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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107026
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】目地ガスケット及び外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/684 20060101AFI20230726BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
E04B1/684 B
F16J15/10 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008108
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大石 恭慈
【テーマコード(参考)】
2E001
3J040
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA04
2E001FA51
2E001GA60
2E001GA72
2E001HD11
2E001HE01
2E001HE02
3J040AA17
3J040BA07
3J040EA02
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA03
3J040HA30
(57)【要約】
【課題】目地ガスケットの組付け作業の作業性を高めつつ、目地ガスケットのシール性を高める。
【解決手段】ガスケット断面形状において、第1保持リップ部(24)の第1部位(24a)とブリッジ部(28)の第2部位(28a)との間隔寸法をL1、第2部位(28a)とブリッジ部(28)の第3部位(28b)との間隔寸法をL2、第2保持リップ部(26)の第4部位(26a)と第2部位(28a)との間隔寸法をL3、第4部位(26a)と第3部位(28b)との間隔寸法をL4とした場合に、L1<L2の関係、及び0.90<(L4/L3)<1.20の関係が成立する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する2つの外壁パネルの間の目地に取付けられる目地ガスケットであって、
支柱部と、
前記支柱部の屋内側端部の側に設けられ、前記支柱部の屋外側端部の側に向かって広がるように形成され、突っ張った状態で前記目地の内側面を保持可能な一対の第1保持リップ部と、
前記支柱部における前記第1保持リップ部よりも屋外側端部の側に設けられ、前記支柱部の屋外側端部の側に向かって広がるように形成され、突っ張った状態で前記目地の内側面を保持可能な一対の第2保持リップ部と、
各第1保持リップ部の中間部と各第2保持リップ部の中間部との間に連結するように設けられたブリッジ部と、を備え、
前記目地ガスケットを前記目地に挿入する方向で切断した断面形状において、
各第1保持リップ部の基端における屋内側の第1部位と、各ブリッジ部の第1保持リップ部側の一端における前記支柱部から遠い側の第2部位との間隔寸法をL1、
各ブリッジ部の前記第2部位と、各ブリッジ部の第2保持リップ部側の他端における前記支柱部から遠い側の第3部位との間隔寸法をL2、
各第2保持リップ部の基端における屋外側の第4部位と、各ブリッジ部の前記第2部位との間隔寸法をL3、
各第2保持リップ部の前記第4部位と、各ブリッジ部の前記第3部位との間隔寸法をL4とした場合に、
L1<L2の関係、及び0.90<(L4/L3)<1.20の関係が成立する、目地ガスケット。
【請求項2】
前記断面形状において、各ブリッジ部は、直線状に形成されている、請求項1に記載の目地ガスケット。
【請求項3】
前記断面形状において、各第1保持リップ部における基端側から各ブリッジ部の第1保持リップ部側の一端側までの領域、及び各第2保持リップ部における基端側から各ブリッジ部の第2保持リップ部側の他端側までの領域は、それぞれ直線状に形成されている、請求項2に記載の目地ガスケット。
【請求項4】
隣接する2つの外壁パネルと、
2つの前記外壁パネルの間の目地に設置され、請求項1から3のいずれか1項に記載の目地ガスケットと、を備える、外壁構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する2つの外壁パネルの間の目地に取付けられる目地ガスケット、及び目地ガスケットを備えた外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、目地ガスケットは、帯状の支柱部と、支柱部の屋内側端部の側に設けられた一対の第1保持リップ部とを備えている。一対の第1保持リップ部は、支柱部の屋外側端部の側に向かって広がるように形成されており、突っ張った状態で目地の内側面を保持可能(押圧可能)である。また、目地ガスケットは、支柱部における第1保持リップ部よりも屋外側端部の側に設けられた一対の第2保持リップ部を備えている。一対の第2保持リップ部は、支柱部の屋外側端部の側に向かって広がるように形成されており、突っ張った状態で目地の内側面を保持可能(押圧可能)である。また、目地ガスケットの剛性を高めて、目地に対する目地ガスケットの保持力を高めるために、各第1保持リップ部の中間部と各第2保持リップ部の中間部との間にブリッジ部が設けられることがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-57717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、目地に対する目地ガスケットの保持力が十分に高くないと、目地に対する目地ガスケットの位置ずれが生じ易くなり、目地ガスケットのシール性が低下する。一方、各ブリッジ部を支柱部に対して平行にするか又は平行に近い状態にすることにより、目地に対する目地ガスケットの保持力を十分に高めると、それに伴い、目地ガスケットを目地に挿入するときの挿入力が増大する。その結果、目地ガスケットを目地に組み付ける組付け作業の作業性が低下する。つまり、目地ガスケットの組付け作業の作業性を高めつつ、目地ガスケットのシール性を高めることは容易でないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、目地ガスケットの組付け作業の作業性を高めつつ、目地ガスケットのシール性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、本願の発明者は、試行錯誤を繰り返した結果、支柱部と一対の第1保持リップ部と一対の第2保持リップ部と一対のブリッジ部とを備えた目地ガスケットについて、次のような新規の知見を得ることができ、本願発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、各第1保持リップ部と連結する各ブリッジ部の第1保持リップ部側の一端を支柱部に近づけて、シール断面形状における所定の第1区間長が所定の第2区間長よりも短くなるようにした場合でも、シール断面形状における所定の第3区間長に対する所定の第4区間長の比率を適正な範囲に設定することにより、目地に対する目地ガスケットの保持力を十分に高めることが分かった(後述の実施例参照)。シール断面形状とは、目地ガスケットを目地に挿入する方向で切断した断面形状のことであり、目地ガスケットをその長手方向に直交する方向で切断した断面形状のことである。
【0008】
ここで、所定の第1区間長とは、各第1保持リップ部の基端における屋内側の第1部位と、各ブリッジ部の第1保持リップ部側の一端における支柱部から遠い側の第2部位との間隔寸法のことである。所定の第2区間長とは、各ブリッジ部の第2部位と、各ブリッジ部の他端における支柱部から遠い側の第3部位との間隔寸法のことである。所定の第3区間長とは、各第2保持リップ部の基端における屋外側の第4部位と、各ブリッジ部の第2部位との間隔寸法のことである。所定の第4区間長とは、各第2保持リップ部の第4部位と各ブリッジ部の第3部位との間隔寸法のことである。また、適正な範囲とは、0.90よりも大きくかつ1.20よりも小さい範囲のことである。
【0009】
本発明の一態様に係る目地ガスケットは、隣接する2つの外壁パネルの間の目地に取付けられる目地ガスケットであって、支柱部と、前記支柱部の屋内側端部の側に設けられ、前記支柱部の屋外側端部の側に向かって広がるように形成され、突っ張った状態で前記目地の内側面を保持可能(押圧可能)な一対の第1保持リップ部と、前記支柱部における前記第1保持リップ部よりも屋外側端部の側に設けられ、前記支柱部の屋外側端部の側に向かって広がるように形成され、突っ張った状態で前記目地の内側面を保持可能(押圧可能)な一対の第2保持リップ部と、各第1保持リップ部の中間部と各第2保持リップ部の中間部との間に連結するように設けられたブリッジ部と、を備える。前記目地ガスケットを前記目地に挿入する方向で切断した断面形状において、各第1保持リップ部の基端における屋内側の第1部位と、各ブリッジ部の第1保持リップ部側の一端における前記支柱部から遠い側の第2部位との間隔寸法をL1、各ブリッジ部の前記第2部位と、各ブリッジ部の第2保持リップ部側の他端における前記支柱部から遠い側の第3部位との間隔寸法をL2、各第2保持リップ部の基端における屋外側の第4部位と、各ブリッジ部の前記第2部位との間隔寸法をL3、各第2保持リップ部の前記第4部位と、各ブリッジ部の前記第3部位との間隔寸法をL4とした場合に、L1<L2の関係、及び0.90<(L4/L3)<1.20の関係が成立する。
【0010】
前記の構成によれば、前記のように、L1<L2の関係が成立するため、各第1保持リップ部に連結する各ブリッジ部の第1保持リップ部側の一端を前記支柱部に近づけて、前記目地に前記目地ガスケットを挿入するときの挿入力を低減することができる。また、前記のように、L1<L2の関係、及び0.90<(L4/L3)<1.20の関係が成立するため、前記の新規な知見を考慮すると、前記目地に対する前記目地ガスケットの保持力を十分に高めることができる。つまり、前記目地に前記目地ガスケットを挿入するときの挿入力を低減しつつ、前記目地に対する前記目地ガスケットの保持力を十分に高めることができる。よって、前記目地ガスケットの組付け作業の作業性を高めつつ、前記目地に対する前記目地ガスケットの位置ずれを抑えて、前記目地ガスケットのシール性を高めることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る目地ガスケットにおいて、前記断面形状において、各ブリッジ部が直線状に形成されてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、前記目地ガスケットの剛性をより高めて、前記目地に対する前記目地ガスケットの保持力をより十分に高めることができる。
【0013】
本発明の一態様に係る目地ガスケットは、前記断面形状において、各第1保持リップ部における基端側から各ブリッジ部の第1保持リップ部側の一端側までの領域、及び各第2保持リップ部における基端側から各ブリッジ部の第2保持リップ部側の他端側までの領域は、それぞれ直線状に形成されてもよい。
【0014】
前記の構成によれば、前記目地ガスケットの剛性を更に高めて、前記目地に対する前記目地ガスケットの保持力を更に高めることができる。
【0015】
また、前記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る外壁構造は、隣接する2つの外壁パネルと、2つの前記外壁パネルの間の目地に設置された前記目地ガスケットとを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、目地ガスケットの組付け作業の作業性を高めつつ、目地に対する目地ガスケットの位置ずれを抑えて、目地ガスケットのシール性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る外壁構造の模式的な断面図である。
図2】本実施形態に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で切断した模式的な断面図である。
図3】本実施形態の変形例1に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で切断した模式的な断面図である。
図4】本実施形態の変形例2に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で切断した模式的な断面図である。
図5】目地から引き抜く途中の本実施形態に係る目地ガスケットの状態を示す図である。
図6】目地から引く抜く直前の本実施形態に係る目地ガスケットの状態を示す図である。
図7】比較例に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で切断した模式的な断面図である。
図8】目地から引き抜く途中の比較例に係る目地ガスケットの状態を示す図である。
図9】目地から引く抜く直前の比較例に係る目地ガスケットの状態を示す図である。
図10】L1<L2の場合、L1=L2の場合、及びL1>L2の場合における、目地ガスケットの挿入力と(L4/L3)との関係を示す図である。
図11】L1<L2の場合における、目地ガスケットの挿入力と(L4/L3)との関係を示す図である。
図12】L1<L2の場合、L1=L2の場合、及びL1>L2の場合における、目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係を示す図である。
図13】L1<L2の場合における、目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係を示す図である。
図14】本実施形態(変形例1、2を含む)に係る目地ガスケットの挿入力・保持力、及び比較例に係る目地ガスケットの挿入力・保持力を示す図である。
図15】目地ガスケットの保持力を求めるための試験方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本願の明細書及び特許請求の範囲において、支柱部の屋内側端部とは、目地ガスケットを目地に設置した場合に、屋内側に位置する支柱部の端部のことである。支柱部の屋外側端部とは、目地ガスケットを目地に設置した場合に、屋外側に位置する支柱部の端部のことである。圧接とは、圧力をもって接触することをいう。対称とは、完全に対称であることの他に、製造上必然的に生じる誤差の範囲内で非対称となることも含む意である。直線状とは、完全な直線状であることの他に、製造上必然的に生じる誤差の範囲内で非直線状となることも含む意である。図面中、「RI」は屋内側、「RE」は屋外側、「LD」は目地ガスケットの長手方向、「WD」は目地ガスケットの幅方向、「HD」は目地ガスケットの高さ方向をそれぞれ指している。
【0019】
〔本実施形態〕
図1及び図2を参照して、本実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る外壁構造の模式的な断面図である。図2は、本実施形態に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で切断した模式的な断面図である。
【0020】
(外壁構造10の概要)
図1に示すように、本実施形態に係る外壁構造10は、住宅等の建物に用いられる構造体である。外壁構造10は、隣接する2つの外壁パネル12を備えており、隣接する2つの外壁パネル12の間には、目地14が形成されている。目地14の屋外側の縁部14eは、外壁パネル12の側縁部に相当する。目地14の内側面14fは、外壁パネル12の側面に相当する。また、外壁構造10は、2つの外壁パネル12の間の目地14に設置された目地ガスケット16を備えている。目地ガスケット16は、目地14から屋内側への水の侵入を防止するためのシール部材である。そして、本実施形態に係る目地ガスケット16の具体的な構成は、以下の通りである。
【0021】
(目地ガスケット16)
図2に示すように、2つの外壁パネル12の間の目地14に取付けられる目地ガスケット16は、例えば合成ゴム又はエラストマーと称されるゴム状弾性体から構成されており、押出成形によって製造される。ゴム状弾性体の例として、EPDM(エチレンプロピレンジエン共重合ゴム)、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)、TPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)、CPE(塩素化ポリエチレン)、CSM(クロロスルホン化ポリエチレン)、PVC(塩化ビニル)、及びPVCを使用したTPE(Thermoplastic Elastomer:熱可塑性エラストマー)等が挙げられる。また、使用するゴム状弾性体は、発泡材でもあってもよく、又は非発泡材であってもよい。
【0022】
(支柱部18)
図1及び図2に示すように、目地ガスケット16は、帯状の支柱部18を備えており、支柱部18は、目地ガスケット16の長手方向に延びている。支柱部18の屋外側端部18eの側は、屋内側端部18iの側よりも太くなっている。また、支柱部18の屋外側端部18eの側には、空洞部20が形成されている。支柱部18の長さ寸法(長手方向の寸法)は、目地14の長さ寸法と同程度に設定されている。支柱部18の幅寸法(幅方向の寸法)は、目地14の幅寸法よりも小さく設定されている。支柱部18の高さ寸法(高さ方向の寸法)は、外壁パネル12の厚み寸法(厚み方向の寸法)と同程度又は外壁パネル12の厚み寸法よりも小さく設定されている。
【0023】
(外側リップ部22)
図2に示すように、目地ガスケット16は、支柱部18の屋外側端部18eに設けられた一対の外側リップ部22を備えている。各外側リップ部22は、目地ガスケット16の長手方向に延びている。一対の外側リップ部22は、目地ガスケット16の幅方向に広がるように形成されている。また、一対の外側リップ部22は、目地ガスケット16の幅方向の中心線に対して対称になっている。各外側リップ部22の先端側は、支柱部18の屋内側端部18iの側に向かって湾曲している。
【0024】
図1及び図2に示すように、各外側リップ部22は、その弾性力によって目地14の縁部14eに圧接可能である。各外側リップ部22は、屋外側から目地14内への水の侵入を抑える。一方の外側リップ部22の先端と他方の外側リップ部22の先端との間隔寸法は、目地14の幅寸法よりも大きく設定されている。
【0025】
(第1保持リップ部24)
図2に示すように、目地ガスケット16は、支柱部18の屋内側端部の側に設けられた一対の第1保持リップ部24を備えている。各第1保持リップ部24は、目地ガスケット16の長手方向に延びている。一対の第1保持リップ部24は、支柱部18の屋外側端部18eの側に向かって目地ガスケット16の幅方向に広がるように形成されている。また、一対の第1保持リップ部24は、目地ガスケット16の幅方向の中心線に対して対称になっている。各第1保持リップ部24は、その基端側から先端側に向かって徐々に薄肉になっている。
【0026】
図1及び図2に示すように、各第1保持リップ部24は、その弾性力によって目地14の内側面14fに圧接可能である。換言すれば、一対の第1保持リップ部24は、突っ張った状態で目地14の内側面14fを保持可能(押圧可能)である。各第1保持リップ部24は、目地14内から屋内側への水の侵入を抑える。一方の第1保持リップ部24の先端と他方の第1保持リップ部24の先端との間隔寸法は、一方の外側リップ部22の先端と他方の外側リップ部22の先端との間隔寸法よりも大きく設定されている。
【0027】
(第2保持リップ部26)
図2に示すように、目地ガスケット16は、支柱部18における第1保持リップ部24よりも屋外側端部18eの側に設けられた一対の第2保持リップ部26を備えている。各第2保持リップ部26は、目地ガスケット16の長手方向に延びている。一対の第2保持リップ部26は、支柱部18の屋外側端部18eの側に向かって目地ガスケット16の幅方向に広がるように形成されている。また、一対の第2保持リップ部26は、目地ガスケット16の幅方向の中心線に対して対称になっている。各第2保持リップ部26は、その基端側から先端側に向かって徐々に薄肉になっている。
【0028】
図1及び図2に示すように、各第2保持リップ部26は、その弾性力によって目地14の内側面14fに圧接可能である。換言すれば、一対の第2保持リップ部26は、突っ張った状で目地14の内側面14fを保持可能(押圧可能)である。各第2保持リップ部26は、目地14内から屋内側への水の侵入を抑える。一方の第2保持リップ部26の先端と他方の第2保持リップ部26の先端との間隔寸法は、一方の第1保持リップ部24の先端から他方の第1保持リップ部24の先端までの寸法と同程度に設定されている。
【0029】
(ブリッジ部28等)
図2に示すように、目地ガスケット16は、各第1保持リップ部24の中間部(基端と先端との間の部位)と各第2保持リップ部26の中間部との間に連結するように設けられたブリッジ部28を備えている。各ブリッジ部28は、目地ガスケット16の長手方向に延びている。各ブリッジ部28の第1保持リップ部24側の一端は、各第1保持リップ部24の中間部に連結されている。各ブリッジ部28の第2保持リップ部26側の他端は、各第2保持リップ部26の中間部に連結されている。一対のブリッジ部28は、支柱部18の屋外側端部18eの側に向かって目地ガスケット16の幅方向に広がるように形成されている。一対のブリッジ部28は、目地ガスケット16の幅方向の中心線に対して対称になっている。
【0030】
目地ガスケット16を目地に挿入する方向で切断した断面形状(以下、ガスケット断面形状という)において、ガスケット断面形状における各ブリッジ部28は、直線状に形成されている。ガスケット断面形状は、目地ガスケット16をその長手方向に直交する方向で切断した断面形状である。また、ガスケット断面形状において、各第1保持リップ部24における基端側から各ブリッジ部28の一端側までの領域は、直線状に形成されている。ガスケット断面形状において、各第2保持リップ部26における基端側から各ブリッジ部28の他端側までの領域は、直線状に形成されている。
【0031】
(新規な知見に基づく構成)
図2に示すように、ガスケット断面形状において、各第1保持リップ部24の基端における屋内側の第1部位24aと各ブリッジ部28の一端における支柱部18から遠い側の第2部位28aとの間隔寸法(所定の第1区間長)をL1として設定する。また、ガスケット断面形状において、各ブリッジ部28の第2部位28aと各ブリッジ部28の他端における支柱部18から遠い側の第3部位28bとの間隔寸法(所定の第2区間長)をL2として設定する。
【0032】
ガスケット断面形状において、各第2保持リップ部26の基端における屋外側の第4部位26aと各ブリッジ部28の第2部位28aとの間隔寸法(所定の第3区間長)をL3として設定する。また、ガスケット断面形状において、各第2保持リップ部26の第4部位26aと各ブリッジ部28の第3部位28bとの間隔寸法(所定の第4区間長)をL4として設定する。ガスケット断面形状において、各第1保持リップ部24の第1部位24aと各第2保持リップ部26の第4部位26aとの間隔寸法(所定の第5区間長)をL5として設定する。
【0033】
ガスケット断面形状において、所定の第1区間長、所定の第2区間長、所定の第3区間長、所定の第4区間長をそれぞれL1、L2、L3、L4として設定した場合に、L1<L2の関係、及び0.90<(L4/L3)<1.20の関係が成立する。ここで、L1<L2の関係が成立するようにしたのは、各第1保持リップ部24と連結する各ブリッジ部28の一端を支柱部18に近づけて、目地14に目地ガスケット16を挿入するときの挿入力を低減するためである。0.90<(L4/L3)<1.20の関係が成立するようにしたのは、目地14に対する目地ガスケット16の保持力を十分に高めるためである。(L4/L3)<1.20の関係が成立するようにしたのは、(L4/L3)が1.20以上になると、各ブリッジ部28の一端を各第1保持リップ部24の中間部に連結することが製造上困難になるからである。
【0034】
(作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0035】
目地ガスケット16においては、前記のように、L1<L2の関係が成立するため、各第1保持リップ部24に連結する各ブリッジ部28の一端を支柱部18に近づけて、目地14に目地ガスケット16を挿入するときの挿入力を低減することができる。また、目地ガスケット16においては、前記のように、L1<L2の関係、及び0.90<(L4/L3)<1.20の関係が成立するため、前記の新規な知見を考慮すると、目地14に対する目地ガスケット16の保持力を十分に高めることができる。つまり、目地ガスケット16の構成によれば、目地14に目地ガスケット16を挿入するときの挿入力を低減しつつ、目地14に対する目地ガスケット16の保持力を十分に高めることができる。
【0036】
特に、前記のように、ガスケット断面形状において、各ブリッジ部28は、直線状に形成されている。また、ガスケット断面形状において、各第1保持リップ部24における基端側から各ブリッジ部28の一端側までの領域、及び各第2保持リップ部26における基端側から各ブリッジ部28の他端側までの領域は、それぞれ直線状に形成されている。そのため、目地ガスケット16の構成によれば、目地ガスケット16の剛性をより高めて、目地14に対する目地ガスケット16の保持力をより十分に高めることができる。
【0037】
よって、本実施形態によれば、目地14に目地ガスケット16を組み付ける組付け作業の作業性を高めつつ、目地14に対する目地ガスケット16の位置ずれを抑えて、目地ガスケット16のシール性を高めることができる。
【0038】
〔本実施形態の変形例〕
図3及び図4を参照して、本実施形態の変形例について説明する。図3は、本実施形態の変形例1に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で断面した模式的な断面図である。図4は、本実施形態の変形例2に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で断面した模式的な断面図である。なお、説明の便宜上、本実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0039】
(目地ガスケット16A)
図3に示すように、本実施形態の変形例1に係る目地ガスケット16Aは、前記の目地ガスケット16と同様の構成を有しており、目地ガスケット16Aの構成のうち、目地ガスケット16の構成と異なる部分についてのみ説明する。目地ガスケット16Aの目地14(図1参照)に挿入する方向で切断したガスケット断面形状において、各ブリッジ部28は、直線状ではなく、支柱部18の反対側に向かって窪んだ凹湾曲状に形成されている。
【0040】
そして、目地ガスケット16Aの構成によれば、目地14に目地ガスケット16Aを挿入するときの挿入力を低減しつつ、目地14に対する目地ガスケット16Aの保持力を十分に高めることができる。よって、本実施形態の変形例1によれば、前記の本実施形態と同様の効果を奏する。
【0041】
(目地ガスケット16B)
図4に示すように、本実施形態の変形例2に係る目地ガスケット16Bは、前記の目地ガスケット16と同様の構成を有しており、目地ガスケット16Bの構成のうち、目地ガスケット16の構成と異なる部分についてのみ説明する。目地ガスケット16Bの目地14(図1参照)に挿入する方向で切断したガスケット断面形状において、各ブリッジ部28は、直線状ではなく、支柱部18に向かって突出した凸湾曲状に形成されている。
【0042】
そして、目地ガスケット16Bの構成によれば、目地14に目地ガスケット16Bを挿入するときの挿入力を低減しつつ、目地14に対する目地ガスケット16Bの保持力を十分に高めることができる。よって、本実施形態の変形例2によれば、前記の本実施形態と同様の効果を奏する。
【実施例0043】
〔実施例1〕
図2図5から図9を参照して、実施例1について説明する。図5は、目地から引き抜く途中の図2に示す本実施形態に係る目地ガスケットの状態を示す図である。図6は、目地から引く抜く直前の本実施形態に係る目地ガスケットの状態を示す図である。図7は、比較例に係る目地ガスケットを目地に挿入する方向で切断した模式的な断面図である。図8は、目地から引き抜く途中の図7の比較例に係る目地ガスケットの状態を示す図である。図9は、目地から引く抜く直前の比較例に係る目地ガスケットの状態を示す図である。
【0044】
本願発明者は、図2に示す本実施形態に係る目地ガスケット16に長手方向に沿って一様な引き抜き力を与えて、目地14から引き抜く途中の目地ガスケット16の状態、及び目地14から引く抜く直前の目地ガスケット16の状態についてCAE解析を行った。本解析において、L1=0.63L4、L2=0.92L4、L3=0.95L4、L5=1.03L4とした。そして、引き抜く途中の目地ガスケット16の状態の解析結果は、図5に示すようになる。引き抜く直前の目地ガスケット16の状態の解析結果は、図6に示すようになる。図5及び図6中の矢印は、目地ガスケット16の各部位に働く力の向きを表している。ここで、例えば「L1=0.63L4」とは、L1がL4の0.63倍の長さであることを示しており、上記した別の表記で説明すると「L2=0.92L4」とは、L2がL4の0.92倍であることを示している。
【0045】
また、本願発明者は、図7に示す比較例に係る目地ガスケット30に長手方向に沿って一様な引張力(引き抜き力)を与えて、目地14から引き抜く途中の目地ガスケット30の状態、及び目地14から引く抜く直前の目地ガスケット30の状態について解析を行った。本解析において、L1=0.81L4、L2=0.86L4、L3=1.11L4、L5=1.03L4としてそれぞれ設定した。そして、引き抜く途中の目地ガスケット30の状態の解析結果は、図8に示すようになる。引き抜く直前の目地ガスケット30の状態の解析結果は、図9に示すようになる。図8及び図9中の矢印は、目地ガスケット16の各部位に働く力の向きを表している。
【0046】
ここで、図7に示す比較例に係る目地ガスケット30においては、L1>L2の関係、及び(L4/L3)=0.9の関係が成立する。目地ガスケット30は、従来品に係る目地ガスケットである。図7において、本実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記している。
【0047】
図5及び図6に示すように、図2に示す本実施形態は、目地14から目地ガスケット16を引き抜く途中から引き抜く直前にかけて、各第1保持リップ部24における基端側から各ブリッジ部28の一端側までの領域には、支柱部18側に向かう力が働く。各第2保持リップ部26における基端側から各ブリッジ部28の他端側までの領域には、支柱部18側に向かう力が働く。各ブリッジ部28には、各第2保持リップ部26側に向かう力が働く。
【0048】
そして、目地14から目地ガスケット16を引き抜く途中から引き抜く直前にかけて、各ブリッジ部28において各第2保持リップ部26側に向かって働く力が、各第2保持リップ部26の先端側と目地14の内側面14fとの接触部に更に向かっていることが分かった。つまり、各ブリッジ部28によって突っ張った状態で目地14の内側面14fを保持する一対の第2保持リップ部26の保持力が十分に高くなって、目地ガスケット16が目地14から抜け難くなることが分かった。換言すれば、各ブリッジ部28によって目地14に対する目地ガスケット16の保持力が十分に高くなることが分かった。
【0049】
図8及び図9に示すように、図7に示す比較例は、目地14から目地ガスケット30を引き抜く途中から引き抜く直前にかけて、各第1保持リップ部24における基端側から各ブリッジ部28の一端側までの領域には、支柱部18側に向かう力が働く。各第2保持リップ部26における基端側から各ブリッジ部28の他端側までの領域には、支柱部18側に向かう力が働く。各ブリッジ部28には、各第2保持リップ部26側に向かう力が働く。
【0050】
そして、目地14から目地ガスケット30を引き抜く途中から引き抜く直前にかけて、各ブリッジ部28において各第2保持リップ部26側に向かって働く力が、各第2保持リップ部26の先端側と目地14の内側面14fとの接触部から支柱部18側に離れた方向に向かっていることが分かった。つまり、各ブリッジ部28によって突っ張った状態で目地14の内側面14fを保持する一対の第2保持リップ部26の保持力が十分に高くならず、目地ガスケット16が目地14から抜け易くなることが分かった。換言すれば、各ブリッジ部28によって目地14に対する目地ガスケット16の保持力が十分に高くならないことが分かった。
【0051】
〔実施例2〕
図2図7図10から図13を参照して、実施例2について説明する。図10は、L1<L2の場合、L1=L2の場合、及びL1>L2の場合における、目地ガスケットの挿入力と(L4/L3)との関係を示す図である。図11は、L1<L2の場合における、目地ガスケットの挿入力と(L4/L3)との関係を示す図である。図12は、L1<L2の場合、L1=L2の場合、及びL1>L2の場合における、目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係を示す図である。図13は、L1<L2の場合における、目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係を示す図である。
【0052】
図2及び図7に示すように、本願発明者は、各第1保持リップ部24の長さ寸法、各第2保持リップ部26の長さ寸法、L4、L5(=1.03L4)を固定した状態で、L1、L2、L3を変えながら、目地に挿入するときの目地ガスケットの挿入力と(L4/L3)との関係について解析した。本解析においては、目地ガスケットの長手方向に沿って一様な押圧力を与えた状態で、目地に挿入するときの押圧力を、目地ガスケットの挿入力とした。
【0053】
そして、L1<L2の場合、L1=L2の場合、及びL1>L2の場合における、目地に挿入するときの目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係について解析結果をまとめると、図10に示すようになる。(L4/L3)の範囲を拡げて、L1<L2の場合における、目地に挿入するときの目地ガスケットの挿入力と(L4/L3)との関係について解析結果をまとめると、図11に示すようになる。なお、図10及び図11における目地ガスケットの挿入力の値は、無次元化している。
【0054】
本願発明者は、各第1保持リップ部24の長さ寸法、各第2保持リップ部26の長さ寸法、L4、L5(=1.03L4)を固定した状態で、L1、L2、L3を変えながら、目地に対する目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係について解析した。本解析においては、目地ガスケットの長手方向に沿って一様な引き抜き力を与えた状態で、目地から目地ガスケットを引く抜く直前の引く抜き力を、目地に対する目地ガスケットの保持力とした。
【0055】
そして、L1<L2の場合、L1=L2の場合、及びL1>L2の場合における、目地14に対する目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係について解析結果をまとめると、図12に示すようになる。(L4/L3)の範囲を拡げて、L1<L2の場合における、目地に対する目地ガスケットの保持力と(L4/L3)との関係について解析結果をまとめると、図13に示すようになる。なお、図12及び図13における目地ガスケットの保持力の値は、無次元化している。
【0056】
本解析における設定は、以下のとおりである。
【0057】
L1<L2でかつ(L4/L3)=0.85の場合に、L1=0.87L4、L2=0.89L4と設定
L1<L2でかつ(L4/L3)=0.90の場合に、L1=0.81L4、L2=0.86L4と設定
L1<L2でかつ(L4/L3)=0.95の場合に、L1=0.79L4、L2=0.84L4と設定
L1<L2でかつ(L4/L3)=1.00の場合に、L1=0.71L4、L2=0.89L4と設定
L1<L2でかつ(L4/L3)=1.05の場合に、L1=0.63L4、L2=0.92L4と設定
L1<L2でかつ(L4/L3)=1.10の場合に、L1=0.55L4、L2=0.97L4と設定
L1<L2でかつ(L4/L3)=1.15の場合に、L1=0.50L4、L2=L4と設定
L1<L2でかつ(L4/L3)=1.20の場合に、L1=0.42L4、L2=1.05L4と設定。
【0058】
L1=L2でかつ(L4/L3)=0.90の場合に、L1=L2=0.84L4と設定
L1=L2でかつ(L4/L3)=0.95の場合に、L1=L2=0.81L4と設定
L1=L2でかつ(L4/L3)=1.00の場合に、L1=L2=0.79L4と設定
L1=L2でかつ(L4/L3)=1.05の場合に、L1=L2=0.76L4と設定。
【0059】
L1>L2でかつ(L4/L3)=0.90の場合に、L1=0.89L4、L2=0.81L4と設定
L1>L2でかつ(L4/L3)=0.95の場合に、L1=0.87L4、L2=0.76L4と設定
L1>L2でかつ(L4/L3)=1.00の場合に、L1=0.84L4、L2=0.74L4と設定
L1>L2でかつ(L4/L3)=1.05の場合に、L1=0.78L4、L2=0.68L4と設定。
【0060】
図10に示すように、L1<L2の場合には、L1=L2の場合及びL1>L2の場合に比較して、0.90<(L4/L3)<1.00の範囲において、目地に挿入するときの目地ガスケットの挿入力のばらつきはあるものの、目地ガスケットの挿入力が下がる傾向を示すことを確認できた。また、図11に示すように、L1<L2の場合には、0.90<(L4/L3)<1.20の範囲において、目地ガスケットの挿入力のばらつきはあるものの、目地ガスケットの挿入力が下がった状態で安定していることを確認できた。
【0061】
図12に示すように、L1<L2の場合には、L1=L2の場合及びL1>L2の場合に比較して、(L4/L3)が0.97以上において、目地に対する目地ガスケットの保持力のばらつきはあるものの、目地ガスケットの保持力が高くなる傾向を示すことを確認できた。また、図13に示すように、L1<L2の場合には、0.90<(L4/L3)<1.20の範囲において、規格値に比べて、目地ガスケットの保持力のばらつきはあるものの、目地ガスケットの保持力が高くなる傾向を示すことを確認できた。規格値とは、目地ガスケットのシール性を十分に発揮するための目地に対する目地ガスケットの保持力のことである。図13における規格値及び従来品の保持力の値は、無次元化している。
【0062】
つまり、各第1保持リップ部と連結する各ブリッジ部の一端を支柱部に近づけて、L1がL2よりも短くなるようにした場合であれば、0.90<(L4/L3)<1.20の範囲に設定することにより、目地に対する目地ガスケットの保持力を十分に高め、低い挿入力を維持することが分かった。
【0063】
〔実施例3〕
図14を参照して、実施例3について説明する。図14は、本実施形態(変形例1、2を含む)に係る目地ガスケットの挿入力・保持力、及び比較例に係る目地ガスケットの挿入力・保持力を示す図である。
【0064】
本願発明者は、目地に挿入するときの本実施形態の目地ガスケット16(図2),16A(図3),16B(図4),及び比較例30(図7)の挿入力、及び目地に対する目地ガスケット16,16A,16B,30の保持力について解析した。なお、解析の際は、目地ガスケット16,16A,16Bにおいて、L1=0.63L4、L2=0.92L4、L3=0.95L4、L5=1.03L4として設定した。また、目地ガスケット30において、L1=0.89L4、L2=0.81L4、L3=1.11L4、L5=1.03L4として設定した。
【0065】
本解析においては、目地ガスケット16,16A,16B,30の長手方向に沿って一様な押圧力を与えた状態で、目地に挿入するときの押圧力を、目地ガスケット16,16A,16B,30の挿入力とした。目地ガスケット16,16A,16B,30の長手方向に沿って一様な引張力(引き抜き力)を与えた状態で、目地から目地ガスケット16,16A,16B,30を引く抜く直前の引張力を、目地に対する目地ガスケット16,16A,16B,30の保持力とした。
【0066】
そして、目地に挿入するときの目地ガスケット16,16A,16B,30の挿入力、及び目地に対する目地ガスケット16,16A,16B,30の保持力について解析結果をまとめると、図14に示すようになる。
【0067】
目地に挿入するときの目地ガスケット16,16A,16Bの挿入力は、目地に挿入するときの比較例の目地ガスケット30の挿入力よりも低減できることが確認できた。また、目地に対する本実施形態の目地ガスケット16,16A,16Bの保持力は、目地に対する目地ガスケット30の保持力よりも高くなることが分かった。特に、目地に対する目地ガスケット16の保持力は、目地に対する目地ガスケット30の保持力よりもより高くなることが分かった。
【0068】
つまり、ガスケット断面形状において、各ブリッジ部28が直線状に形成されている場合には、目地に対する目地ガスケットの保持力をより十分に高めることが分かった。
【0069】
〔実施例4〕
図15を参照して、実施例4について説明する。図15は、目地ガスケットの保持力を求めるための試験方法を説明する図である。
【0070】
図15に示すように、本願発明者は、目地治具32及び目地ガスケット16,30から切り出した実際に成形した試験品16T(図2の断面形状),30T(図7の断面形状)を用い、目地に対する目地ガスケット16,30の保持力を求めるための試験を行った。本試験においては、試験品16T,30Tの一端に取付けた針金(図示省略)を上方向に引張力(引き抜き力)PFを与えて、試験品16T,30Tを目地治具32から引き抜くまでの針金34の最大引張力を、目地に対する目地ガスケット16,30の保持力とした。
【0071】
そして、本試験の結果としては、目地に対する本実施形態の目地ガスケット16の保持力は、29.4Nであり,目地に対する比較例の目地ガスケット30の保持力は、13.8Nであった。つまり、本試験においても、目地ガスケット16の保持力が目地ガスケット30の保持力よりも高くなることが確認できた。
【0072】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10 外壁構造
12 外壁パネル
14 目地
14e 縁部
14f 内側面
16 目地ガスケット(本実施形態に係る目地ガスケット)
18 支柱部
20 空洞部
22 外側リップ部
24 第1保持リップ部
24a 第1部位
26 第2保持リップ部
26a 第4部位
28 ブリッジ部
28a 第2部位
28b 第3部位
16A 目地ガスケット(本実施形態の変形例1に係る目地ガスケット)
16B 目地ガスケット(本実施形態の変形例2に係る目地ガスケット)
30 目地ガスケット(比較例に係る目地ガスケット)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15