(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106750
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】接続状態検出機構、接続モジュール、及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007666
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 澄玲
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 誠一
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051AB09
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】2つの部材間の接続状態を検出することができる接続状態検出機構、接続モジュール、及び搬送装置を提供する。
【解決手段】接続状態検出機構1は、接続面10aから突出して接続面10aに直交する軸方向に延びる押圧ピン11を有する接続部材10と、押圧ピン11が挿通可能なピン挿通穴21bの開口を接続面10aと対向する被接続面20aに有し、かつピン挿通穴21bに連通する空洞状の収容部21aを内部に有する被接続部材20と、収容部21aに設けられ、ピン挿通穴21bの底部に位置しかつ被接続面20aに平行な感圧面32aを有し、感圧面32aにかかる圧力を検出する感圧センサ30と、を備え、接続部材10と被接続部材20とが接続状態である場合、押圧ピン11は、ピン挿通穴21bに挿通して先端11aで感圧面32aを押圧する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続面から突出して前記接続面に直交する軸方向に延びる押圧ピンを有する接続部材と、
前記押圧ピンが挿通可能なピン挿通穴の開口を前記接続面と対向する被接続面に有し、かつ前記ピン挿通穴に連通する空洞状の収容部を内部に有する被接続部材と、
前記収容部に設けられ、前記ピン挿通穴の底部に位置しかつ前記被接続面に平行な感圧面を有し、前記感圧面にかかる圧力を検出する感圧センサと、
を備え、
前記接続部材と前記被接続部材とが接続状態である場合、前記押圧ピンは、前記ピン挿通穴に挿通して先端で前記感圧面を押圧する、
接続状態検出機構。
【請求項2】
前記感圧センサの前記感圧面を覆う緩衝材をさらに備え、
前記接続部材と前記被接続部材とが接続状態である場合、前記押圧ピンは、前記ピン挿通穴を挿通して先端で前記緩衝材を介して前記感圧面を押圧する、
請求項1に記載の、接続状態検出機構。
【請求項3】
前記押圧ピンは、先端に向かって徐々に小さくなるようなドーム形状を含む、
請求項1又は2に記載の、接続状態検出機構。
【請求項4】
前記接続部材は、前記押圧ピンを複数有し、
前記被接続部材は、複数の前記押圧ピンに対応して、複数の前記ピン挿通穴及び複数の前記収容部を有し、
前記感圧センサは、複数の前記収容部に各々設けられる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の、接続状態検出機構。
【請求項5】
複数の前記押圧ピンは、前記軸方向に視て、線対称又は回転対称に配置される、
請求項4に記載の、接続状態検出機構。
【請求項6】
前記押圧ピンは、前記軸方向の長さが、前記ピン挿通穴の深さより長い、
請求項1から5のいずれか1項に記載の、接続状態検出機構。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の接続状態検出機構と、
平面視形状が正方形状である基部と前記基部の上面から突出して軸方向に延びる接続ピン部とを含む荷重受け部材と、
前記荷重受け部材の前記基部を収容する溝部を有する荷重センサ取付部材と、
前記荷重センサ取付部材に取り付けられ、前記基部に接して前記基部の変位に応じた測定値を測定する複数の荷重センサと、
を備え、
前記接続部材は、対象物に取り付けられ、前記接続ピン部が挿入可能な嵌合孔を有する取り付け部材であり、
前記被接続部材は、前記荷重センサ取付部材の前記溝部の周りの上面を覆うカバー部材である、
接続モジュール。
【請求項8】
前記接続ピン部は、
前記軸方向に視た形状が真円以外の形状を有する第1柱部を上端部に含み、
前記嵌合孔は、第1孔部、第2孔部、第3孔部が順に連通し、
前記第1孔部は、前記第2孔部に向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有し、
前記第2孔部は、前記第3孔部に向かって徐々に小さくなり、かつ前記第1孔部のテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有し、
前記第3孔部は、前記接続ピン部の前記第1柱部が嵌合可能であり、
前記第3孔部に前記第1柱部が嵌合している場合、前記押圧ピンは、前記ピン挿通穴を挿通して先端で前記感圧面を押圧する、
請求項7に記載の接続モジュール。
【請求項9】
前記対象物は、車体と、前記車体に支持される複数の従動輪と、を備える搬送対象であり、
請求項7又は8に記載の接続モジュールと、
装置本体に支持されて前記装置本体を搬送する駆動輪と、
前記装置本体に対して一方向に移動可能に設けられる摺動部材と、
前記装置本体と前記荷重センサ取付部材とを接続し、かつ前記摺動部材の移動に伴って前記荷重センサ取付部材及び複数の前記荷重センサを介して前記荷重受け部材を前記装置本体に対して昇降させる昇降機構と、
前記摺動部材を前記装置本体に対して前記一方向に移動させる直動アクチュエータと、
を備え、
前記荷重受け部材は、前記車体の下面側に固定した前記取り付け部材の下方から上昇することで、前記取り付け部材を介して前記搬送対象を保持可能、かつ下降することで前記取り付け部材及び前記搬送対象から離脱可能である、
搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続状態検出機構、接続モジュール、及び搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
宅配ロボット、無人搬送台車(AGV;Auto Guided Vehicle)、搬送用カート、ストレッチャー等搬送物を積載して床面上を走行する搬送車両の移動を実現する搬送装置が知られている。例えば、近年では、工場内や倉庫内等で搬送作業を行う自動搬送ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)の開発が進められ、大幅な省人化やコスト削減が期待されている。
【0003】
搬送ロボットには、搬送対象物と一体型されたものの他に、搬送対象物を持ち上げるものや、搬送対象物と接続して搬送するもの等がある。搬送対象物を持ち上げるものや接続して搬送するものは、既存の製品に適応可能であるが、搬送対象物にロボットを接続させる構成が必要となる。また、安全上の観点から、接続状態を常に監視して、大きな段差や障害物との衝突により搬送対象物との接続が解除された場合に、異常を検出して非常停止させる必要がある。一方で、小さな段差や勾配等による細かな振動や車体の傾きに対しては、接続解除状態であるという誤検出がされないようにする必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、接続部平面に感圧センサを設置し、被接続部平面で感圧センサを押圧することにより、接続状態を検出する検出機構が開示されている。また、特許文献2には、接続時には被通電状態となり、非接続時には通電状態のなるスイッチ機構によって、接続状態を検出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-131379号公報
【特許文献2】特開2021-070082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の検出機構は、接続部平面と被接続部平面との間に感圧センサを設置しているため、感圧センサの厚み分、平面間の嵌め合いを阻害する可能性がある。また、感圧センサが接続部平面に露出しているため、外的要因による損傷の可能性がある。また、特許文献2の検出機構は、接続か非接続かのみを検出するため、接続部にかかる力を検出することはできない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、2つの部材間の接続状態を検出することができる接続状態検出機構、接続モジュール、及び搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る接続状態検出機構は、接続面から突出して前記接続面に直交する軸方向に延びる押圧ピンを有する接続部材と、前記押圧ピンが挿通可能なピン挿通穴の開口を前記接続面と対向する被接続面に有し、かつ前記ピン挿通穴に連通する空洞状の収容部を内部に有する被接続部材と、前記収容部に設けられ、前記ピン挿通穴の底部に位置しかつ前記被接続面に平行な感圧面を有し、前記感圧面にかかる圧力を検出する感圧センサと、を備え、前記接続部材と前記被接続部材とが接続状態である場合、前記押圧ピンは、前記ピン挿通穴に挿通して先端で前記感圧面を押圧する。
【0009】
これにより、ピン挿通穴に挿通された押圧ピンで感圧センサの感圧面を押圧し、感圧センサ自体が被接続部材の内部の空洞部に埋め込まれるように配置されるため、感圧センサや配線への外的要因による負荷や損傷を抑制することができる。また、被接続部材の被接続面に感圧センサを配置する構成と比較して、接続部材との接続部分における感圧センサ分の厚みを軽減させることができる。また、押圧ピンは、感圧センサを押圧している状態においてピン挿通穴に挿通されており、感圧面と平行な面方向へのずれが抑制されるので、感圧センサにより安定して圧力が検出される。また、押圧ピンがピン挿通穴に挿通されることにより、接続部材と被接続部材とを、軸方向に直交する平面方向の2軸で互いに位置決めすることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る接続状態検出機構は、前記感圧センサの前記感圧面を覆う緩衝材をさらに備え、前記接続部材と前記被接続部材とが接続状態である場合、前記押圧ピンは、前記ピン挿通穴を挿通して先端で前記緩衝材を介して前記感圧面を押圧する。
接続状態検出機構において、
【0011】
これにより、緩衝材が低周波振動を吸収し、ロバスト性を確保することができる。また、これに伴って、小さな段差や勾配等による細かい振動による接続状態解除の誤検出を抑制できる。また、感圧センサの感圧面を緩衝材で覆うことで保護できるので、感圧センサへの外的要因による負荷や損傷を抑制することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る接続状態検出機構において、前記押圧ピンは、先端に向かって徐々に小さくなるようなドーム形状を含む。
【0013】
これにより、押圧ピンが軸方向に直交する平面に対して傾いても、感圧センサ又は緩衝材を押圧する接点を維持できるので、接続部分において傾きや振動が起こっても、接続状態の検出を維持することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る接続状態検出機構において、前記接続部材は、前記押圧ピンを複数有し、前記被接続部材は、複数の前記押圧ピンに対応して、複数の前記ピン挿通穴及び複数の前記収容部を有し、前記感圧センサは、複数の前記収容部に各々設けられる。
【0015】
これにより、複数の押圧ピンによる感圧面への押圧にバラつきが生じた場合、押圧力が大きい押圧ピンにおいては接続状態を維持しているが、押圧力が小さい又は消失した押圧ピンは正常な接続状態に対し、感圧面から浮き上がっていると判断することができる。すなわち、接続部材が被接続部材に対して傾いていると判断することができる。また、複数の押圧ピンが、軸方向に直交する平面内の異なる位置のピン挿通穴に各々挿通されるので、接続部材と被接続部材とを、軸方向に直交する平面方向の2軸に加え、軸方向回りの回転方向の1軸を加えた3軸で互いに位置決めすることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る接続状態検出機構において、複数の前記押圧ピンは、前記軸方向に視て、線対称又は回転対称に配置される。
【0017】
これにより、所定の原点に対する押圧ピンと感圧面との接点までの距離を一定にすることができるので、接続部材の被接続部材に対する傾きや振動を、各々の押圧ピンによる感圧面の押圧に対する検出結果に基づいて容易に算出することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る接続状態検出機構において、前記押圧ピンは、前記軸方向の長さが、前記ピン挿通穴の深さより長い。
【0019】
これにより、押圧ピンの先端がピン挿通穴の底面に達している状態においても、接続部材の接続面と被接続部材の被接続面とが面合わせで接触しない。平面間での接触がないため、ロバスト性が向上し、細かな段差や勾配による振動や傾きで、接続解除状態の誤検出を抑制することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る接続モジュールは、接続状態検出機構と、平面視形状が正方形状である基部と前記基部の上面から突出して軸方向に延びる接続ピン部とを含む荷重受け部材と、前記荷重受け部材の前記基部を収容する溝部を有する荷重センサ取付部材と、前記荷重センサ取付部材に取り付けられ、前記基部に接して前記基部の変位に応じた測定値を測定する複数の荷重センサと、を備え、前記接続部材は、対象物に取り付けられ、前記接続ピン部が挿入可能な嵌合孔をする取り付け部材であり、前記被接続部材は、前記荷重センサ取付部材の前記溝部の周りの上面を覆うカバー部材である。
【0021】
これにより、荷重受け部材は、対象物から取り付け部材を介して荷重を受け、荷重センサ取付部材に取り付けられた複数の荷重センサによって、受けた荷重が測定される。また、荷重受け部材は、荷重センサ取付部材及び荷重センサを介してカバー部材と一体で移動する。したがって、取り付け部材に設けられた押圧ピンが、カバー部材に設けられたピン挿通穴の底部に位置する感圧センサの感圧面を押圧していることを感圧センサが検出した場合、荷重受け部材と取り付け部材との接続状態が正常であると判断することができる。荷重受け部材と取り付け部材との接続状態が正常であることにより、荷重センサが測定した荷重受け部材にかかる荷重の測定値の正確性を確保できる。
【0022】
本発明の一態様に係る接続モジュールにおいて、前記接続ピン部は、前記軸方向に視た形状が真円以外の形状を有する第1柱部を上端部に含み、前記嵌合孔は、第1孔部、第2孔部、第3孔部が順に連通し、前記第1孔部は、前記第2孔部に向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有し、前記第2孔部は、前記第3孔部に向かって徐々に小さくなり、かつ前記第1孔部のテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有し、前記第3孔部は、前記接続ピン部の前記第1柱部が嵌合可能であり、前記第3孔部に前記第1柱部が嵌合している場合、前記押圧ピンは、前記ピン挿通穴を挿通して先端で前記感圧面を押圧する。
【0023】
これにより、接続モジュールは、荷重受け部材と取り付け部材とを位置決めする際に、第1孔部で軸方向に交差する平面の2軸方向の位置決めをし、第2孔部で軸方向回りの回転方向の位置決めをし、第3孔部での嵌合で軸方向の1軸方向の位置決めをすることによって、一組の嵌合孔と接続ピン部との組み合わせのみで、4軸の位置決めが可能である。また、荷重受け部材は、第1孔部において取り付け部材に対して第2孔部の方向に移動すると、第1柱部の上端縁の1つの角状部が第1孔部の内壁に接触して内壁に案内されることで径中心方向に移動する。また、荷重受け部材は、第2孔部において取り付け部材に対して第3孔部の方向に移動すると、第1柱部の長径の両端部に位置する角状部が第2孔部の内壁に接触しながら第2孔部の角状部に向かって案内されることで軸中心回りに回転移動する。すなわち、接続モジュールは、接続ピン部と嵌合孔とを対向させた状態から、接続ピン部を嵌合孔に挿通するだけで、軸方向に交差する平面の2軸方向、軸方向回りの回転方向、軸方向の1軸方向に順次位置決めされるので、容易に4軸の位置決めが可能である。
【0024】
また、感圧センサによる検出により、荷重受け部材と取り付け部材との接続状態が正常であるか否かを判断できるので、第3孔部に第1柱部が確実に嵌合されたか否かを判断することができる。取り付け部材の嵌合孔と荷重受け部材の接続ピン部との嵌合が外れた場合には、感圧センサによって検出可能である。この際、例えば、取り付け部材の嵌合孔の周りの部分が接続ピン部の上面に乗り上げる等して、荷重受け部材に荷重がかかると、荷重センサでは、荷重受け部材にかかる対象物の荷重が検出され続けてしまう。しかしながら、このように、嵌合孔と接続ピン部との嵌合が外れたりずれたりした場合、押圧ピンがピン挿通穴から抜け、感圧センサの感圧面を押圧しなくなるので、感圧センサによって、接続状態解除を検出することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る搬送装置は、前記対象物は、車体と、前記車体に支持される複数の従動輪と、を備える搬送対象であり、請求項7又は8に記載の接続モジュールと、装置本体に支持されて前記装置本体を搬送する駆動輪と、前記装置本体に対して一方向に移動可能に設けられる摺動部材と、前記装置本体と前記荷重センサ取付部材とを接続し、かつ前記摺動部材の移動に伴って前記荷重センサ取付部材及び複数の前記荷重センサを介して前記荷重受け部材を前記装置本体に対して昇降させる昇降機構と、前記摺動部材を前記装置本体に対して前記一方向に移動させる直動アクチュエータと、を備え、前記荷重受け部材は、前記車体の下面側に固定した前記取り付け部材の下方から上昇することで、前記取り付け部材を介して前記搬送対象を保持可能、かつ下降することで前記取り付け部材及び前記搬送対象から離脱可能である。
【0026】
これにより、搬送装置では、移動時に搬送対象からかかる荷重を接続モジュールによって測定することが可能である。また、搬送装置が搬送対象の下に潜り込んで、接続モジュールが下方から搬送対象に接続するので、牽引する搬送装置と比較して、右左折や旋回、前進と後進との切り換え等が容易であり、安定的な走行が可能である。また、押圧ピン及び感圧センサによって、装置本体側に固定される荷重受け部材と、搬送対象側に固定される取り付け部材との接続状態を常時監視できる。また、搬送対象への接続前に搬送対象の下方に潜り込む際は、接続モジュールを下降させることにより、搬送装置の全高を小さくできるので、低床の搬送対象にも対応が可能である。また、接続モジュールを下降させることにより搬送対象との接続が容易に解除できるので、複数の搬送対象を次々に搬送可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、2つの部材間の接続状態を検出することができる接続状態検出機構、接続モジュール、及び搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施形態に係る接続状態検出機構の構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す接続状態検出機構の収容部を一部断面で示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す感圧センサの構成例を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、適用形態に係る搬送装置の構成例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す搬送装置の昇降機構の構成例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6の昇降機構の上昇状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の状態における摺動部材の構成例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図4に示す接続モジュールの構成例を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す接続モジュールの荷重センサ取付部材の構成例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す接続モジュールに荷重センサを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図9に示す接続モジュールの荷重受け部材の構成例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、
図11に示す荷重センサ取付部材及び荷重センサに
図12に示す荷重受け部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【
図14】
図14は、
図9に示す接続モジュールのカバー部材の構成例を示す平面図である。
【
図17】
図17は、
図9に示す接続モジュールの取り付け部材の構成例を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、X軸方向又はY軸方向に対向して配置される荷重センサの回路図の一例である。
【
図19】
図19は、Z軸方向の上方に突起部を向けて配置される荷重センサの回路図の一例である。
【
図20】
図20は、
図4に示す搬送装置の搬送対象への接続前の状態を一部断面で示す側面図である。
【
図21】
図21は、
図4に示す搬送装置の搬送対象への接続後の状態を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0030】
(実施形態)
[接続状態検出機構1の構成]
まず、実施形態に係る接続状態検出機構1の構成について、
図1から
図3までを参照して説明する。
図1は、実施形態に係る接続状態検出機構1の構成例を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す接続状態検出機構1の空洞部21を一部断面で示す側面図である。
図3は、
図1に示す感圧センサ30の構成例を模式的に示す平面図である。
【0031】
接続状態検出機構1は、第1の対象物と第2の対象物との接続状態を検出するために、第1の対象物及び第2の対象物の接続部に設けられる機構である。接続状態検出機構1は、接続部材10と、被接続部材20と、感圧センサ30と、緩衝材40と、を備える。接続状態検出機構1は、第1の対象物に設けられる接続部材10と、第2の対象物に設けられる被接続部材20とが、軸方向(
図1における上下方向)に接続している場合に、その接続状態を検出する。実施形態の接続状態検出機構1は、さらに、接続部材10と被接続部材20とを、軸方向に直交する平面方向の2軸で互いに位置決めする機能を有する。
【0032】
第1の対象物は、例えば、搬送対象B(
図16及び
図17参照)である。また、第2の対象物は、例えば、後述の
図4から
図21までに示される適用形態の搬送装置100(参照)である。搬送装置100は、駆動輪120を有し、搬送対象Bの下に潜り込んで下方から搬送対象Bに接続して走行することで搬送対象Bを搬送する装置である。搬送対象Bは、少なくとも、車体と、車体を水平姿勢に維持して水平方向に移動させることが可能な複数の従動輪とを備え、搬送装置100が車体の下に潜り込める隙間を有する搬送車両である。搬送対象Bは、例えば、台車、搬送カート、ストレッチャー等である。
【0033】
接続部材10は、被接続部材20と接続可能かつ分離可能である。接続部材10は、被接続部材20と軸方向に対向する接続面10aを含む。接続面10aは、軸方向に直交する面である。接続部材10は、実施形態において、軸方向に視た形状が円形の略円柱形状に形成され、一方の端面(
図1における下面)が接続面10aである。
【0034】
接続部材10は、押圧ピン11を有する。押圧ピン11は、接続面10aから突出して軸方向に延びて形成される。押圧ピン11は、軸方向の先端11a(
図1における下端)に向かって徐々に小さくなるようなドーム形状を含む。接続部材10は、実施形態において、4つの押圧ピン11を有する。接続部材10が複数の押圧ピン11を有する場合、複数の押圧ピン11は、軸方向に視て、線対称又は回転対称に配置されることが好ましい。
【0035】
被接続部材20は、接続部材10と接続可能かつ分離可能である。被接続部材20は、接続部材10と軸方向に対向する被接続面20aを含む。接続部材10と被接続部材20とが接続状態である場合、実施形態において、被接続面20aは、接続面10aと面合わせとなる。被接続部材20は、実施形態において、軸方向に視た形状が円形の略円柱形状に形成され、一方の端面(
図1における上面)が被接続面20aである。
【0036】
被接続部材20は、空洞部21を有する。空洞部21は、収容部21aと、ピン挿通穴21bと、を含む。収容部21aは、被接続部材20の内部に空洞状に設けられる。収容部21aは、底面の形状が感圧センサ30に沿う柱状の空洞状であり、底面に感圧センサ30を収容する。実施形態の収容部21aは、軸方向に視て、長手方向が被接続部材20の周方向に一致するように形成される。ピン挿通穴21bは、一端が被接続面20aに開口し、他端が収容部21aの天面側に連通し、軸方向に延びる穴である。ピン挿通穴21bは、収容部21aの長手方向の一方の端部寄りに形成される。ピン挿通穴21bには、被接続面20a側の開口から押圧ピン11が挿通可能である。
【0037】
被接続部材20は、実施形態において、4つの空洞部21を有する。複数の空洞部21は、軸方向に視て、各々のピン挿通穴21bの位置が、接続部材10の各々の押圧ピン11の位置に一致するように配置される。すなわち、空洞部21のピン挿通穴21bは、押圧ピン11の数及び位置に対応した数及び位置に設けられる。実施形態のピン挿通穴21bは、軸方向に視て、90度の回転対称に配置される。空洞部21の収容部21aは、実施形態において、軸方向に視て、収容部21aの長手方向が被接続部材20の周方向に一致するように、90度の回転対称に配置される。
【0038】
感圧センサ30は、印加される外圧の位置及び大きさを検出可能なセンサである。感圧センサ30は、例えば、静電容量式又は抵抗膜式等のセンサを含み、実施形態においては抵抗膜式のセンサである。感圧センサ30は、基部31と、機能部32と、を含む。
【0039】
基部31は、機能部32及び機能部32から延びる配線を保持する。基部31は、薄板状に形成される。基部31は、例えば、機能部32を両面から挟む一対の保護フィルムを含んでもよい。
【0040】
機能部32は、例えば、基板と、複数のセンサ電極と、感圧導電層と、が積層されて配置される。基板は、基部31の上面に配置され、複数のセンサ電極を支持する。センサ電極は、基板の上面に配置される。感圧導電層は、押圧によって変形する柔軟な樹脂材料の中に導電性粒子を配合した感圧導電による層である。感圧導電層は、表面に、導電粒子が微細な凹凸をなして露出する。感圧導電層は、複数のセンサ電極に接触することで、複数のセンサ電極を導通させる。
【0041】
機能部32は、センサ電極と感圧導電層の表面の導電粒子と接触面積が変化すると、電気抵抗値が変化する。具体的には、感圧導電層は、センサ電極とは反対側に位置する感圧面32aが押圧されると、層内が押し縮められる。これにより、感圧導電層とセンサ電極との接触面積が大きくなるので、感圧導電層を介して複数のセンサ電極間に流れる電流が大きくなり、電気抵抗値が小さくなる。機能部32は、基部31の配線を介して、検出した電気抵抗値を、外部の制御装置等に出力する。すなわち、感圧センサ30は、電気抵抗値の変化を検出することによって、感圧面32aにかかる圧力を検出する。
【0042】
感圧センサ30は、基部31が収容部21aの底面上に収容されるとともに、機能部32の感圧面32aがピン挿通穴21bの底部に位置し、感圧面32aが被接続部材20の被接続面20aに平行かつピン挿通穴21bの開口側を向くように、空洞部21に配置される。接続部材10と被接続部材20とが接続状態である場合、すなわち、接続部材10の接続面10aと、被接続部材20の被接続面20aとが面合わせで接している状態において、押圧ピン11は、ピン挿通穴21bに挿通し、先端11aで感圧センサ30の感圧面32aを押圧する。
【0043】
実施形態においては、押圧ピン11は、緩衝材40を介して、感圧面32aを押圧する。緩衝材40は、例えば、ウレタンやゴム等の柔らかく弾性に優れる樹脂材を含む。緩衝材40は、感圧面32aを覆うように設けられる。緩衝材40は、実施形態において、軸方向に視て、ピン挿通穴21bと同形状である。緩衝材40は、ピン挿通穴21bに挿通する押圧ピン11の先端11aで押圧される際、低周波振動を吸収しつつ、圧力を感圧面32aに伝達する。
【0044】
接続状態検出機構1は、複数の押圧ピン11が各々ピン挿通穴21bに挿通することによって、接続部材10と被接続部材20とが軸方向に直交する平面方向の2軸で互いに位置決めされる。この際、押圧ピン11がピン挿通穴21bの底部に位置する感圧センサ30の感圧面32aを、緩衝材40を介して押圧する。これにより、感圧センサ30の機能部32において、複数のセンサ電極と感圧導電層の表面の導電粒子との接触面積が大きくなり、電気抵抗値が下がる。接続状態検出機構1は、電気抵抗値が下がることを検出することによって、接続部材10と被接続部材20とが接続状態であることを検出する。
【0045】
接続部材10と被接続部材20とが離隔すると、押圧ピン11による感圧面32aへの押圧が小さくなる、又はなくなるので、感圧センサ30の機能部32において、複数のセンサ電極と感圧導電層の表面の導電粒子との接触面積が小さくなり、電気抵抗値が上がる。接続状態検出機構1は、電気抵抗値が上がることを検出することによって、接続部材10と被接続部材20との接続状態が解除されたことを検出する。
【0046】
また、接続部材10が被接続部材20に対して傾いた場合、複数の押圧ピン11のうち、一部の押圧ピン11は、緩衝材40を介して感圧面32aを押圧し続けるが、いくつかの押圧ピン11は、浮き上がり、感圧面32aへの押圧が小さくなる、又はなくなる。すなわち、いくつかの押圧ピン11に対応する感圧センサ30の機能部32において、複数のセンサ電極と感圧導電層の表面の導電粒子との接触面積が小さくなり、電気抵抗値が上がる。接続状態検出機構1は、電気抵抗値が上がることを検出することによって、接続部材10が被接続部材20に対して傾き、接続状態が一部解除されたことを検出する。
【0047】
以上説明したように、実施形態の接続状態検出機構1は、接続面10aから突出して接続面10aに直交する軸方向に延びる押圧ピン11を有する接続部材10と、押圧ピン11が挿通可能なピン挿通穴21bの開口を接続面10aと対向する被接続面20aに有し、かつピン挿通穴21bに連通する空洞状の収容部21aを内部に有する被接続部材20と、収容部21aに設けられ、ピン挿通穴21bの底部に位置しかつ被接続面20aに平行な感圧面32aを有し、感圧面32aにかかる圧力を検出する感圧センサ30と、を備え、接続部材10と被接続部材20とが接続状態である場合、押圧ピン11は、ピン挿通穴21bに挿通して先端11aで感圧面32aを押圧する。
【0048】
これによれば、ピン挿通穴21bに挿通された押圧ピン11で感圧センサ30の感圧面32aを押圧し、感圧センサ30自体が被接続部材20の内部の空洞部21に埋め込まれるように配置されるため、感圧センサ30や配線への外的要因による負荷や損傷を抑制することができる。また、被接続部材20の被接続面20aに感圧センサ30を配置する構成と比較して、接続部材10との接続部分における感圧センサ30分の厚みを軽減させることができる。また、押圧ピン11は、感圧センサ30を押圧している状態においてピン挿通穴21bに挿通されており、感圧面32aと平行な面方向へのずれが抑制されるので、感圧センサ30により安定して圧力が検出される。
【0049】
また、実施形態の接続状態検出機構1は、感圧センサ30の感圧面32aを覆う緩衝材40をさらに備え、接続部材10と被接続部材20とが接続状態である場合、押圧ピン11は、ピン挿通穴21bを挿通して先端11aで緩衝材40を介して感圧面32aを押圧する。
【0050】
これによれば、緩衝材40が低周波振動を吸収し、ロバスト性を確保することができる。また、これに伴って、小さな段差や勾配等による細かい振動による接続解除の誤検出を抑制できる。また、感圧センサ30の感圧面32aを緩衝材40で覆うことで保護できるので、感圧センサ30への外的要因による負荷や損傷を抑制することができる。
【0051】
また、実施形態の接続状態検出機構1において、押圧ピン11は、先端11aに向かって徐々に小さくなるようなドーム形状を含む。
【0052】
これによれば、押圧ピン11が軸方向に直交する平面に対して傾いても、感圧センサ30又は緩衝材40を押圧する接点を維持できるので、接続部分において傾きや振動が起こっても、接続状態の検出を維持することができる。
【0053】
また、実施形態の接続状態検出機構1において、接続部材10は、押圧ピン11を複数有し、被接続部材20は、複数の押圧ピン11に対応して、複数のピン挿通穴21b及び複数の収容部21aを有し、感圧センサ30は、複数の収容部21aに各々設けられる。
【0054】
これによれば、複数の押圧ピン11による感圧面32aへの押圧にバラつきが生じた場合、押圧力が大きい押圧ピン11においては接続状態を維持しているが、押圧力が小さい又は消失した押圧ピン11は正常な接続状態に対し、感圧面32aから浮き上がっていると判断することができる。すなわち、接続部材10が被接続部材20に対して傾いていると判断することができる。また、複数の押圧ピン11が、軸方向に直交する平面内の異なる位置のピン挿通穴21bに各々挿通されるので、接続部材10と被接続部材20とを、軸方向に直交する平面方向の2軸に加え、軸方向回りの回転方向の1軸を加えた3軸で互いに位置決めすることができる。
【0055】
また、実施形態の接続状態検出機構1において、複数の押圧ピン11は、軸方向に視て、線対称又は回転対称に配置される。
【0056】
これによれば、所定の原点に対する押圧ピン11と感圧面32aとの接点までの距離を一定にすることができるので、接続部材10の被接続部材20に対する傾きや振動を、各々の押圧ピン11による感圧面32aの押圧に対する検出結果に基づいて容易に算出することができる。
【0057】
なお、実施形態の接続状態検出機構1において、押圧ピン11の軸方向の長さを、ピン挿通穴21bの深さより長くしてもよい。これによれば、押圧ピン11の先端11aがピン挿通穴21bの底面に達している状態においても、接続部材10の接続面10aと被接続部材20の被接続面20aとが面合わせで接触しない。平面間での接触がないため、ロバスト性が向上し、細かな段差や勾配による振動や傾きで、接続解除状態の誤検出を抑制することができる。
【0058】
(適用形態)
[搬送装置100の構成]
まず、適用形態に係る搬送装置100の構成について、
図4から
図8までを参照して説明する。
図4は、適用形態に係る搬送装置100の構成例を示す斜視図である。
図5は、
図4に示す搬送装置100の平面図である。
図6は、
図4に示す搬送装置100の昇降機構140の構成例を示す斜視図である。
図7は、
図6の昇降機構140の上昇状態を示す斜視図である。
図8は、
図7の状態における摺動部材130の構成例を示す斜視図である。なお、これらの図において、発明に係る構成要素以外の構成要素は、適宜省略して図示される。また、以下の説明では、搬送装置100の水平な長手方向(
図5の左右方向)を「前後方向」、短手方向(
図5の上下方向)を「幅方向」と言う。
【0059】
搬送装置100は、搬送対象B(
図20及び
図21参照)の下に潜り込んで下方から搬送対象Bに接続し、走行することで搬送対象Bを搬送する装置である。搬送対象Bは、少なくとも、車体と、車体を水平姿勢に維持して水平方向に移動させることが可能な複数の従動輪とを備え、搬送装置100が車体の下に潜り込める隙間を有する搬送車両である。搬送対象Bは、例えば、台車、搬送カート、ストレッチャー等である。
【0060】
図4に示すように、適用形態の搬送装置100は、装置本体110と、4つの駆動輪120と、摺動部材130と、昇降機構140と、直動アクチュエータ150と、接続モジュール200と、を備える。なお、実施形態の接続状態検出機構1は、後述の接続モジュール200に適用される。
【0061】
装置本体110は、水平姿勢の板状の基台111上に、駆動輪120、摺動部材130、昇降機構140、及び直動アクチュエータ150等の搬送装置100の主な構成要素を支持する。基台111には、各々の駆動輪120の一部を基台111より下方に露出させるための駆動輪用開口111aが形成されている。また、基台111は、各々の駆動輪120の回転軸を支持する4組8つの駆動輪支持部112と、直動アクチュエータ150の固定部151(
図6等参照)を基台111に固定するアクチュエータ支持部113と、基台111に設けられる他の構成要素の各種支持部材と、を有する。
【0062】
また、装置本体110は、基台111に設けられる構成要素の側方及び上方を覆うカバー部材115を有する。カバー部材115は、昇降機構用開口115aを有する。昇降機構用開口115aは、カバー部材115の上面115bの中央部分に設けられる。昇降機構用開口115aからは、後述の接続モジュール200が昇降に伴って出没する。適用形態の搬送装置100において、駆動輪120の走行面との接地面からカバー部材115の上面115bまでの高さは、125mmである。装置本体110は、基台111とカバー部材115とが略直方体形状の筐体をなす。
【0063】
駆動輪120は、適用形態において、装置本体110に対して前後左右に合計4つ設けられる。駆動輪120は、適用形態において、全方向移動が可能なメカナムホイールであるが、例えば、オムニホイールであってもよい。各々の駆動輪120は、基台111に固定された駆動輪支持部112によって、回転軸回りに回動可能に設けられる。1組の駆動輪支持部112は、適用形態において、1つの駆動輪120を挟み対向して配置される2つの支持部材を含む。支持部材は、1つの駆動輪120の回転軸の両端部を各々支持する。
【0064】
駆動輪120は、回転アクチュエータ121から回転駆動力が伝達される。回転アクチュエータ121は、各々の駆動輪120を駆動する4つの回転アクチュエータ121を含む。回転アクチュエータ121は、例えば、BLDC(Brush-Less Direct-Current)モータを含む。回転アクチュエータ121は、適用形態において、前後に配置される駆動輪120の間に空間において、出力軸が駆動輪120の回転軸と平行となるように駆動輪120に隣接して配置され、プーリ及びベルト等を介して駆動輪120にトルクを伝達する。
【0065】
回転アクチュエータ121は、モータドライバによって制御される。モータドライバは、例えば、搬送装置100の各構成を制御する制御部122に含まれる。制御部122は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを有する演算処理部、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ、記憶部、及び入出力インターフェース装置等のハードウェア資源を備える。制御部122の機能は、記憶部に格納された所定のプログラムを演算処理部が実行することで実現される。例えば、制御部122は、プログラムが実行され、後述の荷重受け部材230にかかる3軸の荷重Fx、Fy、Fzを算出する。制御部122は、演算処理部による演算結果に従って、各構成要素に各種機能を実行させる制御信号を出力し、演算結果を外部へ出力する。
【0066】
制御部122は、適用形態において、装置本体110の前後方向の一方の端部側であって、後述の直動アクチュエータ150の固定部151の上方に配置される。モータドライバは、例えば、4つ配置される。また、回転アクチュエータ121及びモータドライバを含む制御部122は、バッテリ123から電力が供給されて駆動する。バッテリ123は、装置本体110の前後方向の他方の端部側に配置される。さらに、装置本体110には、非常停止ボタン124と、リレースイッチ125と、が設けられる。搬送装置100は、非常停止ボタン124が操作者によって押されると、リレースイッチ125が主電源を切り、バッテリ123からの電力供給が停止される。
【0067】
摺動部材130は、装置本体110の基台111に対して前後方向に移動可能に設けられる。摺動部材130は、例えば、水平姿勢かつ前後方向に平行に設けられるガイドレールに沿って移動可能なように設けられてもよい。摺動部材130は、一対のガイド軸部131と、被固定部132と、を有する。
【0068】
ガイド軸部131は、装置本体110の幅方向に延びる軸部材である。ガイド軸部131は、後述の昇降機構140の一対のガイド孔141bに各々挿通する摺動軸部材144bと同芯かつ一体に設けられるか、摺動軸部材144bに固定されるか、あるいは摺動軸部材144bと共用で設けられる。摺動部材130は、ガイド軸部131及び摺動軸部材144bがガイド孔141b内を移動可能な範囲で、基台111に対して前後方向に移動可能である。
【0069】
被固定部132には、後述の直動アクチュエータ150の可動部152が固定される。摺動部材130は、直動アクチュエータ150が駆動して伸縮することによって、可動部152とともに基台111に対して前後方向に移動する。
【0070】
摺動部材130は、適用形態において、平面視形状が、直動アクチュエータ150に固定される被固定部132が凹状部133となるコ字形状に形成される。すなわち、被固定部132に対して、直動アクチュエータ150が収縮する方向の端部が二叉となる形状を有する。ガイド軸部131は、二叉の端部に各々設けられる。摺動部材130は、凹状部133がガイド軸部131に対して、直動アクチュエータ150の伸長する方向に設けられる。すなわち、摺動部材130は、昇降機構140との接続部に対して、直動アクチュエータ150の可動部152との接続部が、直動アクチュエータ150が伸長する方向に位置するように形成される。
【0071】
昇降機構140は、適用形態において、X状のリンクを含むシザースリンク機構を含む。昇降機構140は、装置本体110の基台111と後述の接続モジュール200とを接続し、かつ接続モジュール200の水平姿勢を維持した状態で上下動可能に支持する。昇降機構140は、摺動部材130の前後方向の移動に伴って、接続モジュール200を装置本体110に対して昇降させる。適用形態の昇降機構140は、基台固定部141と、接続機構固定部142と、第1リンクアーム143と、第2リンクアーム144と、中央軸部材145と、を含む。
【0072】
基台固定部141は、装置本体110の基台111に対して固定される。基台固定部141は、適用形態において、前後方向に延びる断面L字形状の一対の支持フレームを含む。基台固定部141は、L字の底面部分が、基台111に固定される。基台固定部141は、L字の底面部分の幅方向の一方の端辺から上方に折り曲げたフランジ部に、軸孔141aと、ガイド孔141bと、を有する。
【0073】
軸孔141aは、前後方向に延びる基台固定部141の直動アクチュエータ150が伸長する方向の端部に設けられる丸孔である。軸孔141aは、水平姿勢かつ装置本体110の幅方向に貫通して設けられる。軸孔141aには、第1リンクアーム143の下端側に設けられる回転軸部材143aが挿通する。
【0074】
ガイド孔141bは、前後方向に延びる基台固定部141の直動アクチュエータ150が収縮する側の端部から中央に亘って設けられる長孔である。ガイド孔141bは、水平姿勢かつ装置本体110の幅方向に貫通して設けられる。ガイド孔141bには、第2リンクアーム144の下端側に設けられる摺動軸部材144bが挿通する。
【0075】
接続機構固定部142は、後述の接続モジュール200の下端に位置する荷重センサ取付部材210に対して固定される。接続機構固定部142は、適用形態において、前後方向に延びる断面逆L字形状の一対の支持フレームを含む。接続機構固定部142は、倒L字の天面部分が、荷重センサ取付部材210に固定される。接続機構固定部142は、倒L字の天面部分の幅方向の一方の端辺から下方に折り曲げたフランジ部に、軸孔142aと、ガイド孔142bと、を有する。
【0076】
軸孔142aは、前後方向に延びる接続機構固定部142の直動アクチュエータ150が伸長する方向の端部に設けられる丸孔である。軸孔142aは、水平姿勢かつ装置本体110の幅方向に貫通して設けられる。軸孔142aには、第2リンクアーム144の上端側に設けられる回転軸部材144aが挿通する。
【0077】
ガイド孔142bは、前後方向に延びる接続機構固定部142の直動アクチュエータ150が収縮する側の端部から中央に亘って設けられる長孔である。ガイド孔142bは、水平姿勢かつ装置本体110の幅方向に貫通して設けられる。ガイド孔142bには、第1リンクアーム143の上端側に設けられる摺動軸部材143bが挿通する。
【0078】
第1リンクアーム143は、基台固定部141と接続機構固定部142とを連結する。第1リンクアーム143は、長手方向の下端部に設けられた回転軸部材143aを介し、基台固定部141に対して、装置本体110の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。回転軸部材143aは、基台固定部141に設けられた軸孔141aに挿通する。回転軸部材143aは、例えば、ピン部材である。
【0079】
第1リンクアーム143は、長手方向の上端部に設けられた摺動軸部材143bを介し、接続機構固定部142に対して、装置本体110の前後方向に摺動可能かつ装置本体110の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。摺動軸部材143bは、接続機構固定部142に設けられたガイド孔142bに挿通する。摺動軸部材143bは、例えば、ピン部材である。
【0080】
第2リンクアーム144は、基台固定部141と接続機構固定部142とを連結する。第2リンクアーム144は、長手方向の上端部に設けられた回転軸部材144aを介し、接続機構固定部142に対して、装置本体110の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。回転軸部材144aは、接続機構固定部142に設けられた軸孔142aに挿通する。回転軸部材144aは、例えば、ピン部材である。
【0081】
第2リンクアーム144は、長手方向の下端部に設けられた摺動軸部材144bを介し、基台固定部141に対して、装置本体110の前後方向に摺動可能かつ装置本体110の幅方向に平行な軸回りに回動可能に支持される。摺動軸部材144bは、基台固定部141に設けられたガイド孔142bに挿通する。摺動軸部材144bは、摺動部材130のガイド軸部131と同芯であるように、ガイド軸部131に固定される。摺動軸部材144bは、例えば、ボルトである。
【0082】
中央軸部材145は、第1リンクアーム143及び第2リンクアーム144の各々の長手方向の中央部同士を、回動可能に連結する。中央軸部材145は、例えば、ピン部材である。
【0083】
直動アクチュエータ150は、装置本体110の前後方向に伸縮する一軸アクチュエータである。直動アクチュエータ150は、例えば、装置本体110に搭載される制御装置が駆動源を駆動させることによって、駆動源の駆動力により伸縮する。直動アクチュエータ150は、固定部151と、可動部152と、を含む。
【0084】
固定部151は、適用形態において、軸心が水平姿勢かつ装置本体110の前後方向に平行な筒形状のハウジングである。固定部151は、長手方向の一方の端部が開口し、可動部152の一部を内部に収容する。固定部151は、長手方向の他方の端部が、装置本体110の基台111に設けられたアクチュエータ支持部113に固定される。
【0085】
可動部152は、適用形態において、軸心が水平姿勢かつ装置本体110の前後方向に平行なシャフトである。可動部152は、長手方向の一方の端部側の一部が、固定部151の内部に収容される。可動部152は、長手方向の他方の端部が、摺動部材130の被固定部132に固定される。
【0086】
可動部152は、固定部151及び装置本体110に対して前後方向に直動移動可能である。可動部152は、直動アクチュエータ150が伸縮することによって、固定部151及び装置本体110に対して前後方向に直動移動する。直動アクチュエータ150は、可動部152が前後方向に直動移動することによって、摺動部材130を前後方向に直動移動させる。
【0087】
[接続モジュール200の構成]
次に、適用形態に係る接続モジュール200の構成について、
図9から
図17までを参照して説明する。
図9は、適用形態に係る接続モジュール200の構成例を示す分解斜視図である。なお、以下の説明では、水平な一方向をX軸方向といい、X軸方向に直交する水平な交差方向をY軸方向といい、X軸方向及びY軸方向に直交する垂直方向をZ軸方向という。また、Z軸回りの回転方向をθ回転方向という。
【0088】
接続モジュール200は、接続モジュール200にかかる荷重をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びZ軸回りに分離して測定する。適用形態の接続モジュール200は、さらにZ軸回りのモーメントを測定する。また、適用形態の接続モジュール200は、搬送装置100の装置本体110側と搬送対象B(
図20及び
図21参照)とを接続する接続機構としての機能を備える。
【0089】
接続モジュール200は、適用形態において、荷重センサ取付部材210と、複数の荷重センサ220と、荷重受け部材230と、カバー部材240と、実施形態と同様の感圧センサ30及び緩衝材40と、取り付け部材250と、を備える。適用形態において、取り付け部材250は、実施形態の接続部材10に相当し、カバー部材240は、実施形態の被接続部材20に相当する。
【0090】
接続モジュール200は、荷重センサ取付部材210、複数の荷重センサ220、荷重受け部材230、カバー部材240、感圧センサ30、及び緩衝材40が、取り付け部材250と分離可能である。荷重センサ取付部材210、複数の荷重センサ220、荷重受け部材230、及びカバー部材240は、摺動部材130の前後方向への移動に伴い昇降機構140によって昇降する。
【0091】
図10は、
図9に示す接続モジュール200の荷重センサ取付部材210の構成例を示す斜視図である。荷重センサ取付部材210は、適用形態において、平面視形状が角丸の正方形状である略四角柱形状に形成されている。荷重センサ取付部材210は、接続モジュール200の基部となる部分であって、昇降機構140の接続機構固定部142に固定される。荷重センサ取付部材210は、例えば、底面及び側面を接続機構固定部142に支持された状態で取り付けられる。荷重センサ取付部材210は、摺動部材130の前後方向の移動に伴って、昇降機構140を介し、装置本体110に対して昇降する。荷重センサ取付部材210には、複数のカバー固定ねじ穴211と、ピン脚収容溝部212と、8つの荷重センサ取付スリット213と、2つの荷重センサ取付凹部214と、配線穴215と、が形成される。
【0092】
カバー固定ねじ穴211は、
図9及び後述の
図14等に示すカバー部材240を荷重センサ取付部材210の上面210a側に固定するためのねじが挿通される穴である。カバー固定ねじ穴211は、荷重センサ取付部材210の上面210a側から、Z軸方向の下方に向かって形成される。カバー固定ねじ穴211は、適用形態において、4つ設けられる。4つのカバー固定ねじ穴211は、平面視における荷重センサ取付部材210の4角近傍の位置に形成される。
【0093】
ピン脚収容溝部212は、後述の荷重受け部材230の脚部235を収容するための溝である。ピン脚収容溝部212は、荷重センサ取付部材210の上面210aから下方に凹状かつ平面視が四角環形状に設けられる。荷重センサ取付部材210は、平面視において、ピン脚収容溝部212の内周より内側の部分が、荷重センサ取付部材210の上面210aにおけるZ軸方向の高さより低く形成される。
【0094】
8つの荷重センサ取付スリット213は、各々後述の荷重センサ220が挿通して取り付けられる穴である。各々の荷重センサ取付スリット213は、荷重センサ取付部材210の上面210aに細長い開口部を有し、上面210a側からZ軸方向下方に向かって形成される。荷重センサ取付スリット213は、平面視において、荷重センサ取付部材210の外周とピン脚収容溝部212の外周との間であって、ピン脚収容溝部212の外周に細長い開口部の長手方向が沿うように形成される。各々の荷重センサ取付スリット213には、荷重センサ220の検出部がピン脚収容溝部212側に向いた状態で露出するように、ピン脚収容溝部212側に荷重センサ用開口213aが形成されている。
【0095】
8つの荷重センサ取付スリット213は、ピン脚収容溝部212の外周近傍に取り付けられる荷重センサ220が均等に配置されるように形成される。すなわち、8つの荷重センサ取付スリット213は、荷重センサ取付部材210の中心に対して、X軸方向に線対称、Y軸方向に線対称、Z軸回りに90°の点対称、かつZ軸方向の高さが同一であるように形成される。具体的には、荷重センサ取付スリット213は、ピン脚収容溝部212の外周の4辺各々の近傍に2つずつ形成される。
【0096】
2つの荷重センサ取付凹部214は、後述の荷重センサ220が取り付けられる凹部である。各々の荷重センサ取付凹部214は、荷重センサ取付部材210のピン脚収容溝部212の内周より内側の部分の上面210bから下方に向かって凹状に形成される。各々の荷重センサ取付凹部214には、荷重センサ220の検出部が上方を向いた状態で荷重センサ取付凹部214に固定するための爪部214aが形成されている。爪部214aは、荷重センサ取付凹部214の縁から、平面視で内側に向かって突出して荷重センサ220の上面側の一部を覆うように形成される。
【0097】
2つの荷重センサ取付凹部214は、取り付けられる荷重センサ220が均等に配置されるように形成される。すなわち、2つの荷重センサ取付凹部214は、荷重センサ取付部材210の中心に対して、X軸方向に線対称、Y軸方向に線対称、かつZ軸方向の高さが同一であるように形成される。具体的には、荷重センサ取付凹部214は、Y軸方向に並んで2つ形成される。
【0098】
配線穴215は、荷重センサ220に接続する配線が通る溝及び孔である。荷重センサ取付スリット213に取り付けられた荷重センサ220に接続する配線は、荷重センサ取付スリット213からピン脚収容溝部212の外周側の内壁に沿って形成された溝を通ってピン脚収容溝部212の底面212aに延びる。
【0099】
また、荷重センサ取付凹部214に取り付けられた荷重センサ220に接続する配線は、荷重センサ取付凹部214からピン脚収容溝部212の内周より内側の部分の上面210b及びピン脚収容溝部212の内周側の内壁に沿って形成された溝を通ってピン脚収容溝部212の底面に延びる。各々の配線は、ピン脚収容溝部212の底面212aと荷重受け部材230の脚部235の下面231bとの間(後述の
図13参照)を這うように配線され、ピン脚収容溝部212の底面212aに形成された孔を経由して、接続モジュール200の外部の他素子に接続する。
【0100】
図11は、
図10に示す接続モジュール200に荷重センサ220を取り付けた状態を示す斜視図である。複数の荷重センサ220は、適用形態において、荷重を検出するひずみゲージ式のロードセルを含む。1つの荷重センサ220(ロードセル)は、2つのひずみゲージを有している。各々の荷重センサ220は、外枠220aと、舌片220bと、を有する(
図9参照)。
【0101】
外枠220aは、四角環形状の板体である。舌片220bは、外枠220aの内周側に設けられる四角形状の板体である。舌片220bは、一辺が、外枠220aの内周縁の一辺に連結して、外枠220aと一体で設けられる。舌片220bの両面には、各々ひずみゲージが1つずつ設けられる。また、舌片220bの一方の面の中心には、後述の荷重受け部材230と接する突起部220cが形成されている。舌片220bは、突起部220cを介して押圧されることで外枠220aとの連結部を中心に揺動する。この際のひずみに基づいて、荷重センサ220は、面に垂直な方向に加わった値からを検出する。
【0102】
複数の荷重センサ220は、第1荷重センサ群と、第2荷重センサ群と、第3荷重センサ群と、を含む。第1荷重センサ群は、荷重受け部材230の基部231を水平な一方向(例えば、Y軸方向)に挟んで支持する。第2荷重センサ群は、荷重受け部材230の基部231を水平かつ一方向に直交する交差方向(例えば、X軸方向)に挟んで支持する。第3荷重センサ群は、荷重受け部材230の基部231を一方向及び交差方向に直交する垂直方向(Z軸方向)の下方から支持する。
【0103】
第1荷重センサ群は、実施形態において、第1正荷重センサ221p及び第2正荷重センサ222pと、第1負荷重センサ221n及び第2負荷重センサ222nと、の4個のロードセルを含む。第2荷重センサ群は、実施形態において、第3正荷重センサ223p及び第4正荷重センサ224pと、第3負荷重センサ223n及び第4負荷重センサ224nと、の4個のロードセルを含む。第3荷重センサ群は、実施形態において、第5荷重センサ225及び第6荷重センサ226の4個のロードセルを含む。すなわち、実施形態の複数の荷重センサ220は、合計10個のロードセルを含む。なお、以下の説明において、各々の荷重センサを特に区別しない場合は、単に荷重センサ220と称する。
【0104】
第1正荷重センサ221p、第1負荷重センサ221n、第2正荷重センサ222p、第2負荷重センサ222n、第3正荷重センサ223p、第3負荷重センサ223n、第4正荷重センサ224p、及び第4負荷重センサ224nは、突起部220cが荷重センサ用開口213aに向くように立たせ、荷重センサ取付部材210の荷重センサ取付スリット213に挿通して取り付けられる。荷重センサ取付スリット213に取り付けられた荷重センサ220は、上端部が荷重センサ取付部材210の上面210aより上方に突出している。荷重センサ取付スリット213に取り付けられた8つの荷重センサ220は、荷重センサ用開口213aから突起部220cがピン脚収容溝部212側に突出した位置で、外枠220aが荷重センサ取付部材210に支持される。
【0105】
第1正荷重センサ221pと第1負荷重センサ221nとは、荷重センサ取付部材210の中心に対してY軸方向に対向する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。第2正荷重センサ222pと第2負荷重センサ222nと荷重センサ取付部材210の中心に対してY軸方向に対向する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。第1正荷重センサ221pと第2正荷重センサ222pとは、X軸方向に隣接する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。第1負荷重センサ221nと第2負荷重センサ222nとは、X軸方向に隣接する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。
【0106】
第3正荷重センサ223pと第3負荷重センサ223nとは、荷重センサ取付部材210の中心に対してX軸方向に対向する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。第4正荷重センサ224pと第4負荷重センサ224nとは、荷重センサ取付部材210の中心に対してX軸方向に対向する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。第3正荷重センサ223pと第3負荷重センサ223nとは、Y軸方向に隣接する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。第4正荷重センサ224pと第4負荷重センサ224nとは、Y軸方向に隣接する位置の荷重センサ取付スリット213に取り付けられる。
【0107】
また、荷重センサ取付スリット213に取り付けられる8つの荷重センサ220は、隣接する荷重センサ220と上下が逆になるように取り付けられる(
図9参照)。具体的には、第1正荷重センサ221p、第2負荷重センサ222n、第3負荷重センサ223n、及び第4正荷重センサ224pは、外枠220aと舌片220bとの連結部が上方に位置するように取り付けられる。また、第1負荷重センサ221n、第2正荷重センサ222p、第3正荷重センサ223p、及び第4負荷重センサ224nは、外枠220aと舌片220bとの連結部が下方に位置するように取り付けられる。これにより、荷重センサ220は、隣接する荷重センサ220の突起部220cのZ軸方向の位置がずれた状態で配置される。
【0108】
第5荷重センサ225及び第6荷重センサ226は、突起部220cが上方を向くように寝かせ、荷重センサ取付凹部214に嵌め込んで取り付けられる。荷重センサ取付凹部214に取り付けられた2つの荷重センサ220は、突起部220cがピン脚収容溝部212の内周より内側の部分の上面210bより上方に突出した位置で、外枠220aが荷重センサ取付部材210に支持される。
【0109】
また、荷重センサ取付凹部214に取り付けられる2つの荷重センサ220は、外枠220aと舌片220bとの連結部の位置がY軸方向に逆になるように取り付けられる。具体的には、第5荷重センサ225は、外枠220aと舌片220bとの連結部がY軸の負方向に位置するように取り付けられる。また、第6荷重センサ226は、外枠220aと舌片220bとの連結部がY軸の正方向に位置するように取り付けられる。
【0110】
このように、荷重センサ220は、後述の荷重受け部材230の、Y軸方向、X軸方向、及びZ軸方向の変位に応じた第1測定値、第2測定値、及び第3測定値を測定する。測定された各測定値は、例えば、搬送装置100の制御部122に出力される。制御部122は、各測定値に基づいて、荷重受け部材230にかかるX軸、Y軸及びZ軸の荷重と、Z軸回りのθ回転方向のモーメントと、を算出する。
【0111】
図12は、
図9に示す接続モジュール200の荷重受け部材230の構成例を示す斜視図である。
図13は、
図11に示す荷重センサ取付部材210及び荷重センサ220に
図12に示す荷重受け部材230を取り付けた状態を示す断面図である。荷重受け部材230は、後述の取り付け部材250を介して搬送対象Bにかかる荷重を受け、荷重センサ220に伝達する部材である。荷重受け部材230は、基部231と、接続ピン部232と、を有する。
【0112】
基部231は、荷重センサ220を介して荷重センサ取付部材210に支持される部分であり、適用形態において、平面視形状が角に丸みを含む正方形状である略四角柱形状に形成されている。基部231は、荷重受け部材230が荷重センサ220を介して荷重センサ取付部材210に支持されている状態において、上面231aが荷重センサ取付部材210の上面210aより下方に位置する。基部231は、凹状部233、234と、脚部235と、を含む。
【0113】
凹状部233は、基部231の下面231b側から上方に向かって凹状に形成され、底面視形状が、角に丸みを含む正方形状の凹状部である。凹状部234は、凹状部233の天面からさらに上方に向かって凹状に形成され、底面視形状が、角に丸みを含む正方形状の凹状部である。凹状部233及び凹状部234は、平面視における中心が基部231の中心となるように形成される。すなわち、基部231の下面231b側には、2段階の四角環形状部分が形成される。脚部235は、凹状部233の外周より外側の四角環形状部分である。
【0114】
荷重受け部材230は、荷重センサ取付部材210に対して、直接接触しないように設けられ、複数の荷重センサ220を介して荷重センサ取付部材210に支持される。この際、基部231は、脚部235がピン脚収容溝部212に収容され、4方の側面が荷重センサ220に接触されて支持される。また、基部231は、凹状部233及び凹状部234がピン脚収容溝部212の内周より内側の部分の上面210bと対向する。
【0115】
荷重受け部材230は、凹状部234の天面が、第5荷重センサ225及び第6荷重センサ226の突起部220cに支持されることによって、下方から支持される。凹状部233及び凹状部234は、第5荷重センサ225及び第6荷重センサ226の外枠220aには接触しない。すなわち、第5荷重センサ225と第6荷重センサ226とは、隣接して配置され、いずれも荷重受け部材230の底面(凹状部234の天面)側からかかる荷重を受けるので、第5荷重センサ225及び第6荷重センサ226に荷重受け部材230から加わる力は、同方向となる。
【0116】
荷重受け部材230は、脚部235の外周側の側面が、第1正荷重センサ221p、第1負荷重センサ221n、第2正荷重センサ222p、第2負荷重センサ222n、第3正荷重センサ223p、第3負荷重センサ223n、第4正荷重センサ224p、及び第4負荷重センサ224nの突起部220cに支持されることによって、側方から支持される。脚部235は、ピン脚収容溝部212の内壁及び底面212aには接触しない。
【0117】
前述のとおり第1正荷重センサ221pと第1負荷重センサ221nとは、Y軸方向に荷重受け部材230を挟んで対向して配置されるので、第1正荷重センサ221p及び第1負荷重センサ221nに荷重受け部材230から加わる力は、逆方向となる。同様に、第2正荷重センサ222pと第2負荷重センサ222nとは、Y軸方向に荷重受け部材230を挟んで対向して配置されるので、第2正荷重センサ222p及び第2負荷重センサ222nに荷重受け部材230から加わる力は、逆方向となる。
【0118】
また、第3正荷重センサ223pと第3負荷重センサ223nとは、X軸方向に荷重受け部材230を挟んで対向して配置されるので、第3正荷重センサ223p及び第3負荷重センサ223nに荷重受け部材230から加わる力は、逆方向となる。同様に、第4正荷重センサ224pと第4負荷重センサ224nとは、X軸方向に荷重受け部材230を挟んで対向して配置されるので、第4正荷重センサ224p及び第4負荷重センサ224nに荷重受け部材230から加わる力は、逆方向となる。
【0119】
接続ピン部232は、基部231の上面231a側の中心部から突出して軸方向(Z軸方向)に延びて形成される。接続ピン部232は、後述の取り付け部材250の嵌合孔254に下方から挿通して嵌合孔254に挿入可能である。接続ピン部232は、第1柱部232aと、第2柱部232bと、を含む。
【0120】
第1柱部232aは、接続ピン部232の上端部に位置し、軸方向がZ軸方向に平行かつXY断面の形状が一定である柱形状である。
図12に示す適用形態の第1柱部232aは、軸方向と直交する平面で切った断面(以降の説明では、XY断面と称す)形状が角部に丸みを含む正方形状である四角柱形状であるが、本実施形態では真円柱を除く柱形状であればどのような形状でもよく、四角柱以外の角柱又は楕円柱でもよい。さらに、第1柱部232aは、XY断面形状が、ルーローの多角形やレモン型等、辺の部分が外側に膨出しているような形状でもよい。すなわち、第1柱部232aは、軸方向に視た形状が真円以外の形状を有する。第1柱部232aは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0121】
また、第1柱部232aの側辺に対応する角状部232cは、適用形態のように角丸や面取りされた形状であってもよい。なお、第1柱部232aが楕円柱である場合は、長軸の両端部分を角状部232cとみなす。また、第1柱部232aの上面232dは、適用形態において、XY平面に平行な平坦面に形成される。
【0122】
第2柱部232bは、第1柱部232aの下方に位置し、軸方向がZ軸方向に平行かつ指数関数テーパ又は放物線テーパ等の裾広がりである柱形状である。第2柱部232bは、上端部の側面が第1柱部232aの下端部の側面に連続し、下端部の側面が基部231の上面231aに連続する。
【0123】
図14は、
図9に示す接続モジュール200のカバー部材240の構成例を示す平面図である。
図15は、
図9に示す接続モジュール200の接続状態を示す断面図である。
図16は、
図15に示す接続状態の空洞部244を示す断面図である。カバー部材240は、実施形態の接続状態検出機構1における被接続部材20に相当する。適用形態のカバー部材240は、荷重センサ取付部材210に支持された荷重センサ220の上方を覆う四角環形状の保護部材である。カバー部材240は、下面が荷重センサ取付部材210の上面210aに固定され、荷重受け部材230に対して直接接触しないように設けられる。すなわち、カバー部材240の下面は、荷重センサ取付部材210に固定されている状態において、荷重センサ220を介して荷重センサ取付部材210に支持される荷重受け部材230の基部231の上面231aとの間に間隙を有する。
【0124】
また、荷重受け部材230及びカバー部材240は、荷重センサ取付部材210及び荷重センサ220を介して、一体で昇降する。カバー部材240の上面240aは、荷重受け部材230と後述の取り付け部材250とが接続状態である場合、取り付け部材250の下面251bと対向する。カバー部材240は、固定ねじ孔241と、荷重センサ用穴242と、ピン用開口243と、実施形態の被接続部材20の空洞部21に相当する空洞部244と、配線孔245と、を有する。
【0125】
固定ねじ孔241は、カバー部材240を荷重センサ取付部材210(
図10等参照)の上面210a側に固定するためのねじが挿通される穴である。固定ねじ孔241は、Z軸方向に貫通して形成される。固定ねじ孔241は、平面視において、荷重センサ取付部材210のカバー固定ねじ穴211に対応する位置に同数設けられ、適用形態では、平面視における4角近傍の位置に各々1つ、計4つ形成される。
【0126】
荷重センサ用穴242は、8つの荷重センサ取付スリット213に取り付けられた各々の荷重センサ220の、荷重センサ取付部材210の上面210aより上方に突出している上端部が挿入するための孔である。荷重センサ用穴242は、カバー部材240の下面側から、Z軸方向の上方に向かって形成され、適用形態においては、Z軸方向に貫通して設けられる。荷重センサ用穴242は、平面視において、荷重センサ取付スリット213に対応する位置に同数設けられ、適用形態では、4辺近傍の位置に各々2つずつ、計8つ形成される。カバー部材240が荷重センサ取付部材210の上面210aに固定された状態において、8つの荷重センサ取付スリット213に取り付けられた荷重センサ220は、上端が荷重センサ取付部材210の上面210aより下方に位置する。
【0127】
ピン用開口243は、荷重受け部材230の接続ピン部232が挿通される開口である。すなわち、ピン用開口243は、四角環形状のカバー部材240の内周より内側の部分を示す。ピン用開口243は、平面視において、接続ピン部232より外側に内縁が離隔するように形成される。
【0128】
空洞部244は、収容部244aと、ピン挿通穴244bと、を含む。収容部244aは、カバー部材240の内部に空洞状に設けられる。収容部244aは、底面の形状が感圧センサ30に沿う柱状の空洞状であり、底面に感圧センサ30を収容する。適用形態の収容部244aは、軸方向(Z軸方向)に視て、長手方向がカバー部材240の外縁に沿うように形成される。ピン挿通穴244bは、一端がカバー部材240の上面240aに開口し、他端が収容部244aの天面側に連通し、軸方向に延びる穴である。ピン挿通穴244bは、収容部244aの長手方向の一方の端部寄りに形成される。ピン挿通穴244bには、上面240a側の開口から、後述の取り付け部材250の押圧ピン255が挿通可能である。
【0129】
カバー部材240は、適用形態において、2つの空洞部244を有する。2つの空洞部244は、軸方向に視て、各々のピン挿通穴244bの位置が、後述の取り付け部材250の各々の押圧ピン255の位置に一致するように配置される。すなわち、空洞部244のピン挿通穴244bは、押圧ピン255の数及び位置に対応した数及び位置に設けられる。適用形態のピン挿通穴244bは、軸方向に視て、点対称に配置される。空洞部244の収容部244aは、適用形態において、軸方向に視て、収容部244aの長手方向がカバー部材240の外縁に沿うように、点対称に配置される。空洞部244は、適用形態において、対角線上の2つの固定ねじ孔241近傍に1つずつ、計2つ形成される。
【0130】
適用形態の感圧センサ30は、基部31がカバー部材240の収容部244aの底面上に収容されるとともに、機能部32の感圧面32aがピン挿通穴244bの底部に位置し、感圧面32aがカバー部材240の上面240aに平行かつピン挿通穴244bの開口側を向くように、空洞部244に配置される。
【0131】
適用形態の緩衝材40は、実施形態と同様に、感圧センサ30の感圧面32aを覆うように設けられる。緩衝材40は、適用形態において、軸方向に視て、ピン挿通穴244bと同形状である。
【0132】
配線孔245は、後述の感圧センサ30に接続する配線が通る孔である。配線は、配線孔245を経由して、例えば、荷重センサ取付部材210の配線穴215を経由して、接続モジュール200の外部の他素子に接続する。
【0133】
図17は、
図9に示す接続モジュール200の取り付け部材250の構成例を示す斜視図である。取り付け部材250は、実施形態の接続状態検出機構1における接続部材10に相当する。適用形態の取り付け部材250は、搬送対象B(
図20及び
図21参照)に取り付けられる部材である。取り付け部材250は、荷重受け部材230と接続可能かつ分離可能である。取り付け部材250を荷重受け部材230に接続することにより、搬送装置100は、搬送対象Bに接続される。取り付け部材250は、基部251と、孔形成部252と、複数(適用形態では4つ)の固定孔253と、嵌合孔254と、実施形態の接続部材10の押圧ピン11に相当する押圧ピン255と、を有する。
【0134】
基部251は、搬送対象B(
図20及び
図21参照)に取り付けられる部分であり、適用形態において、平面視形状が角に丸みを含む正四角環形状の厚板状に形成されている。基部251の上面251a(
図9等参照)側は、搬送対象Bの下面側に対向する。
【0135】
孔形成部252は、平面視で基部251の下面251b側から下方に向かって凸状に形成され、平面視形状が、角に丸みを含む正方形状の凸状部である。孔形成部252は、平面視における中心が基部251の中心となるように形成される。すなわち、基部251は、孔形成部252の外周より外側に四角環形状の下面251bを有する。取り付け部材250は、孔形成部252の部分のZ軸方向の厚みが、孔形成部252の外周より外側の四角環形状の部分の厚みより大きく形成される。
【0136】
固定孔253は、取り付け部材250を搬送対象B(
図20及び
図21参照)の下面側に固定するためのねじが挿通される穴である。固定孔253は、取り付け部材250の基部251をZ軸方向に貫通して形成され、例えば、内周面に雌ねじを含む。固定孔253は、適用形態において、4つ設けられる。4つの固定孔253は、平面視における取り付け部材250の4角近傍の位置に形成される。取り付け部材250は、例えば、基部251の上面251aを搬送対象Bの下面側に合わせた状態で、ねじ等を固定孔253の下方から螺合することによって、上面251aが搬送対象Bの下面に固定される。
【0137】
嵌合孔254は、取り付け部材250の孔形成部252をZ軸方向に貫通する孔であって、荷重受け部材230の接続ピン部232が下方から挿入可能である。嵌合孔254は、平面視で取り付け部材250の中心部に形成される。嵌合孔254は、第1孔部254aと、第2孔部254bと、第3孔部254cと、が順に連通する。
【0138】
第1孔部254aは、適用形態において、第2孔部254b及び第3孔部254cより下方に位置する。第1孔部254aは、取り付け部材250の下面側に開口し、軸方向がZ軸方向に平行な孔である。第1孔部254aは、第2孔部254bに向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有する。適用形態の第1孔部254aは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状である。第1孔部254aは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0139】
第2孔部254bは、第1孔部254aと第3孔部254cとの間に位置する。第2孔部254bは、第1孔部254aの上方に連通し、軸方向がZ軸方向に平行な孔である。第2孔部254bは、第3孔部254cに向かって徐々に小さくなり、かつ第1孔部254aのテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有する。適用形態の第2孔部254bは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状である。第2孔部254bは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0140】
第3孔部254cは、適用形態において、第1孔部254a及び第2孔部254bより上方に位置する。第3孔部254cは、第2孔部254bの上方に連通し、軸方向がZ軸方向に平行かつXY断面の形状が一定である孔である。第3孔部254cは、荷重受け部材230の接続ピン部232の第1柱部232aが嵌合可能な穴である。第3孔部254cは、第1柱部232aに嵌合している状態において、角状部254dが第1柱部232aの角状部232cに対向する。
【0141】
適用形態の第3孔部254cは、取り付け部材250の上面251a側に開口する。適用形態の第3孔部254cは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状であるが、外周に凹状の角部及び凹状の曲面を含まず、嵌合時に第1柱部232aのθ回転方向の回転を規制可能であれば、どのような形状でもよい。第3孔部254cは、XY断面形状が、回転対称であることが好ましい。
【0142】
なお、嵌合孔254は、第1孔部254aと第2孔部254bとの境界面における短径をLとし、荷重受け部材230の第1柱部232aの上面232dにおける長径をDとした場合、L=1/Dの関係が成り立つように形成される。
【0143】
荷重受け部材230は、接続ピン部232を嵌合孔254の下方から挿通する際、第1柱部232aが嵌合孔254の第1孔部254a、第2孔部254bに順次ガイドされて、第3孔部254cに嵌合される。接続ピン部232と嵌合孔254とのXY平面方向の位置がずれている場合は、嵌合孔254の第1孔部254aが接続ピン部232の第1柱部232aをガイドすることで、接続ピン部232がXY平面方向に位置決めされる。また、接続ピン部232と嵌合孔254とのZ軸回りのθ回転方向の位置がずれている場合は、嵌合孔254の第2孔部254bが接続ピン部232の第1柱部232aをガイドすることで、嵌合孔254に対して接続ピン部232がθ回転方向に回転して位置決めされる。そして、第1柱部232aの角状部232cが嵌合孔254の第3孔部254cの角状部254dに対向する位置で、荷重受け部材230が上昇し、第1柱部232aと第3孔部254cとが嵌合する。
【0144】
第3孔部254cに第1柱部232aが嵌合することによって、荷重受け部材230と取り付け部材250とは、XY平面方向及びθ回転方向に位置決めされる。また、第3孔部254cに第1柱部232aが嵌合して、取り付け部材250の孔形成部252の下縁252aが、荷重受け部材230の基部231の上面231aに接して支持されることによって、荷重受け部材230と取り付け部材250とは、Z軸方向に位置決めされる。すなわち、荷重受け部材230と取り付け部材250とは、4軸で位置決め可能である。
【0145】
なお、接続ピン部232が嵌合孔254に嵌合するまでは、接続ピン部232が嵌合孔254の内壁に接触しているので、取り付け部材250にかかる軸方向(Z軸方向)の荷重は、接続ピン部232にもかかる。一方で、接続ピン部232が嵌合孔254に嵌合し、接続モジュール200が接続状態である場合であって、搬送装置100が静止している場合、取り付け部材250にかかる軸方向の静的な荷重は、接続ピン部232ではなく荷重受け部材230の基部231が受ける。搬送装置100が走行すると、加減速によるXY平面方向への加速度や振動によるZ軸方向への加速度がかかるため、接続ピン部232の第1柱部232aも嵌合孔254の第3孔部254cから荷重を受ける。
【0146】
嵌合孔254は、第1柱部232aが第3孔部254cに嵌合している状態において、平面視で第1孔部254aの下端部における外周縁が荷重受け部材230の基部231より内側に位置する。適用形態の荷重受け部材230は、第1柱部232aが第3孔部254cに嵌合し、基部231で取り付け部材250を下方から支持している状態において、第1柱部232aの上面232dが、取り付け部材250の上面251aと同一の高さ、又は上面251aより下方の位置に維持される。
【0147】
適用形態の第2孔部254bは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状であるが、本実施形態では正方形状に限定されない。例えば、第1柱部232a及び第3孔部254cのXY断面形状が正多角形状である場合、第2孔部254bは、外周に凹状の角部及び凹状の曲面を含まず、XY断面形状が第1柱部232a及び第3孔部254cのXY断面の頂点数以下の正多角形状であればよい。
【0148】
適用形態の第1孔部254aは、XY断面形状が角部に丸みを含む正方形状であるが、本実施形態では正方形状に限定されない。例えば、第2孔部254bのXY断面形状が正多角形状である場合、第1孔部254aは、外周に凹状の角部及び凹状の曲面を含まず、XY断面形状が第2孔部254bのXY断面の頂点数以下の正多角形状、又は円形状であればよい。
【0149】
押圧ピン255は、基部251の下面251bから突出して軸方向に延びて形成される。押圧ピン255は、軸方向の先端255a(
図16における下端)に向かって徐々に小さくなるようなドーム形状を含む。押圧ピン255は、軸方向の長さが、カバー部材240のピン挿通穴244bの深さより長い。押圧ピン255は、荷重受け部材230と取り付け部材250とが接続状態である場合、感圧センサ30を押圧する突起である。押圧ピン255は、適用形態において、緩衝材40を介して感圧センサ30を押圧する。
【0150】
取り付け部材250は、適用形態において、2つの押圧ピン255を有する。2つの押圧ピン255は、荷重受け部材230と接続状態である場合において、軸方向に視て、カバー部材240の各々のピン挿通穴244bの位置に一致するように配置される。すなわち、押圧ピン255は、空洞部244のピン挿通穴244bの数及び位置に対応した数及び位置に設けられる。適用形態の押圧ピン255は、軸方向(Z軸方向)に視て、点対称に配置される。
【0151】
押圧ピン255は、カバー部材240と一体で移動する荷重受け部材230の接続ピン部232が、取り付け部材250の嵌合孔254に挿通される際、第1柱部232aの上面232dが第1孔部254a及び第2孔部254bに位置する場合、押圧ピン255の先端255aは、カバー部材240の上面240aより上方に位置する。すなわち、この状態において、接続ピン部232が嵌合孔254に対してθ回転方向に回転しても、押圧ピン255とカバー部材240のピン挿通穴244bとは干渉しない。
【0152】
押圧ピン255は、第1柱部232aと第3孔部254cとが嵌合すると、空洞部244に挿通される。この際、押圧ピン255は、空洞部244の下方の収容部244aに配置される感圧センサ30の感圧面32aを、緩衝材40を介して押圧する。感圧センサ30は、押圧ピン255の先端255aによる緩衝材40を介した感圧センサ30の押圧を検出する。すなわち、感圧センサ30は、荷重受け部材230と取り付け部材250との接続状態を検出する。
【0153】
押圧ピン255は、適用形態において、軸方向(Z軸方向)に視て、対角状に配置される2つの押圧ピン255を含む。これにより、2つの押圧ピン255のいずれもが各々緩衝材40を介して感圧センサ30を押圧したことを感圧センサ30が検出した場合に、荷重受け部材230と取り付け部材250との接続状態が正常であると判断することが可能である。押圧ピン255は、適用形態の2つが対角状に配置される構成に限定されず、3つ以上配置されてもよく、Z軸方向視で線対称又は点対称に配置されることが好ましい。
【0154】
[接続モジュール200による4軸荷重測定]
接続モジュール200は、搬送装置100に搬送対象Bが接続し、搬送装置100が移動したり、搬送対象Bに搬送者の力がかけられたりした際に、取り付け部材250を介して荷重受け部材230に荷重が加わる。荷重受け部材230に荷重がかかると、荷重受け部材230は、基部231を支持する荷重センサ220に、かかった荷重を伝達する。
【0155】
ここで、荷重受け部材230から伝達された荷重を、
図9、
図11及び
図13に示す荷重センサ220が測定する方法について説明する。荷重センサ取付スリット213に取り付けられる8つの荷重センサ220では、各々2つずつの荷重センサ220を用いてホイーストンブリッジ回路とし、正負方向のひずみに対する差動出力電圧値を測定する。
【0156】
具体的には、X軸方向に対向する第3正荷重センサ223p及び第3負荷重センサ223nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、X軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS3±を測定する。また、X軸方向に対向する第4正荷重センサ224p及び第4負荷重センサ224nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、X軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS4±を測定する。
【0157】
また、Y軸方向に対向する第1正荷重センサ221p及び第1負荷重センサ221nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、Y軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS1±を測定する。また、Y軸方向に対向する第2正荷重センサ222p及び第2負荷重センサ222nは、ホイーストンブリッジ回路を構成し、Y軸方向へのひずみに対する差動出力電圧値VS2±を測定する。
【0158】
差動出力電圧値V
S1±、V
S2±、V
S3±、V
S4±を測定する荷重センサ220(ひずみゲージ)の回路図について説明する。
図18は、X軸方向又はY軸方向に対向して配置される荷重センサ220の回路図の一例である。なお、以下の説明では、一例として、第1正荷重センサ221p及び第1負荷重センサ221nの回路図として説明するが、第2正荷重センサ222p及び第2負荷重センサ222n、第3正荷重センサ223p及び第3負荷重センサ223n、第4正荷重センサ224p及び第4負荷重センサ224nも同様の回路構成を有する。
【0159】
図18に示す回路図では、ブリッジ回路の4辺に各々、ひずみゲージGp
1、Gp
2、Gn
1、Gn
2が接続される。ひずみゲージGp
1は、第1正荷重センサ221pの突起部220c側の面に設けられ、ブリッジ回路において、1辺に設けられる。ひずみゲージGp
2は、第1正荷重センサ221pのひずみゲージGp
1とは反対側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージGp
1が設けられる辺に隣接する1辺に設けられる。ひずみゲージGn
1は、第1負荷重センサ221nの突起部220c側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージGp
1が設けられる辺の対辺に設けられる。ひずみゲージGn
2は、第1負荷重センサ221nのひずみゲージGn
1とは反対側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージGp
2が設けられる辺の対辺に設けられる。前述のとおり、第1正荷重センサ221p及び第1負荷重センサ221nに荷重受け部材230から加わる力は、逆方向なので、ひずみゲージGp
1及びひずみゲージGn
2が同方向にひずみ、ひずみゲージGp
3及びひずみゲージGn
1がその逆方向にひずむ。
【0160】
図18に示す回路図では、下方から印加電圧V
INをかけることで、右方に出力電圧V
OUTが出力される。ゲージ率をKとし、ひずみをεとすると、出力電圧V
OUTは、以下の数式(1)で示される。なお、出力電圧V
OUTは、回路に接続する荷重センサ220が第1正荷重センサ221p及び第1負荷重センサ221nである場合、V
S1±である。
【0161】
【0162】
また、荷重センサ取付凹部214に取り付けられる2つの荷重センサ220では、各々正方向のひずみに対する出力電圧値を測定する。具体的には、Y軸方向に並ぶ第5荷重センサ225及び第6荷重センサ226は、各々Z軸の正方向へのひずみに対する出力電圧値VS5+、VS6+を測定する。
【0163】
出力電圧値V
S5+、V
S6+を測定する荷重センサ220(ひずみゲージ)の回路図について説明する。
図19は、Z軸方向の上方に突起部220cを向けて配置される荷重センサ220の回路図の一例である。なお、以下の説明では、一例として、第5荷重センサ225の回路図として説明するが、第6荷重センサ226も同様の回路構成を有する。
【0164】
図19に示す回路図では、ブリッジ回路の隣接する4辺に各々、ひずみゲージG
1、G
2及び固定抵抗R
1、R
2が接続されている。ひずみゲージG
1は、第5荷重センサ225の突起部220c側の面に設けられ、ブリッジ回路において、1辺に設けられる。ひずみゲージG
2は、第5荷重センサ225のひずみゲージG
1とは反対側の面に設けられ、ブリッジ回路において、ひずみゲージG
1が設けられる辺に隣接する1辺に設けられる。固定抵抗R
1は、ブリッジ回路において、ひずみゲージG
1が設けられる辺の対辺に設けられる。固定抵抗R
2は、ブリッジ回路において、ひずみゲージG
2が設けられる辺の対辺に設けられる。前述のとおり、第5荷重センサ225及び第6荷重センサ226に荷重受け部材230から加わる力は、同方向なので、第5荷重センサ225のひずみゲージG
1及び第6荷重センサ226ひずみゲージG
1が同方向にひずみ、第5荷重センサ225のひずみゲージG
2及び第6荷重センサ226ひずみゲージG
2がその逆方向にひずむ。
【0165】
図19に示す回路図では、下方から印加電圧V
INをかけることで、右方に出力電圧V
OUTが出力される。出力電圧V
OUTは、以下の数式(2)で示される。なお、出力電圧V
OUTは、回路に接続する荷重センサ220が第5荷重センサ225である場合、V
S5+であり、回路に接続する荷重センサ220が第6荷重センサ226である場合、V
S6+である。
【0166】
【0167】
このように接続モジュール200によって測定された各測定値は、例えば、搬送装置100の制御部122に出力される。制御部122は、各測定値に基づいて、荷重受け部材230にかかる3軸の荷重、及びZ軸回りのモーメントを算出する。1[N]を荷重センサ220に加えた時の出力電力値をVcalとする場合、X軸方向にかかる荷重Fx、Y軸方向にかかる荷重Fy、及びZ軸方向にかかる荷重Fzは、以下の数式(3)、(4)、(5)によって示される。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
また、荷重受け部材230の原点から荷重センサ220の突起部220cとの接点までの距離をlとし、荷重受け部材230のZ軸回りの回転角度をφとする場合、Z軸回りのモーメントM
zは、以下の数式(6)によって示される。なお、荷重受け部材230の原点は、平面視で荷重受け部材230の中心に位置し、例えば、
図13に示す荷重受け部材230の上面232dに位置するように設定される。また、角度φは、X軸方向又はY軸方向に隣接する2つの荷重センサ220の突起部220cと荷重受け部材230との2つの接点のY軸方向又はX軸方向のひずみ量の差に基づいて算出される。
【0172】
【0173】
[搬送装置100の搬送対象Bへの接続動作]
次に、搬送装置100の搬送対象Bへの接続動作について、
図20及び
図21を参照して説明する。
図20は、
図4に示す搬送装置100の搬送対象Bへの接続前の状態を一部断面で示す側面図である。
図21は、
図4に示す搬送装置100の搬送対象Bへの接続後の状態を一部断面で示す側面図である。
【0174】
適用形態の搬送装置100で搬送対象Bを搬送する場合、作業者は、搬送対象Bに予め取り付け部材250を取り付けておく。作業者は、例えば、ねじ(不図示)等で、取り付け部材250の基部251の上面251aを搬送対象Bの下面側に固定する。搬送装置100が搬送する搬送対象Bが複数である場合は、全ての搬送対象Bに予め取り付け部材250を取り付けておく。また、作業者は、直動アクチュエータ150によって摺動部材130を介して昇降機構140を駆動させ、荷重センサ取付部材210及び荷重受け部材230を下降させておく。
【0175】
接続時には、まず、駆動輪120を駆動して、
図20に示すように、取り付け部材250を取り付けた搬送対象Bの下方に潜り込ませるよう、搬送装置100を走行させる。次に、取り付け部材250の嵌合孔254の直下に荷重受け部材230の接続ピン部232を対向させるように位置づける。
【0176】
次に、直動アクチュエータ150を伸長させる方向に駆動する。直動アクチュエータ150の伸長に伴って、可動部152が摺動部材130を前後方向の回転軸部材143a側(
図20及び
図21に示す右方)に移動させる。すると、
図21に示すように、摺動部材130とともに、第2リンクアーム144の摺動軸部材144bが基台固定部141のガイド孔141b内で回転軸部材143a側に移動する。
【0177】
これとともに、第2リンクアーム144は、回転軸部材144aの軸心回りに回転し、中央軸部材145を介して連結される第1リンクアーム143は、回転軸部材143aの軸心回りに回転するとともに、摺動軸部材143bが接続機構固定部142のガイド孔142b内で回転軸部材144a側に移動する。これにより、接続機構固定部142とともに荷重センサ取付部材210、荷重センサ220、荷重受け部材230、及びカバー部材240が上昇する。
【0178】
上昇した荷重受け部材230は、取り付け部材250に下方から接近し、接続ピン部232が嵌合孔254に下方から挿通して嵌合する。荷重受け部材230を上昇させる際に、接続ピン部232と嵌合孔254とのXY平面方向の位置、及びZ軸回りのθ回転方向の位置がずれている場合は、前述のとおり、荷重受け部材230の第1柱部232aが嵌合孔254の第1孔部254a、第2孔部254bに順次ガイドされて、第3孔部254cに嵌合される。
【0179】
荷重受け部材230と取り付け部材250とが正確に接続された場合、感圧センサ30が緩衝材40を介して押圧ピン255に押圧されて接続状態を検出する。適用形態においては、2つの押圧ピン255のいずれもが各々緩衝材40を介して感圧センサ30を押圧したことを感圧センサ30が検出した場合、荷重受け部材230と取り付け部材250との接続状態が正常であるものとする。搬送装置100は、接続ピン部232と嵌合孔254とが嵌合することで、搬送対象Bに対して水平方向(XY平面方向)、垂直方向(Z軸方向)、及び垂直軸回りの旋回方向(θ回転方向)の4軸で位置決めされる。
【0180】
これにより、荷重受け部材230が取り付け部材250の水平方向及び垂直軸回りの旋回方向への移動を制限しかつ下方から支持して搬送対象Bを保持するので、接続モジュール200を介して、搬送装置100が搬送対象Bに接続される。この際、搬送装置100が走行すると、走行した方向に接続モジュール200が移動する。搬送装置100は、接続モジュール200を介して搬送対象Bを走行方向に引っ張る。その結果、搬送装置100が移動した方向に、搬送対象Bが搬送される。また、搬送装置100は、接続モジュール200を介して搬送対象Bを右左折移動方向又は旋回移動方向に引っ張る。その結果、搬送装置100の右左折動作又は旋回動作に従って、搬送対象Bが右左折又は旋回する。
【0181】
なお、搬送装置100は、荷重受け部材230と接続可能な取り付け部材250を複数備えていてもよい。複数の搬送対象Bに各々取り付け部材250を取り付けておくことで、搬送装置100で複数の搬送対象Bを順次搬送することができる。
【0182】
搬送装置100が搬送対象Bを搬送中に、大きな段差や障害物等に衝突し、取り付け部材250の嵌合孔254と荷重受け部材230の接続ピン部232との嵌合が外れた場合は、感圧センサ30によって検出可能である。この際、例えば、取り付け部材250の孔形成部252の下縁252aが接続ピン部232の上面232dに乗り上げる等して、荷重受け部材230に荷重がかかり、荷重センサ220では、荷重受け部材230にかかる搬送対象Bの荷重が検出され続けてしまう。しかしながら、このように、嵌合孔254と接続ピン部232との嵌合が外れたりずれたりした場合、少なくとも1つの押圧ピン255がピン挿通穴244bから抜け、感圧センサ30の感圧面32aを押圧しなくなるので、感圧センサ30によって、接続状態解除を検出することができる。
【0183】
搬送装置100を搬送対象Bから離脱させる際には、直動アクチュエータ150を収縮させる方向に駆動する。直動アクチュエータ150の収縮に伴って、可動部152が摺動部材130を前後方向の固定部151側(
図20及び
図21に示す左方)に移動させる。すると、摺動部材130とともに、第2リンクアーム144の摺動軸部材144bが基台固定部141のガイド孔141b内で固定部151側に移動する。
【0184】
これとともに、第2リンクアーム144は、回転軸部材144aの軸心回りに回転し、中央軸部材145を介して連結される第1リンクアーム143は、回転軸部材143aの軸心回りに回転するとともに、摺動軸部材143bが接続機構固定部142のガイド孔142b内で固定部151側に移動する。これにより、接続機構固定部142とともに荷重センサ取付部材210及び荷重受け部材230が下降する。
【0185】
下降した荷重受け部材230は、接続ピン部232が嵌合孔254から下方に抜けて、取り付け部材250の下方に離隔する。これにより、搬送装置100が搬送対象Bから離脱される。
【0186】
以上説明したように、適用形態の接続モジュール200は、接続状態検出機構1と、平面視形状が正方形状である基部231と基部231の上面231aから突出して軸方向に延びる接続ピン部232とを含む荷重受け部材230と、荷重受け部材230の基部231を収容する溝部(ピン脚収容溝部212)を有する荷重センサ取付部材210と、荷重センサ取付部材210に取り付けられ、基部231に接して基部231の変位に応じた測定値を測定する複数の荷重センサ220と、を備え、接続部材10は、対象物(搬送対象B)に取り付けられ、接続ピン部232が挿入可能な嵌合孔254を有する取り付け部材250であり、被接続部材20は、荷重センサ取付部材210の溝部の周りの上面210aを覆うカバー部材240である。
【0187】
これによれば、荷重受け部材230は、対象物(搬送対象B)から取り付け部材250を介して荷重を受け、荷重センサ取付部材210に取り付けられた複数の荷重センサ220によって、受けた荷重が測定される。また、荷重受け部材230は、荷重センサ取付部材210及び荷重センサ220を介してカバー部材240と一体で移動する。したがって、取り付け部材250に設けられた押圧ピン255が、カバー部材240に設けられたピン挿通穴244bの底部に位置する感圧センサ30の感圧面32aを押圧していることを感圧センサ30が検出した場合、荷重受け部材230と取り付け部材250との接続状態が正常であると判断することができる。荷重受け部材230と取り付け部材250との接続状態が正常であることにより、荷重センサ220が測定した荷重受け部材230にかかる荷重の測定値の正確性を確保できる。
【0188】
また、適用形態の接続モジュール200において、接続ピン部232は、軸方向に視た形状が真円以外の形状を有する第1柱部232aを上端部に含み、嵌合孔254は、第1孔部254a、第2孔部254b、第3孔部254cが順に連通し、第1孔部254aは、第2孔部254bに向かって徐々に小さくなるようなテーパ状の内壁を有し、第2孔部254bは、第3孔部254cに向かって徐々に小さくなり、かつ第1孔部254aのテーパ比より小さいテーパ比のテーパ状の内壁を有し、第3孔部254cは、接続ピン部232の第1柱部232aが嵌合可能であり、第3孔部254cに第1柱部232aが嵌合している場合、押圧ピン255は、ピン挿通穴244bを挿通して先端255aで感圧面32aを押圧する。
【0189】
これによれば、接続モジュール200は、荷重受け部材230と取り付け部材250とを位置決めする際に、第1孔部254aで軸方向に交差する平面の2軸方向(X軸方向及びY軸方向)の位置決めをし、第2孔部254bで軸方向回りの回転方向(θ回転方向)の位置決めをし、第3孔部254cでの嵌合で軸方向(Z軸方向)の1軸方向の位置決めをすることによって、一組の嵌合孔254と接続ピン部232との組み合わせのみで、4軸の位置決めが可能である。また、荷重受け部材230は、第1孔部254aにおいて取り付け部材250に対して第2孔部254bの方向に移動すると、第1柱部232aの上端縁の1つの角状部232cが第1孔部254aの内壁に接触して内壁に案内されることで径中心方向に移動する。また、荷重受け部材230は、第2孔部254bにおいて取り付け部材250に対して第3孔部254cの方向に移動すると、第1柱部232aの長径の両端部に位置する角状部232cが第2孔部254bの内壁に接触しながら第2孔部254bの角状部に向かって案内されることで軸中心回りに回転移動する。すなわち、接続モジュール200は、接続ピン部232と嵌合孔254とを対向させた状態から、接続ピン部232を嵌合孔254に挿通するだけで、軸方向に交差する平面の2軸方向、軸方向回りの回転方向、軸方向の1軸方向に順次位置決めされるので、容易に4軸の位置決めが可能である。
【0190】
また、感圧センサ30による検出により、荷重受け部材230と取り付け部材250との接続状態が正常であるか否かを判断できるので、第3孔部254cに第1柱部232aが確実に嵌合されたか否かを判断することができる。取り付け部材250の嵌合孔254と荷重受け部材230の接続ピン部232との嵌合が外れた場合には、感圧センサ30によって検出可能である。この際、例えば、取り付け部材250の嵌合孔254の周りの部分が接続ピン部232の上面232dに乗り上げる等して、荷重受け部材230に荷重がかかると、荷重センサ220では、荷重受け部材230にかかる対象物(搬送対象B)の荷重が検出され続けてしまう。しかしながら、このように、嵌合孔254と接続ピン部232との嵌合が外れたりずれたりした場合、押圧ピン255がピン挿通穴244bから抜け、感圧センサ30の感圧面32aを押圧しなくなるので、感圧センサ30によって、接続状態解除を検出することができる。
【0191】
また、適用形態において、押圧ピン255は、軸方向(Z軸方向)の長さが、ピン挿通穴244bの深さより長い。
【0192】
これによれば、押圧ピン255の先端255aがピン挿通穴244bの底面に達している状態においても、取り付け部材250の下面251bとカバー部材240の上面240aとが面合わせで接触しない。平面間での接触がないため、ロバスト性が向上し、細かな段差や勾配による振動や傾きで、接続解除状態の誤検出を抑制することができる。
【0193】
また、適用形態の搬送装置100において、対象物は、車体と、車体に支持される複数の従動輪と、を備える搬送対象Bであり、搬送装置100は、接続モジュール200と、装置本体110に支持されて装置本体110を搬送する駆動輪120と、装置本体110に対して一方向(適用形態では、前後方向)に移動可能に設けられる摺動部材130と、装置本体110と荷重センサ取付部材210とを接続し、かつ摺動部材130の移動に伴って荷重センサ取付部材210及び複数の荷重センサ220を介して荷重受け部材230を装置本体110に対して昇降させる昇降機構140と、摺動部材130を装置本体110に対して一方向に移動させる直動アクチュエータ150と、を備え、荷重受け部材230は、車体の下面側に固定した取り付け部材250の下方から上昇することで、取り付け部材250を介して搬送対象Bを保持可能、かつ下降することで取り付け部材250及び搬送対象Bから離脱可能である。
【0194】
これによれば、搬送装置100では、移動時に搬送対象Bからかかる荷重を接続モジュール200によって測定することが可能である。また、搬送装置100が搬送対象Bの下に潜り込んで、接続モジュール200が下方から搬送対象Bに接続するので、牽引する搬送装置と比較して、右左折や旋回、前進と後進との切り換え等が容易であり、安定的な走行が可能である。また、押圧ピン255及び感圧センサ30によって、装置本体110側に固定される荷重受け部材230と、搬送対象B側に固定される取り付け部材250との接続状態を常時監視できる。また、搬送対象Bへの接続前に搬送対象Bの下方に潜り込む際は、接続モジュール200を下降させることにより、搬送装置100の全高を小さくできるので、低床の搬送対象Bにも対応が可能である。また、接続モジュール200を下降させることにより搬送対象Bとの接続が容易に解除できるので、複数の搬送対象Bを次々に搬送可能である。
【0195】
なお、本実施形態は、上記態様に限定されるものではない。即ち、本実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0196】
例えば、荷重センサ取付部材210、カバー部材240、及び取り付け部材250は、平面視における外形状が正方形状に限定されず、長方形状、三角形状、円形状等でもよい。また、荷重センサ取付部材210とカバー部材240との固定や、取り付け部材250と搬送対象Bとの固定は、適用形態において、既存製品への汎用性が高いねじ固定を例示しているが、新規のアタッチメント構造を設けて固定するようにしてもよい。また、荷重センサ取付部材210は、荷重センサ220の取り付け部分の材質が特に限定されず、PLA、アルミ、SUS等の様々な材料で実現し得る。
【0197】
また、接続モジュール200は、昇降可能な荷重受け部材230と、搬送対象Bに取り付ける取り付け部材250とが分離可能に設けられる適用形態の態様に限定されず、搬送対象Bの下方から上昇させることで、搬送対象Bの下面に吸着するマグネット又は吸盤を含んでもよい。
【符号の説明】
【0198】
1 接続状態検出機構
10 接続部材
10a 接続面
11 押圧ピン
11a 先端
20 被接続部材
20a 被接続面
21 空洞部
21a 収容部
21b ピン挿通穴
30 感圧センサ
31 基部
32 機能部
32a 感圧面
40 緩衝材
100 搬送装置
110 装置本体
111 基台
111a 駆動輪用開口
112 駆動輪支持部
113 アクチュエータ支持部
115 カバー部材
115a 昇降機構用開口
115b 上面
120 駆動輪
121 回転アクチュエータ
122 制御部
123 バッテリ
124 非常停止ボタン
125 リレースイッチ
130 摺動部材
131 ガイド軸部
132 被固定部
133 凹状部
140 昇降機構
141 基台固定部
141a 軸孔
141b ガイド孔
142 接続機構固定部
142a 軸孔
142b ガイド孔
143 第1リンクアーム
143a 回転軸部材
143b 摺動軸部材
144 第2リンクアーム
144a 回転軸部材
144b 摺動軸部材
145 中央軸部材
150 直動アクチュエータ
151 固定部
152 可動部
200 接続モジュール
210 荷重センサ取付部材
210a、210b 上面
211 カバー固定ねじ穴
212 ピン脚収容溝部
212a 底面
213 荷重センサ取付スリット
213a 荷重センサ用開口
214 荷重センサ取付凹部
214a 爪部
215 配線穴
220 荷重センサ
220a 外枠
220b 舌片
220c 突起部
221p 第1正荷重センサ
221n 第1負荷重センサ
222p 第2正荷重センサ
222n 第2負荷重センサ
223p 第3正荷重センサ
223n 第3負荷重センサ
224p 第4正荷重センサ
224n 第4負荷重センサ
225 第5荷重センサ
226 第6荷重センサ
230 荷重受け部材
231 基部
231a 上面
231b 下面
232 接続ピン部
232a 第1柱部
232b 第2柱部
232c 角状部
232d 上面
233、234 凹状部
235 脚部
240 カバー部材(被接続部材)
240a 上面
241 固定ねじ孔
242 荷重センサ用穴
243 ピン用開口
244 空洞部
244a 収容部
244b ピン挿通穴
245 配線孔
250 取り付け部材(接続部材)
251 基部
251a 上面
251b 下面
252 孔形成部
252a 下縁
253 固定孔
254 嵌合孔
254a 第1孔部
254b 第2孔部
254c 第3孔部
254d 角状部
255 押圧ピン
255a 先端
B 搬送対象