(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106851
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】アンカー部材
(51)【国際特許分類】
E06B 1/60 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007822
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 卓
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA03
2E011KC01
2E011KC07
2E011KD24
2E011KD27
(57)【要約】
【課題】枠体の変形を抑制することが可能なアンカー部材を提供する。
【解決手段】見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、前記躯体に固定される本体部と、前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、を有し、前記内側片は、前記外側片よりも長く延出されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、
前記躯体に固定される本体部と、
前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、を有し、
前記内側片は、前記外側片よりも長く延出されていることを特徴とするアンカー部材。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカー部材であって、
前記内側片は、前記外側片よりも延出された先端に、内周側に延出されて前記見付面部と対面する内側延出片を有していることを特徴とするアンカー部材。
【請求項3】
見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、
前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、
前記延出面部と間隔を空けて設けられ当該延出面部と対向する対向面部を有して前記一対の見付面部を繋ぐ連結部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、
前記躯体に固定される本体部と、
前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、を有し、
前記内側片は、前記対向面部側に延出された内側延出片を有することを特徴とするアンカー部材。
【請求項4】
請求項3に記載のアンカー部材であって、
前記内側延出片は、前記外側片の延出された先端よりも、前記見付面部側に設けられ当該見付面部と対面していることを特徴とするアンカー部材。
【請求項5】
見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、
前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、
前記延出面部と間隔を空けて設けられ当該延出面部と対向する対向面部を有して前記一対の見付面部を繋ぐ連結部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、
前記躯体に固定される本体部と、
前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、
前記本体部から延出され、前記対向面部側に延出された本体延出片と、
を有することを特徴とするアンカー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体を躯体に固定するためのアンカー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体を躯体に固定するためのアンカー部材として、躯体に固定されるアンカー足片を有し、略方形板状体よりなる本体に、対向する両短辺側にそれぞれ窓枠をなす枠体に形成された係止片に対して係合する係合受部を備えたアンカー金物は知られている(例えば、特許文献1参照)。このアンカー金物の係合受部は、各短辺の幅方向における中央部分を斜め下方向に屈曲させた内側係合片と、この内側係合片を跨いで両側に未加工のまま残した外側係合片と、から構成され、内側係合片と外側係合片とにより形成された間隙部分に窓枠背面の係止片を挟み込むようにして係合させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のアンカー金具は、窓枠背面の係止片を挟み込む係合受部の一方をなす内側係合片が、ほぼ方形板状体の短辺の幅方向における中央部分を斜め下方向に屈曲させて形成している。このため、内側係合片の先端は、内側係合片と共に係合受部をなす外側係合片の先端よりも本体の中心側に位置しており、係止片と接触する長さは、内側係合片の方が外側係合片よりも短くなる。
【0005】
窓枠等の枠体は、台風などにより風圧を受けた場合や、火災などにより加熱された際には、窓の中央側が膨らむように反りが生じる虞がある。枠体に反りが生じた場合には、枠体の外周側の端が見込み方向においてアンカー金具の係合受部から抜ける方向及び窓の中心側に移動するように変形する。このため、枠体に反りやねじれ等が生じると枠体が外れる虞や、躯体と枠体との間に隙間が生じ、火災時には火炎が貫通してしまう虞がある。特に、上記従来のアンカー金具のように、内側係合片の方が外側係合片よりも短い場合には、枠体がより変形しやすくなり、より外れやすく、隙間が生じ易いという課題があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、枠体の変形を抑制することが可能なアンカー部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための主たる発明は、見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、前記躯体に固定される本体部と、前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、を有し、前記内側片は、前記外側片よりも長く延出されていることを特徴とする。
本発明の他の特徴については、本明細書および添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、枠体の変形を抑制することが可能なアンカー部材を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るアンカー部材を介して固定される枠体を屋内側から見た図である。
【
図2】本実施形態に係るアンカー部材を介して躯体に固定される枠体を示す縦断面図である。
【
図3】本実施形態に係るアンカー部材を介して躯体に固定される枠体を示す横断面図である。
【
図4】上枠及びアンカー部材と、上枠に取り付けられたアンカー部材を示す縦断面図である。
【
図6】アンカー部材の取り付け方法を示す図である。
【
図7】アンカー部材の作用効果を説明するための図である。
【
図8】第1変形例のアンカー部材の作用効果を説明するための図である。
【
図9】第2変形例のアンカー部材の作用効果を説明するための図である。
【
図10】
図10(a)は、第3変形例のアンカー部材を示す平面図であり、
図10(b)は、第3変形例のアンカー部材が上枠に取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るアンカー部材について図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態では、引違い障子をスライド自在に案内する引違い窓用の枠体を躯体に固定するアンカー部材を例に挙げて説明する。尚、枠体は、引違い障子を案内する枠体に限らず、開き窓用の枠体、すべり出し窓用の枠体、FIX窓用の枠体、引戸を支持する枠体、及び、開き扉を支持する枠体等、躯体に固定される枠体であれば構わない。
本実施形態の枠体1は、
図1に示すように、上枠10、下枠11、及び、左右の縦枠12をなす枠材が矩形状に枠組みされて形成されている。
【0012】
以下の説明においては、矩形状の枠組みされた枠体1の躯体2(
図2、
図3)側となる外周側を、単に外周側とし、反対側となる枠体の内側を内周側として説明する。各枠材は、押し出し成形された形材であり、各々見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部10a、11a、12aと、各見付面部10a、11a、12aの外周側の端部から各々、互いに対向する方向に延出された延出面部10b、11b、12bと、延出面部10b、11b、12bの内周側に間隔を空けて設けられ当該延出面部10b、11b、12bと対向して一対の見付面部10a、11a、12aの間を繋ぐ連結部10c、11c、12cと、を有している。
【0013】
枠体1は、外周側に設けられている躯体2から突設されたアンカーロッド2aに溶接されたアンカー部材3、4を介して固定されている。上枠10、下枠11、及び、左右の縦枠12は、各々の長手方向に互いに間隔を空けて配置される複数のアンカー部材3、4により取り付けられている。上枠10、及び、左右の縦枠12を固定するアンカー部材3は、同一である。
【0014】
下枠11を固定するアンカー部材4は、下枠11が有する2つの延出面部11bの相対位置が、上枠10、及び、縦枠12が有する2つの延出面部10b、12bと異なるため、この形状の相違に対応すべく段差4aが設けられ、見込み方向の長さが短く形成されているが、その他は、上枠10、及び、縦枠12を固定するアンカー部材3と同様である。以下、上枠10を固定しているアンカー部材3を例に挙げて、アンカー部材3の構成及び枠体1を固定する構造について説明する。
【0015】
上枠10は、
図4、
図5に示すように、一対の見付面部10aと、一対の見付面部10aの各々における、枠体1の外周側となる上端から互いに対向する方向に延出された延出面部10bと、延出面部10bの内周側、すなわち下側に間隔を空けて設けられ当該延出面部10bと対向する対向面部10dを有して一対の見付面部10aを繋ぐ連結部10cと、を有している。一対の見付面部10aから互いに対向する方向に延出された延出面部10bの先端10eは、互いに間隔を空けて対向している。
【0016】
アンカー部材3は、躯体2に固定される本体部30と、躯体2に固定された状態における本体部30の見込み方向における両端部に設けられ、上枠10の延出面部10bに各々係合される係合部31と、を有している。本体部30は、略長方形の平板状をなす本体板部30aと、本体板部30aの中央に設けられて躯体2に固定される固定片30bと、を有している。固定片30bは、本体板部30aの中央における長方形状の領域の三辺に沿って略コ字状に切り込みを設け、その内側の部位を曲げ起こして形成されており、本体板部30aの長手方向に沿って略垂直に立ち上げられている。
【0017】
係合部31は、本体板部30aの長手方向における両端にそれぞれ設けられており、互いに本体板部30aの中心に対して点対称となる形状をなしている。各係合部31は、本体板部30aの短手方向に3つの部位に分かれており、3つの部位31a、31b、31cのうちの中央に位置する部位31cが本体板部30aよりも下方側、すなわち、外周側に突出する固定片30bとは反対側の内周側に曲げられている。3つの部位31a、31b、31cのうちの両側に位置する部位31a、31bは、本体板部30aが平坦なまま見込み方向に延出されている。
【0018】
係合部31は、3つの部位31a、31b、31cのうちの中央に位置する部位31cが、枠体1の延出面部10bの内周側に配置され、3つの部位31a、31b、31cのうちの両側に位置する部位31b、31cが、枠体1の延出面部10bの外周側に配置された状態で延出面部10bと係合する。ここで、3つの部位31a、31b、31cのうちの中央に位置する部位31cが、枠体1の延出面部10bの内周側に配置される内側片31cに相当し、3つの部位31a、31b、31cのうちの両側に位置する部位31a、31bが、枠体1の延出面部10bの外周側に配置される外側片に相当する。
【0019】
内側片31cは、その先端側に本体板部30aと略平行をなすように更に曲げられた平行片部31dと、平行片部31dの先端から略直角に内周側に延出された内側延出片31eと、を有している。内側片31cの平行片部31dと、外側片31a、31bとの上下方向における間隔Wは、延出面部10bの厚みtよりも僅かに狭く形成されている。このため、係合部31に係合された延出面部10bは、外側片31a、31bと内側片31cとの間隔を広げるように入り込んでおり、外側片31a、31bと内側片31cとに挟持される。
【0020】
アンカー部材3は、
図6に示すように、本体板部30aの長手方向が、上枠10の長手方向に沿うように向けられて、見込み方向に間隔を空けて設けられている2つの延出面部10bの間に配置され、その後、水平方向に90度回転させて取り付けられる。このとき、内側片31cが延出面部10bの下側に、外側片31a、31bが延出面部10bの上側に位置するようにアンカー部材3を回転させる。
【0021】
このため、アンカー部材3が延出面部10bと係合しやすいように、回転方向において先方側に位置する外側片31aと、内側片31cとには、それぞれ回転方向における先方側に向かって本体板部30aからの延出量が小さくなる傾斜部31f、31gが設けられている。
【0022】
内側片31cは、両側の外側片31a、31bよりも、長く延出されている。すなわち、内側片31cの平行片部31dの先端、及び、平行片部31dの先端に設けられた内側延出片31eは、何れの外側片31a、31bの先端よりも見込み方向に突出している。
【0023】
アンカー部材3が取り付けられて、本体板部30aの長手方向が上枠10の長手方向と略直交している状態で、平行片部31dの先端、及び、内側延出片31eは、係合している延出面部10bが設けられている見付面部10aと近接するように形成されている。より具体的には、アンカー部材3を回転させる際に、平行片部31dの先端、及び、内側延出片31eが見付面部10aと接触することなく回転可能なクリアランスが設けられており、平行片部31dの先端、及び、内側延出片31eが見付面部10aと、より近接する位置に配置されるように、内側片31cは形成されている。
【0024】
本実施形態のアンカー部材3によれば、延出面部10bの内周側に配置され、外側片31a、31bとともに延出面部10bを挟持する内側片31cが外側片31a、31bよりも長く延出されているので、アンカー部材3は、係合部31により延出面部10bを挟持しているばかりでなく、例えば、枠体1が風圧や熱により、
図7の一点鎖線で示すように、枠体1の上下方向の中央側が、屋外側に張り出すように変形する場合には、変形しようとする枠体1の延出面部10bを、内側片31cの平行片部31dが、屋内側におけるAの位置にて内周側から支持するので枠体1は変形しにくい。
【0025】
このとき、内側片31cが外側片31a、31bよりも長く延出されているので、内側片31cが外側片31a、31bよりも短い場合、或いは、内側片31cと外側片31a、31bとが同じ長さの場合よりも、平行片部31dと延出面部10bとの接触面積が大きくなる。このため、より大きな摩擦力が生じるため、内側片31cと外側片31a、31bとの間から延出面部10bがより抜けにくくなる。このとき、枠体1が屋外側に張り出すように変形する際には、延出面部10bは内周側にも移動しようとするので、延出面部10bの内周側に位置する平行片部31dを押圧する。このため、延出面部10bと平行片部31dとの間にてより大きな摩擦力を発生させることが可能である。
【0026】
また、内側片31cの延出された平行片部31dの先端には、内周側に延出されて見付面部10aと対面する内側延出片31eが設けられているので、上記のように屋外側に張り出すような反りやねじれ等が生じた枠体1の見付面部10aの下側が、屋外側に入り込むように傾いた場合には、Bの位置にてアンカー部材3の内側延出片31eに接触し易い。見付面部10aが内側延出片31eと接触すると、見付面部10aと内側延出片31eとの間においても摩擦力が生じるので、枠体1に、より大きな反りやねじれ等が生じることを抑制することが可能である。
【0027】
また、枠体1の上下方向の中央側が、屋外側に張り出すように変形する際には、枠体1の屋外側の部位が上方に移動する力が作用する。このとき、アンカー部材3の内側片31cには内側延出片31eが設けられているので、枠体1の屋外側において、
図7のCの位置にて、上方に移動する連結部10cの対向面部10dが内側延出片31eの下端に接触する。このため、延出面部10bと対向面部10dとの間で内側延出片31eが突っ張るので、枠体1は変形しにくい。このため、枠体1の変形が抑制され、内側片31cと外側片31a、31bとの間から延出面部10bが抜けることを抑制することが可能である。
【0028】
上記実施形態においては、アンカー部材3の内側片31cに内側延出片31eが設けられている例について説明したが、
図8に示す第1変形例のように、内側延出片31eが設けられていなくとも、内側片31cが外側片31a、31bよりも長く延出されているだけであっても、延出面部10bとの接触面積が大きくなり、より大きな摩擦力が生じるため、内側片31cと外側片31a、31bとの間から延出面部10bが抜けて枠体が変形することを抑制可能である。
【0029】
また、上記実施形態においては、アンカー部材の内側片31cの内側延出片31eが見付面部10aと近接して配置される例について説明したが、内周側に延出される内側延出片31eは、見付面部10aと近接しなくとも構わない。例えば、
図9に示す第2変形例のように、アンカー部材3の内側片31cが、見付面部10aと間隔が空いた位置に設けられていたとしても、枠体1に反りやねじれ等が生じる際には、枠体1の見付け方向における一方側が内周側に移動するように変形すると、他方側は外周側に移動するように変形する。このとき、内側片31cの内側延出片31eの先端が、外周側に移動する連結部10cの対向面部10dに接触することにより、枠体1の変形が抑制される。
【0030】
また、内側片31cの内周側に延出される部位は、先端が見付面部10aと近接する平行片部31dの、先端よりも本体板部30a側に設けられていてもよい。この場合には、内側片31cの内側延出片31eの先端が、外周側に移動する連結部10cの対向面部10dに接触することにより、枠体1の変形が抑制されるとともに、より長く延出されている平行片部31dにより、延出面部10bとの間にてより大きな摩擦力を生じさせて延出面部10bが係合部31から抜けることを抑制することが可能である。尚、内側片31cの内周側に延出される部位を、内側片31cの先端よりも本体板部30a側に設けた場合には、内周側に延出される部位の先端が、連結部10cに当接する、或いはより近接する位置に配置されるように形成すると、枠体1の変形をより確実に抑制することが可能となる。
【0031】
また、上記実施形態においては、対向面部10d側に延出された内側延出片31eが内側片31cに設けられている例について説明したが、対向面部10d側に延出される部位をなす本体延出片31hが、
図10に示す第3変形例のように、本体板部30aの一部を曲げ起こして設けられていても構わない。
【0032】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0033】
見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、前記躯体に固定される本体部と、前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、を有し、前記内側片は、前記外側片よりも長く延出されていることを特徴とするアンカー部材である。
【0034】
このようなアンカー部材によれば、延出面部よりも枠体の内周側に配置されて、外側片とともに延出面部を挟持する内側片が外側片よりも長く延出されているので、アンカー部材は、延出面部を挟持しているばかりでなく、枠体が風圧や熱により変形しつつ窓の中央側に移動しようとしても、内側片が、延出面部を中央側から支持しているので、枠体は変形しにくい。
【0035】
また、内側片が外側片よりも長く延出されているので、内側片が外側片よりも短い場合、或いは、内側片と外側片とが同じ長さの場合よりも延出面部との接触面積が大きくなるので、大きな摩擦力が生じるため、内側片と外側片との間から延出面部がより抜けにくくなる。このとき、枠体の変形により、窓の中央側に移動する延出面部は、窓の中央側に位置する内側片を押圧するので、より大きな摩擦力を発生させることが可能である。
【0036】
かかるアンカー部材であって、前記内側片は、前記外側片よりも延出された先端に、内周側に延出されて前記見付面部と対面する内側延出片を有していることを特徴とする。
【0037】
このようなアンカー部材によれば、内側片の延出された先端には、内周側に延出されて見付面部と対面する内側延出片が設けられているので、反りやねじれ等が生じた枠体の見付面部は、アンカー部材の内側延出部に接触し易い。見付面部が内側延出部と接触すると、見付面部と内側延出部との間においても摩擦力が生じるので、枠体により大きな反りやねじれ等が生じることを抑制し、枠体がアンカー部材から外れることを防止することが可能である。
【0038】
また、見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、前記延出面部と間隔を空けて設けられ当該延出面部と対向する対向面部を有して前記一対の見付面部を繋ぐ連結部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、前記躯体に固定される本体部と、前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、を有し、前記内側片は、前記対向面部側に延出された内側延出片を有することを特徴とするアンカー部材である。
【0039】
このようなアンカー部材によれば、内側片は、対向面部側に延出された内側延出片を有しているので、アンカー部材は、延出面部を挟持しているばかりでなく、枠体が風圧や熱により変形しつつ窓の中央側に移動し内側延出片が対向面部に接触すると、延出面部と対向面部との間で内側延出片が突っ張るので、枠体は変形しにくい。このため、枠体の変形が抑制され、内側片と外側片との間から延出面部が抜けることを抑制することが可能である。
【0040】
かかるアンカー部材であって、前記内側延出片は、前記外側片の延出された先端よりも、前記見付面部側に設けられ当該見付面部と対面していることを特徴とする。
【0041】
このようなアンカー部材によれば、内側延出片は、外側片の延出された先端よりも見付面部側にて見付面部と対面しているので、反りやねじれ等が生じた枠体の見付面部は、アンカー部材の内側延出片に接触し易い。見付面部が内側延出部と接触すると、見付面部と内側延出部との間においても摩擦力が生じるので、枠体により大きな反りやねじれ等が生じることを抑制することが可能である。
【0042】
また、見込み方向に間隔を空けて設けられた一対の見付面部と、前記一対の見付面部の各々から互いに対向する方向に延出された延出面部と、前記延出面部と間隔を空けて設けられ当該延出面部と対向する対向面部を有して前記一対の見付面部を繋ぐ連結部と、を有する枠体を躯体に固定するためのアンカー部材であって、前記躯体に固定される本体部と、前記本体部の両端部に延出されて設けられ、前記延出面部よりも前記枠体の外周側に配置される外側片と、前記延出面部よりも前記枠体の内周側に配置され前記外側片とともに前記延出面部を挟持する内側片と、前記本体部から延出され、前記対向面部側に延出された本体延出片と、を有することを特徴とするアンカー部材である。
【0043】
このようなアンカー部材によれば、本体部から対向面部側に延出された延出片を有しているので、アンカー部材は、延出面部を挟持しているばかりでなく、枠体が風圧や熱により変形しつつ窓の中央側に移動し本体延出片が対向面部に接触すると、本体延出片が本体部と対向面部との間で突っ張るので、枠体は変形しにくい。このため、枠体の変形が抑制され、内側片と外側片との間から延出面部が抜けることを抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 枠体、2 躯体、3 アンカー部材、4 アンカー部材、
10a 見付面部、10b 延出面部、10c 連結部、10d 対向面部、
30 本体部、31a 外側片、31b 外側片、31c 内側片、31e 内側延出片、
31h 本体延出片、