(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107061
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】電力協調制御システム、電力協調制御方法及び電力協調制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20230726BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008154
(22)【出願日】2022-01-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
(71)【出願人】
【識別番号】312002347
【氏名又は名称】株式会社エナリス
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健
(72)【発明者】
【氏名】星野 光保
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力リソースの信頼度に見合った制御可能量を設定することで電力リソースの最適配置を実現する。
【解決手段】管理サーバ2は、各電力リソースの稼動を協調させて制御する協調制御部27bと、発電又は消費した電力量を測定して実績データを生成するスマートメーター41と、協調制御部27bによる各電力リソースに対する制御の履歴を蓄積する制御履歴データベース21eと、各電力リソースの実績データを解析し、電力リソース毎の信頼度を算出する信頼度算出部27gと、信頼度に応じて電力リソースをレベル分けしてグルーピングする信頼度フィルタリング部27dと、各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測する制御可能量予測部27eと、を備える。統括制御部は、制御可能量予測部が予測した制御可能量に従って必要なリソース構成を算出し、各電力リソースの稼動を協調させながら高速フィードバック制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力網上に多数分散配置された発電装置及び蓄電装置を含む電力リソースを協調制御により統括的に制御する電力協調制御システムであって、
各電力リソースの稼動を協調させて制御する協調制御部と、
前記電力リソースによる発電又は消費した電力量を測定して実績データを生成する実績データ生成部と、
前記協調制御部による各電力リソースに対する制御の履歴を蓄積する制御履歴蓄積部と、
各電力リソースの実績データを解析し、電力リソースごとの信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度に応じて電力リソースをレベル分けしてグルーピングする信頼度フィルタリング部と、
各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測する制御可能量予測部と
を備え、
前記統括制御部は、前記制御可能量予測部が予測した制御可能量に従って必要なリソース構成を算出し、各電力リソースの稼動を協調させて制御する
ことを特徴とする電力協調制御システム。
【請求項2】
前記各電力リソースは、高周波数帯域を介した無線通信網に接続され、高速且つ超低遅延の高速フィードバックを行う機能を備え、
前記協調制御部は、前記高速フィードバックを介して、前記制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力協調制御システム。
【請求項3】
前記高速フィードバックの応答速度を計測する高速フィードバック管理部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記高速フィードバック管理部が計測した応答速度とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の電力協調制御システム。
【請求項4】
前記実績データに基づいて、前記電力リソースの異常を検知する異常検知部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記異常検知部が検知した異常の発生率とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力協調制御システム。
【請求項5】
実際に発生した電力リソースの異常に関する情報を監視履歴として蓄積する監視履歴蓄積部と、
前記監視履歴蓄積部に蓄積された故障情報に記述された実際の異常に係る電力リソースの実績データを抽出し、異常に関する情報及び抽出された実績データを教師データとして、前記異常検知部の人工知能を学習させる学習部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力協調制御システム。
【請求項6】
電力網上に多数分散配置された発電装置及び蓄電装置を含む電力リソースを協調制御により統括的に制御する電力協調制御方法であって、
協調制御部が、各電力リソースの稼動を協調させて制御する協調制御ステップと、
前記協調制御部による各電力リソースに対する制御実績の履歴である実績データを実績データ蓄積部が蓄積する実績データ蓄積ステップと、
信頼度算出部が、各電力リソースの実績データを解析し、電力リソースごとの信頼度を算出する信頼度算出ステップと、
信頼度フィルタリング部が、前記信頼度に応じて電力リソースをレベル分けしてグルーピングする信頼度フィルタリングステップと、
制御可能量予測部が、各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測する制御可能量予測ステップと
を含み、
前記統括制御ステップにおいて前記統括制御部は、前記制御可能量予測部が予測した制御可能量に従って必要なリソース構成を算出し、各電力リソースの稼動を協調させて制御する
ことを特徴とする電力協調制御方法。
【請求項7】
前記各電力リソースに備えられた、高速且つ超低遅延の高速フィードバック機能が、高周波数帯域を介した無線通信網を通じて高速フィードバックを行うステップをさらに含み、
前記協調制御ステップにおいて前記協調制御部は、前記高速フィードバック機能を介して、前記制御を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の電力協調制御システム。
【請求項8】
高速フィードバック管理部が、前記高速フィードバック機能の応答速度を計測する高速フィードバック管理ステップをさらに含み、
前記信頼度算出ステップにおいて前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記高速フィードバック管理部が計測した応答速度とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことを特徴とする請求項7に記載の電力協調制御方法。
【請求項9】
異常検知部が、前記実績データに基づいて、前記電力リソースの異常を検知する異常検知ステップをさらに含み、
前記信頼度算出ステップにおいて前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記異常検知部が検知した異常の発生率とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の電力協調制御方法。
【請求項10】
実際に発生した電力リソースの異常に関する情報を監視履歴として監視履歴蓄積部が蓄積する監視履歴蓄積ステップと、
学習部が、前記監視履歴蓄積部に蓄積された故障情報に記述された実際の異常に係る電力リソースの実績データを抽出し、異常に関する情報及び抽出された実績データを教師データとして、前記異常検知部の人工知能を学習させる学習ステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の電力協調制御方法。
【請求項11】
電力網上に多数分散配置された発電装置及び蓄電装置を含む電力リソースを協調制御により統括的に制御する電力協調制御プログラムであって、コンピューターを、
各電力リソースの稼動を協調させて制御する協調制御部と、
前記電力リソースによる発電又は消費した電力量を測定して実績データを生成する実績データ生成部と、
前記協調制御部による各電力リソースに対する制御の履歴を蓄積する制御履歴蓄積部と、
各電力リソースの実績データを解析し、電力リソースごとの信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度に応じて電力リソースをレベル分けしてグルーピングする信頼度フィルタリング部と、
各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測する制御可能量予測部
として機能させ、
前記統括制御部は、前記制御可能量予測部が予測した制御可能量に従って必要なリソース構成を算出し、各電力リソースの稼動を協調させて制御する
ことを特徴とする電力協調制御プログラム。
【請求項12】
前記各電力リソースは、高周波数帯域を介した無線通信網に接続され、高速且つ超低遅延の高速フィードバックを行う機能を備え、
前記協調制御部は、前記高速フィードバックを介して、前記制御を実行する
ことを特徴とする請求項11に記載の電力協調制御プログラム。
【請求項13】
前記コンピューターを、
前記高速フィードバックの応答速度を計測する高速フィードバック管理部としてさらに機能させ、
前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記高速フィードバック管理部が計測した応答速度とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことを特徴とする請求項12に記載の電力協調制御プログラム。
【請求項14】
前記コンピューターを、
前記実績データに基づいて、前記電力リソースの異常を検知する異常検知部としてさらに機能させ、
前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記異常検知部が検知した異常の発生率とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことを特徴とする請求項11に記載の電力協調制御プログラム。
【請求項15】
前記コンピューターを、
実際に発生した電力リソースの異常に関する情報を監視履歴として蓄積する監視履歴蓄積部と、
前記監視履歴蓄積部に蓄積された故障情報に記述された実際の異常に係る電力リソースの実績データを抽出し、異常に関する情報及び抽出された実績データを教師データとして、前記異常検知部の人工知能を学習させる学習部
としてさらに機能させることを特徴とする請求項11に記載の電力協調制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の消費単位ごとに設けられた複数のユーザーシステムにおける最適配置を実現できる電力協調制御システム、電力協調制御方法及び電力協調制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートグリッド(次世代送電網)と呼ばれる電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網が普及しつつある。このような、スマートグリッドでは、各需要家において消費電力や発電量を計測するスマートメーターを通じて、毎月の検針業務の自動化や(HEMSHome Energy Management System:住宅用エネルギー管理システム)等における電気使用状況が管理される。
【0003】
また、地球環境保護を主目的として電力系統への再生可能エネルギー発電の接続容量が増加している。また家庭用蓄電池や電気自動車(EV)など、電力系統に接続される需要家側の機器の数と種類もますます増加している。これらの機器の多くは電力変換装置を介して電力系統に接続されており、この電力変換装置を監視・制御することで従来の発電機の制御だけの場合と比べて、幅広い電力系統の運用が可能となりつつある。なお係る電力変換装置は、パワーコンディショナと呼ばれることがある。
【0004】
ところで、制御対象となる電力変換装置の数が多くなりすぎると、電力系統を一括監視・運用している中央制御装置では制御しきれなくなるという課題が発生する。このことから再生可能エネルギーや蓄電池などを大量導入し、需要に合わせて自動的に出力が調整されることを可能にすることが特許文献1により提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1によれば、自律協調制御方式を用いて、電力リソース同士が協調して電圧変動抑制制御する。しかしながら、一律に全ての電力リソースが協調しようとすると、信頼性の低い電力リソースについても他と同等の制御を行うこととなり、管理装置側の処理負荷が不必要に過大となったり、制御可能量も必要以上となる問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、電力リソースを協調制御する際に、その電力リソースの信頼度に見合った制御可能量を設定することにより、電力リソースの最適配置を実現できる電力協調制御システム、電力協調制御方法及び電力協調制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、
電力網上に多数分散配置された発電装置及び蓄電装置を含む電力リソースを協調制御により統括的に制御する電力協調制御システムであって、
各電力リソースの稼動を協調させて制御する協調制御部と、
前記電力リソースによる発電又は消費した電力量を測定して実績データを生成する実績データ生成部と、
前記協調制御部による各電力リソースに対する制御の履歴を蓄積する制御履歴蓄積部と、
各電力リソースの実績データを解析し、電力リソースごとの信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度に応じて電力リソースをレベル分けしてグルーピングする信頼度フィルタリング部と、
各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測する制御可能量予測部と
を備え、
前記統括制御部は、前記制御可能量予測部が予測した制御可能量に従って必要なリソース構成を算出し、各電力リソースの稼動を協調させて制御する。
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、電力網上に多数分散配置された発電装置及び蓄電装置を含む電力リソースを協調制御により統括的に制御する電力協調制御方法であって、
協調制御部が、各電力リソースの稼動を協調させて制御する協調制御ステップと、
前記協調制御部による各電力リソースに対する制御実績の履歴である実績データを実績データ蓄積部が蓄積する実績データ蓄積ステップと、
信頼度算出部が、各電力リソースの実績データを解析し、電力リソースごとの信頼度を算出する信頼度算出ステップと、
信頼度フィルタリング部が、前記信頼度に応じて電力リソースをレベル分けしてグルーピングする信頼度フィルタリングステップと、
制御可能量予測部が、各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測する制御可能量予測ステップと
を含み、
前記統括制御ステップにおいて前記統括制御部は、前記制御可能量予測部が予測した制御可能量に従って必要なリソース構成を算出し、各電力リソースの稼動を協調させて制御する
ことを特徴とする。
【0010】
上記発明において、前記各電力リソースは、高周波数帯域を介した無線通信網に接続され、高速且つ超低遅延の高速フィードバックを行う機能を備え、
前記協調制御部は、前記高速フィードバックを介して、前記制御を実行する
ことが好ましい。
【0011】
上記発明では、前記高速フィードバックの応答速度を計測する高速フィードバック管理部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記高速フィードバック管理部が計測した応答速度とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことが好ましい。
【0012】
上記発明では、前記実績データに基づいて、前記電力リソースの異常を検知する異常検知部をさらに備え、
前記信頼度算出部は、前記各電力リソースの実績データの解析結果と、前記異常検知部が検知した異常の発生率とに基づいて、前記信頼度を算出する
ことが好ましい。
【0013】
上記発明では、
実際に発生した電力リソースの異常に関する情報を監視履歴として蓄積する監視履歴蓄積部と、
前記監視履歴蓄積部に蓄積された故障情報に記述された実際の異常に係る電力リソースの実績データを抽出し、異常に関する情報及び抽出された実績データを教師データとして、前記異常検知部の人工知能を学習させる学習部と
をさらに備えることが好ましい。
【0014】
なお、上述した本発明に係る電力協調制御システムや電力協調制御方法は、所定の言語で記述された本発明の電力協調制御プログラムをコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明のプログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有するシステムを構築して、本発明に係る方法を実施することができる。
【0015】
なお、本発明の電力協調制御プログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。この記録媒体として、具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステム及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電力リソースを協調制御する際に、その電力リソースの信頼度に見合った制御可能量を設定することができ、その結果、電力リソースの最適配置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る電力協調制御システムの全体構成を示す概念図である。
【
図2】実施形態に係るユーザーシステムの機器構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る電力制御端末の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る電力制御端末内に構築される電力協調制御に関するモジュールを示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る管理サーバーの内部構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る機械学習を示す説明図である。
【
図7】実施形態に係る電力協調制御システムの動作を示すフロー図である。
【
図8】実施形態に係る電力協調制御システムにおける協調制御処理に関する動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電力協調制御システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
(電力協調制御システムの概要)
図1は、本実施形態に係る電力協調制御システム1のネットワーク構成を示した図である。本実施形態に係る電力協調制御システムは、電力の消費単位ごとに電力を制御及び管理する複数のユーザーシステム4,4…における電力を制御・管理するシステムであり、各ユーザーシステム4,4…等に設置された実績データ生成部であるスマートメーター41と、インターネットやいわゆる5Gと呼ばれる第5世代移動通信システムを介してスマートメーター41と接続された管理サーバー2とから概略構成される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態では、各ユーザーシステム4,4…における電力管理実績を管理サーバー2側で利用できるようになっている。電力協調制御システム1では、管理サーバー2と、各施設(発電所、PPS、需要家、電力プロシューマ等)に設けられた電力制御端末40とが高速・大容量通信ネットワーク3で相互に接続されている。各需要家において外部電力系統には各ユーザーシステム4のスマートメーター41が接続されている。そして、各スマートメーター41が、各ユーザーシステムにおいて各電力使用期間中に発電又は消費した電力量を需要家ごとに測定して実績データD1を生成し、高速・大容量通信ネットワーク3を通じて、電力制御端末40を通じて管理サーバー2側に送信し、管理サーバー2側で実績データD1に基づいてユーザーシステム4,4…内における電力消費を管理する。
【0021】
電力制御端末40は、例えば、CPUを備えた情報処理端末で構成されており、各需要家の他、発電所、PPS、電力プロシューマ、アグリゲーター等の各施設の電力設備を統括的に制御する装置であり、ユーザーシステム内において実績データ生成部であるスマートメーター41よりも電気機器(負荷)側に設置されるとともに、ユーザーシステム内においてスマートメーター41と分電盤45の両方に接続されている。この電力制御端末40が制御する対象設備としては、需要家や電力プロシューマ等の施設内に配備されたユーザーシステム4に含まれるスマートメーター41、電力リソースである蓄電池42及びPV(Photovoltaics:太陽光発電)43など、発電や蓄電、電力消費が管理される装置が含まれる。
【0022】
なお、この電力制御端末40が制御対象とする各種装置は、必要に応じて省略することができる。例えば、ユーザーシステム4,4…ではその電力消費がスマートメーター41により測定されるが、需要家によっては発電設備及び蓄電設備を有するものもあれば、発電設備又は蓄電設備のいずれかの設備を有するもの、或いは発電・蓄電設備のいずれも備えずスマートメーター41だけが設けられ電力消費のみを行うものもある。また、電力プロシューマも電力消費をする立場にあるが、太陽光発電や蓄電池を備え、電力を供給する側にも位置することができる。
【0023】
高速・大容量通信ネットワーク3は、いわゆる5Gと呼ばれる第5世代移動通信システムを含む通信ネットワークであり、この5Gは、高周波数帯域を介した無線通信網が含まれ、高速且つ超低遅延の無線通信を含む。なお、この高速・大容量通信ネットワーク3には、インターネットなどの一般的なデータ通信網や電話回線網を含む。インターネットは、通信プロトコルTCP/IPを用いたIP網であり、種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、WCDMA(登録商標)及びCDMA2000などの第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、及び第5世代(5G)以降の通信方式等の他、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワーク)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワークが含まれる。このIP網には、10BASE-Tや100BASE-TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。
【0024】
(各装置の構成)
次いで、各装置の構成について説明する。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組合せなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0025】
(1)ユーザーシステム4
ユーザーシステム4は、需要家や電力プロシューマが有する電力設備全般であり、電力を消費する単位でもある。需要家とは、電力の供給を受けて使用している電力設備に関する契約単位であり、契約電力が500kW以上の高圧大口需要家、50kW以上500kW未満の高圧小口需要家、一般家庭などの50kW未満の低圧需要家が含まれる。また、ユーザーシステム4は、電力リソースとして発電や蓄電の設備を備える。発電の設備としては、例えば太陽光発電や風力発電等が挙げられる。このユーザーシステム4には、電力制御端末40と、実績データ生成部としてのスマートメーター41とが含まれる。また、電力を消費する設備としては、各種家電製品や工場設備、オフィス機器のみならず、電力制御装置(IoT機器)等の制御装置全般が含まれる。
【0026】
各需要家に設置される電力制御端末40は、需要家のユーザーシステム4内において実績データ生成部であるスマートメーター41よりも電気機器(蓄電池42、PV43,その他負荷441~44n)側に設置され、分電盤45に接続されてユーザーシステム4内で流通される電力に関する電力の電流、電圧、電力波形、周波数等が取得可能となっているとともに、各電気器、ユーザーシステム4(需要家)内に配置されたPV43や蓄電池42の発電や充放電を実際に制御する装置である。
【0027】
具体的に電力制御端末40は、通信機能やCPUを備えた情報処理端末であり、OS或いはファームウェア、各種アプリケーションソフトをインストールすることにより様々な機能が実装可能であり、本実施形態では、アプリケーションをインストールして実行することによって電力管理部として機能する。この情報処理端末としては、パーソナルコンピューターの他、例えば、スマートフォンや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、タブレットPCやモバイルコンピューター、携帯電話機が含まれる。
【0028】
また、本実施形態に係る電力制御端末40は、管理サーバー2との間で高速フィードバック制御が行える機能を備えている。この高速フィードバック制御では、高周波数帯域を通じた高速・大容量通信によって電力制御端末40と管理サーバー2との間で高速で通信を行い、高速フィードバックを介して、管理サーバー2によって各電力リソースを制御対象として遠隔的に制御する。具体的に、この高速フィードバック制御は、管理サーバー2側から制御対象となる電力リソースに対してその動作の目標値(設定値SV:Set Variable)を入力し、電力リソース側でその駆動結果である測定値(PV:Process Variable)を測定し、目標値と測定値を比較してその差(偏差e(Deviation))に応じて一定時間内の電力量で補正する操作量(MV: Manipulative Variable)を算出し、偏差eをゼロとなるような閉ループ処理を継続する。この処理については、電力リソースごとだけではなくリソース構成全体でも実施される。なお、このフィードバック制御には、気温や天気の急な変化などの外乱に備えて、外乱よる影響が現れる前に修正動作を行うフィードフォワード制御を併用してもよい。
【0029】
スマートメーター41は、需要単位であるユーザーシステム内における発電・蓄電・電力消費を統括的に管理する実績データ生成部であり、需要家のユーザーシステム4内において、各需要家での電力消費を計測する他、ユーザーシステム内の他の設備、例えば蓄電池や太陽光発電による蓄電や発電も制御・管理し、需要家において各電力使用期間中に発電、蓄電又は消費した電力量を測定して実績データD1を生成し、定期的に電力制御端末40を経由して管理サーバー2に送出する。この実績データD1の送信は、高速・大容量通信ネットワーク3や電話回線、専用回線等を通じて管理サーバー2に対して行われる。なお、本実施形態では、実績データ生成部としてスマートメーター41を用いるが、本発明はこれに限定されず、例えば、電力制御端末40や、需要家内に配置された各種家電製品、工場設備、オフィス機器など、電力制御装置(IoT機器)等の制御装置を備えて自機の状態を実績データとして通信ネットワークに送信する機能を有する電子機器全般が含まれる。
【0030】
(2)管理サーバー2の構成
管理サーバー2は、電力協調制御サービスの提供業者が管理運用するサーバー装置であり、多数のユーザーシステム4と1対Nの関係で接続され、多数の電力リソースを統括的に制御するMEC(Multi-access Edge Computing)サーバーの機能を備えている。具体的に、管理サーバー2は、
図5に示すように、ユーザー管理部22と、通信インターフェース23と、データ管理部24、需要管理部25と、外部情報管理部26と、統括制御部27とを備えている。
【0031】
通信インターフェース23は、高速・大容量通信ネットワーク3を通じて、他の通信機器とデータの送受信を行うモジュールであり、本実施形態では、本サービスを提供するために各電力制御端末40及びスマートメーター41、及び外部情報源5に接続されている。
【0032】
ユーザー管理部22は、本システムにより提供される節電サービスの利用者であるユーザーに関する情報を管理するモジュール群であり、本実施形態では、ユーザーデータベース21bと、認証部22aと、会員登録部22bとを備えている。ユーザーデータベース21bは、各需要家のユーザーや、アグリゲーター等の業者に関する情報を蓄積する記憶装置である。また、認証部22aは、電力協調制御に係るアクセス者の正当性を検証するコンピューター或いはその機能を持ったソフトウェアであり、ユーザーを特定するユーザーIDに基づいて認証処理を実行する。本実施形態では、高速・大容量通信ネットワーク3を通じてアクセス者の端末装置からユーザーID及びパスワードを取得し、ユーザーデータベース21bを照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が契約者であるか否かなどを確認する。
【0033】
また、会員登録部22bは、会員登録用のWebページなどのユーザーインターフェースに対する入力操作に基づいて、利用者に対する会員登録を受け付けるモジュールであり、電力リソースのスペックや設置に関する情報など、認証部22aにおける認証処理に必要なIDやパスワード等をユーザー情報として取得する。そして、会員登録部22bで受け付けたユーザー情報は、ユーザーデータベース21bに蓄積される。
【0034】
外部情報管理部26は、高速・大容量通信ネットワーク3上に分散配置された各外部情報源5から情報を収集するモジュール群である。具体的に外部情報管理部26は、外部情報データベース21aと、データ蓄積制御部26aと、外部情報解析部26bと、情報収集部26cとを備えている。
【0035】
外部情報データベース21aは、収集された外部情報を分類して蓄積する記憶装置であり、各外部情報と、その種別や時間情報、キーワード等の付加情報とを紐付けて蓄積する。情報収集部26cは、高速・大容量通信ネットワーク3上に分散配置された外部情報源5から外部情報(電力市場における価格変動、気象情報、気候情報その他の外部環境情報等)を収集するモジュールである。この情報収集部26cは、いわゆるクローリング処理によって高速・大容量通信ネットワーク3上の外部情報源を巡回して、定期的に所定の情報を収集する他、関連するキーワードによって通信ネットワーク上の情報源を検索し、突発的なニュースや気象変動も収集し、これらの情報をビッグデータとして蓄積する機能も備えている。この情報収集部26cによって収集された情報はデータ蓄積制御部26aを通じて外部情報データベース21aに蓄積される。
【0036】
データ蓄積制御部26aは、情報収集部26cが収集したデータ、及び外部情報解析部26bが解析した情報を分類して外部情報データベース21aに蓄積するモジュールであり、収集された各外部情報と、その種別や時間情報、キーワード等の付加情報とを紐付けて外部情報データベース21aに蓄積するとともに、キーワード等の付加情報等に基づいて各外部情報に検索用のインデックスを付与して蓄積する。また、データ蓄積制御部26aは、需要管理部25などの他のモジュールからの検索要求に応じて外部情報データベース21aを検索し、検出された情報を返す機能も備えている。例えば、データ蓄積制御部26aは、需要管理部25の需要予測部25bなどからの検索要求に応じて、要求に係る情報を検索して返答し、需要予測部25bに返答された情報は需要予測に供される。
【0037】
データ管理部24は、各需要家から実績データD1を収集し解析するモジュールであり、実績管理データベース21cと、実績データ収集部24bと稼動電気機器特定部24aとを備えている。
実績管理データベース21cは、発電所や需要家、アグリゲーター等の電力の授受に関係する者による実績データを収集し蓄積して管理する記憶装置である。各スマートメーターから受信した各実績データは、この実績管理データベースに蓄積され、統括制御部27における個別電力の算定、及び需要管理部25における相関算出の用に供される。
【0038】
実績データ収集部24bは、実績データ生成部であるスマートメーター41から電力制御端末40を通じて実績データD1を収集するモジュールであり、収集された実績データD1は、実績管理データベース21cに蓄積される。
【0039】
稼動電気機器特定部24aは、スマートメーター41によって需要家単位で測定された実績データD1を分析して、需要家内で稼動している個別機器とその消費電力である個別消費電力とを推定するモジュールである。また、この稼動電気機器特定部24aは、生成した推定結果の履歴である推定履歴情報D2を、特定の期間を表す情報と関連付けて実績管理データベース21cに記憶する。
【0040】
ここで、仮想した個別機器とは、住宅内に実際に存在する電気機器の1つ1つであってもよく、推定分解電力の大きさに対応した仮想上の電気機器であってもよい。例えば、総電力使用量取得部402aにより測定された総消費電力がある周期において50W上昇している場合、50Wの消費電力を有する電気機器(具体的な機器を特定する必要はない)が稼動したと分析する。また、スマートメーター41により測定された総消費電力がある周期において100W下降している場合、100Wの消費電力を有する電気機器が停止したと分析する。すなわち、この場合における仮想した個別機器とは、推定分解電力50Wの電気機器、推定分解電力100Wの電気機器をいう(以下、これらを個別機器[50W]、個別機器[100W]などと表記する)。
【0041】
また、分析の対象とする特定の期間とは、個別住宅での電気機器の使用パターン(1日の使用パターン、週間の使用パターンなど)をカバーする期間であり、例えば、季節ごとに3~7日周期とするなどが挙げられる。また、電源状態パラメータを算出する所定の時間単位とは、1日を複数の時間帯に分けたものであり、例えば、家庭内の1日の電力使用パターンを考慮して、朝、昼、夕方、夜の4個の時間帯とすることが可能である。なお、これは一例に過ぎない。例えば、所定の時間単位を1時間としてもよいし、それより短い時間単位としてもよい。或いは、所定の時間単位を1日よりも長い単位、例えば数日としてもよい。要は、どのくらいの粒度で将来の総消費電力を予測したいかに応じて、所定の時間単位を決めればよい。
【0042】
さらに稼動電気機器特定部24aは、実績データD1から算出される総消費電力に対し、機器リストT1を利用して、各個別機器の電源オン状態を推定する。また、稼動電気機器特定部24aは、各需要家単位で得られた総消費電力に対して機器リストを適用することにより、実時間の総消費電力から予測開始時点での個別機器の稼動台数を推定する。
【0043】
需要管理部25は、情報収集部26cが収集した外部情報について、電力需要の傾向を解析するモジュール群であり、相関算出部25aと、需要予測部25bとを備えている。
【0044】
相関算出部25aは、目標需要カーブ及び実際の実績データの一致度と、外部情報解析部26bが解析した電力需要の傾向との相関を算出するモジュールである。需要予測部25bは、外部情報解析部26bが解析した電力需要の傾向、及び相関算出部25aが算出した相関に基づいて、目標需要カーブ及び実績データの将来的な一致度を予測するモジュールである。
【0045】
統括制御部27は、各需要家に対する協調制御サービスを統括的に実施するモジュール群であり、本実施形態では、制御履歴データベース21eと、高速フィードバック管理部27aと、協調制御管理部28と、協調制御部27bと、異常検知部27cと、信頼度フィルタリング部27dと、制御可能量予測部27eと、フィードバック制御部27fとを備えている。
【0046】
制御履歴データベース21eは、協調制御部27bによる各電力リソースに対する制御の履歴を蓄積する記憶装置である。また、この制御履歴データベース21eは、実際に発生した電力リソースの異常に関する情報を監視履歴として蓄積する監視履歴蓄積部としての役割も果たす。
【0047】
高速フィードバック管理部27aは、フィードバック制御部27fによる高速フィードバック制御を管理するモジュールであり、各電力リソースに対するフィードバック制御の応答速度を計測して記録する。
【0048】
協調制御管理部28は、各電力リソースに対する協調制御を統括的に管理するモジュールであり、AIによる機械学習を行うAI学習部28aを備えている。AI学習部28aは、いわゆる人工知能(AI:Artificial Intelligence)によるディープラーニングにより、協調制御モデルに対して認識パターンの追加・変更を行い、精度が向上されるようになっている。また、このAI学習部28aは、監視履歴蓄積部としての制御履歴データベース21eに蓄積された異常発生情報に記述された実際の異常に係る電力リソースの実績データを抽出し、異常に関する情報及び抽出された実績データを教師データとして、異常検知部27cに関する人工知能を学習させる機能も備えている。
【0049】
さらに、このAI学習部28aは、フィードバック制御部27fによるフィードバック制御に関し、その操作量を算出する際に、過去の制御履歴を参照して制御モデルを解析し、制御モデルに応じた操作量を決定する。この制御モデルは、AI学習部28aのディープラーニング機能により追加・変更されて、精度が向上されるようになっている。
【0050】
協調制御部27bは、各電力リソースの稼動を協調させて制御するモジュールであり、本実施形態では、フィードバック制御部27fによる高速フィードバックを介して各電力リソースの制御を実行する。
【0051】
異常検知部27cは、実績データに基づいて、電力リソースの異常を検知するモジュールである。この異常検知部27cは、例えば、発電量が低下したり、消費量が増大したり等の機器に異常が発生しているパターンである異常発生モデルを検出して、異常の発生を検知する。この異常発生モデルは、協調制御管理部28のAI学習部28aのディープラーニング機能により追加・変更されて、精度が向上されるようになっている。また、この異常検知部27cによる検知結果は、実績データとともに監視履歴として監視履歴蓄積部である制御履歴データベース21eに記録されるとともに、信頼度算出部27gによる信頼度の算出に用いられる。
【0052】
信頼度フィルタリング部27dは、信頼度に応じて電力リソースをレベル分けしてグルーピングするモジュールであり、本実施形態では、信頼度算出部27gを備えている。この信頼度算出部27gは、各電力リソースの実績データを解析し、電力リソースごとの信頼度を算出するモジュールである。本実施形態において、信頼度算出部27gは、各電力リソースの実績データの解析結果と、高速フィードバック管理部27aが計測した応答速度とに基づいて信頼度を算出する。また、各電力リソースの実績データの解析結果と、異常検知部27cが検知した異常の発生率とに基づいて信頼度を算出する機能も備えている。
【0053】
制御可能量予測部27eは、各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測するモジュールである。なお、本実施形態において、制御可能量の予測では、AI学習部28aにより生成された学習データを用いて、将来の予測したい期間(予測期間)における個別機器の消費電力(以下、個別消費電力という)を予測する。詳述すると、制御可能量予測部27eは、仮想した個別機器とその消費電力である個別消費電力とを推定することによって機器リストT1を得るとともに、この機器リストT1を用いて個別機器の稼動台数を推定し、この推定結果をもとに個別機器の電源の状態を表す電源状態パラメータを所定の時間単位で算出することにより、個別機器の消費電力に関する学習データを生成する。また、制御可能量予測部27eは、電力制御端末40側のストレージ401に記録された推定履歴情報D2を用いて、実時間で測定された総消費電力について実時間の総消費電力から予測開始時点での個別機器の稼動台数を推定するとともに、予測期間に対応する期間の電源状態パラメータを用いて、予測開始時点からの予測期間における個別消費電力の推移を予測する個別電力予測部としての機能も果たす。
【0054】
さらに、制御可能量予測部27eは、総電力使用量取得部402a及び電力波形情報取得部402bにより実時間で測定された総消費電力及び電力波形等に対して、時間変動算出部402cによりこれらの時間変動を算出させる。そして、予測期間に対応する期間に関してストレージ401に記憶された機器リストT1(仮想した個別機器とその個別消費電力)を適用することによって、実時間の総消費電力から予測開始時点での個別機器の稼動台数を推定する。そして、制御可能量予測部27eは、予測期間に対応する期間について電源状態パラメータを用い、上記予測開始時点からの予測期間における個別消費電力の推移を予測する。
【0055】
また、本実施形態において制御可能量予測部27eは、稼動電気機器特定部402dにより予測された予測期間における個別消費電力の推移をもとに、当該予測期間における総消費電力の推移を予測する。具体的には、制御可能量予測部27eは、稼動電気機器特定部402dにより予測された予測期間の各時刻における個別消費電力をそれぞれの時刻ごとに合計することにより、当該予測期間における総消費電力の推移を予測する。
【0056】
統括制御部27は、この制御可能量予測部が予測した制御可能量に従って必要なリソース構成を算出した結果より、協調制御部27b及び高速フィードバック管理部27aを通じて、各電力リソースの稼動を協調させて制御する。
【0057】
フィードバック制御部27fは、高速フィードバック管理部27aによる制御に従って、フィードバック制御を実行するモジュールである。具体的にこのフィードバック制御部27fは、高周波数帯域を通じた高速・大容量通信によって電力制御端末40と管理サーバー2との間で高速で通信を行い、高速フィードバックを介して、各電力リソースを制御対象として遠隔的に制御する。
【0058】
この高速フィードバック制御としては、制御対象となる電力リソースに対してその動作の目標値(設定値SV:Set Variable)を送信し、電力リソース側でその駆動結果である測定値(PV:Process Variable)を測定してフィードバック制御部27fへフィードバックし、フィードバック制御部27f側で目標値と測定値を比較してその差(偏差e(Deviation))に応じた操作量(MV: Manipulative Variable)を算出し、偏差eをゼロとなるような操作量を電力リソースへ送信する閉ループ処理を継続する。なお、このフィードバック制御には、外部情報解析部26bが解析した気温や天気の急な変化などの外乱情報を取得し、外乱よる影響が現れる前に修正動作を行うフィードフォワード制御を併用している。
【0059】
(3)電力制御端末40
具体的に電力制御端末40は、
図3に示すように、CPU402と、メモリ403と、入力インターフェース404と、ストレージ401と、出力インターフェース405と、通信インターフェース406とを備えている。なお、本実施形態では、これらの各デバイスは、CPUバス400を介して接続されており、相互にデータの受渡しが可能となっている。
【0060】
メモリ403及びストレージ401は、データを記録媒体に蓄積するとともに、これら蓄積されたデータを各デバイスの要求に応じて読み出す記憶装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカード等により構成することができる。特に、本実施形態においてストレージ401は個別機器推定部である稼動電気機器特定部402dによる推定結果に基づいて個別機器の電源の状態を時系列で記録した推定履歴情報D2を記録するデータ記録部としての機能を果たすとともに、需要家内において実際に消費された電力に関する実消費電力情報D5を需要家内側で蓄積する実消費電力蓄積部としての機能も果たしている。
【0061】
入力インターフェース404は、ユーザーシステム内に設置された各設備から制御信号を受信するモジュールであり、受信された制御信号はCPU402に伝えられ、OSや各アプリケーションによって処理される。他方、出力インターフェース405は、ユーザーシステム内に設置された各設備へ制御信号を出力するモジュールである。かかるユーザーシステム内に設置される各設備は、その需要家やプロシューマなどの形態によって異なり、例えば、需要家では、電力消費についてはスマートメーター41により測定され、発電・蓄電については、太陽光発電及び蓄電設備の両方を有するものもあれば、太陽光発電又は蓄電池のいずれかの設備を有するもの、発電・蓄電設備のいずれも備えないものもある。また、プロシューマでは、電力消費をスマートメーター41により計測し、太陽光発電(PV)42や蓄電池42に対する制御信号が入出力される。
【0062】
通信インターフェース406は、他の通信機器とデータの送受信を行うモジュールであり、通信方式としては、例えば、電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、WCDMA(登録商標)及びCDMA2000などの第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、及び第5世代(5G)以降の通信方式等の他、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワークが含まれる。
【0063】
CPU402は、各部を制御する際に必要な種々の演算処理を行う装置であり、各種プログラムを実行することにより、CPU11上に仮想的に各種モジュールを構築する。このCPU402上では、OS(Operating System)が起動・実行されており、このOSによって各電力制御端末40の基本的な機能が管理・制御されている。また、このOS上では種々のアプリケーションが実行可能になっており、CPU402でOSプログラムが実行されることによって、種々の機能モジュールがCPU上に仮想的に構築される。
【0064】
本実施形態では、CPU402上でブラウザソフトを実行することによって、このブラウザソフトを通じて、システム上の情報を閲覧したり、情報を入力したりできるようになっている。詳述すると、このブラウザソフトは、Webページを閲覧するためのモジュールであり、高速・大容量通信ネットワーク3を通じて管理サーバー2からHTML(HyperText Markup Language)ファイルや画像ファイル、音楽ファイルなどをダウンロードし、レイアウトを解析して表示・再生する。このブラウザソフトにより、フォームを使用してユーザーがデータをWebサーバーに送信したり、JavaScript(登録商標)やFlash、及びJava(登録商標)などで記述されたアプリケーションソフトを動作させたりすることも可能であり、このブラウザソフトを通じて、各ユーザーは、管理サーバー2が提供する電力協調制御サービスを利用することができる。
【0065】
図4に示すように、CPU402上には、入力インターフェース404を通じて需要家内の負荷441~44nの稼動状況を検出するための実消費電力管理モジュールとして、総電力使用量取得部402aと、電力波形情報取得部402bと、時間変動算出部402cとを備えている。また、需要家内で稼動中の電気機器を特定するためのモジュールとして、稼動電気機器特定部402dと、尤度推定部402eとを備えている。そして、需要家に配置された電力リソースとしてのPV43や蓄電池42の発電や充放電を実際に制御するモジュールとして、協調制御部402fとフィードバック制御部402gとを備えている。
【0066】
総電力使用量取得部402aは、入力インターフェース404を介し、分電盤45に接続されてユーザーシステム4内で流通される電力に関する電力の電流、電圧等を計測し取得するモジュールであり、電力波形情報取得部402bは、分電盤45を通じてユーザーシステム4内で流通される電力に関する電力の波形や周波数を計測し取得するモジュールである。時間変動算出部402cは、総電力使用量取得部402aで計測された総消費電力の時間的変動を算出するモジュールである。
【0067】
総電力使用量取得部402a,電力波形情報取得部402b及び時間変動算出部402cによって、実消費電力蓄積部である実消費電力管理モジュールが構成され、総電力使用量取得部402a,電力波形情報取得部402b及び時間変動算出部402cによって得られた各種情報は、実際に消費された電力に関する実消費電力情報D5としてストレージ401に蓄積される。この実消費電力情報D5は、推定履歴情報D2とともに制御可能量予測部27eの人工知能を学習させる教師データとして用いられる。
【0068】
稼動電気機器特定部402dは、需要家内において実績データ生成部であるスマートメーター41よりも電気機器(負荷)側に設置され、スマートメーター41によって需要家単位で測定され、時間変動算出部402cで算出された総消費電力の時間的変動を分析して、需要家内で稼動している個別機器とその消費電力である個別消費電力とを推定する個別機器推定部としての機能を果たすモジュールである。また、稼動電気機器特定部402dは、生成した推定結果の履歴である推定履歴情報D2を、特定の期間を表す情報と関連付けてストレージ401に記憶する。この稼動電気機器特定部402dによる推定の尤度については、尤度推定部402eによって検証される。
【0069】
ここで、仮想した個別機器とは、住宅内に実際に存在する電気機器の1つ1つであってもよく、推定分解電力の大きさに対応した仮想上の電気機器であってもよい。例えば、総電力使用量取得部402aにより測定された総消費電力がある周期において50W上昇している場合、50Wの消費電力を有する電気機器(具体的な機器を特定する必要はない)が稼動したと分析する。また、スマートメーター41により測定された総消費電力がある周期において100W下降している場合、100Wの消費電力を有する電気機器が停止したと分析する。すなわち、この場合における仮想した個別機器とは、推定分解電力50Wの電気機器、推定分解電力100Wの電気機器をいう(以下、これらを個別機器[50W]、個別機器[100W]などと表記する)。
【0070】
また、分析の対象とする特定の期間とは、個別住宅での電気機器の使用パターン(1日の使用パターン、週間の使用パターンなど)をカバーする期間であり、例えば、季節ごとに3~7日周期とするなどが挙げられる。また、電源状態パラメータを算出する所定の時間単位とは、1日を複数の時間帯に分けたものであり、例えば、家庭内の1日の電力使用パターンを考慮して、朝、昼、夕方、夜の4個の時間帯とすることが可能である。なお、これは一例に過ぎない。例えば、所定の時間単位を1時間としてもよいし、それより短い時間単位としてもよい。或いは、所定の時間単位を1日よりも長い単位、例えば数日としてもよい。
【0071】
さらに稼動電気機器特定部402dは、総電力使用量取得部402aにより取得され総消費電力に対し、ストレージ401に記憶された機器リストT1を利用して、各個別機器の電源オン状態を推定する。また、稼動電気機器特定部402dは、総電力使用量取得部402aにより取得された総消費電力に対して機器リストを適用することによって、実時間の総消費電力から予測開始時点での個別機器の稼動台数を推定する。
【0072】
フィードバック制御部402gは、管理サーバー2側のフィードバック制御部27fと連携し、出力インターフェース405を通じてPV43や蓄電池42、その他の各負荷441~44nに対して発電や充放電、駆動に関するフィードバック制御を行うモジュールである。このフィードバック制御部402gは、フィードバック制御機能を独自に備えていない機器(非対応機器)に対する制御を行うものであり、稼動電気機器特定部402dが特定した電気機器に対する駆動操作と、スマートメーター41によって計測された電力や、発電量、蓄電量、その他の温度計等の各種センサーによる検出値に基づいて、擬似的に各非対応機器のフィードバック制御を行う。なお、PVや蓄電池、その他の電気機器がIoT対応機器であり、直接通信ネットワークに接続して、遠隔制御に対応している場合には、このフィードバック制御部に相当する機能をPV43や蓄電池42、その他の電気機器に直接設けて、管理サーバー2との間で直接フィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0073】
協調制御部402fは、管理サーバー2側の協調制御部27bと連携してユーザーシステム4内の各設備(PV43や蓄電池42、その他の各負荷441~44n)に対して協調制御を行うモジュールである。
【0074】
(4)AI学習部28a
ここでAI学習部28aについて詳述する。AI学習部28aは、協調制御管理部28の人工知能であるディープラーニング認識機能が適正な判定をするように学習させるモジュールであり、本実施形態では、データ管理部24によって収集された実際に報告された実績データや、制御履歴、異常発生情報を教師データとして、ディープラーニング認識機能を学習させる。
【0075】
AI学習部28aは、協調制御管理部28のディープラーニング認識機能に対し、入力された実績データD3について、ディープラーニング認識機能による判定結果と、実際の実績データ等とを対比する比較部としての役割を果たす。具体的にこのAI学習部28aは、ディープラーニング認識機能に教師データとして入力された情報と同一事象(対象ユーザーシステム、機器、発生時刻等)についての判定結果と、その実績データ及び制御履歴を対比し、その対比した結果が一致するかどうか、異なるとすればどの選択肢が誤っていたかを確認することによって、協調制御管理部28が選択した各種選択肢の正当性を帰納法的に検証し、協調制御管理部28のディープラーニング認識機能に対してフィードバックする。
【0076】
ディープラーニング認識機能は、いわゆるディープラーニング(深層学習)により、判定を行うモジュールであり制御モデルを自動設定するための学習データ(教師データ)として、実績データ及び制御履歴を機能検証に利用する。具体的には、ディープラーニング認識機能では、所定のディープラーニングのアルゴリズムに従って、各実績データ及び制御履歴の相関を解析し、その解析結果であるディープラーニング認識結果(協調制御モデル、異常検知モデル等)を協調制御管理部28に設定する。
【0077】
ディープラーニング認識機能に実装されたアルゴリズムとしては、本実施形態では、ニューラルネットワークの多層化、特に3層以上のものを備え、人間の脳のメカニズムを模倣した学習及び認識システムである。この認識システムに画像等のデータを入力すると、第1層から順番にデータが伝搬され、後段の各層で順番に学習が繰り返される。この過程では画像内部の特徴量が自動で計算される。
【0078】
この特徴量とは問題の解決に必要な本質的な変数であり、特定の概念を特徴づける変数である。ディープラーニング認識機能においても、実績データ及び制御履歴が入力されて、実績データ及び制御履歴中の特徴点を階層的に複数抽出し、抽出された特徴点の階層的な組合せパターンによりパターンを認識する。この認識処理の概要を
図6に示す。同図に示すように、ディープラーニング認識機能の認識機能モジュールは、多クラス識別器であり、複数の物体が設定され、複数の物体の中から特定の特徴点を含むオブジェクト702(ここでは、例えば「電力量」)を検出する。この認識機能モジュールは、入力ユニット(入力層)707、第1重み係数708、隠れユニット(隠れ層)709、第2重み係数710、及び出力ユニット(出力層)711を有する。
【0079】
このとき入力ユニット707には複数個の特徴ベクトル702が入力される。第1重み係数708は、入力ユニット707からの出力に重み付けする。隠れユニット709は、入力ユニット707からの出力と第1重み係数708との線形結合を非線形変換する。第2重み係数710は隠れユニット709からの出力に重み付けをする。出力ユニット711は、各クラス(例えば、異常発生機器、異常原因等)の識別確率を算出する。ここでは出力ユニット711を3つ示すが、これに限定されない。出力ユニット711の数は、パターン識別器が検出可能な事象の数と同じである。出力ユニット711の数を増加させることによって、故障原因等の事象識別器が検出可能な事象が増加する。
【0080】
(電力協調制御システムの動作)
以上説明した電力協調制御システムを動作させることによって、本発明の電力協調制御方法を実施することができる。
図7は電力協調制御システムの動作を示すフロー図である。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0081】
図7に示すように、需要家側のユーザーシステム4内では、常時、PV43や蓄電池42、その他の電気機により、電力が発電、蓄電又は消費されており、それらの電力が、各種センサーやスマートメーター41等により計測されている(S101、S201及びS301)。IoT非対応機器では、電力制御端末40による各電気機に対する通常の稼動制御と、各各種センサーによる検出値の取得が、電力制御端末40側で行われ、電力波形の時間的変動も計測され、随時記録されている。なお、管理サーバー側では、この需要家側での消費電力計測に併せて、外部情報の収集及び分類を常時行っている。そして、周期的に、或いは所定量の情報が蓄積され次第、収集・分類された外部情報を外部情報データベース21aに蓄積する。
【0082】
次いで、稼動電気機器特定部402dが、需要家単位で測定された総消費電力の時間的変動を分析して、ユーザーシステム4内で稼動している電気機器を特定するとともに、その特定された電気機器の種別、及びその時間帯(日時や年月日等を含む)と、その消費電力である個別消費電力とを推定する(S202)。この推定履歴情報を用いて、実時間で測定された総消費電力に関し、実時間の総消費電力から予測開始時点での個別機器の稼動台数を推定する。このとき、稼動電気機器特定部402dは、スマートメーター41で計測された電力波形及びその時間的な変化を分析し、周波数成分及び電力の変動パターンの特性を抽出することによって、稼動している個別機器とその消費電力である個別消費電力及びその継続時間を推定する。
【0083】
そして、スマートメーター41による計測結果及び特定された電気機器に関する情報は集積されて実績データD1として生成され、各ユーザーシステムからそれぞれ管理サーバー2へ送信され(S203)、管理サーバー2にて収集される(S401)。なお、IoT対応機器である場合には、各機器が独自に、自機の稼動状態を検出し、管理サーバー2へフィードバックする(S302)。
【0084】
次いで、予測期間に対応する期間の電源状態パラメータを用いて、予測開始時点からの予測期間における個別消費電力の推移を算定するとともに、稼動電気機器特定部402dにより予測された予測期間における個別消費電力の推移に基づいて予測期間における総消費電力の推移を算定する(S402)。
【0085】
そして、協調制御管理を行う(S403)。この協調制御管理部28では、
図8に示すように、管理サーバー2において外部情報の収集及び分類する情報収集ステップを常時行っている(S501)。この収集された外部情報については、周期的に、或いは所定量の情報が蓄積され次第、収集・分類された外部情報を外部情報データベース21aに蓄積している。
【0086】
併せて、電力需要の傾向を解析する外部情報解析ステップを実行する。この外部情報解析ステップでは、外部情報解析部26bが、情報収集ステップにおいて収集された外部情報に基づいて、電力需要の傾向を解析する(S502)。次いで、過去の制御履歴及び実績データを参照し(S503)、相関算出部25aにおいて、フィードバック制御に関する制御履歴の目標値と実績データの一致度と、外部情報解析ステップにおいて解析された電力需要の傾向との相関を算出する相関算出ステップを実行する(S504)。この相関算出ステップと合わせて、需要予測ステップを実行する(S505)。
【0087】
この需要予測ステップでは、需要予測部25bが、外部情報解析ステップで解析された電力需要の傾向、及び前記相関算出部が算出した相関に基づいて、目標値と実績データとの一致度に基づいて、異常検知を行うとともに、信頼度を算出する(S506)。なお、異常が検知されたときには、異常の発生を報知する報知情報生成ステップを実行する。具体的に、報知情報生成ステップでは、異常が発生している旨と、異常が発生していると予測される機器を特定して、その特定された機器についても報知情報として生成する。ここで生成される報知情報としては、アラートの他、蓄電池を備えた需要家であれば蓄電池制御情報が含まれる。
【0088】
信頼度の算出ステップでは、信頼度算出部27gによって、各電力リソースの実績データを解析し、設定された目標値がどの程度達成されているかを判断するとともに、各電力リソースの実績データの解析結果と、高速フィードバック管理部27aが計測した応答速度とに基づいて信頼度を算出する。また、この信頼度の算出ステップでは、必要に応じて、各電力リソースの実績データの解析結果と、異常検知部27cが検知した異常の発生率とに基づいて信頼度を算出する。
【0089】
そして、このように算出された信頼度に基づいて、信頼度フィルタリング部27dが、各電力リソースをレベル分けするフィルタリングを行い、レベルごとにグルーピングする(S507)。このとき、制御可能量予測部27eは、各電力リソースが属するレベルに応じて、各電力リソースの制御可能量を予測し(S508、制御可能量に応じて各機器の個別的な制御量を設定する(S509)。
【0090】
そして、このように設定された制御量に応じて、
図7に示すように、各機器に対する協調制御が実行され(S404)、フィードバック制御が行われる(S405)。このフィードバック制御では、IoTに対応した電力リソースであれば、管理サーバー2から直接制御を行い、非対応機器については電力制御端末40を通じて駆動制御が行われ、その駆動状態が変化される(S204及びS102)。なお、対応機器については、管理サーバー2側のフィードバック制御部27fと、制御装置4側のフィードバック制御部402gに対して、制御結果が送出され、制御履歴が反映される(S303)。
【0091】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態によれば、電力リソースを協調制御する際に、その電力リソースの信頼度に見合った制御可能量を設定することができ、その結果、電力リソースの最適配置を実現できる。
【符号の説明】
【0092】
D1…実績データ
D2…推定履歴情報
D3…実績データ
D4…機器特定履歴
D5…実消費電力情報
1…電力協調制御システム
2…管理サーバー
3…高速・大容量通信ネットワーク
4…ユーザーシステム
5…外部情報源
21a…外部情報データベース
21b…ユーザーデータベース
21c…実績管理データベース
21e…制御履歴データベース
22…ユーザー管理部
22a…認証部
22b…会員登録部
23…通信インターフェース
24…データ管理部
24a…稼動電気機器特定部
24b…実績データ収集部
25…需要管理部
25a…相関算出部
25b…需要予測部
26…外部情報管理部
26a…データ蓄積制御部
26b…外部情報解析部
26c…情報収集部
27…統括制御部
27a…高速フィードバック管理部
27b…協調制御部
27c…異常検知部
27d…信頼度フィルタリング部
27e…制御可能量予測部
27f…フィードバック制御部
27g…信頼度算出部
28…協調制御管理部
28a…AI学習部
40…電力制御端末
41…スマートメーター
42…蓄電池
43…PV
45…分電盤
400…CPUバス
401…ストレージ
402…CPU
402a…総電力使用量取得部
402b…電力波形情報取得部
402c…時間変動算出部
402d…稼動電気機器特定部
402e…尤度推定部
402f…協調制御部
402g…フィードバック制御部
403…メモリ
404…入力インターフェース
405…出力インターフェース
406…通信インターフェース
441~44n…負荷