(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106801
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】ねじ締め装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
B23P19/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007745
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺井 俊明
(57)【要約】
【課題】本発明は、供給する締結部品の全長を測定可能かつ、長さに関係なく供給可能なねじ締め装置を提供する。
【解決手段】
締結部品Nの長さを測定する測定手段43を備え、当該計測手段43による長さ測定後、締結部品Nを所定の待機位置にて待機させるように構成されている部品供給装置30と、前記待機位置から締結部品Nを取出し、所定のワークに締結するドライバユニット20と、 前記ドライバユニット20を移動させる位置制御機構24と、前記計測手段43の計測値および予め設定した設定値を比較して前記締結部品Nの長さを良否判定するとともに当該判定結果に基づき、位置制御機構24の駆動を制御するよう構成された制御部50とを備えていることを特徴とするねじ締め装置10による。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部品の長さを測定する測定手段を備え、当該計測手段による長さ測定後、締結部品を所定の待機位置にて待機させるように構成されている部品供給装置と、
前記待機位置から締結部品を取出してワークに締結するドライバユニットと、
前記ドライバユニットを移動させる位置制御機構と、
前記計測手段の計測値と予め設定した設定値とを比較して前記締結部品の長さを良否判定するとともに当該判定結果に基づき、位置制御機構の駆動を制御するよう構成された制御部とを備えていることを特徴とするねじ締め装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記締結部品の長さが良品の場合、ドライバユニットを所定の締結位置に移動させる一方、締結部品の長さが不良の場合、ドライバユニットを所定の排出位置に移動させるように前記位置制御機構の駆動を制御することを特徴とする請求項1に記載のねじ締め装置。
【請求項3】
前記部品供給装置は、前記締結部品を吊下支持する吊下部材と、この吊下部材に吊下された締結部品を下方から上方へ押し上げる押上げ手段と、この押上げ手段の上方に固定され、押上げ手段により押し上げられた締結部品を所定高さ以上押し上げられないように規制する規制蓋を備え、
前記測定手段は、規制蓋に規制された当該締結部品の全長に相当する寸法を計測し、
前記吊下部材は、計測手段による締結部品の長さ測定後、締結部品を吊下支持した状態で所定の待機位置にて待機するよう構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のねじ締め装置。
【請求項4】
前記待機位置に到達した締結部品を検出する検出センサと、この検出センサからの信号に基づき前記吊下部材を移動させる往復駆動源を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のねじ締め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結部品の全長を検査可能な部品供給装置を備えたねじ締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじと嵌合するドライバユニットと、ドライバユニットにねじを供給する部品供給装置とを備えたねじ締め装置が知られており、特に特許文献1には、ねじの全長を測定可能な部品供給装置が開示されている。この部品供給装置は、ねじを吊り下げ支持する吊下部材と、この吊下部材に吊り下げ支持されたねじの脚部を挟むように配置された一対の光電センサとを有しており、この光電センサの一方から照射されたレーザ光を他方が受光し、その際の受光量から締結部品の長さを良否判定するように構成されていた。また、この部品供給装置は、光電センサによるねじの良否判定後、ねじ供給ホース内を介して、良品のねじをドライバユニットまで圧送することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のねじ締め装置は、部品供給装置がねじをドライバユニットまで圧送する構造であった。そのため、上述のように良品のねじは、ドライバユニットまで圧送することで排除可能であったものの、不良品のねじは作業者が個別に排除する必要があった。このように、作業者が不良のねじを排除するまで次段のねじを供給できないことにより、停止時間が長くなり、作業効率が悪化する等の問題があった。また、部品供給装置がねじを圧送する構造のため、部品供給装置とチャックユニットとをつなぐ供給ホース内で反転してしまう短寸ねじや、チャックユニットと衝突した際の衝撃により破損する樹脂製のねじ等、一部ねじには、使用できない等の問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、作業効率が良いねじ締め装置の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、締結部品の長さを測定する測定手段を備え、当該計測手段による長さ測定後、締結部品を所定の待機位置にて待機させるように構成されている部品供給装置と、前記待機位置から締結部品を取出してワークに締結するドライバユニットと、前記ドライバユニットを移動させる位置制御機構と、前記計測手段の計測値と予め設定した設定値とを比較して前記締結部品の長さを良否判定するとともに当該判定結果に基づき、位置制御機構の駆動を制御するよう構成された制御部とを備えていることを特徴とする。なお、前記制御部は、前記締結部品の長さが良品の場合、ドライバユニットを所定の締結位置に移動させる一方、締結部品の長さが不良の場合、ドライバユニットを所定の排出位置に移動させるように前記位置制御機構の駆動を制御することが好ましい。
【0006】
また、前記部品供給装置は、前記締結部品を吊下支持する吊下部材と、この吊下部材に吊下された締結部品を下方から上方へ押し上げる押上げ手段と、この押上げ手段の上方に固定され、押上げ手段により押し上げられた締結部品を所定高さ以上押し上げられないように規制する規制蓋を備え、前記測定手段は、規制蓋に規制された当該締結部品の全長に相当する寸法を計測し、前記吊下部材は、計測手段による締結部品の長さ測定後、締結部品を吊下支持した状態で所定の待機位置にて待機するよう構成されていることが好ましい。さらに、前記待機位置に到達した締結部品を検出する検出センサと、この検出センサからの信号に基づき前記吊下部材を移動させる往復駆動源を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によれば、部品供給装置が待機位置まで搬送した締結部品をドライバユニットが取出して所定の位置まで移動させるように構成されており、ねじを圧送しないため、短寸ねじや樹脂ねじ等圧送することが難しいねじの供給にも使用できる等の利点がある。また、制御部が締結部品の長さの良否判定を行い、当該判定結果に基づき、位置制御機構の駆動を制御するよう構成されているため、作業者がねじを抜きとるまで、ねじ締め装置が待機している必要がなく、作業効率が向上する等の利点がある。なお、前記制御部は、良品のねじは、所定の締結位置まで搬送する一方、不良のねじは、所定の排出位置に排出するように構成されているため、不良のねじが混入しても円滑に排除可能となる等の利点がある。
【0008】
また、測定手段が締結部品の全長を測定するように構成されているため、頭部の高さが異なる異品の検出が可能となる等の利点がある。さらに、ねじが所定の待機位置に到達したことを検出可能な検出センサを備えるため、ねじが吊下部材に支持されていないことを即座に検出可能となり、サイクルタイムを短くできる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るねじ締め装置を示す側面図である。
【
図2】本発明に係るねじ締め装置を示す平面図である。
【
図3】本発明に係る部品供給装置の動作を示す要部拡大図であり、(a)は吊下部材が受取位置に位置する状態を示す平面図であり、(b)は吊下部材が検査位置に位置する状態を示す平面図であり、(c)は吊下部材が待機位置に位置する状態を示す平面図である。
【
図4】本発明に係る部品供給装置の動作を示す要部拡大図であり、(a)は
図3のA-A線断面側面図であり、(b)は
図3のB-B線断面側面図であり、(c)は(b)の状態から次の状態へ移行する動作を説明するための
図3のB-B線断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1ないし
図4において10は、締結部品の一例であるねじNを所定のワークに締結するねじ締め装置であり、ねじNを締結するドライバユニット20と、このドライバユニット20を移動させる位置制御機構24と、ドライバユニット20にねじNを供給する部品供給装置30と、これらの駆動を制御する制御部50とを有している。
【0011】
前記ドライバユニット20は、
図1に示すようにねじNと嵌合可能なドライバビット21と、このドライバビット21を回転駆動させる締付けモータ22と、前記ドライバビット21を軸方向に往復移動可能に内包するスクリューガイド23とを備えている。スクリューガイド23は、クッションばね(図示せず)によってワーク側に付勢されており、このクッションばねが撓むことにより、スクリューガイド23は、ドライバビット21および締付けモータ22に対して軸方向に相対移動するように構成されている。また、スクリューガイド23には、真空発生器等の吸気手段が連続しており、この吸気手段が駆動することでその下端開口部にねじNを吸引保持可能に構成されている。
【0012】
前記位置制御機構24は、前後方向に直動可能な直動アーム25と、この直動アーム25に対して回転自在に装着された旋回アーム26と、この旋回アーム26の先端に取り付けられる昇降駆動部27とから構成されており、昇降駆動部27は、前記上下方向に延びるボールねじ271と、このボールねじ271を回転させる昇降モータ272と、ボールねじ271と螺合する駆動ナット273とを備えており、駆動ナット273には、前記ドライバユニット20が連結されている。これら位置制御機構24の駆動により、ドライバユニット20は、
図1の二点鎖線に示すように昇降可能かつ、
図2に示す可動域201内を移動可能となる。
【0013】
前記部品供給装置30は、前方にねじNを搬送するシュートレール31と、このシュートレール31上の最前のねじNを受取る切り出しユニット32とを備え、前記切り出しユニット32は、フレーム33と、このフレーム33内に配される吊下部材36と、この吊下部材36に支持されたねじNを上方に押し上げる押上げ手段40とを有する。
【0014】
前記シュートレール31は、前後方向に延びる2本の板材から構成されており、この板材は、前記ねじNの軸部外径より若干広く、なおかつ頭部外径より狭い所定の隙間を開けて設置されている。このため、シュートレール31は、その上面にねじNの頭部座面を当接させた状態にて吊り下げ支持可能となる。また、このシュートレール31には、バイブレータ(図示せず)が接続されており、このバイブレータの振動により吊り下げ支持したねじNを前方に搬送するように構成されている。なお、シュートレール31の後方には、ねじNを多数貯留可能な貯留部(図示せず)が接続されており、この貯留部は、シュートレール31上にねじNを一列に供給可能に構成されている。
【0015】
前記フレーム33には、
図3および
図4に示すように後方に開口する供給口331が形成されている。この供給口331は、前記シュートレール31が進入しており、その前方には、シュートレール31に対して直交方向(以下、横方向という)に延びる切欠溝332が連続している。この切欠溝332は、その横方向両側が側壁334,335によって閉鎖されている。また、切欠溝332の底面には、供給口331より側壁334側の位置に上下方向に貫通する検査穴333が形成されている。一方、フレーム33の上面には、前記検査穴333の上方に配された固定される規制蓋34と、この規制蓋34より側壁334側に配された検出センサ35とが固定されている。規制蓋34は、後述する押上げ手段40がねじNを押し上げた際、ねじNが所定の高さ以上に上昇することを規制する板材であり、その下面には、ねじNの頭部が通過可能に構成された通過溝341が貫通形成されている。さらに、検出センサ35は、投光部から受光部へと検出光を投光する一対の光学センサであり、
図3の(c)に示すように投光部と受光部との間に到達したねじNの頭部によって前記検出光を遮断される所定の高さに配設されている。なお、検出センサ35は、前記制御部50に接続されており、上述のようにねじNにより検出センサ35の光を遮断された際、制御部50にねじNの検出信号を出力するように構成されている。また、規制蓋34の通過溝341は、頭部上端との隙間がねじの脚部寸法より短くなるように寸法設定されている。このため、後述する駆動時、押上げ手段40により、ねじNが押し上げられた際、当該ねじNの脚部下端が前記吊下溝361から抜け出ることが防止される。
【0016】
前記吊下部材36は、前記切欠溝332内に配置されており、その前後方向の厚さが前記切欠溝332の溝幅とほぼ同寸に構成されている。この吊下部材36の後方面には、上下方向に貫通する略U字形状の吊下溝361が切欠き形成されており、この吊下溝361は、その溝幅が前記シュートレール31と同様、前記ねじNの軸部外径より若干広く、なおかつ頭部外径より狭く構成されている。これらにより、吊下部材36は、切欠溝332に沿って摺動自在かつシュートレール31から受け取ったねじNを吊り下げ支持可能となる。
【0017】
また、側壁334,335には、吊下部材36を切欠溝332に沿って往復移動させる往復シリンダ371,372が取り付けられている。往復シリンダ371は、側壁334に固定されたエアシリンダであり、そのピストンロッドが前記吊下部材36に連結されている。この往復シリンダ371のストロークは、ピストンロッドが収縮した場合、
図3(a)に示すように吊下部材36の吊下溝361がシュートレール31に連続する一方、ピストンロッドの伸張した場合、
図3の(c)に示すように吊下溝361が前記検出センサ35の間に位置するように設計されている。つまり、吊下部材は、往復シリンダ371の駆動を受けて、吊下溝361がシュートレール31と連続する位置(以下、受取位置という)および吊下溝361が検出センサ35の受光部および投光部の間に位置する位置(以下、待機位置という)の間で往復するように構成されている。
【0018】
一方、往復シリンダ372は、側壁335に固定されたエアシリンダであり、そのピストンロッドが前記吊下部材36と当接可能に配設されている。この往復シリンダ372は、前記往復シリンダ371より大きいシリンダ経を有しており、そのストロークが往復シリンダ371より短く構成されている。これにより、往復シリンダ371および往復シリンダ372の両方がそのピストンロッドを伸張させた際に、吊下部材は、往復シリンダ372に押し止められ、
図3の(b)に示すように前記受取位置と待機位置の間の所定の位置(以下、検査位置という)に停止する。なお、前記フレーム33の検査穴333は、
図4の(b)および(c)に示すように当該検査位置に到達した吊下部材36の吊下溝361と連通するよう位置設定されている。
【0019】
上述のように吊下部材36は、往復シリンダ371と往復シリンダ372の駆動を受けて前記受取位置と、待機位置と、検査位置との三点の何れかに位置することとなる。また、部品供給装置30は、
図3の(c)に示すように少なくとも待機位置に到達した吊下部材36の吊下溝361が前記ドライバユニット20の可動域201内に位置するよう配置されている。
【0020】
また、前記フレーム33の下面には、
図4の(a)に示すようにねじNを押し上げる押上げ手段40が設けられている。この押上げ手段40は、前記フレーム33に固定された押上げ駆動源の一例である押上げシリンダ41を備えており、この押上げシリンダ41の駆動部411には、前記検査穴333の直下に配置された押上げロッド42と、この押上げロッド42と連動する計測手段43とが連結されている。この押上げロッド42は、前記検査穴333とほぼ同径に構成されており、
図4の(c)に示すように押上げシリンダ41の駆動部411が上昇した際、前記吊下部材36に吊り下げられたねじNの下端に当接可能な長さに設定されている。一方、前記計測手段43は、フレーム33と接触することで縮む方向へ収縮する接触子431を備えた接触式センサであり、この接触子431の収縮量を前記制御部50へ出力するように構成されている。
【0021】
制御部50は、前記ドライバユニット20と、位置制御機構24と、部品供給装置30と、吸引手段等の外部装置とに接続されており、各種駆動を制御可能に構成されている。また、制御部50は、前記計測手段43からの信号に基づき位置制御機構24によるドライバユニット20の目標位置を切替え可能に構成されており、ねじNの長さが適正であった場合、目標位置を所定のねじ締めポイント上方に設定する一方、ねじNの長さが不適であった場合、目標位置を所定の外部の排出位置上方に切替えるよう構成されている。
【0022】
次に上記のように構成されたねじ締め装置10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると制御部50は、前記部品供給装置30のバイブレータに駆動させるとともに、
図3の(a)に示すように前記往復シリンダ371,372のピストンロッドを収縮させる。これにより、前記シュートレール31が振動し、シュートレール31上に吊り下げ支持されたねじNが前方に振動搬送されるとともに、受入位置に達した吊下部材36の吊下溝361がシュートレール31の終端部に連続する。このため、先頭のねじNがシュートレール31の終端部から吊下溝361に受け渡される。ねじNが吊下溝361に吊り下げ支持されると、制御部50は、前記往復シリンダ371,372を駆動させ、これらのピストンロッドを伸張させる。これにより、吊下部材36は、往復シリンダ371の駆動を受けて側壁334に向けて移動する。この時、往復シリンダ372もピストンロッドを伸張させているため、吊下部材36は、
図3の(b)に示すように往復シリンダ372のピストンロッドに当接して、前記検査位置に停止する。
【0023】
上述のように吊下部材36が検査位置に達し、
図4の(b)に示すように吊下溝361が検査穴333に連続すると、制御部50は、前記押上げシリンダ41を収縮させて押上げロッド42および計測手段43を上昇させる。これにより、押上げロッド42は、その上端部が吊下部材36に吊り下げられたねじNの下端に当接してこれを上方に押し上げる。これにより、ねじNは、
図4の(c)に示すようにその頭頂面が前記規制蓋34に当接するまで上方へは押し上げられる。この時、前記計測手段43も押上げロッド42と連動して上昇しており、その接触子431をフレーム33の下面に押し当てて収縮させている。これにより、計測手段43は、接触子431の収縮した寸法を測定して、制御部50に出力する。制御部50は、計測手段43が出力した接触子431の収縮した寸法と、予め設定された適正値とを比較して接触子431の収縮した寸法が適正値であれば、良品と判断する一方、適正値から外れていれば不良と判断する。
【0024】
上述の様に計測手段43からの信号を受信した制御部50は、押上げシリンダ41を伸張させて、押上げロッド42を吊下溝361から脱却させる。その後、前記往復シリンダ372を収縮駆動させる。これにより、往復シリンダ372のピストンロッドに押し止められていた吊下部材36は、検査位置から待機位置に向かい移動する。
図3の(c)に示すように吊下部材36が待機位置に到達すると、吊下溝361に吊下支持されたねじNの頭部により、前記検出センサ35の検出光が遮断される。
【0025】
上述のように検出センサ35の検出光が遮断されると、制御部50は、位置制御機構24の直動アーム25および旋回アーム26を駆動させてドライバユニット20を待機位置の上方にまで移動させる。このように検出センサ35がねじNを検出したら位置制御機構24が駆動する構成であるため、万一、吊下部材36にねじNが支持されていない状態で待機位置に到達しても前記位置制御機構24が駆動することを防止でき、効率がよい。また、ドライバユニット20が待機地位置の上方に達すると制御部50は、前記昇降駆動部27を駆動させて、ドライバユニット20をねじNに向けて下降させるとともに前記吸気手段を駆動させてスクリューガイド23の下端から吸気を行う。このため、スクリューガイド23が吊下部材36まで下降すると、吊下溝361に吊下支持されたねじNがスクリューガイド23内に吸着保持される。このようにスクリューガイド23がねじNを吸着保持すると、制御部50は、前記昇降駆動部27、直動アーム25および旋回アーム26を駆動させて所定の目標位置までドライバユニット20を移動させる。この時、制御部50は、前述のようにねじNが良品である場合、目標位置を被締結物上に設けられた所定のねじ締めポイントし、ねじNを被締結物に締結する。一方、ねじNが不良であった場合、目標位置を外部の排出位置に切替え、ねじNを排出させる。このように、良品、不良何れのねじNでも部品供給装置30から排出させることが可能となる。
【0026】
また、上述のようにスクリューガイド23によって、吊下部材36からねじNが取り出されると前記検出センサ35の検出光が再度通過可能となる。このように、検出光が再度通過可能となると、制御部50は、往復シリンダ371および往復シリンダ372を収縮させる。これにより、吊下部材36が受け取り位置に復帰し、前記吊下溝361がシュートレール31に再度連続するため、次段のねじNを受け取り可能となる。このように、ドライバユニット20が吊下溝361からねじNを排除する構成により、ねじNが不良であっても作業者が不良のねじNを排除するのを待つ必要がなくなるため、ねじ締め装置10の駆動時間が長くなり作業効率が向上する。
【0027】
さらに、本件ねじ締め装置10は、上述のようにドライバユニット20が部品供給装置30までねじNを取りに来る構造であるため、押上げ手段40によるねじNの長さ測定後、ねじNを圧送する工程が不要となる。このため、圧送用のホース内で反転する短寸ねじや、圧送時の衝撃により破損する恐れのある樹脂性のねじ等、圧送が難しいねじであってもドライバユニット20に受け渡すことが可能となる。特に制御部50が押上げ手段40によるねじNの長さ測定結果に基づきねじ締めポイントまたは、外部の排出位置に目標地点を切替え移動するよう構成されているため、長さの異なるねじが混入してもこれを締め付けることが防止されるとともに混入したねじを円滑に排出することも可能となる。
【0028】
なお、本発明に係るねじ締め装置10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、ドライバユニット20を移動させる位置制御機構24は、本願のように、直動アーム25と旋回アーム26および昇降駆動部27に限定されず、その他の手段であっても何ら問題ない。また、上記ねじ締め装置10は、ねじNの長さ測定結果に基づき所定のねじ締めポイントまたは、外部の排出位置に目標地点を切替え移動するよう構成されていたが、これに限定されず、ねじの長さ毎に第一のねじ締めポイントと、第二のねじ締めポイントとを切替えるような構成であっても良く、混入したねじの長さ毎に異なる排出位置に排出する構成であっても良い。さらに、往復シリンダ371,372は、吊下部材36を切欠溝332に沿って往復移動させる往復駆動源の一例であり、ボールねじ機構等他のその他の往復駆動源であっても何ら問題ない。同様に検出センサ35も光学センサに限定されず、近接センサ等その他のセンサであっても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0029】
10 … ねじ締め装置
20 … ドライバユニット
24 … 位置制御機構
30 … 部品供給装置
31 … 整列搬送手段
32 … 切り出しユニット
33 … フレーム
34 … 規制蓋
35 … 検出センサ
36 … 吊下部材
361… 吊下溝
371,372… 往復移動手段
40 … 押上げ手段
41 … 押上げ駆動源
42 … 押上げロッド
43 … 測定手段
50 … 制御部
N … 締結部品