(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010688
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】食刻装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
H01L21/306 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110509
(22)【出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0089415
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515220591
【氏名又は名称】ゼウス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウォン・モ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ホ・イ
(72)【発明者】
【氏名】フン・ス・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒュン・ベ
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043EE21
5F043EE24
(57)【要約】
【課題】食刻装置の食刻液供給部から食刻液を食刻チャンバーに移送させる食刻液ポンプ内部のベローズの損傷を防止できるようにする、食刻装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は食刻装置に関し、食刻液によって対象体を食刻する食刻チャンバー;前記食刻チャンバー内の食刻液を回収し、食刻液ポンプによって前記食刻チャンバーに食刻液を供給する食刻液供給部;前記食刻液ポンプに気体を注入して駆動圧力を印加する第1圧力調節部;前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを指定された同一の圧力で加圧させる第2圧力調節部;前記食刻液ポンプの駆動時に排出される気体の圧力を調節する排圧調節部および前記食刻液ポンプに前記気体が注入または排出される順序および方向を制御するバルブを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食刻液によって対象体を食刻する食刻チャンバー;
前記食刻チャンバー内の食刻液を回収し、食刻液ポンプによって前記食刻チャンバーに食刻液を供給する食刻液供給部;
前記食刻液ポンプに気体を注入して駆動圧力を印加する第1圧力調節部;
前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを指定された同一の圧力で加圧させる第2圧力調節部;
前記食刻液ポンプの駆動時に排出される気体の圧力を調節する排圧調節部および
前記食刻液ポンプに前記気体が注入または排出される順序および方向を制御するバルブを含むことを特徴とする、食刻装置。
【請求項2】
前記第1圧力調節部、第2圧力調節部、バルブ、食刻液ポンプ、および排圧調節部のうち一つ以上を選択的に制御して食刻を遂行する制御部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の食刻装置。
【請求項3】
前記第2圧力調節部から前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを含む食刻部へと連結された配管から分流される新しい配管が前記排圧調節部に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の食刻装置。
【請求項4】
前記第2圧力調節部から前記食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記新しい配管を通じて前記排圧調節部にも印加されるように具現されたことを特徴とする、請求項3に記載の食刻装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1圧力調節部を制御して前記排圧調節部に印加される圧力よりさらに大きい圧力を前記食刻液ポンプに印加することを特徴とする、請求項2に記載の食刻装置。
【請求項6】
前記排圧調節部に独立的に圧力を印加する第3圧力調節部をさらに含み、
前記制御部は、
前記第2圧力調節部を通じて前記食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部に印加されるように前記第3圧力調節部を制御することを特徴とする、請求項2に記載の食刻装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第2圧力調節部または第3圧力調節部で印加される圧力よりさらに高い圧力が印加されるように第1圧力調節部を制御することを特徴とする、請求項6に記載の食刻装置。
【請求項8】
前記食刻液ポンプで前記バルブを通じて互いに異なる経路で排出される気体の排出配管を一つに合流させ、
前記合流された一つの気体排出配管に一つの排圧調節部が形成されるように具現されたことを特徴とする、請求項1に記載の食刻装置。
【請求項9】
前記食刻液供給部は前記食刻チャンバー内の食刻液を重力による自然ドレン方式で回収することを特徴とする、請求項1に記載の食刻装置。
【請求項10】
食刻装置の制御方法であって、
前記食刻装置は食刻チャンバー;食刻液ポンプによって前記食刻チャンバーに食刻液を供給する食刻液供給部;前記食刻液ポンプに気体を注入して駆動圧力を印加する第1圧力調節部;前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを指定された圧力で加圧させる第2圧力調節部;前記食刻液ポンプの駆動時に排出される気体の圧力を調節する排圧調節部;前記食刻液ポンプに注入または排出される順序および方向を制御するバルブ;および制御部を含み、
前記食刻装置の制御方法は
前記制御部が前記第1圧力調節部、前記第2圧力調節部、前記バルブ、前記食刻液ポンプ、および前記排圧調節部のうち一つ以上を選択的に制御して食刻を遂行する段階;および
前記制御部が前記第1圧力調節部を制御して前記排圧調節部に印加される圧力よりさらに大きい圧力を前記食刻液ポンプに印加する段階を含むことを特徴とする、食刻装置の制御方法。
【請求項11】
前記第2圧力調節部から前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを含む食刻部へと連結された配管から分流される新しい配管が前記排圧調節部に連結され、
前記制御部が前記第2圧力調節部から前記食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部にも印加されるようにする段階をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の食刻装置の制御方法。
【請求項12】
前記食刻装置は前記排圧調節部に独立的に圧力を印加する第3圧力調節部をさらに含み、
前記第2圧力調節部を通じて食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部に印加されるように前記第3圧力調節部を制御する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の食刻装置の制御方法。
【請求項13】
前記制御部が前記第2圧力調節部または第3圧力調節部で印加される圧力よりさらに高い圧力が印加されるように第1圧力調節部を制御する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の食刻装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食刻装置およびその制御方法に関し、より詳細には食刻装置の食刻液供給部から食刻液を食刻チャンバーに移送させる食刻液ポンプ内部のベローズの損傷を防止できるようにする、食刻装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に半導体前工程には食刻(ETCHING)工程があり、前記食刻工程には乾式食刻および湿式食刻が含まれる。
【0003】
前記乾式食刻は主にフッ素系ガスおよび非活性気体などを入れて真空状態で進行するが、前記乾式食刻を遂行するための装備が高価であるため商業的に利用するには限界がある。これに伴い、乾式食刻よりはリン酸を利用した湿式食刻が広く利用されている。
【0004】
前記湿式食刻は食刻液の化学反応によって対象体(基板など)で所望の対象層を選択的に食刻するものであり、要求される特性や食刻度などに応じてこれに符合する組成比を有する食刻液を混合組成して食刻工程を遂行する。
【0005】
前記湿式食刻は乾式食刻に比べてより一層向上した作業互換性を提供し、一度に多量の対象体を処理することができ、装置が安価である長所がある。
【0006】
ところが、湿式食刻は食刻進行時に食刻液の一部が気化して気化熱によって対象体の温度が低下し得、食刻液の気化によって食刻液の濃度コントロールが難しいためロスが発生する短所がある。これに伴い、食刻部(例:食刻チャンバーおよび食刻液供給部を含む)を加圧して(すなわち、食刻部を指定された圧力で加圧させる加圧システムで構成して)、食刻部で食刻液の気化現象を防止することによって、食刻液の濃度を一定に維持できるようにする方式が要求されている。
【0007】
しかし、前記のように食刻部を加圧する場合(すなわち、食刻部を加圧システムで構成する場合)、高温加圧状態で食刻液ポンプの駆動時にポンプ内外部の圧力差および温度差によって、ポンプのベローズが変形(例:膨張)してポンプの内壁(例:内部ガイド)に接触する現象が現れ、ポンプのベローズと内壁との摩擦が続けられることによって部品の損傷が発生して(例:ベローズの摩擦部位がすりへる現象が発生して)寿命が短縮され、ポンプの性能が低下し、また、最終的に高温加圧状態でベローズが破損する場合、安全事故が発生し得る問題点がある。
【0008】
また、前記のように食刻部を加圧する場合、食刻部内の食刻チャンバーの圧力と食刻液供給部の圧力とが同一になることによって、食刻チャンバー内の食刻液の自然ドレン(すなわち、食刻チャンバー内の食刻液が動力(例:食刻チャンバーから食刻液供給部に食刻液を強制的に排出させるポンプ)を利用せずとも重力によって食刻チャンバー下部に配置された食刻液供給部に自然に食刻液を排水させる方式)が容易でない問題点がある。
【0009】
このように、食刻液の排水が円滑でないため食刻チャンバーが食刻液で浸る場合には工程が不可となり、食刻チャンバーに連結された部品に食刻液が浸透して腐食または変形を起こして食刻部が破壊される問題点が発生する。
【0010】
したがって、食刻部内の食刻液供給部から食刻液を食刻チャンバーに移送させる食刻液ポンプ内部のベローズの損傷を防止できるようにし、また、食刻部の加圧状態でも食刻チャンバーから食刻液供給部に食刻液が円滑に自然排水されるようにする技術が必要である状況である。
【0011】
本発明の背景技術は特許文献1(2007.02.28.登録、大面積基板の食刻装置)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0691479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一側面によると、本発明は前記のような問題点を解決するために創作されたもので、食刻装置の食刻液供給部から食刻液を食刻チャンバーに移送させる食刻液ポンプ内部のベローズの損傷を防止できるようにする、食刻装置およびその制御方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面に係る食刻装置は、食刻液によって対象体を食刻する食刻チャンバー;前記食刻チャンバー内の食刻液を回収し、食刻液ポンプによって前記食刻チャンバーに食刻液を供給する食刻液供給部;前記食刻液ポンプに気体を注入して駆動圧力を印加する第1圧力調節部;前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部を指定された同一の圧力で加圧させる第2圧力調節部;前記食刻液ポンプの駆動時に排出される気体の圧力を調節する排圧調節部および前記食刻液ポンプに前記気体が注入または排出される順序および方向を制御するバルブを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明で、前記第1圧力調節部、第2圧力調節部、バルブ、食刻液ポンプ、および排圧調節部のうち一つ以上を選択的に制御して食刻を遂行する制御部をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明で、前記第2圧力調節部から前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを含む食刻部へと連結された配管から分流される新しい配管が前記排圧調節部に連結されることを特徴とする。
【0017】
本発明で、前記第2圧力調節部から前記食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記新しい配管を通じて前記排圧調節部にも印加されるように具現されたことを特徴とする。
【0018】
本発明で、前記制御部は、前記第1圧力調節部を制御して前記排圧調節部に印加される圧力よりさらに大きい圧力を前記食刻液ポンプに印加することを特徴とする。
【0019】
本発明で、前記排圧調節部に独立的に圧力を印加する第3圧力調節部をさらに含み、前記制御部は、前記第2圧力調節部を通じて前記食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部に印加されるように前記第3圧力調節部を制御することを特徴とする。
【0020】
本発明で、前記制御部は、前記第2圧力調節部または第3圧力調節部で印加される圧力よりさらに高い圧力が印加されるように第1圧力調節部を制御することを特徴とする。
【0021】
本発明で、前記食刻液ポンプで前記バルブを通じて互いに異なる経路で排出される気体の排出配管を一つに合流させ、前記合流された一つの気体排出配管に一つの排圧調節部が形成されるように具現されたことを特徴とする。
【0022】
本発明で、前記食刻液供給部は前記食刻チャンバー内の食刻液を重力による自然ドレン方式で回収することを特徴とする。
【0023】
本発明の他の側面に係る食刻装置の制御方法において、前記食刻装置は食刻チャンバー;食刻液ポンプによって前記食刻チャンバーに食刻液を供給する食刻液供給部;前記食刻液ポンプに気体を注入して駆動圧力を印加する第1圧力調節部;前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを指定された圧力で加圧させる第2圧力調節部;前記食刻液ポンプの駆動時に排出される気体の圧力を調節する排圧調節部;前記食刻液ポンプに注入または排出される順序および方向を制御するバルブ、および制御部を含み、前記食刻装置の制御方法は前記制御部が前記第1圧力調節部、前記第2圧力調節部、前記バルブ、前記食刻液ポンプ、および前記排圧調節部のうち一つ以上を選択的に制御して食刻を遂行する段階;および前記制御部が前記第1圧力調節部を制御して前記排圧調節部に印加される圧力よりさらに大きい圧力を前記食刻液ポンプに印加する段階を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明で、前記第2圧力調節部から前記食刻チャンバーと前記食刻液供給部とを含む食刻部へと連結された配管から分流される新しい配管が前記排圧調節部に連結され、前記方法は前記制御部が前記第2圧力調節部から前記食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部にも印加されるようにする段階をさらに含むことを特徴とする。
【0025】
本発明で、前記食刻装置は前記排圧調節部に独立的に圧力を印加する第3圧力調節部をさらに含み、前記方法は前記第2圧力調節部を通じて食刻部に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部に印加されるように前記第3圧力調節部を制御する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
本発明で、前記方法は前記制御部が前記第2圧力調節部または第3圧力調節部で印加される圧力よりさらに高い圧力が印加されるように第1圧力調節部を制御する段階をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一側面によると、本発明は食刻装置の食刻液供給部から食刻液を食刻チャンバーに移送させる食刻液ポンプ内部のベローズの損傷を防止できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施例に係る食刻装置の概略的な構成を示した例示図である。
【
図2】本発明の第2実施例に係る食刻装置の概略的な構成を示した例示図である。
【
図3】前記
図2に図示された食刻装置の動作を制御する方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】前記
図1において、食刻液ポンプの動作を説明するために示した例示図である。
【
図5】前記
図1において、食刻部のより具体的な構成を示した例示図である。
【
図6】前記
図5に図示された食刻装置の動作を制御する方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明に係る食刻装置およびその制御方法の一実施例を説明する。
【0030】
この過程で、図面に図示された線の厚さや構成要素の大きさなどは説明の明瞭性のために便宜上誇張して図示されていてもよい。また、後述される用語は本発明での機能を考慮して定義された用語であり、これは使用者、運用者の意図または慣例により変わり得る。したがって、このような用語に対する定義は本明細書全般にわたった内容に基づいて下されるべきである。
【0031】
図1は、本発明の第1実施例に係る食刻装置の概略的な構成を示した例示図である。
【0032】
図1に図示された通り、本発明の第1実施例に係る食刻装置は、食刻部110、食刻液ポンプ120、バルブ130、排圧調節部140、第1圧力調節部150、第2圧力調節部160、および制御部210を含む。
【0033】
前記食刻部110は食刻チャンバー(
図5の111)および食刻液供給部(
図5の112)を含み、前記食刻チャンバー(
図5の111)および前記食刻液供給部(
図5の112)を指定された同一の圧力で加圧させる加圧システムで形成される(
図5参照)。
【0034】
図5は前記
図1において、食刻部のより具体的な構成を示した例示図であって、これについては前記食刻部110の問題点を改善する方法について説明するときに具体的に参照して説明することにする。
【0035】
再び
図1を参照すると、前記第2圧力調節部160は前記食刻部110を指定された圧力で加圧して対象体の食刻遂行時に加圧の雰囲気を形成維持させる。
【0036】
例えば前記第2圧力調節部160から前記食刻部110へと連結された配管161を通じて前記食刻部110に圧力を印加し、また、前記配管161から分流された新しい配管162が前記排圧調節部140に連結される。これに伴い、前記食刻部110に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部140にも印加される。
【0037】
前記食刻液ポンプ120は本実施例に係る加圧式食刻システムで食刻液(または薬液)を前記食刻部110に供給(または循環)する(
図4参照)。
【0038】
図4は前記
図1において、食刻液ポンプの動作を説明するために示した例示図である。
【0039】
図4を参照すると、前記バルブ130(例:チェックバルブ)は前記食刻液ポンプ120の内部に左右対称に形成される第1ベローズと第2ベローズとのポンピング動作のために、左右交互に(すなわち、互い違いに)作動して気体(すなわち、第1圧力調節部で印加する気体)を気体室に流入(注入)させたり気体室に流入(注入)した気体を排出させる。
【0040】
この時、前記気体はクリーンエア(clean air)を含むことができ、N2、CO2、Arなどが使われ得る。ただし、これを限定しようとするものではない。
【0041】
例えば前記バルブ130を通じて第1ベローズの気体室に気体が流入する場合(すなわち、第1圧力調節部150で配管125および121を通じて気体が第1ベローズの気体室に流入する場合)、前記第1ベローズが稼動(ポンピング)されて食刻液を食刻部110に排出させ、このとき第2ベローズの気体室にあった気体が前記バルブ130を通じて排出される(すなわち、第2ベローズの気体室にあった気体が配管122および124と排圧調節部142とを通じて排出される)。
【0042】
その反対に、前記バルブ130を通じて第2ベローズの気体室に気体が流入する場合(すなわち、第1圧力調節部150で配管125および122を通じて気体が第2ベローズの気体室に流入する場合)、前記第2ベローズが稼動(ポンピング)されて食刻液を排出させ、このとき第1ベローズの気体室にあった気体が前記バルブ130を通じて排出されるのである(すなわち、第1ベローズの気体室にあった気体が配管121および123と排圧調節部141とを通じて排出される)。
【0043】
前記排圧調節部141、142は前記食刻液ポンプ120の外部圧力を調節するものであり、前記食刻液ポンプ120で気体が排出されるとき、ポンプの外部圧力(例:ベローズの外部を囲んだ圧力)が前記排圧調節部141、142に印加された圧力より高い圧力であるときに排出されるようにすることによって、前記食刻液ポンプ120の内部圧力(例:加圧された食刻液によってベローズが押される圧力)を一定に維持させる。
【0044】
このとき、本実施例では
図4の(a)に図示された通り、複数の排圧調節部141、142を通じて前記食刻液ポンプ120から排出される気体を互いに異なる経路で排出されるようにすることができるが、費用削減のために、
図4の(b)に図示された通り、気体排出配管123、124を一つに合流させて一つの排圧調節部141のみ含まれるようにしてもよい。
【0045】
前記のように気体排出配管123、124を一つに合流させた後、一つの排圧調節部141のみ含む場合、この排圧調節部141に圧力を印加するための圧力調節部および配管までも節減できるようにする効果がある。
【0046】
前記第1圧力調節部150は前記食刻液ポンプ120の第1ベローズおよび第2ベローズの稼動のための気体を注入する。
【0047】
前記第1圧力調節部150を通じて注入される気体は、バルブ130を通じて前記食刻液ポンプ120の第1ベローズまたは第2ベローズの気体室に注入される。
【0048】
前記制御部210は本実施例に係る食刻装置の全般的な動作を制御する。すなわち、前記制御部210は第1圧力調節部150、第2圧力調節部160、第3圧力調節部(
図2の170)、食刻部110、食刻液ポンプ120、およびバルブ130を制御する。
【0049】
特に前記制御部210は、前記第2圧力調節部160を通じて前記食刻部110および前記排圧調節部140に同一に印加される圧力(例:3bar)より高い圧力(例:3bar+2bar)が印加されるように前記第1圧力調節部150を制御する。
【0050】
これに伴い、前記制御部210は前記排圧調節部140、141、142に印加される圧力を調節して(すなわち、食刻部に印加される圧力と同一の圧力となるように排圧調節部の圧力を調節して)食刻液ポンプ120内部のベローズの損傷を防止できるようにする。すなわち、前記食刻液ポンプ120の外部圧力(例:ベローズの外部を囲んだ圧力)を内部圧力(例:加圧された食刻液によってベローズが押される圧力)と同一に維持させることによって、ベローズの変形や内壁の摩擦を防止してベローズの損傷を防止できるようにする効果がある。
【0051】
図2は本発明の第2実施例に係る食刻装置の概略的な構成を示した例示図であり、
図3は前記
図2に図示された食刻装置の動作を制御する方法を説明するためのフローチャートである。
【0052】
前記
図2に図示された第2実施例と前記
図1に図示された第1実施例との間の差異点は、前記排圧調節部140に圧力を印加するための別途の第3圧力調節部170が追加される点である。
【0053】
すなわち、
図2を参照すると、前記第2圧力調節部160は前記食刻部110に圧力を印加するために連結された配管161を通じて前記食刻部110のみ加圧し、新しい配管162は不要であり、その代わりに前記第3圧力調節部170で前記排圧調節部140に連結される新しい配管171を通じて前記排圧調節部140に圧力を印加するものの、前記食刻部110に印加される圧力と同一の圧力が前記排圧調節部140に印加される。
【0054】
前記制御部210は前記第2圧力調節部160を通じて前記食刻部110に印加される圧力(例:3bar)と同一の圧力が前記排圧調節部140に印加されるように前記第3圧力調節部170を制御する。
【0055】
また、前記制御部210は前記第2圧力調節部160または第3圧力調節部170で印加される圧力よりさらに高い圧力が印加されるように前記第1圧力調節部150を制御する。
【0056】
図3を参照すると、制御部210は第2圧力調節部160の圧力情報を検出する(S101)。このために、図面に具体的に図示されてはいないが、圧力検出センサ(図示されず)をさらに含むことができる。または食刻工程により予め設定された圧力情報を内部メモリ(図示されず)から引き出してもよい。
【0057】
また、前記制御部210は前記第3圧力調節部170の圧力を前記第2圧力調節部160の圧力と同一に調節する(S102)。
【0058】
また、前記制御部210は前記第3圧力調節部170の圧力を前記排圧調節部140に印加する(S103)。
【0059】
これに伴い、前記制御部210は前記排圧調節部140に印加される圧力を前記食刻部110に印加される圧力と同一に調節して食刻液ポンプ120内部のベローズの損傷を防止できるようにする。すなわち、前記食刻液ポンプ120の外部圧力(例:ベローズの外部を囲んだ圧力)を内部圧力(例:加圧された食刻液によってベローズが押される圧力)と同一に維持させることによって、ベローズの変形や内壁の摩擦を防止してベローズの損傷を防止できるようにする効果がある。
【0060】
一方、
図5を参照すると、加圧システムで構成される食刻部110は食刻チャンバー111の下部に食刻液供給部112が配置され、前記食刻チャンバー111で食刻に使われた食刻液が重力によって食刻液排水管を通じて前記食刻液供給部112に自然排水されるように構成される。
【0061】
ところが、前記食刻液排水管の太さが小さく(狭く)、前記食刻チャンバー111の圧力と前記食刻液供給部112の圧力とが同一であるため、食刻液の自然排水が難しい場合もある。
【0062】
これに伴い、本実施例では前記食刻液供給部112の上部(例:食刻液の位置より高くて気体が位置する上部の指定された地点)で前記食刻チャンバー111の上部(例:食刻液の位置より高くて気体が位置する上部の指定された地点)を連結する気体循環管191を形成し、前記気体循環管191の中間にエアポンプ190を形成する。
【0063】
前記気体はエア(air)を含むことができ、これに伴い、前記エアポンプ190は、空気、気体、または空気が含まれた気体やガスを気体循環管191を通じて強制移動させる。
【0064】
前記エアポンプ190は前記食刻液供給部112にある気体を前記食刻チャンバー111に強制移動させることによって(すなわち、食刻液供給部112と食刻チャンバー111との2つの端の間に差圧を生成することによって)、食刻液循環経路とは別個に気体循環経路を形成する。前記のように、エアポンプ190を利用して気体を強制的に移動させることによって圧力の均衡が維持されるために(すなわち、差圧を解消するために)、前記食刻チャンバー111の食刻液および気体が食刻液排水管を通じて前記食刻液供給部112に排水(排出)される。
【0065】
図6は前記
図5に図示された食刻装置の動作を制御する方法を説明するためのフローチャートであり、食刻装置が駆動を開始して食刻液ポンプ120を通じて食刻チャンバー111に食刻液の供給が開始されると(S201のY)、前記制御部210はエアポンプ190を指定速度で駆動する(S202)。
【0066】
これに伴い、前記食刻液供給部112にある気体が前記食刻チャンバー111に強制移動されることによって圧力の均衡が維持されるために、前記食刻チャンバー111の食刻液および気体が食刻液排水管を通じて前記食刻液供給部112に排水(排出)される。すなわち、食刻部110の加圧状態でも前記食刻チャンバー111から前記食刻液供給部112に食刻液が円滑に排水される。
【0067】
一方、食刻装置の駆動が中止されたり食刻液ポンプ120の駆動が中止されて食刻チャンバー111に食刻液の供給が中止されると(S201のN)、前記制御部210はエアポンプ190の駆動を直ちに中止する(S203)。
【0068】
これに伴い、前記食刻液供給部112にある気体が前記食刻チャンバー111に移動しないため、自然に前記食刻チャンバー111の食刻液および気体も食刻液排水管を通じて前記食刻液供給部112に排水(排出)されない。
【0069】
前記のように、本実施例は食刻チャンバー111から食刻液供給部112に食刻液を強制的に排出させる排水ポンプ(図示されず)を利用せずとも(すなわち、排水ポンプを使う場合、食刻液ポンプと同期が難しいため食刻雰囲気の造成に問題が発生し得る)、重力によって食刻チャンバー111下部に配置された食刻液供給部112に食刻液が円滑に自然排水されるようにする効果がある。
【0070】
以上、本発明が図面に図示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術が属する分野で通常の知識を有する者であればこれから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることが理解できるであろう。したがって、本発明の技術的保護範囲は下記の特許請求の範囲によって定められるべきである。また、本明細書で説明された具現は、例えば、方法またはプロセス、装置、ソフトウェアプログラム、データストリームまたは信号で具現され得る。単一形態の具現の脈絡でのみ議論(例えば、方法としてのみ議論)されたとしても、議論された特徴の具現はさらに他の形態(例えば、装置またはプログラム)でも具現され得る。装置は適切なハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアなどで具現され得る。方法は、例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、集積回路またはプログラミング可能なロジックデバイスなどを含むプロセッシングデバイスを一般的に指称するプロセッサなどのような装置で具現され得る。プロセッサはまた、最終-使用者の間に情報の通信を容易にするコンピュータ、セルラーフォン、携帯用/個人用情報端末機(personal digital assistant:「PDA」)および他のデバイスなどのような通信デバイスを含む。