(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106688
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】圧縮成形装置及び圧縮成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/34 20060101AFI20230726BHJP
B29C 43/58 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B29C43/34
B29C43/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007560
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【テーマコード(参考)】
4F204
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AD19
4F204AH37
4F204AR11
4F204AR15
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF47
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ38
(57)【要約】
【課題】樹脂の供給に関して、計量精度の向上と計量時間の低減との両立を図ることが可能な圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂封止装置1は、単位時間当たりの樹脂Rの供給量が相対的に多い第1フィーダ310と相対的に少ない第2フィーダ320とを有する樹脂供給部301を備え、樹脂供給部301は、第1フィーダ310と第2フィーダ320との両方を用いて封止に必要な所定量の樹脂Rを供給する構成である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型もしくは下型の一方にキャビティが設けられた封止金型を用いて、ワークを樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、
単位時間当たりの前記樹脂の供給量が相対的に多い第1フィーダと相対的に少ない第2フィーダとを有する樹脂供給部を備え、
前記樹脂供給部は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方を用いて封止に必要な所定量の前記樹脂を供給する構成であること
を特徴とする圧縮成形装置。
【請求項2】
前記樹脂供給部による前記樹脂の供給動作の制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方による前記樹脂の供給動作を開始し、次いで、供給される前記樹脂が前記所定量に到達する前の設定時点で前記第1フィーダによる前記樹脂の供給動作を停止し、次いで、前記樹脂が前記所定量に到達する終了時点まで前記第2フィーダによる前記樹脂の供給動作を継続する制御を行うこと
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方による前記樹脂の供給動作を開始してから、前記第1フィーダによる前記樹脂の供給動作を停止した時点の前記樹脂の供給量と前記第2フィーダによる単位時間当たりの前記樹脂の供給量を計測し、前記単位時間当たりの前記樹脂の供給量に基づき、前記第2フィーダによる前記樹脂の供給動作によって前記樹脂が前記所定量に到達するまでの必要時間を予測して、前記終了時点を算出する制御を行うこと
を特徴とする請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
前記設定時点は、タイマーによる設定時間の経過時点であること
を特徴とする請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
前記タイマーによる設定時間は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方による前記樹脂の供給動作を行った場合に、前記樹脂の総供給量が前記キャビティの内容積に対して40~80%の間の任意設定量に達するまでに要する時間として予め算出された時間であること
を特徴とする請求項4記載の圧縮成形装置。
【請求項6】
上型もしくは下型の一方にキャビティが設けられた封止金型と、単位時間当たりの樹脂の供給量が相対的に多い第1フィーダと相対的に少ない第2フィーダとを有する樹脂供給部と、を備える圧縮成形装置を用いて、ワークを前記樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、
前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方を用いて前記樹脂の供給動作を開始し、
次いで、供給される前記樹脂が封止に必要な所定量に到達する前の設定時点で前記第1フィーダによる前記樹脂の供給動作を停止し、
次いで、前記樹脂が前記所定量に到達する終了時点まで前記第2フィーダによる前記樹脂の供給動作を継続すること
を特徴とする圧縮成形方法。
【請求項7】
前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方による前記樹脂の供給動作を開始してから、前記第1フィーダによる前記樹脂の供給動作を停止した時点の前記樹脂の供給量と前記第2フィーダによる単位時間当たりの前記樹脂の供給量を計測し、前記単位時間当たりの前記樹脂の供給量に基づき、前記第2フィーダによる前記樹脂の供給動作によって前記樹脂が前記所定量に到達するまでの必要時間を予測して、前記終了時点を算出すること
を特徴とする請求項6記載の圧縮成形方法。
【請求項8】
前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方により前記樹脂の供給動作を行った場合に、前記樹脂の総供給量が前記キャビティの内容積に対して40~80%の間の任意設定量に達するまでに要する時間を予め算出して、前記設定時点を設定すること
を特徴とする請求項6記載の圧縮成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形装置及び圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うフィルム及び樹脂を供給して成形する技術等が知られている(特許文献1:特許第4975486号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に例示される従来の圧縮成形装置において、一つの振動フィーダ等の出力を変化させることによって樹脂の供給量を調整する構成が開示されている。この構成によれば、樹脂の供給工程において、供給量の計量精度(すなわち供給量の誤差)の向上を図ることができる。しかしながら、その一方で、計量時間(すなわち供給に要する時間)が長くなり、タクトタイムが増加する課題が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、樹脂の供給に関して、計量精度の向上と計量時間の低減との両立を図ることが可能な圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る圧縮成形装置は、上型もしくは下型の一方にキャビティが設けられた封止金型を用いて、ワークを樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、単位時間当たりの前記樹脂の供給量が相対的に多い第1フィーダと相対的に少ない第2フィーダとを有する樹脂供給部を備え、前記樹脂供給部は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方を用いて封止に必要な所定量の前記樹脂を供給する構成であることを要件とする。ここで、前記樹脂供給部による前記樹脂の供給動作の制御を行う制御部を備え、前記制御部は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方による前記樹脂の供給動作を開始し、次いで、供給される前記樹脂が前記所定量に到達する前の設定時点で前記第1フィーダによる前記樹脂の供給動作を停止し、次いで、前記樹脂が前記所定量に到達する終了時点まで前記第2フィーダによる前記樹脂の供給動作を継続する制御を行うことが好ましい。
【0009】
これによれば、開始時点から途中の設定時点までは、第1フィーダと第2フィーダとの両方を用いて樹脂を供給することができ、「所定量」の供給に要する時間の短縮を図ることができる。さらに、途中の設定時点から終了時点までは、第2フィーダのみを用いて樹脂を供給することができ、「所定量」の供給に対する精度の向上を図ることができる。
【0010】
尚、前記制御部は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方による前記樹脂の供給動作を開始してから、前記第1フィーダによる前記樹脂の供給動作を停止した時点の前記樹脂の供給量と前記第2フィーダによる単位時間当たりの前記樹脂の供給量を計測し、前記単位時間当たりの前記樹脂の供給量に基づき、前記第2フィーダによる前記樹脂の供給動作によって前記樹脂が前記所定量に到達するまでの必要時間を予測して、前記終了時点を算出する制御を行うことが好ましい。ここで、前記設定時点は、タイマーによる設定時間の経過時点であり、さらに、前記タイマーによる設定時間は、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方による前記樹脂の供給動作を行った場合に、前記樹脂の総供給量が前記キャビティの内容積に対して40~80%の間の任意設定量に達するまでに要する時間として予め算出された時間であることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る圧縮成形方法は、上型もしくは下型の一方にキャビティが設けられた封止金型と、単位時間当たりの樹脂の供給量が相対的に多い第1フィーダと相対的に少ない第2フィーダとを有する樹脂供給部と、を備える圧縮成形装置を用いて、ワークを前記樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、前記第1フィーダと前記第2フィーダとの両方を用いて前記樹脂の供給動作を開始し、次いで、供給される前記樹脂が封止に必要な所定量に到達する前の設定時点で前記第1フィーダによる前記樹脂の供給動作を停止し、次いで、前記樹脂が前記所定量に到達する終了時点まで前記第2フィーダによる前記樹脂の供給動作を継続することを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樹脂の供給に関して、計量精度の向上と計量時間の低減との両立を図ることができる。したがって、成形品質の向上、及び生産効率の向上を共に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
【
図2】
図1の圧縮成形装置の樹脂供給部の例を示す側面図(一部断面図)である。
【
図3】
図1の圧縮成形装置の樹脂供給制御のフローチャートである。
【
図4】
図1の圧縮成形装置の樹脂供給に関する時間と供給量との関係を示すグラフである。
【
図5】
図1の圧縮成形装置の型開閉機構及びローダの例を示す側面図である。
【
図6】
図1の圧縮成形装置の封止金型の例を示す断面図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
【
図8】
図7の圧縮成形装置の樹脂搬送部の例を示す断面図及び動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により圧縮成形装置1における前後、左右、上下の方向を説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0015】
本実施形態に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wの樹脂封止成形を行う装置である。以下、圧縮成形装置1として、下型206で複数個のワークWを保持し、対応する配置で上型204に設けられた複数個のキャビティ208(金型面204aを一部含む)をリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)Fで覆って、上型204と下型206とのクランプ動作を行い、複数個のワークWを一括して樹脂Rで封止する圧縮成形装置を例に挙げて説明する。
【0016】
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに複数個の電子部品Wbが行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、長方形状、円形状等に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状部材が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0017】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0018】
一方、樹脂Rの例として、顆粒状(円柱状等を含む)、粉砕状、もしくは粉末状(本願において「粒状」と総称する場合がある)の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。尚、樹脂Rは、上記の状態に限定されるものではなく、液状、板状、シート状等、他の状態(形状)であってもよく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0019】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。本実施形態においては、フィルムFとしてロール状のフィルムが用いられる。尚、変形例として、短冊状のフィルム用いる構成としてもよい(不図示)。
【0020】
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1の概要について説明する。
図1に示すように、圧縮成形装置1は、左から順に、ワークWの供給を主に行うワーク供給ユニット100A、樹脂Rの供給を主に行う樹脂供給ユニット100B、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100C、及び樹脂封止後の成形品Wpの収納を主に行う成形品収納ユニット100Dを主要構成として備えている。尚、各ユニットにおける各機構の作動制御を行う制御部150がワーク供給ユニット100Aに配置されているが、他のユニットに配置される構成としてもよい。
【0021】
また、圧縮成形装置1は、各ユニット間を移動して、ワークW、樹脂R、及び成形品Wpの搬送を行う搬送装置100Eを備えている。一例として、搬送装置100Eは、ワークW及び樹脂R(例えば、ワークWの上面に搭載された状態)をプレスユニット100Cへ搬送する機構として、ガイドレール126及び当該ガイドレール126に沿って往復動するローダ122を備えている。本実施形態においては、成形品Wpをプレスユニット100Cから搬送する機構として、当該ローダ122が兼用される構成となっている。但し、この構成に限定されるものではなく、ワークW及び樹脂Rを搬送するローダと、成形品Wpを搬送するローダと、を別個に備える構成としてもよい(不図示)。また、搬送装置100Eは、ローダを備える構成に代えて、多関節ロボットを備える構成としてもよい(不図示)。
【0022】
本実施形態に係るローダ122は、ワーク供給ユニット100AにおいてワークW(樹脂Rが載置された状態)を受け取って、プレスユニット100Cへ搬送する作用をなす。構成例として、下面においてワークWを左右方向に二個並べて保持可能なワーク保持部122Aが設けられている。尚、ワーク保持部122Aには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0023】
このローダ122は、左右方向及び前後方向に移動して、ワークW(樹脂Rが載置された状態)を封止金型202内へ搬入し、下型206に載置する構成としている。但し、これに限定されるものではなく、左右方向に移動してユニット間の搬送を行うローダと、前後方向に移動して封止金型202への搬入を行うローダとを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0024】
また、ローダ122は、プレスユニット100Cにおいて成形品Wpを受け取って、成形品収納ユニット100Dへ搬送する作用をなす。構成例として、上面において成形品Wpを左右方向に二個並べて保持可能な成形品保持部122Bが設けられている。尚、成形品保持部122Bには、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0025】
このローダ122は、左右方向及び前後方向に移動して、成形品Wpを封止金型202外へ搬出し、テーブル114に載置する構成としている。但し、これに限定されるものではなく、前後方向に移動して封止金型202からの搬出を行うローダと、左右方向に移動してユニット間の搬送を行うローダとを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0026】
尚、圧縮成形装置1は、ユニットの構成を変えることによって、全体の構成態様を変更することができる。例えば、
図1に示す構成は、プレスユニット100Cを二台設置した例であるが、プレスユニット100Cを一台のみ設置する、あるいは三台以上設置する構成等も可能である。また、他のユニットを追加設置する構成等も可能である(いずれも不図示)。
【0027】
(ワーク供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるワーク供給ユニット100Aについて説明する。
【0028】
ワーク供給ユニット100Aは、一例として、ワークWの収容に用いられるワークストッカ102と、ワークWを載置するテーブル104とを備えている。尚、ワークストッカ102には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個のワークWを一括して収容可能となっている。
【0029】
この構成により、公知のプッシャ等(不図示)を用いてワークWがワークストッカ102から取り出され、テーブル104上に載置される(一例として、二個のワークWが並列で載置される)。次いで、テーブル104上に載置されたワークWが、ローダ122によって保持されて樹脂供給ユニット100Bへ搬送される。
【0030】
尚、ワーク供給ユニット100A等において、ワークWの外観検査を行う検査機構や、ワークWの予備加熱を行うワークヒータ等を備える構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0031】
(樹脂供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える樹脂供給ユニット100Bについて説明する。
【0032】
本実施形態に係る樹脂供給ユニット100Bは、ワークWを載置するテーブル106と、樹脂Rを供給する樹脂供給部301(詳細は後述)とを備えている。
【0033】
この構成により、ローダ122を用いてワーク供給ユニット100Aから搬入されたワークWが、テーブル106上に載置される(一例として、二個のワークWが並列で載置される)。次いで、テーブル104上に載置されたワークWの上面に、樹脂供給部301から設定量の樹脂Rが供給される。次いで、樹脂Rが搭載された状態のワークWが、ローダ122を用いてプレスユニット100Cへ搬送される。
【0034】
本実施形態に係る樹脂供給部301は、単位時間当たりの樹脂Rの供給量が相対的に多い第1フィーダ310と相対的に少ない第2フィーダ320とを備えている。一例として、第1フィーダ310は、樹脂Rの供給量が1~30[g/sec]であって相対的に高速の供給能力を有し、第2フィーダ320は、樹脂Rの供給量が0.1~4[g/sec]であって相対的に高精度の供給能力を有している。
【0035】
具体的な構成例として、
図2に示すように、第1フィーダ310は、樹脂Rを貯留する第1シュート311、樹脂Rを外部へ送出(供給)する第1トラフ312、及び、樹脂Rを第1トラフ312からから送出する動力を与える電磁式の第1振動フィーダ313を備えている。同様に、第2フィーダ320は、樹脂Rを貯留する第2シュート321、樹脂Rを外部へ送出(供給)する第2トラフ322、及び、樹脂Rを第2トラフ322から送出する動力を与える電磁式の第2振動フィーダ323を備えている。さらに、第1フィーダ310及び第2フィーダ320に共用の構成として、第1トラフ312から送出される樹脂R及び第2トラフ322から送出される樹脂Rを収容するレジンガード330、並びに、レジンガード330に収容された樹脂Rの重量を計量する計量部332を備えている。
【0036】
上記の構成により、第1フィーダ310と第2フィーダ320とを後述の制御下で動作させて、一回の封止に必要な所定量(単に「所定量」と称する場合がある)の樹脂Rがレジンガード330に収容され、次いで、レジンガード330からワークWの上面に供給される。このとき、供給される樹脂Rは、レジンガード330に収容されている状態で計量部332によって計量され、「所定量」に対して許容誤差内(一例として、0.1[g]以下)であることが制御部150により検証される。
【0037】
尚、樹脂供給部301の変形例として、上記の計量部332と共に、第1フィーダ310において第1トラフ312から送出される樹脂Rの重量を計量する第1補助計量部と、第2フィーダ320において第2トラフ322から送出される樹脂Rの重量を計量する第2補助計量部と、を備える構成としてもよい(不図示)。これにより、供給制御の精度をより向上させることができる。
【0038】
ここで、制御部150が行う樹脂Rの供給制御の具体例について説明する(
図3にフローチャートを示す)。制御部150は、第1フィーダ310と第2フィーダ320との両方による樹脂Rの供給動作を開始し、次いで、供給される樹脂Rが「所定量」に到達する前の「設定時点」で第1フィーダ310による樹脂Rの供給動作を停止し、次いで、樹脂Rが「所定量」に到達する終了時点まで第2フィーダ320による樹脂Rの供給動作を継続する制御を行う。尚、
図4のグラフに、樹脂供給に関する時間と供給量との関係を示す。
【0039】
上記の「設定時点」は、例えば次のように定められる。具体的に、「設定時点」は、「タイマーによる設定時間」の経過時点として定められる。このとき、「タイマーによる設定時間」は、第1フィーダ310と第2フィーダ320との両方による樹脂Rの供給動作を行った場合に、樹脂Rの総供給量が各キャビティ208の内容積に対して40~80%の間の任意設定量に達するまでに要する時間として予め算出される(定められる)。当該算出方法の例として、計量部332において計測される値(具体的には、供給開始から積算される樹脂Rの総供給量)が、上記の任意設定量に達した時間(一致した時間)を、タイマーによって予め計測しておく方法等が考えられる。尚、時間計測を行うタイマーは制御部150内に設ける構成等が考えられる(不図示)。
【0040】
また、上記の「キャビティ208の内容積に対して40~80%の間」と設定することにより、次の効果が得られる。すなわち、ワークWの形状等が変化した場合であっても、当該ワークWがキャビティ208に収容されて樹脂封止される際に必要な樹脂Rが、第1フィーダ310及び第2フィーダ320の両方の動作下で全量供給されてしまう状態となることを回避することができる。すなわち、第2フィーダ320のみによって供給される状態を必ず生じさせて、計量すなわち供給量の高精度化を確実に図ることができる。
【0041】
一方、上記の「終了時点」は、例えば次のように算出される。具体的に、制御部150は、第1フィーダ310と第2フィーダ320との両方による樹脂Rの供給動作を開始してから、第1フィーダ310による樹脂Rの供給動作を停止した時点の樹脂Rの供給量と第2フィーダ320による単位時間当たりの樹脂Rの供給量を計測し、当該単位時間当たりの樹脂Rの供給量に基づき、当該停止時点から第2フィーダ320のみによる樹脂Rの供給動作によって樹脂Rが「所定量」に到達するまでの必要時間を予測して、上記の「終了時点」を算出する。
【0042】
以上、説明した構成によれば、前述の課題解決を図ることができる。具体的に、樹脂Rの供給動作の開始時点から途中の時点(「設定時点」)までは、第1フィーダ310と第2フィーダ320との両方を用いて樹脂Rを供給することができる。これにより、樹脂供給の計量時間(すなわち「所定量」の供給に要する時間)を短縮することができる。さらに、途中の時点(「設定時点」)から一回の封止に必要な「所定量」に到達する時点(「終了時点」)までは、第2フィーダ320のみを用いて樹脂Rを供給することができる。これにより、樹脂供給の計量精度(すなわち「所定量」の供給に対する重量誤差)を向上することができる。このように、一回の樹脂封止に必要な「所定量」が多量か少量かに関わらず、短時間且つ高精度(具体例として、グラム数が小数点以下2桁の精度)で樹脂供給を行うことが可能となる。但し、「所定量」が少量の場合には、樹脂Rの供給動作の開始時点から第2フィーダ320のみを用いて樹脂Rを供給する構成としてもよい。
【0043】
(プレスユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるプレスユニット100Cについて説明する。ここで、
図5に圧縮成形装置1の型開閉機構250及びローダ122の側面図(概略図)を示す。また、
図6に圧縮成形装置1の封止金型202の側面断面図(概略図)を示す。
【0044】
プレスユニット100Cは、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。本実施形態においては、一対の金型のうち、鉛直方向において上方側の一方の金型を上型204とし、下方側の他方の金型を下型206としている。この封止金型202は、上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる。すなわち、鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる。
【0045】
封止金型202は、公知の型開閉機構250によって型開閉が行われる。一例として
図5に示すように、型開閉機構250は、一対のプラテン252、254と、一対のプラテン252、254が架設される複数の連結機構256と、プラテン254を可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている。
【0046】
ここで、封止金型202は、当該型開閉機構250における一対のプラテン252、254間に配設されている。本実施形態においては、上型204が固定プラテン(連結機構256に固定されるプラテン)252に組み付けられ、下型206が可動プラテン(連結機構256に沿って昇降するプラテン)254に組み付けられている。但し、この構成に限定されるものではなく、上型204を可動プラテンに組み付け、下型206を固定プラテンに組み付けてもよく、あるいは、上型204、下型206共に可動プラテンに組み付けてもよい。
【0047】
次に、封止金型202の上型204について詳しく説明する。
図6に示すように、上型204は、上プレート222、キャビティ駒226、クランパ228等を備え、これらが組み付けられて構成されている。本実施形態においては、上型204の下面(下型206側の面)にキャビティ208が設けられている。
【0048】
より具体的に、キャビティ駒226は、上プレート222の下面に対して固定して組み付けられる。一方、クランパ228は、キャビティ駒226を囲うように環状に構成されると共に、付勢部材232を介して、上プレート222の下面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる。このキャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。本実施形態においては、
図1に示すように、一個の上型204に二組のキャビティ208が左右に並べて配設されており、二個のワークWを一括して樹脂封止する構成となっている。但し、この構成に限定されるものではない。
【0049】
また、本実施形態においては、フィルム供給機構110(後述)から供給されるフィルムFを上型204に吸引保持する吸着機構が設けられている。この吸着機構は、一例として、クランパ228を貫通して配設された吸引路230a、230b、及び上プレート222、キャビティ駒226を貫通して配設された吸引路230cを介して吸引装置(不図示)に連通している。具体的には、吸引路230a、230b、230cの一端が上型204の金型面204aに通じ、他端が上型204外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路230a、230b、230cからフィルムFを吸引し、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する上型加熱機構が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部150によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、上プレート222やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に上型204全体及び樹脂Rに熱を加える構成となっている(後述)。これにより、上型204が所定温度(例えば、100~200[℃])に調整されて加熱される。
【0051】
また、本実施形態においては、ロール状でシート面に開口(孔)の無いフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構110、が設けられている。このフィルム供給機構110は、未使用のフィルムFが巻出し部111から送り出されて型開きした封止金型202に供給され、封止金型202で樹脂封止に使用された後、使用済みのフィルムFとして巻取り部112で巻取られる構成となっている。尚、巻出し部111と巻取り部112とは前後方向において逆に配置してもよく、あるいは、左右方向に1条のフィルムFを供給するように配置してもよい(いずれも不図示)。
【0052】
次に、封止金型202の下型206について詳しく説明する。
図6に示すように、下型206は、下プレート224、保持プレート236等を備え、これらが組み付けられて構成されている。ここで、保持プレート236は、下プレート224の上面(上型204側の面)に対して固定して組み付けられている。
【0053】
また、本実施形態においては、ワークWを保持プレート236の上面における所定位置に保持するワーク保持部205が設けられている。このワーク保持部205は、一例として、保持プレート236及び下プレート224を貫通して配設され、吸引装置(不図示)に連通する吸引路240aを有している。具体的には、吸引路240aの一端が下型206の金型面206aに通じ、他端が下型206外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路240aからワークWを吸引し、金型面206a(ここでは、保持プレート236の上面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。さらに、吸引路240aを備える構成と並設して、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。
【0054】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する下型加熱機構が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部150によって加熱の制御が行われる(いずれも不図示)。一例として、ヒータは、下プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体及びワークWに熱を加える構成となっている。これにより、下型206が所定温度(例えば、100~200[℃])に調整されて加熱される。
【0055】
ここで、本実施形態においては、前述の上型204の構成、すなわちキャビティ208が左右に二組配設される構成に対応して、一個の下型206に二個のワーク保持部205が左右に並べて配設される構成となっている。但し、この構成に限定されるものではない。
【0056】
(成形品収納ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える成形品収納ユニット100Dについて説明する。
【0057】
成形品収納ユニット100Dは、一例として、成形品Wpを載置するテーブル114と、成形品Wpの収容に用いられる成形品ストッカ108とを備えている。尚、成形品ストッカ108には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個の成形品Wpを一括して収容可能となっている。
【0058】
この構成により、ローダ122等を用いてプレスユニット100Cから搬送された成形品Wpが、テーブル114上に載置される。次いで、公知のプッシャ等(不図示)を用いて成形品ストッカ108に収容される。
【0059】
尚、成形品収納ユニット100D等において、成形品Wpのポストキュアを行う成形品ヒータや、成形品Wpの外観検査を行う検査機構等を備える構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0060】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)について説明する。ここでは、一個の上型204に二組のキャビティ208を設けると共に、一個の下型206に二個のワークW(例えば、短冊状等のワーク)を並列配置して一括して樹脂封止を行い、同時に二個の成形品Wpを得る構成を例に挙げる。但し、この構成に限定されるものではなく、一個のワークWを配置もしくは三個以上のワークWを並列配置して、または、複数個のワークWをマトリクス状に配置して、樹脂封止する構成としてもよい。
【0061】
先ず、準備工程として、上型加熱機構によって、上型204を所定温度(例えば、100~200[℃])に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構によって、下型206を所定温度(例えば、100~200[℃])に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。さらに、フィルム供給機構110によって、巻出し部111から巻取り部112へフィルムFを搬送して(送り出して)封止金型202における所定位置(上型204と下型206との間の位置)にフィルムFを供給する工程(フィルム供給工程)を実施する。
【0062】
次いで、ワーク供給工程として、公知のプッシャ等(不図示)によって、ワークストッカ102からワークWを一つずつ搬出し、テーブル104上に載置する工程を実施する(尚、公知のピックアップ機構等を併用してもよい)。
【0063】
次いで、樹脂供給工程として、ローダ122によって、テーブル104上のワークW(この場合は、二個)を保持して搬送し、テーブル106上に載置する。次いで、テーブル106上に載置した二個のワークWの各上面に、樹脂供給部301によって規定量の樹脂Rを供給して搭載する工程を実施する(詳細動作は前述の通りである)。尚、この工程においては、樹脂Rを硬化しない温度で予備加熱する工程を実施してもよい。
【0064】
ここで、樹脂供給工程において制御部150が行う樹脂供給制御の具体例を以下に示す。先ず、第1フィーダ310と第2フィーダ320との両方を用いて樹脂Rの供給動作を開始する。次いで、供給される樹脂Rが一回の封止に必要な「所定量」に到達する前に(すなわち、到達しない時間内で)定められる「設定時点」で、第1フィーダ310による樹脂Rの供給動作を停止する。次いで、樹脂Rが「所定量」に到達する「終了時点」まで、第2フィーダ320のみによる樹脂Rの供給動作を継続する。
【0065】
前述の通り、上記「設定時点」は、樹脂Rの総供給量がキャビティ208の内容積に対して40~80%の間の任意設定量に達するまでに要する時間を予め算出して、当該時間の経過時点として定めることができる。
【0066】
また、上記「終了時点」は、第1フィーダ310と第2フィーダ320との両方による樹脂Rの供給動作を開始してから、第1フィーダ310による樹脂Rの供給動作を停止した時点の樹脂Rの供給量を計量部332で計測する。同時に第2フィーダ320による単位時間当たりの樹脂Rの供給量をタイマー及び計量部332で計測する。続いて、当該単位時間当たりの樹脂Rの供給量に基づき、第2フィーダ320のみによる樹脂Rの供給動作によって樹脂Rが「所定量」に到達するまでに必要な時間を制御部150が予測し、当該時間の経過時点として定めることができる。
【0067】
このような制御を行うことで、前述の通り、第1フィーダ310及び第2フィーダ320により従来比で高速度且つ高精度で「所定量」の樹脂Rをレジンガード330に収容することができ、さらに、当該レジンガード330からワークWの上面に供給することができる。
【0068】
次いで、ワーク搬入工程として、ローダ122によって、テーブル106上の二個のワークW(「所定量」の樹脂Rが載置された状態)を保持して搬送し、プレスユニット100Cの下型206における二個のワーク保持部205にそれぞれワークWを載置する工程を実施する。この工程においては、ローダ122にヒータを設け、ワークWや樹脂Rを予備加熱する工程(予備加熱工程)を実施してもよい。
【0069】
次いで、樹脂封止工程として、封止金型202の型閉じを行い、上型204と下型206とでワークWをクランプして樹脂封止する工程を実施する。このとき、キャビティ208において、キャビティ駒226が相対的に下降して、ワークWに対して樹脂Rを加熱加圧する。これにより、樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が行われ、成形品Wpが形成される。
【0070】
次いで、成形品搬出工程として、封止金型202の型開きを行い、ローダ122によって、成形品Wpを封止金型202内から取り出す工程を実施する。この工程においては、ローダ122にヒータを設け、成形品Wpを成形後加熱する工程(成形後加熱工程)を実施してもよい。
【0071】
これと並行して(もしくは、その後に)、フィルム供給機構110によって、巻出し部111から巻取り部112へフィルムFを搬送することにより、使用済みフィルムFを送り出す工程(フィルム供給工程)を実施する。
【0072】
次いで、成形品収納工程として、ローダ122によって、成形品Wpをテーブル114上に載置する工程を実施する(尚、公知のピックアップ機構等を併用してもよい)。次いで、公知のプッシャ等(不図示)によって、成形品Wpを一つずつ成形品ストッカ108へ搬入する工程を実施する。尚、これらの工程の前に、成形品Wpのポストキュアを行う工程等を実施してもよい。
【0073】
以上が圧縮成形装置1を用いて行う樹脂封止の主要動作である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。例えば、本実施形態においては、複数(一例として二台)のプレスユニット100Cを備える構成であるため、上記の動作を並行して実施することで、効率的な成形品形成が可能となる。
【0074】
[第二の実施形態]
続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態は、前述の第一の実施形態と比較して、各ユニットの配置構成、及び樹脂供給ユニット100Bの構成において相違点を有している。以下、当該相違点を中心に説明する。ここで、第二の実施形態に係る圧縮成形装置1の平面図(概略図)を
図7に示す。
【0075】
先ず、本実施形態に係る圧縮成形装置1においては、各ユニットの配置構成として、左からワーク供給ユニット100A、成形品収納ユニット100D、プレスユニット100C、樹脂供給ユニット100Bの順に配置されている。
【0076】
続いて、本実施形態に係る樹脂供給ユニット100Bは、前述の樹脂供給部301に加えて、供給された樹脂Rを封止金型202内へ搬送する樹脂搬送部302を備えている。
【0077】
本実施形態に係る樹脂搬送部302は、
図7及び
図8に示すように、第1フィーダ310、第2フィーダ320から投下された樹脂Rを上面334aに載置させる押圧プレート334と、押圧プレート334における上面334aよりも高い位置まで外周部の全周を囲う周壁部336aを有するガード336とが設けられている。本実施形態においては、二組のキャビティ208の位置に対応して、二個の押圧プレート334が設けられている。また、ガード336は、各押圧プレート334の全周を周壁部336aが囲うように(すなわち、各押圧プレート334の周囲に設けられる枠体として)構成されている。
【0078】
また、同
図8に示すように、樹脂搬送部302は、昇降可能に(すなわち、上下方向に往復動可能に)構成されている。さらに、当該樹脂搬送部302には、押圧プレート334を上方へ移動させて、載置された樹脂Rをキャビティ208内でフィルムFに押圧させる移動貼着機構335が設けられている。
【0079】
上記の構成を備える本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)は、前述の第一の実施形態と比較して、特に以下の工程が相違する。
【0080】
本実施形態に係る樹脂供給工程は、以下の通りとなる。樹脂搬送部302を樹脂供給部301から樹脂供給を行う所定位置(例えば、レジンガード330の下方位置等)に移動する。次いで、二個の押圧プレート334の各上面334aに、樹脂供給部301によって規定量の樹脂Rを供給して搭載する(詳細動作は前述の通りである)。尚、このときの樹脂供給動作及び供給制御は、供給対象がワークW上か押圧プレート334上かで相違するのみであり、基本的に第一の実施形態と同様となる。これに伴い、本実施形態に係るワーク搬入工程は、樹脂Rが搭載されていない状態のワークWを、ローダ122が搬送する工程となる。
【0081】
次いで、
図8に示すように、吸着機構によって、キャビティ208の内面を含む金型面204aにフィルムFを吸着させて保持させる。次いで、樹脂搬送部302によって、押圧プレート334に載置された樹脂Rを封止金型202内(上型204と下型206との間)へ搬送する。このとき、封止金型202内(上型204と下型206との間)の所定位置に樹脂搬送部302を配置した状態として、その状態から樹脂搬送部302の上昇を開始する。
【0082】
次いで、
図9に示すように、尚、ガード336の周壁部336aが上型204(この場合は、クランパ228の金型面204a)に当接した状態となったときに樹脂搬送部302の上昇を停止する。次いで、移動貼着機構335を駆動して押圧プレート334の上昇を開始する。このとき、押圧プレート334のみが上方へ(すなわち、キャビティ208内へ)移動し、上面334aに載置された樹脂RをフィルムFの下面に対して押圧する。これにより、フィルムFを介して上型204の熱が樹脂Rに伝達され、樹脂Rが軟化(溶融)状態となって接着力が発生し、フィルムFの下面に貼着する作用が生じる。
【0083】
次いで、移動貼着機構335、及び樹脂搬送部302の下降を開始する。次いで、樹脂搬送部302を封止金型202外へ移動する。
【0084】
本実施形態に係るその他の工程は、前述の第一の実施形態と同様であり、繰り返しの説明を省略する。
【0085】
以上、説明した通り、本発明に係る圧縮成形装置及び圧縮成形方法によれば、樹脂の供給に関して、計量精度の向上と計量時間の低減との両立を図ることができる。したがって、成形品質の向上、及び生産効率の向上を共に実現することができる。
【0086】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、上記の実施形態においては、上型にキャビティを備える圧縮成形装置及び圧縮成形方法を例に挙げて説明したが、下型にキャビティを備える圧縮成形装置及び圧縮成形方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 圧縮成形装置
301 樹脂供給部
302 樹脂搬送部
310 第1フィーダ
320 第2フィーダ
330 レジンガード
332 計量部