(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106795
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】チップクラッシャー及び切粉の切断方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20230726BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20230726BHJP
B02C 18/18 20060101ALI20230726BHJP
B23D 25/14 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B23Q11/00 T
B02C18/14 A
B02C18/18 A
B23D25/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007735
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】319014042
【氏名又は名称】株式会社杉山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 芳久
(72)【発明者】
【氏名】大和田 大
【テーマコード(参考)】
3C011
3C039
4D065
【Fターム(参考)】
3C011BB38
3C039EA41
4D065CA17
4D065CB01
4D065CC01
4D065DD05
4D065DD19
4D065EB02
4D065EB14
4D065EB20
4D065EC02
4D065EC07
4D065ED02
4D065ED06
4D065ED29
4D065EE07
4D065EE12
4D065EE20
(57)【要約】
【課題】切粉の詰まりによる緊急停止や破損事故を未然に防止して、詰まった切粉の除去作業による時間ロスや作業効率の低下の問題を解消できるチップクラッシャー及び切粉の切断方法を提供する。
【解決手段】モータで回転駆動される駆動軸27に、大径刃29と小径刃31を交互に嵌挿して回転刃11を構成する。回転刃11が回転可能に支持される切断部15のケーシング25には回転刃11と噛み合う固定刃13が固定されている。大径刃29を位相違いで大径刃29A、29B、29Cと三種類を準備し、これを組み合わせて配列パターンとする。位相がずれるので、多数の切粉21、21、……が塊になって一気に落下してきたときでも、上方を向いた刃部29d、29d、……の列が間引きされているので負荷が分散されることになる。しかも、汎用的な固定刃13をそのまま利用できる。更に、切粉21の条件に対応して配列パターンを最適化できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって回転駆動される駆動軸に回転不能に且つ着脱自在に大径刃と小径刃とが互い違いに嵌挿されてなる回転刃と、前記大径刃が入り込む凹部と前記小径刃が近接する凸部とを有する固定刃とを備え、前記回転刃と前記固定刃とで切粉を切断するチップクラッシャーであって、
前記小径刃の列の位相は揃った状態で、前記大径刃の列の位相はずれた配列パターンで、前記駆動軸の軸方向に並んでいることを特徴とするチップクラッシャー。
【請求項2】
請求項1に記載したチップクラッシャーにおいて、
軸方向に隣り合って並んだ大径刃の位相がずれた状態でもその境界では引き込み領域の軸方向に直交する断面がV字状凹面として確保されていることを特徴するチップクラッシャー。
【請求項3】
請求項1または2に記載したチップクラッシャーにおいて、
3種類の位相違いの大径刃の組み合わせで構成されていることを特徴とするチップクラッシャー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載したチップクラッシャーにおいて、
位相違いの大径刃が周期的に変化した状態で並んでいることを特徴とするチップクラッシャー。
【請求項5】
モータによって回転駆動される駆動軸に回転不能に且つ着脱自在に大径刃と小径刃とが互い違いに嵌挿されてなる回転刃と、前記大径刃が入り込む凹部と前記小径刃が近接する凸部とを有する固定刃とを備え、前記回転刃と前記固定刃とで切粉を切断する切粉の切断方法であって、
位相違いの複数の種類の大径刃を準備しておき、切粉の条件に応じて、軸方向で並ぶ大径刃の位相の配列パターンを調整した回転刃を用いることを特徴とする切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械等から排出される切粉を細かく切断して減容化するチップクラッシャー及び切粉の切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械から排出される切粉には、鋼やアルミニウム等の金属材料や合成樹脂等、種々の材質のものがあり、形状もカール状、螺旋状など様々であり、非常に嵩張るものとなっている。従って、排出される切粉をそのままの状態で容器に収容すると、すぐに満杯となり収容効率が悪くその後の後処理(廃棄処理等)も困難となるため、減容化を目的としてチップクラッシャーが用いられている。
この種のチップクラッシャーとしては、例えば特許文献1に開示されているように、円筒ケーシング内にスクリューシャフトを回転駆動可能に且つ回転軸方向に間欠的に揺動可能に設けた切粉処理装置が知られている。スクリューシャフトの回転運動と軸方向の揺動とにより、スクリューシャフトと円筒ケーシング内面との間で切粉が切断され、押圧圧送されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-297294号公報
【特許文献2】特開2021-112788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の切粉処理装置では、上記のように切粉の材質や形状が多種多様であることから詰まりが生じ易く、緊急停止することが少なくない。詰まりが生じた場合、逆回転させて噛み込み状態を解消した後、詰まった切粉を除去する等の対応策が採られるが、切粉処理装置が停止した場合、工作機械も止めなければならず、時間ロスが大きく、結果的に作業効率の低下を来すこととなる。
また、噛み込み状態によっては、回転軸が変形したりスクリュー羽根が破損したりするなどの深刻な事態を招きかねない。
トルクリミッタ等の安全機構を設けることもなされているが、停止後に詰まった切粉を除去する作業を要することに変わりはなく、工作機械の停止による作業効率の低下の問題も依然として残ることになる。
【0005】
これに対して、特許文献2のチップクラッシャーは、本出願人が先に提案したものであり、従来の構成が、多種多様な切粉を区別することなく処理し、詰まりが起こり得ることを前提とした考えに基づいていることに着目し、切粉の条件に応じてチップクラッシャー側を変化させて詰まりを未然に防止する、という考えに立って具体的な構成が提示されている。その具体的な構成では、一定の詰まり防止効果は確認できている。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、切粉の詰まりによる緊急停止や破損事故を未然に防止して、詰まった切粉の除去作業による時間ロスや作業効率の低下の問題を解消できる、更に改善されたチップクラッシャー及び切粉の切断方法の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特許文献2と同様に、切粉の条件に応じてチップクラッシャー側を変化させて詰まりを未然に防止する、という考えに立ったものであるが、特許文献2の構成とは明確に識別されるものである。
【0008】
具体的には、請求項1の発明は、モータによって回転駆動される駆動軸に回転不能に且つ着脱自在に大径刃と小径刃とが互い違いに嵌挿されてなる回転刃と、前記大径刃が入り込む凹部と前記小径刃が近接する凸部とを有する固定刃とを備え、前記回転刃と前記固定刃とで切粉を切断するチップクラッシャーであって、前記小径刃の列の位相は揃った状態で、前記大径刃の列の位相はずれた配列パターンで、前記駆動軸の軸方向に並んでいることを特徴とするチップクラッシャーである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載したチップクラッシャーにおいて、軸方向に隣り合って並んだ大径刃の位相がずれた状態でもその境界では引き込み領域の軸方向に直交する断面がV字状凹面として確保されていることを特徴するチップクラッシャーである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載したチップクラッシャーにおいて、3種類の位相違いの大径刃の組み合わせで構成されていることを特徴とするチップクラッシャーである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載したチップクラッシャーにおいて、 位相違いの大径刃が周期的に変化した状態で並んでいることを特徴とするチップクラッシャーである。
【0012】
請求項5の発明は、モータによって回転駆動される駆動軸に回転不能に且つ着脱自在に大径刃と小径刃とが互い違いに嵌挿されてなる回転刃と、前記大径刃が入り込む凹部と前記小径刃が近接する凸部とを有する固定刃とを備え、前記回転刃と前記固定刃とで切粉を切断する切粉の切断方法であって、位相違いの複数の種類の大径刃を準備しておき、切粉の条件に応じて、軸方向で並ぶ大径刃の位相の配列パターンを調整した回転刃を用いることを特徴とする切断方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、切粉の詰まりによる緊急停止や破損事故を未然に防止して、詰まった切粉の除去作業による時間ロスや作業効率の低下の問題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るチップクラッシャーの斜視図である。
【
図3】
図1で示したチップクラッシャーにおけるチップクラッシャー本体の回転刃を示す斜視図である。
【
図4】
図3で示したチップクラッシャー本体の回転刃の平面図である。
【
図5】
図3、
図4で示した回転刃の大径刃と、小径刃の側面図である。
【
図6】
図1で示したチップクラッシャー本体に備えられた固定刃を示す斜視図である。
【
図7】
図3、4で示したチップクラッシャー本体の回転刃と
図6で示した固定刃との噛み合い状態を示す一部省略の平面図である。
【
図8】配列パターン(1)の回転刃の斜視図と平面図である。
【
図9】配列パターン(2)の回転刃の斜視図と平面図である。
【
図10】配列パターン(3)の回転刃の斜視図と平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るチップクラッシャー1を図面に従って説明する。
図1に示すように、チップクラッシャー1は、下端に複数のキャスター3を備えて移動可能な架台5と、架台5の上面に配置されたチップクラッシャー本体7と、ホッパー9等を有している。
チップクラッシャー本体7は、回転刃11と固定刃13(
図2参照)とが収容された上面開口形状の切断部15と、回転刃11を回転駆動する駆動源としてのモータ17と、モータ17の回転を回転刃11に伝達する直交軸の減速機19とを有している。
ホッパー9は切断部15の上面に固定されており、不図示の工作機械で発生した切粉21はチップコンベア23によって搬送されて落下し、開口部9aからホッパー9内に導入されて切断部15に供給される。
ホッパー9は切粉21の飛散を防止する安全カバーを兼ねており、アクリル板等の透明部材で構成されて切粉21の処理状況を外部から視認できるようになっている。ホッパー9の前面側(固定刃13側)は開閉可能に設けられている。
【0016】
図2に示すように、上面が開口した切断部15のケーシング25の前面側内方には固定刃13が回転刃11と噛み合うように固定されている。ケーシング25の底面には、切断した後の切粉21を下方に落下させるための長穴が千鳥状に多数形成されている。ケーシング25の下方には切断後の切粉21を収容する不図示の収容箱や回収コンベア等が配置される。
【0017】
回転刃11は、
図3、
図4に示すように、正逆転可能なモータ17で回転駆動される駆動軸27に嵌挿される大径刃29と、大径刃29よりも径が小さい小径刃31とからなる。切断部15のケーシング25に回転可能に支持される駆動軸27は、一端側が減速機19への連結部27aとなっている。連結部27a側に回転刃11の軸方向の位置ずれを規制する一方の規制フランジ33Aを固定した状態で他端部27b側から大径刃29と小径刃31が交互に嵌挿される。
駆動軸27には軸方向に延びるキー(図示省略)が装着されており、大径刃29と小径刃31はそれぞれのキー溝(図示省略)を介して軸心回りに回転不能(回り止め状態)に嵌挿される。
【0018】
所定数の大径刃29と小径刃31の嵌挿が終了すると、他端部27b側に回転刃11の軸方向の位置ずれを規制する他方の規制フランジ33Bが固定される。これにより、大径刃29と小径刃31が交互に配置された配列の回転刃11が構成される。回転刃11の軸方向の幅Hは、チップコンベア23の幅の変化に対応して、例えば200mm、300mm、400mm、500mmに変更することが可能である。
【0019】
図5に示すように、大径刃29は、駆動軸27の挿通孔29aとキー溝29bを有する金属製の環状体29cと、環状体29cの外周面に周方向に等間隔に複数形成された刃部29dとを有している。
但し、キー溝29bと刃部29dとの位置関係は一定ではなく、大径刃29A、29B、29Cの3種類になっている。従って、駆動軸27に共に嵌挿されると、大径刃29A、29B、29Cは位相違いの状態で軸方向に並ぶことになる。
一方、小径刃31は、駆動軸27の挿通孔31aとキー溝31bを有する金属製の環状体31cと、環状体31cの外周面に周方向に等間隔に複数形成された刃部31dとを有している。但し、キー溝31bと刃部31dとの位置関係は一定であり、駆動軸27に嵌挿されると、小径刃31、31、……の列は互いに同じ位相で揃った状態で軸方向に並ぶことになる。
【0020】
大径刃29と小径刃31は、駆動軸27に互い違いに嵌挿される。小径刃31の刃部31dの外方突出端は、大径刃29の環状体29cの外周面とほぼ面一になっており、軸方向で見ると、大径刃29A、29B、29Cの環状体29cに小径刃31がほぼ収まった状態になる。
大径刃29については、回転周方向先側の刃部29dの逃げ面と後側の刃部29dのすくい面との間にできる凹状部分を中心とする領域がすくい面側の大経刃29の引き込み領域Xになっており、先側の刃部29dと後側の刃部29dの間では軸方向に直交する断面は逆台形になっている。軸方向に並んだ大径刃29、29、……の位相が揃っている場合には、この逆台形が軸方向に連なることになり、引き込み易くなる。
一方、位相がずれれば、この逆台形がV字形に近づき、引き込み難くなる。
これは、逆台形からV字形に近づくと引き寄せ領域Xの幅Wが狭くなるからである。
但し、大径刃29A、29B、29Cの位相は、どのように隣り合わせても、その境界では引き込み領域Xの断面がV字状凹面として確保されており、最低限の引き込みは確保されるように調整されている。
【0021】
固定刃13は、
図2に示すように、切断部15のケーシング25の内面に不図示の固定ネジで固定されている。
図6に示すように、固定刃13は、駆動軸27に平行に延びる長ブロック状の本体部37と、本体部37の回転刃11と対向する側に形成された、大径刃29の刃部29dが入り込む凹部37aと、小径刃31の刃部31dが近接する凸部37bとを有している。符号37cは固定ネジの挿通孔を示している。
凹部37aと凸部37bは駆動軸27の軸方向に回転刃11の形状に対応して交互に配置されて櫛歯状になっている。
この固定刃13は、従来からチップクラッシャーで使用されている汎用的なものである。
【0022】
図7は回転刃11と固定刃13との噛み合い状態の一部を示す平面図である。上述のように大径刃29と小径刃31の刃部29d、31dは駆動軸27の軸心回り方向にずれているが、ここでは分り易くするために位相差がない状態で示している。
ホッパー9から供給された切粉21は回転刃11上に落下するが、小径刃31よりも上方への突出量が大きい大径刃29に先に接触し易く、主に大径刃29によって固定刃13との間に引き込まれる。このように、大径刃29は切粉21を引き込む機能と、固定刃13と協働して切断する機能の両方を担っている。これに対し、小径刃31は固定刃13と協働して切断する機能を主体としている。
大径刃29A、29B、29Cは位相が異なっているが、いずれも、
図7の状態を実現できる。すなわち、固定刃13として汎用品をそのまま使い続けることができる。また、回転刃11については、大径刃29、小径刃31は不具合が出ればその刃だけを交換することで対応できる。
【0023】
大径刃29A、29B、29Cはそれぞれ各別に駆動軸27に嵌挿可能になっているので、大径刃29の軸方向の位相違いの配列パターンは任意に設定できる。
例えば、
図8の配列パターン(1)のように、大径刃29A~大径刃29B~大径刃29A~大径刃29C~大径刃29A~のように並んでいる場合には、幅Wが狭くなった状態が断続的にできている。
図9の配列パターン(2)のように大径刃29A~大径刃29A~大径刃29C~大径刃29C~大径刃29A~大径刃29A~大径刃29B~大径刃29B~大径刃29A~大径刃29A~のように並んでいる場合には、同じ位相の大径刃29A~大径刃29A間では、幅Wが広くなった状態が確保される。また、
図10の配列パターン(3)のように大径刃29B~大径刃29B~大径刃29B~大径刃29A~大径刃29A~大径刃29A~大径刃29C~大径刃29C~大径刃29C~大径刃29A~大径刃29A~大径刃29A~大径刃29B~のように並んでいる場合には、同じ位相の大径刃29A~大径刃29A~大径刃29A間では、幅Wが広くなった状態がより長く確保される。
また、大径刃29A、29B、29Cと三種類にすることで、それぞれの境界の幅Wの狭まり度合いでも広狭に分かれている。
【0024】
チップクラッシャー1は、上記のように構成されており、切粉21はカールしており、大径刃29の刃部29dに引っ掛けられて、環状体29c側に引き込まれながら、固定刃13との間に巻き込まれ、切断される。
刃部29d、29d、……の位相が揃っている場合には、多数の切粉21、21、……が塊になって一気に落下してきたときに、多数の刃部29d、29d、……の列に同時に引っ掛かり、且つ一律の広い幅Wの引き込み領域Xに引き込まれて収められるので、過負荷状態になり易い。過負荷状態になれば、モータ17を一旦停止し、更に逆転駆動することになるが、それでも処理しきれない場合が出てくる。
【0025】
これに対して、配列パターン(1)、(2)、(3)のように、位相がずれている場合には、多数の切粉21、21、……が塊になって一気に落下してきたときでも、上方を向いた刃部29d、29d、……の列が間引きされているので負荷が分散されることになる。しかも、上述のように汎用的な固定刃13をそのまま利用できる。
但し、切粉21が引き込み領域Xの中に引き込まれて収まらないと引っ張られて巻き込まれていかない。大径刃29の位相をずらすことで、引き込み領域Xの断面がV字状に近づき幅Wが狭くなると、そこに入り込み難くなることから、引っ掛かったとしても、上方で遊んでしまうことになる。
しかしながら、切粉21の形状やサイズや形状と言った条件に応じて、負荷の分散や引き込み易さの最適なバランスを満たす適切な配列パターンを設定することで解決できる。
【0026】
例えば、切粉21が綿状にふわふわしたもの(21a)の場合は、かなり引っ掛かり易く、一旦引っかかったものは引っ掛かり箇所が少なくとも引き込み領域Xに引き込まれ易い。そのため、過剰な量を一気に引き込まないことを優先して、配列パータン(1)が適している。
一方、切粉21がカールの緩いものもの(21b)の場合は、一箇所でも引っ掛かると引き込み易く、且つ引き込み領域Xに収めやすいので、配列パターン(2)が適している。
切粉21がカールのきついもの(21c)の場合は、引っ掛かり難く且つ引っ掛かっても引き込み難いので、刃部29dの位相をある程度揃えて、複数の引っ掛け部位で確実に引っ掛けて且つ引き込めると共に、幅Wの広い引き込み領域Xを軸方向にある程度の長さ分確保した、配列パータン(3)が適している。
最適な配列パターンと切粉21の条件との最適な関係を予め実験により求めて交換テーブルを作成しておけば、オペレータの経験や熟練を要しないメリットがある。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、駆動軸27に対する大径刃29と小径刃31の回り止め構成はキーとそれぞれのキー溝29b、31bとの結合ではなくスプライン結合としてもよい。大径刃29の刃部29dとこれに対応する固定刃13の凹部37aの形状、小径刃31の刃部31dとこれに対応する固定刃13の凸部37bの形状も上記に限定されない。
また、大径刃29と小径刃31の刃部29d、31dの数も上記に限定されない。
さらに、上記の各実施の形態では減速機19に直交軸タイプのものを用いたが、直列タイプのものを用いてもよい。また、インバータで駆動軸27の回転数を多段に変更する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…チップクラッシャー 7…チップクラッシャー本体
11…回転刃 13…固定刃
15…切断部 17…モータ
27…駆動軸
29A、29B、29C…大径刃 31…小径刃
37a…凹部 37b…凸部
X…引き込み領域 W…幅