
孔形成部152は、平面視で基部151の下面151b側から下方に向かって凸状に形成され、平面視形状が、角に丸みを含む正方形状の凸状部である。孔形成部152は、平面視における中心が基部151の中心となるように形成される。すなわち、基部151は、孔形成部152の外周より外側に四角環形状の下面151bを有する。取り付け部材150は、孔形成部152の部分のZ軸方向の厚みが、孔形成部152の外周より外側の四角環形状の部分の厚みより大きく形成される。
【0096】
固定孔153は、取り付け部材150を搬送対象B(
図15及び
図16参照)の下面側に固定するためのねじが挿通される穴である。固定孔153は、取り付け部材150の基部151をZ軸方向に貫通して形成され、例えば、内周面に雌ねじを含む。固定孔153は、実施形態において、4つ設けられる。4つの固定孔153は、平面視における取り付け部材150の4角近傍の位置に形成される。取り付け部材150は、例えば、基部151の上面151aを搬送対象Bの下面側に合わせた状態で、ねじ等を固定孔153の下方から螺合することによって、上面151aが搬送対象Bの下面に固定される。
【0097】
嵌合孔154は、取り付け部材150の孔形成部152をZ軸方向に貫通する孔であって、荷重受け部材130の接続ピン部132が下方から挿入可能である。嵌合孔154は、平面視で取り付け部材150の中心部に形成される。嵌合孔154は、第1孔部154aと、第2孔部154bと、第3孔部154cと、が順に連通する。
【0098】
第1孔部154aは、実施形態において、第2孔部154b及び第3孔部154cより下方に位置する。第1孔部154aは、取り付け部材150の下面側に開口し、軸方向がZ軸方向に平行な孔である。第1孔部154aは、第2孔部154bに向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有する。実施形態の第1孔部154aは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状である。第1孔部154aは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0099】
第2孔部154bは、第1孔部154aと第3孔部154cとの間に位置する。第2孔部154bは、第1孔部154aの上方に連通し、軸方向がZ軸方向に平行な孔である。第2孔部154bは、第3孔部154cに向かって徐々に小さくなり、かつ第1孔部154aのテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有する。実施形態の第2孔部154bは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状である。第2孔部154bは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0100】
第3孔部154cは、実施形態において、第1孔部154a及び第2孔部154bより上方に位置する。第3孔部154cは、第2孔部154bの上方に連通し、軸方向がZ軸方向に平行かつXY断面の形状が一定である孔である。第3孔部154cは、荷重受け部材130の接続ピン部132の第1柱部132aが嵌合可能な穴である。第3孔部154cは、第1柱部132aに嵌合している状態において、角状部154dが第1柱部132aの角状部132cに対向する。
【0101】
実施形態の第3孔部154cは、取り付け部材150の上面151a側に開口する。実施形態の第3孔部154cは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状であるが、外周に凹状の角部及び凹状の曲面を含まず、嵌合時に第1柱部132aのθ回転方向の回転を規制可能であれば、どのような形状でもよい。第3孔部154cは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0102】
荷重受け部材130は、接続ピン部132を嵌合孔154の下方から挿通する際、第1柱部132aが嵌合孔154の第1孔部154a、第2孔部154bに順次ガイドされて、第3孔部154cに嵌合される。なお、嵌合孔154は、第1孔部154aと第2孔部154bとの境界面における短径をLとし、荷重受け部材130の第1柱部132aの上面132dにおける長径をDとした場合、L=1/Dの関係が成り立つように形成される。
【0103】
第3孔部154cに第1柱部132aが嵌合することによって、荷重受け部材130と取り付け部材150とは、XY平面方向及びθ回転方向に位置決めされる。また、第3孔部154cに第1柱部132aが嵌合して、取り付け部材150の孔形成部152の下縁152aが、荷重受け部材130の基部131の上面131aに接して支持されることによって、荷重受け部材130と取り付け部材150とは、Z軸方向に位置決めされる。すなわち、荷重受け部材130と取り付け部材150とは、4軸で位置決め可能である。
【0104】
嵌合孔154は、第1柱部132aが第3孔部154cに嵌合している状態において、平面視で第1孔部154aの下端部における外周縁が荷重受け部材130の基部131より内側に位置する。実施形態の荷重受け部材130は、第1柱部132aが第3孔部154cに嵌合し、基部131で取り付け部材150を下方から支持している状態において、第1柱部132aの上面132dが、取り付け部材150の上面151aと同一の高さ、又は上面151aより下方の位置に維持される。
【0105】
実施形態の第2孔部154bは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状であるが、本実施形態では正方形状に限定されない。例えば、第1柱部132a及び第3孔部154cのXY断面形状が正多角形状である場合、第2孔部154bは、外周に凹状の角部及び凹状の曲面を含まず、XY断面形状が第1柱部132a及び第3孔部154cのXY断面の頂点数以下の正多角形状であればよい。
【0106】
実施形態の第1孔部154aは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状であるが、本実施形態では正方形状に限定されない。例えば、第2孔部154bのXY断面形状が正多角形状である場合、第1孔部154aは、外周に凹状の角部及び凹状の曲面を含まず、XY断面形状が第2孔部154bのXY断面の頂点数以下の正多角形状、又は円形状であればよい。
【0107】
押圧ピン155は、後述の緩衝材170を介して感圧センサ160を押圧する突起である。押圧ピン155は、基部151の下面151b側から突出してZ軸方向に平行な方向に延びて形成される。押圧ピン155は、先端がドーム状に形成される。押圧ピン155は、実施形態において、平面視で対角状に配置される2つの押圧ピン155を含む。押圧ピン155は、取り付け部材150が荷重受け部材130に接続された状態において、カバー部材140の押圧ピン貫通孔144を挿通し、押圧ピン貫通孔144の下方に配置される感圧センサ160を、緩衝材170を介して押圧する。
【0108】
感圧センサ160は、例えば、電極を含む機能部と、機能部を挟むように設けられた保護フィルムと、を有する。感圧センサ160は、機能部に印加される外圧の位置及び大きさを測定可能なセンサである。感圧センサ160は、押圧ピン155及びカバー部材140の押圧ピン貫通孔144の位置及び数に対応して設けられる。平面視において、押圧ピン155及びカバー部材140の押圧ピン貫通孔144に対応する位置に同数設けられ、実施形態では、対角線上の2つの押圧ピン貫通孔144の下端側に1つずつ、計2つ形成される。感圧センサ160は、平面視において、押圧ピン貫通孔144が機能部に一致するように、例えば、カバー部材140の下面側に固定して設けられる。
【0109】
緩衝材170は、各々の感圧センサ160の機能部の上面側に配置される。押圧ピン155は、荷重受け部材130の接続ピン部132が取り付け部材150の嵌合孔154に挿通されて第1柱部132aと第3孔部154cとが嵌合すると、押圧ピン貫通孔144に挿通される。この際、感圧センサ160は、押圧ピン155の先端による緩衝材170を介した感圧センサ160の押圧を検出する。すなわち、感圧センサ160は、荷重受け部材130と取り付け部材150との接続状態を検出する。
【0110】
搬送装置1は、取り付け部材150を取り付けた搬送対象B(
図15及び
図16参照)の下方に潜り込み、昇降機構40によってセンサ取付部材110及びセンサ120を介して荷重受け部材130を上昇させ、接続ピン部132を嵌合孔154に挿通して嵌合することによって、搬送対象Bと接続する。荷重受け部材130と取り付け部材150とが正確に接続された場合、感圧センサ160が緩衝材170を介して押圧ピン155に押圧されて接続状態を検知する。搬送装置1は、接続ピン部132と嵌合孔154とが嵌合することで、搬送対象Bに対して水平方向(XY平面方向)、垂直方向(Z軸方向)、及び垂直軸回りの旋回方向(θ回転方向)の4軸で位置決めされる。
【0111】
この際、搬送装置1が走行すると、走行した方向に接続モジュール100が移動する。搬送装置1は、接続モジュール100を介して搬送対象Bを走行方向に引っ張る。その結果、搬送装置1が移動した方向に、搬送対象Bが搬送される。また、搬送装置1は、接続モジュール100を介して搬送対象Bを右左折移動方向又は旋回移動方向に引っ張る。その結果、搬送装置1の右左折動作又は旋回動作に従って、搬送対象Bが右左折又は旋回する。
【0112】
なお、搬送装置1は、荷重受け部材130と接続可能な取り付け部材150を複数備えていてもよい。複数の搬送対象Bに各々取り付け部材150を取り付けておくことで、搬送装置1で複数の搬送対象Bを順次搬送することができる。
【0113】
[接続モジュール100による4軸荷重測定]
接続モジュール100は、搬送装置1に搬送対象Bが接続し、搬送装置1が移動したり、搬送対象Bに搬送者の力がかけられたりした際に、取り付け部材150を介して荷重受け部材130に荷重が加わる。荷重受け部材130に荷重がかかると、荷重受け部材130は、基部131を支持するセンサ120に、かかった荷重を伝達する。
【0114】
ここで、荷重受け部材130から伝達された荷重を、
図6、
図8及び
図10に示すセンサ120が測定する方法について説明する。センサ取付スリット113に取り付けられる8つのセンサ120では、各々2つずつのセンサ120を用いてホイーストンブリッジ回路とし、正負方向のひずみに対する差動出力電圧値を測定する。
【0115】
具体的には、X軸方向に対向する第3正センサ123p及び第3負センサ123nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、X軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS3±を測定する。また、X軸方向に対向する第4正センサ124p及び第4負センサ124nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、X軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS4±を測定する。
【0116】
また、Y軸方向に対向する第1正センサ121p及び第1負センサ121nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、Y軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS1±を測定する。また、Y軸方向に対向する第2正センサ122p及び第2負センサ122nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、Y軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS2±を測定する。
【0117】
差動出力電圧値V
S1±、V
S2±、V
S3±、V
S4±を測定するセンサ120(ひずみゲージ)の回路図について説明する。
図13は、X軸方向又はY軸方向に対向して配置されるセンサ120の回路図の一例である。なお、以下の説明では、一例として、第1正センサ121p及び第1負センサ121nの回路図として説明するが、第2正センサ122p及び第2負センサ122n、第3正センサ123p及び第3負センサ123n、第4正センサ124p及び第4負センサ124nも同様の回路構成を有する。
【0118】
図13に示す回路図では、ブリッジ回路の4辺に各々、ひずみゲージGp
1、Gp
2、Gn
1、Gn
2が接続される。ひずみゲージGp
1は、第1正センサ121pの突起部120c側の面に設けられ、ブリッジ回路において、1辺に設けられる。ひずみゲージGp
2は、第1正センサ121pのひずみゲージGp
1とは反対側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージGp
1が設けられる辺に隣接する1辺に設けられる。ひずみゲージGn
1は、第1負センサ121nの突起部120c側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージGp
1が設けられる辺の対辺に設けられる。ひずみゲージGn
2は、第1負センサ121nのひずみゲージGn
1とは反対側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージGp
2が設けられる辺の対辺に設けられる。前述のとおり、第1正センサ121p及び第1負センサ121nに荷重受け部材130から加わる力は、逆方向なので、ひずみゲージGp
1及びひずみゲージGn
2が同方向にひずみ、ひずみゲージGp
3及びひずみゲージGn
1がその逆方向にひずむ。
【0119】
図13に示す回路図では、下方から印加電圧V
INをかけることで、右方に出力電圧V
OUTが出力される。ゲージ率をKとし、ひずみをεとすると、出力電圧V
OUTは、以下の数式(1)で示される。なお、出力電圧V
OUTは、回路に接続するセンサ120が第1正センサ121p及び第1負センサ121nである場合、V
S1±である。
【0120】
【0121】
また、センサ取付凹部114に取り付けられる2つのセンサ120では、各々正方向のひずみに対する出力電圧値を測定する。具体的には、Y軸方向に並ぶ第5センサ125及び第6センサ126は、各々Z軸の正方向へのひずみに対する出力電圧値VS5+、VS6+を測定する。
【0122】
出力電圧値V
S5+、V
S6+を測定するセンサ120(ひずみゲージ)の回路図について説明する。
図14は、Z軸方向の上方に突起部120cを向けて配置されるセンサ120の回路図の一例である。なお、以下の説明では、一例として、第5センサ125の回路図として説明するが、第6センサ126も同様の回路構成を有する。
【0123】
図14に示す回路図では、ブリッジ回路の隣接する4辺に各々、ひずみゲージG
1、G
2及び固定抵抗R
1、R
2が接続されている。ひずみゲージG
1は、第5センサ125の突起部120c側の面に設けられ、ブリッジ回路において、1辺に設けられる。ひずみゲージG
2は、第5センサ125のひずみゲージG
1とは反対側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージG
1が設けられる辺に隣接する1辺に設けられる。固定抵抗R
1は、ブリッジ回路において、ひずみゲージG
1が設けられる辺の対辺に設けられる。固定抵抗R
2は、ブリッジ回路において、ひずみゲージG
2が設けられる辺の対辺に設けられる。前述のとおり、第5センサ125及び第6センサ126に荷重受け部材130から加わる力は、同方向なので、第5センサ125のひずみゲージG
1及び第6センサ126ひずみゲージG
1が同方向にひずみ、第5センサ125のひずみゲージG
2及び第6センサ126ひずみゲージG
2がその逆方向にひずむ。
【0124】
図14に示す回路図では、下方から印加電圧V
INをかけることで、右方に出力電圧V
OUTが出力される。出力電圧V
OUTは、以下の数式(2)で示される。なお、出力電圧V
OUTは、回路に接続するセンサ120が第5センサ125である場合、V
S5+であり、回路に接続するセンサ120が第6センサ126である場合、V
S6+である。
【0125】
【0126】
このように接続モジュール100によって測定された各測定値は、例えば、搬送装置1の制御部22に出力される。制御部22は、各測定値に基づいて、荷重受け部材130にかかる3軸の荷重、及びZ軸回りのモーメントを算出する。1[N]をセンサ120に加えた時の出力電力値をVcalとする場合、X軸方向にかかる荷重Fx、Y軸方向にかかる荷重Fy、及びZ軸方向にかかる荷重Fzは、以下の数式(3)、(4)、(5)によって示される。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
また、荷重受け部材130の原点からセンサ120の突起部120cとの接点までの距離をlとし、荷重受け部材130のZ軸回りの回転角度をφとする場合、Z軸回りのモーメントM
zは、以下の数式(6)によって示される。なお、荷重受け部材130の原点は、平面視で荷重受け部材130の中心に位置し、例えば、
図10に示す荷重受け部材130の上面132dに位置するように設定される。また、角度φは、X軸方向又はY軸方向に隣接する2つのセンサ120の突起部120cと荷重受け部材130との2つの接点のY軸方向又はX軸方向のひずみ量の差に基づいて算出される。
【0131】
【0132】
[搬送装置1の搬送対象Bへの接続動作]
次に、搬送装置1の搬送対象Bへの接続動作について、
図15及び
図16を参照して説明する。
図15は、
図1に示す搬送装置1の搬送対象Bへの接続前の状態を一部断面で示す側面図である。
図16は、
図1に示す搬送装置1の搬送対象Bへの接続後の状態を一部断面で示す側面図である。
【0133】
実施形態の搬送装置1で搬送対象Bを搬送する場合、作業者は、搬送対象Bに予め取り付け部材150を取り付けておく。作業者は、例えば、ねじ(不図示)等で、取り付け部材150の基部151の上面151aを搬送対象Bの下面側に固定する。搬送装置1が搬送する搬送対象Bが複数である場合は、全ての搬送対象Bに予め取り付け部材150を取り付けておく。また、作業者は、直動アクチュエータ50によって摺動部材30を介して昇降機構40を駆動させ、センサ取付部材110及び荷重受け部材130を下降させておく。
【0134】
接続時には、まず、駆動輪20を駆動して、
図15に示すように、取り付け部材150を取り付けた搬送対象Bの下方に潜り込ませるよう、搬送装置1を走行させる。次に、取り付け部材150の嵌合孔154の直下に荷重受け部材130の接続ピン部132を対向させるように位置づける。
【0135】
次に、直動アクチュエータ50を伸長させる方向に駆動する。直動アクチュエータ50の伸長に伴って、可動部52が摺動部材30を前後方向の回転軸部材43a側(
図15及び
図16に示す右方)に移動させる。すると、
図16に示すように、摺動部材30とともに、第2リンクアーム44の摺動軸部材44bが基台固定部41のガイド孔41b内で回転軸部材43a側に移動する。
【0136】
これとともに、第2リンクアーム44は、回転軸部材44aの軸心回りに回転し、中央軸部材45を介して連結される第1リンクアーム43は、回転軸部材43aの軸心回りに回転するとともに、摺動軸部材43bが接続機構固定部42のガイド孔42b内で回転軸部材44a側に移動する。これにより、接続機構固定部42とともにセンサ取付部材110及び荷重受け部材130が上昇する。
【0137】
上昇した荷重受け部材130は、取り付け部材150に下方から接近し、接続ピン部132が嵌合孔154に下方から挿通して嵌合する。これにより、荷重受け部材130が取り付け部材150の水平方向及び垂直軸回りの旋回方向への移動を制限しかつ下方から支持して搬送対象Bを保持するので、接続モジュール100を介して、搬送装置1が搬送対象Bに接続される。
【0138】
搬送装置1を搬送対象Bから離脱させる際には、直動アクチュエータ50を収縮させる方向に駆動する。直動アクチュエータ50の収縮に伴って、可動部52が摺動部材30を前後方向の固定部51側(
図15及び
図16に示す左方)に移動させる。すると、摺動部材30とともに、第2リンクアーム44の摺動軸部材44bが基台固定部41のガイド孔41b内で固定部51側に移動する。
【0139】
これとともに、第2リンクアーム44は、回転軸部材44aの軸心回りに回転し、中央軸部材45を介して連結される第1リンクアーム43は、回転軸部材43aの軸心回りに回転するとともに、摺動軸部材43bが接続機構固定部42のガイド孔42b内で固定部51側に移動する。これにより、接続機構固定部42とともにセンサ取付部材110及び荷重受け部材130が下降する。
【0140】
下降した荷重受け部材130は、接続ピン部132が嵌合孔154から下方に抜けて、取り付け部材150の下方に離隔する。これにより、搬送装置1が搬送対象Bから離脱される。
【0141】
以上説明したように、実施形態の接続モジュール100は、平面視形状が正方形状である基部131と基部131の上面131aから突出して軸方向(Z軸方向)に延びる接続ピン部132とを含む荷重受け部材130と、対象物(搬送対象B)に取り付けられ、接続ピン部132が挿入可能な嵌合孔154を有する取り付け部材150と、荷重受け部材130の基部131を収容する溝部(ピン脚収容溝部112)を有するセンサ取付部材110と、センサ取付部材110に取り付けられる複数のセンサ120と、を備え、複数のセンサ120は、軸方向に交差する平面(XY平面)のうち第1方向(Y軸方向)に、基部131を挟んで配置され、基部131に接して基部131の変位に応じた第1測定値(差動出力電圧値VS1±、VS2±)を測定する第1センサ群(第1正センサ121p及び第2正センサ122p、第1負センサ121n及び第2負センサ122n)と、平面のうち第1方向に交差する第2方向(X軸方向)に、基部131を挟んで配置され、基部131に接して基部131の変位に応じた第2測定値(差動出力電圧値VS3±、VS4±)を測定する第2センサ群(第3正センサ123p及び第4正センサ124p、第3負センサ123n及び第4負センサ124n)と、基部131に接して基部131の軸方向に沿う第3方向(Z軸方向)の変位に応じた第3測定値(出力電圧値VS5+、VS6+)を測定する第3センサ群(第5センサ125及び第6センサ126)と、を含む。
【0142】
対象物から取り付け部材150を介して荷重を受ける荷重受け部材130は、センサ取付部材110に取り付けられた複数のセンサ120を介して4側面及び底面(凹状部134の天面)が支持され、複数のセンサ120によって、荷重受け部材130の第1方向、第2方向、及び第3方向の変位に応じた第1測定値、第2測定値、及び第3測定値が測定される。これによれば、例えば、接続モジュール100が搭載される搬送装置1等の制御部22が、接続モジュール100が測定した各測定値に基づいて3軸の荷重Fx、Fy、Fzを算出可能である。したがって、接続モジュール100は、センサ120が取り付けられるセンサ取付部材110の材質が限定されない。また、接続モジュール100は、荷重受け部材130が、接続ピン部132を有し、対象物に取り付けられる取り付け部材150が、接続ピン部132が挿入可能な嵌合孔154を有するので、対象物と接続及び分離が可能な接続機能を有する。すなわち、接続モジュール100は、荷重受け部材130と取り付け部材150との接続時に、対象物からかかる荷重が、取り付け部材150を介して荷重受け部材130にかかることで、対象物からかかる荷重を3軸に分離して算出するための各測定値を測定することができる。
【0143】
また、実施形態の接続モジュール100において、第1センサ群(第1正センサ121p及び第2正センサ122p、第1負センサ121n及び第2負センサ122n)は、基部131の第1向(Y軸方向)に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の第1センサ群が第1測定値(差動出力電圧値VS1±、VS2±)を測定することで2つの第1測定値を測定し、第2センサ群(第3正センサ123p及び第4正センサ124p、第3負センサ123n及び第4負センサ124n)は、基部131の第2方向(X軸方向)に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の第2センサ群が第2測定値(差動出力電圧値VS3±、VS4±)を測定することで2つの第2測定値を測定する。
【0144】
接続モジュール100は、荷重受け部材130に対して第3方向(Z軸)回りの回転方向(θ回転方向)にモーメントがかかった場合、基部131の対向する側面に配置された4つのセンサ120のうち、対角状に位置する2つのセンサが押圧される。したがって、基部131の各々の側面に2つずつのセンサを配置することで、例えば、接続モジュール100が搭載される搬送装置1等の制御部22が、接続モジュール100が測定した各測定値、センサまでの距離、第3方向回りの回転角度に基づいて、第3方向回りのモーメントMzを算出することが可能である。すなわち、接続モジュール100は、対象物からかかる荷重を4軸に分離して算出するための各測定値を測定することができる。
【0145】
また、実施形態の接続モジュール100において、センサ120は、四角環形状の板体である外枠120aと、外枠120aの内周縁の一辺に連結して外枠120aの内周側に設けられる四角形状の板体である舌片120bと、舌片120bの一方の面から突出して基部131に接する突起部120cと、を有し、基部131の同一の側面を支持する2つのセンサ120は、互いに突起部120cの第3方向(Z軸方向)の位置がずれるようにセンサ取付部材110に取り付けられる。
【0146】
これによれば、荷重受け部材130の側面を支持する箇所が第3方向にバラつきができるので、センサ取付部材110に対する荷重受け部材130の意図しない回転を抑制することができる。
【0147】
また、実施形態の接続モジュール100において、接続ピン部132は、軸方向(Z軸方向)に視た形状が真円以外の形状を有する第1柱部132aを上端部に含み、嵌合孔154は、第1孔部154a、第2孔部154b、第3孔部154cが順に連通し、第1孔部154aは、第2孔部154bに向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有し、第2孔部154bは、第3孔部154cに向かって徐々に小さくなり、第1孔部154aのテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有し、第3孔部154cは、接続ピン部132の第1柱部132aが嵌合可能である。
【0148】
これによれば、接続モジュール100は、荷重受け部材130と取り付け部材150とを位置決めする際に、第1孔部154aで軸方向に交差する平面の2軸方向(X軸方向及びY軸方向)の位置決めをし、第2孔部154bで軸方向回りの回転方向(θ回転方向)の位置決めをし、第3孔部154cでの嵌合で軸方向の1軸方向(Z軸方向)の位置決めをすることによって、一組の嵌合孔154と接続ピン部132との組み合わせのみで、4軸の位置決めが可能である。また、荷重受け部材130は、第1孔部154aにおいて取り付け部材150に対して第2孔部154bの方向に移動すると、第1柱部132aの上端縁の1つの角状部132cが第1孔部154aの内壁に接触して内壁に案内されることで径中心方向に移動する。また、荷重受け部材130は、第2孔部154bにおいて取り付け部材150に対して第3孔部154cの方向に移動すると、第1柱部132aの長径の両端部に位置する角状部132cが第2孔部154bの内壁に接触しながら第2孔部154bの角状部に向かって案内されることで軸中心回りに回転移動する。すなわち、接続モジュール100は、接続ピン部132と嵌合孔154とを対向させた状態から、接続ピン部132を嵌合孔154に挿通するだけで、軸方向に交差する平面の2軸方向、軸方向回りの回転方向、軸方向の1軸方向に順次位置決めされるので、容易に4軸の位置決めが可能である。
【0149】
また、実施形態の搬送装置1において、対象物は、車体と、車体に支持される複数の従動輪と、を備える搬送対象Bであり、搬送装置1は、接続モジュール100と、装置本体10に支持されて装置本体10を搬送する駆動輪20と、装置本体10に対して一方向(例えば、装置本体10の前後方向)に移動可能に設けられる摺動部材30と、装置本体10とセンサ取付部材110とを接続し、かつ摺動部材30の移動に伴ってセンサ取付部材110及び複数のセンサ120を介して荷重受け部材130を装置本体10に対して昇降させる昇降機構40と、摺動部材30を装置本体10に対して一方向に移動させる直動アクチュエータ50と、を備え、荷重受け部材130は、車体の下面側に固定した取り付け部材150の下方から上昇することで、取り付け部材150を介して搬送対象Bを保持可能、かつ下降することで取り付け部材150及び搬送対象Bから離脱可能である。
【0150】
これによれば、搬送装置1では、移動時に搬送対象Bからかかる荷重を接続モジュール100によって測定することが可能である。また、搬送装置1が搬送対象Bの下に潜り込んで、接続モジュール100が下方から搬送対象Bに接続するので、牽引する搬送装置と比較して、右左折や旋回、前進と後進との切り換え等が容易であり、安定的な走行が可能である。また、搬送対象Bへの接続前に搬送対象Bの下方に潜り込む際は、接続モジュール100を下降させることにより、搬送装置1の全高を小さくできるので、低床の搬送対象Bにも対応が可能である。また、接続モジュール100を下降させることにより搬送対象Bとの接続が容易に解除できるので、複数の搬送対象Bを次々に搬送可能である。
【0151】
また、実施形態の搬送装置1は、第1測定値(差動出力電圧値VS1±、VS2±)と、第2測定値(差動出力電圧値VS3±、VS4±)と、第3測定値(出力電圧値VS5+、VS6+)と、に基づいて、荷重受け部材130にかかる3軸の荷重Fx、Fy、Fzを算出する制御部22を備える。
【0152】
搬送装置1が備える接続モジュール100は、荷重受け部材130と取り付け部材150とが接続している状態において、搬送対象Bからかかる荷重が、取り付け部材150を介して荷重受け部材130にかかることで、搬送対象Bからかかる荷重によって変位する荷重受け部材130の変位に応じた第1測定値、第2測定値、及び第3測定値を測定する。搬送装置1は、接続モジュール100による各測定値に基づいて、制御部22によって、3軸の荷重Fx、Fy、Fzを算出可能である。
【0153】
また、実施形態の搬送装置1において、第1センサ群(第1正センサ121p及び第2正センサ122p、第1負センサ121n及び第2負センサ122n)は、基部131の第1方向(Y軸方向)に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の第1センサ群が第1測定値(差動出力電圧値VS1±、VS2±)を測定することで2つの第1測定値を測定し、第2センサ群(第3正センサ123p及び第4正センサ124p、第3負センサ123n及び第4負センサ124n)は、基部131の第2方向(X軸方向)に対向する2つの側面に対して2つずつ設けられ、各々の第2センサ群が第2測定値(差動出力電圧値VS3±、VS4±)を測定することで2つの第2測定値を測定し、制御部22は、第1測定値と、第2測定値と、荷重受け部材130の所定の原点から基部131とセンサ120との接点までの距離lと、荷重受け部材130の第3方向(Z軸方向)回りの回転角度φと、に基づいて、取り付け部材150を介して荷重受け部材130にかかる第3方向回りのモーメントMzを算出する。
【0154】
接続モジュール100は、荷重受け部材130に対して第3方向回りの回転方向(θ回転方向)にモーメントがかかった場合、基部131の対向する側面に配置された4つのセンサ120のうち、対角状に位置する2つのセンサ120が押圧される。したがって、基部131の各々の側面に2つずつのセンサ120を配置することで、接続モジュール100が搭載される搬送装置1等は、接続モジュール100による各測定値、センサ120までの距離、第3方向回りの回転角度φに基づいて、制御部22によって、第3方向回りのモーメントMzを算出可能である。これにより、搬送装置1は、第1方向、第2方向、及び第3方向にかかる荷重Fx、Fy、Fzに加え、第3方向回りのモーメントMzを算出することができる。
【0155】
なお、本実施形態は、上記態様に限定されるものではない。即ち、本実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0156】
例えば、センサ取付部材110、カバー部材140、及び取り付け部材150は、平面視における外形状が正方形状に限定されず、長方形状、三角形状、円形状等でもよい。また、センサ取付部材110とカバー部材140との固定や、取り付け部材150と搬送対象Bとの固定は、実施形態において、既存製品への汎用性が高いねじ固定を例示しているが、新規のアタッチメント構造を設けて固定するようにしてもよい。また、センサ取付部材110は、センサ120の取り付け部分の材質が特に限定されず、PLA、アルミ、SUS等の様々な材料で実現し得る。
【0157】
また、接続モジュール100は、昇降可能な荷重受け部材130と、搬送対象Bに取り付ける取り付け部材150とが分離可能に設けられる実施形態の態様に限定されず、搬送対象Bの下方から上昇させることで、搬送対象Bの下面に吸着するマグネット又は吸盤を含んでもよい。
【符号の説明】
【0158】
1 搬送装置
10 装置本体
11 基台
11a 駆動輪用開口
12 駆動輪支持部
13 アクチュエータ支持部
15 カバー部材
15a 昇降機構用開口
15b 上面
20 駆動輪
21 回転アクチュエータ
22 制御部
23 バッテリ
24 非常停止ボタン
25 リレースイッチ
30 摺動部材
31 ガイド軸部
32 被固定部
33 凹状部
40 昇降機構
41 基台固定部
41a 軸孔
41b ガイド孔
42 接続機構固定部
42a 軸孔
42b ガイド孔
43 第1リンクアーム
43a 回転軸部材
43b 摺動軸部材
44 第2リンクアーム
44a 回転軸部材
44b 摺動軸部材
45 中央軸部材
50 直動アクチュエータ
51 固定部
52 可動部
100 接続モジュール
110 センサ取付部材
110a、110b 上面
111 カバー固定ねじ穴
112 ピン脚収容溝部
112a 底面
113 センサ取付スリット
113a センサ用開口
114 センサ取付凹部
114a 爪部
115 配線穴
120 センサ
120a 外枠
120b 舌片
120c 突起部
121p 第1正センサ
121n 第1負センサ
122p 第2正センサ
122n 第2負センサ
123p 第3正センサ
123n 第3負センサ
124p 第4正センサ
124n 第4負センサ
125 第5センサ
126 第6センサ
130 荷重受け部材
131 基部
131a 上面
131b 下面
132 接続ピン部
132a 第1柱部
132b 第2柱部
132c 角状部
132d 上面
133、134 凹状部
135 脚部
140 カバー部材
141 固定ねじ孔
142 センサ用穴
143 ピン用開口
144 押圧ピン貫通孔
145 配線孔
150 取り付け部材
151 基部
151a 上面
151b 下面
152 孔形成部
152a 下縁
153 固定孔
154 嵌合孔
154a 第1孔部
154b 第2孔部
154c 第3孔部
154d 角状部
155 押圧ピン
160 感圧センサ
170 緩衝材
B 搬送対象