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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106802
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】自動ねじ締め機
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20230726BHJP
   B25B 23/04 20060101ALI20230726BHJP
   B25B 23/10 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B23P19/06 E
B23P19/06 A
B25B23/04 A
B25B23/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007746
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BA03
3C038BB01
(57)【要約】
【課題】1サイクル当たりの作業時間を短縮可能な自動ねじ締め機の提供。
【解決手段】本発明の自動ねじ締め機1は、別途供給されるねじNを通過可能な送通部材10と、この送通部材10の一端から排出されたねじNを受け取って吊下支持可能なチャック20と、このチャック20からねじNを吸着して保持可能なスクリューガイド30と、このスクリューガイド30内を挿通自在かつ回転自在に配されねじNに係合するビットBとを備え、前記チャック20が前記送通部材10の一端側から前記スクリューガイド30の先端側へ往復移動自在な移載手段40に連結され、前記吊下穴20aには、エア吸引し吊下したねじNの付着物を回収する清浄ユニットおよび吊下穴20aと交差する吸気穴20dとが連通していることを特徴とする。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別途供給されるねじが通過可能に形成された送通部材と、この送通部材の一端から排出されたねじを受け取って吊下支持可能な吊下穴を有するチャックと、このチャックから前記ねじを吸着して取出し可能なスクリューガイドと、このスクリューガイド内を挿通自在かつ回転自在に配され前記ねじに係合するビットと、前記チャックを前記送通部材の一端側から前記スクリューガイドの先端側へ往復移動させる移載手段を備えている自動ねじ締め機において、
前記吊下穴には、エアを吸引し吊下したねじの付着物を回収する清浄ユニットおよび吊下穴と交差する吸気穴が連通していることを特徴とする自動ねじ締め機。
【請求項2】
前記吊下穴は、ねじの頭部を収容する頭部収容穴および前記頭部収容穴に連続し、当該ねじの軸部を収容する軸部収容穴を一体に備えて成り、
前記吸気穴および洗浄ユニットは、前記軸部収容穴に連通していることを特徴とする請求項1に記載の自動ねじ締め機。
【請求項3】
前記吸気穴の開口端には、吸気フィルタが装着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動ねじ締め機。
【請求項4】
前記吸気穴の開口端には、除電ブロアが装着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動ねじ締め機。
【請求項5】
前記送通部材には、ねじが通過可能な連通穴と、この連通穴に交差する排気穴が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の自動ねじ締め機。
【請求項6】
前記排気穴の開口端には、排気フィルタが装着されていることを特徴とする請求項5に記載の自動ねじ締め機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別途供給されるねじに付着している付着物を吸引して取り除き、清浄された当該ねじをワークへ螺入し締結する自動ねじ締め機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動ねじ締め機は、特許文献1に示されるように、締結部品の一例であるねじに係合可能なビットに連結され当該ビットを回転駆動するモータと、前記ビットの先端側に配置され別途供給される前記ねじを吊下支持可能なチャックと、このチャックとホースにより接続され前記ねじをチャック内へエア圧送可能なねじ供給機と、前記チャックへ供給されたねじを前記ビットの先端へ吸着保持可能な吸着機構と、前記チャックを囲うように配置されエア圧送によりチャック外へ排出される余剰なエアを全量吸引可能な吸引ダクトとを備えて成る。
【0003】
前記吸着機構は、前記ビットおよびねじを挿通可能な内径に設定されたスクリューガイドと、このスクリューガイドの内部に接続されビットの挿通経路を負圧にするよう作動するエア吸引手段とを備えて成る。前記スクリューガイドは、常時ばねに当接しており前記ビットを内包して成る。これにより、スクリューガイドの先端がモータ側へ押されることで前記ばねが撓む。よって、前記ビットは、これまで内包されていたスクリューガイドから突出するよう相対移動することができる。また、このビットおよびスクリューガイドは、前記チャックの下方に配置されたワークへ向かって一体に下降するように構成されている。前記吸引ダクトは、常時は前記チャックの下方に位置するものの、この位置から90度水平旋回可能に構成されている。
【0004】
このように構成された従来の自動ねじ締め機は、前記吸引ダクトを水平方向へ90度旋回させた後、ビットを下降させてねじ締めするので、当該ビットの下降経路上から吸引ダクトを排除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平07-110454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の自動ねじ締め機は、ビットの下降前に吸引ダクトを水平旋回しなければならないので、この旋回に係る時間だけ1サイクル当たりの作業時間が長くなってしまうという問題があった。また、従来の自動ねじ締め機は、前記チャックが下降するビットの通過経路上に固定配置されているので、ワークへねじを締結している間は、当該ビットがチャック内に挿通された状態となっている。よって、ねじの締結中に次のねじをチャックに供給できないので、1サイクル当たりの作業時間を大幅に短縮できないという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、別途供給されるねじが通過可能に形成された送通部材と、この送通部材の一端から排出されたねじを受け取って吊下支持可能な吊下穴を有するチャックと、このチャックから前記ねじを吸着して取出し可能なスクリューガイドと、このスクリューガイド内を挿通自在かつ回転自在に配され前記ねじに係合するビットとを備え、前記チャックが前記送通部材の一端側から前記スクリューガイドの先端側へ往復移動自在な移載手段を備えている自動ねじ締め機において、前記吊下穴には、エアを吸引し吊下したねじの付着物を回収する清浄ユニットおよび吊下穴と交差する吸気穴とが連通していることを特徴とする。なお、前記吊下穴は、ねじの頭部を収容する頭部収容穴および前記頭部収容穴に連続し、当該ねじの軸部を収容する軸部収容穴を一体に備えて成り、前記吸気穴および洗浄ユニットは、前記軸部収容穴に連通していることが好ましい。また、前記吸気穴の開口端には、吸気フィルタが装着されていることが好ましい。さらに、前記吸気穴の開口端には、除電ブロアが装着されていることが好ましい。また、前記送通部材には、ねじが通過可能な連通穴と、この連通穴に交差する排気穴が形成されていることが好ましい。さらに、前記排気穴の開口端には、排気フィルタが装着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る自動ねじ締め機は、ねじを受け取るチャックが前記送通部材の一端側から前記スクリューガイドの先端側へ往復移動自在に構成されているため、ねじ締め中に次段のねじを供給することが可能であり、サイクルタイムを短縮することができる等の利点がある。また、チャックには、ねじを吊下げ支持する吊下穴が形成されており、当該吊下穴に洗浄ユニットおよび吸気穴が連通しているため、洗浄ユニットが駆動すると、吸気穴を通じて外部の空気が吊下穴に勢いよく流入可能となる。このため、ねじの付着物を清浄ユニットが効率的に回収し易くなる等の利点もある。なお、チャックが頭部収容穴とこの頭部収容穴に接続された軸部収容穴とから成る吊下穴を具備しているので、対称に回動する一対の爪に比べて加工が容易であり製作に係るコストを低減できるという利点もある。また、前記吸気穴にフィルタが装着されており、清浄された空気が吊下穴に流入するため、ねじに埃等が付着する恐れがない等の利点もある。さらに、前記吸気穴に除電ブロアが装着されている場合、ねじを除電することができ、基板等の締付時静電気による不具合を防止することが可能となる。また、前記連通部材に排気穴が形成されているため、前記移載手段にかかる負荷を減少させることが可能であり、移載手段の寿命が延びる等の利点もある。さらに、排気穴の開口端に排気フィルタが装着されており、清浄された空気を排出可能であるため、装置周辺を清潔に保てる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る自動ねじ締め機を示す一部切欠き側面図である。
図2】本発明に係る自動ねじ締め機の動作を説明するための断面図である。(a)は動作前の位置関係を示す要部一部切欠き断面図であり、(b)は図2の(a)の状態から動作が進みチャックに支持したねじをスクリューガイドへ吸着保持する時点を示す要部一部切欠き断面図である。
図3】本発明に係る自動ねじ締め機の動作を説明するための断面図である。(a)は図2の(b)の状態から動作が進みチャックを送通部材側へ移載した時点を示す要部一部切欠き断面図であり、(b)は図3の(a)の状態から動作が進みビットを回転下降させてねじ締め作業を行うとともにチャックへ次のねじを供給する状態を示す要部一部切欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る自動ねじ締め機1は、図1ないし図3に示すように、締結部品の一例である頭部および軸部を具備したねじNを通過可能な送通部材10と、この送通部材10の一端から排出されたねじNを受け取って吊下支持可能なチャック20と、このチャック20の下部からエアを吸引して吊下された前記ねじNに付着している付着物を除去する清浄ユニットと、前記チャック20から前記ねじNを吸い上げて内部に保持可能なスクリューガイド30と、このスクリューガイド30内を挿通自在かつ回転自在に配され前記ねじNに係合するビットBとを備えて成る。
【0011】
前記送通部材10は、前記スクリューガイド30の前方へ位置するよう配されており、前記ねじNを給送する部品供給機(図示せず)に接続されている。また、この送通部材10は、前記部品供給機から延びる樹脂ホース(図示せず)を接続可能なホース接手11と、このホース接手11を傾斜させて固定可能なベース12とから構成される。前記部品供給機は、前記樹脂ホース内へねじNを単に1個ずつ下方へ滑落させて排出したり、あるいは当該ねじNを強制的に圧縮エアにより圧送したり何れの構成であってもよい。
【0012】
前記樹脂ホースは、ねじNの頭部よりも若干大径に設定された内径寸法の内部経路を成形されて成り、頭部側を後に軸部側を前にして当該ねじNを通過可能にする。つまり、この樹脂ホース内を通過するねじNは、その頭部と軸部とが前後に入れ替わるような回転をすることがない。
【0013】
前記ホース接手11は、その全長に渡って延び前述した樹脂ホースと同様にねじNを通過可能にする通過穴11aを具備して成り、その一端側の外周に前記樹脂ホースを差し込み可能とする一方、他端側の外周にはおねじを備える。前記ベース12は、前記ホース接手11のおねじに螺合する螺着部と、この螺着部に連通しかつ前記ホース接手11の通過穴11aに連通する連通穴12aとを備えて成る。前記連通穴12aは、前記ホース接手11の取付角度と同様の傾斜角度で成形された傾斜穴と、この傾斜穴から垂直方向へ延びる垂直穴とから構成される。これにより、前記ベース12は、ホース接手11の通過穴11aから前記ねじNを前記傾斜穴、垂直穴の順に案内し、当該ねじNの軸部側から下方へ滑落可能に構成される。
【0014】
また、ベース12には、前記連通穴12aに交差する排気穴12bが形成されている。この排気穴12bは、連通穴12aからベース12の表面まで貫通しており、そのベース12の表面側開口部には、排気フィルタ12cが装着されている。この排気フィルタ12cは、スポンジ状に構成されており、空気のみ通過可能に構成され、空気中の埃等不純物を回収可能に構成されている。
【0015】
前記チャック20は、図2の(a)、図2の(b)に示すように、前記ねじNの頭部を上側、軸部を下側にして吊下支持可能な吊下穴20aを備える。この吊下穴20aは、ねじNの頭部座面に接するすり鉢状の頭部収容穴と、当該頭部収容穴の下端に接続されねじNの軸部を挿通可能な軸部収容穴と、この軸部収容穴に連通するように配されためねじ部20bとから構成される。また、前記チャック20は、水平方向へ往復移動可能な移載手段40に取り付けられている。
【0016】
前記めねじ部20bには、図示しないエア配管を接続可能な配管継手21が取り付けられており、この配管継手21に接続されているエア配管を介して前記清浄ユニット(図示せず)が接続されている。これにより、前記吊下穴20aに支持されたねじNは、清浄ユニットのエア吸引によって下方へ付勢されるとともに当該ねじNに付着していた付着物が前記エア配管を通じて除去される。
【0017】
前記軸部収容穴には、チャック20の側面に対向配置されたセンサ50から発せられる光を通過可能なセンサ光穴20cが軸部収容穴に対して直交に配されている。これにより、前記光は、図2の(a)に示すようなチャック20内にねじNが吊下されている時には、当該ねじNの軸部で遮られる一方、図2の(b)、図3の(a)、図3の(b)に示すようなチャック20内にねじNが支持されていない時には、センサ光穴20cを通過して他方のセンサ50によって受光される。
【0018】
また、チャック20には、前記軸部収容穴に直交する吸気穴20dが貫通形成されており、この吸気穴20dは、その延長線上に前記吊下穴20aに支持されたねじNの軸部が位置する高さに設けられている。このため、洗浄ユニットがエア吸引駆動をし、軸部収容穴内が負圧になると、吸気穴20dを通って外部の空気が軸部収容穴に勢いよく侵入可能となる。このように、軸部収容穴内の空気の流速が向上するため、付着物を除去し易くなる。さらに、チャック20には、前記吸気穴20dの開口部を通気可能に封止する吸気フィルタ20eが装着されている。この吸気フィルタ20eは、スポンジ状に構成されており、通気可能かつ大気中の埃等不純物を除去可能に構成されている。
【0019】
前記移載手段40は、往復直動可能な可動部42と、この可動部42に取り付けられたプレート41とを備えて成り、前記プレート41の先端にチャック20が固定されている。よって、チャック20は、ベース12の下方または後述するスクリューガイド30の先端の2位置へ水平移動するよう構成される。また、前記移載手段40は、エアを外部から供給されることで前記可動部42が前方へ伸長するエアシリンダで構成される。
【0020】
前記プレート41は、前記スクリューガイド30を挿通可能な抜き穴41aを備えて成る。また、前記抜き穴41aは、前記チャック20と可動部42との間に配されており、前記連通穴12aと吊下穴20aとが連通している位置であると前記スクリューガイド30を通過可能な位置になるよう成形されている。
【0021】
前記スクリューガイド30は、前記ねじNの頭部に係合可能な先端形状を具備したビットBを回転かつ昇降自在に内包して成り、その内径は、ねじNの頭部直径とほぼ同等の寸法に設定されている。また、このスクリューガイド30の上端には、前記チャック20に取り付けられている前記配管継手21と同様の配管継手31が配されており、この配管継手31に接続されたエア配管(図示せず)を介してエア吸引する吸引手段(図示せず)が設置されている。これにより、前記吸引手段が作動すると前記ビットBおよびスクリューガイド30の隙間を通じてエア吸引される。また、前記スクリューガイド30は、図2の(a)、図2の(b)、図3の(a)に示すようにベース12の下面とほぼ同等の高さに常時は待機しているので、チャック20に支持したねじNを図2の(b)に示すようにスクリューガイド30へ即座に受け渡すことができる。
【0022】
前記ビットBは、その上方に配置されたモータMに直結されており、このモータMの回転駆動を受けて所定の回転数およびトルクを発揮するよう回転可能に構成されている。また、このビットBは、前記スクリューガイド30に対して相対移動可能に構成されており、当該スクリューガイド30から突出可能に構成される。これにより、スクリューガイド30の先端がワークWの表面に当接すると、この後、回転するビットBは、相対移動を始めて前記ねじNをワークWのタップ穴Waへ螺入する。
【0023】
また、本発明に係る自動ねじ締め機1は、図示しない制御手段を備えており、この制御手段は、前記部品供給機、前記モータM、前記移載手段40、前記センサ50を始めとする各ユニットに配線接続されており、各ユニットから各種信号を取込みむとともにこれら信号に基づいて各ユニットの動作を制御可能に構成される。
【0024】
このように構成された本発明に係る自動ねじ締め機1は、前記制御手段の指令を受けて部品供給機および清浄ユニットが同時に作動する。これにより、前記部品供給機は、前記樹脂ホースへ前記圧縮エアおよび前記ねじNを供給する一方、前記清浄ユニットは、エア吸引を開始して、前記樹脂ホース、通過穴11a、連通穴12aを順に通過する前記ねじNおよび圧縮エアをめねじ部20b側から下方へ吸引し続ける。やがて、前記ねじNが、図2の(a)に示すように連通穴12aから吊下穴20aへ受け渡されると、他方のセンサ50で検知されていた前記光が当該ねじNの軸部で遮られる。また、前記ねじNの受け渡しにおいて、前述のように連通穴12aが傾斜穴と垂直穴とから構成されており、ねじNが吊下穴20aに対して平行な姿勢で受け渡されるため、ねじNと吊下穴20aの頭部収容穴との角度差が大きくなる。これにより、頭部収容穴にねじNの軸部先端が係止せず、確実な受け渡しが可能となる。
【0025】
なお、上述のようにねじNが吊下穴20aに受け渡されると、ねじNの頭部によって吊下穴20aが閉じられる。これにより、部品供給装置から供給された圧縮エアは、連通穴12aに連通する排気穴12bを通り外部に排気される。このように吊下穴20aが閉じられた後は、圧縮エアが排気穴12bを通り外部に排気される構造により、当該圧縮エアの圧力によってチャック20および、これを支持する移載手段40の可動部42が下方に押圧されることが防止される。結果、移載手段40の可動部42にかかる負荷が減少し、移載手段40の寿命が延びる等の利点がある。また、当該連通穴12aの開口部に排気フィルタ12cが装着されているため、圧縮エアの排気時、前記樹脂ホース、通過穴11a、連通穴12aの内部に付着していた埃等が当該排気フィルタ12cに回収され、清浄された空気のみを排出可能となる。この結果、装置周辺の汚染が防止され、清潔に保つことが可能となる。さらに、排気フィルタ12cを通して、排気するため、排気音が小さくなる等の利点もある。
【0026】
また、ねじNの軸部によって光が遮られると、センサ50は、チャック20内にねじNが存在している旨の検出信号を制御手段へ出力する。この検出信号を受けた制御手段は、前記部品供給機へ圧縮エア供給停止指令を発する。部品供給機が圧縮エアの供給を中断した後も前記清浄ユニットは、エア吸引をし続けている。このエア吸引時、前記吸気穴20dが形成されており、外部の空気が当該吸気穴20dを通り軸部収容穴内に流入可能であるため、前述のようにねじNと吊下穴20aとの隙間が閉じられていても、軸部収容穴の内壁とねじNの軸部表面との間を空気が勢いよく通過可能となり、ねじNの軸部表面に付着している付着物を清浄ユニットがより回収し易くなる。さらに、吸気穴20dの開口部に吸気フィルタ20eが装着されているため、外部から流入する空気中の埃等の不純物が除去され、清浄された空気が流入可能となる。これにより、軸部表面に再度不純物が付着すること等を防止される。
【0027】
次に、制御手段は、上述したセンサ50から発せられた前記検出信号を受けると、前記チャック20をスクリューガイド30側へ移載するために前記移載手段40へ復動指令を発する。これにより、移載手段40は、前記可動部42を引き込んでチャック20をスクリューガイド30の先端側へ移載する。前記移載手段40は、前記吊下穴20aとスクリューガイド30とが同軸上に位置した旨の信号を図示しないシリンダスイッチから発し、これを制御手段へ伝達する。
【0028】
これにより、制御手段は、前記清浄ユニットへエア吸引停止指令を発するとともに、スクリューガイド30に接続されている前記吸引手段へエア吸引開始指令を発する。よって、チャック20に支持されていたねじNは、図2の(b)に示すようにビットB側へ吸引されるエアによって吸い上げられスクリューガイド30内へ受け渡される。この時、スクリューガイド23の内面とねじNとの間を空気が勢いよく流れることで、ねじNの表面に付着している付着物が回収される。このため、ねじNの軸部のみではなく頭部に付着していた付着物も回収される。また、吸気フィルタ20eによって清浄された外部の空気が吸気穴20dを通じて吊下穴20a内に流入可能であるため、洗浄ユニット側から吊下穴20a内へ空気の逆流が防止される。これにより、洗浄ユニットがねじNの軸部表面から回収した付着物が吊下穴20aおよびスクリューガイド23内に流れ込み、再度ねじNに付着すること等が防止される。
【0029】
上述の様に、ねじNがスクリューガイド30に受け渡されることによってセンサ50は、再び受光可能となり、チャック20にねじNが存在していない旨の検出信号を制御手段へ発する。制御手段は、センサ50からのねじNが存在していない旨の検出信号を受けて例えば0.5秒等の予め設定された設定時間が経過すると、前記移載手段40へ作動指令を発するとともに前記モータMへ回転駆動指令を発する。これにより、前記チャック20は、図3の(a)に示すように前方へ移載され、前記スクリューガイド30の先端側から前記吊下穴20aおよび連通穴12aが連通する位置へと移動する。また、このチャック20の位置へ移動完了したことは、前記移載手段40に別途配置されているシリンダスイッチ(図示せず)の信号を取込み前記制御手段によって判断される。
【0030】
次に、制御手段は、上述の判断を行うと前記スクリューガイド30および回転するビットBを図3の(b)に示すように下降させるよう指令するので、前記スクリューガイド30は、前記抜き穴41aを通過してワークWの表面に当接する。この当接後には、ビットBは、スクリューガイド30に対して相対移動し始めるとともにこれと係合し一体になって回転するねじNを前記タップ穴Waへ螺入する。
【0031】
また、制御手段は、前述したスクリューガイド30の下降指令を発するタイミングと同時に部品供給機へ作動指令を送り次のねじNを圧送するよう制御する。よって、スクリューガイド30内へ受け渡されたねじNがワークWへ締結されている間に次のねじNをチャック20へ供給できる。つまり、ワークWへのねじNの螺入作業とチャック20へのねじ送り作業とを同時に処理できるので、部品供給機からチャック20までの距離が長いねじ締め作業であっても1サイクルに要する作業時間を短縮できる。
【0032】
なお、本発明に係る自動ねじ締め機1は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、吸気穴20dの開口部に吸気フィルタ20eではなく、ねじNが吊下穴20aに達すると軸部収容穴に向かい圧縮エアを供給するように構成されたエア供給手段等(図示せず)が装着されていても良い。特に吸気フィルタ20eの代わりに除電ブロア(図示せず)等が装着されている場合、もし、ねじNが帯電していてもこれを除電することが可能となり、基板等の電気的に注意が必要なワークに対しても安全に締付可能となる。また、排気穴12bの開口部にねじNの供給中に空気を吸引するように構成されているエア吸引手段が設けられていても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 … 自動ねじ締め機
10 … 送通部材
20 … チャック
30 … スクリューガイド
40 … 移載手段
50 … センサ
B … ビット
N … ねじ

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-02-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
別途供給されるねじが通過可能に形成された送通部材と、この送通部材の一端から排出されたねじを受け取って吊下支持可能な吊下穴を有するチャックと、このチャックから前記ねじを吸着して取出し可能なスクリューガイドと、このスクリューガイド内を挿通自在かつ回転自在に配され前記ねじに係合するビットと、前記チャックを前記送通部材の一端側から前記スクリューガイドの先端側へ往復移動させる移載手段を備えている自動ねじ締め機において、
前記吊下穴には、エアを吸引し吊下したねじの付着物を回収する清浄ユニットおよび吊下穴と交差する吸気穴が連通しており、
前記吸気穴には、吸気フィルタが装着されていることを特徴とする自動ねじ締め機。
【請求項2】
前記吊下穴は、ねじの頭部を収容する頭部収容穴および前記頭部収容穴に連続し、当該ねじの軸部を収容する軸部収容穴を一体に備えて成り、
前記吸気穴および洗浄ユニットは、前記軸部収容穴に連通していることを特徴とする請求項1に記載の自動ねじ締め機。
【請求項3】
前記吸気穴には、除電ブロアが装着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動ねじ締め機。
【請求項4】
前記送通部材には、ねじが通過可能な連通穴と、この連通穴に交差する排気穴が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項の何れかに記載の自動ねじ締め機。
【請求項5】
前記排気穴には、排気フィルタが装着されていることを特徴とする請求項に記載の自動ねじ締め機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、別途供給されるねじが通過可能に形成された送通部材と、この送通部材の一端から排出されたねじを受け取って吊下支持可能な吊下穴を有するチャックと、このチャックから前記ねじを吸着して取出し可能なスクリューガイドと、このスクリューガイド内を挿通自在かつ回転自在に配され前記ねじに係合するビットと、前記チャックを前記送通部材の一端側から前記スクリューガイドの先端側へ往復移動させる移載手段を備えている自動ねじ締め機において、前記吊下穴には、エアを吸引し吊下したねじの付着物を回収する清浄ユニットおよび吊下穴と交差する吸気穴が連通しており、前記吸気穴には、吸気フィルタが装着されていることを特徴とする。なお、前記吊下穴は、ねじの頭部を収容する頭部収容穴および前記頭部収容穴に連続し、当該ねじの軸部を収容する軸部収容穴を一体に備えて成り、前記吸気穴および洗浄ユニットは、前記軸部収容穴に連通していることが好ましい。さらに、前記吸気穴には、除電ブロアが装着されていることが好ましい。また、前記送通部材には、ねじが通過可能な連通穴と、この連通穴に交差する排気穴が形成されていることが好ましい。さらに、前記排気穴には、排気フィルタが装着されていることが好ましい。

【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係る自動ねじ締め機は、ねじを受け取るチャックが前記送通部材の一端側から前記スクリューガイドの先端側へ往復移動自在に構成されているため、ねじ締め中に次段のねじを供給することが可能であり、サイクルタイムを短縮することができる等の利点がある。また、チャックには、ねじを吊下げ支持する吊下穴が形成されており、当該吊下穴に洗浄ユニットおよび吸気穴が連通しているため、洗浄ユニットが駆動すると、吸気穴を通じて外部の空気が吊下穴に勢いよく流入可能となる。このため、ねじの付着物を清浄ユニットが効率的に回収し易くなる等の利点もある。なお、チャックが頭部収容穴とこの頭部収容穴に接続された軸部収容穴とから成る吊下穴を具備しているので、対称に回動する一対の爪に比べて加工が容易であり製作に係るコストを低減できるという利点もある。また、前記吸気穴にフィルタが装着されており、清浄された空気が吊下穴に流入するため、ねじに埃等が付着する恐れがない等の利点もある。さらに、前記吸気穴に除電ブロアが装着されている場合、ねじを除電することができ、基板等の締付時静電気による不具合を防止することが可能となる。また、前記連通部材に排気穴が形成されているため、前記移載手段にかかる負荷を減少させることが可能であり、移載手段の寿命が延びる等の利点もある。さらに、排気穴に排気フィルタが装着されており、清浄された空気を排出可能であるため、装置周辺を清潔に保てる等の利点もある。