(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106963
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20230726BHJP
A63F 13/20 20140101ALI20230726BHJP
A63F 13/28 20140101ALI20230726BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 590
A63F13/20 Z
A63F13/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008013
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井原 鉄吾朗
(72)【発明者】
【氏名】川西 光宏
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA76
5E555BA20
5E555BA81
5E555BB20
5E555BC04
5E555CA42
5E555CB48
5E555CC03
5E555DA26
5E555DD07
5E555EA07
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】限られた香料を用いながらも、嗅覚を通じてコンテンツのエンターテインメント性をより高めることができる情報処理システムおよび情報処理方法を提案する。
【解決手段】情報処理システムは、既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、カートリッジから香料を放出することによって発香する発香装置と、現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取る読取部と、観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換する変換部と、コンテンツパラメータに基づき、香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成する生成部と、オブジェクトを含むコンテンツの進行状況に応じ、発香制御情報に基づいて発香装置を制御する発香制御部と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、前記カートリッジから前記香料を放出することによって発香する発香装置と、
現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取る読取部と、
前記観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換する変換部と、
前記コンテンツパラメータに基づき、前記香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成する生成部と、
前記オブジェクトを含む前記コンテンツの進行状況に応じ、前記発香制御情報に基づいて前記発香装置を制御する発香制御部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記発香制御部は、
前記仮想空間において少なくとも視覚的に提示されていない前記オブジェクトについて、当該オブジェクトに関連付けられた前記香料を前記発香装置に放出させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記発香制御部は、
前記仮想空間における前記オブジェクトまでの距離に応じて、前記発香装置による前記香料の放出量を調整する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記変換部は、
前記香りに関する要素として前記コンテンツパラメータに前記カートリッジを識別する識別子のうちのいずれかを割り当てる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物に関する数値情報であるコード情報を読み取り可能に設けられる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物の実際の香りに関する数値情報を読み取り可能に設けられる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物を画像認識した画像認識結果を示す数値情報を読み取り可能に設けられる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物に含まれる認証チップが示す数値情報を読み取り可能に設けられる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
ユーザが利用する第1の端末装置、を備え、
前記第1の端末装置は、
少なくとも前記発香装置と、前記読取部と、前記発香制御部と、前記コンテンツを実行する実行部と、を備え、車両に搭載される、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第1の端末装置は、
当該第1の端末装置とは異なり、少なくとも前記実行部を有する第2の端末装置と連携して同一の前記コンテンツを実行可能であり、
前記第1の端末装置の前記実行部は、
前記読取部によって読み取られた前記観察物に関する情報に基づく前記オブジェクトに関連付けられた前記香料を前記発香制御部によって前記発香装置から放出させ、
前記第2の端末装置の前記実行部は、
前記第2の端末装置における前記コンテンツ内の前記仮想空間に前記オブジェクトを少なくとも視覚的に提示する、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、前記カートリッジから前記香料を放出することによって発香する発香装置を有する情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取ることと、
前記観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換することと、
前記コンテンツパラメータに基づき、前記香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成することと、
前記オブジェクトを含む前記コンテンツの進行状況に応じ、前記発香制御情報に基づいて前記発香装置を制御することと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザに提示される映像および音声の少なくとも一方を含むコンテンツの内容に関するコンテンツ情報を取得し、取得したコンテンツ情報に応じた態様で匂い提示装置に匂いを提示させる情報処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、限られた香料を用いながらも、嗅覚を通じてコンテンツのエンターテインメント性をより高めるうえで、さらなる改善の余地がある。
【0005】
たとえば、香りには、色でいう3原色のような基本要素が存在しない。このため、ユーザに対し、コンテンツに応じた様々な香りを提示するには、複写機でいうトナーを用意すれば足りるということはなく、あらゆるコンテンツを広くカバーできるように多種多様な香料をユーザが予め貯蔵しておく必要がある。ただし、このような対処は、コスト的に見ても現実的ではない。
【0006】
この点、複数の香料が充填されるカートリッジ方式なら、1つの提示装置によって複数の香りを提示することは可能である。しかしながら、充填されている限られた香料だけで、コンテンツに応じた多種多様な香りを提示することはやはり難しい。
【0007】
そこで、本開示では、限られた香料を用いながらも、嗅覚を通じてコンテンツのエンターテインメント性をより高めることができる情報処理システムおよび情報処理方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の情報処理システムは、既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、前記カートリッジから前記香料を放出することによって発香する発香装置と、現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取る読取部と、前記観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換する変換部と、前記コンテンツパラメータに基づき、前記香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成する生成部と、前記オブジェクトを含む前記コンテンツの進行状況に応じ、前記発香制御情報に基づいて前記発香装置を制御する発香制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る発香装置の構成例を示す図である。
【
図2】発香装置に装填される香料の各カートリッジの一例を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その1)である。
【
図4】本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その2)である。
【
図5】本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その3)である。
【
図6】本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その4)である。
【
図7】本開示の実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図10】読取部の具体例を示す図(その2)である。
【
図11】読取部の具体例を示す図(その3)である。
【
図12】読取部の具体例を示す図(その4)である。
【
図13】本開示の実施形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図14】端末装置および発香装置が車載装置である場合の説明図である。
【
図15】遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その1)である。
【
図16】遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その2)である。
【
図17】遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その3)である。
【
図18】遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その4)である。
【
図19】遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その5)である。
【
図20】情報処理システムが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図21】端末装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後にハイフン付きの異なる数字を付して区別する場合もある。たとえば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて端末装置10-1および端末装置10-2のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。たとえば、端末装置10-1および端末装置10-2を特に区別する必要がない場合には、単に端末装置10と称する。
【0012】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.本開示の実施形態の概要
2.情報処理システムの構成
2-1.全体構成
2-2.端末装置の構成
2-3.サーバ装置の構成
3.変形例
3-1.車両に搭載される場合について
3-2.遠隔地間でデジタルツインを実現する場合について
4.情報処理システムの処理手順
5.その他の変形例
6.ハードウェア構成
7.むすび
【0013】
<<1.本開示の実施形態の概要>>
まず、本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要について説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る発香装置50の構成例を示す図である。また、
図2は、発香装置50に装填される香料の各カートリッジの一例を示す図である。
【0014】
また、
図3は、本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その1)である。また、
図4は、本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その2)である。また、
図5は、本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その3)である。また、
図6は、本開示の実施形態に係る情報処理方法の概要説明図(その4)である。
【0015】
本開示の実施形態(以下、適宜「本実施形態」あるいは単に「実施形態」という)に係る発香装置50の構成例から説明する。発香装置50は、カートリッジ方式で装填された1以上の香料のうちの任意の1つを吐出したり噴霧したりすることによって放出し、発香する装置である。
【0016】
図1に示すように、発香装置50は、カートリッジ部51と、駆動部52と、放出口53とを有する。カートリッジ部51は、1以上の香料の各カートリッジが装填される。なお、
図1には、発香装置50が、カートリッジ#1~#5の5つのカートリッジを装填可能である場合の例を示している。
【0017】
各カートリッジは、発香装置50が接続される端末装置10を利用するユーザが、市販されている既製品の中から任意に選択して装填することができる。
【0018】
なお、
図2に示すように、本実施形態では、カートリッジ#1には「ラベンダー」のカートリッジが、カートリッジ#2には「レモン」のカートリッジが、カートリッジ#3には「ミント」のカートリッジが、それぞれ装填されているものとする。また、さらに、カートリッジ#4には「コーヒー」のカートリッジが、カートリッジ#5には「ヒノキ」のカートリッジが、それぞれ装填されているものとする。
【0019】
駆動部52は、
図1に示すように、カートリッジ部51を回転軸axRまわりに回転させ、放出すべき香料が充填されたカートリッジを放出口53へ位置付ける。また、駆動部52は、放出口53へ位置付けたカートリッジに充填された香料を吐出したり噴霧したりすることによって放出する。
【0020】
なお、発香装置50は、端末装置10と通信可能に接続されており、駆動部52は、コンテンツの内容に応じた端末装置10からの指示に基づいて、その動作を制御される。端末装置10は、たとえばカートリッジナンバーに基づいて放出すべき香料を特定し、かかる香料を指定の放出量で放出するように駆動部52を制御する。
【0021】
ところで、このような発香装置50を用いた既存技術には、限られた香料を用いながらも、嗅覚を通じてコンテンツのエンターテインメント性をより高めるうえで、さらなる改善の余地がある。
【0022】
たとえば、香りには、色でいう3原色のような基本要素が存在しない。このため、ユーザに対し、コンテンツに応じた様々な香りを提示するには、複写機でいうトナーを用意すれば足りるということはなく、あらゆるコンテンツを広くカバーできるように多種多様な香料をユーザが予め貯蔵しておく必要がある。ただし、このような対処は、コスト的に見ても現実的ではない。
【0023】
この点、
図1に示す発香装置50のように、複数の香料が充填されるカートリッジ方式なら、1つの発香装置50によって複数の香りを提示することは可能である。しかしながら、充填されている限られた香料だけで、コンテンツに応じた多種多様な香りを提示することはやはり難しい。
【0024】
そこで、実施形態に係る情報処理方法は、既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、カートリッジから前記香料を放出することによって発香する発香装置50を有する情報処理システム1が実行する情報処理方法であって、現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取り、観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換し、コンテンツパラメータに基づき、香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成し、オブジェクトを含むコンテンツの進行状況に応じ、発香制御情報に基づいて発香装置50を制御する、こととした。
【0025】
以下、実施形態に係る情報処理方法の概要について具体的に説明するが、本実施形態では、端末装置10を介してユーザに提供されるコンテンツが、舞台となる仮想空間を自由に動き回って探索・攻略できるように設計された、いわゆるオープンワールド系のオンラインゲームコンテンツであるものとする。
【0026】
図3に示すのは、端末装置10の表示部4に表示され、ユーザに対し提供されるコンテンツ画面の一例である。
図3に示すように、かかるコンテンツ画面には、たとえばユーザ本人のアバターである男性キャラクタや、他のユーザのアバターである女性キャラクタ、アイテムを表す箱、各種のモンスター等、複数のオブジェクトが表示される。
【0027】
実施形態に係る情報処理方法では、これら各種のオブジェクトに対し、
図4に示すように、発香制御情報として、たとえば発香装置50の各カートリッジを1つずつ割り当てる。そのうえで、実施形態に係る情報処理方法では、これら各種のオブジェクトが表示されていない場合にも、発香制御情報に基づいて、各オブジェクトに関連付けられた香りを発香装置50に発香させる。
【0028】
すなわち、実施形態に係る情報処理方法では、コンテンツが提供する仮想空間において、視覚では知覚できないオブジェクトの存在を、嗅覚を通じてユーザに知覚させる。
【0029】
なお、各オブジェクトに対する各カートリッジの割り当て方としては、実施形態に係る情報処理方法では、たとえば後述する読取部2(
図8参照)を介し、現実空間において観察される観察物から、当該観察物に関する情報を取得する。読取部2による読み取りの具体例については、
図9~
図12を用いた説明で後述する。
【0030】
そのうえで、実施形態に係る情報処理方法では、取得された観察物に関する情報を、ハッシュ化など任意のアルゴリズムを用いつつ、コンテンツ内にレンダリング可能であり、少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換する。なお、「レンダリング」は、「配置」と言い換えてもよい。
【0031】
コンテンツパラメータは、
図4に示すように、たとえば「Type」、「Color」、「Size」といった視覚的な属性情報や、「Aroma」、すなわち発香制御情報としての発香装置50の各カートリッジのカートリッジナンバーなどを含む。
【0032】
なお、読取部2によって読み取られる観察物に関する情報には、元々香りに関する要素が含まれるが発香装置50の各カートリッジの各香料には該当するものがない場合や、そもそも香りに関する要素が含まれない場合も考えられる。しかし、本実施形態では、これらの場合にも敢えて前述のハッシュ化などを介し、観察物に関する情報から変換されるコンテンツパラメータに1つのカートリッジナンバーを割り当てる。
【0033】
これにより、ユーザは、少なくとも自身が保有する発香装置50に充填されている香料のうちのいずれかを用いて、観察物に対応するオブジェクトを、仮想空間において嗅覚を通じて知覚することが可能になる。
【0034】
そして、実施形態に係る情報処理方法では、変換されたコンテンツパラメータに基づいて、コンテンツ内のオブジェクトを生成する。そして、たとえばコンテンツの進行状況に応じ、オブジェクトに関連付けられた発香制御情報に基づいて発香装置50の発香制御を行う。
【0035】
このような発香制御を行うことによって、たとえば
図5に示すように、コンテンツ内において他のユーザが隠してくれたあるアイテムを、ユーザは、かかるアイテムの香り(ここではカートリッジ#1に対応する「ラベンダー」の香り)を辿ってアイテムを探すことが可能となる。
【0036】
また、たとえば
図6に示すように、ユーザは、発香装置50が発香する香り(ここではカートリッジ#3に対応する「ミント」の香り)によって、コンテンツ内において姿は見えないが近くに存在するモンスターを知覚し、その存在を他のユーザにも知らせることが可能となる。
【0037】
このように、実施形態に係る情報処理方法は、既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、カートリッジから前記香料を放出することによって発香する発香装置50を有する情報処理システム1が実行する情報処理方法であって、現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取り、観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換し、コンテンツパラメータに基づき、香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成し、オブジェクトを含むコンテンツの進行状況に応じ、発香制御情報に基づいて発香装置50を制御する、こととした。
【0038】
したがって、実施形態に係る情報処理方法によれば、限られた香料を用いながらも、嗅覚を通じてコンテンツのエンターテインメント性をより高めることができる。
【0039】
以下、上述した実施形態に係る情報処理方法を適用した情報処理システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0040】
<<2.情報処理システムの構成>>
<2-1.全体構成>
図7は、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
図7に示すように、情報処理システム1は、1以上の端末装置10と、端末装置10に接続される発香装置50と、サーバ装置100とを含む。
【0041】
また、
図7に示すように、端末装置10と、サーバ装置100とは、インターネット、イントラネット、携帯電話回線網、近距離無線通信網等であるネットワークNによって相互に接続され、ネットワークNを介して相互にデータを送受信可能に設けられる。
【0042】
端末装置10は、ユーザがそれぞれ利用する端末装置であり、GUI(Graphical User Interface)や音声UIなどの各種のUI(User Interface)を介して、ユーザの操作内容に応じた各種の情報処理を実行する。本実施形態では、端末装置10は、オープンワールド系のゲームコンテンツを実行し、ユーザの操作する各種のコマンドに応じてゲームを進行させる。
【0043】
端末装置10は、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、タブレット端末や、スマートフォンなどの携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。また、端末装置10は、たとえば、ユーザが装着可能に設けられたウェアラブル装置や、車両に搭載される車載装置等であってもよい。
【0044】
発香装置50については説明済みのため、ここでの詳細な説明は省略する。なお、発香装置50は、必ずしもすべての端末装置10に接続されなくともよい。また、説明済みの発香装置50の構成例はあくまで一例であって、
図1に示した模式図は、発香装置50の外観等を限定するものではない。
【0045】
また、発香装置50は、端末装置10と同様に、ユーザが装着可能に設けられたウェアラブル装置や、車両に搭載される車載装置等であってもよい。また、発香装置50は、装着されるカートリッジの組み合わせが共通であってもよいし、カートリッジの組み合わせが装置ごとに異なっていてもよい。すなわち、ユーザが、自身の保有する発香装置50の各カートリッジの香料を把握できていればよい。
【0046】
サーバ装置100は、たとえばクラウドサーバとして実現され、ネットワークNを介して各端末装置10へオンラインゲームコンテンツサービスを提供するサーバ装置である。サーバ装置100は、各端末装置10から送信されるゲームの進行状況を収集し、かかる進行状況に応じたサービスを提供する。
【0047】
<2-2.端末装置の構成>
次に、
図8は、本開示の実施形態に係る端末装置10の構成例を示すブロック図である。なお、
図8および後に示すおよび
図13では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0048】
換言すれば、
図8および
図13に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。たとえば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0049】
また、
図8および
図13を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0050】
図8に示すように、端末装置10は、読取部2と、操作部3と、表示部4と、音声出力部5と、発香装置50とが接続される。読取部2は、現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取るデバイスである。
【0051】
ここで、読取部2の具体例について
図9~
図12を用いて説明する。
図9は、読取部2の具体例を示す図(その1)である。また、
図10は、読取部2の具体例を示す図(その2)である。また、
図11は、読取部2の具体例を示す図(その3)である。また、
図12は、読取部2の具体例を示す図(その4)である。
【0052】
読取部2は、現実空間における観察物として、
図9に示すように、QRコード(登録商標)などの各種コードを読み取る。したがって、かかる場合、読取部2は、たとえばコードスキャナ2aとして実現される。コードスキャナ2aが読み取った各種コードが示す数値情報は、後述する変換部13bによって、発香制御情報を含むコンテンツパラメータへと変換される。
【0053】
また、読取部2は、
図10に示すように、現実空間における観察物の実際の香りを読み取る。したがって、かかる場合、読取部2は、たとえば香りセンサ2bとして実現される。香りセンサ2bが読み取った香りを示す数値情報は、後述する変換部13bによって、発香制御情報を含むコンテンツパラメータへと変換される。
【0054】
また、読取部2は、
図11に示すように、現実空間における観察物の画像を読み取る。したがって、かかる場合、読取部2は、たとえば画像認識部2cとして実現される。画像認識部2cが読み取った画像認識結果を示す数値情報は、後述する変換部13bによって、発香制御情報を含むコンテンツパラメータへと変換される。
【0055】
また、読取部2は、
図12に示すように、現実空間における観察物に含まれる認証チップCを読み取る。ここでの観察物は、たとえばゲームコンテンツの制作会社が販売するキャラクタ商品等である。したがって、かかる場合、読取部2は、たとえばNFC(Near Field Communication)などを利用した近距離無線通信部2dとして実現される。近距離無線通信部2dが読み取った認証チップCを示す数値情報は、後述する変換部13bによって、発香制御情報を含むコンテンツパラメータへと変換される。
【0056】
図8の説明に戻る。操作部3は、キーボードやマウスといった各種の操作デバイスによって実現され、ユーザから各種の操作を受け付ける。表示部4は、たとえばディスプレイであって、ユーザに提供されるコンテンツの映像情報を出力する。なお、表示部4は、タッチパネルディスプレイによって実現され、操作部3と一体に構成されてもよい。
【0057】
音声出力部5は、たとえばスピーカであって、ユーザに提供されるコンテンツの音声情報を出力する。なお、音声出力部5は、イヤホンやヘッドホン等であってもよい。発香装置50については説明済みのため、ここでの説明は省略する。
【0058】
端末装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。通信部11は、たとえば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNを介してサーバ装置100と有線または無線で接続され、サーバ装置100との間で各種の情報の送受信を行う。
【0059】
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0060】
図8に示す例では、記憶部12は、レンダリング情報12aと、オブジェクト情報DB(Database)12bとを記憶する。
【0061】
レンダリング情報12aは、後述する変換部13bが、読取部2の読み取った各種の数値情報をコンテンツ内にレンダリング可能なコンテンツパラメータへ変換するための各種の情報である。レンダリング情報12aは、たとえば、コンテンツ内の仮想空間におけるマップ情報や、ユーザが保有する発香装置50のカートリッジ数といったカートリッジに関する情報や、変換に使用するアルゴリズムに関する情報などを含む。
【0062】
オブジェクト情報DB12bは、コンテンツ内の仮想空間にレンダリングされる各オブジェクトに関する情報のデータベースであって、
図4に示した各オブジェクトの各種の情報を含む。
【0063】
制御部13は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部12に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0064】
制御部13は、取得部13aと、変換部13bと、送受信部13cと、ゲーム実行部13dと、発香制御部13eとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0065】
取得部13aは、読取部2によって読み取られた観察物に関する数値情報を取得し、変換部13bへ通知する。
【0066】
変換部13bは、レンダリング情報12aに基づき、取得部13aから通知された数値情報をコンテンツパラメータへ変換する。また、変換部13bは、変換後のコンテンツパラメータを送受信部13cへ通知する。
【0067】
送受信部13cは、通信部11を介し、変換部13bから通知されたコンテンツパラメータをサーバ装置100へ向けて送信する。また、送受信部13cは、通信部11を介し、送信したコンテンツパラメータに基づいてサーバ装置100により生成されたオブジェクトに関するオブジェクト情報を受信し、オブジェクト情報DB12bへ格納する。
【0068】
ゲーム実行部13dは、操作部3を介して受け付けられたユーザの操作およびオブジェクト情報DB12bに基づき、ゲームコンテンツを実行し、ゲームを進行させる。また、ゲーム実行部13dは、ゲームの進行状況を随時、送受信部13cにサーバ装置100へ向けて送信させる。
【0069】
また、ゲーム実行部13dは、ゲームの進行状況に応じ、各オブジェクトに関連付けられた発香制御情報に基づいて発香装置50を制御するよう発香制御部13eに指示する。
【0070】
発香制御部13eは、ゲーム実行部13dの指示に基づき、ゲームの進行状況に応じ、発香制御情報に基づいて発香装置50を制御する発香制御を実行する。なお、発香制御部13eは、発香制御において、単に表示されていないオブジェクトに関連付けられた香料を発香させるだけでなく、仮想空間におけるオブジェクトまでの距離に応じて、香料の放出量を調整する制御などを併せて行う。
【0071】
<2-3.サーバ装置の構成>
次に、
図13は、本開示の実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示すブロック図である。
図13に示すように、サーバ装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。
【0072】
通信部101は、上述した通信部11と同様に、たとえば、NIC等によって実現される。通信部101は、ネットワークNを介して端末装置10と有線または無線で接続され、端末装置10との間で各種の情報の送受信を行う。
【0073】
記憶部102は、上述した記憶部12と同様に、たとえば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0074】
図13に示す例では、記憶部12は、オブジェクト情報DB102aを記憶する。オブジェクト情報DB102aは、上述したオブジェクト情報DB12bのマスタ情報であって、後述する生成部103bにより随時更新される。
【0075】
制御部103は、上述した制御部13と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、記憶部102に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0076】
制御部103は、収集部103aと、生成部103bと、配信部103cと、ゲーム進行制御部103dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0077】
収集部103aは、通信部101を介して各端末装置10からコンテンツパラメータを収集し、生成部103bへ通知する。また、収集部103aは、通信部101を介して各端末装置10からゲームの進行状況を収集し、ゲーム進行制御部103dへ通知する。
【0078】
生成部103bは、収集部103aから通知されたコンテンツパラメータに基づいてコンテンツ内の仮想空間にレンダリングするオブジェクトを生成し、オブジェクト情報DB102aへ格納する。
【0079】
配信部103cは、通信部101を介し、生成部103bによって生成されたオブジェクトに関するオブジェクト情報を該当する端末装置10へ向けて配信する。
【0080】
ゲーム進行制御部103dは、収集部103aによって収集される進行状況に基づいて、通信部101を介しつつ、各端末装置10におけるゲーム進行を制御する。
【0081】
<<3.変形例>>
<3-1.車両に搭載される場合について>
ところで、既に述べたが、端末装置10および発香装置50は、車両Vに搭載される車載装置であってもよい。
図14は、端末装置10および発香装置50が車載装置である場合の説明図である。
【0082】
端末装置10が車載装置である場合、
図14に示すように、端末装置10は、たとえばカーナビゲーション装置やAV(Audio/Visual)装置などとして実現され得る。また、発香装置50は、たとえばエアコンの吹出口の裏側などに搭載され得る。
【0083】
そして、端末装置10は、端末装置10に対し提供されるコンテンツの内容に応じて発香装置50の発香制御を行い、発香装置50は、かかる発香制御に基づいて、コンテンツ内のオブジェクトに関連付けられたカートリッジの香料を車室内に発香することとなる。
【0084】
なお、車両Vがたとえば完全自動運転車両であり、車両Vのウィンドウをディスプレイとして、車室空間全体に仮想空間を再現しつつ走行中にもゲームコンテンツを楽しめるような環境である場合、
図13までを用いて説明した実施形態をそのまま車両Vにも適用することができる。すなわち、車両Vにおいても、限られた香料を用いながらも、嗅覚を通じてコンテンツのエンターテインメント性をより高めることが可能となる。
【0085】
<3-2.遠隔地間でデジタルツインを実現する場合について>
また、端末装置10および発香装置50が車載装置である場合、たとえばいわゆるデジタルツイン技術の一環として、車両Vが走行する現実空間の状況を、車両Vから離れた遠隔地の別の端末装置10における仮想空間に反映することも可能である。
【0086】
かかる変形例について、
図15~
図19を用いて説明する。
図15は、遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その1)である。また、
図16は、遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その2)である。また、
図17は、遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その3)である。また、
図18は、遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その4)である。また、
図19は、遠隔地間でデジタルツインを実現する場合の説明図(その5)である。
【0087】
図15に示すように、たとえば大阪に所在し、車両Vに搭載された端末装置10-1を利用するユーザU1と、東京に所在し、車載装置でない端末装置10-2を利用するユーザU2とがいるものとする。また、図示は略しているが、端末装置10-1には発香装置50が接続されており、端末装置10-2には発香装置50は接続されていないものとする。
【0088】
かかる場合に、ユーザU1,U2が同じゲームコンテンツを連携して実行し、車両Vが走行する大阪の現実空間の状況を、東京の端末装置10-2における仮想空間に反映させる場合を想定する。
【0089】
このような前提において、
図16に示すように、車両Vの端末装置10-1が大阪の通天閣を画像認識したものとする。すると、端末装置10-1は、かかる画像認識結果をコンテンツ内の仮想空間へレンダリングするためのコンテンツパラメータへと変換し、
図17に示すように、パラメータ情報としてサーバ装置100へ送信する。
【0090】
サーバ装置100は、これを受けて、かかるパラメータ情報に基づきオブジェクトを生成する。
図17に示すように、サーバ装置100は、たとえばオブジェクト「通天閣ロボット」を生成し、かかるオブジェクトには、発香制御情報として「#4」、すなわち「コーヒー」の香りが関連付けられたものとする。
【0091】
そして、サーバ装置100は、かかるオブジェクト「通天閣ロボット」に関するオブジェクト情報を、端末装置10-1,10-2のそれぞれに向けて配信する。
【0092】
すると、
図18に示すように、大阪の車両Vでは、端末装置10-1が、受信したオブジェクト情報に含まれる発香制御情報に基づいてカートリッジ#4のコーヒーの香りを発香する。車両Vに乗車中のユーザU1は、これにより、ユーザU2と共に連携して実行するゲームコンテンツにおいて、通天閣が画像認識され、オブジェクト化されたことを知覚することができる。
【0093】
一方、
図19に示すように、東京では、端末装置10-2が、大阪のメタバースに相当する仮想空間「オーサカフィールド」に、オブジェクト「通天閣ロボット」を出現させる。東京に所在するユーザU2は、これにより、ユーザU1と共に連携して実行するゲームコンテンツにおいて、現実空間の通天閣が端末装置10-1において画像認識され、これに基づいてオブジェクト「通天閣ロボット」が自身の利用する端末装置10-2において使用可能になったことを知覚することができる。
【0094】
このように、1つのオブジェクトに対し関連付けられたオブジェクト情報は、たとえば遠隔地間で分離してそれぞれ別の態様で提示されてもよい。これにより、同じコンテンツを離れた場所で連携して実行する各ユーザU1,U2に対し、嗅覚を含む五感を通じ、豊かなエンターテインメント性を提供することができる。
【0095】
<<4.情報処理システムの処理手順>>
次に、情報処理システム1が実行する処理手順について
図20を用いて説明する。
図20は、情報処理システム1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0096】
図20に示すように、まず端末装置10の読取部2が、現実空間の観察物からかかる観察物に関する情報を読み取る(ステップS101)。そして、変換部13bが、読み取られた情報を、少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換する(ステップS102)。
【0097】
そして、サーバ装置100の生成部103bが、端末装置10によって変換されたコンテンツパラメータに基づき、香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成する(ステップS103)。
【0098】
そして、端末装置10の発香制御部13eが、コンテンツの進行状況に応じ、発香制御情報に基づいて発香装置50を制御する(ステップS104)。
【0099】
<<5.その他の変形例>>
なお、上述してきた実施形態には、さらにいくつかの変形例を挙げることができる。
【0100】
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。たとえば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0101】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0102】
たとえば、サーバ装置100の制御部103が有する各処理部の一部を端末装置10が有し、端末装置10が、サーバ装置100の制御部103が実行する情報処理の機能や作用の一部を実現または実行してもよい。
【0103】
たとえば、サーバ装置100の生成部103bに相当する処理部を端末装置10が有し、端末装置10が、生成部103bが実行する情報処理の機能や作用の一部または全部を実現または実行してもよい。
【0104】
また、上記してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、本実施形態のシーケンス図或いはフローチャートに示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0105】
<<6.ハードウェア構成>>
上述してきた実施形態に係る端末装置10やサーバ装置100は、たとえば
図21に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。端末装置10を例に挙げて説明する。
図21は、端末装置10の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、ストレージ1400、通信インターフェイス1500および入出力インターフェイス1600を有する。コンピュータ1000の各部は、バス1050によって接続される。
【0106】
CPU1100は、ROM1300又はストレージ1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。たとえば、CPU1100は、ROM1300又はストレージ1400に格納されたプログラムをRAM1200に展開し、各種プログラムに対応した処理を実行する。
【0107】
ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるBIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0108】
ストレージ1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を非一時的に記録する、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。具体的には、ストレージ1400は、プログラムデータ1450の一例である本開示に係る情報処理プログラムを記録する記録媒体である。
【0109】
通信インターフェイス1500は、コンピュータ1000が外部ネットワーク1550と接続するためのインターフェイスである。たとえば、CPU1100は、通信インターフェイス1500を介して、他の機器からデータを受信したり、CPU1100が生成したデータを他の機器へ送信したりする。
【0110】
入出力インターフェイス1600は、入出力デバイス1650とコンピュータ1000とを接続するためのインターフェイスである。たとえば、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、キーボードやマウス等の入力デバイスからデータを受信することが可能である。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやスピーカやプリンタ等の出力デバイスにデータを送信することが可能である。また、入出力インターフェイス1600は、所定の記録媒体(メディア)に記録されたプログラム等を読み取るメディアインターフェイスとして機能してもよい。メディアとは、たとえばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0111】
たとえば、コンピュータ1000が本開示の実施形態に係る端末装置10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされた情報処理プログラムを実行することにより、制御部13の機能を実現する。また、ストレージ1400には、本開示に係る情報処理プログラムや、記憶部12内のデータが格納される。なお、CPU1100は、プログラムデータ1450をストレージ1400から読み取って実行するが、他の例として、外部ネットワーク1550を介して、他の装置からこれらのプログラムを取得してもよい。
【0112】
<<7.むすび>>
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、情報処理システム1は、既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、カートリッジから香料を放出することによって発香する発香装置50と、現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取る読取部2と、観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換する変換部13bと、コンテンツパラメータに基づき、香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成する生成部103bと、オブジェクトを含む前記コンテンツの進行状況に応じ、前記発香制御情報に基づいて前記発香装置を制御する発香制御部13eと、を備える。これにより、限られた香料を用いながらも、嗅覚を通じてコンテンツのエンターテインメント性をより高めることができる。
【0113】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0114】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0115】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、前記カートリッジから前記香料を放出することによって発香する発香装置と、
現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取る読取部と、
前記観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換する変換部と、
前記コンテンツパラメータに基づき、前記香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成する生成部と、
前記オブジェクトを含む前記コンテンツの進行状況に応じ、前記発香制御情報に基づいて前記発香装置を制御する発香制御部と、
を備える、情報処理システム。
(2)
前記発香制御部は、
前記仮想空間において少なくとも視覚的に提示されていない前記オブジェクトについて、当該オブジェクトに関連付けられた前記香料を前記発香装置に放出させる、
前記(1)に記載の情報処理システム。
(3)
前記発香制御部は、
前記仮想空間における前記オブジェクトまでの距離に応じて、前記発香装置による前記香料の放出量を調整する、
前記(1)または(2)記載の情報処理システム。
(4)
前記変換部は、
前記香りに関する要素として前記コンテンツパラメータに前記カートリッジを識別する識別子のうちのいずれかを割り当てる、
前記(1)、(2)または(3)に記載の情報処理システム。
(5)
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物に関する数値情報であるコード情報を読み取り可能に設けられる、
前記(1)~(4)のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(6)
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物の実際の香りに関する数値情報を読み取り可能に設けられる、
前記(1)~(5)のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(7)
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物を画像認識した画像認識結果を示す数値情報を読み取り可能に設けられる、
前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(8)
前記読取部は、
前記観察物に関する情報として、前記観察物に含まれる認証チップが示す数値情報を読み取り可能に設けられる、
前記(1)~(7)のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(9)
ユーザが利用する第1の端末装置、を備え、
前記第1の端末装置は、
少なくとも前記発香装置と、前記読取部と、前記発香制御部と、前記コンテンツを実行する実行部と、を備え、車両に搭載される、
前記(1)~(8)のいずれか一つに記載の情報処理システム。
(10)
前記第1の端末装置は、
当該第1の端末装置とは異なり、少なくとも前記実行部を有する第2の端末装置と連携して同一の前記コンテンツを実行可能であり、
前記第1の端末装置の前記実行部は、
前記読取部によって読み取られた前記観察物に関する情報に基づく前記オブジェクトに関連付けられた前記香料を前記発香制御部によって前記発香装置から放出させ、
前記第2の端末装置の前記実行部は、
前記第2の端末装置における前記コンテンツ内の前記仮想空間に前記オブジェクトを少なくとも視覚的に提示する、
前記(9)に記載の情報処理システム。
(11)
既製の香料が充填された1つ以上のカートリッジを有し、前記カートリッジから前記香料を放出することによって発香する発香装置を有する情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
現実空間の観察物から当該観察物に関する情報を読み取ることと、
前記観察物に関する情報をコンテンツ内の仮想空間に配置可能であり少なくとも香りに関する要素を含むコンテンツパラメータへ変換することと、
前記コンテンツパラメータに基づき、前記香りに関する要素に応じた発香制御情報が関連付けられたオブジェクトを生成することと、
前記オブジェクトを含む前記コンテンツの進行状況に応じ、前記発香制御情報に基づいて前記発香装置を制御することと、
を含む、情報処理方法。
【符号の説明】
【0116】
1 情報処理システム
2 読取部
10 端末装置
11 通信部
12 記憶部
12a レンダリング情報
12b オブジェクト情報DB
13 制御部
13a 取得部
13b 変換部
13c 送受信部
13d ゲーム実行部
13e 発香制御部
50 発香装置
100 サーバ装置
101 通信部
102 記憶部
102a オブジェクト情報DB
103 制御部
103a 収集部
103b 生成部
103c 配信部
103d ゲーム進行制御部