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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106971
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】資産管理装置及び資産管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230726BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008033
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久我 知也
(72)【発明者】
【氏名】井上 栞
(72)【発明者】
【氏名】小池 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 紳一郎
(72)【発明者】
【氏名】小田川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 迪子
(72)【発明者】
【氏名】清水 彩花
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】資産の相続に伴う相続リスクを適切に管理し、ひいては相続人に不測の不利益をもたらさない資産管理装置及び資産管理方法を提供する。
【解決手段】顧客の資産を管理する資産管理装置100は、プロセッサを含むCPUと、メモリと、を含む。メモリは、顧客の相続対象資産を相続する予定の相続人と、相続対象資産それぞれの金額と、を示す資産情報を保持する。プロセッサは、資産情報が示す相続対象資産の合計額を算出し、算出した合計額に基づいて、相続リスクアラートを出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の資産を管理する資産管理装置であって、
プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、前記顧客の相続対象資産を相続する予定の相続人と、前記相続対象資産それぞれの金額と、を示す資産情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記資産情報が示す前記相続対象資産の合計額を算出し、
前記算出した合計額に基づいて、相続リスクアラートを出力する、資産管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の資産管理装置であって、
前記メモリは、前記相続人が前記顧客の前記相続対象資産を相続するときの非課税枠を示す情報を保持し、
前記プロセッサは、前記相続対象資産の合計額と、前記非課税枠と、に基づいて、前記顧客が死亡するときには相続税が発生することを示す相続税アラートを出力する、資産管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の資産管理装置であって、
前記プロセッサは、
資産に関するルール変更を示す情報を取得した場合、
前記ルール変更の内容に基づいて、前記非課税枠を更新し、
前記相続対象資産の合計額と、前記更新した非課税枠と、に基づいて、前記相続税アラートを出力する、資産管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の資産管理装置であって、
前記プロセッサは、
前記相続対象資産それぞれの金額の変更を示す情報を取得した場合、
当該情報が示す変更後の金額を前記資産情報に反映し、
前記変更後の相続対象資産の合計額と、前記非課税枠と、に基づいて、前記相続税アラートを出力する、資産管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の資産管理装置であって、
前記メモリは、前記相続人それぞれの遺留分を示す情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記資産情報を参照して、前記相続人それぞれが相続する予定の前記相続対象資産の総額を算出し、
前記相続対象資産の合計額と、前記遺留分と、に基づいて、前記相続人それぞれの相続遺留額を算出し、
前記相続人それぞれが相続する予定の前記相続対象資産の総額と、前記相続人それぞれの相続遺留額と、に基づいて、前記顧客が死亡するときには前記相続人のうち遺留分を侵害される相続人が発生することを示す遺留分アラートを出力する、資産管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の資産管理装置であって、
前記プロセッサは、
資産に関するルール変更を示す情報を取得した場合、
前記ルール変更の内容に基づいて、前記遺留分を更新し、
前記相続対象資産の合計額と、前記更新した遺留分と、に基づいて、前記相続人それぞれの相続遺留額を再算出し、
前記相続人それぞれが相続する予定の前記相続対象資産の総額と、前記再算出した相続人それぞれの相続遺留額と、に基づいて、前記遺留分アラートを出力する、資産管理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の資産管理装置であって、
前記プロセッサは、
前記相続対象資産それぞれの金額の変更を示す情報を取得した場合、
当該情報が示す変更後の金額を前記資産情報に反映し、
前記相続人それぞれが相続する予定の変更後の前記相続対象資産の総額を再算出し、
前記変更後の相続対象資産の合計額と、前記遺留分と、に基づいて、前記相続人それぞれの相続遺留額を再算出し、
前記再算出した相続人それぞれが相続する予定の前記相続対象資産の総額と、前記再算出した相続人それぞれの相続遺留額と、に基づいて、前記遺留分アラートを出力する、資産管理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の資産管理装置であって、
前記プロセッサは、
前記顧客が死亡したことを示す情報を受領した場合、
前記顧客の相続対象資産を相続する予定の相続人と、前記相続対象資産それぞれの金額と、前記相続リスクアラートと、を示す財産目録を出力する、資産管理装置。
【請求項9】
資産管理装置が、顧客の資産を管理する資産管理方法であって、
前記資産管理装置は、プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、前記顧客の相続対象資産を相続する予定の相続人と、前記相続対象資産それぞれの金額と、を示す資産情報を保持し、
前記資産管理方法は、
前記プロセッサが、前記資産情報が示す前記相続対象資産の合計額を算出し、
前記プロセッサが、前記算出した合計額に基づいて、相続リスクアラートを出力する、資産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資産管理装置及び資産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術として、特開2002-157324号公報(特許文献1)がある。この公報には、「解約代行装置1は、クレジットカード会社や電気会社等と契約を交わしている契約当事者がその利用者端末2から契約内容の申請登録の要求があった場合に、その契約内容と当事者識別情報とを対応付けて登録する。解約代行装置1は、契約当事者本人あるいはその当事者と特別な関係をもった関係者がその利用者端末2から解約実行の申込要求があった場合、その当事者識別情報に対応付けられている契約内容を取得し、この当事者識別情報と契約内容を要件とする解約手続きの実行要求を当該契約先端末4に対して送信する。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-157324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、契約当事者の死亡時に、契約当事者が契約しているサービスの解約手続きを代行することが記載されている。しかし、特許文献1には、契約当事者の死亡時にサービスの契約を相続人等が引き継ぐことについては記載されていない。
【0005】
一方、顧客が有する資産を管理する資産管理装置は、顧客死亡時には相続人に相続させることとなる資産を管理する。さらに、資産の相続においては、例えば、相続税の発生や遺留分侵害の発生等の特有のリスクが存在する。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、資産の相続に伴う相続リスクを適切に管理し、ひいては相続人に不測の不利益をもたらさないことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の構成を採用する。顧客の資産を管理する資産管理装置は、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、前記顧客の相続対象資産を相続する予定の相続人と、前記相続対象資産それぞれの金額と、を示す資産情報を保持し、前記プロセッサは、前記資産情報が示す前記相続対象資産の合計額を算出し、前記算出した合計額に基づいて、相続リスクアラートを出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、資産の相続に伴う相続リスクを適切に管理することができ、ひいては相続人に不測の不利益をもたらさないようにすることができる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1における顧客の生前における資産管理システムのユースケースの概要の一例を示す説明図である。
図2】実施例1における顧客の死亡時における資産管理システムのユースケースの概要の一例を示す説明図である。
図3】実施例1における資産管理装置の構成例を示すブロック図である。
図4】実施例1における作業実施装置の構成例を示すブロック図である。
図5】実施例1における顧客テーブルの一例である。
図6】実施例1における法定相続人テーブルの一例である。
図7】実施例1における資産情報テーブルの一例である。
図8】実施例1における作業実施企業テーブルの一例である。
図9】実施例1における簡易財産目録テーブルの一例である。
図10】実施例1における暗号鍵テーブルの一例である。
図11】実施例1における削除ランクテーブルの一例である。
図12】実施例1における選択可能削除ランクテーブルの一例である。
図13】実施例1における相続リスクテーブルの一例である。
図14】実施例1における顧客生存時の資産情報登録処理の一例を示すフローチャートである。
図15】実施例1における情報登録処理の一例を示すフローチャートである。
図16】実施例1における暗号化処理の一例を示すフローチャートである。
図17】実施例1における概算金額日次更新処理の一例を示すフローチャートである。
図18】実施例1における削除ランク/相続リスクアラート更新処理の一例を示すフローチャートである。
図19】実施例1における顧客の生前に実行される資産情報更新処理の一例を示すフローチャートである。
図20】実施例1における顧客死亡後の資産情報管理処理の一例を示すフローチャートである。
図21】実施例1における死亡情報連携処理の一例を示すフローチャートである。
図22】実施例1における簡易財産目録生成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態において、同一の構成には原則として同一の符号を付け、繰り返しの説明は省略する。なお、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【実施例0012】
図1は、顧客の生前における資産管理システムのユースケースの概要の一例を示す説明図である。資産管理システムは、例えば、サービサー企業が有する資産管理装置100と、複数の作業実施企業それぞれが有する作業実施装置200と、を含む。資産管理装置100と、作業実施装置200それぞれと、は、例えばインターネット等のネットワークを介して互いに接続されている。
【0013】
送客企業は、資産を有する顧客に対して資産管理サービスを紹介し、サービサー企業に対して当該顧客を送客する。サービサー企業は顧客の紹介を受けた見返りとして、送客フィーを送客企業に支払ってもよい。サービサー企業は、顧客に対して資産管理サービスを案内する。
【0014】
顧客は、サービサー企業に対して資産管理サービスの利用を申し込む。顧客は、例えば自身が有する端末(例えば、PC(Personal Computer)やスマートフォン等)を用いて、自身が保有する資産の情報、自身が保有する資産を相続する予定の相続人の情報、各相続人へ相続する予定の相続資産の情報を入力する。顧客が有する端末は、入力された資産情報を資産管理装置100に送信する。
【0015】
資産管理装置100は、受信した資産情報を暗号化して一時的に保管し、作業実施企業が有する作業実施装置200に暗号化された資産情報(以下、単に暗号化資産情報とも呼ぶ)のリストを送信する。作業実施装置200は、暗号化資産情報を保管する。また、資産管理装置100は、相続資産の概算評価情報、及び相続人情報を(暗号化せずに又は所定のアルゴリズムで暗号化して)保管する。なお、登録対象の資産は、現金、預金口座、有価証券、及び暗号通貨等の金融資産、SNS(Social Networking Service)のID及びパスワード、並びに不動産及び動産等を含む(つまり換金性がある資産も換金性がない資産も含んでもよい)。
【0016】
なお、顧客は、自身が有する端末を用いて、資産管理装置100に対して資産情報の更新(例えば、追加及び/又は削除)を指示することができる。資産情報の更新指示を受け付けた資産管理装置100は、資産情報の更新を指示した顧客を識別する情報を示す契約者通知を、当該顧客の暗号化資産情報を保管している作業実施装置200に送信し、契約者通知を受信した作業実施装置200は、暗号化資産情報を資産管理装置100に送信する。
【0017】
資産管理装置100は、暗号化資産情報を復号化することで資産情報を取得して、顧客が有する端末に提示する。顧客は、提示された資産情報を参照しながら、資産情報の更新内容を当該端末に入力し、当該端末は資産管理装置100に当該更新内容を送信する。資産管理装置100は、当該更新内容が反映された資産情報を暗号化して一時的に保管し、作業実施装置200に当該更新内容が反映された暗号化資産情報を、作業実施装置200に送信する。作業実施装置200は、当該顧客の暗号化資産情報を当該更新内容が反映された暗号化資産情報へと更新する。
【0018】
また、顧客が、自身が有する端末を用いて、資産管理装置100に対して相続資産の概算表額情報及び/又は相続人情報の更新(例えば、追加及び/又は削除)を指示することができる。相続資産の概算表額情報及び/又は相続人情報の更新指示を受け付けた資産管理装置100は、当該顧客の相続資産の概算表額情報及び/又は相続人情報を取得して、顧客が有する端末に提示する。顧客は、提示された相続資産の概算表額情報及び/又は相続人情報を参照しながら、相続資産の概算表額情報及び/又は相続人情報の更新内容を当該端末に入力し、当該端末は資産管理装置100に当該更新内容を送信する。資産管理装置100は、当該更新内容が反映された相続資産の概算表額情報及び/又は相続人情報を保管する。
【0019】
なお、資産情報は、例えば、資産の内容を示すデータと、資産の種別ごとの顧客の死後の取り扱い(例えば、顧客の死亡が確認されてもデータを削除しない、顧客の死後所定日数が経過したらデータを削除する、又は顧客の死亡が確認されたらデータを即時削除する等)を示す削除フラグと、を含む。なお、この削除フラグは、例えば、顧客からの指定によって設定されるが、後述するように法律やガイドラインの変更があった際に自動で変更されることがある。
【0020】
なお、顧客の暗号化資産情報がどの作業実施装置200に登録されるかは、顧客によって指定されてもよいし、サービサー企業によって指定されてもよいし、ランダムに決定されてもよい。また、一人の顧客の資産情報が全て1つの作業実施装置200に登録されてもよいし、複数の作業実施装置200に分散して登録されてもよい。
【0021】
資産管理装置100は、顧客の資産に相続時のトラブルが発生するリスクが顕在しているかを判定し、相続時のトラブルが発生するリスクが顕在していると判定した場合、顧客に相続リスクアラートを発令する(例えば顧客が有する端末へと相続リスクアラートを送信する)。相続リスクアラートは、例えば、顧客の資産に相続時のトラブルが発生するリスクがあることや、サービサー企業が連携する登録FP(Financial Planner)へ相続リスクに対する有料相談を受けることができることを示す。
【0022】
相続リスクアラートを受け取った顧客は、必要に応じて登録FPへの相続リスク対策に対する有料相談を、例えば当該顧客が有する端末を利用して、資産管理装置100に対して申し込む。サービサー企業は、資産管理装置100が有料相談の申し込みを受信した場合、登録FPに対して、顧客申込情報を連携する。顧客申込情報は、例えば、顧客情報(例えば、顧客の氏名及び連絡先を含む)、顧客の資産情報、相続人情報、相続資産の概算評価額情報、及び相続リスクアラートの種別等を含む。
【0023】
顧客申込情報の連携を受けた登録FPは、顧客に対して相続リスクの有料相談を受ける。なお、顧客は、有料相談についての費用を資産管理装置100に支払ってもよいし、登録FPに直接支払ってもよい。なお、有料相談について支払われた費用を、例えば、サービサー企業と登録FPとで按分してもよいし、サービサー企業又は登録FPの一方のみが受け取ってもよい。このように顧客が生前に相続リスクアラートを受け取って、登録FPに相続リスクに関する有料相談をすることにより、被相続人の生前の意思及び行動によって、相続人間のトラブルの減少が見込まれ、さらにはサービサー企業及び/又は登録FPは相談料を受け取ることができる。
【0024】
なお、顧客が利用している保険会社は送客企業の一例である。また、顧客が利用している保険会社や金融機関は、サービサー企業の一例である。また、司法書士事務所や法律事務所は作業実施企業の一例である。
【0025】
図2は、顧客の死亡時における資産管理システムのユースケースの概要の一例を示す説明図である。顧客が死亡すると、当該顧客の法定相続人は送客企業に対して、当該顧客が死亡したことを示す死亡連絡をする。送客企業は、サービサー企業に対して当該死亡連絡をする。
【0026】
サービサー企業は、資産管理装置100に対して、死亡情報を登録する。資産管理装置100は、当該顧客の資産を保管する作業実施装置200に対して死亡連絡と、死亡連絡に基づく作業指示と、を送信する。死亡連絡と作業指示を受信した作業実施装置200は、資産種別ごとの削除フラグに基づき、必要に応じて資産のデータを削除する。
【0027】
死亡連絡と作業指示を受信した作業実施装置200それぞれは、必要に応じて削除処理が行われた後の資産の一覧を示す簡易財産目録を生成して、資産管理装置100に送信する。なお、上記した削除処理と簡易財産目録生成処理とは、作業実施装置200のユーザによって手動で行われてもよい。具体的には、例えば、作業実施装置200は、当該顧客の削除フラグを含む資産のリストを復号化して表示装置に表示し、作業実施装置200のユーザから入力装置を介した入力を受け付けることで、資産のデータの削除と、簡易財産目録の生成と、を実行する。
【0028】
資産管理装置100は、複数の作業実施装置200それぞれから簡易財産目録を受信した場合には、受信した簡易財産目録をマージする。さらに、資産管理装置100は、簡易財産目録に含まれる資産の相続人、概算評価額、及び/又は相続リスクアラート等の相続情報を、顧客意思に基づきマージ後の簡易財産目録に付与する。サービサー企業は、簡易財産目録(簡易財産目録がマージされた場合にはマージした簡易財産目録)を資産管理装置100から取得し、法定相続人に送付する。
【0029】
法定相続人は、取得した簡易財産目録から相続対象資産を把握する。また、法定相続人は、簡易財産目録に記載されていない相続対象資産をさらに把握してもよい。法定相続人は、(特に、例えば簡易財産目録において相続リスクアラートが発令されている場合等)、サービサー企業に対して、相続対策相談を申し込むことができる。
【0030】
サービサー企業は、相続対策相談を申し込んだ法定相続人の情報を登録FPに連携する。登録FPに連携される法定相続人の情報は、例えば、簡易財産目録に記述されている情報を含む。法定相続人の情報の連携を受けた登録FPは、法定相続人に対して相続対策のアドバイスをする。このように顧客の死亡時に、法定相続人が、相続リスクアラート等に基づいて、登録FPに相続対策の相談をすることにより、相続人間のトラブルの減少が見込まれ、相続対策の相談が有料であればさらにはサービサー企業及び/又は登録FPは相談料を受け取ることができる。
【0031】
図3は、資産管理装置100の構成例を示すブロック図である。資産管理装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、補助記憶装置103、通信装置104、入力装置105、及び表示装置106を有する計算機によって構成される。
【0032】
CPU101は、プロセッサを含み、メモリ102に格納されたプログラムを実行する。メモリ102は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)及び揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS(Basic Input/Output System))などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0033】
補助記憶装置103は、例えば、磁気記憶装置(HDD(Hard Disk Drive))、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、CPU101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置103から読み出されて、メモリ102にロードされて、CPU101によって実行される。
【0034】
入力装置105は、キーボードやマウスなどの、オペレータからの入力を受ける装置である。表示装置106は、ディスプレイやプリンタなどの、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力する装置である。
【0035】
通信装置104は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。また、通信装置104は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェースを含む。
【0036】
CPU101が実行するプログラムの一部またはすべては、非一時的記憶媒体であるリムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又は、非一時的記憶装置を備える外部計算機からネットワークを介して資産管理装置100に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置103に格納されてもよい。このため、資産管理装置100は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。これは、作業実施装置200についても同様である。
【0037】
資産管理装置100は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。これは作業実施装置200についても同様である。
【0038】
CPU101は、例えば、資産登録部111、鍵管理部112、暗号化部113、情報連携部114、死亡連絡受領部115、相続税計算部116、及び遺留分計算部117を含む。資産登録部111は、顧客の資産情報を取得して資産情報テーブル223に登録する。鍵管理部112は、顧客の資産のデータを暗号化するための暗号鍵を管理する。暗号化部113は、暗号鍵を用いて顧客の資産のデータを暗号化する。
【0039】
情報連携部114は、作業実施装置200との間で、情報のやり取りをする。死亡連絡受領部115は、顧客が死亡したことを示す死亡連絡を受領する。相続税計算部116は、顧客が死亡する時に課税されると想定される相続税を計算する。遺留分計算部117は、顧客の法定相続人それぞれの遺留分を計算する。
【0040】
例えば、CPU101は、メモリ102にロードされた資産登録プログラムに従って動作することで、資産登録部111として機能し、メモリ102にロードされた鍵管理プログラムに従って動作することで、鍵管理部112として機能する。CPU101に含まれる他の機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。また、作業実施装置200の後述するCPU201に含まれる機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。
【0041】
なお、CPU101、及び作業実施装置200のCPU201に含まれる機能部による機能の一部又は全部が、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0042】
補助記憶装置103は、例えば、顧客テーブル121、法定相続人テーブル122、資産情報テーブル123、作業実施企業テーブル124、簡易財産目録テーブル125、暗号鍵テーブル126、削除ランクテーブル127、選択可能削除ランクテーブル128、及び相続リスクテーブル129を保持する。
【0043】
顧客テーブル121は、顧客の個人情報や顧客の死亡情報を保持する。法定相続人テーブル122は、顧客の法定相続人に関する情報を保持する。資産情報テーブル123は、顧客が有する資産に関する情報を保持する。作業実施企業テーブル124は、作業実施装置200のユーザである作業実施企業に関する情報を保持する。
【0044】
簡易財産目録テーブル125は、顧客の死亡時に生成される顧客の財産の簡易的な目録を示す情報を保持する。暗号鍵テーブル126は、顧客の資産のデータを暗号化する暗号鍵に関する情報を保持する。削除ランクテーブル127は、顧客の死亡後における顧客の有する資産のデータに対する削除に関する対応を示す削除ランクを定義する情報を保持する。選択可能削除ランクテーブル128は、資産の種別ごとに選択可能な削除ランクを示す情報を保持する。相続リスクテーブル129は、相続人ごとの相続リスクを判定するための情報を保持する。
【0045】
なお、補助記憶装置103、及び後述する作業実施装置200の補助記憶装置203に格納されている一部又は全部の情報は、それぞれ、メモリ102、及び後述する作業実施装置200のメモリ202に格納されていてもよいし、当該装置に接続されているデータベースに格納されていてもよい。
【0046】
なお、本実施形態において、資産管理システムが使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。本実施形態ではテーブル形式で情報が表現されているが、例えば、リスト、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体が、情報を格納することができる。
【0047】
図4は、作業実施装置200の構成例を示すブロック図である。作業実施装置200は、例えば、CPU201、メモリ202、補助記憶装置203、通信装置204、入力装置205、及び表示装置206を有する計算機によって構成される。
【0048】
CPU201、メモリ202、補助記憶装置203、通信装置204、入力装置205、及び表示装置206のハードウェアとしての説明は、CPU101、メモリ102、補助記憶装置103、通信装置104、入力装置105、及び表示装置106のハードウェアとしての説明と同様であるため省略する。
【0049】
CPU201は、例えば、データ取得部211、復号化部212、データ保存部213、及び情報連携部214を含む。データ取得部211は、補助記憶装置103が保持する各種テーブルからデータを取得する。復号化部212は、暗号化された顧客の資産のデータを復号化する。データ保存部213は、補助記憶装置103が保持する各種テーブルに情報を保存する。情報連携部214は、資産管理装置100との間で、情報をやり取りする。
【0050】
補助記憶装置203は、例えば、顧客テーブル221、資産情報テーブル223、簡易財産目録テーブル225、削除ランクテーブル227、選択可能削除ランクテーブル228、及び相続リスクテーブル229を保持する。顧客テーブル221、資産情報テーブル223、簡易財産目録テーブル225、削除ランクテーブル227、選択可能削除ランクテーブル228、及び相続リスクテーブル229に格納され得る情報は、それぞれ、顧客テーブル121、資産情報テーブル123、簡易財産目録テーブル125、削除ランクテーブル127、選択可能削除ランクテーブル128、及び相続リスクテーブル129に格納され得る情報と同様であるため説明を省略する。
【0051】
図5は、顧客テーブル121の一例である。顧客テーブル121は、例えば、顧客ID欄1211、氏名欄1212、住所欄1213、電話番号欄1214、ログインID欄1215、パスワード欄1216、非課税枠欄1217、課税対象額欄1218、相続税アラート欄1219、遺留分アラート欄12110、死亡年月日欄12111、及び死亡受領年月日欄12112を含む。
【0052】
顧客ID欄1211は、顧客を識別するIDを保持する。氏名欄1212は、顧客の氏名を示す情報を保持する。住所欄1213は、顧客の住所を示す情報を保持する。電話番号欄1214は、顧客の電話番号を示す情報を保持する。ログインID欄1215は、顧客が資産管理装置100にログインするためのログインIDを示す情報を保持する。パスワード欄1216は、資産管理装置100にログインするためのパスワードを示す情報を保持する。
【0053】
非課税枠欄1217は、顧客が死亡するときの相続資産(相続税)の非課税枠を示す情報を保持する。課税対象額欄1218は、顧客が死亡するときの相続資産(相続税)の課税対象額を示す情報を保持する。相続税アラート欄1219は、当該顧客が死亡すると相続税がかかることを示すアラート(フラグ)である相続税アラートを保持する。相続税アラート欄1219の値が「1」の顧客が死亡すると相続税がかかり、相続税アラート欄1219の値が「0」の顧客が死亡すると相続税がかからないと判断する。
【0054】
遺留分アラート欄12110は、顧客が死亡するときに法定相続人となる者のうち遺留分を侵害される者が発生するかを示すアラート(フラグ)である遺留分アラートを保持する。遺留分アラート欄12110の値が「1」の顧客が死亡すると遺留分を侵害されている者が発生し、遺留分アラート欄12110の値が「1」の顧客が死亡すると遺留分を侵害されている者が発生していないと判断する。なお、相続税アラート及び遺留分アラートはいずれも相続リスクアラートの一例である。
【0055】
死亡年月日欄12111は、顧客の死亡年月日を示す情報を保持する。死亡受領年月日欄12112は、顧客の死亡連絡を受領した年月日を受信する。顧客の死亡連絡を受領していない場合には、当該顧客に対応する死亡年月日欄12111及び死亡受領年月日欄12112には例えばnull値が格納されている。
【0056】
図6は、法定相続人テーブル122の一例である。法定相続人テーブル122は、例えば、相続人ID欄1221、顧客ID欄1222、氏名欄1223、住所欄1224、電話番号欄1225、及び続柄欄1226を含む。
【0057】
相続人ID欄1221は、法定相続人を識別するIDを保持する。顧客ID欄1222は、相続人ID欄1221が示す法定相続人に対する被相続人である顧客の顧客IDを保持する。氏名欄1223は、法定相続人の氏名を示す情報を保持する。住所欄1224は、法定相続人の住所を示す情報を保持する。電話番号欄1225は、法定相続人の電話番号を示す情報を保持する。続柄欄1226は、相続人ID欄1221が示す法定相続人の被相続人である顧客に対する続柄を示す情報を保持する。
【0058】
図7は、資産情報テーブル123の一例である。資産情報テーブル123は、例えば、資産ID欄1231、顧客ID欄1232、相続人ID欄1233、暗号鍵ID欄1234、削除ランク欄1235、種別欄1236、概算金額欄1237、登録年月日欄1238、更新年月日欄1239、対応年月日欄12310、及びデータ欄12311を含む。
【0059】
資産ID欄1231は、顧客ID欄1232が示す顧客の資産を識別するIDを保持する。顧客ID欄1232は、顧客IDを保持する。相続人ID欄1233は、種別欄1236及び概算金額欄1237が示す資産を相続する相続人を識別する相続人IDを保持する。なお、顧客が相続対象に指定していない資産に対応する相続人ID欄1233には「-」が格納されている。
【0060】
なお、現在の税制上、相続税の課税対象になり得る資産であっても、例えば、顧客が当該資産の寄付を希望している場合等のように、法定相続人への相続を希望しない場合には、当該資産に対応する相続人ID欄1233には「-」が格納される。他にも、資産登録時点で各資産に対する相続人を考えていない場合においても、相続人ID欄1233に「-」が格納されることを許容する。また、SNS等のように現在の税制上、相続税の課税対象ではない資産についても、例えば、顧客死亡時にSNSのアカウントの管理を委ねるために、相続人ID欄1233に相続人が指定されていてもよい。
【0061】
暗号鍵ID欄1234は、データ欄12311に格納されているデータを暗号化した暗号鍵を識別するIDを保持する。削除ランク欄1235は、データ欄12311に格納されているデータの削除ランクを保持する。種別欄1236は、資産の種別を示す情報を保持する。
【0062】
概算金額欄1237は、資産の価値(概算金額)を示す情報を保持する。登録年月日欄1238は、当該レコードが登録された年月日を示す情報を保持する。更新年月日欄1239は、当該レコードが最後に更新された年月日を示す情報を保持する。当該レコードが更新されていない場合、更新年月日欄1239には例えばnull値が格納されている。対応年月日欄12310は、顧客ID欄1232が示す顧客の死亡連絡を受領した後に、簡易目録に含める等の対応がされた年月日を示す情報を保持する。
【0063】
データ欄12311は、資産を示す暗号化されたデータを保持する。資産の種別が現金であれば現金の所在を示す情報はデータの一例であり、資産の種別が預金口座であれば預金口座を示す情報はデータの一例であり、資産の種別がSNSであれば当該SNSのログインIDとパスワードはデータの一例である。
【0064】
図8は、作業実施企業テーブル124の一例である。作業実施企業テーブル124は、例えば、企業ID欄1241、企業名欄1242、及び連絡先欄1243を含む。企業ID欄1241は、作業実施企業を識別するIDを保持する。企業名欄1242は、作業実施企業の名称を示す情報を保持する。連絡先欄1243は、作業実施企業の連絡先を示す情報を保持する。
【0065】
図9は、簡易財産目録テーブル125の一例である。簡易財産目録テーブル125は、例えば、目録ID欄1251、資産ID欄1252、相続人ID欄1253、概算金額欄1254、相続税アラート欄1255、遺留分アラート欄1256、及び企業ID欄1257を含む。目録ID欄1251は、簡易財産目録を識別するIDを保持する。資産ID欄1252は、簡易財産目録に含まれる資産の資産IDを保持する。
【0066】
相続人ID欄1253は、相続人IDを保持する。概算金額欄1254は、資産の価値(概算金額)を示す情報を保持する。相続税アラート欄1255は、相続税アラートを保持する。遺留分アラート欄1256は、遺留分アラートを保持する。企業ID欄1257は、簡易財産目録を生成した作業実施企業の企業IDを保持する。
【0067】
図10は、暗号鍵テーブル126の一例である。暗号鍵テーブル126は、例えば、暗号鍵ID欄1261及び暗号鍵欄1262を含む。暗号鍵ID欄1261は、暗号鍵IDを保持する。暗号鍵欄1262は、暗号鍵を保持する。
【0068】
図11は、削除ランクテーブル127の一例である。削除ランクテーブル127は、例えば、削除ランク欄1271及び死後対応欄1272を含む。削除ランク欄1271は、削除ランクを保持する。死後対応欄1272は、削除ランク欄1271が示す削除ランクが設定された資産のデータに対する、顧客の死後対応を示す情報を保持する。
【0069】
図11の例では、削除ランクが「A」に設定された資産のデータは、顧客の死亡連絡が受領されても削除が不可能である。削除ランクが「B」に設定された資産のデータは、顧客の死亡連絡が受領されると即時削除される。削除ランクが「C」に設定された資産のデータは、顧客の死亡年月日からN日後(所定期間経過後)に削除される。なお、削除ランクとして、「A」と、「B」又は「C」の一方と、のみが含まれてもよい。
【0070】
図12は、選択可能削除ランクテーブル128の一例である。選択可能削除ランクテーブル128は、例えば、種別欄1281及び削除ランク欄1282を含む。種別欄1281は、資産の種別を示す情報を保持する。削除ランク欄1282は、種別欄1281が示す種別の資産のデータに対して選択可能な削除ランクを示す情報を保持する。
【0071】
図12の例では、現金、預金口座、及び不動産等の相続税対象資産については、削除ランク「A」のみが選択可能である(即ち死亡連絡が受領されても削除できない)。一方、SNSやNFT(Non-Fungible Token)等のように資産情報の登録時点で相続税対象でない資産については、削除ランク「A」、「B」、「C」のいずれもが選択可能である。
【0072】
図13は、相続リスクテーブル129の一例である。相続リスクテーブル129は、例えば、相続人ID欄1291、顧客ID欄1292、総額欄1293、遺留分欄1294、相続遺留額欄1295、及び遺留超過/侵害額欄1296を含む。相続人ID欄1291は、相続人IDを保持する。顧客ID欄1292は、顧客IDを保持する。
【0073】
総額欄1293は、当該顧客が死亡する場合の、当該相続人が当該顧客から相続する資産の総額を示す情報を保持する。遺留分欄1294は、当該顧客が死亡する場合の、当該相続人が当該顧客から相続可能な遺留分を示す情報を保持する。相続遺留額欄1295は、当該顧客が死亡する場合の、当該相続人が当該顧客から相続可能な遺留分による相続資産の価値(相続遺留額=当該顧客の相続資産の概算金額総額×個別的遺留分)を示す情報を保持する。遺留超過/侵害額欄1296は、当該顧客が死亡する場合における、当該相続人が当該顧客から相続する相続資産総額から遺留額を引いた差額を示す情報を保持する。
【0074】
図14は、顧客生存時の資産情報登録処理の一例を示すフローチャートである。図13の資産情報登録処理が実行される前に、作業実施企業テーブル124、削除ランクテーブル127、選択可能削除ランクテーブル128、削除ランクテーブル227、及び選択可能削除ランクテーブル228の値は予め登録されている。
【0075】
送客企業は、被相続人である顧客に資産管理サービスを紹介する(S101)。送客企業は、サービサー企業に顧客を送客し、サービサー企業は顧客に対して資産管理サービスを案内し、顧客は資産管理サービスを申し込む(S102)。なお、送客企業による顧客の紹介が実行されることなく、顧客がサービサー企業に対して資産管理サービスを申し込んでもよい。
【0076】
資産登録部111は、顧客が有する端末に顧客が入力した顧客情報、法定相続人情報、相続資産の概算金額情報、及び資産情報を取得して、顧客テーブル121、法定相続人テーブル122、資産情報テーブル123、及び相続リスクテーブル129に情報を登録する情報登録処理を実行する(S103)。ステップS103の詳細については、後述する。暗号化部113は暗号鍵を用いて資産のデータを暗号化する暗号化処理を実行する(S104)。ステップS104の詳細については後述する。
【0077】
情報連携部114は、資産情報テーブル123に登録した情報を作業実施装置200に送信し、データ保存部213は受信した情報を資産情報テーブル223に登録し、情報連携部114は、資産情報テーブル123のデータ欄12311に登録したデータを削除する(S105)。ステップS105の処理により、資産管理装置100の資産情報テーブル123からは資産のデータが削除され、セキュリティ性が向上する。
【0078】
なお、情報連携部114は、顧客テーブル121及び相続リスクテーブル129に登録した情報を併せて作業実施装置200に送信し、データ保存部213が受信した情報を顧客テーブル221及び相続リスクテーブル229に登録してもよい。
【0079】
情報連携部114は、削除ランク/相続リスクアラート更新処理を実行し(S106)、資産情報登録処理を終了する。ステップS106の詳細については後述する。
【0080】
図15は、ステップS103における情報登録処理の一例を示すフローチャートである。資産登録部111は、顧客が有する端末に顧客が入力した顧客情報、法定相続人情報、相続資産の概算金額情報、及び資産情報を取得する(S1031)。
【0081】
なお、ステップS1031で入力される顧客情報は、顧客テーブル121に格納される値のうち、顧客ID、相続人ID、死亡年月日、課税対象額、相続税アラート、遺留分アラート、及び死亡受領年月日を除く欄の値である。また、ステップS1031で入力される法定相続人情報は、顧客テーブル121に格納される相続人IDと、法定相続人テーブル122に含まれる相続人ID及び顧客IDを除く欄の値と、相続リスクテーブル129に格納される遺留分と、である。
【0082】
また、ステップS1031で入力される相続資産の概算金額情報は、顧客テーブル121に格納される資産の種別ごとの相続人及び概算金額である。また、ステップS1031で入力される資産情報は、資産情報テーブル123に格納される値のうち、資産の種別、削除ランク、及びデータである。
【0083】
なお、顧客が資産の種別を入力すると、資産登録部111は選択可能削除ランクテーブル128を参照して当該種別に対応する削除ランクを顧客の端末に提示し、顧客は提示された削除ランクから入力する削除ランクを選択する。
【0084】
なお、ステップS1031において、顧客情報に含まれる非課税枠が顧客から直接入力されてもよいし、資産管理装置100が、顧客の家族構成及び法定相続人の続柄から非課税枠遺留分を特定するための情報を予め保持し、顧客から家族構成及び続柄が入力されると、当該情報を参照して非課税枠を特定してもよい。
【0085】
なお、ステップS1031において、法定相続人情報として遺留分の値が顧客から直接入力されてもよいし、資産管理装置100が、顧客の家族構成及び法定相続人の続柄から遺留分を特定するための情報を予め保持し、顧客から家族構成及び続柄が入力されると、当該情報を参照して遺留分を特定してもよい。
【0086】
なお、上記した例ではステップS103において、資産登録部111は、顧客が有する端末に顧客が入力した顧客情報、法定相続人情報、及び資産情報を取得しているが、サービサー企業の担当者が顧客から顧客情報、法定相続人情報、相続資産の概算金額情報、及び資産情報をヒアリングし、資産登録部111は、入力装置105を介してヒアリングされた情報の入力を受け付けてもよい。
【0087】
資産登録部111は、新規の顧客IDを生成し、生成した顧客IDに取得した顧客情報を紐づけて生成したレコードを顧客テーブル121に格納する(S1032)。さらに、ステップS1032において、相続税計算部116は、相続資産のうち選択可能削除ランクテーブル128が示すが選択可能削除ランクがAのみである種別の資産の概算金額合計から非課税枠を引いた差を、課税対象額として顧客テーブル121に格納する。
【0088】
資産登録部111は、取得した法定相続人情報が示す法定相続人ごとに新規の相続人IDを生成し、法定相続人に対応する相続人IDそれぞれに、当該相続人IDに対応する法定相続人情報と、ステップS1032で生成した顧客IDと、を紐づけて生成したレコードを、法定相続人テーブル122に格納する(S1033)。
【0089】
資産登録部111は、資産情報が示す資産ごとに新規の資産IDを生成し、登録年月日を取得し、資産に対応する資産IDそれぞれに、ステップS1031で生成した顧客IDと、当該資産に対応する削除ランクと、当該資産の種別と、登録年月日と、当該資産の種別に対応する資産のデータと、課税対象額と、資産の概算金額と、を紐づけて生成したレコードを資産情報テーブル123に格納する(S1034)。
【0090】
資産登録部111、相続税計算部116、及び遺留分計算部117は、生成した相続人IDごとに相続リスクテーブル129のレコードを生成して格納し、さらに必要に応じて相続税アラート及び遺留分アラートを発出する(S1035)。具体的には、遺留分計算部117は、生成した相続人IDと、生成した顧客IDと、相続資産の概算金額情報が示す相続人ごとの概算金額の総額と、法定相続人情報が示す遺留分と、を相続リスクテーブル129に格納する。
【0091】
さらに、遺留分計算部117は、相続資産の概算金額情報が示す概算金額の合計に、相続人それぞれの遺留分を掛けた値を、相続遺留額として相続リスクテーブル129に格納する。また、遺留分計算部117は、相続リスクテーブル129に格納した総額から相続遺留額を引いた差を、遺留超過/侵害額として、相続リスクテーブル129に格納する。
【0092】
また、ステップS1035において、相続税計算部116は、顧客テーブル121に格納した課税対象額が正であると判定した場合に、顧客テーブル121における当該顧客IDに対応する相続税アラートを「1」に設定し(つまり相続税アラートを発出し)、顧客テーブル121に格納した課税対象額が0又は負であると判定した場合に、顧客テーブル121における当該顧客IDに対応する相続税アラートを「0」に設定する(つまり相続税アラートを発出しない)。
【0093】
また、ステップS1035において、遺留分計算部117は、相続リスクテーブル129に格納した遺留超過/侵害額が負である相続人がいると判定した場合に、顧客テーブル121における当該顧客IDに対応する遺留分アラートを「1」に設定し(つまり遺留分アラートを発出し)、相続リスクテーブル129に格納した遺留超過/侵害額が負である相続人がいないと判定した場合に、顧客テーブル121における当該顧客IDに対応する遺留分アラートを「0」に設定し(つまり遺留分アラートを発出しない)。
【0094】
続いて、資産登録部111は、ステップS1035において相続税アラート及び遺留分アラートの少なくとも一方が発出されたかを判定する(S1036)。資産登録部111は、相続税アラート及び遺留分アラートのいずれも発出されていないと判定した場合(S1036:No)、情報登録処理を終了する。
【0095】
資産登録部111は、相続税アラート及び遺留分アラートの少なくとも一方が発出されたと判定した場合(S1036:Yes)、例えば、顧客が有する端末の画面等にポップアップにて専門家への相談(例えば有料相談)を推奨する旨を表示させ、顧客の選択に基づき顧客を専門家へ送客して(S1037)、情報登録処理を終了する。
【0096】
なお、ステップS1037において、資産登録部111は、発出されている相続リスクアラート(相続税アラート及び遺留分アラートの少なくとも一方)の種別を示す情報を顧客が有する端末の画面に併せて表示してもよい。また、ステップS1037において、遺留分アラートが発出されている場合、資産登録部111は、遺留超過/侵害額が負の値である相続人の相続人IDを顧客が有する端末の画面に併せて表示してもよい。
【0097】
図16は、ステップS104における暗号化処理の一例を示すフローチャートである。暗号化部113は、資産のデータを暗号化するための暗号鍵を生成し、生成した暗号鍵を用いて、ステップS1033で資産情報テーブル123に格納した資産のデータを暗号化する(S1041)。なお、暗号化部113は、任意の暗号鍵の生成アルゴリズムを用いて暗号鍵を生成することができる。本実施例では、暗号化部113は、共通鍵暗号方式を用いて暗号鍵を生成したものとする。
【0098】
また、ステップS1041において、暗号化部113は、ステップS1031で取得した資産情報が示す資産ごとに異なる暗号鍵を用いて暗号化を実行してもよいし、ステップS1031で取得した資産情報が示す資産の種別ごとに異なる暗号鍵を用いて暗号化を実行してもよいし、ステップS1031で取得した資産情報が示す資産に対して同じ暗号鍵を用いて暗号化を実行してもよいし、顧客IDが同じ顧客の資産に対して同じ暗号鍵を用いてもよい。
【0099】
鍵管理部112は、ステップS1041で生成された暗号鍵それぞれに対して新規の暗号鍵IDを生成し、ステップS1041で暗号化されたデータに対応する暗号鍵に対応する暗号鍵IDそれぞれを資産情報テーブル123に格納し、生成した暗号鍵IDそれぞれと対応する暗号鍵の組み合わせを暗号鍵テーブル126に格納して(S1042)、暗号化処理を終了する。
【0100】
図17は、概算金額日次更新処理の一例を示すフローチャートである。相続税計算部116は、日次で所定の種別の資産のチャート(価格推移)を取得(監視)する(S1701)。なお、ステップS1701において、相続税計算部116は、日次ではない所定の期間ごとに(例えば、1時間ごと、週次、又は月次等)、当該所定の種別の資産のチャートを取得してもよい。なお、所定の種別の資産は、例えば、仮想通貨やNFT等のボラティリティが高い資産を含むとよい。また、相続税計算部116は、例えば、資産管理装置100に接続された外部のシステム等から、当該所定の種別の資産のチャートを取得する。
【0101】
相続税計算部116は、ステップS1701で取得したチャートに従って、資産情報テーブル123における当該所定の種別の資産の概算金額を更新し、情報連携部114は更新した概算金額及び概算金額を更新したレコードを示す情報を作業実施装置200に送信し、データ保存部213は受信した概算金額に従って資産情報テーブル223を更新し(S1072)、概算金額日時更新処理を終了する。
【0102】
図18は、ステップS106における削除ランク/相続リスクアラート更新処理の一例を示すフローチャートである。情報連携部114は、資産に関するルール変更があったか、及び/又は顧客の資産の概算金額に変更があったかを判定する(S1061)。
【0103】
なお、ステップS1061において、情報連携部114は、例えば、入力装置105に資産に関するルール変更についての情報(ルール変更内容、及びルール変更対象の資産の種別を示す情報)が入力された、又は資産管理装置100に接続された外部のシステムから資産に関するルール変更を示す当該情報を受信した場合には、資産に関するルール変更があったと判定する。
【0104】
法律改正、ガイドライン変更、新たな判例が示されたこと、預金規定変更、及びSNSの利用規約変更等はいずれもルール変更の一例である。以下では、ステップS1061におけるルール変更の判定として、情報連携部114が、法律改正等(法律改正、ガイドライン変更、又は新たな判例が示されることを含む)の前には相続税対象でなかったものの、法律改正等によって、相続税対象となった種別の資産があるかを判定する例を主に説明する。また、ルール変更の一例として、相続税の非課税枠の改正や、相続税対象の資産種別の改正等がある。
【0105】
また、ステップS1061において、情報連携部114は、例えば、図17の概算金額日次更新処理又は後述する図19の資産情報更新処理によって概算金額が変更された資産情報テーブル123のレコードがあると判定した場合には、資産の概算金額に変更があったと判定する。なお、ステップS1061において、情報連携部114は、図17の概算金額日次更新処理又は後述する図19の資産情報更新処理によって資産の概算金額が所定額以上(例えば10万円以上等)変更された資産情報テーブル123のレコードがあると判定した場合にのみ、資産の概算金額に変更があったと判定してもよい(つまり当該所定額未満の概算金額の変更を無視してもよい)。
【0106】
情報連携部114は、法律改正等の前には相続税対象でなかったものの、法律改正等によって、相続税対象となった種別の資産がないと判定し、かつ顧客の資産の概算金額に変更がないと判定した場合(S1061:NO)、ステップS1061の処理を繰り返す。なお、ステップS1061の処理が所定時間繰り返されたときには、削除ランク/相続リスクアラート更新処理を終了してもよい。
【0107】
情報連携部114は、法律改正等の前には相続税対象でなかったものの、法律改正等によって、相続税対象となった種別の資産があると判定した場合(S1061:YES)、当該資産の種別(つまりルール変更内容)を各作業実施装置200に通知し、データ取得部211は、資産情報テーブル223から、当該種別を含むレコードを取得する(S1062)。
【0108】
データ保存部213は、取得したレコードに含まれる「B」又は「C」である削除ランクを「A」に更新する(S1063)。また、データ保存部213は、ステップS1063において、選択可能削除ランクテーブル228の当該種別に対応する削除ランクに、「B」及び「C」が含まれていると判定した場合、「B」及び「C」を削除する。
【0109】
なお、情報連携部114は、ステップS1601において、法律改正等の前には相続税対象でなかったものの、法律改正等によって、相続税対象となった種別の資産がないと判定したものの、顧客の資産の概算金額に変更があると判定した場合には、ステップS1062及びステップS1063の処理を省略して、後述するステップS1064の処理へ遷移する。
【0110】
なお、ステップS1063において、資産登録部111も資産情報テーブル123から、当該種別を含むレコードを取得し、取得したレコードに含まれる「B」又は「C」である削除ランクを「A」に更新してもよい。さらに、資産登録部111も、ステップS1063において、選択可能削除ランクテーブル228の当該種別に対応する削除ランクに、「B」及び「C」が含まれていると判定した場合、「B」及び「C」を削除する。
【0111】
ステップS1603における削除ランク更新処理により、資産情報の登録時には相続税の対象でなかった種別の資産のデータを顧客の死亡時に削除されないよう変更することができる、つまり法律改正等に対応することができる。
【0112】
なお、ステップS1061において、情報連携部114は、法律改正等の前には相続税対象であったものの、法律改正等によって相続税対象ではなくなった種別の資産があるかを判定してもよい。情報連携部114が、法律改正等の前には相続税対象であったものの、法律改正等によって、相続税対象ではなくなった種別の資産があると判定した場合、当該種別を各作業実施装置200に通知し、データ保存部213は、当該種別を含む資産情報テーブル223のレコードを取得し、取得したレコードに含まれる「A」である削除ランクを「B」又は「C」に更新してもよいし、取得したレコードに含まれる「A」である削除ランクを「B」又は「C」に更新可能であることを示す通知を、資産管理装置100を介して顧客に通知してもよい。
【0113】
また、ステップS1061において、情報連携部114は、資産に関する規定・規約(例えばSNSの利用規約等)の改訂によって、当該種別の資産を本人以外に譲渡できなくなったかを判定してもよい。情報連携部114は、資産に関する規定・規約(例えばSNSの利用規約等)の改訂によって、当該種別の資産を本人以外に譲渡できなくなったと判定した場合、当該種別を各作業実施装置200に通知し、データ保存部213は、当該種別を含む資産情報テーブル223のレコードを取得し、取得したレコードに含まれる「A」である削除ランクを「B」又は「C」に更新する。
【0114】
情報連携部114は、新たに相続税対象となった資産の種別(ルール変更内容)を各作業実施装置200に通知し、データ取得部211は、資産情報テーブル223における顧客ごとの相続税対象の資産の概算金額の合計と、資産情報テーブル223における相続人ごとの相続税対象の相続資産の総額と、を算出する(S1064)。
【0115】
データ保存部213は、ステップS1061で検知したルール変更によって非課税枠に変更があった場合には顧客テーブル221における非課税枠を更新し、(更新した場合には)更新した非課税枠と、ステップS1064で算出した顧客ごとの相続税対象の資産の概算金額の合計と、に基づいて、顧客テーブル221における顧客ごとの課税対象額を更新する(S1065)。
さらに、ステップS1605において、データ保存部213は、ステップS1061で検知したルール変更によって遺留分が変更となった場合は相続リスクテーブル229における遺留分を更新し、(更新した場合には)更新した遺留分と、ステップS1064で算出した相続人ごとの相続税対象の相続資産の総額と、に基づいて、相続リスクテーブル229における総額、相続遺留額、及び遺留超過額/侵害額を更新する。
【0116】
データ保存部213は、ステップS1065で変更された課税対象額及び遺留超過額/侵害額に従って、ステップS1035と同様の方法で、顧客テーブル221における相続税アラート及び遺留分アラートを更新し、値が「0」から「1」へと変化したアラートを発出して(S1066)、削除ランク/相続リスクアラート更新処理を終了する。なお、ステップS1066において発出されるアラートは、資産管理装置100を介して、当該顧客が有する端末の画面等にステップS1035で説明したものと同様である。
【0117】
なお、ステップS1064、ステップS1065、ステップS1066において、資産管理装置100も、作業実施装置200と同様に、顧客テーブル121、資産情報テーブル123、及び相続リスクテーブル129の値を更新することが望ましい。資産管理装置100が、顧客テーブル121における相続税アラート及び遺留分アラートを更新して「0」から「1」へと変化したアラートがある場合には、資産管理装置100は、作業実施装置200に代えて当該アラートを発出してもよい。
【0118】
ステップS1066における相続リスクアラート更新処理により、資産の概算金額が変更となったときに相続リスクアラートを自動的に発出させることが可能となり、顧客やサービサー企業や作業実施企業等による顧客の相続リスクの監視負荷を低減させることができる。
【0119】
なお、ステップS1066において、相続税アラート及び遺留分アラートを更新したときに、値が「1」から「0」へと変化したアラートがあった場合に、当該アラートが取り消されたことを示す通知が、当該顧客が有する端末に送信されてもよい。
【0120】
なお、ステップS1061における判定を作業実施装置200の情報連携部214が実行してもよい。また、上記した例では、ステップS106の削除ランク/相続リスクアラート更新処理は、図14の情報登録処理の一部として実行されているが、情報登録処理とは独立して定期的に実行されてもよい。
【0121】
図19は、顧客の生前に実行される資産情報更新処理の一例を示すフローチャートである。顧客は、資産管理装置100にログインする(S201)。具体的には、例えば、顧客は自身が有する端末からログインIDとパスワードを資産管理装置100に送信し、資産登録部111は、受信したログインIDとパスワードの組み合わせが顧客テーブル121に含まれると判定した場合、ログインに成功したと判定し、当該組み合わせが含まれるレコードの顧客IDを取得する。
【0122】
資産登録部111は、資産情報テーブル123から当該顧客IDに対応するレコードを全て取得する(S202)。情報連携部114は、当該資産IDを作業実施装置200に送信し、データ取得部211は、資産情報テーブル223から当該顧客IDに対応する暗号化されたデータを取得し、情報連携部214は、資産管理装置100に送信する(S203)。
【0123】
資産登録部111は、ステップS201で取得したレコード一覧を、例えば顧客が有する端末に送信する、又は表示装置106に表示することで顧客に提示する(S204)。但し、ステップS204において、鍵管理部112は、ステップS201で取得したレコードに含まれる暗号鍵IDを特定して、当該暗号鍵IDに対応する暗号鍵を取得し、暗号化部113は当該暗号鍵を用いてデータを復号し、資産登録部111は、取得したレコードに含まれるデータに代えた復号されたデータを提示する。
【0124】
顧客は、自身が有する端末から、提示されたレコードに対する修正内容(例えば、削除ランク、資産の種別、及び/又はデータの修正内容)を資産管理装置100に送信する(S205)。資産登録部111は、受信した修正内容をレコードに反映することで、資産情報テーブル123のレコードを更新する(S206)。なお、資産登録部111は、当該更新したレコードに更新年月日を格納してもよい。
【0125】
レコードの更新においてデータが更新された場合、鍵管理部112は、更新されたレコードに含まれる暗号鍵IDを取得して、取得した暗号鍵に紐づく暗号鍵を暗号鍵テーブル126から取得し、(S207)、暗号化部113は、取得した暗号鍵で資産情報テーブル123のレコードのデータ(当該データが更新されていれば)を暗号化する(S208)。
【0126】
情報連携部114は、資産情報テーブル123の更新後のレコードを、作業実施装置200に送信し、データ保存部213は、資産情報テーブル223の当該レコードを更新し、資産登録部111は、資産情報テーブル123の当該レコードのデータを削除して(S209)、資産情報更新処理を終了する。
【0127】
なお、ステップS205において、顧客は、自身が有する端末から、レコードの追加内容を示す追加指示を送信してもよい。この場合、ステップS206において、資産登録部111は、当該追加内容に当該顧客IDを紐づけて生成したレコードを資産情報テーブル123に追加する。さらに、ステップS207の処理が省略されて、ステップS208において、暗号化部113は、暗号鍵を生成して、生成した暗号鍵で追加されたデータに含まれるレコードを暗号化し、鍵管理部112は当該暗号鍵に対応する暗号鍵IDを生成し、暗号鍵IDと暗号鍵の組み合わせを暗号鍵テーブル126に格納する。さらに、ステップS209において、情報連携部114は、資産情報テーブル123の追加されたレコードを、作業実施装置200に送信し、データ保存部213は、資産情報テーブル223に当該レコードを追加し、資産登録部111は、資産情報テーブル123の当該追加されたレコードのデータを削除して、資産情報更新処理を終了する。
【0128】
図20は顧客死亡後の資産情報管理処理の一例を示すフローチャートである。死亡した顧客の法定相続人は、送客企業に対して、当該顧客を示す情報(例えば顧客氏名、住所、電話番号等)と、当該顧客の死亡年月日を示す死亡連絡をする(S301)。送客企業は、サービサー企業に対して、当該死亡連絡をする(S302)。なお、死亡した顧客の法定相続人は、送客企業への死亡連絡をすることなく、サービサー企業に対して直接死亡連絡をしてもよい。
【0129】
サービサー企業は、資産管理装置100に当該顧客の死亡情報を登録する(S303)。具体的には、例えば、死亡連絡受領部115は、サービサー企業による入力装置105への当該顧客の顧客ID(例えば、顧客テーブル121を参照すれば、死亡連絡に含まれる顧客氏名、住所、及び電話番号の組み合わせに対応する顧客IDが特定される)と、死亡年月日と、の入力を受け付け、顧客テーブル121の当該顧客IDを含むレコードに当該死亡年月日を格納する。
【0130】
情報連携部114は、作業実施装置200と、死亡情報を連携する死亡情報連携処理を実行する(S304)。ステップS304の死亡情報連携処理の詳細については後述する。データ保存部213は、資産情報テーブル223の当該顧客IDに対応するレコードの削除ランクを参照し、削除ランクに応じてレコードを削除する(S305)。具体的には、データ保存部213は、当該顧客IDに対応するレコードのうち削除ランクが「B」であるレコードを削除し、当該顧客の死亡年月日からN日が経過していればIDに対応するレコードのうち削除ランクが「C」であるレコードも削除する。
【0131】
情報連携部114は、当該顧客の簡易財産目録を生成する簡易財産目録生成処理を実行する(S306)。ステップS306の簡易財産目録生成処理の詳細は後述する。サービサー企業は、資産管理装置100から、簡易財産目録を取得する(S307)。サービサー企業は、取得した簡易財産目録を、法定相続人に送信して(S308)、顧客死亡後の資産情報管理処理を終了する。なお、ステップS307及びステップS308の処理に代えて、資産管理装置100が、簡易財産目録を法定相続人が有する端末に送信する処理が実行されてもよい。
【0132】
図21は、ステップS304の死亡情報連携処理の一例を示すフローチャートである。情報連携部114は、死亡連絡に基づいて、死亡連絡が示す顧客に対応するレコードを顧客テーブル121から取得する(S3041)。情報連携部114は、法定相続人テーブル122から当該顧客IDを含むレコードと、資産情報テーブル123から当該顧客IDを含むレコードと、を取得する(S3042)。
【0133】
情報連携部114は、ステップS3042で取得した資産情報テーブル123のレコードそれぞれに含まれる暗号鍵IDを特定し、暗号鍵テーブル126の特定した暗号鍵IDそれぞれに対応するレコードを取得する(S3043)。情報連携部114は、ステップS3042で法定相続人テーブル122から取得したレコードと、ステップS3041で顧客データから取得したレコードと、ステップS3043で暗号鍵テーブル126から取得したレコードと、作業実施装置200へ送信する(S3044)、死亡情報連携処理を終了する。
【0134】
図22は、ステップS306の簡易財産目録生成処理の一例を示すフローチャートである。復号化部212は、ステップS3044で受信した(暗号鍵テーブル126から取得されたレコードに含まれる)暗号鍵それぞれを用いて、資産情報テーブル123の当該顧客IDに対応するデータを復号化する(S3051)。データ保存部213は、ステップS3051で復号化したデータを、資産情報テーブル223に保存する(S3052)。
【0135】
情報連携部214は、資産情報テーブル223の復号化したデータを含むレコードに基づいて、簡易財産目録を生成し、目録IDを新規に生成し、生成した目録IDと簡易財産目録とを紐づけたレコードを生成する(S3053)。
【0136】
具体的には、例えば、情報連携部214は、資産情報テーブル223において復号化したデータに対応する資産IDと、当該資産IDに資産情報テーブル223に対応する相続人ID及び概算金額と、当該顧客IDに顧客テーブル221において対応する相続税アラート及び遺留分アラートとの値と、作業実施装置200を利用する作業実施企業の企業IDと、目録IDと、を対応付けたレコードを生成する。
【0137】
なお、情報連携部214は、復号化したデータも当該レコードに含めてもよいが、所定の種別の資産のデータ(例えば、預金口座の暗証番号)は当該レコードに含めないことが望ましい。また、情報連携部214は、遺留分アラートの値「1」であるレコードには、当該顧客の相続人のうち遺留超過/侵害額が負の値である相続人の相続人IDを追加してもよい。
【0138】
情報連携部214は、生成したレコードを資産管理装置100に送信し、情報連携部114は受信したレコードを簡易財産目録テーブル125に格納して(S3054)、簡易財産目録生成処理を終了する。なお、資産管理装置100が複数の作業実施装置200から、目録IDと簡易財産目録とが紐づけられたレコードを受信した場合には、情報連携部114は当該複数のレコードを簡易財産目録テーブル125に格納することで、マージされた簡易財産目録を生成する。
【0139】
以上、本実施例の資産管理システムは、資産の種別と、削除ランクと、資産のデータと、含む資産情報を生前に顧客から預かり、顧客の死後には資産の種別ごとの削除ランクに基づいて各種別の資産のデータに対する死後対応(削除するか、削除不可であるか)をした上で簡易財産目録を生成して法定相続人に渡すことで、顧客の生前の意思に基づく相続が行われる。
【0140】
特に、例えば、顧客は、SNSのアカウントとパスワードの組み合わせを削除ランク「B」又は「C」として、資産管理システムに登録することで、当該顧客の死後にSNSのアカウントとパスワードの組み合わせが法定相続人に渡されることがなく、当該顧客のプライバシーが守られる。
【0141】
また、本実施例の資産管理システムは、資産に関するルール変更を検知した場合に必要に応じて削除ランクを変更することで、顧客の死後の資産のデータに対する対応を変更後のルールに適合させることができる。
【0142】
また、本実施例の資産管理システムは、顧客の資産が相続されるときに相続税が発生することを示す相続税アラートや、顧客の資産が相続されるときに遺留分を侵害される相続人が発生することを示す遺留分アラートを、顧客の生存時に発出することにより、被相続人である顧客自身が相続リスクに対処することができるようになり、顧客死亡時の相続時のトラブルが減少する。
【0143】
また、本実施例の資産管理システムは、ルール変更や相続資産の概算金額の変更(特に、ボラティリティの大きい資産)に基づいて、自動的に相続税アラートや遺留分アラートが更新されるため、被相続人である顧客自身が相続リスクに対処することができるようになり、顧客死亡時の相続時のトラブルが減少する。
【0144】
また、本実施例の資産管理システムは、顧客死亡時に相続人に送付される簡易財産目録に相続税アラートや遺留分アラートを含めるため、相続税が発生することや、遺留分を侵害されている相続人が発生していることを、相続人が気付けるため、相続時のトラブルが減少する。
【0145】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0146】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0147】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0148】
100 資産管理装置、101 CPU、102 メモリ、103 補助記憶装置、104 通信装置、105 入力装置、111 資産登録部、112 鍵管理部、113 暗号化部、114 情報連携部、115 死亡連絡受領部、116 相続税計算部、117 遺留分計算部、121 顧客テーブル、122 法定相続人テーブル、123 資産情報テーブル、124 作業実施企業テーブル、125 簡易財産目録テーブル、126 暗号鍵テーブル、127 削除ランクテーブル、128 選択可能削除ランクテーブル、129 相続リスクテーブル、200 作業実施装置、201 CPU、202 メモリ、203 補助記憶装置、204 通信装置、205 入力装置、211 データ取得部、212 復号化部、213 データ保存部、214 情報連携部、223 資産情報テーブル、227 削除ランクテーブル、229 相続リスクテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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