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特開2023-106966バリューチェーン計画装置、バリューチェーン計画システムおよびバリューチェーン計画方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106966
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】バリューチェーン計画装置、バリューチェーン計画システムおよびバリューチェーン計画方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230726BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008019
(22)【出願日】2022-01-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野本 多津
(72)【発明者】
【氏名】小倉 孝裕
(72)【発明者】
【氏名】井上 鉄平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バリューチェーンに含まれる業務について効率の良い計画を自動的に構成するバリューチェーン計画装置、システム及び方法を提供する。
【解決手段】バリューチェーン計画システム1において、バリューチェーン計画装置100は、少なくとも2つ以上の事業主体が参加する製品の材料調達から販売までのバリューチェーンを対象とする。バリューチェーン計画装置は、バリューチェーンに含まれる業務を、実行モジュールを募集するエージェント募集部121と、実行モジュールを含む応募を受け付けると、実行モジュールをエージェントとして登録するエージェント登録部123と、バリューチェーンに含まれる2つ以上の業務について実行モジュールを実行して業務を実行するシミュレーションを行いKPIを測定する計画立案部124と、実行された実行モジュールに対して、実行結果に応じた報酬を支払う報酬支払処理部127と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の事業主体が参加する製品の材料調達から販売までのバリューチェーンを対象としたバリューチェーン計画装置であって、
前記バリューチェーンに含まれる業務を実現するエージェントである実行モジュールを募集するエージェント募集部と、
前記実行モジュールを含む応募を受け付けると該実行モジュールをエージェントとして登録するエージェント登録部と、
前記バリューチェーンに含まれる2つ以上の業務についてエージェントとして登録された前記実行モジュールを実行して前記業務を実行するシミュレーションを行いシミュレーションの結果についてKPIを測定する計画立案部と、
前記シミュレーションにおいて実行された前記実行モジュールに対して、実行結果に応じた報酬を支払う報酬支払処理部と、
を備えることを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバリューチェーン計画装置であって、
前記計画立案部は、前記シミュレーションごとに、該シミュレーションにおいて採用されたエージェントを表示する、
ことを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項3】
請求項1に記載のバリューチェーン計画装置であって、
前記計画立案部は、前記シミュレーションごとに、該シミュレーションにおける結果を表示し、加盟事業主体がいずれかの前記結果を選択可能である、
ことを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項4】
請求項1に記載のバリューチェーン計画装置であって、
前記報酬支払処理部は、前記実行モジュールの実行回数が増えると前記報酬を増加させる、
ことを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項5】
請求項1に記載のバリューチェーン計画装置であって、
前記報酬支払処理部は、前記実行モジュールが実行された業務が含まれる前記バリューチェーンの加盟事業主体の環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に関する評価に応じて前記報酬を支払う、
ことを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項6】
請求項1に記載のバリューチェーン計画装置であって、
前記報酬支払処理部は、前記実行モジュールが実行された業務が含まれる前記バリューチェーンの加盟事業主体の所定のKPIに応じて前記報酬を支払う、
ことを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項7】
請求項1に記載のバリューチェーン計画装置であって、
前記エージェント登録部は、応募された前記実行モジュールのうちセキュア環境で検査し、振る舞いが正しく安全である場合にエージェントとして登録する、
ことを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項8】
請求項1に記載のバリューチェーン計画装置であって、
前記エージェント登録部は、前記実行モジュールとして、少なくとも各種実行可能な形式のプログラムファイルであれば応募を受け付ける、
ことを特徴とするバリューチェーン計画装置。
【請求項9】
少なくとも2つ以上の事業主体が参加する製品の材料調達から販売までのバリューチェーンを対象としたバリューチェーン計画システムであって、
前記バリューチェーンに含まれる業務を実現するエージェントである実行モジュールを募集するエージェント募集部と、
前記実行モジュールを含んで応募するエージェント提供部と、
前記実行モジュールを含む応募を受け付けると該実行モジュールをエージェントとして登録するエージェント登録部と、
前記バリューチェーンに含まれる2つ以上の業務についてエージェントとして登録された前記実行モジュールを実行して前記業務を実行するシミュレーションを行いシミュレーションの結果についてKPIを測定する計画立案部と、
前記シミュレーションにおいて実行された前記実行モジュールに対して、実行結果に応じた報酬を支払う報酬支払処理部と、
前記報酬の受け取りを行う報酬受取部と、
を備えることを特徴とするバリューチェーン計画システム。
【請求項10】
少なくとも2つ以上の事業主体が参加する製品の材料調達から販売までのバリューチェーンを対象としたバリューチェーン計画方法であって、
前記バリューチェーンに含まれる業務を実現するエージェントである実行モジュールを募集するエージェント募集ステップと、
前記実行モジュールを含む情報を含んで応募するエージェント提供ステップと、
前記実行モジュールを含む応募を受け付けると該実行モジュールをエージェントとして登録するエージェント登録ステップと、
前記バリューチェーンに含まれる2つ以上の業務についてエージェントとして登録された前記実行モジュールを実行して前記業務を実行するシミュレーションを行いシミュレーションの結果についてKPIを測定する計画立案ステップと、
前記シミュレーションにおいて実行された前記実行モジュールに対して、実行結果に応じた報酬を支払う報酬支払処理ステップと、
前記報酬の受け取りを行う報酬受取ステップと、
を実施することを特徴とするバリューチェーン計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリューチェーン計画装置、バリューチェーン計画システムおよびバリューチェーン計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「クラウドサービスブローカー業務における多層課金のシステムであって、ソフトウェアサービスを提供するように構成され、クラウドサービスブローカーに動作可能に接続される、少なくとも1つのサービスベンダーであって、前記クラウドサービスブローカーが、前記少なくとも1つのサービスベンダーのソフトウェアサービスを統合するように構成され、統合されたソフトウェアサービスをプロビジョニングするように構成されるコミュニケーションプロビジョニングチャンネルを確立するように更に構成される、コネクタと、前記統合されたソフトウェアサービスのサービストランザクションを、前記コネクタを介してモニタリングするように構成されている少なくとも1つのトランザクションメディエータと、を備える、少なくとも1つのサービスベンダーと、前記クラウドサービスブローカーに動作可能に接続され、前記統合されたソフトウェアサービスに加入する、少なくとも1つの川下加入者と、を含み、前記クラウドサービスブローカーは、前記少なくとも1つのサービスベンダーのそれぞれについて、サービスベンダーの価格設定ルール及びサービスベンダーの課金ルールを受信するように構成され、前記クラウドサービスブローカーは、前記少なくとも1つの川下加入者のそれぞれについての、川下加入者の価格設定ルール及び川下加入者の課金ルールを受信するように更に構成され、前記クラウドサービスブローカーは、前記少なくとも1つの川下加入者のそれぞれによる、前記統合されたソフトウェアサービスの利用状況に少なくとも部分的に基づいて、前記サービスベンダーの価格設定ルール及び前記サービスベンダーの課金ルールを適用するように更に構成され、前記クラウドサービスブローカーは、決算を計算及び調整を行うように更に構成され、前記決算及び調整は前記サービスベンダーの価格設定ルール、前記サービスベンダーの課金ルール、前記加入者の価格設定ルール、及び前記加入者の課金ルールに少なくとも部分的に基づいており、前記クラウドサービスブローカーは損益を計算するように更に構成され、前記損益は前記少なくとも1つのサービスベンダーに支払われた費用と、前記少なくとも1つの川下加入者から受信された費用との差によって決定される、システム。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-503617号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の技術では、クラウドサービスを仲介し、そのサービスフィーを多層化された企業に分配する。また、複数のサービスを組み合わせて一連のバリューチェーンの業務を計画することについての開示は無い。
【0005】
本発明の目的は、設計されたバリューチェーンにおいて、バリューチェーンに含まれる業務について効率の良い計画を自動的に構成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の手段を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、少なくとも2つ以上の事業主体が参加する製品の材料調達から販売までのバリューチェーンを対象としたバリューチェーン計画装置であって、前記バリューチェーンに含まれる業務を実現するエージェントである実行モジュールを募集するエージェント募集部と、前記実行モジュールを含む応募を受け付けると該実行モジュールをエージェントとして登録するエージェント登録部と、前記バリューチェーンに含まれる2つ以上の業務についてエージェントとして登録された前記実行モジュールを実行して前記業務を実行するシミュレーションを行いシミュレーションの結果についてKPIを測定する計画立案部と、前記シミュレーションにおいて実行された前記実行モジュールに対して、実行結果に応じた報酬を支払う報酬支払処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設計されたバリューチェーンにおいて、バリューチェーンに含まれる業務について効率の良い計画を自動的に構成することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】バリューチェーン計画システムの構成例を示す図である。
図2】VC設計情報のデータ構造の例を示す図である。
図3】エージェント情報のデータ構造の例を示す図である。
図4】マスタ情報のデータ構造の例を示す図である。
図5】トランザクション情報のデータ構造の例を示す図である。
図6】計画情報のデータ構造の例を示す図である。
図7】採用エージェント情報のデータ構造の例を示す図である。
図8】エージェント評価情報のデータ構造の例を示す図である。
図9】バリューチェーン計画装置のハードウェア構成例を示す図である。
図10】エージェント募集処理のフローの例を示す図である。
図11】エージェント募集の画面例を示す図である。
図12】エージェント登録の画面例を示す図である。
図13】計画シミュレーション処理のフローの例を示す図である。
図14】計画シミュレーション指示の画面例を示す図である。
図15】業務実行処理のフローの例を示す図である。
図16】エージェント評価処理のフローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0011】
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0012】
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0013】
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
また、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。ただし、同一の部材であっても環境変更等により変更前の部材と称呼を共有すると混乱を生ぜしめるおそれが高い場合、別の異なる符号や名称を付すことがある。以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
近年では、企業に限られず事業主体は、レジリエンスと経営効率の両立とを実現することが求められる傾向にある。これに関して、一つの解となりうるのが顧客起点の開かれたバリューチェーンである。また、社会的にはESG(環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance))に関する要請も強くなってきているため、バリューチェーンにおいてこれを実現することも求められつつある。なお、バリューチェーンをコンピュータシステムの側面からとらえると、製品の材料調達から販売までの少なくとも2つ以上の事業主体が参加するバリューチェーンを構築する基盤となるシステム・装置を提供することで、そこに参加してバリューを提供する事業主体(参加事業主体とも称呼する)と、バリューチェーンを利用する事業主体(加盟事業主体とも称呼する)とを動的に結びつけることが想定される。
【0016】
本発明に係るバリューチェーン計画システム1では、バリューチェーンにおける生産・在庫計画を立案する基盤となるシステム・装置・方法を提供することで、そこに参加して業務を遂行する実行モジュールを提供する登録者(エージェント提供事業主体とも称呼する)と、バリューチェーンを利用する事業主体(加盟事業主体とも称呼する)とを動的に結びつけることを実現する。つまり、設計されたバリューチェーンにおいて、バリューチェーンに含まれる業務について効率の良い計画を自動的に構成する基盤を提供する。また、ESGに関する要求も満たしうる基盤を提供する。
【0017】
なお、以下の実施形態においては、「入力部」、「出力部」および「通信部」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/Oインターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「外部記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0020】
また、以下の説明では、「記憶部」または「外部記憶装置」は、メモリと永続記憶装置のうちメモリかまたは両方であればよい。
【0021】
また、以下の説明では、「処理部」または「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0022】
また、以下の説明では、「バリューチェーン計画システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。バリューチェーン計画システムが表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0023】
図1は、バリューチェーン計画システムの構成例を示す図である。バリューチェーン計画システム1は、バリューチェーン計画装置100と、エージェント提供端末200と、加盟事業主体端末300と、これらを互いに通信可能に接続するネットワーク10と、を含む。バリューチェーン計画システム1には、ネットワーク10を介して通信可能に接続された表示用計算機等の利用環境に応じた装置群が含まれる。
【0024】
ネットワーク10は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等の一般公衆回線を一部または全部に用いた通信網、携帯電話通信網等、のいずれかまたはこれらの複合したネットワークである。なお、ネットワーク10は、Wi-Fi(登録商標)や5G(Generation)等の無線による通信網であってもよい。
【0025】
バリューチェーン計画装置100は、記憶部110と、処理部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150と、を備える処理装置である。記憶部110には、VC(Value Chain:バリューチェーン)設計情報111と、エージェント情報112と、マスタ情報113と、トランザクション情報114と、計画情報115と、採用エージェント情報116と、エージェント評価情報117と、が含まれる。
【0026】
処理部120には、エージェント募集部121と、エージェント検査部122と、エージェント登録部123と、計画立案部124と、計画採用部125と、エージェント管理部126と、報酬支払処理部127と、が含まれる。
【0027】
図2は、VC設計情報のデータ構造の例を示す図である。VC設計情報111には、トランザクションに含まれる需要を充足する参加事業主体の組み合わせが少なくとも含まれる。具体的には、VC設計情報111には、バリューチェーンに参加する参加事業主体あるいはバリューチェーンを用いて調達を行う加盟事業主体を含む事業主体111aと、関連する品目111bと、下流の事業主体への納品日となる期限111cと、期限111cの時点での納品先となる納品先111dと、納品量である納品数量111eと、が含まれる。
【0028】
図3は、エージェント情報のデータ構造の例を示す図である。エージェント情報112には、バリューチェーンに含まれる業務を実現するエージェントである実行モジュールが登録される。具体的には、エージェント情報112には、エージェントを識別するエージェント識別子112aと、エージェントが実行する業務112bと、エージェントの登録をバリューチェーン計画システムに対して行った者である登録者112cと、エージェントのキャプション情報である説明112dと、エージェントの実態となる実行可能な形式のコンピュータ用プログラムである実行モジュール112eと、登録状態を示すステータス112fと、が含まれる。
【0029】
図4は、マスタ情報のデータ構造の例を示す図である。マスタ情報113には、バリューチェーンに参加あるいは加盟する事業主体ごとに、少なくとも、提供可能なバリューと、該バリューのコストと、該バリューの提供リードタイムと、が対応付けられて格納される。
【0030】
マスタ情報113には、事業主体識別子113aごとに、事業主体タイプ113bと、取扱品目113cと、価格113dと、標準処理時間113eと、が対応付けて格納される。
【0031】
事業主体識別子113aには、構築される様々なバリューチェーンへの参加/加盟を希望する企業等(事業主体)を特定する情報が格納される。事業主体タイプ113bには、事業主体識別子113aにより特定される事業主体が提供するバリューの類型が格納される。事業主体の類型には、例えば、販社、倉庫、製造業(工場)、輸送業、サプライヤ等がある。
【0032】
取扱品目113cには、事業主体識別子113aにより特定される事業主体が提供するバリューの具体的な品目が格納される。価格113dには、事業主体識別子113aにより特定される事業主体が提供するバリューの具体的な品目の価格が格納される。標準処理時間113eには、事業主体識別子113aにより特定される事業主体が提供するバリューの具体的な標準リードタイム(発注から納品までの標準的な期間)が格納される。なお、標準処理時間113eに格納される情報は、バリューチェーンの構築には必要な情報であるが、事業主体自身以外には秘匿すべき情報でもあるため、所定の暗号化がなされて格納される。この他にも、マスタ情報113には、複数の業務情報に応じた情報が含まれ得る。
【0033】
図5は、トランザクション情報のデータ構造の例を示す図である。トランザクション情報114には、バリューチェーンを計画する対象となる取引データが含まれる。具体的には、トランザクション情報114には、加盟事業主体114aと、加盟事業主体が調達するバリューを特定する品目114bと、納期を示す日付114cと、所要量である販売計画数量114dと、を含む需要情報が格納される。
【0034】
また、トランザクション情報114には、参加事業主体114eと、参加事業主体が提供するバリューを特定する品目114fと、納期を示す日付114gと、提供可能量114hと、提供先を示す取引先114jとを含む供給情報が格納される。なお、取引先114jについては、取引先および参加事業主体自身以外に対しては秘匿すべき情報でもあるため、所定の暗号化がなされて格納される。
【0035】
図6は、計画情報のデータ構造の例を示す図である。計画情報115には、エージェントが業務を実行した結果得られる情報としてのバリューチェーンの計画情報が格納される。具体的には、計画情報115には、バリューチェーンに参加する参加事業主体あるいはバリューチェーンを用いて調達を行う加盟事業主体を含む事業主体115aと、関連する品目115bと、日付115cと、日付115cの時点での事業主体の入出庫の状態を構成する保管量115dと、出庫量115eと、入庫量115fと、が含まれる。
【0036】
図7は、採用エージェント情報のデータ構造の例を示す図である。採用エージェント情報116には、シミュレーションを含めて実行されたバリューチェーンを特定するVC設計識別子116aと、設計されたバリューチェーンにおいて実行された業務116bと、該実行において採用されたエージェントを特定する採用エージェント識別子116cと、該実行がなされた日時を特定する実行日時116dと、が対応付けて格納される。
【0037】
図8は、エージェント評価情報のデータ構造の例を示す図である。エージェント評価情報117には、エージェントを特定するエージェント識別子117aと、設計されたバリューチェーンにおいて実行された業務117bと、エージェントの登録をバリューチェーン計画システムに対して行った者である登録者117cと、評価の集計対象期間においてエージェントが実行されたのべ回数である採用回数117dと、評価の集計対象期間の加盟事業者からの評価や各種指標による評価である評価117eと、評価の集計対象期間の総報酬額である報酬117fと、が対応付けて格納される。
【0038】
評価117eには、各種の評価点が含まれるが、例を挙げると、(A)業務に採用された加盟事業主のESG評価(さらに例えば、DJSI:Dow Jones Sustainability Index)、(B)業務に採用された加盟事業主の財務評価(さらに例えば、ROE:Return On Equity)、(C)業務に採用された加盟事業主の顧客満足度(Customer Satisfaction)、(D)業務に採用された加盟事業主の格付け(さらに例えば、S&Pの発行体格付け)、(E)業務に採用された加盟事業主からのフィードバック評価、(F)業務に採用された加盟事業主の所定のKPI(Key Performance Indicator)改善度等が挙げられる。しかし、これに限られず、他の評価点を含むものであってもよい。とくに、ESG評価に関しては、投資に関連する指標としてのESG評価のみならず、SDGs(Sustainable Development Goals)の評価、あるいは環境、社会、ガバナンスのそれぞれの評価であってもよい。
【0039】
あるいは、評価117eに含まれる評価点は、上記の(A)~(F)の評価点のいずれかまたはこれらの組み合わせを用いて所定の評価式により算出した値であってもよい。このような評価式は、エージェントが実行する業務に応じた評価式であることが望ましく、評価点の算出アルゴリズムは例えば、(A)~(F)の評価点のそれぞれを100点満点で評価し、それぞれに業務に応じた重みづけ係数をかけて評価点とするものであってもよい。業務が異なれば、優先すべき評価点も異なる可能性があるためである。
【0040】
例えば、環境、社会、企業統治に関する評価の高い事業主体により構成されるバリューチェーンのエージェントであれば、(A)のESG評価に重きを置くようにすることができる。
【0041】
図1の説明に戻る。エージェント募集部121は、バリューチェーンに含まれる業務を実現するエージェントである実行モジュールを募集する。
【0042】
エージェント検査部122は、エージェント登録部123の実行時において、応募された実行モジュールをセキュア環境で検査し、振る舞いが正しく安全であることを判定する。
【0043】
エージェント登録部123は、実行モジュールを含む応募を受け付けると該実行モジュールをエージェントとして登録する。また、エージェント登録部123は、応募された実行モジュールをエージェント検査部122に検査させ、振る舞いが正しく安全である場合にエージェントとして登録する。また、エージェント登録部123は、実行モジュールとして、少なくとも各種実行可能な形式のプログラムファイルであれば応募を受け付ける。
【0044】
計画立案部124は、バリューチェーンに含まれる2つ以上の業務についてエージェントとして登録された実行モジュールを実行して業務を実行するシミュレーションを行いシミュレーションの結果についてKPIを測定する。また、計画立案部124は、シミュレーションごとに、該シミュレーションにおいて採用されたエージェントを表示する。また、計画立案部124は、シミュレーションごとに、該シミュレーションにおける結果を表示し、加盟事業主体がいずれかの結果を選択可能となるように表示する。
【0045】
また、計画立案部124は、バリューチェーンの業務に応じたエージェントのうち、評価の高いエージェントを優先して割り当てるようにしてもよい。あるいは、計画立案部124は、所定の格付けに関する評価の高いエージェントを優先してもよいし、加盟事業主体からの評価の高いエージェントを優先してもよい。
【0046】
計画採用部125は、計画立案部124により表示されたシミュレーションの結果の選択を受け付けると、該シミュレーションにおけるエージェントの割当を当該VCに対応づける。
【0047】
エージェント管理部126は、シミュレーションにおいて実行された実行モジュールに対して、実行結果をロギングし、所定の評価期間における実行結果に応じた報酬を算出する。
【0048】
報酬支払処理部127は、シミュレーションにおいて実行された実行モジュールに対して、実行結果に応じた報酬をエージェントの登録者に支払う。また、報酬支払処理部127は、実行モジュールの実行回数が増えると報酬を増加させる。また、報酬支払処理部127は、実行モジュールが実行された業務が含まれるバリューチェーンの加盟事業主体の環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に関する評価に応じて報酬を支払う。また、報酬支払処理部127は、実行モジュールが実行された業務が含まれるバリューチェーンの加盟事業主体の所定のKPIに応じて報酬を支払う。
【0049】
入力部130は、例えば画面上で表示・操作され、キーボードあるいはマウスにて操作され入力された入力情報を受け取る。
【0050】
出力部140は、例えば、所定の処理を行った結果出力する情報が含まれる画面情報を作成し、表示用計算機に出力する。
【0051】
通信部150は、ネットワーク10を介して他の装置と通信を行う。例えば、通信部150は、エージェントの提供主体(登録者)が主として用いるエージェント提供端末200と、あるいは加盟事業主体が主として用いる加盟事業主体端末300と通信可能に接続する。
【0052】
エージェント提供端末200と、加盟事業主体端末300とは、基本的に同様の端末であり、加盟事業主体端末300は、加盟事業主体のみならず、エージェントの提供主体(登録者)が加盟事業主体としてふるまう場合にはエージェント提供端末200としてふるまうことができる。
【0053】
エージェント提供端末200は、処理部220と、処理部220の一部であるエージェント作成部221と、エージェント提供部222と、報酬受取部223と、を備え、さらに、入力部230と、出力部240と、通信部250と、を備える。
【0054】
エージェント作成部221は、エージェントとして業務を実行する実行モジュールであるプログラムファイルを作成するための機能を実現する。例えば、ソフトウェアの統合開発環境等である。
【0055】
エージェント提供部222は、エージェント作成部221等において作成した実行モジュールを含む情報をバリューチェーン計画装置100に送信することで、バリューチェーンに含まれる業務を実現するエージェントとして応募する。
【0056】
報酬受取部223は、エージェントの実行により支払われる報酬を所定のタイミングあるいは定期的にまたは間欠的にバリューチェーン計画装置100から受け取る。
【0057】
入力部230は、例えば、画面上で表示・操作され、キーボードあるいはマウスにて操作され入力された入力情報を受け取る。
【0058】
出力部240は、例えば、所定の処理を行った結果出力する情報が含まれる画面情報を作成し、表示用計算機に出力する。
【0059】
通信部250は、ネットワーク10を介して他の装置と通信を行う。例えば、通信部250は、バリューチェーン計画装置100と、あるいは加盟事業主体が主として用いる加盟事業主体端末300と通信可能に接続する。
【0060】
加盟事業主体端末300は、処理部320と、処理部320の一部である計画依頼部321と、入力部330と、出力部340と、通信部350と、を備える。
【0061】
計画依頼部321は、インターネットブラウザ等により構成され、バリューチェーン計画装置100にバリューチェーンの計画の依頼や入力情報を送信し、またバリューチェーン計画装置100からの画面表示等の出力情報を受信する。
【0062】
入力部330は、例えば画面上で表示・操作され、キーボードあるいはマウスにて操作され入力された入力情報を受け取る。
【0063】
出力部340は、例えば、所定の処理を行った結果出力する情報が含まれる画面情報を作成し、表示用計算機に出力する。
【0064】
通信部350は、ネットワーク10を介して他の装置と通信を行う。例えば、通信部350は、バリューチェーン計画装置100と、あるいはエージェントの提供主体(登録者)が主として用いるエージェント提供端末200と通信可能に接続する。
【0065】
図9は、バリューチェーン計画装置のハードウェア構成例を示す図である。バリューチェーン計画装置100は、プロセッサ(例えば、CPU、あるいはGPU)901と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ902と、ハードディスク装置(HDD)やSSDなどの外部記憶装置903と、CDやDVDなどの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読む読取装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダ、タッチパネルなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、LANやインターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900、あるいはこのコンピュータ900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。なお、読取装置905は、可搬性を有する記憶媒体904の読取だけでなく、書き込みも可能なものであっても良いことは言うまでもない。
【0066】
例えば、処理部120に含まれるエージェント募集部121と、エージェント検査部122と、エージェント登録部123と、計画立案部124と、計画採用部125と、エージェント管理部126と、報酬支払処理部127とは、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてプロセッサ901で実行することで実現可能であり、入力部130は、プロセッサ901が入力装置906を利用することで実現可能であり、出力部140は、プロセッサ901が出力装置907あるいは通信装置908を利用することで実現可能であり、通信部150は、プロセッサ901が通信装置908を利用することで実現可能であり、記憶部110は、プロセッサ901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
【0067】
この所定のプログラムは、読取装置905を介して可搬性を有する記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてプロセッサ901により実行されるようにしてもよい。また、読取装置905を介して可搬性を有する記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、プロセッサ901により実行されるようにしてもよい。なお、これに限られず、バリューチェーン計画装置100は、例えばヘッドセットやゴーグル、眼鏡、インカム等の、作業者が身に着けられるウェアラブルコンピュータであってもよい。
【0068】
なお、エージェント提供端末200と、加盟事業主体端末300と、についても、基本的にバリューチェーン計画装置100と同様の情報処理装置である。
【0069】
図10は、エージェント募集処理のフローの例を示す図である。エージェント募集処理は、バリューチェーン計画装置100が、インターフェース装置を介してユーザにより開始指示を受け付けると開始される。
【0070】
まず、エージェント募集部121は、募集エージェント一覧をWebページ等により公開する(ステップS001)。具体的には、エージェント募集部121は、図11に示す表示情報を有するWebページを生成し、募集するエージェントの業務と、登録件数と、報酬目安等をHTTPS(Hyper Text Transfer Protocol Secure)等により開示する。
【0071】
図11は、エージェント募集の画面例を示す図である。エージェント募集の画面例であるVC計画サービス画面500には、募集を行うエージェントごとに、募集数である登録件数と、報酬目安と、エージェントが実行する業務の説明とを含む募集リスト510と、いずれかのエージェントの登録手続きのための画面へ遷移するための入力を受け付ける登録ボタン520と、が含まれる。エージェントを提供する登録者は、エージェント提供端末200のエージェント提供部222を用いてVC計画サービス画面500を閲覧し、作成するエージェントを把握する。そして、登録者は、エージェント提供部222を用いて、VC計画サービス画面500の登録ボタン520に入力を行うことで、図12に示す生産計画エージェント登録画面600に画面を遷移させ、エージェント作成部221を介して作成したエージェントの実行モジュールをエージェント提供部222を用いて応募する。
【0072】
図12は、エージェント登録の画面例を示す図である。エージェント登録の画面例である生産計画エージェント登録画面600には、エージェントの振る舞いに関する説明入力欄610と、実行モジュール入力欄620と、アップロードボタン630と、が含まれる。説明入力欄610は、エージェントの実行モジュールの機能や動作の特徴を自然言語で説明する文章の入力をフリーテキストで受け付ける。実行モジュール入力欄620は、実行モジュールのファイルパスおよびファイル名の入力を受け付ける。アップロードボタン630は、入力を受け付けると、説明入力欄610と、実行モジュール入力欄620と、に入力された情報を受け付けて、実行モジュール入力欄620に入力されたファイル名のファイルを含めて応募する。
【0073】
そして、エージェント募集部121は、実行モジュールを含むエージェント登録要求(応募)を受け付ける(ステップS002)。具体的には、エージェント募集部121は、エージェント提供部222から生産計画エージェント登録画面600を介してエージェントの実行モジュールの応募を受け付ける。そして、エージェント募集部121は、応募を受け付けた実行モジュールと、エージェントの説明のフリーテキストおよび登録者を業務に対応付けてエージェント情報112に格納する。
【0074】
そして、エージェント登録部123は、エージェント情報に「新規」のステータスを付与する(ステップS003)。具体的には、エージェント登録部123は、ステップS002において格納したエージェントに関して、エージェント情報112のステータス112fに「新規」を設定する。
【0075】
そして、エージェント検査部122は、「新規」の実行モジュールを抽出し、試験データを用いて実行することで検査を行う(ステップS004)。具体的には、エージェント検査部122は、エージェント情報112を参照して、ステータス112fが「新規」の実行モジュールを抽出して、エミュレーターや仮想マシン等の所定のセキュアな試験環境(試験環境における実行モジュールの実行が、他の環境に影響を与えない環境)においてダミーデータを用いて実行する。そして、エージェント検査部122は、実行時の挙動等に所定のセキュリティ基準違反がないか、あるいは実行結果の正しさや確からしさを所定の検査基準に従って検査する。これらの検査基準については、利用環境やポリシーに応じて設定され、エージェント検査部122は、検査基準に従って検査を行うものとする。
【0076】
そして、エージェント検査部122は、検査の結果、対象の実行モジュールの振る舞いが正しく安全であれば合格と判定し、振る舞いが正しくないかセキュリティに明確に問題があれば不適切として検査結果を判定する。エラー発生等により実行が中断した場合等、合格あるいは不適切を判定できない場合には、エージェント検査部122は、当該実行モジュールを審査担当者に受け渡し、審査担当者の判断を受け付けて検査結果とする。
【0077】
そして、エージェント登録部123は、実行モジュールの検査の結果に応じて「OK」「NG」「審査中」にステータスを更新する(ステップS005)。具体的には、エージェント登録部123は、エージェント検査部122による検査結果の判定が「合格」であればステータス112fに「OK」を設定し、検査結果の判定が「不適切」であればステータス112fに「NG」を設定し、検査結果の判定が審査中であればステータス112fに「審査中」を設定する。
【0078】
以上が、エージェント募集処理の流れである。エージェント募集処理によれば、エージェントとなる実行モジュールの募集、応募の受付、検査による審査を行うことができる。また、その審査においては、エージェントの実行モジュールはコンピュータ上で動作する実行形式であれば足り、別段のソースコードの開示を必要としない。当然に、実行時にソースコードを必要とするプログラミング言語(VBScript、JavaScript、Phython等)により実行コードが作成されている場合にはこの限りではない。これにより、実行モジュールのソースコードの秘匿が必要な登録者にとっては、コンパイル言語を用いて実行モジュールを作成することで、秘匿したままエージェントに応募することができる。
【0079】
このようなエージェント募集処理および画面遷移により、エージェントの応募を希望する事業主体は簡便に応募可能となるだけでなく、バリューチェーンによりもたらされるバリューの多様性の確保とレジリエンスを担保できるといえる。
【0080】
図13は、計画シミュレーション処理のフローの例を示す図である。計画シミュレーション処理は、加盟事業主体が加盟事業主体端末300を用いてバリューチェーン計画装置100にアクセスすることで開始される。
【0081】
まず、計画立案部124は、計画対象となるVC設計の選択を受け付ける(ステップS101)。具体的には、計画立案部124は、VC設計情報111を参照して、加盟事業主体端末300に加盟事業主体が含まれるVC設計のリストを選択可能に表示し、加盟事業主体端末300から選択を受け付ける。
【0082】
そして、計画立案部124は、VC案の業務ごとに登録済みのエージェント(あるいはそのうち加盟事業者指名のエージェント)を抽出する(ステップS102)。そして、計画立案部124は、VC案に応じた期間、関連する事業主体に係るトランザクション情報114とマスタ情報113を抽出する(ステップS103)。
【0083】
そして、計画立案部124は、計画シミュレーション実行指示を受け付ける(ステップS104)。具体的には、計画立案部124は、加盟事業主体端末300から計画シミュレーションの実行指示を受け付ける。
【0084】
図14は、計画シミュレーション指示の画面例を示す図である。計画シミュレーション指示の画面例である計画シミュレーション指示画面700には、計画シミュレーション対象となるVC設計の構成事業主体とその内部の業務の概要が模式図により示されており、計画シミュレーションの開始指示を受け付ける開始ボタン710が含まれる。模式図上では、各業務を示すアイコンへの入力を受け付けると、当該業務を実行する候補となるエージェントがリストされる。
【0085】
そして、計画立案部124は、抽出したエージェント、トランザクション、マスタを用いて計画シミュレーションを実行する(ステップS105)。具体的には、計画立案部124は、VC設計情報111に応じて、構成する事業主体の販売計画、納品数量、納品日時を前提として各業務のエージェントの組み合わせを変えてVC全体の計画シミュレーションを複数回実行する。計画立案部124は、それぞれの計画シミュレーションの実行ごとに計画情報115に実行結果を格納する。
【0086】
そして、計画立案部124は、計画シミュレーションごとに所定のKPIを算出し、採用したエージェントとともに出力する(ステップS106)。具体的には、計画立案部124は、ステップS105において実行した計画シミュレーションの結果を、所定のKPI評価方法で評価する。このKPIの算出に関しては、既存のアルゴリズムを用いることができる。そして、計画立案部124は、加盟事業主体端末300に計画シミュレーション結果とともにKPIおよび業務ごとに採用したエージェントを選択可能に表示する。
【0087】
そして、エージェント管理部126は、計画シミュレーションごとに業務と採用エージェントの関係を採用エージェント情報として記録する(ステップS107)。具体的には、エージェント管理部126は、計画シミュレーション対象のVC設計に含まれる業務ごとに、VC設計識別子と、業務と、業務にて採用したエージェント識別子と、実行日時を対応付けて、採用エージェント情報116のVC設計識別子116aと、業務116bと、採用エージェント識別子116cと、実行日時116dと、に格納する。
【0088】
以上が、計画シミュレーション処理の流れである。計画シミュレーション処理によれば、設計されたバリューチェーンにおいて、バリューチェーンに含まれる業務について効率の良い計画を自動的に構成する業務を実行するエージェントを選定する判断材料となる情報を選択可能な状態で具体的に得ることができる。
【0089】
図15は、業務実行処理のフローの例を示す図である。業務実行処理は、加盟事業主体が加盟事業主体端末300の計画依頼部321によりバリューチェーン計画装置100にアクセスし、計画シミュレーション処理の結果画面から実行対象の計画シミュレーションを選択入力することで開始される。
【0090】
まず、計画採用部125は、加盟事業主体のVC設計のうち、指定されたVC設計それぞれについて、後述するステップS202~ステップS206の処理を繰り返す(ステップS201、S207)。
【0091】
計画採用部125は、実行日時が到来した業務あるいは加盟事業主体から指定された業務を実行する業務として抽出する(ステップS202)。
【0092】
そして、計画採用部125は、抽出した業務のそれぞれについて、VCを構成する業務の正順または逆順に、後述するステップS204およびステップS205の処理を繰り返す(ステップS203、S206)。
【0093】
計画採用部125は、採用されたエージェントを実行する(ステップS204)。具体的には、計画採用部125は、対象の業務を実行するエージェントとして採用された実行モジュールを開始する。例えば、実行モジュールがコンパイル済みのバイナリファイルであれば処理を開始させ、スクリプト等のテキストファイルの場合にはランタイム環境を構築して処理を開始させる。
【0094】
そして、エージェント管理部126は、実行した業務と採用エージェントの関係を採用エージェント情報として記録する(ステップS205)。具体的には、エージェント管理部126は、実行対象のVC設計に含まれる業務ごとに、VC設計識別子と、業務と、業務にて採用したエージェント識別子と、実行日時を対応付けて、採用エージェント情報116のVC設計識別子116aと、業務116bと、採用エージェント識別子116cと、実行日時116dと、に格納する。
【0095】
以上が、業務実行処理の流れである。業務実行処理によれば、選択したエージェントを用いて所定のタイミングで業務を自動実行することができる。例えば、VC設計に則り週次で納品する品目、納品量に応じて生産計画を立てる業務をエージェントに自動実行させることができる。
【0096】
図16は、エージェント評価処理のフローの例を示す図である。エージェント評価処理は、例えば毎月所定の日時(例えば、毎月末日等)に、あるいは所定の期間(例えば、7日間)を開けて間欠的に開始される。
【0097】
まず、エージェント管理部126は、登録済みの全エージェントのそれぞれを対象に、後述するステップS302~ステップS306の処理を繰り返す(ステップS301、ステップS307)。
【0098】
エージェント管理部126は、採用エージェント情報116から評価対象期間内の実行回数を集計し報酬を算出する(ステップS302)。具体的には、エージェント管理部126は、採用エージェント情報116を参照して、実行日時116dが評価対象期間内に含まれる実行について、対象エージェントの実行回数を計数し、実行回数を採用回数として報酬を算出する。そして、エージェント管理部126は、エージェント評価情報117の採用回数117dに当該エージェントの採用回数を格納する。
【0099】
そして、エージェント管理部126は、評価対象期間内の加盟事業主体のESG評価、財務評価、従業員満足度、格付け、KPIの増減を特定する(ステップS303)。具体的には、エージェント管理部126は、採用エージェント情報116を参照して、実行日時116dが評価対象期間内に含まれる対象エージェントの実行について、VC設計識別子116aを特定する。そして、特定したVC設計識別子に係るVCの加盟事業主体をVC設計情報111から特定し、加盟事業主体のESG評価、財務評価、従業員満足度、格付け、KPIの増減等の情報を、経済情報を扱う外部機関が提供する評価情報を参照して取得する。
【0100】
そして、エージェント管理部126は、評価式を用いて評価点を算出する(ステップS304)。具体的には、エージェント管理部126は、所定の評価式にステップS303において特定した評価情報を代入して、対象の加盟事業主体の評価点を算出する。そして、エージェント管理部126は、評価対象期間内に実行したVC設計に係る加盟事業主体の評価点を合計する。そして、エージェント管理部126は、エージェント評価情報117の評価117eに当該エージェントの評価点を格納する。
【0101】
そして、エージェント管理部126は、評価点に応じてエージェントに報酬を加算する(ステップS305)。具体的には、報酬支払処理部127は、ステップS304にて算出した評価点に対応する報酬を、ステップS302において算出した報酬に加え、エージェント評価情報117の報酬117fに当該エージェントの報酬合計を格納する。
【0102】
そして、報酬支払処理部127は、エージェント登録者に報酬を支払う(ステップS306)。具体的には、報酬支払処理部127は、銀行口座あるいは所定の決済機関を介して、登録者の報酬受取部223宛てに報酬を支払う処理、例えば振込処理を行う。
【0103】
以上が、エージェント評価処理のフローの例である。エージェント評価処理のフローによれば、エージェントごとに実行回数に基づく報酬と、実行した業務に係るVCの加盟事業主体の評価に基づく報酬とを用いて報酬を決定してエージェントの登録者に支払うことができる。
【0104】
以上が、実施形態に係るバリューチェーン計画システム1の構成である。バリューチェーン計画システム1によれば、設計されたバリューチェーンにおいて、バリューチェーンに含まれる業務について効率の良い計画を自動的に構成することができる。
【0105】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能である。また、実施形態の構成の一部について、削除をすることも可能である。
【0106】
また、上記の各部、各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各部、各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に置くことができる。
【0107】
なお、上述した実施形態にかかる制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0108】
1:バリューチェーン計画システム、10:ネットワーク、100:バリューチェーン計画装置、110:記憶部、111:VC設計情報、112:エージェント情報、113:マスタ情報、114:トランザクション情報、115:計画情報、116:採用エージェント情報、117:エージェント評価情報、120:処理部、121:エージェント募集部、122:エージェント検査部、123:エージェント登録部、124:計画立案部、125:計画採用部、126:エージェント管理部、127:報酬支払処理部、130:入力部、140:出力部、150:通信部、200:エージェント提供端末、220:処理部、221:エージェント作成部、222:エージェント提供部、223:報酬受取部、230:入力部、240:出力部、250:通信部、300:加盟事業主体端末、320:処理部、321:計画依頼部、330:入力部、340:出力部、350:通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16