IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人信州大学の特許一覧 ▶ 不二越機械工業株式会社の特許一覧

特開2023-106875金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法
<>
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図1
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図2
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図3
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図4
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図5
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図6
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図7
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図8
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図9
  • 特開-金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106875
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】金属酸化物単結晶の製造装置および金属酸化物単結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/16 20060101AFI20230726BHJP
   C30B 11/00 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
C30B29/16
C30B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007857
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(71)【出願人】
【識別番号】000236687
【氏名又は名称】不二越機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】干川 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】太子 敏則
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓実
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BB10
4G077CD02
4G077EA02
4G077ED01
4G077EG15
4G077EG21
4G077EG25
4G077MB04
4G077MB26
4G077MB33
(57)【要約】
【課題】金属酸化物単結晶の製造装置、特に酸化雰囲気下で高融点の金属酸化物単結晶を製造する金属酸化物単結晶の製造装置において、種子付けを行う際、種子結晶に結晶育成方向の温度差を確実に生じさせて、種子付けが確実に行える金属酸化物単結晶の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る金属酸化物単結晶の製造装置10は、第1端部18aと第2端部18bとを有し、第1端部18a側に結晶原料34、第2端部18b側に種子結晶34を配置して結晶原料36および種子結晶34を収容するためのるつぼ18と、るつぼ18を加熱する発熱体30と、第3端部44aと第4端部44bとを有し、第3端部44aがるつぼ18の第2端部18bに当接してまたは近接して設けられて、第2端部18bの熱を奪うことによって第2端部18bを冷却する冷却棒44と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部側に結晶原料、前記第2端部側に種子結晶を配置して前記結晶原料および前記種子結晶を収容するためのるつぼと、
前記るつぼを加熱する発熱体と、
第3端部と第4端部とを有し、前記第3端部が前記るつぼの前記第2端部に当接してまたは近接して設けられて、前記第2端部の熱を奪うことによって前記第2端部を冷却する冷却棒と、を備えていること
を特徴とする金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項2】
前記冷却棒の内部に、流体が通流するための通流路を有していること
を特徴とする請求項1記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項3】
前記通流路は、前記冷却棒の前記第4端部側から前記第3端部側に向かって流体が通流する往流路と、前記冷却棒の前記第3端部側から前記第4端部側に向かって流体が通流する復流路と、からなり、
前記往流路と前記復流路とが、前記冷却棒の前記第3端部の内部で連通していること
を特徴とする請求項2記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項4】
前記冷却棒は、二重管構造となっており、前記二重管構造における内管の内部が前記往流路となっており、前記内管と外管との間の間隙が前記復流路となっていること
を特徴とする請求項3記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項5】
前記冷却棒の前記第3端部が前記るつぼの前記第2端部に近接して設けられる構成において、
前記冷却棒の前記第3端部に、開口部を有し、
前記冷却棒の前記第4端部側から前記第3端部側に向かって前記通流路を通流する流体が前記開口部から前記るつぼの前記第2端部に向かって排出されること
を特徴とする請求項2記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項6】
前記冷却棒の前記第3端部が前記るつぼの前記第2端部に当接して設けられる構成において、
前記冷却棒の前記第3端部と前記るつぼの前記第2端部とが面接触するように構成されていること
を特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項7】
前記冷却棒は、前記るつぼを移動させるるつぼ移動部の内部に延設されていること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項8】
前記るつぼは、前記第1端部を上向きに、且つ前記第2端部を下向きして配置され、
前記るつぼの前記第2端部を下方から支持するるつぼ軸が設けられ、
前記冷却棒は、前記るつぼ軸の内部に延設されていること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項9】
前記冷却棒は、前記るつぼ軸の中心軸と一致するように配置されていること
を特徴とする請求項8記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項10】
酸化雰囲気下で金属酸化物単結晶を製造する装置であること
を特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項11】
酸化ガリウム結晶を製造する装置であること
を特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の金属酸化物単結晶の製造装置。
【請求項12】
種子結晶および結晶原料を収容したるつぼを発熱体によって加熱し、前記種子結晶に温度差を生じさせて前記種子結晶の一部を融解させると共に、前記結晶原料を融解させて、融解した前記種子結晶の一部と前記結晶原料とを前記種子結晶側から前記結晶原料側に向かって固化させて結晶化させる金属酸化物単結晶の製造方法において、
前記種子結晶に前記温度差を生じさせる際に最も温度が低くなるように設定される種子結晶部位が接触するるつぼ部位に、前記るつぼの外部から冷却棒を当接させてまたは近接させて設けることによって、前記冷却棒により前記るつぼ部位の熱を奪って冷却させること
を特徴とする金属酸化物単結晶の製造方法。
【請求項13】
前記冷却棒の内部に、流体が通流するための通流路を有していること
を特徴とする請求項12記載の金属酸化物単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物単結晶を製造するための装置である金属酸化物単結晶の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物単結晶の製造装置(以下、「装置」と表記する場合がある)が知られている。一例として、特許文献1(特開2021-134140号公報)には、垂直ブリッジマン法(VB法)を適用した酸化ガリウム単結晶(以下、「酸化ガリウム結晶」と表記する場合がある)の製造装置が記載されている。当該装置においては、先ず、るつぼの底部に種子結晶(酸化ガリウム結晶)を収容し、さらに種子結晶の上に結晶原料(例えば、酸化ガリウムの焼結体)を収容する。次に、当該るつぼを炉内に配置する。次に、発熱体により炉内(るつぼ)を加熱して、結晶原料、および、種子結晶の一部(結晶成長の起点となる結晶原料側の部位)を融解させる。次に、当該融液を冷却して種子結晶の融解部から結晶成長を開始し、上方に向かって結晶原料融液を固化させることにより結晶化を進行させて、最終的に結晶原料融液全体を結晶化させる。
【0003】
特許文献1では、るつぼを下方から支持するるつぼ軸を動作させて当該るつぼを上下方向に移動可能に構成すると共に、当該るつぼを発熱体の位置に対して相対的に降下させることにより結晶成長させる。これに対して、るつぼを移動させる代わりに炉内の温度分布を変化させることにより結晶成長界面を移動させる垂直温度勾配凝固法(VGF法)を適用した装置も知られている。また、水平方向に結晶成長させる水平ブリッジマン法(HB法)もしくは水平温度勾配凝固法(HGF法)を適用した装置等も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-134140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、結晶育成の際、種子結晶に結晶育成方向の温度差(結晶原料側の温度が相対的に高くその逆側の温度が相対的に低くなる温度差)を生じさせて、種子結晶の一部(結晶成長の起点となる結晶原料側の部位)を融解させることを「種子付け」という。
【0006】
ここで、特許文献1に例示される酸化ガリウム結晶の製造装置のように、酸化雰囲気下で高融点の金属酸化物単結晶を製造する金属酸化物単結晶の製造装置において特に問題になる課題として、種子付けの確実性についての課題がある。一例として、酸化ガリウムの融点は、1800℃付近となっている。そこで、炉内を酸化雰囲気(本願では、酸素等のような酸化性のガスを含む雰囲気のことをいい、例えば、「酸素雰囲気」および「大気雰囲気」はこれに含まれる)にして、酸化ガリウム結晶の原料を融解させて結晶化させようとすると、このような温度環境および雰囲気環境を作り出すための炉に使用可能な材料としては、アルミナ等の所定の材料に限られる。このような炉において発熱体によりるつぼを加熱すると、炉内温度は当該材料の耐熱限界付近にまで達する。そこで、炉に負荷をかけないように、一例として、特許文献1では、円筒型の炉の内壁に沿って保温材により構成される炉内管を設けている。これにより、炉内(例えば、発熱体の発熱部が配設される高さ領域であって発熱体の発熱範囲となる領域)からの熱放出を抑制し、炉内の保温性を向上させている。
【0007】
しかしながら、この構成によれば、炉内の保温性が向上することで炉内に配置されたるつぼ周辺に温度勾配を生じさせ難くなり、種子結晶の温度制御が難しくなる。その結果、種子付けを行う際、種子結晶に結晶育成方向の温度差(ここでは、種子結晶の上下部位間の温度差)を生じさせ難くなって(例えば、0.5~1.0℃程度に温度差が小さくなることがある)、種子付けの確実性が低下するという不具合が生じる。
【0008】
また、特許文献1では、酸化ガリウム結晶育成用のるつぼとして、高温環境および酸化雰囲気環境に適用する白金ロジウム合金製のるつぼを使用すると共に、当該るつぼを下方から支持するるつぼ軸の上端部に、耐熱温度が高く且つ白金ロジウムとも反応しないジルコニア製の支持体(アダプタ)を設けている。しかしながら、この構成によっても、熱伝導率が低いジルコニアによる保温効果によって、種子付けを行う際、種子結晶に結晶育成方向の温度差を生じさせ難くなる結果となっていた。そこで、種子付けを行う際の種子結晶に対して、結晶育成方向(例えば、VB法やVGF法等では上下方向、HB法やHGF法等では水平方向)の温度差を確実に生じさせることができる構成が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、金属酸化物単結晶の製造装置、特に酸化雰囲気下で高融点の金属酸化物単結晶を製造する金属酸化物単結晶の製造装置において、種子付けを行う際、種子結晶に結晶育成方向の温度差(結晶原料側の温度が相対的に高くその逆側の温度が相対的に低くなる温度差)を確実に生じさせて、種子付けが確実に行える金属酸化物単結晶の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0011】
本発明に係る金属酸化物単結晶の製造装置は、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部側に結晶原料、前記第2端部側に種子結晶を配置して前記結晶原料および前記種子結晶を収容するためのるつぼと、前記るつぼを加熱する発熱体と、第3端部と第4端部とを有し、前記第3端部が前記るつぼの前記第2端部に当接してまたは近接して設けられて、前記第2端部の熱を奪うことによって前記第2端部を冷却する冷却棒と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、結晶原料と種子結晶とが結晶育成方向に並んで収容されるるつぼにおいて、種子結晶の一部(結晶原料側)を融解する種子付けに際して非融解部になるように設定される種子結晶部位(結晶原料側の逆側)が接触するるつぼ部位である第2端部に、冷却棒を当接してまたは近接して設けることで、第2端部の熱を奪って第2端部を冷却することができる。その結果、種子結晶に、結晶原料側の温度が相対的に高くその逆側の温度が相対的に低くなる温度差、すなわち結晶育成方向の温度差を生じさせることができる。その結果、種子結晶の結晶原料側に融解部を、その逆側に非融解部を作り出して種子付けが確実に行えるようになる。
【0013】
また、前記冷却棒の内部に、流体が通流するための通流路を有していることが好ましい。これによれば、冷却棒の内部に流体を通流させて、流体によってるつぼの第2端部の熱を奪って第2端部を冷却することができる。
【0014】
また、前記通流路は、前記冷却棒の前記第4端部側から前記第3端部側に向かって流体が通流する往流路と、前記冷却棒の前記第3端部側から前記第4端部側に向かって流体が通流する復流路と、からなり、前記往流路と前記復流路とが、前記冷却棒の前記第3端部の内部で連通するように構成されていてもよい。当該構成においては、前記冷却棒は、二重管構造となっており、前記二重管構造における内管の内部が前記往流路となっており、前記内管と外管との間の間隙が前記復流路となっていることが好ましい。これによれば、冷却棒の通流路に導入された流体が、内周路である往流路を通流して冷却棒の第3端部に達して、るつぼの第2端部から熱を奪うと共に、当該第3端部にて復流路に入り、外周路である復流路を通流して冷却棒外(すなわち、炉外)に排出されることで、るつぼの第2端部を冷却することができる。
【0015】
また、前記冷却棒の前記第3端部が、前記るつぼの前記第2端部に近接して設けられる構成においては、前記冷却棒の前記第3端部に、開口部を有し、前記冷却棒の前記第4端部側から前記第3端部側に向かって前記通流路を通流する流体が、前記開口部から前記るつぼの前記第2端部に向かって排出されるように構成されていてもよい。これによれば、るつぼの第2端部に向かって吹付けられた流体が第2端部に当たることで、第2端部の熱を奪って冷却することができる。
【0016】
また、前記冷却棒の前記第3端部が、前記るつぼの前記第2端部に当接して設けられる構成においては、前記冷却棒の前記第3端部と前記るつぼの前記第2端部とが面接触するように構成されていることが好ましい。これによれば、冷却対象であるるつぼの第2端部に対する冷却棒の接触面積を大きくして、より多くの熱を冷却棒で受け取るように構成することで、冷却効果を向上させることができる。
【0017】
また、前記冷却棒は、前記るつぼを移動させるるつぼ移動部の内部に延設されていることが好ましい。これによれば、るつぼを移動させる移動機構を備えるVB法もしくはHB法等を適用した装置において、冷却棒を好適に設けることができる。
【0018】
また、前記るつぼは、前記第1端部を上向きに、且つ前記第2端部を下向きして配置され、前記るつぼの前記第2端部を下方から支持するるつぼ軸が設けられ、前記冷却棒は、前記るつぼ軸の内部に延設されていることが好ましい。これによれば、上下方向に結晶成長させるVB法もしくはVGF法等を適用した装置において、冷却棒を好適に設けることができる。
【0019】
また、前記冷却棒は、前記るつぼ軸の中心軸と一致するように配置されていることが好ましい。これによれば、冷却棒がるつぼ軸の内壁に接触することを防止して、高温による冷却棒の焼結、変形、および、ひび割れを防止できる。
【0020】
また、本発明に係る金属酸化物単結晶の製造装置は、酸化雰囲気下で金属酸化物単結晶を製造する装置、また、高融点である酸化ガリウム結晶を製造する装置として好適に適用できる。
【0021】
また、本発明に係る金属酸化物単結晶の製造方法は、種子結晶および結晶原料を収容したるつぼを発熱体によって加熱し、前記種子結晶に温度差を生じさせて前記種子結晶の一部を融解させると共に、前記結晶原料を融解させて、融解した前記種子結晶の一部と前記結晶原料とを前記種子結晶側から前記結晶原料側に向かって固化させて結晶化させる金属酸化物単結晶の製造方法において、前記種子結晶に前記温度差を生じさせる際に最も温度が低くなるように設定される種子結晶部位が接触するるつぼ部位に、前記るつぼの外部から冷却棒を当接させてまたは近接させて設けることによって、前記冷却棒により前記るつぼ部位の熱を奪って冷却させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、種子結晶に結晶育成方向の温度差(結晶原料側の温度が相対的に高くその逆側の温度が相対的に低くなる温度差)を確実に生じさせて、種子付けが確実に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1Aおよび図1Bは、本発明の第1の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置の例を示す概略図(垂直断面図)であり、発熱体として抵抗加熱による発熱体を適用した例を示す。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置の例を示す概略図(垂直断面図)であり、発熱体として誘導加熱による発熱体を適用した例を示す。
図3図3Aは、図1Aに示す金属酸化物単結晶の製造装置におけるるつぼを拡大した拡大図である。図3Bは、図3Aに示するつぼの他の例を示す概略図(垂直断面図)である。
図4図4Aは、図1Aに示す金属酸化物単結晶の製造装置における冷却棒を拡大した拡大図である。図4B図4Cおよび図4Dは、図4Aに示す冷却棒の他の例を示す概略図(垂直断面図)である。
図5図5は、図4Aに示す冷却棒の他の例を示す概略図(垂直断面図)である。
図6図6は、本発明の第1の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置における冷却棒による作用効果について説明する説明図である。
図7図7Aは、本発明の第2の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置における冷却棒の例を示す概略図(垂直断面図)である。図7Bおよび図7Cは、図7Aに示す冷却棒の他の例を示す概略図(垂直断面図)である。
図8図8A図8Bおよび図8Cは、図7Aに示す冷却棒の配置例を示す説明図である。
図9図9は、本発明の第2の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置における冷却棒による作用効果について説明する説明図である。
図10図10は、実施例1の方法について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、全ての実施形態に係る全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。本発明の第1の実施形態は、上下方向に結晶成長させるVB法もしくはVGF法等が適用可能な金属酸化物単結晶の製造装置10の例である。
【0025】
図1および図2は、本実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置10の例を示す垂直断面図である。図1Aおよび図1Bは、発熱体30として抵抗加熱による発熱体30を適用した例を示す。図2は、発熱体30として誘導加熱による発熱体30を適用した例を示す。以下、一例として、金属酸化物を酸化ガリウム(Ga)とし、図1Aに沿って本実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置10の基本構成を説明する。
【0026】
図1Aに示すように、本実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置10(酸化ガリウム結晶の製造装置10)は、結晶原料36および種子結晶34を収容するためのるつぼ18と、るつぼ18を収容するための炉14と、るつぼ18を下方から支持すると共にるつぼ18を移動させるるつぼ軸16と、るつぼ18およびるつぼ軸16を囲む炉心管26と、炉心管26を囲む炉内管28と、炉心管26と炉内管28との間の空間に発熱部30aが配置されるように設けられてるつぼ18を加熱する発熱体30と、を備えている。さらに、本装置10は、るつぼ18の下端部18bを冷却する冷却棒44を備えている。
【0027】
炉14は、基体12上に設けられ、筒状をなして、上部が閉塞されている。炉14は、アルミナ等の耐熱材からなり、それぞれ固有のサイズ(高さ、外径および内径)を有する環状部材14aが、入れ子状に組み合わされ、また、上下に積層されて筒状をなすと共に、内部に空間が形成されている(各環状部材14a間の境界は不図示)。なお、当該環状部材14aは、中心から放射状に分割される分割片が接合されてなることで、それぞれ固有のサイズが実現されている。炉14内は、相対的に大きな内径の空間である結晶育成部15aを有し、当該結晶育成部15aの底面の中央部に相対的に小さな内径の空間である凹部15bが連通して形成されている。
【0028】
また、るつぼ軸16は、炉14の中心軸と一致するように基体12を貫通すると共に、凹部15bを経て結晶育成部15aの中央高さ付近まで上下方向に延設されている。るつぼ軸16は、駆動機構(不図示)により上下方向に移動可能且つ軸回転可能に構成されている。結晶育成を行う際は、るつぼ軸16上にるつぼ18が配置され、るつぼ軸16を動作させることで当該るつぼ18を炉14内で上下動させたり軸回転させたりすることができる。つまり、本実施形態においては、るつぼ軸16は、るつぼ18を支持する機能、および、るつぼ18を移動させる機能の両方の機能を有する。本願請求項の「前記るつぼの前記第2端部を下方から支持するるつぼ軸」および「前記るつぼを移動させるるつぼ移動部」は、本実施形態ではいずれもるつぼ軸16に相当する。一方、VGF法が適用される装置10では、るつぼ軸16は必ずしもるつぼ18を移動させる機能を有している必要はなく、少なくともるつぼ18を支持する機能を有していればよい。また、るつぼ軸16は、凹部15bの底部から炉14外へ取出せるように構成されている。したがって、るつぼ18が炉14内外に出し入れされる際は、るつぼ軸16ごと出し入れされる。
【0029】
また、本実施形態に係る酸化ガリウム結晶育成用るつぼ18としては、白金系合金製のるつぼ、例えば、白金ロジウム合金製のるつぼ18(例えば、Rh含有量が10~30wt%)もしくは白金イリジウム合金製のるつぼ18(例えば、Ir含有量が20~30wt%)等が好適に適用される。本実施形態に係るるつぼ軸16は、アルミナ等の耐熱材で軸状に構成され、さらにその上に耐熱温度がより高く(例えば、2000℃程度)且つ高温下でるつぼ18を構成する白金ロジウム合金等とも反応しないジルコニアからなる支持体16a(アダプタ16a)が設けられている。これによれば、るつぼ18をより安定して配置できる。ただし、支持体16a(アダプタ16a)は、任意の構成である。また、支持体16a(アダプタ16a)は、るつぼ軸16の一部として、るつぼ軸16の概念に含まれる構成である。
【0030】
また、結晶原料36および種子結晶34を収容するためのるつぼ18は、図3Aに示すように、一端閉塞筒状の小径部38と、両端開口筒状の大径部42と、小径部38と大径部42との間で小径部38から大径部42に向けて拡径して伸びる拡径部40と、からなる漏斗状に形成されている。ただし、るつぼ18の形状はこれに限定されない。他の例として、図3Bに示すように、単に、一端閉塞筒状に形成されていてもよい。るつぼ18は、開口する一端を上端部18aとして且つ閉塞する他端を下端部18bとして(図3Aでは、大径部42側を上向きに且つ小径部38側を下向きして)、るつぼ軸16(支持体16a)上に配置される。なお、るつぼ軸16(支持体16a)の形状も、るつぼ18の形状に合わせて適宜設定されればよい。
【0031】
また、中空のるつぼ軸16の内部には、るつぼ18の下端部18bを冷却する冷却棒44が延設されている。冷却棒44の詳細は後述する。また、るつぼ軸16の内壁と冷却棒44との間の間隙に、るつぼ18の所定部位の温度を計測する熱電対20(図10に、熱電対20の一部である測温部を符号20として表示)が設けられている。熱電対20の数や測温部の設置場所は限定されない。
【0032】
また、基体12を貫通して凹部15bに開口し、炉14の内外を連通する吸気管22が設けられている。また、炉14の中心軸と一致するように炉14の上部を貫通して、炉14の内外を連通する排気管24が設けられている。吸気管22および排気管24によって、炉14内は、通常、大気雰囲気になるように構成されているが、例えば、吸気管22からの大気の流入量等を調整して炉14内の雰囲気(例えば、酸素濃度)を調整してもよい。また、吸気管22から大気以外の所定のガス(例えば、酸素)を導入して炉14内を所定の雰囲気(例えば、酸素雰囲気)に調整してもよい。なお、吸気管22は炉14における下部側に設けられ、排気管24は炉14における上部側に設けられていればよく、吸気管22および排気管24の位置は限定されない。
【0033】
また、炉心管26は、凹部15bの内壁に沿って、当該凹部15bの底部から結晶育成部15aの上部まで延設されている。また、炉心管26の上部は天板26aで覆われており、炉心管26は、るつぼ18およびるつぼ軸16の側方および上方を囲んでいる(ただし、排気管24の下端部が天板26aを貫通して、炉心管26内に連通している)。炉心管26によれば、るつぼ18周辺の熱の流れを制御して、結晶育成時において、るつぼ18周辺に所要の温度勾配条件を作り出すことができる。
【0034】
また、炉内管28は、結晶育成部15aの内壁に沿って、結晶育成部15aの底部から上部まで延設されている。炉内管28は、結晶育成部15aに配置される発熱体30の発熱部30aの側方を囲んでいる。炉内管28によれば、発熱体30からの熱の流れを抑制して、高温による炉14(環状部材14a)の焼結、変形、および、ひび割れを防止できる。したがって、炉内管28は、熱伝導率が低いジルコニア等で構成されることが好ましい。なお、炉内管28は、環状の支持板28aで支持されている。
【0035】
また、発熱体30は、発熱部30aが結晶育成部15aにおける炉心管26と炉内管28との間の空間に配置されるように設けられている。図1Aおよび図1Bに示す発熱体30は、抵抗加熱による発熱体30であって、通電することより発熱する。図1Aに示す例では、発熱部30aが結晶育成部15aにおいて上下方向に延設されると共に、発熱部30aに連結する導電部30bがそのまま上下方向に延設されて炉14の上部を貫通し、炉14で外部電源(不図示)に接続されている(図4図5も同じ)。また、図1Bに示す例では、発熱部30aが結晶育成部15aにおいて上下方向に延設されると共に、発熱部30aに連結する導電部30bが水平方向に屈曲して炉14の側部を貫通し、炉14で外部電源(不図示)に接続されている。このように、図1Aおよび図1Bいずれの例においても発熱部30aが上下方向に延設されることで、るつぼ18の周辺に、上方の温度が高く下方の温度が低くなるような上下方向の温度勾配条件を作り出せるようになっている。なお、図1Aおよび図1Bでは視認できないが、発熱部30aの先端部は、U字状に形成され、発熱部30aおよび導電部30bは一対になって延設されている。
【0036】
また、図1Aおよび図1Bでは、発熱体30を二個示したが、発熱体30の数は限定されない。好ましくは、発熱体30は、るつぼ18の周囲を、炉心管26を挟んで円形に囲むようにして、均等間隔で複数配設される。抵抗加熱による発熱体30は、例えば、二珪化モリブデン(MoSi)等により構成される。
【0037】
一方、図2に示す発熱体30は、誘導加熱による発熱体30であって、交流電源に接続されたコイル32に所定の周波数の電流を流し、コイル32の中に配置した発熱体30を発熱させる。図2に示す例では、コイル32が、炉14外(炉14の周囲)に設けられている。また、発熱体30が、結晶育成部15aに、るつぼ軸16の上部、およびるつぼ18の側方および上方を、炉心管26を挟んで囲むようにして設けられている(ただし、排気管24の下端部が発熱体30を貫通し、さらに炉心管26の天板26aを貫通して、炉心管26内に連通している)。誘導加熱による発熱体30は、例えば、白金系合金、より詳しくは白金ロジウム合金(例えば、Rh含有量が10~30wt%)等により構成される。この場合、発熱体30の表裏全面がジルコニア等でコーティングされていることが好ましい。これによれば、高温により発熱体30のロジウムが酸化分解することを防止できる。
【0038】
以上のように構成される本実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置10(酸化ガリウム結晶の製造装置10)に対して、例えば、以下のようにVB法を適用して酸化ガリウム結晶を製造することができる。
【0039】
先ず、るつぼ18の底部に種子結晶34(例えば、酸化ガリウム結晶)を収容し、さらに種子結晶34の上に結晶原料36(例えば、酸化ガリウムの焼結体)を収容して、るつぼ18の下端部18b側に種子結晶34、上端部18a側に結晶原料36を配置する。これにより、種子結晶34および結晶原料36は、結晶育成方向(VB法では、下方から上方に向かう方向)と同じ並び方向で、且つ、結晶育成方向の始点側に種子結晶34、終点側に結晶原料36が配置されるようにして、るつぼ18に収容される。その結果、種子結晶34の融解部34Aを起点として、融解した結晶原料36を下方から上方に向かって結晶成長させることができるようになる。本願請求項の「第1端部」は、本実施形態では上端部18aに相当する。また、本願請求項の「第2端部」は、本実施形態では下端部18bに相当する。
【0040】
ただし、ここでいうるつぼ18の下端部18b側に種子結晶34、上端部18a側に結晶原料36を配置することは、種子結晶34と結晶原料36との相対的な並び関係において、下端部18b側に種子結晶34、上端部18a側に結晶原料36を配置することをいう。したがって、例えば、図3Bに示すように、結晶原料36が必ずしも上端部18aまたはその近傍まで充填されていなくてもよい、また、種子結晶34と結晶原料36とが必ずしも完全に上下二層に分離されていなくてもよい。
【0041】
なお、本実施形態に係る漏斗状のるつぼ18によれば、図3Aに示すように、小径部38内に種子結晶34が収容されることで、種子結晶34を結晶育成方向に伸長した姿勢で且つ安定した姿勢でるつぼ18に収容できる。
【0042】
次に、炉14内のるつぼ軸16上にるつぼ18を配置して、発熱体30により炉14内(るつぼ18)を加熱する。るつぼ18の上下位置を調整すること等により種子結晶34に温度差を生じさせて種子結晶34の一部(結晶成長の起点となる結晶原料36側の部位)を融解させる種子付けを行うと共に、るつぼ18周辺を約1800℃程度に加熱して結晶原料36を融解させる。また、るつぼ18の周辺に、結晶育成に適した温度勾配条件を作り出す。次に、るつぼ軸16を動作させてるつぼ18をゆっくりと下降させて、種子結晶34の融解部34Aを起点にして、融解した結晶原料36を下側から冷却し、固化させて、上方に向かって結晶成長させていく。これによって、酸化ガリウム結晶を製造することができる。
【0043】
続いて、本発明に特徴的な構成である冷却棒44について説明する。図4A図1Aに示す冷却棒44を拡大した拡大図である。また、図4B図4D、および図5は冷却棒44の他の例を示す。また、図6は、冷却棒44による作用効果を説明する説明図である。いずれの図も、冷却棒44およびその周辺構成を示す垂直断面図であるが、冷却棒44の構成が視認し易いように、必要に応じて一部の周辺構成を省略して示す。
【0044】
本実施形態に係る冷却棒44は、一例として、図1Aおよびこれを拡大した図4Aに示すように、その一端(ここでは、上端部44a)がるつぼ18の下端部18bに近接して設けられている。また、本実施形態に係る冷却棒44は、他の例として、図4Bに示すように、その一端(ここでは、上端部44a)がるつぼ18の下端部18bに当接して設けられている。
【0045】
冷却棒44によれば、るつぼ18の下端部18bに冷却棒44を当接して(図4B)または近接して(図4A)設けることで、るつぼ18の下端部18bの熱を奪って下端部18bを冷却することができる。したがって、るつぼ18の下端部18bに接触する種子結晶34部位(種子結晶34の下部)を冷却して、種子結晶34に下部側の温度が相対的に低く上部側の温度が相対的に高くなる温度差、すなわち結晶育成方向の温度差を生じさせることができる。このことから、ここでいう冷却棒44の上端部44aがるつぼ18の下端部18bに近接して設けられることは、冷却棒44がるつぼ18の下端部18bの熱を受取ることができる程度に、冷却棒44の上端部44aがるつぼ18の下端部18bの近傍に配置されていることをいう。
【0046】
具体的には、一例として、後述の実施例では、種子結晶34の上下方向に6.6℃程度(図4Aの構成で6.40℃、図4Bの構成で6.80℃)の温度差を生じさせることができる。また、冷却棒44の内部に設けられた通流路46に2.0L/minの空気を通流させると、9.5℃程度(図4Aの構成で9.25℃、図4Bの構成で9.80℃)の温度差を生じさせることができる(冷却棒44の詳細は後述する)。さらに、るつぼ18の高さ位置を上昇させて種子結晶34の収容部である小径部38を上下方向の温度勾配が極めて小さくなる領域に位置させた場合でも、種子結晶34の上下方向に2.6℃程度(図4Aの構成で2.65℃、図4Bの構成で2.45℃)の温度差を生じさせることができる。また、冷却棒44の内部に設けられた通流路46に2.0L/minの空気を通流させると、3.7℃程度(図4Aの構成で3.50℃、図4Bの構成で3.80℃)の温度差を生じさせることができる。
【0047】
一方、冷却棒44を設けていない従来の構成では、発明者の測定によれば、種子結晶34の上下方向の温度差が例えば0.5~1.0℃程度に小さくなることがあった。このことから、冷却棒44によれば、種子結晶34に結晶育成方向の温度差を確実に生じさせられることが分かる。その結果、図6に示すように、種子結晶34の一部を融解させて、種子結晶34の結晶原料36側(結晶原料融液36A側)に融解部34Aを、その逆側に非融解部34Bを作り出して種子付けが確実に行える。さらに結晶原料36を融解させて結晶原料融液36Aにして、続いて種子結晶34の融解部34Aを起点として結晶原料融液36Aを結晶に成長させることができる。
【0048】
冷却棒44は、一端(ここでは、上端部44a)および他端(ここでは、下端部44b)の両端部を有する延設部材である。本実施形態では、図4Aおよび図4Bに示すように、全体で一本の軸状に形成されているがこれに限定されず、中途において湾曲したり屈曲したりしていてもよい。また、本実施形態では、結晶育成方向に沿うようにして延設されているがこれに限定されず、結晶育成方向に対して任意の角度を取ってよい。本願請求項の「第3端部」は、本実施形態では上端部44aに相当する。また、本願請求項の「第4端部」は、本実施形態では下端部44bに相当する。
【0049】
冷却棒44の材料は限定されない。一例として、アルミナ、ジルコニア、マグネシア等のセラミック材料、また、白金系合金(例えば、白金ロジウム合金、白金イリジウム合金等)等の金属材料等を用いることができる。冷却機能を備える部材として設けられることから、所定の熱伝導率を有する材料で構成されるとよいといえる。ただし、冷却棒44の内部構成(例えば、中実、中空等)、また、炉14内の雰囲気環境、製造対象である金属酸化物の融点に起因する炉14内の温度環境等に応じて適切な材料を選択すればよい。
【0050】
冷却棒44の内部構成は限定されない。図4Cに示すように、中実に構成されてもよく、図4Dに示すように、中空に構成されてもよい。または、中実部と中空部とから構成されてもよい(不図示)。本実施形態では、図4Aおよび図4Bに示すように、冷却棒44の内部には、流体が通流するための通流路46が設けられている。
【0051】
通流路46によれば、冷却棒44の上端部44aに流体を通流させて、流体によりるつぼ18の下端部18bの熱を奪って下端部18bを冷却すると共に、熱を受け取った流体を任意に通流させて、下端部18b周辺から適切に熱を逃がすことで、より優れた冷却効果を発揮させることができる。
【0052】
通流路46の構成例として、図4Aおよび図4Bに示すように、本実施形態に係る冷却棒44は、二重管構造となっている。より詳しくは、二重管構造における内管48の内部が、冷却棒44の下端部44b側から上端部44a側に向かって流体が通流する往流路46aとなっている。また、二重管構造における内管48と外管50との間の間隙が、冷却棒44の上端部44a側から下端部44b側に向かって流体が通流する復流路46bとなっている。さらに、往流路46aと復流路46bとは、冷却棒44の上端部44aの内部で連通する構成となっている。これにより、冷却棒44の通流路46に導入された流体は、内周路である往流路46aを通流して冷却棒44の上端部44aに達して、るつぼ18の下端部18bから熱を奪うと共に、当該上端部44aにて復流路46bに入り、外周路である復流路46bを通流して冷却棒44外(すなわち、炉14外)に排出される(破線矢印参照)。
【0053】
この構成によれば、冷却棒44内で流体を往復させて、熱を受け取った流体を炉14外へ排出することによって、炉14内の温度環境や雰囲気環境への影響を抑制して、冷却対象であるるつぼ18の下端部18bの冷却効果を確実に得ることができる。また、往流路46aを内周路として外部環境(すなわち、炉14内)に隔離して設けることによって、往流路46aを通流する流体が、冷却棒44の上端部44aに達する前に、炉14内の熱を受取ってしまうことを防止できる。したがって、るつぼ18の下端部18bに対して流体を安定的に作用させて、冷却効果を向上させることができる。
【0054】
また、通流路46の他の構成例として、図5に示すように、装置10は、冷却棒44の上端部44aに開口部44cが設けられて、下端部44b側から上端部44a側に向かって通流路46を通流する流体が、開口部44cからるつぼ18の下端部18bに向かって排出される構成となっていてもよい(破線矢印参照)。
【0055】
この構成によれば、炉14内に流体が導入されるため、炉14内の温度環境や雰囲気環境を適切に制御する必要が生じるが、るつぼ18の下端部18bに向かって流体を直接当てることで、冷却効果を向上させることができる。この場合、一例として、炉14内の雰囲気と同様のガス(例えば、酸素濃度が等しいガス)を流体として使用することで、炉14内環境への影響を少なくすることができる。
【0056】
ここで、一例として、図4Dに示す中空管をそのまま冷却棒44として用いて、管内に流体を通流させると共に開口する上端部44aから流体を排出させる構成としてもよい。これによれば、上端部44aに開口部44cを有する通流路46を備える冷却棒44を簡易に実現できる。一方、他の例として、図5に示すように、冷却棒44を、大径の中空管内に小径の中空管が設けられる二重管構造として、小径の中空管内に流体を通流させる共に開口する上端部44aから流体を排出させる構成としてもよい。これによれば、通流路46を内周路46cとして外部環境(すなわち、炉14内)に隔離して設けることによって、内周路46cを通流する流体が、冷却棒44の上端部44aに達する前に、炉14内の熱を受取ってしまうことを防止できる。したがって、るつぼ18の下端部18bに対して流体を安定的に作用させて、冷却効果を向上させることができる。
【0057】
通流路46を通流する流体は限定されず、ガスでも液体でもよいが、高温の炉14内を通流することから、蒸発の可能性を有する液体よりもガスの方が適する。ガスの種類も限定されず、装置10が設置されている室内の空気(すなわち、大気)をそのまま通流させてもよく、大気以外の所定のガスを通流させてもよい。ガスの流量(流速)も限定されず、一例として、後述の実施例では、1.0L/minで種子結晶34に対して所定の温度差を生じさせることができる。
【0058】
また、図4Bに示すように、冷却棒44の上端部44aがるつぼ18の下端部18bに当接して設けられる構成においては、冷却棒44の上端部44aとるつぼ18の下端部18bとが面接触するように、冷却棒44が加工されて(必要に応じてるつぼ18も加工されて)形成されると好ましい。これによれば、冷却対象であるるつぼ18の下端部18bに対する冷却棒44の接触面積を大きくして、より多くの熱を冷却棒44で受け取るように構成することで、冷却効果を向上させることができる。
【0059】
また、図1Aに示すように、本実施形態に係る冷却棒44は、中空のるつぼ軸16の内部に設けられている。これによれば、冷却棒44を外部環境(すなわち、炉14内)に隔離して設けることによって、冷却棒44が炉14内(結晶育成部15aまたは凹部15b)の熱を受取ってしまうことを防止できる。
【0060】
このとき、冷却棒44が、るつぼ軸16の中心軸と一致するように配置されていると好ましい。これによれば、冷却棒44がるつぼ軸16の内壁に接触することを防止して、高温による冷却棒44の焼結、変形、および、ひび割れを防止できる。また、るつぼ18の中心軸と冷却棒44の中心軸とが一致することで、るつぼ18の下端部18bの中央から熱を奪って、るつぼ18の下端部18b全体を均等に且つ安定的に冷却できる。
【0061】
一例として、本実施形態では、図1Aに示すように、るつぼ軸16の内部に、冷却棒44をその中心に固定するガイド部材52(例えば、ガイドリング)が設けられることで、るつぼ18の中心軸と冷却棒44の中心軸とが一致する構成が実現されている。ガイド部材52の材料は限定されない。一例として、アルミナ、ジルコニア、マグネシア等のセラミック材料、また、白金、白金系合金(例えば、白金ロジウム合金、白金イリジウム合金等)等の金属材料等を用いることができる。また、ガイド部材52の数、位置等も限定されない。
【0062】
なお、冷却棒44の一部または全部がるつぼ軸16の外部に設けられていてもよい。このとき、例えば、るつぼ軸16の外部においては、冷却棒44の周囲が保温材で覆われる構成等によって外部環境(すなわち、炉14内)に隔離されるとよい。
【0063】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、水平方向に結晶成長させるHB法もしくはHGF法等が適用可能な金属酸化物単結晶の製造装置10の例である。装置10の基本構成は、公知のHB炉もしくはHGF炉等が適用されることから、説明を省略する。ここでは、本発明に特徴的な冷却棒44について説明する。
【0064】
図7は、本実施形態に係る冷却棒44を示す。また、図7Bおよび図7Cは冷却棒44の他の例を示す。また、図8A図8Bおよび図8Cは、冷却棒44の配置例を説明する説明図である。また、図9は、冷却棒44による作用効果を説明する説明図である。いずれの図も、冷却棒44およびその周辺構成を示す垂直断面図であるが、冷却棒44の構成が視認し易いように、必要に応じて一部の周辺構成を省略して示す。
【0065】
図7Aに示すように、本実施形態に係るるつぼ18は、水平方向に結晶育成される炉14に適用されるボート型のるつぼ18である。本願請求項の「第1端部」は、本実施形態では側壁の一端部18cに相当する。また、本願請求項の「第2端部」は、本実施形態では側壁の一端部18cの逆側である側壁の他端部18dに相当する。本実施形態に係るるつぼ18においては、側壁の一端部18c側に結晶原料36、側壁の他端部18d側に種子結晶34が配置されて結晶原料36および種子結晶34が収容される。これにより、種子結晶34および結晶原料36は、結晶育成方向(水平方向)と同じ並び方向でるつぼ18に収容される。当該るつぼ18が所定の向きで炉14内に配置されることにより、結晶育成方向の始点側に種子結晶34、終点側に結晶原料36が配置される。
【0066】
本実施形態に係る冷却棒44は、図7Aに示すように、本願請求項の第3端部に相当する一端部44dおよび本願請求項の第4端部に相当する他端部44eの両端部を有する延設部材である。本実施形態に係る冷却棒44は、一例として、一端部44dがるつぼ18の他端部18dに近接して設けられている。また、本実施形態に係る冷却棒44は、他の例として、図7Bに示すように、一端部44dがるつぼ18の他端部18dに当接して設けられている。
【0067】
図7Aおよび図7Bに示すように、本実施形態は、図4Aに示す第1の実施形態と同様の構造を有する冷却棒44が90°傾けられた状態で、上記のように、るつぼ18の他端部18dに近接または当接して設けられる。冷却棒44によれば、種子結晶34の一部(結晶原料36側)を融解する種子付けに際して非融解部34Bになるように設定される種子結晶34部位(結晶原料36側の逆側)が接触するるつぼ18部位である他端部18dの熱を奪って、他端部18dを冷却できる。したがって、図9に示すように、本実施形態に係る水平方向に結晶成長させる結晶育成方法が適用される装置10において、冷却棒44により結晶育成方向の温度差を生じさせて、種子結晶34の結晶原料36側(結晶原料融液36A側)に融解部34Aを、その逆側に非融解部34Bを作り出して種子付けが確実に行える。さらに結晶原料36を融解させて結晶原料融液36Aにして、続いて種子結晶34の融解部34Aを起点として結晶原料融液36Aを結晶に成長させることができる。
【0068】
ただし、冷却棒44は必ずしも結晶育成方向に沿って延設される必要はなく、一例として、図8Aに示すように、結晶育成方向に対して任意の角度を取って設けられていてもよい。
【0069】
本実施形態に係る冷却棒44の構造は第1の実施形態と同様であることから、詳細な説明は省略する。一例として、その内部に流体が通流するための通流路46が設けられてもよい。通流路46は、図7Aおよび図7Bに示すように、往流路46aと復流路46bとが設けられて、図4Aおよび図4Bと同様の構成に構成されてもよい。または、通流路46は、図7Cに示すように、一端部44dに開口部44cが設けられて、図5と同様に構成されてもよい。
【0070】
また、本実施形態に係る水平方向に結晶成長させる結晶育成方法が適用される装置10においては、第1の実施形態のようにるつぼ18の下方において上下方向に延設されるるつぼ軸16は設けられない。一方、本実施形態では、HB等が適用される装置10において、図8Bおよび図8Cに示すように、るつぼ18を水平方向に移動させるるつぼ移動部17が設けられる。冷却棒44は、図8Bに示すように、その一部または全部がるつぼ移動部17の外部に設けられていてもよく、図8Cに示すように、るつぼ移動部17の内部に設けられていてもよい。
【0071】
以上のような冷却棒44を備える第1および第2の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置10は、特に、酸化雰囲気下で高融点の金属酸化物単結晶を製造する装置10に好適に適用できる。例えば、真空環境、またはアルゴン等の不活性ガス雰囲気環境においては、2000℃を超える高温炉を構成することも比較的容易である一方、酸化雰囲気下で高融点を有して安定する材料は限られる。したがって、酸化雰囲気の高温炉では、一例として、炉14内に炉内管28を設けて炉14内の保温性を向上させたり、るつぼ軸16の上部に支持体16aを設けてるつぼ18を保護したりしている。しかしながら、こうした構成によって炉14内のるつぼ18周辺に温度勾配を生じさせ難なり、種子結晶34の温度制御が難しくなる。これに対して、冷却棒44によれば、種子結晶34に結晶育成方向の温度差を確実に生じさせて、種子付けが確実に行えるようになる。このことから、第1および第2の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置10は、一例として、炉14内が酸化雰囲気下で1800℃以上に加熱される酸化ガリウム結晶の製造装置10等として好適に適用できる。
【0072】
(金属酸化物単結晶の製造方法)
また、本実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造方法は、種子結晶および結晶原料を収容したるつぼを発熱体によって加熱し、前記種子結晶に温度差を生じさせて前記種子結晶の一部を融解させると共に、前記結晶原料を融解させて、融解した前記種子結晶の一部と前記結晶原料とを前記種子結晶側から前記結晶原料側に向かって固化させて結晶化させる金属酸化物単結晶の製造方法において、前記種子結晶に前記温度差を生じさせる際に最も温度が低くなるように設定される種子結晶部位が接触するるつぼ部位に、前記るつぼの外部から冷却棒を当接させてまたは近接させて設けることによって、前記冷却棒により前記るつぼ部位の熱を奪って冷却させることを特徴とする。
【0073】
本実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造方法は、一例として、第1および第2の実施形態に係る金属酸化物単結晶の製造装置10を使用して金属酸化物単結晶を製造する方法を例示できる。
【実施例0074】
図1Aに示す基本構成に図4Aに示す冷却棒44または図4Bに示す冷却棒44を適用した金属酸化物単結晶の製造装置10を使用して、酸化雰囲気下の炉14内にて、酸化ガリウム(β-Ga)結晶を種子結晶34として収容したるつぼ18を加熱すると共に、冷却棒44によりるつぼ18の下端部18bを冷却して、熱電対20によりるつぼ18の所定部位の温度を計測した。以下、図4Aに示す冷却棒44(冷却棒44がるつぼ18に近接して設けられる構成)を適用した装置10を、「近接型装置」と表記する場合がある。また、図4Bに示す冷却棒44(冷却棒44がるつぼ18に当接して設けられる構成)を適用した装置10を、「当接型装置」と表記する場合がある。近接型装置におけるるつぼ18の下端部18bと冷却棒44の上端部44aとの間隔を4mmに設定した。図10に示すように、るつぼ18は、大径部42の断面直径が4インチサイズのものを使用し、β-Ga結晶を種子結晶34として小径部38の上端部38aまで充填した。また、熱電対20の測温部を、るつぼ18の小径部38の上端部38aの高さ位置(測温点1)と、測温点1から約40mm下方の高さ位置(測温点2)とに配置した(測温点1と測温点2との間隔L1は40mm)。
【0075】
(実施例1)
るつぼ18を、小径部38の上端部38aが発熱体30の発熱部30aの先端部にほぼ一致する高さ位置に位置させた状態(図10に示す状態)で、当該るつぼ18を加熱すると共に、冷却棒44によりるつぼ18の下端部18bを冷却して、熱電対20により温度を計測した。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1に示す温度[℃]は、冷却棒44内の通流路46に空気を通流させないとき(流量:0.0L/min)の測温点2の温度を1.00℃に換算した相対値で示している(以下、表2および表3も同じ)。表1に示すように、冷却棒44によれば、冷却棒44内の通流路46に空気を通流させない状態で(流量:0.0L/min)、β-Ga結晶を種子結晶34として収容した小径部38の上部(測温点1)と下部(測温点2)との間に、近接型装置で6.40℃、当接型装置で6.80℃の温度差を生じさせることができた。これは、実質的に一端閉塞の筒状に構成された中空の冷却棒44による冷却効果を表している。
【0078】
また、冷却棒44内の通流路46に空気を通流させると、近接型装置および当接型装置のいずれにおいても、小径部38の上部(測温点1)と下部(測温点2)との間の温度差をさらに大きくすることができた。空気の流量を多くした方が温度差は大きくなり、2.0L/minの流量では、近接型装置で9.25℃、当接型装置で9.80℃の大きな温度差を生じさせることができた。冷却棒44内の通流路46に空気を通流させると、小径部38の下部の温度だけでなく上部の温度も所定程度は低下する。しかしながら、上部の温度の低下は抑制的であり、下部の温度を大きく低下させることで、上部と下部との温度差をより大きくすることができた。また、冷却棒44をるつぼ18に当接させた装置10(当接型装置)と近接させた装置10(近接型装置)とでは、当接型装置の方が温度差は大きくなった。
【0079】
(実施例2)
るつぼ18を、実施例1の高さ位置から35mm上昇させた高さ位置に位置させた状態で、当該るつぼ18を加熱すると共に、冷却棒44によりるつぼ18の下端部18bを冷却して、熱電対20により温度を計測した。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
炉14内においては、結晶育成部15aの上部に向かう程、発熱体30の発熱範囲となる領域に侵入して上下方向の温度勾配が小さくなる。それに伴って、種子結晶34の上下方向の温度差も生じさせ難い環境となる。そのため、るつぼ18の高さ位置を実施例1よりも高くした実施例2では、表2に示すように、β-Ga結晶を種子結晶34として収容した小径部38の上部(測温点1)と下部(測温点2)との間の温度差は全体的に実施例1よりも小さくなった。しかしながら、冷却棒44によれば、冷却棒44内の通流路46に空気を通流させない状態で(流量:0.0L/min)、近接型装置で4.15℃、当接型装置で4.00℃の温度差を生じさせることができた。また、冷却棒44内の通流路46に空気を通流させると、近接型装置および当接型装置のいずれにおいても、温度差をさらに大きくすることができた。実施例1と同様に、空気の流量を多くした方が温度差は大きくなった。また、実施例1と同様に、冷却棒44をるつぼ18に当接させた装置10(当接型装置)と近接させた装置10(近接型装置)とでは、空気を通流させた状態で当接型装置の方が温度差は大きくなった。
【0082】
(実施例3)
るつぼ18を、実施例2の高さ位置からさらに35mm上昇させた高さ位置に位置させた状態で、当該るつぼ18を加熱すると共に、冷却棒44によりるつぼ18の下端部18bを冷却して、熱電対20により温度を計測した。結果を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
実施例3では、るつぼ18の高さ位置が実施例2よりもさらに35mm高くなって、種子結晶34の上下方向の温度差をさらに生じさせ難い環境となる。そのため、実施例3では、表3に示すように、β-Ga結晶を種子結晶34として収容した小径部38の上部(測温点1)と下部(測温点2)との間の温度差は全体的に実施例1および実施例2よりも小さくなった。しかしながら、冷却棒44によれば、冷却棒44内の通流路46に空気を通流させない状態で(流量:0.0L/min)、近接型装置で2.65℃、当接型装置で2.45℃の温度差を生じさせることができた。また、冷却棒44内の通流路46に空気を通流させると、当接型装置では1.0L/min以上の流量で、近接型装置では2.0L/min以上の流量で、温度差をさらに大きくすることができた。また、実施例1および実施例2と同様に、空気の流量を多くした方が温度差は大きくなった。冷却棒44をるつぼ18に当接させた装置10(当接型装置)と近接させた装置10(近接型装置)とでは、空気を通流させた状態で当接型装置の方が温度差は大きくなった。
【符号の説明】
【0085】
10 金属酸化物単結晶の製造装置
12 基体
14 炉
16 るつぼ軸
17 るつぼ移動部
18 るつぼ
18a 上端部
18b 下端部
18c 一端部
18d 他端部
20 熱電対
22 吸気管
24 排気管
26 炉心管
28 炉内管
30 発熱体
34 種子結晶
36 結晶原料
44 冷却棒
44a 上端部
44b 下端部
44c 開口部
44d 一端部
44e 他端部
46 通流路
46a 往流路
46b 復流路
46c 内周路
52 ガイド部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10