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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107005
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】クローラ装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/30 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
B62D55/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008080
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】柳村 公平
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性が容易で、ベルトの張りを簡易に調整できる小型のクローラ装置を提供する。
【解決手段】クローラ装置1は、切欠部2aを有する本体2と、駆動源Mと、駆動源Mの駆動に伴い回転する主回転部4と、従回転軸5aを有し、主回転部4の回転に追従して従回転軸5aの周りに回転する従回転部5と、本体2の外周に配置され、主回転部4と従回転部5に巻かれるベルト3と、切欠部2aにおいて、従回転軸5aと連結し、ベルト3の張りを調整する張り調整部7と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切欠部を有する本体と、
駆動源と、
前記駆動源の駆動に伴い回転する主回転部と、
従回転軸を有し、前記主回転部の回転に追従して前記従回転軸の周りに回転する従回転部と、
前記本体の外周に配置され、前記主回転部と前記従回転部に巻かれるベルトと、
前記切欠部において、前記従回転軸と連結し、前記ベルトの張りを調整する張り調整部と、
を有する、クローラ装置。
【請求項2】
前記張り調整部は、
前記ベルトの張り量を調整する固定端と、
前記固定端に固定される調整棒と、
を有する、請求項1に記載のクローラ装置。
【請求項3】
前記ベルトは、
外面に形成されるベルト外面突起部と、
内面に形成されるベルト内面突起部と、
を有する、請求項1または2に記載のクローラ装置。
【請求項4】
前記ベルトは、前記ベルト内面突起部の外縁にベルト内面縁部を有する、
請求項3に記載のクローラ装置。
【請求項5】
前記主回転部は、表面に第1溝部を有し、
前記従回転部は、表面に第2溝部を有する、
請求項1~4のいずれかに記載のクローラ装置。
【請求項6】
前記主回転部は、前記第1溝部の外側の表面に第1縁部を有し、
前記従回転部は、前記第2溝部の外側の表面に第2縁部を有する、
請求項5に記載のクローラ装置。
【請求項7】
前記主回転部に伝達する前記駆動源の回転数を調整する歯車調整部を更に有する、
請求項1~6のいずれかに記載のクローラ装置。
【請求項8】
前記歯車調整部は、
前記駆動源と連結する第1の歯車と、
前記主回転部に連結する第2の歯車と、
を有する、請求項7に記載のクローラ装置。
【請求項9】
前記クローラ装置の走行時に、前記従回転部が前記本体の外側に配置される、
請求項1~8のいずれかに記載のクローラ装置。
【請求項10】
前記本体は、前記ベルトの幅内に収容される、
請求項1~9のいずれかに記載のクローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平地、段差、傾斜等の地表面を走行車や台車で移動させる場合、走行輪の外周にゴム等のベルトを装着させる構造が用いられていた。これにより、走行車や台車が滑らかに走行し、走行輪が地表面から受けるダメージが低減する。
【0003】
米国特許第5799743号公報(以下、「特許文献1」)に記載の駆動輪を駆動するための密閉駆動システムは、第1のサイドプレートにそれぞれ形成された第1の内ポケットと、外ポケットと、第2の内ポケットとを有する。また、密閉駆動システムは、第1の内ポケットに取り付けられた駆動歯車と、外ポケットに取り付けられた移送歯車と、第2の内ポケットに取り付けられた被駆動歯車を有する。また、密閉駆動システムは、潤滑剤の漏れを防止するためのシール構造を有する。
【0004】
特許第6827436号公報(以下、「特許文献2」)に記載のクローラ走行装置には、無端帯状のクローラベルトの内側において、駆動ユニットと従動輪とそれらの間に配置されたバッテリ設置部とを支持する支持フレームが、側面視におけるクローラベルトの帯域内である内側に設けられる。更に、バッテリをバッテリ設置部に着脱自在である。
【0005】
クローラ装置の駆動に関する改良も開示されている。例えば、実開平7‐2397号公報(以下「特許文献3」)に記載のクローラ式作業者の走行規制装置は、クローラベルトが掛け回されたスプロケットが、スプロケット付勢手段の付勢力に抗して車体の内側方向に予め定められた移動量以上移動したことを、スプロケット移動検出手段が検出する。このとき、あるいは、傾斜角検出手段により予め定められた傾斜角以上の車体の傾斜が検出されたとき、駆動停止手段がクローラ装置による走行を停止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、走行車(ショベルカー)等の大型の装置のベルト機構の技術改良に関するクローラ装置が多い。そのため、クローラ装置の小型化には、改良の余地がある。
具体的には、ベルト、歯車、筐体等の内部構造を分解しやすい構造により小型化を実現すること、各構成の軽量化を図ること、ベルトの張り(テンション)を調整すること等が求められる。
【0007】
特許文献1は、密閉性を実現する構造を開示するものの、ベルトの張り方の工夫等は記載されていない。
【0008】
特許文献2は、バッテリ箇所に関するものであり、解放防止機構部が部分的に例示されている。
【0009】
特許文献3は、停止機構に関するもので、リミットスイッチやセンサに関する技術を応用している。しかし、実際の凹凸や傾斜している箇所を走行させる場合には、凹凸や傾斜への乗り越え性能や停止時のグリップ力を向上させる必要がある。
【0010】
本発明は、メンテナンスが容易で、ベルトの張りを簡易に調整できる小型のクローラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点は、
切欠部を有する本体と、
駆動源と、
前記駆動源の駆動に伴い回転する主回転部と、
従回転軸を有し、前記主回転部の回転に追従して前記従回転軸の周りに回転する従回転部と、
前記本体の外周に配置され、前記主回転部と前記従回転部に巻かれるベルトと、
前記切欠部において、前記従回転軸と連結し、前記ベルトの張りを調整する張り調整部と、
を有する、クローラ装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メンテナンスが容易で、ベルトの張りを簡易に調整できるクローラ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)平常時のクローラ装置の斜視図、(b)走行時のクローラ装置の斜視図
図2】(a)クローラ装置のベルトの断面図、(b)クローラ装置のベルト外面の上面図、(c)クローラ装置のベルト内面の上面図、(d)主回転部、従回転部、副回転部の断面図
図3】平常時におけるクローラ装置の内部構造を示す斜視図
図4】走行時におけるクローラ装置の内部構造を示す斜視図
図5】(a)初期位置の従回転部を示す側面図、(b)中間突出位置の従回転部を示す側面図、(c)最大突出位置の従回転部を示す側面図
図6】クローラ装置の断面図
図7】(a)変形例1のクローラ装置を取り付けた走行部の斜視図、(b)変形例2のクローラ装置を取り付けた走行部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0015】
(クローラ装置の構成)
本実施形態のクローラ装置1は、平地、段差、傾斜等の面を走行する。図1(a)、(b)に示すように、クローラ装置1は、本体2と、駆動源Mと、ベルト3と、主回転部4と、従回転部5と、副回転部6と、を有する。駆動源Mは、回転力を発生させる。ベルト3は、本体2の外周に配置される。主回転部4は、駆動源Mの駆動に伴い回転する。従回転部5および副回転部6は、主回転部4の回転に追従して回転する。
【0016】
本体2は、第1のプレート2Aと第2のプレート2Bを有する。本体2は、駆動源M、主回転部4、従回転部5、副回転部6を収納する。なお、本体2は、第1のプレート2Aと第2のプレート2Bの2枚のプレートに限られない。本体2は、一体物のケーシングでもよい。また、本体2は、切欠部2aを有する。
【0017】
切欠部2aは、第1のプレート2Aと第2のプレート2Bの一部を切り欠いて形成される。従回転部5は、従回転軸5aを有する。従回転部5の従回転軸5aは、切欠部2a内をスライド可能である。これにより、従回転部5の位置を調整できる。従回転軸5aの先端形状は、例えば、円形や多角形である。このとき、切欠部2aは、従回転軸5aの先端の直径と同等の幅を有する。また、従回転軸5aが第1のプレート2Aと第2のプレート2Bに隠れる位置まで移動できるように、切欠部2aの長さが設定される。
【0018】
図6に示すように、駆動源Mは、筐体M2と、駆動連結部M3と、駆動固定部M4と、を有する。駆動連結部M3は、駆動源Mの先端の突起である。駆動源Mは、駆動連結部M3を介して、主回転部4に回転力を発生させる。駆動源Mは、例えば、外部の電源から供給される電力やエア等を用いて駆動する電動モータやエアモータである。また、駆動源Mは、外部の電源が不要なバッテリ式のモータでもよい。
【0019】
筐体M2は、駆動源Mを収納する。筐体M2により、駆動源Mを本体2に固定しやすくなる。また、筐体M2は、駆動源Mを外部環境から保護する。
駆動連結部M3は、駆動源Mの回転を主回転部4に伝達する突起部である。駆動連結部M3は、例えば、金属製のピンである。
【0020】
駆動固定部M4は、本体2と筐体M2を固定する。駆動固定部M4は、ボルトとナット、雄雌のネジ、ピン等の各種固定具である。
【0021】
ベルト3は、本体2の外周に配置される。ベルト3は、ゴム等の弾性部材であればよい。図2(a)~(d)に示すように、ベルト3は、外面と内面に、異なる数や形状の突起部を有する。
ベルト3は、外面に複数のベルト外面突起部3aを有する。また、ベルト3は、内面に複数のベルト内面突起部3bを有する。また、ベルト3は、内面の縁側に、平坦面のベルト内面縁部3cを有する。ベルト外面突起部3aが走行する面と接触することで、クローラ装置1が走行する。ベルト内面突起部3bとベルト内面縁部3cは、主回転部4、従回転部5、副回転部6と接触することで、駆動源Mの駆動力を確実にベルトに伝達させる。
【0022】
ベルト3は、ベルト外面突起部3aよりも多いベルト内面突起部3bを有する。これにより、ベルト内面突起部3bが主回転部4、従回転部5、副回転部6とより多く接触する。そのため、ベルト3を安定して配置するとともに、走行時のグリップ力が高まる。
【0023】
図2(c)に示すように、ベルト内面突起部3bは、ベルト3の全幅よりも小さい幅を有する。また、ベルト内面突起部3bは、ベルト3の縁側に配置されない。また、ベルト3の内面の縁側には、平坦面のベルト内面縁部3cが形成される。
【0024】
主回転部4は、表面に溝部4bと縁部4cとを有する。従回転部5は、表面に溝部5bと縁部5cとを有する。副回転部6は、表面に溝部6bと縁部6cとを有する。ベルト内面突起部3bが溝部4b、5b、6bと接触することで、駆動源Mの駆動力を効率的に伝達できる。また、ベルト内面縁部3cが縁部4c、5c、6cと接触することで、さらに、駆動源Mの駆動力を効率的に伝達できる。
【0025】
ベルト内面縁部3cに縁部4c、5c、6cを接触させることにより、ベルト3と、主回転部4、従回転部5、副回転部6の幅を小さくできる。また、ベルト内面縁部3cと縁部4c、5c、6cがベルト3の幅の範囲内で形成されるため、ベルト3の全幅を使って走行することで、クローラ装置1の牽引力を発揮できる。
【0026】
図3図6に示すように、主回転部4は、駆動源Mの駆動に伴い、主回転軸4aの周りに回転する回転体である。主回転部4は、本体2内に収納される大きさの円形の断面を有する。クローラ装置1の走行時に、溝部4bがベルト内面突起部3bと接触する。また、縁部4cがベルト内面縁部3cと接触する。
【0027】
主回転軸4aは、主回転部4の中心孔を貫通する。また、主回転軸4aは、本体2の貫通孔に連結する。主回転部4は、本体2に固定される。
主回転軸4aは、ピン状の軸である。
【0028】
主回転軸4aには、歯車調整部8が連結される。駆動源Mの駆動に伴い、駆動連結部M3を介して、主回転軸4aが回転する。これによって、主回転軸4aと連結する主回転部4が回転する。
なお、駆動源Mの駆動力(回転力)を上昇(加速)または下降(減速)させることも可能であるが、歯車調整部8で回転数を調整することで、クローラ装置1の走行速度を調整できる。
【0029】
図6に示すように、歯車調整部8は、駆動源Mの駆動力を主回転部4に伝達する。歯車の溝のピッチ数を変更することで、駆動源Mの駆動力を調整する。歯車調整部8は、第1の歯車8aと、第2の歯車8bと、キー8cと、を有する。
【0030】
第1の歯車8aは、駆動連結部M3と連結し、駆動源Mの駆動力(回転)を伝達する。第2の歯車8bは、キー8cを介して主回転部4に連結される。第2の歯車8bに形成される溝(ギア)と、第1の歯車8aに形成される溝(ギア)がかみ合うことによって、主回転部4が回転する。第2の歯車8bは、第1の歯車8aと別部材であり、ギア比等も適宜設定できる。
【0031】
図3図6に示すように、従回転部5は、主回転部4の回転に追従して、従回転軸5aの周りに回転する回転体である。駆動源Mの駆動に伴い、主回転部4が回転し、その回転力により、従回転部5も回転する。
【0032】
従回転部5は、本体2内に収納される大きさの円形の断面を有する。また、従回転部5は、主回転部4よりも小さい直径を有する。クローラ装置1の走行時に、溝部5bがベルト内面突起部3bと接触する。また、縁部5cがベルト内面縁部3cと接触する。
【0033】
従回転軸5aは、従回転部5の中心孔を貫通する。また、従回転軸5aは、本体2の貫通孔に連結する。従回転軸5aを切欠部2aの幅の範囲でスライドさせることによって、従回転部5の位置を調整できる。
従回転軸5aは、ピン状の軸である。
【0034】
図3に示すように、平常時において、従回転軸5aを切欠部2aの内側に移動させ、従回転部5を本体2の内部に収納する。このとき、ベルト3の交換等の分解作業ができる。
【0035】
図4および図5(a)~(c)に示すように、従回転軸5aを切欠部2aの外側に移動させると、従回転部5が本体2の外部に飛び出す。これにより、クローラ装置1の走行方向前方(図4における左側)がテーパ形状になる。これによって、クローラ装置1の形状が外側に広がり、ベルト3の張りが強い状態となる。
【0036】
図5(a)に示す初期位置の従回転部5の場合、従回転部5は本体2の内部に配置される。図5(b)に示す中間突出位置の従回転部5の場合、従回転部5の一部が本体2から突出する。図5(c)に示す最大突出位置の従回転部5の場合、従回転部5が本体2から更に突出する。
図5(b)および図5(c)の場合、従回転部5とベルト3の配置によって、ベルト3がテーパ形状となる。ベルト3のテーパ形状を調整することにより、ベルト3の張り量を調整できる。また、走行する面の障害物の形状に応じて、ベルト3のテーパ形状を調整できる。
【0037】
図3図6に示すように、副回転部6は、主回転部4の回転に追従して、副回転軸6aの周りに回転する回転体である。駆動源Mの駆動に伴い、主回転部4が回転し、その回転力により、副回転部6も回転する。
【0038】
副回転部6は、本体2内に収納される大きさの円形の断面を有する。また、副回転部6は、主回転部4および従回転部5よりも小さい直径を有する。クローラ装置1の走行時に、溝部6bがベルト内面突起部3bと接触する。また、縁部6cがベルト内面縁部3cと接触する。
【0039】
副回転軸6aは、副回転部6の中心孔を貫通する。また、副回転軸6aは、本体2の貫通孔に連結する。副回転部6は、本体2に固定される。
副回転軸6aは、ピン状の軸である。
【0040】
従回転部5は、切欠部2aにおいて従回転軸5aと連結する張り調整部7の固定または脱着を切り替えることができる。
【0041】
図3および図4に示すように、張り調整部7は、従回転軸5aの位置を固定する。従回転軸5aの位置を内側または外側に変更することで、従回転部5の位置を調整する。張り調整部7は、固定端7aと、調整棒7bと、を有する。固定端7aと調整棒7bは、例えば、ナットとネジである。調整棒7bに形成される溝の位置を固定端7aで合わせることで、従回転軸5aの位置を内側または外側に変更する。
【0042】
なお、クローラ装置1の走行中は、従回転軸5aの位置を変更できない。クローラ装置1の走行中に、従回転部5に過度の押圧が加わるような場合は、従回転部5または張り調整部7にロック機構を追加してもよい。
【0043】
張り調整部7の変形例として、切欠部2aの周りの本体2の側部に目盛りを印字し、従回転軸5aの位置を段階的に調整してもよい。これにより、従回転部5の外側への押出量を段階的に変更できるため、ベルト3の張り量を目視で判断できる。
【0044】
また、張り調整部7の変形例として、圧力シリンダ等によって、従回転軸5aの位置を段階的に調整してもよい。
【0045】
また、本実施形態の切欠部2aは、本体2に平行に溝が形成されるが、走行箇所(平地、段差、傾斜等の面等)の角度に最適な走行ができるように、従回転軸5aを斜め上方または斜め下方にスライドさせてもよい。
【0046】
(変形例1)
走行機構は、複数のクローラ装置1を有してもよい。これにより、狭隘な箇所でも自由に走行できるロボット等にクローラ装置1を適用できる。例えば、図7(a)に示すように、走行部100の側部には、左右に一対の前方クローラ装置1Aと後方クローラ装置1Bが取り付けられる。
【0047】
(変形例2)
図7(b)に示すように、前方クローラ装置1Aと後方クローラ装置1Bの長さを変えてもよい。全長が短いクローラ装置は、段差面等を駆け上がる際に有効に利用できる。また、全長が長いクローラ装置は、平面等における走行性能を向上させることができる。それぞれの特性を考慮して、クローラ装置の配置を変更できる。
【0048】
図7(a)、(b)に示すように、制御部201、202を外部に配置し、クローラ装置1を制御してもよい。制御部201、202は、駆動源Mを駆動させるための電力やエア等の量を管理することで、遠隔で駆動源Mの回転数を制御する。また、張り調整部7を遠隔で制御することによって、従回転部5の位置を調整する。これによって、走行する面(特に、障害物の形状)が変化する場合においても、クローラ装置1が安定して走行できる。
【0049】
以下、本実施形態のクローラ装置1の動作手順を説明する。
まず、クローラ装置1の走行する面、特に、障害物の形状に合わせて、従回転部5の位置を調整する。障害物の形状が走行に影響を与える可能性が低い、比較的平坦な面を走行させる場合は、従回転部5が本体2の内側に隠れる位置に調整する。また、障害物の形状が走行に影響を与える可能性が高い、比較的段差や傾斜のある面を走行させる場合は、従回転部5を本体2の外側の位置に調整する。具体的には、張り調整部7を操作し、従回転軸5aを切欠部2aの外側に移動させることで、従回転部5の位置を調整する。これにより、ベルト3の張りが調整される。
【0050】
次に、駆動源Mを駆動する。これにより、駆動連結部M3から歯車調整部8および主回転軸4aを介して、主回転部4が回転する。主回転部4の回転に伴い、従回転部5および副回転部6を追従させながら、ベルト3が回転し、クローラ装置1が走行する。
【0051】
従回転部5が本体2の外側に位置することによって、ベルト3がテーパ状になる。これにより、段差等を乗り越える際に、段差面で走行停止になりにくく、段差等を駆け上がることができる。
【0052】
また、制御部201、202等を用いて、駆動源Mの回転数や従回転部5の位置を遠隔で制御することによって、走行する面の障害物の形状の度合いが変化する場合においても、クローラ装置1が走行し続けることができる。
例えば、障害物の形状が走行に影響を与える可能性が高い場合は、従回転部5の位置を外部に押し出し、クローラ装置1の走行方向前方のテーパ形状の勾配を大きく設定することで、クローラ装置1が走行しやすくする。また、障害物の形状が走行に影響を与える可能性が低い場合は、従回転部5の位置を外部に押し出すものの、クローラ装置1の走行方向前方のテーパ形状の勾配を小さく設定することで、クローラ装置1が走行しやすくする。
【0053】
以上、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 クローラ装置
2 本体
2A 第1のプレート
2B 第2のプレート
2a 切欠部
3 ベルト
3a ベルト外面突起部
3b ベルト内面突起部
3c ベルト内面縁部
4 主回転部
4a 主回転軸
4b 溝部(第1溝部)
4c 縁部(第1縁部)
5 従回転部
5a 従回転軸
5b 溝部(第2溝部)
5c 縁部(第2縁部)
6 副回転部
6a 副回転軸
6b 溝部
6c 縁部
7 張り調整部
7a 固定端
7b 調整棒
8 歯車調整部
8a 第1の歯車
8b 第2の歯車
8c キー
M 駆動源
M2 筐体
M3 駆動連結部
M4 駆動固定部
100、101 走行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7