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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106841
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20230726BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
E02F9/00 C
B66F9/24 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007811
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 弘季
(72)【発明者】
【氏名】小澤 一顕
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AA20
3F333DB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バッテリ式のフォークリフトのような作業車両は、バッテリの大容量化が進んでいる。大容量のバッテリは、充電時間を短縮して作業効率を向上するために、超急速充電に対応するに対応することが望まれる。
【解決手段】作業車両1は、動力源であるバッテリ23と、車体10の後端部に配置されたカウンタウエイト20と、カウンタウエイト20に設けられ、複数の差込口を有する充電口50とを備える。充電回路には、1つの充電器が接続される場合に比べて大きな電流が供給される。これにより、バッテリ23は、超急速充電が可能になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源であるバッテリと、
車体の後端部に配置されたカウンタウエイトと、
前記カウンタウエイトに設けられ、複数の差込口を有する充電口と、
を備える作業車両。
【請求項2】
前記複数の差込口は、前記バッテリに同時に充電可能に設けられている、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記充電口は、前記カウンタウエイトの車幅方向の中央部に設けられている、
請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記充電口は、前記カウンタウエイトの上部に設けられている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ式の作業車両において、充電口に普通充電カプラ及び急速充電カプラを有する技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、普通充電カプラの端部と急速充電カプラの端部とが、普通充電カプラ及び急速充電カプラの並設方向に互いに対向して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-045702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリ式のフォークリフトのような作業車両は、バッテリの大容量化が進んでいる。大容量のバッテリは、充電時間を短縮して作業効率を向上するために、超急速充電に対応することが望まれる。
【0005】
本発明の態様は、超急速充電に対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、動力源であるバッテリと、車体の後端部に配置されたカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトに設けられ、複数の差込口を有する充電口とを備える、作業車両が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、超急速充電に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るフォークリフトを左後方から見た斜視図である。
図2図2は、充電口の斜視図であり、蓋を開いた状態を示す図である。
図3図3は、充電口の斜視図であり、蓋を閉じた状態を示す図である。
図4図4は、充電口の一例の側面断面図である。
図5図5は、充電口の他の例の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[フォークリフト]
図1は、実施形態に係るフォークリフトを左後方から見た斜視図である。実施形態においては、作業車両1がフォークリフト1であることとする。実施形態において、フォークリフト1は、バッテリ23からの電力で駆動されるバッテリフォークリフトである。フォークリフト1は、運転室40に配置された運転席41に着座したオペレータにより操作される。
【0011】
以下において、フォークリフト1は、フォーク31が配置された側が前方であり、カウンタウエイト20が配置された側が後方である。実施形態においては、左右とは前方に対する左右をいうものとする。左右方向は、フォークリフト1の本体としての車体10の幅方向である。上方は、前輪21及び後輪22のうち少なくとも3個と接触する平面(接地平面)に直交し、かつ接地平面から前輪21又は後輪22の回転中心軸に向かう側である。下方は、前輪21又は後輪22の回転中心軸から接地平面に向かう側である。車体10の前後方向に向かい、かつ車体10の幅方向中心を通る軸を前後軸といい、前後軸に直交し、設置平面と平行かつ車体10の車幅方向に向かう軸を左右軸という。車体10の上下方向に向かう軸を上下軸という。上下軸は、前後軸と左右軸との両方に直交する。前後軸はX軸であり、上下軸はY軸であり、左右軸はZ軸である。
【0012】
車体10は、フレーム11と、フレーム11に支持される運転室40と、同じくフレーム11に支持されるバッテリ23が収容されるバッテリ室を形成する収容部材12とを有する。
【0013】
車体10の前方の左右の端部にそれぞれ前輪21が配置され、車体10の後方の左右の端部にそれぞれ後輪22が配置される。
【0014】
車体10の前方には、荷物の積み降ろし又は移動を行うためのフォーク31が配置される。フォーク31は、上下方向に沿って配置されたマスト32に支持される。フォーク31は、マスト32との間に配置されたリフトシリンダ33が駆動することによって、マスト32に沿って昇降する。マスト32は、下端部が、左右軸回りに回転可能に車体10に取り付けられる。マスト32は、車体10との間に配置された、ティルトシリンダ34が駆動することによって、車体10に対して前傾姿勢又は後傾姿勢をとることが可能である。
【0015】
車体10の後方における下方には、バッテリ23を収容したバッテリ室が配置される。バッテリ23は、フォークリフト1の動力源である。バッテリ23は、充電式バッテリである。バッテリ23は、充電時に水素を発生しない、メンテナンスが容易なバッテリである。バッテリ23は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などである。バッテリ23は、後述する充電口50に接続された充電器によって充電可能である。バッテリ23は、例えば、1C程度の超急速充電が可能である。バッテリ23の充電作業は、定期的に又は必要に応じて実施される。
【0016】
車体10の後端部には、カウンタウエイト20が配置される。フォークリフト1は、カウンタバランス型のフォークリフトとして説明するが、これに限定されない。カウンタウエイト20は、フォーク31が荷物を支持した場合に釣り合いをとるためのウエイトである。
【0017】
[充電口]
図2は、充電口の斜視図であり、蓋を開いた状態を示す図である。図3は、充電口の斜視図であり、蓋を閉じた状態を示す図である。図4は、充電口の一例の側面断面図である。充電口50は、車体10の後方上部に配置されている。充電口50は、車体10の左右方向の中間部に配置されている。より詳しくは、充電口50は、カウンタウエイト20に配置されている。より詳しくは、充電口50は、カウンタウエイト20の幅方向である左右方向の中央部に配置されている。充電口50は、カウンタウエイト20の上部に配置されている。充電口50は、カウンタウエイト20の表面が前方から後方に向かうにつれて上方から下方に傾いた部分に設けられる。充電口50は、地上からの高さHが1m程度でありオペレータの腰付近に位置する。充電口50の底部から、図示しない充電用の配線が引き出されている。充電口50は、凹部51と、カバー52と、差込口53と、差込口54と、スイッチ55と、稼働ランプ56とを備える。実施形態では、2つの差込口53と差込口54とを備えるものとして説明するが、これに限定されない。
【0018】
凹部51は、カウンタウエイト20の表面より内側に凹んで形成される。凹部51は、差込口53と差込口54とが配置されている。凹部51は、壁部511と壁部512とを含む。
【0019】
壁部511は、凹部51の底面を規定する。壁部511は、水平面に対して傾いている。壁部511は、前方から後方に向かうにつれて上方から下方に傾いている。
【0020】
壁部512は、凹部51の1つの側面を規定する。壁部512は、壁部511の前側の端部から上方に立設されている。壁部512には、差込口53と差込口54とが配置されている。壁部512は、上下方向に対して傾いて配置されている。壁部512は、前方から後方に向かうにつれて上方から下方に傾いている。壁部512の壁部511に対する角度θは、例えば、70°から80°程度である。
【0021】
カバー52は、凹部51に対して開閉可能に配置されている。実施形態では、カバー52は、凹部51の上部に設けられた、左右方向に延びる図示しない回転軸を中心にして回動する。カバー52は、例えば、走行時または作業時などのバッテリ23の充電時以外には、凹部51を覆うように閉じられる。カバー52が閉じられた状態では、凹部51が露出しない。カバー52が閉じられた状態では、カバー52は、カウンタウエイト20の表面から突出しない。カバー52は、バッテリ23の充電時、凹部51に対して開かれる。カバー52が凹部51に対して開いた状態では、差込口53と差込口54とが露出する。
【0022】
差込口53と差込口54とは、凹部51の壁部512に左右方向に並んで配置されている。差込口53と差込口54とは、同時にバッテリ23を充電可能に配置されている。差込口53と差込口54とは、それぞれに図示しない充電器のケーブルの先端部に配置されたプラグが接続可能である。差込口53と差込口54とは、それぞれに。差込口53と差込口54とは、同時に充電器のプラグを接続可能である。差込口53と差込口54とは、それぞれに接続された充電器のプラグが干渉しない距離、離れて配置されている。差込口53と差込口54とは、防水構造を有する。
【0023】
実施形態では、差込口53の中心軸線Cと差込口54の中心軸線Cとは、平行、または、差込口53および差込口54から離間するほど、互いに離れる方向に沿って配置されている。
【0024】
差込口53と差込口54とは同様に構成されているため、以下の説明では、特に区別の必要がない場合、差込口53の構成について説明する。実施形態では、差込口53の中心軸線Cは、斜め上後方を向くように配置されている。差込口53の中心軸線Cは、例えば、10°から20°程度斜め上後方を向いている。差込口53には、充電器のケーブルが、車体の斜め上後方から差し込まれる。
【0025】
差込口53は、例えば、地上からの高さHが1m程度に位置する。差込口53は、オペレータの腰付近に位置する。
【0026】
このように構成された差込口53および差込口54に充電器のプラグがそれぞれ接続されると、バッテリ23の充電回路には、2つの充電器から電流が供給される。充電回路には、1つの充電器が接続される場合に比べて大きな電流が供給される。これにより、バッテリ23は、超急速充電が可能になる。
【0027】
スイッチ55は、凹部51の壁部512に配置されている。スイッチ55は、差込口53と差込口54との中間部に配置されている。スイッチ55は、稼働ランプ56の上方に配置されている。スイッチ55は、バッテリ23の電源スイッチである。スイッチ55は、押下するごとに、バッテリ23のONとOFFとを切り替える。
【0028】
稼働ランプ56は、凹部51の壁部512に配置されている。稼働ランプ56は、差込口53と差込口54との中間部に配置されている。稼働ランプ56は、スイッチ55の下方に配置されている。稼働ランプ56は、充電状態を知らせる稼働ランプである。稼働ランプ56は、例えば、バッテリ23の稼働時は点灯し、充電時は点滅する。
【0029】
図4において、Kは、カウンタウエイト20の鋳物の型割り線を示し、Mは、カウンタウエイト20の鋳物の抜き勾配を示す。型割り線Kは、凹部51より前方に位置する。型割り線Kは、上下方向に沿っている。抜き勾配Mは、型割り線Kの下端部から後方に向かうにつれて上方から下方に傾いている。
【0030】
図5は、充電口の他の例の側面断面図である。図5に示す例では、バッテリ23が収容される空間部Sが、図4に示す空間部Sよりも前方に位置する。凹部51の壁部512から空間部Sまでの距離が、図4に示す凹部51の壁部512から空間部Sまでの距離より長い。図5に示す例では、型割り線Kの下端部から後方に向かうにつれて上方から下方に傾く抜き勾配M1と、型割り線Kの下端部から前方に向かうにつれて上方から下方に傾く抜き勾配M2とを有する。
【0031】
[効果]
以上説明したように、実施形態では、カウンタウエイト20に設けられた充電口50は、複数の差込口を備える。実施形態によれば、複数の差込口を有することにより、バッテリ23への超急速充電に対応することができる。
【0032】
実施形態では、複数の差込口は、バッテリ23に同時に充電可能に設けられている。実施形態では、複数の差込口には、同時に充電器のプラグを接続可能である。実施形態によれば、複数の充電器から、バッテリ23の充電回路に電流を供給することができる。実施形態によれば、バッテリ23への超急速充電に対応することができる。
【0033】
実施形態は、複数の差込口には、従来の充電器を接続することができる。
【0034】
実施形態では、充電口50は、カウンタウエイト20の車幅方向の中央部に設けられている。実施形態では、充電口50は、カウンタウエイト20の上部に設けられている。実施形態によれば、充電口50が車体10から突出していないので、フォークリフト1の最小旋回半径を抑えることができる。実施形態によれば、後方の視界を確保できる。
【0035】
実施形態は、充電口50が、車体10から外側に突出しないようにできる。実施形態によれば、充電口50に接続された充電器のケーブルが車幅方向に広がらず、充電時のフォークリフト1の専有面積を抑えることができる。実施形態によれば、フォークリフト1の停車場所の確保、及び、充電場所の確保を容易にできる。
【0036】
実施形態は、充電口50には、カバー52が設けられる。実施形態によれば、差込口53と差込口54とを、外部からの衝撃から保護できる。実施形態によれば、差込口53と差込口54とを、雨水または泥の侵入を低減できる。実施形態によれば、防水性・耐水性を向上できる。
【0037】
実施形態は、充電口50は、地上からの高さHが1m程度であり、オペレータの腰の高さに位置する。実施形態によれば、オペレータは足または腰を曲げることなく、充電口50に充電器のケーブルのプラグを接続することができる。実施形態によれば、充電時の操作性を向上できる。
【0038】
実施形態では、凹部51の壁部511が抜き勾配Mを有する。実施形態によれば、カバー52と凹部51との隙間から凹部51の内部へ侵入した水を排出できる。
【0039】
上述の実施形態においては、作業車両1がフォークリフト1であることとした。上述の実施形態で説明した構成要素は、バッテリを駆動源とする作業車両に適用可能である。例えば、作業車両1がバッテリを駆動源とするホイールローダでもよいし、油圧ショベルでもよいし、ダンプトラックでもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…フォークリフト(作業車両)、10…車体、11…フレーム、12…収容部材、20…カウンタウエイト、21…前輪、22…後輪、23…バッテリ、31…フォーク、32…マスト、33…リフトシリンダ、34…ティルトシリンダ、40…運転室、41…運転席、50…充電口、51…凹部、511…壁部、512…壁部、52…カバー、53…差込口、54…差込口、55…スイッチ、56…稼働ランプ、K…型割り線、M…抜き勾配。
図1
図2
図3
図4
図5