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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010676
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】固形組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20230113BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K9/20
A61K31/05
A61K47/26
A61K47/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110026
(22)【出願日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2021113913
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】小関 善史
(72)【発明者】
【氏名】阪田 哲郎
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD41C
4C076DD46C
4C076DD67
4C076EE30
4C076EE31
4C076FF36
4C076FF52
4C076FF63
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206NA05
4C206NA09
4C206ZA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カンナビジオールを配合するにもかかわらず、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能な固形組成物を提供すること。
【解決手段】下記(a)~(b)、並びに、(c)及び(d)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする固形組成物。
(a)カンナビジオール
(b)糖アルコール、オリゴ糖、単糖から選ばれる少なくとも1種の糖類
(c)滑沢剤
(d)多糖類
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)~(b)、並びに、(c)及び(d)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする固形組成物。
(a)カンナビジオール
(b)糖アルコール、オリゴ糖、単糖から選ばれる少なくとも1種の糖類
(c)滑沢剤
(d)多糖類
【請求項2】
下記(a)~(d)を含有することを特徴とする固形組成物。
(a)カンナビジオール
(b)糖アルコール、オリゴ糖、単糖から選ばれる少なくとも1種の糖類
(c)滑沢剤
(d)多糖類
【請求項3】
下記(a)及び(b1)を含有することを特徴とする固形組成物。
(a)カンナビジオール
(b1)マルチトール、スクロース、マルトース、グルコースから選ばれる少なくとも1種の糖類
【請求項4】
錠剤であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の固形組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビジオールを含有する固形組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
新たな薬理作用を期待した成分として、カンナビジオール(CBD)が注目されている。カンナビジオールとは、麻に含まれるカンナビノイドの一種であり、例えばてんかん発作の治療薬や、結節性硬化症の治療用組成物などが開発されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
これらの効果を利用するため、容易に経口摂取可能な製剤の開発が求められている。また、カンナビジオールの効果を得るためには長期的に経口摂取が必要となる場合がある。例えば、カンナビジオールは油への溶解性が高いため、オイル状の製剤として利用されている。しかしながら、オイル状の製剤は経口摂取しにくく、健康志向の高まりから、オイル(油脂)を摂取することに抵抗感もあるため、カンナビジオールを配合し、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能な固形組成物の開発は十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013-523708号公報
【特許文献2】特表2017-537064号公報
【特許文献3】特表2019-532940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、カンナビジオールを含有し、安定性に優れ、容易に摂取可能な固形組成物を提供することを課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らは、カンナビジオールとともに特定成分を配合することにより、安定性に優れ、しかも、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能な固形組成物の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>下記(a)~(b)、並びに、(c)及び(d)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする固形組成物。
(a)カンナビジオール
(b)糖アルコール、オリゴ糖、単糖から選ばれる少なくとも1種の糖類
(c)滑沢剤
(d)多糖類
<2>下記(a)~(d)を含有することを特徴とする固形組成物。
(a)カンナビジオール
(b)糖アルコール、オリゴ糖、単糖から選ばれる少なくとも1種の糖類
(c)滑沢剤
(d)多糖類
<3>下記(a)及び(b1)を含有することを特徴とする固形組成物。
(a)カンナビジオール
(b1)マルチトール、スクロース、マルトース、グルコースから選ばれる少なくとも1種の糖類
<4>カンナビジオールが、合成により得られたものであることを特徴とする<1>~<3>のいずれかに記載の固形組成物。
<5>錠剤であることを特徴とする、<1>~<3>のいずれかに記載の固形組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カンナビジオールと共に特定成分を含有することにより、安定性に優れた固形組成物を得ることができる。また、本発明によれば、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能な固形組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の固形組成物について詳細を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
(a)カンナビジオール
本発明の固形組成物は、カンナビジオールを含有することを特徴とする。カンナビジオールは、カンナビノイドの一種であり、麻に含まれることが知られている。カンナビジオールは、同じカンナビノイドの一種であるテトラヒドロカンナビノールとはその薬理効果が異なることが知られている。本発明において、カンナビジオールは麻や柑橘類の果皮など植物から抽出、精製したものや、合成したものを使用することができるが、安全性、安定性を高め、長期間継続的に経口摂取可能な点から、合成したものを使用することが好ましい。
【0011】
本発明の固形組成物におけるカンナビジオールの含有量は特に制限はなく、例えば、0.0001質量以上が好ましく、より好ましくは0.0005質量%以上であり、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から特に好ましくは0.001質量%以上である。また、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
【0012】
本発明の固形組成物において、カンナビジオールの含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量することができる。HPLCの条件としては、例えば、インタクト株式会社製Unison UK-C18HT(粒径3μm)φ4.6×150 mmのカラムを用い、移動相の液媒として、水/アセトニトリル混合液を用い、グラジエント条件は以下の表Aとし、カラム温度は55℃、流量1.0ml/分とすることで分析することができる。
【0013】
【表1】
【0014】
(b)糖類
本発明の固形組成物は、カンナビジオールと共に、糖アルコール、オリゴ糖、単糖から選ばれる少なくとも1種の糖類を含有することを特徴とする。
【0015】
(糖アルコール)
糖アルコールとは、アルドースやケトースのカルボニル基が還元されて生成する糖の一種である。本発明で使用できる糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ラクチトール、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトールが挙げられ、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールが好ましく、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトールが特に好ましい。
【0016】
(オリゴ糖)
オリゴ糖とは、単糖がグリコシド結合によって2個~10個結合した糖類のオリゴマーである。本発明で使用できるオリゴ糖としては、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース等の二糖;ラフィノース、マルトトリオース等の三糖;乳糖果糖オリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖等が挙げられ、スクロース、マルトース、トレハロース、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖が特に好ましい。
【0017】
(単糖)
単糖とは、それ以上加水分解されない糖類である。本発明で使用できる単糖としては、グルコース、フルクトース、マンノース、ラムノース、キシロース等が挙げられ、グルコース、フルクトース、マンノースが好ましく、グルコース、フルクトースが特に好ましい。
【0018】
本発明の固形組成物においては、マルチトール、スクロース、マルトース、グルコースから選ばれる少なくとも1種を含有することが、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から特に好ましい。
【0019】
本発明の固形組成物における糖類の含有量は特に制限はなく、例えば、10質量以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から特に好ましくは20質量%以上である。また、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から85質量%以下が特に好ましい。なお、糖類を複数種類含有する場合はその合計量である。
【0020】
(c)滑沢剤
本発明の固形組成物は、カンナビジオール、糖類と共に滑沢剤又は多糖類を含有することを特徴とする。
【0021】
滑沢剤とは、錠剤用の粉末を圧縮する際に打錠機杵臼と錠剤間の摩擦を緩和し、スティッキングなどの打錠障害を防ぐために使用するものである。本発明に使用できる滑沢剤としては、上記目的を達成することが可能な成分であれば特に制限はなく、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸又はその塩、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、食用油脂、植物油脂、硬化油、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよし、2種以上を併用してもよい。滑沢剤は、市販品を使用することができる。本発明においては、得られる組成物の安定性の向上の観点からステアリン酸又はその塩、脂肪酸エステル、食用油脂、ナタネ硬化油が好ましく、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、食用油脂、ナタネ硬化油がより好ましい。
【0022】
本発明の固形組成物が滑沢剤を配合する場合、その含有量は特に制限はなく、例えば、0.1質量以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上であり、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から特に好ましくは1質量%以上である。また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から15質量%以下が特に好ましい。
【0023】
(d)多糖類
本発明の固形組成物は、カンナビジオール、糖類と共に、滑沢剤又は多糖類を含有することを特徴とする。多糖類とは、グリコシド結合によって単糖が11以上結合した骨格を有する化合物である。多糖類としては、例えば、デンプン及びその誘導体、デキストリン、セルロース又はその誘導体、増粘多糖類が挙げられる。具体的には、デンプン、α化デンプン、部分α化デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、結晶セルロース、微結晶セルロース、粉末セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、アルギン酸又はその塩、グァーガム又はその分解物、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、アラビアガム、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、アラビアガム、寒天等が挙げられ、α化デンプン、部分α化デンプン等のデンプン又はその誘導体、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン等のデキストリン、結晶セルロース、微結晶セルロース、粉末セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース又はその誘導体が好ましい。
【0024】
本発明の固形組成物が多糖類を配合する場合、その含有量は特に制限はなく、例えば、0.1質量以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上であり、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から特に好ましくは1質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から30質量%以下が特に好ましい。なお、多糖類を複数種類含有する場合はその合計量である。
【0025】
<その他成分>
本発明の固形組成物には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、水溶性食物繊維や不溶性食物繊維等の食物繊維、タンパク質、各種ビタミン類やミネラル類、藻類、乳酸菌、酵母等の微生物等を配合することができる。更に、必要に応じて、通常食品分野で用いられる、甘味料、酸味料、栄養補助剤、安定剤、結合剤、光沢剤、増粘剤、着色料、希釈剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を配合することができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0026】
<固形組成物>
本発明の固形組成物は、カンナビジオールと特定成分を配合することによる効果を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。
【0027】
本発明の固形組成物は、経口的な使用に適した形態であれば特に限定されないが、摂取のしやすさの観点から、錠状が好ましい。本発明の固形組成物が錠状である場合、その摂取方法は、そのまま服用するか、水等の液体と共に服用することができるが、水等の液体と共に服用することが好ましい。
【0028】
本発明の固形組成物が錠状である場合、固形組成物中におけるカンナビジオールの含有量は1粒あたり0.1mg以上が好ましく、0.5mg以上が好ましく、1mg以上が特に好ましい。
【0029】
本発明の固形組成物が錠状である場合、組成物の含有量は錠剤1粒あたり、50mg以上が好ましく、70mg以上が好ましく、100mg以上が特に好ましい。また、3000mg以下が好ましく、2000mg以下がより好ましく、1500mg以下が特に好ましい。
【0030】
本発明の固形組成物の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。例えば、本発明の固形組成物の1日の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.1~1000mg/kgであり、より好ましくは1~500mg/kgであり、本願発明の固形組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは2~100mg/kg である。
【0031】
本発明の固形組成物の1回の使用量についても同様に特に限定されない。例えば、本発明の固形組成物の1回の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.01~2000mg/kgであり、より好ましくは0.1~1000mg/kgであり、本願発明の固形組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは0.2~100mg/kg である。
【0032】
また、本発明の固形組成物の1日の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.001~20g、より好ましくは0.01~10g、本願発明の固形組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.1~5g とすることができる。
【0033】
本発明の固形組成物の1回の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.0001~20g、より好ましくは0.001~10g、本願発明の固形組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.01~5g とすることができる。
【0034】
また、本発明の固形組成物1日の使用量におけるカンナビジオールの含有量は特に限定されず、例えば、好ましくは0.00001~1g、より好ましくは0.00005~0.5g、本願発明の固形組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.0001~0.1g とすることができる。
【0035】
本発明の固形組成物1回の使用量におけるカンナビジオールの含有量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、0.000001~1g、より好ましくは0.000005~0.5g、本願発明の固形組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.00001~0.1g とすることができる。
【0036】
本発明の固形組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【実施例0037】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
【0038】
<比較例1>
カンナビジオール(合成品)5質量%、セルロース93質量%、ステアリン酸カルシウム2質量%を混合し、得られた混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて打錠し、1粒あたり150mg(7mmφ)の錠剤を得た。
【0039】
<実施例1>
カンナビジオール(合成品)5質量%、マルチトール93質量%、ステアリン酸カルシウム2質量%を混合し、得られた混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて打錠し、1粒あたり150mg(7mmφ)の錠剤を得た。
【0040】
<試験1.熱安定性評価>
比較例1及び実施例1で得られた錠剤を、80℃の恒温槽で48時間加熱した。48時間後、錠剤を取り出し、室温まで冷却した。冷却後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、カンナビジオールの含有量を測定した。加熱前の錠剤におけるカンナビジオールの含有量に対する加熱後の錠剤におけるカンナビジオール含有量により、カンナビジオールの残存率を算出した。HPLCの条件は下記のとおりである。
(HPLC条件)
カラム:インタクト株式会社製Unison UK-C18HT(粒径3μm)φ4.6×150 mm
移動相:水/アセトニトリル混合液
グラジエント条件:表2
カラム温度:55℃
流量:1.0ml/分
注入量:5μL
測定波長:220nm
(カンナビジオール残存率)
残存率(%)=(加熱後の錠剤中のカンナビジオール含有量/加熱前の錠剤中のカンナビジオール含有量)×100
【0041】
【表2】
【0042】
比較例1の錠剤における加熱後のカンナビジオール残存率は74%であった。一方、実施例1の錠剤における加熱後のカンナビジオール残存率は90%であった。
【0043】
<試験2.光安定性評価>
実施例1で得られた錠剤の光安定性を評価した。具体的には、UVテスターを用い、光量500W/mの条件下で48間静置した。光曝露後、高速液体クロマトグラフィーを用いて、試験1と同様の方法でカンナビジオールの含有量を測定し、試験1と同様に、光曝露前の錠剤におけるカンナビジオールの含有量に対する光曝露後の錠剤におけるカンナビジオール含有量により、カンナビジオールの残存率を算出したところ、カンナビジオールの残存率は100%であった。
(カンナビジオール残存率)
残存率(%)=(光曝露後の錠剤中のカンナビジオール含有量/光曝露前の錠剤中のカンナビジオール含有量)×100
【0044】
以上より、本発明の固形組成物は、カンナビジオールと共に、糖アルコール及び滑沢剤を配合することにより、熱安定評価、光安定性評価においてカンナビジオールの残存率が高いことから、耐熱性、耐光性に優れた組成物であることがわかる。
【0045】
<実施例2>
カンナビジオール(合成品)5質量%、マルトース80質量%、セルロース10質量%、食用油脂5質量%を混合し、得られた混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて打錠し、1粒あたり150mg(7mmφ)の錠剤を得た。得られた錠剤について、実施例1と同様に、熱安定性評価、光安定性評価を実施した。熱安定性評価におけるカンナビジオールの残存率は86%であり、光安定性評価におけるカンナビジオールの残存率は99%であった。
【0046】
<実施例3~8>
下記表3に記載された各成分を混合し、得られた混合粉末を、ロータリー打錠機を用いて打錠し、1粒あたり150mg(7mmφ)の錠剤を得た。カンナビジオールは合成品を用いた。得られた錠剤について、実施例1と同様に熱安定性評価、光安定性評価を実施した。熱安定性評価におけるカンナビジオールの残存率は98%以上、光安定性評価におけるカンナビジオールの残存率は97%以上であった。
【0047】
【表3】
【0048】
以上より、本発明の固形組成物は、カンナビジオールと共に、オリゴ糖、滑沢剤及び多糖類を配合することにより、熱安定評価、光安定性評価においてカンナビジオールの残存率が高いことから、耐熱性、耐光性に優れた組成物であることがわかる。
【0049】
以下に、本発明の固形用組成物である錠剤の製造例を示す。表4に記載の数値は質量%である。下記製造例のいずれも実施例1と同様の製法にて錠剤を製造することができる。得られる固形組成物は、耐熱性、耐光性といった安定性に優れ、長期的に経口摂取可能なものである。
【0050】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の固形組成物は、カンナビジオール、並びに特定成分を含有することにより、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能な固形組成物を提供することができることから、産業上の利用の可能性が高いものである。