(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106742
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】飲食品提供方法
(51)【国際特許分類】
G07F 9/00 20060101AFI20230726BHJP
G07F 5/02 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
G07F9/00 Z
G07F5/02 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007653
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】518076160
【氏名又は名称】株式会社ジラック
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】亀山 裕司
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044BA01
3E044CA02
3E044DB05
3E044DE01
(57)【要約】
【課題】経済的に恵まれない子どもなど飲食の支援が必要な人に飲食品を提供するための方法であり、より利用しやすい飲食品提供方法を提供する。
【解決手段】流通している硬貨と、外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上が相違するメダルを用意し、事業管理者が、無償での飲食の支援が必要であると認定した対象者に配布する。メダルの配布を受けた対象者が、自動販売機の投入口にメダルを投入したときに、外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上に起因する特徴量の相違に基づいて、自動販売機がメダルを真正のメダルと判定することにより、自動販売機から対象者に飲食品が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流通している硬貨と、外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上が相違するメダルを用意し、
事業管理者が、無償での飲食の支援が必要であると認定した対象者に、前記メダルを配布し、
事業協賛者が管理する自動販売機を、外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上に起因する特徴量を検出する検出装置と、検出された前記特徴量の相違に基づいて前記硬貨及び前記メダルの真偽及び種類を判定する制御装置を備えるものとすると共に、前記自動販売機で販売される飲食品の少なくとも一種を前記メダルと対応させておき、
前記メダルの配布を受けた前記対象者が、前記自動販売機の投入口に前記メダルを投入したときに、前記自動販売機が前記メダルを真正のメダルと判定することにより、前記自動販売機から前記対象者に前記飲食品が提供される
ことを特徴とする飲食品提供方法。
【請求項2】
前記自動販売機は、前記事業管理者の管理する管理サーバとインターネットを介して接続されており、
前記自動販売機それぞれにおいて使用された前記メダルの個数を含む情報が、前記インターネットを介して前記管理サーバに提供される
ことを特徴とする請求項1に記載の飲食品提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に「子ども食堂」と称されている事業など、食事の支援のために使用される飲食品提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、「子ども食堂」と称されている事業が広がりつつある。これは、ボランティア団体など地域のコミュニティが主体となり、経済的に恵まれていない家庭の子ども等に食事を提供することを目的として、有志から食材や資金を募り、会場を設営して食事を提供するものである。子どもは保護者の同伴なく一人でも子ども食堂を利用することができ、無償あるいは低額で食事の提供を受けることができる。このような特設形式の子ども食堂は、単に食事を提供することだけではなく、子どもが孤独に食事をすることなく、他の人と賑やかに交流しながら食事をすることをも目的としていることが多い。
【0003】
しかしながら、上記の特設形式の子ども食堂は、食材や資金を提供してくれる人や団体の募集、会場の選択と設置、食事の提供をサポートするスタッフの確保などに手間がかかり、開催できる回数が限定されるという問題があった。
【0004】
一方、NPO法人などが主体となり、事業の趣旨に賛同してくれるレストラン等の飲食店で子どもに食事を提供する、という形式の子ども食堂も実施されている。この形式によれば、必ずしも他の人と一緒に食事をすることはできないが、特設形式の子ども食堂よりも、食事の提供を受けられる回数が多いという利点がある。
【0005】
このような既存の飲食店を子ども食堂として利用する形態として、事業の主体となるNPO法人などから対象の子どもにポイントを発行し、スマートフォンを介してポイントから食事の対価を精算する方法が実施されている。また、飲食店に掲示されている二次元コードを、スマートフォン等の携帯端末で撮影して事業管理者のサーバに送信することにより、複数のメニューから提供を受ける食事を選択することができると共に、その食事の提供のために資金を提供した人に対して、感謝のメッセージが送信されるシステムも提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、これらの方法は、食事の提供を受ける子どもがスマートフォン等の端末を所有していることが前提であり、経済的な事情により食事を十分に摂れない子どもは、スマートフォン等の端末を所有していないことが多いという問題があった。また、既存の飲食店を子ども食堂として利用する方法では、利用できる時間が、その飲食店の営業時間に限定されるという問題があった。更に、近年は感染症の拡大により、飲食店の利用自体が制限されるという問題もあった。
【0007】
加えて、特設形式の子ども食堂や既存の飲食店を利用した子ども食堂の場合は、他人が存在する環境で食事をすることとなる。子ども食堂の対象とすべき子どもの中には、対価を自分で支払うことなく食事をすることを恥ずかしく感じる子どもがあり、他人が存在する環境の子ども食堂を利用しにくいという問題があった。また、経済的な事情で日常的に苦しい思いをしている子どもには、他人とコミュニケーションを取ること自体を苦痛に感じる人があり、他人とコミュニケーションを取ることが必要とされる子ども食堂を利用しにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、経済的に恵まれない子どもなど飲食の支援が必要な人に飲食品を提供するための方法であり、より利用しやすい飲食品提供方法の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるシート材の飲食品提供方法は、
「流通している硬貨と、外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上が相違するメダルを用意し、
事業管理者が、無償での飲食の支援が必要であると認定した対象者に、前記メダルを配布し、
事業協賛者が管理する自動販売機を、外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上に起因する特徴量を検出する検出装置と、検出された前記特徴量の相違に基づいて前記硬貨及び前記メダルの真偽及び種類を判定する制御装置を備えるものとすると共に、前記自動販売機で販売される飲食品の少なくとも一種を前記メダルと対応させておき、
前記メダルの配布を受けた前記対象者が、前記自動販売機の投入口に前記メダルを投入したときに、前記自動販売機が前記メダルを真正のメダルと判定することにより、前記自動販売機から前記対象者に前記飲食品が提供される」ものである。
【0011】
「対象者」は、経済的な事情によって十分な食事を摂ることができておらず、無償での飲食の支援が必要であると、事業管理者が認定した人であり、子ども、その親、路上生活者を例示することができる。
【0012】
「外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上に起因する特徴量」は、後述するように、電磁コイルの近くを硬貨・メダルが通過するときのインピーダンスの変化量を含むものとすることができる。また、材質については、硬貨・メダルが通過する通路に永久磁石を配置し、硬貨・メダルが転動する速度に対して永久磁石から働く制動力が材質によって異なることに基づいて、検出することもできる。また或いは、硬貨・メダルの外径、厚さについては、硬貨・メダルを通過させる部分の寸法より大きいか否かによって、機械的に検出することもできる。更に、厚さに起因する特徴量は、厚みセンサを使用して検出することもできる。なお、外径、厚さ、及び材質のうち少なくとも二以上に加えて、表面の凹凸模様に起因する特徴量を利用することもできる。表面の凹凸模様は、厚みセンサの検出原理を応用して検出することができる。
【0013】
本発明の飲食品提供方法は、自動販売機を子ども食堂として機能させるものである。自動販売機は、24時間利用することが可能であるため、利用できる時間帯に制限がなく、子どもなど対象者自身の都合のよい時間に飲食品の提供を受けられる利点がある。また特設形式や既存の飲食店を利用する形式の子ども食堂では、子ども食堂側の事情によって利用回数が制限される問題があったところ、本方法ではそのような問題がない。
【0014】
また、本方法では、子どもなど対象者側がスマートフォン等の端末を有していることを必要としない。経済的な事情により十分に食事を摂れない人は、スマートフォン等の端末を有していないことが多いという実情があるところ、本方法では、そのような人にも飲食物を提供することができる。
【0015】
加えて、本方法では、他人とコミュニケーションを取る必要がなく、飲食品の提供を受けることができる。そのため、対価を自分で支払うことなく食事をすることを恥ずかしく感じる人の気持ちや、他人とコミュニケーションを取ること自体を苦痛に感じる人の心を傷つけることなく、飲食品を提供することができる。
【0016】
更に、自動販売機による飲食品の提供は、感染症の拡大により飲食店の営業や特設の子ども食堂の開設が制限されているときであっても、問題なく実施することができる。
【0017】
本発明にかかる飲食品提供方法は、上記構成に加え、
「前記自動販売機は、前記事業管理者の管理する管理サーバとインターネットを介して接続されており、
前記自動販売機それぞれにおいて使用された前記メダルの個数を含む情報が、前記インターネットを介して前記管理サーバに提供される」ものとすることができる。
【0018】
本構成では、自動販売機ごとのメダルの利用個数を含む情報を、事業管理者が管理サーバを介して取得することができる。この情報によって、配布したメダルの利用度を把握することができ、事業の運営に役立てることができる。なお、事業管理者が管理サーバを介して取得する情報には、飲食品の種類や個数、事業協賛者が負担した飲食品の価格などを、含めることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、経済的に恵まれない子どもなど飲食の支援が必要な人に飲食品を提供するための方法であり、より利用しやすい飲食品提供方法の提供を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態である飲食品提供方法において、自動販売機の検出装置及び制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【
図2】
図1に引き続き、自動販売機の検出装置及び制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【
図4】インターネットを使用する実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態である飲食品提供方法について、図面を用いて説明する。この飲食品提供方法は、経済的な事情によって十分な食事を摂ることができていない人に飲食品を提供する事業で使用される方法であり、事業管理者と、自動販売機による飲食料品の販売を行っている者であって、事業の趣旨に賛同して事業に参加している事業協賛者によって実施される。
【0022】
事業管理者は、流通している硬貨(正貨)と、外径、厚さ、及び材質である特性のうち少なくとも二つが相違するメダルを製造する。メダルの材質は、少なくとも一部に銅、ニッケル、亜鉛、スズ等の金属を含有するものであり、金属のみによって製造されているものであっても、樹脂に金属をコーティングしたり埋設したりしたものであっても良い。
【0023】
メダルは、この事業のみに使用される専用のものであり、単一の種類が用意されるものであっても、複数種類が用意されるものであっても良い。例えば、食品用のメダルと飲料用のメダルのように、価格帯の相違する飲食品用に、上記の特性の相違するメダルの複数種類を用意することができる。ここでは、この事業に使用することを目的として製造された真正のメダルを、「専用メダル」と称する。
【0024】
事業管理者は、「無償での飲食の支援が必要である」と認定した対象者に、メダルを配布する。メダルの配布は、郵送など、対象者が他人と対面することなくメダルを受領することができる方法で行われることが望ましいが、路上生活者等には手渡しをしてもよい。メダルの配布に際しては、メダルを使用して飲食品の提供を受けられる自動販売機の所在地を示したマップを、共に配布することが望ましい。また、メダルを利用して飲食品の提供を受けられる自動販売機を、それ以外の自動販売機と容易に識別することができるように、自動販売機を子ども食堂として機能させる本事業のマークを事業管理者が発行し、事業協賛者の管理している自動販売機にそのマークを表示することが望ましい。
【0025】
事業協賛者が管理している自動販売機は、硬貨とメダルとを判別する機能を有しているものである。
図3に概略構成を示すように、自動販売機50は、飲食品収容部(図示を省略)と、飲食品の商品見本を陳列する見本陳列部(図示を省略)と、見本陳列部の近傍に商品見本ごとに配置された商品選択ボタン(図示を省略)と、硬貨やメダルを投入するための投入口51と、取消しレバー52と、硬貨及びメダルの特性の相違に基づく特徴量を検出する検出装置53と、検出装置による検出に基づいて硬貨及びメダルの真偽と種類を判定し、判定に基づいて選択可能な飲食品の決定や釣銭の算出等の処理を行う制御装置54と、飲食品搬出口(図示を省略)と、硬貨及びメダルを一時的に収容する一時保留部55と、硬貨を金額の異なる種類ごとに収容する硬貨収容部56と、メダルを収容するメダル収容部57と、返却される硬貨・メダルや釣銭を排出する返却口58と、を備えている。
【0026】
飲食品収容部には、食品または飲料である飲食品が、種類ごとに区画された空間に収容されている。飲食品は、常温、冷蔵、冷凍、温蔵状態の何れの状態で収容されていてもよい。
【0027】
検出装置53には、投入口51から投入された硬貨やメダルを通過させる通路53pが形成されている。この通路53pには、コイン及びメダルの通貨に伴い特徴量を検出するためのセンサが配置されている。このセンサは、所定の周波数発信信号で励磁された電磁コイルを備えており、金属を含有する硬貨またはメダルが通過すると、電磁コイルのインピーダンスが変化する。従って、このようなセンサを、検出対象の特性(外径、厚さ、材質)ごとに通路に配置し、それぞれの特性に適した周波数を設定した上で、それぞれのセンサで「インピーダンスの変化」を検出することにより、硬貨・メダルの種類の相違による「インピーダンスの変化量」及び周波数の相違を「特徴量」の相違とし、これに基づいて硬貨及びメダルの真偽と種類を判定することができる。
【0028】
この判定を行う制御装置54は、記憶装置と、記憶装置に記憶されたプログラムに従って処理を行う中央処理装置(CPU)とを備えている。記憶装置には、硬貨及びメダルの種類と、特徴量として許容される範囲を特定する上限閾値及び下限閾値と、特性(外径、厚さ、材質)ごとに設定された周波数とを対応付けたデータベースが記憶されている。制御装置54は、所定の周波数が設定されたセンサによって検出された特徴量を、データベースに記憶された上限閾値及び下限閾値である基準値と対比することにより、硬貨及びメダルの真偽と種類を判定する。
【0029】
また、記憶装置には、飲食品収容部の各区画と、それらの区画ごとに収容された飲食品の価格とを対応付けた第一データベースが記憶されている。
【0030】
更に事業協賛者は、自己が運営管理する自動販売機において、販売する飲食品のうち少なくとも一種の飲食品を、専用メダルと対応させる設定をすることにより、第二データベースを作成しておく。この設定の方法には、飲食品の価格とは無関係に専用メダルと対応付ける方法(1)、専用メダルを所定の金額の硬貨の代替として使用できるように、専用メダルに金額を割り当てる方法(2)に大別される。そして、両方法ともに、専用メダルが一種類の場合と複数種類との場合があり得る。
【0031】
例えば、方法(1)で専用メダルが一種類の場合、その専用メダルを一種類の飲食品と対応付けてもよいし、複数種類の飲食品と対応付けてもよい。方法(1)で専用メダルの種類が複数ある場合、専用メダルの種類ごとに異なる種類の飲食品を対応付けることも、異なる種類の専用メダルを同じ種類の飲食品に対応付けることもできる。つまり、専用メダルの種類が単一であるか複数であるかに関わらず、その自動販売機から提供を受けられる飲食品の種類を一種類とすることも、複数種類の飲食品の中から対象者が選択することができるようにすることも、事業協賛者の自由である。
【0032】
また、方法(2)で専用メダルが一種類の場合は、その専用メダルに割り当てられた金額以上の価格を有する飲食品の群の中から対象者が選択することができ、専用メダルが複数種類の場合は、選択できる飲食品の群を異ならせることができる。なお、方法(2)の場合、専用メダルに割り当てられた金額が、選択された飲食品の価格より大きい場合であっても、釣銭は払い出さない設定とする。
【0033】
次に、検出装置及び制御装置における処理の流れを、
図1及び
図2のフローチャートを用いて例示する。ここでは、方法(1)、すなわち、飲食品の価格とは無関係に専用メダルと飲食品とを対応付けたデータベースを、第二データベースとして記憶装置に記憶させている場合を例示する。
【0034】
まず、投入口からの投入物を検出装置が検知すると(ステップS1においてYes)、二以上の特性に対応させたセンサの全てによって特徴量が検出され、検出された特徴量が制御装置に送信される(ステップS2)。制御装置は、センサによって検出された特徴量を基準値と対比することにより(ステップS3)、投入物が硬貨(正貨)であるか否か、硬貨である場合は金額がいくらの硬貨であるか、専用メダルであるか否か、硬貨でも専用メダルでもない投入物であるかを判定する。
【0035】
基準値との対比の結果、硬貨(正貨)であると判定された場合は(ステップS4においてYes)、硬貨を一時保留部に収容すると共に、投入された硬貨の金額を累積により算出し(ステップS5)、販売対象の飲食品の価格に達しているか否かを判定する(ステップS6)。販売対象の飲食品の価格に達していない場合は(ステップS6においてNo)、ステップS1に戻り、次の投入物の投入を待つ。
【0036】
販売対象の飲食品の価格に達している場合は(ステップS6においてYes)、第一データベースを参照して選択可能な飲食品を決定し、その選択ボタンを点灯させる(ステップS7)。点灯させた選択ボタンの何れかが押された場合は(ステップS8においてYes)、飲食品収容部においてその商品選択ボタンに対応する飲食品を収容している区画に信号が送出され、飲食品搬出口に飲食品が供給される(ステップS9)。また、選択された飲食品の価格を投入された硬貨の合計金額と対比し、差額がある場合(ステップS10においてYes)は、硬貨収容部に信号を送出し、差額に相当する硬貨を排出して返却口から釣銭を払い出す。更に、一時保留部に収容されていた硬貨を、その種類ごとに振り分けて硬貨収容部に収容する(ステップS12)。硬貨の合計金額と飲食品の価格とに差額が無い場合は(ステップS10においてNo)、ステップS12に移行し硬貨を硬貨収容部に収容する。
【0037】
一方、選択ボタンを点灯させた後に何れの選択ボタンも押されない場合であって(ステップS8においてNo)、取消しレバーが操作されたときは(ステップS13においてYes)、一時保留部に収容されていた硬貨を返却口から返却し(ステップS14)、処理を終了する。取消しレバーが操作されないときは(ステップS13においてNo)、選択ボタンを点灯させた時点から予め設定された所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過している場合は(ステップS15においてYes)、ステップS14に移行して硬貨を返却し、処理を終了する。所定時間が経過していない場合は(ステップS15においてNo)、ステップS8に戻り、選択ボタンが押されるのを待つ。
【0038】
投入物の特徴量を基準値と対比した結果、硬貨(正貨)ではないと判定された場合は(ステップS4においてNo)、専用メダルであるか否かを判定する(ステップS20)。専用メダルであると判定された場合は(ステップS20においてYes)、専用メダルを一時保留部に収容すると共に、第二データベースを参照して選択可能な飲食品を決定し、その選択ボタンを点灯させる(ステップS21)。このとき、専用メダルの種類が複数ある場合は、専用メダルの種類に応じて選択可能な飲食品を決定し、その選択ボタンを点灯させる。点灯させた選択ボタンの何れかが押された場合は(ステップS22においてYes)、飲食品収容部においてその商品選択ボタンに対応する飲食品を収容している区画に信号が送出され、飲食品搬出口に飲食品が供給される(ステップS23)。更に、一時保留部に収容されていた専用メダルを、メダル収容部に収容する(ステップS12)。
【0039】
一方、選択ボタンを点灯させた後に何れの選択ボタンも押されない場合であって(ステップS22においてNo)、取消しレバーが操作されたときは(ステップS25においてYes)、一時保留部に収容されていた専用メダルを返却口から返却し(ステップS26)、処理を終了する。取消しレバーが操作されないときは(ステップS25においてNo)、選択ボタンを点灯させた時点から予め設定された所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過している場合は(ステップS27においてYes)、ステップS26に移行して専用メダルを返却し、処理を終了する。所定時間が経過していない場合は(ステップS27においてNo)、ステップS22に戻り、選択ボタンが押されるのを待つ。
【0040】
投入物が硬貨(正貨)ではなく、且つ、専用メダルでもない場合は(ステップS20においてNo)、投入物は返却口から返却され(ステップS28)、処理を終了する。
【0041】
以上のように、本実施形態の飲食品提供方法は、自動販売機を子ども食堂として機能させるものである。自動販売機は、24時間利用することが可能であるため、利用できる時間帯に制限がなく、子どもなど対象者自身の都合のよい時間に飲食品の提供を受けられる利点がある。対象者は、提供された飲食品を、自宅など好きな場所に持ち帰り、食事をすることができる。また特設形式や既存の飲食店を利用する形式の子ども食堂では、子ども食堂側の事情で利用回数が制限される問題があったところ、本実施形態ではそのような問題がない。
【0042】
また、本実施形態の飲食品提供方法では、対象者側がスマートフォン等の端末を有していることを必要としない。経済的な事情により十分に食事を摂れない人は、スマートフォン等の端末を有していないことが多いという実情があるところ、本実施形態によれば、そのような人にも漏れなく飲食物を提供することができる。
【0043】
加えて、本方法では、他人とコミュニケーションを取る必要がなく、飲食品の提供を受けることができる。そのため、対価を自分で支払うことなく食事をすることを恥ずかしく感じる人の気持ちや、他人とコミュニケーションを取ること自体を苦痛に感じる人の心を傷つけることなく、飲食品を提供することができる。
【0044】
本実施形態の飲食品提供方法は、
図4に示すように、事業管理者が管理する管理サーバ10と、事業協賛者が管理する自動販売機50nとが、インターネットNを介して接続されている構成とすることができる。
【0045】
管理サーバ10は、主記憶装置及び補助記憶装置からなる記憶装置11と、記憶装置11に記憶されたプログラムに従って処理を行う中央処理装置(CPU)12と、インターネットNを介してデータの送受信を行う通信装置13と、を主に具備するコンピュータにより構成させることができる。各自動販売機50nの制御装置は、上記構成に加え、インターネットNを介してデータの送受信を行う通信装置59を備えている。
【0046】
また、各自動販売機50nの制御装置は、受け入れた専用メダルの個数と提供した飲食品の個数をカウントし、それらの個数を日時と対応付けた第三データベースとして記憶装置に記憶させる。専用メダルの種類が複数ある場合、その種類ごとに第三データベースを作成する。また、第三データベースでは、飲食品の価格を専用メダルに対応させて記憶させてもよい。
【0047】
このような実施形態では、各自動販売機50nから管理サーバ10に、第三データベースの内容に自動販売機ごとの識別情報を付した情報を、定期的に送信する。或いは、管理サーバ10から自動販売機50nに向けて要求信号を送信し、この要求信号を受信したときに自動販売機50nから第三データベースの内容を含む情報を管理サーバ10に送信することとしてもよい。これにより、管理サーバ10では、自動販売機50nごとの専用メダルの利用度、提供された飲食品の個数、事業協賛者が負担した飲食品の価格などに関するデータベースが作成される。事業管理者は、自動販売機50nを子ども食堂として機能させた事業に関する情報を、インターネット経由で容易に入手することができ、事業の運営に役立てることができる。
【0048】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記では、自動販売機から提供される飲食物が、その価格と関係なくメダルと対応付けられている場合を、フローチャートを使用して例示した。これに限定されず、メダルに金額を割り当てる方法(2)を使用することができる。この場合、投入物が硬貨(正貨)であると判定された後の処理(ステップS4~S15)と同様の処理を、メダルについても行うことができる。
【0050】
また、事業協賛者が管理する自動販売機は、上記の構成に加え、紙幣を受け入れる紙幣挿入口と、紙幣の真偽及び種類を判定する装置を備えていても良い。この場合、紙幣挿入口から紙幣を受け入れた場合は、仮にメダルが投入口から投入されたとしても、受け付けることなく返却口から排出する構成とする。
【符号の説明】
【0051】
10 管理サーバ
50,50n 自動販売機
51 投入口
53 検出装置
54 制御装置
N インターネット