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特開2023-10693可搬式動力駆動システム用のロープグラブ装置
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  • 特開-可搬式動力駆動システム用のロープグラブ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010693
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】可搬式動力駆動システム用のロープグラブ装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/36 20060101AFI20230113BHJP
   B66D 3/20 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
B66D1/36 A
B66D3/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022110650
(22)【出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】21184588.8
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】321009203
【氏名又は名称】スカイロテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボウリアット,クラウド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された可搬式電力駆動システムを提供する。
【解決手段】ロープ302を前進させるように構成された可搬式動力駆動システム300用のロープグラブ装置であって、実質的に円形のロープグラブであって、作動中に、ロープグラブの円周の少なくとも一部に沿ってロープ302と係合するように構成されたロープグラブと、レバー部と、ロープ302の非荷重端をガイドするレバー部の一端に配置された第1のローラと、可搬式動力駆動システム300に連結可能な荷重から固定力を受けるように構成されたレバー部の反対端に配置された基準点308とを備える固定装置であって、レバー部はヒンジ連結部により、ロープグラブ装置に取り付けられ、作動中、ロープ302が基準点308に固定力を加えると、ロープグラブと係合する部分の一部において、ロープ302をロープグラブに付勢すべく、第1のローラによって、ロープ302に圧力を加える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープ(302)を前進させるように構成された可搬式動力駆動システム(300)用のロープグラブ装置であって、
実質的に円形のロープグラブ(100)であって、作動中に、ロープグラブ(100)の円周の少なくとも一部に沿って前記ロープ(302)と係合するように構成されたロープグラブ(100)と、
レバー部(304)と、前記ロープ(302)の非荷重端をガイドするレバー部(304)の一端に配置された第1のローラ(314)と、前記可搬式動力駆動システム(300)に連結可能な荷重から固定力を受けるように構成された前記レバー部(304)の反対端に配置された基準点(308)とを備える固定装置(301)であって、前記レバー部(304)は、一端と他端の間に配置されたヒンジ連結部(310)により、前記ロープグラブ装置に取り付けられ、作動中、ロープ(302)が前記基準点(308)に固定力を加えると、前記ロープグラブ(100)と係合する部分の一部において、前記ロープ(302)を前記ロープグラブ(100)に付勢すべく、前記第1のローラ(314)によって、前記ロープ(302)に圧力を加えるように構成された、前記固定装置(301)と
を含む、ロープグラブ装置。
【請求項2】
前記レバー部(304)は、前記一端と前記他端との間に、前記ロープグラブ(100)に向かって配向された実質的に円形及び/又は凹形部を含む、請求項1に記載のロープグラブ装置。
【請求項3】
前記ヒンジ連結部(310)は、実質的に、前記レバー部(304)の前記一端と前記他端との間の中間に配置され、及び/又は前記固定装置(301)は、前記ロープグラブ(100)に隣接して配置される、請求項1又は2に記載のロープグラブ装置。
【請求項4】
前記基準点(308)に固定力を加えると、時計回り又は反時計回りに回転するように、レバー部(304)は、ヒンジ連結部(310)により、前記ロープグラブ装置に取り付けられている、請求項1~3のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項5】
前記ロープグラブ装置は、作動中に、少なくとも前記ロープグラブ(100)を覆うために、前記ヒンジ連結部(310)を介して前記ロープグラブ装置に取り付けられた蓋(105)を含む、請求項1~4のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項6】
前記ロープグラブ(100)は、前記ロープ(302)と係合する凹形状を有するロープ係合面(102)を含み、前記ロープ係合面(102)は、前記ロープグラブ装置の作動中、前記ロープ(302)と係合する前記ロープグラブ(100)の円周の部分に沿って前記ロープ(302)と接触するように構成された複数のピン(104)を備える、請求項1~5のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項7】
前記ロープ(302)を貫通するように設けられた前記ピン(104)は、-45~45度の角度を有する角度形状を有する、請求項1~6のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項8】
前記ロープグラブ装置は、前記ロープ(302)が、前記ロープグラブ(100)を再び周回するのを防ぐために、前記第1のローラ(314)に隣接して配置され、前記ロープグラブ(100)の前記ロープ係合面(102)内に部分的に延在するヒール部分(218)を含む、請求項6又は7に記載のロープグラブ装置。
【請求項9】
前記ロープグラブ装置は、前記ロープ(302)の荷重端をガイドする第2のローラ(316)を含み、前記第2のローラ(316)は、前記ロープ(302)を装填するためのレバーに、好ましくは、取り付けられ、前記ロープグラブ(100)は、実質的に、前記第1のローラ(314)と、前記第2のローラ(316)及び/又は前記基準点(308)との間に配置されている、請求項1~8のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項10】
前記ロープグラブ装置は、前記第2のローラ(316)の軸(317)と前記ヒンジ連結(310)を介して、前記第2のローラ(316)と前記レバー部(304)とを連結するローラコネクタ(320)を含む、請求項1~9のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項11】
前記第2のローラ(316)は、収納可能な軸(317)を含み、前記蓋(105)は、少なくとも前記ロープグラブ(100)を覆う閉位置に前記蓋(105)を固定するために、前記軸(317)と係合可能な開口部を含む、請求項5、9又は10に記載のロープグラブ装置。
【請求項12】
前記ロープグラブ装置は、作動中に、少なくとも前記ロープグラブ(100)を覆うために、前記収縮可能な軸(317)を介して、前記ロープグラブ装置に取り付けられた蓋(105)を含む、請求項1~11のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項13】
前記固定装置(301)は、前記第1のローラ(314)を前記ロープグラブ(100)に付勢するためのバネ機構を含む、請求項1~12のいずれかに記載のロープグラブ装置。
【請求項14】
第1の主方向(318)に延在するロープ(302)を前進させる可搬式動力駆動システム(300)であって、
ドライブシャフト(340)を含むモータ(330)と
を含み、
請求項1~13のいずれかに記載のロープグラブ装置と
を含み、
前記ロープグラブ(100)は、前記ロープグラブ(100)の回転のために、前記モータ(330)の前記ドライブシャフト(340)に連結され、
前記固定力は、前記第1の主方向(318)と実質的に反対である第2の方向(324)に延在する、可搬式動力駆動システム(300)。
【請求項15】
前記モータ(330)と前記ロープグラブ(100)との間に連結された遠心クラッチ(332)及び/又はウォームドライブを含む、請求項14に記載の可搬式用動力駆動システム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式動力駆動システム用のロープグラブ装置に関し、可搬式動力駆動システムは、ロープを前進させるように構成され、ロープグラブ装置は、実質的に円形のロープグラブを備え、ロープグラブは、作動中に、ロープグラブの円周の少なくとも一部に沿ってロープと係合するように構成される。
【背景技術】
【0002】
動力パーソナル吊り上げ装置は、鉛直面のスケーリング作業者を支援するものである。電動ウインチは、プラットフォーム上の作業者又はロープに取り付けられたハーネスを装着した作業者を昇降させるために使用される。荷重の上方にある堅固なプラットフォームにウインチを固定するか、又は、プラットフォームに連結されたプーリを使用して荷重を巻き上げる必要がある。さらに、ウインチは、スプールにロープ又はケーブルを巻き付けるため、使用できるロープの長さ及び重量が制限される。通常、複合プーリ又は減速ギア付きのホイストは、人員又はプラットフォームを昇降させるために使用され、三脚、ビーム又は橋形クレーンなどの固定支持点から懸架されなければならない。典型的には、ウインチ又はホイストは、一人目がロープを安全に上昇させるために、少なくとも二人目が装置を操作又は制御することを必要とする。
【0003】
しかしながら、可搬式ウインチ、好ましくは、ロープを昇降させる作業者によって操作することができる可搬式ウインチを利用することが好ましい例が多数ある。このような例として、例えば、山登り、洞穴探索、樹木伐採、救助作業及び軍事行動が挙げられる。登山装置の産業利用には、整備、クリーニング、窓クリーニング、塗装等のために、高層構造物、タワー、ポール、鉱山の立坑又は橋梁工事をスケーリングすることが含まれる。
【0004】
先行技術では、高所でのロープ利用のための様々な非常に有用な解決策が知られているが、装置を利用する作業者に対して、さらに改善を与えるための努力が常になされている。具体的には、高所で作業するときのあらゆるリスクを最小限に抑えること、及び/又は、装置を小型化し、使用されるロープの種類及び/又は厚さを柔軟に選べ、それによって装置の使用者の環境を改善することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、改良された可搬式電力駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の特徴によって解決される。
【0007】
このように、目的は、可搬式動力駆動システム用のロープグラブ装置によって解決される。ロープを前進させるように構成された可搬式動力駆動システム用のロープグラブ装置は、
実質的に円形のロープグラブであって、作動中に、ロープグラブの円周の少なくとも一部に沿ってロープと係合するように構成され、ロープグラブの回転のために、動力駆動システムのモータのドライブシャフトに連結するように、好ましくは、構成された、ロープグラブと、
レバー部と、ロープの非荷重端をガイドするレバー部の一端に配置された第1のローラと、可搬式動力駆動システムに連結可能な荷重から固定力を受けるように構成されたレバー部の反対端に配置された基準点とを備える固定装置であって、レバー部は、一端と他端の間に配置されたヒンジ連結部により、ロープグラブ装置に取り付けられ、作動中、ロープが基準点に固定力を加えると、ロープグラブと係合する部分の一部において、ロープをロープグラブに付勢すべく、第1のローラによって、ロープに圧力を加えるように構成された、固定装置とを含む。
【0008】
提案された解決策の重要な態様は、基準点に固定力を加えると、レバー部が旋回し、第1のローラを介してロープをロープグラブに向かって押圧し、それによって、ロープとロープグラブとの間に摩擦が生じることである。このようにして、モータを介してロープグラブを回転させることにより、荷重を吊り上げることができる。言い換えれば、荷重によって作り出される固定力は、ロープとロープグラブとの間に摩擦を生じさせ、荷重は、可搬式動力駆動システムとロープグラブ装置によって吊り上げることができる。従って、固定装置は、ロープとロープグラブとが作動中に互いに係合してロープとロープグラブの間の摩擦が得られる位置で、ロープに圧力を加える。ロープとロープグラブの間のこの係合位置は、典型的には、ロープグラブの円周の一部における、ロープの応力部分である。次に、固定装置の第1のローラが、この位置の部分に圧力/力を加える。
【0009】
本明細書において、ローラという用語は、広く解釈されるべきであり、ロープとロープグラブとの間に圧力が加わると同時に「ロープと共に」回転する任意のタイプの装置が含まれる。従って、第1のローラは、好ましくは、ロープグラブの作動(回転)中に第1のローラが回転できるようにする圧力を与えるように構成される。前述したとおり、モータは、ドライブシャフトを使用してロープグラブに連結されている。「ドライブシャフト」という表現には、モータからロープグラブに回転力を伝達するための任意の機械的な実施形態が含まれる。このように、ドライブシャフトは、例えば、ロープグラブの回転速度に適合するように回転力を適合させるためのギア構造又は同様のものをさらに含んでもよい。ロープという用語は、ここでは、そのより広い意味で使用され、ロープグラブと係合するのに適した性質又はサイズのロープ、ワイヤ、ベルト、ウェビング、及びコードが含むものとする。この定義から理解されるように、ロープは、円形、楕円形、又は実質的に平坦な(例えば長方形の)形状を有していてよい。他の実施形態において、ロープグラブは、複数の同一セグメントから組み立てられ、一緒に組み立てられて、単一ユニットの等価物を形成する。このようなセグメントは、金属又はプラスチックで作製される。このような実施形態の利点は、簡略化された製造によって、製造コストが低減されることである。
【0010】
好ましい実施形態によれば、レバー部は、一端と他端との間に、ロープグラブに向かって配向された実質的に円形及び/又は凹形部を含む。レバー部は、アームとして、特に、例えば、金属製の湾曲アームとして設けることができる。レバー部は、1個の部品として、又は、2個の部品として間に第1のローラを保持するように設けられていてもよい。
【0011】
他の好ましい実施形態において、ヒンジ連結部は、実質的に、レバー部の一端と他端との間の中間に配置され、及び/又は固定装置は、ロープグラブ(100)に隣接して配置される。好ましくは、ヒンジ連結部は、可搬式動力駆動システムのロープグラブ装置の本体にそれぞれ連結される。ヒンジ連結部は、ロープグラブの円周の3分の1の周囲を円周方向に覆っていてもよい。
【0012】
さらなる好ましい実施形態によれば、基準点に固定力を加えると、時計回り又は反時計回りに回転するように、レバー部は、ヒンジ連結部により、ロープグラブ装置に取り付けられている。レバー部の回転方向は、ロープの方向に合わせたものであってもよい。ロープグラブ装置が鏡像になっている場合、例えば、左側にデッドロープが出てくるようにすると、レバー部は時計回りに回転する。しかしながら、デッドロープは、右手側に出て、そのような下降装置設計がデッドロープを右手で保持できるのが好ましい。加えて、使用者は、右手で制御し、バランスをとるためにデッドロープを保持してもよい。
【0013】
他の好ましい実施形態において、ロープグラブ装置は、作動中に、少なくともロープグラブを覆うために、ヒンジ連結部を介してロープグラブ装置に取り付けられた蓋を含む。蓋は、好ましくは、安全蓋として設けられ、動力駆動システムの作動中は、ロープグラブを覆うように閉じた状態で配置され、ローブグラブへのロープの導入を可能にするためには開いた状態で配置されるように構成することができる。蓋は、金属又はプラスチックプレートとして設けることができる。このような安全装置は、使用者が、例えば、手等を入れる危険性を最小限に抑え、システムの作動安全性を効率的に増大するものである。
【0014】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のローラは、ロープグラブとは反対を向いた第1のローラの円周の部分を覆うカバーを有する。このようなカバーは、第1のローラにロープのガイダンスを提供する。カバーは、金属又はプラスチックを含んでいてよく、レバー部に取り付けられる。
【0015】
他の好ましい実施形態において、ロープグラブは、ロープと係合する凹形状を有するロープ係合面を含み、ロープ係合面は、ロープグラブ装置の作動中、ロープと係合するロープグラブの円周の部分に沿ってロープと接触するように構成された複数のピンを備える。ロープとロープグラブとの間のピンの摩擦が増大するため、有用なロープの範囲も増える。好ましい実施形態において、複数のピンは、少なくとも部分的にロープを貫通する。ロープグラブのロープ係合面内でのピンの位置決めは、いくつかの実施形態において、対称的、すなわち、ロープグラブのロープ係合面で対称的な分布を有していてもよい。しかしながら、通常、可搬式動力駆動システムに加わる予想される荷重を考慮に入れて、ピンを任意の他の方法で位置決めすることも可能である。これは、もちろん、ロープグラブのロープ係合面内に位置決めされるピンの数を決めるのにも有効である。
【0016】
好ましい実施形態において、ピンの長さはロープを完全に貫通しないように選択される。好ましくは、長さは、ロープの「コア」へは最小の貫通としつつ、ロープ、ベルト、ストリップ又はハンガーの全織部分に、それら自体が係合するような長さとする。前述したような可搬式動力駆動システムと共に使用するのに適したロープの一般的な構造は、当業者であれば容易に理解されるはずである。
【0017】
一実施形態において、ロープグラブ及びピンは、金属材料から製造され、動力駆動システムの全体的な重量を減らすために、できるだけ軽く保つことが好ましい。しかしながら、本発明の概念において、ロープグラブ及び/又はピンを、例えば、ポリオキシメチレン材料から製造されるような耐性プラスチック材料から製造することも可能である。当然のことながら、高抵抗を有する他の適切なプラスチック材料は、本発明の範囲内で使用可能である。
【0018】
ピン及びロープグラブは、単一のユニットとして製造されることが好ましい。これは、製造コストのために、いくつかの実装形態において好ましい場合がある。1つの可能性は例えば、鋳鉄から単一ユニットロープグラブを製造する場合である。あるいは、ロープグラブは、1つのユニットとして形成され、複数のピンは、例えば、ロープグラブの係合面に形成された穴に挿入することによって、ロープグラブと一体化されてもよい。
【0019】
本発明の範囲内で、少なくともロープグラブの係合面にゴム材料又は同様の等価物を設けてもよく、ロープグラブとロープとの間の摩擦をさらに改善することができる。可搬式動力駆動システムを作動させるときの付加的な、例えば、ゴム材料の使用に関連した、起こり得る温度上昇に応じて、材料は選択すればよい。
【0020】
さらに好ましい実施形態によれば、ロープを貫通するように設けられたピンは、-45~45度、-45~0度、又は0~45度の角度を有する角度形状を有する。ロープを貫通するように適合されたピンの部分は、好ましくは、比較的「尖った」端部を有するように構成される。好ましい実施形態において、ピンの「攻撃フロント」と呼ばれることもある、ロープを貫通するように適合されたピンの最も外側の端部は、好ましくは-5~22度の間の典型的な角度を有するように構成され、それによってロープの摩耗や引き裂きが少なくなる。これは、具体的には「角の取れた」ピンを配置し、0~0.5mmの間のビームを有することによって達成することができる。可能な実施形態において、ピンは、0.5~2.5mm、好ましくは、約2mmの直径を有する。可能な実施形態において、ピンの球形ヘッドランドは、例えば、0.5mm前後の半径を有し、直径1mm、長さ1mmの円柱の頂部に配置されてもよい。
【0021】
他の好ましい実施形態において、ロープグラブ装置は、ロープが、ロープグラブを再び周回するのを防ぐために、第1のローラに隣接して配置され、ロープグラブ100のロープ係合面内に部分的に延在するヒール部分を含む。ヒール部分は、好ましくは、ロープグラブを間に挟んで、本体及び/又はレバー部の反対側に取り付けられる。ヒール部分は、金属及び/又はプラスチックを含んでいてよい。
【0022】
さらなる好ましい実施形態によれば、ロープグラブ装置は、ロープの荷重端をガイドする第2のローラを含み、第2のローラは、ロープを装填するためのレバーに、好ましくは、取り付けられ、ロープグラブは、実質的に、第1のローラと、第2のローラ及び/又は基準点との間に配置されている。他の好ましい実施形態において、第2のローラは、収納可能な軸を含み、蓋は、少なくともロープグラブを覆う閉位置に蓋を固定するために、軸と係合可能な開口部を含む。更に好ましい実施形態によれば、ロープグラブ装置は、作動中に、少なくともロープグラブを覆うために、収縮可能な軸を介して、ロープグラブ装置に取り付けられた蓋を含む。また、蓋をレバーに取り付けて、第2のローラと一緒に折りたたむこともできる。
【0023】
他の好ましい実施形態において、固定装置は、第1のローラをロープグラブに付勢するためのバネ機構を含む。このように、ロープは、ロープグラブ装置に挿入された後、第1のローラとロープグラブとの間にクランプされる。
【0024】
目的は、ロープを前進させるための可搬式動力駆動システムによってさらに解決され、ロープは第1の主方向に延在し、動力駆動システムは、
ドライブシャフトを含むモータと、
前述したロープグラブ装置と
を含み、
ロープグラブは、ロープグラブの回転のためにモータのドライブシャフトに連結され、
固定力は、第1の主方向と実質的に反対である第2の方向に延在する。
【0025】
一実施形態において、固定点に連結された細長い安全スリングがさらに提供され、安全スリングは、メイロン、カラビナ、又はリギングプレートのうちの少なくとも1つを受けるように配置される。スリングは、例えば、繊維材料であってもよい。長形スリングは、好ましくは、一端が基準点に連結され、かつ、他端において、マイロン、カラビナ、又はリギングプレートの少なくとも1つを受けるように構成されている。マイロン、カラビナ、又はリギングプレートのうちの少なくとも1つを使用して、可搬式システムを、例えば、使用者用のハーネスに連結することができ、又は、例えば、さらなる登山/フィン用具を使用してシステムを固定構造に固定することができる。一般的な用語「長形スリング」は、一般的な登山用具に関して概して言及される。また、「繊維」という用語は、非常に広く解釈するものとする。例えば、スリングを形成するために使用される繊維材料は、任意の種類、例えば、織又は不織材料、天然及び/又は合成繊維等であってよい。可搬式動力駆動システムの作動中、使用者は、通常、例えば、スリング及びカラビナによって、前述した基準点にしっかりと連結される。
【0026】
さらなる好ましい実施形態によれば、可搬式動力駆動システムは、モータとロープグラブとの間に連結された遠心クラッチ及び/又はウォームドライブを備える。好ましい実施形態において、モータは、電気モータであり、可搬式動力駆動システムは、電気モータとロープグラブとの間に連結されたギア構成を更に備え、ギア構成は、モータの回転速度と比較してロープグラブの回転速度を減少させるように構成されている。これにより、ロープグラブにかかるトルクが増大し、低トルクの高速モータを使用することが可能となる
【0027】
好ましくは、ギア装置は、ウォームドライブを含み、及び/又はウォームドライブは、自己ロック式であるように構成される。これは、可搬式動力駆動システムと共にブレーク機構を含まなくてもよいという利点を有し、従って、可搬式動力駆動システムのコスト及び複雑さを減少させる。
【0028】
前述したような低トルクを有する高速モータを使用する場合、モータとギア構成との間に連結される遠心クラッチをさらに含むことが典型的に望ましい。このような遠心クラッチは、モータの始動時のモータトルクの弱さを補うのに使用される。ドライブシャフトは、ブレーキディスクに作用するバネを備えるトルクリミッタを備え、これはロープグラブ上をスライドする。トルクが低いと、ドライブシャフトは、ロープグラブと共にある。トルクが閾値を超えると、ロープグラブが、ブレーキパッド上で滑り、ギア配置が守られる。また、システム障害が発生した場合には、手動で安全ピンを引き出してブレーキパッドを解放し、ブレーキパッド自体を下げることもできる。その他、又はそれに加えて、摩擦トルクリミッタが、特に、ロープグラブに内蔵されてもよい。このような摩擦トルクリミッタは、モータが故障した場合に緊急下降が可能になるように、ウォームドライブのギアボックスを有する場合に有利である。
【0029】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明白かつ明瞭となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】好ましい実施形態による可搬式動力駆動システムのロープグラブ装置の斜視図である。
図2】好ましい実施形態による、蓋を外した図1の可搬式動力駆動システムのロープグラブ装置の斜視図である。
図3】好ましい実施形態による図1の可搬式動力駆動システムのロープグラブ装置のロープグラブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、実質的にホイールであるロープグラブ100を設けた好ましい実施形態による、可搬式動力駆動システム300のためのロープグラブ装置の斜視図である。可搬式動力駆動システム300は、さらに、作動中にロープ302がロープグラブ100と係合する部分の一部において、ロープ302をロープグラブ100に向かって付勢するように構成された固定装置301を備える。固定装置301は、ロープグラブ100と共にロープグラブ装置を形成する。
【0032】
固定装置301は、ロープグラブ100に向いた実質的に円形及び/又は凹形の形状を有するレバー部304を有する。レバー部304は、一端に、可搬式動力駆動システム300に連結可能な荷重から固定力を受ける基準点308が設けられている。ロープ302の非荷重端をガイドする第1のレバー部304の他端には、第1のローラ314が配置されている。レバー部304は、特に、ロープグラブ装置の可搬式動力駆動システム300の本体311(典型的には「カバー」を含む)に対する一端と他端との間の中間に配置されたヒンジ連結部310で取り付けられている。
【0033】
作動中、ロープ302は、ロープグラブ100の一部に係合するように挿入され、典型的には、ロープグラブ100の円周の半分付近と接触している。ロープは、さらに、第1の主方向318に延在し、本体311に取り付けられたロープ302の荷重端をガイドするための第2のローラ316と係合する。さらに、ロープ302は、第1のローラ314の一部の周りを通過する。可搬式動力駆動システム300を作動させる場合、荷重は、図中、基準点308と一致する、可搬式動力駆動システム300の基準点に連結される。基準点には、例えば、使用者のハーネスに連結するためのカラビナ322に連結されたスリング321を設けることができる。従って、使用者は、荷重力324を可搬式動力駆動システム300にかけることになり、荷重力324は、ロープ302の主方向に対して、実質的に反対方向に延在する。ロープ302は、さらに、第1のローラ314から延在する非荷重端部を有することになる。
【0034】
基準点308に固定力を加えて、可搬式動力駆動システム300に荷重を加えると、レバー部304は、基準点308がロープグラブ100から荷重力324の第2の方向324に離れるように反時計回りに旋回する。次に、第1のローラ314は、ロープグラブ100に向かって旋回して、ロープ302をロープグラブ100に向かって付勢するために、ロープ302に圧力をかける。ロープ302は、第1のローラ314とロープグラブ100との間で少なくとも部分的に「クランプ」されるようになる。従って、可搬式動力駆動システム300の作動中にロープ302が係合されるロープグラブ100の一部においてロープ302に力が加わると、ロープ302とロープグラブ100との間の摩擦が増大する。様々な異なる種類のロープを、可搬式動力駆動システム300に使用することができる。
【0035】
ロープグラブ100は、ロープ302と係合する凹形状のロープ係合面102を有する実質的に円形形状である。ロープ係合面102には、図3に詳細に示すように、ロープグラブ装置の作動中に、ロープ302と係合するために、ロープグラブ100の円周の部分に沿ってロープ302と接触するように構成された複数のピン104が設けられている。ロープグラブ100のピン104は、可搬式動力駆動システム300がロープ302に沿って上昇するときに、ロープグラブ100の回転方向に対して、「前向き」及び/又は「後向き」方向に配置される。ロープ302を貫通するピン104は、0~45度の角度を有する角度付きの形態を有する。ピン104を基準にロープグラブ100を実現することが可能であるが、ピン104をロープ係合面102又はロープグラブ100に対して垂直に配置させることも可能である。
【0036】
ロープグラブ100は、ロープグラブ100の回転のために、動力駆動システム300のモータ330のドライブシャフト340に連結されている。モータ330は、遠心クラッチ332に連結させて、モータ330の始動時のモータトルクの弱さを補うことができる。モータ330は、作動時の高速かつ低トルクを有するように最適化された電気モータである。遠心クラッチ332は、好ましくは、第1段と第2段とを備えるギア装置に連結される。第1段は、当技術分野で知られている一般的なギア構成とすることができ、第2段は、ウォームドライブ338を備えることが好ましい。ウォームドライブ338は、好ましくは自己ロック式であるように構成される。これは、可搬式動力駆動システム300と共にブレーク機構を含まなくてもよいという利点を有し、可搬式動力駆動システム300のコスト及び複雑さを減少させるものである。ウォームドライブ338は、ロープグラブ100への連結を可能にするために、ドライブシャフト340に連結される。
【0037】
ロープグラブ装置は、図1に示すように蓋105を有するが、図2では取り外してある。この蓋は、作動中に、少なくともロープグラブ100を覆うために、第2のローラ316の軸317を介して、又は代替的にヒンジ連結部310を介してロープグラブ装置に取り付けられる。金属及び/又はプラスチックを含む蓋105は、軸317又はヒンジ連結部310を介して旋回して取り付けられる。蓋105の開口部106が、軸317と係合して、少なくともロープグラブ100を覆う閉位置に、蓋105を固定するように、軸317とヒンジ連結部310を収納可能に設けてもよい。ロープグラブ装置はさらに、第1のローラ314に隣接して配置され、ロープグラブ100のロープ係合面102内に部分的に延在するヒール部分218を備えていてもよい。ヒール部分218は、ロープ302がロープグラブ100を再び周回するのを防ぐものである。第2のローラ316は、ロープ203を積載するための図示しないレバーに取り付けることができる。さらに、第1のローラ314をロープグラブに向けて付勢するためのバネを設けることができる。さらに、前述したレバー部304機構の安定性を改善するために、金属ローラコネクタ320は、第2のローラ316とレバー部304、第2のローラ316の軸317とヒンジ連結部310を連結して、ロープグラブ100が金属コネクタ320と本体との間に軸方向に配置されるようにする。
【0038】
本発明を、図面及び前述の説明において詳細に例証し説明してきたが、かかる例証及び説明は、例証的又は例示的であり、限定されるものではなく、本発明は、開示された実施形態に限定されない。図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、特許請求の範囲に記載された発明を実施する際に、当業者であれば、開示された実施形態の他の変形形態を理解し、実施することができる。請求項において「含む」という語句は、他の構成要素又はステップを除外するものでなく、不定冠詞「1つの」は複数を除外するものではない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項に記載されているということは、これらの手段の組み合わせを用いると有利であることを示すものではない。特許請求の範囲における参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されない。
【符号の説明】
【0039】
100 ロープグラブ
102 ロープ係合面
104 ピン
105 蓋
106 開口部
218 ヒール部分
300 可搬式動力駆動システム
301 固定装置
302 ロープ
304 レバー部
308 基準点
310 ヒンジ連結部
311 本体
314 第1のローラ
316 第2のローラ
317 軸
318 第1の主方向
320 ローラコネクタ
321 スリング
322 カラビナ
324 第2の方向
330 モータ
332 遠心クラッチ
338 ウォームドライブ
340 駆動
図1
図2
図3
【外国語明細書】