(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107141
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】ジョークラッシャ及びその隙間幅の調整方法
(51)【国際特許分類】
B02C 1/02 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
B02C1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008279
(22)【出願日】2022-01-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日 令和3年3月12日 公開場所 株式会社アイチ. 宇美事業所(福岡県粕屋郡宇美町大字炭焼) 公開者 株式会社アーステクニカ(東京都千代田区神田神保町二丁目4番地) 公開日 令和3年12月3日 公開場所 ホテルメトロポリタンエドモント本館2F悠久(東京都千代田区飯田橋三丁目10番8号) 公開者 株式会社アーステクニカ(東京都千代田区神田神保町二丁目4番地)
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤野 堅太
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063AA09
4D063AA18
4D063GA06
4D063GA07
4D063GA10
4D063GC23
4D063GC40
4D063GD02
4D063GD12
(57)【要約】
【課題】固定歯と動歯との隙間幅を高精度に調整可能で、小型化可能なジョークラッシャの提供。
【解決手段】ジョークラッシャ2は、固定歯8と、固定歯8に対して揺動し固定歯8との間で被破砕物を破砕する動歯20と、固定歯8と動歯20との隙間幅Dを調整するくさび36を有する隙間調整器22と、隙間調整器22を移動させ隙間幅Dを変えるアクチュエータ24とを備える、好ましくは、アクチュエータ24は、隙間調整器22を付勢し移動させる押し当て42を有し、押し当て42が隙間調整器22から離れた待機位置に移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定歯と、
前記固定歯に対して揺動し前記固定歯との間で被破砕物を破砕する動歯と、
前記固定歯と前記動歯との隙間幅を調整するくさびを有する隙間調整器と、
前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変えるアクチュエータと
を備える、ジョークラッシャ。
【請求項2】
前記アクチュエータが前記隙間調整器を付勢し移動させる押し当てを有し、前記押し当てが前記隙間調整器から離れた待機位置に移動可能である、請求項1に記載のジョークラッシャ。
【請求項3】
前記固定歯と前記動歯との当接を検出するゼロ点検出器を備える、請求項1又は2に記載のジョークラッシャ。
【請求項4】
位置センサを備え、
前記ゼロ点検出器が、前記位置センサが検出対象物の位置を検出することで、前記固定歯と前記動歯との当接を検出する、請求項3に記載のジョークラッシャ。
【請求項5】
前記位置センサが検出する、前記検出対象物の位置が、設定範囲を外れたことを知らせる警報器を備える、請求項4に記載のジョークラッシャ。
【請求項6】
固定歯と、
前記固定歯に対して揺動し前記固定歯との間で被破砕物を破砕する動歯と、
前記固定歯と前記動歯との隙間幅を調整するくさびを有する隙間調整器と、
前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変えるアクチュエータと、
制御器と
を備え、
前記制御器が、
前記アクチュエータによって前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変え、
前記隙間調整器を移動させ変えた前記隙間幅を前記くさびで調整する、ジョークラッシャ。
【請求項7】
前記アクチュエータで前隙間調整器を移動させ前記固定歯と前記動歯とを当接させ、
前記固定歯と前記動歯とが当接した前記隙間調整器の位置に基づいて、前記隙間幅を前記くさびで調整する、請求項6に記載のジョークラッシャ。
【請求項8】
固定歯と、前記固定歯に対して揺動し前記固定歯との間で被破砕物を破砕する動歯との、隙間幅を調整するくさびを有する隙間調整器と、
前記隙間調整器を移動させるアクチュエータと
を用い、
前記アクチュエータによって前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変え、
前記隙間調整器を移動させ変えた前記隙間幅を前記くさびで調整する、
隙間幅の調整方法。
【請求項9】
前記アクチュエータで前隙間調整器を移動させ前記固定歯と前記動歯とを当接させ、
前記固定歯と前記動歯とが当接した前記隙間調整器の位置に基づいて、前記隙間幅を前記くさびで調整する、請求項8に記載の、隙間幅の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ジョークラッシャ及びその隙間幅の調整方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
固定歯と固定歯に対して揺動する動歯とで、岩石、コンクリート、アスファルト等の被破砕物を挟んで破砕するジョークラッシャが知られている。この固定歯と動歯との隙間幅を調整することで、破砕された処理物の粒度が調整される。この隙間幅の調整が、くさびを抜き差しすることでされる、ジョークラッシャがある。
【0003】
このジョークラッシャでは、くさびの移動量に対して、固定歯と動歯との隙間幅の変化量が小さい。これにより、このジョークラッシャは、隙間幅を細かく高精度に調整できる。この様なジョークラッシャが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このジョークラッシャでは、くさびの移動量に比べて、隙間幅の変化量が小さい。固定歯と動歯との隙間幅を変化させるためには、くさびの移動量を大きくする必要がある。この隙間幅を大きく変える場合に、くさびの移動量が大きくなり、隙間幅の調整に手間がかかる。
【0006】
本出願人の意図するところは、固定歯と動歯との隙間幅を高精度に容易に調整可能なジョークラッシャの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
好ましいジョークラッシャは、
固定歯と、
前記固定歯に対して揺動し前記固定歯との間で被破砕物を破砕する動歯と、
前記固定歯と前記動歯との隙間幅を調整するくさびを有する隙間調整器と、
前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変えるアクチュエータと
を備える。
【発明の効果】
【0008】
このジョークラッシャは、隙間調整器を隙間幅を変える方向に移動させるアクチュエータを備える。これにより、ジョークラッシャは、隙間調整器のくさびでの隙間幅の調整に先立って、アクチュエータで隙間幅を調整できる。このジョークラッシャは、固定歯と動歯との隙間幅を高精度に容易に調整可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るジョークラッシャが示された構造説明図である。
【
図2】
図2は、
図1のジョークラッシャの隙間調整器が示された構造説明図である。
【
図3】
図3は、
図1のジョークラッシャの固定歯と動歯とが当接した使用状態が示された構造説明図である。
【
図4】
図4は、
図3の使用状態における隙間調整器が示された構造説明図である。
【
図5】
図5は、
図4の隙間調整器を移動させる押し当てが隙間調整器から離れた待機位置にある他の使用状態が示された構造説明図である。
【
図6】
図6は、
図5の隙間調整器によって固定歯と動歯との隙間幅が調整された更に他の使用状態が示された構造説明図である。
【
図7】
図7は、
図1のジョークラッシャを用いた隙間幅の調整方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、他の実施形態に係るジョークラッシャの隙間調整器が示された構造説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1にジョークラッシャ2が示されている。
図1の左右方向左向きがジョークラッシャ2の前後方向前向きであり、
図1の紙面に垂直な方向がジョークラッシャ2の左右方向である。このジョークラッシャ2は、フレーム4、フロントフレーム6、固定歯8、プーリ10、モータ12、ベルト14、偏心軸16、スイングジョー18、動歯20、隙間調整器22、アクチュエータとしての油圧シリンダ24、トグルプレート26、テンション調整器28、位置センサ30及び制御器32を備える。
【0012】
フレーム4に、フロントフレーム6が固定されている。このフロントフレーム6に、固定歯8が取付けられている。これにより、固定歯8は、フレーム4に固定されている。図示されないが、固定歯8は、本体と、本体の長手方向に沿って延びる多数の溝と、溝を間にして本体の長手方向に延びる多数の破砕歯とを有する。
【0013】
プーリ10はフレーム4に回転可能に支持されている。プーリ10とモータ12とにベルト14が架け渡されている。偏心軸16はプーリ10の回転中心に対して偏心している。この偏心軸16がスイングジョー18の上部18Aに回転可能に通され、スイングジョー18は、偏心軸16に支持されている。これにより、モータ12の駆動によって、スイングジョー18は揺動可能である。このスイングジョー18に、動歯20が取付けられている。図示されないが、動歯20は、本体と、本体の長手方向に沿って延びる多数の溝と、溝を間にして本体の長手方向に延びる多数の破砕歯とを有する。
【0014】
隙間調整器22は、サポート34、一対のくさび36及びトグルシート38を備える。隙間調整器22は、スイングジョー18の後方に配置されている。隙間調整器22は、固定歯8との間に動歯20を位置させて配置されている。隙間調整器22は、フレーム4が有するガイド40に支持されている。隙間調整器22は、ガイド40に支持されて、固定歯8に近づく向きと固定歯8から離れる向きとに移動可能である。
図1ではガイド40はガイドプレートであるが、これに限定されない。ガイド40は、例えば、ガイドレールであってもよく、ガイドレールとガイドプレートとの組み合わせであってもよい。
【0015】
油圧シリンダ24は、ガイド40に支持されている。油圧シリンダ24は、隙間調整器22を移動させる押し当て42を備える。この押し当て42は、隙間調整器22を固定歯8に近づく向きに付勢可能である。
図1では、押し当て42は、隙間調整器22から離れた待機位置にある。この待機位置では、押し当て42は、隙間調整器22に当接しない様にガイド40内に引っ込んでおり、ガイド40内に収まっている。なお、押し当て42は、油圧シリンダ24のロットに取付け取り外し可能である。また、この押し当て42として、油圧シリンダ24のロッドが用いられてもよい。
【0016】
トグルプレート26は、隙間調整器22が有するトグルシート38とスイングジョー18が有するトグルシート44との間に配置されている。テンション調整器28はフレーム4に取付けられている。テンション調整器28は、スイングジョー18の下部18Bを固定歯8から離れる向きに付勢している。このテンション調整器28の付勢と、スイングジョー18及び動歯20の重みとによって、トグルプレート26は、隙間調整器22のトグルシート38とスイングジョー18のトグルシート44との間に挟まれ保持されている。
【0017】
位置センサ30はフレーム4に取付けられている。このジョークラッシャ2では、位置センサ30は、フレーム4のガイド40に取付けられている。この位置センサ30は、トグルシート38の位置を検出可能な位置に取付けられていればよく、例えば、ガイド40以外のフレーム4の他の部位等に取付けられても良い。
【0018】
図1に示すように、ジョークラッシャ2では、固定歯8と動歯20とは対向して配置されている。固定歯8と動歯20との間隔は、上方から下方に向かって漸減している。なお、この間隔は、必ずしも、上方から下方に向かって漸減しなくてもよく、例えば、上方から下方に向かって漸減し、更に下方に向かって漸増してもよい。
図1の両矢印Dは、固定歯8と動歯20との隙間幅を表している。この隙間幅Dは、固定歯8と動歯20との間の最小距離として測定される。
【0019】
図2には、
図1の矢印Aの向きに見た隙間調整器22が示されている。
図2の上下方向がジョークラッシャ2の左右方向である。
図2に示されるように、隙間調整器22は、更に、一対のくさび調整アクチュエータとしての一対の調整シリンダ46を備える。この調整シリンダ46は、特に限定されないが、例えば油圧シリンダである。それぞれの調整シリンダ46がくさび36に連結されている。それぞれのくさび36は、隙間調整器22の進退方向に対して傾斜するテーパ面36Aを備える。一対のくさび36は、調整シリンダ46によって、互いにテーパ面36Aを摺動させて、左右方向に進退可能である。
図2の両矢印Wは、くさび幅を表している。この隙間調整器22では、サポート34を備えているので、くさび幅Wは、トグルシート38とサポート34との間における幅として測定される。この隙間調整器22では、それぞれのくさび36は、左右方向において前進端に位置している。くさび幅Wは、隙間調整器22における最大幅にされている。
【0020】
図3では、油圧シリンダ24の押し当て42が隙間調整器22に当接している。油圧シリンダ24によって、隙間調整器22が固定歯8に近づく向きに付勢されている。この押し当て42よって、隙間調整器22が
図1の使用状態に比べ、固定歯8に近づいている。この隙間調整器22によって、トグルプレート26及びスイングジョー18の下部18Bが、
図1の使用状態に比べ、固定歯8に近づいている。これにより、
図3では、固定歯8に動歯20が当接している。
【0021】
図4には、
図3の矢印Bの向きに見た隙間調整器22が示されている。
図4の上下方向がジョークラッシャ2の左右方向である。隙間調整器22は、油圧シリンダ24の押し当て42によって、固定歯8に近づく向きに付勢されている。一対の調整シリンダ46及び一対のくさび36の状態は、
図1の使用状態と同じである。
【0022】
図5の使用状態では、油圧シリンダ24の押し当て42が
図4の使用状態に対して固定歯8から離れた位置にある。この押し当て42は、隙間調整器22から離れた待機位置にある。その他は、
図4の使用状態と同様である。隙間調整器22は、テンション調整器28(
図3参照)の付勢と、スイングジョー18及び動歯20の重みとによって、固定歯8から離れる向きに付勢され、ガイド40に当接している。
【0023】
図6の使用状態では、
図5の使用状態に対して、それぞれの調整シリンダ46が、くさび36を、左右方向に後退させている。くさび幅Wは、
図5の使用状態に比べて小さい。
図5の使用状態に対して、スイングジョー18の下部18B及びトグルプレート26が固定歯8から離れて位置している。これにより、固定歯8と動歯20との間には、隙間幅Dが形成されている。この隙間調整器22は、くさび36によって、固定歯8と動歯20との隙間幅Dを調整可能である。
【0024】
図7には、このジョークラッシャ2を用いた隙間幅Dの調整方法のフローチャートが示されている。ここで、
図1から
図7を参照しつつ、この隙間幅Dの調整方法が説明される。
【0025】
ジョークラッシャ2では、通常、
図1に示される様に、押し当て42が待機位置にある。制御器32が、一対の調整シリンダ46を制御して、くさび幅Wを広げる(S1)。ここでは、くさび幅Wが最大にされる。ジョークラッシャ2は、
図1の使用状態にされる。
【0026】
制御器32が、油圧シリンダ24を制御し、油圧シリンダ24が押し当て42で隙間調整器22を固定歯8に近づく向きに付勢する。隙間調整器22及びトグルプレート26に押されて、スイングジョー18の下部18Bが固定歯8に近づく向きに回動する。押し当て42によって、固定歯8と動歯20とが近づく(S2)。固定歯8に動歯20が当接する。この様にして、ジョークラッシャ2は、
図1の使用状態から
図3の使用状態にされる。
【0027】
図3の使用状態では、固定歯8と動歯20との当接により、固定歯8に近づく向きに移動する隙間調整器22、トグルプレート26及びスイングジョー18の下部18Bは、停止している。位置センサ30は、トグルシート38の位置を検知している。制御器32は、位置センサ30の検知信号を受信し、トグルシート38の停止を検知する。制御器32は、トグルシート38が所定時間以上停止したとき、固定歯8と動歯20とが当接していると判定する(S3)。制御器32は、固定歯8と動歯20とが当接したことを判定するまで、押し当て42で動歯20を固定歯8に近づく向きに付勢する。この制御器32は、固定歯8と動歯20との当接を検出するゼロ点検出器としても機能する。
【0028】
図3の使用状態では、隙間調整器22及び油圧シリンダ24は、
図4の使用状態にある。この使用状態おいて、制御器32が、油圧シリンダ24を制御し、押し当て42の付勢を停止する(S4)。制御器32が、油圧シリンダ24を制御し、油圧シリンダ24が押し当て42を戻す(S5)。押し当て42が隙間調整器22から離れた待機位置に移動する。これにより、油圧シリンダ24は、
図4の使用状態から
図5の使用状態にされる。
【0029】
図5の使用状態において、制御器32が一対の調整シリンダ46を制御し、くさび36を左右方向に後退させる。くさび幅Wが最大幅から小さくなる。このくさび幅Wが小さくなることで、テンション調整器28(
図3参照)の付勢と、スイングジョー18及び動歯20の重みとによって、トグルプレート26及びスイングジョー18の下部18Bが、固定歯8から離れる向きに移動する。固定歯8と動歯20とに隙間幅Dが調整される(S6)。これにより、ジョークラッシャ2は、
図5の使用状態から
図6の使用状態にされる。
【0030】
前述の通り、位置センサ30は、トグルシート38の位置を検知している。このジョークラッシャ2で、制御器32は、トグルシート38の位置の設定範囲を記憶していてもよい。制御器32は、トグルシート38が設定範囲にないときに、異常を知らせる警報を発してもよい。この制御器32は、ジョークラッシャ2の異常を知らせる警報器として機能してもよい。
【0031】
なお、このジョークラッシャ2の運転時には、固定歯8が離れる向きに移動した隙間調整器22が、ガイド40に当接する後退端に位置する。このジョークラッシャ2では、固定歯8と動歯20とが当接した
図3の使用状態における、ガイド40又はフレーム4に対する隙間調整器22の相対位置に基づいて、運転時における固定歯8と動歯20との間隔を管理できる。
【0032】
ジョークラッシャ2は、固定歯8と動歯20との隙間幅Dの幅方向と交差する方向に移動可能なくさび36を有し、くさび36を移動させて隙間幅Dを調整する隙間調整器22を備える。この隙間調整器22は、くさび36の移動量に対して、隙間幅Dの変化量が小さい。この隙間調整器22を用いることで、ジョークラッシャ2は、隙間幅Dを細かく高精度に調整できる。
【0033】
このジョークラッシャ2は、更に、隙間調整器22を移動させ隙間幅Dを変えられる油圧シリンダ24を備える。ジョークラッシャ2は、油圧シリンダ24で隙間調整器22を移動させることで、隙間幅Dを調整できる。この様に隙間調整器22を移動させることで、ジョークラッシャ2は、くさび36による隙間幅Dの調整量を小さくできる。この隙間調整器22は、くさび36の長さと調整シリンダ46のストロークとを小さくできる。ジョークラッシャ2は、従来に比べ、短いくさび36と小ストロークの調整シリンダ46とを用いて、従来と同じ大きさの隙間幅Dを調整できる。このジョークラッシャ2は、小型できる。このジョークラッシャ2は、くさび36による隙間幅Dの調整の手間を低減できる。
【0034】
また、隙間調整器22のくさび36は、被破砕物を破砕する運転時に、破砕荷重を受ける。この破砕荷重によって、くさび36のテーパ面36Aで滑りが生じない様に摩擦角を設定することで、調整シリンダ46の負荷を軽減できる。この様な摩擦角に設定したテーパ面36Aを有するくさび36は長くなり易い。この様なくさび36でも、油圧シリンダ24で隙間調整器22が移動することで、くさび36が長くなることが抑制される。
【0035】
この油圧シリンダ24が隙間調整器22を付勢し移動させる押し当て42を有する。押し当て42は隙間調整器22から離れた待機位置に移動可能である。待機位置の押し当て42はガイド40内に収まっている。このジョークラッシャ2では、被破砕物を破砕する運転時に、ガイド40が破砕荷重を受け、油圧シリンダ24は破砕荷重を受けない。これにより、破砕荷重による油圧シリンダ24の破損が抑制される。この観点から、好ましくは、押し当て42は隙間調整器22から離れた待機位置に移動可能である。更に、好ましくは、この待機位置では、ガイド40等、油圧シリンダ24を支持する構造物内に押し当て42が収まっている。
【0036】
このジョークラッシャ2では、制御器32が固定歯8と動歯20との当接を検出するゼロ点検出器として機能する。このジョークラッシャ2は、固定歯8と動歯20との当接するゼロ点を、隙間幅Dの調整の基準にできる。ジョークラッシャ2は、隙間幅Dの調整の際に、隙間幅Dを実測することなく、隙間幅Dを調整できる。ジョークラッシャ2は、隙間幅Dの実測を必要としないので、遠隔で隙間幅Dを調整でき、また、自動で隙間幅Dを調整できる。なお、このジョークラッシャ2では、制御器32がゼロ点検出器として機能するが、ゼロ点検出器は制御器32と別に設けられてもよい。この観点から、ジョークラッシャ2は、好ましくは、ゼロ点検出器を備える。
【0037】
このジョークラッシャ2では、位置センサ30がトグルシート38の位置を検出することで、制御器32が固定歯8と動歯20との当接を検出する。これに対して、例えば、油圧シリンダ24の油圧を検出して、固定歯8と動歯20との当接を検出することも可能である。しかし、油圧シリンダ24の押し当て42は、固定歯8及び動歯20の破損防止の観点から低速で移動させることが好ましい。押し当て42を低速で移動させるために速度を制御した油圧シリンダ24では油圧が変動し易い。この油圧シリンダ24では、固定歯8と動歯20との当接が誤検知され易い。このジョークラッシャ2では、位置センサ30で、トグルシート38の位置を検出することで、制御器32が固定歯8と動歯20との当接の誤検出を抑制できる。この観点から、好ましくは、ジョークラッシャ2は、検出対象物の位置を検出する位置センサ30を備える。
【0038】
なお、この位置センサ30は、トグルシート38の位置を検出したが、検出対象物はこれに限定されない。検出対象物は、固定歯8に動歯20が近づくときに、動歯20とともに固定歯8に近づく位置に移動するものであればよい。検出対象物は、例えば、動歯20、スイングジョー18の下部18B、トグルシート44、トグルプレート26、サポート34等の隙間調整器22の一部であってもよい。
【0039】
前述の通り、ジョークラッシャ2が位置センサ30を備えることが好ましいが、これに限定されない。ジョークラッシャ2が、油圧を検出して、固定歯8と動歯20との当接を検出することを排除しない。例えば、油圧シリンダ24の油圧を検出して、固定歯8と動歯20との当接を検出する場合に、油圧回路や油圧検出位置やタイミングを調整することで、固定歯8と動歯20との当接の誤検出は抑制できる。
【0040】
前述の様に、制御器32は、位置センサ30が検出する、トグルシート38の位置の設定範囲を記憶していてもよい。制御器32は、トグルシート38が設定範囲にないときに、警報を発してもよい。例えば、制御器32は、固定歯8と動歯20とが当接するゼロ点において、トグルシート38が設定範囲にないことを検知してもよい。これにより、制御器32は、固定歯8や動歯20の摩耗を検知できる。また、制御器32は、固定歯8や動歯20に異物が挟まったことをも検知できる。この制御器32は、異常状態を検出する警報器としても機能し得る。この制御器32は、警報器としての機能を備える。なお、警報器は、制御器32と別に設けられてもよい。
【0041】
このジョークラッシャ2の用いた隙間幅Dの調整方法では、制御器32が、油圧シリンダ24によって固定歯8と動歯20とが当接する位置まで隙間調整器22を隙間幅Dを狭める向きに移動させる。固定歯8と動歯20とが当接するゼロ点を基準にして、くさび36を隙間幅Dを拡げる向きに移動させ、隙間幅Dを所定の大きさにする。
【0042】
この隙間幅Dの調整方法は、固定歯8と動歯20とが当接するゼロ点を基準に、隙間幅Dの調整がされる。この隙間幅Dの調整方法は、ゼロ点を基準にすることで、隙間幅Dの調整に先立って、隙間幅Dを実測する必要がない。
【0043】
このゼロ点を基準にして、くさび36を隙間幅Dが拡がる向きに移動させ隙間幅Dを所定の大きさにする。この隙間幅Dの調整方法は、ゼロ点を基準して、くさび36で隙間幅Dを所定の大きさにすることで、細かく高精度に隙間幅Dを調整できる。
【0044】
この隙間幅Dの調整方法は、固定歯8と動歯20とが当接する前に、隙間調整器22ではくさび幅Wが最大にされている。これにより、固定歯8と動歯20とが当接するゼロ点において、くさび幅Wが最大にされている。これにより、くさび36による隙間幅Dの調整幅は、最大限にされている。この観点から、この隙間幅Dの調整方法では、好ましくは、固定歯8と動歯20とが当接する前に、くさび幅Wが最大にされる。
【0045】
この隙間幅Dの調整方法は、隙間調整器22のくさび幅Wを最大にして、制御器32は、トグルシート38が設定範囲にあるか否かを検知している。これにより、この制御器32は、容易に異常を知らせる警報器として機能できる。なお、この観点では、隙間調整器22が移動させられる際にくさび幅Wが予め設定された幅にされていればよく、最大幅に限定されない。
【0046】
なお、ここでは、アクチュエータとして油圧シリンダ24を用いたが、アクチュエータは、油圧シリンダ24に限定されない。アクチュエータは隙間調整器22を移動可能であればよい。アクチュエータは、エアシリンダであってもよく、ボールネジ等をモータ駆動するものであってよい。
【0047】
ジョークラッシャ2では、油圧シリンダ24は固定歯8に近づく向きに隙間調整器22を移動させたが、アクチュエータはこれに限定されない。アクチュエータは、固定歯8から離れる向きに隙間調整器22を移動させてもよい。例えば、固定歯8と動歯20との隙間幅Dが測定され、所定の隙間幅Dが形成される位置まで隙間調整器22を固定歯8から離れる向きに移動させてもよい。この所定の隙間幅Dが形成された位置から、隙間調整器22で隙間幅Dが調整されてもよい。
【0048】
ジョークラッシャ2は、スペーサを備えてよい。例えば、ジョークラッシャ2は、隙間調整器22と押し当て42との間に挟むスペーサを備えてもよい。固定歯8と動歯20とが当接するゼロ点において、スペーサが隙間調整器22と押し当て42との間に挟まれてもよい。
【0049】
このジョークラッシャ2は、隙間調整器22の移動によって動歯20を移動させたが、これに限定されない。ジョークラッシャ2は、隙間調整器22の移動によって固定歯8を移動させてもよい。ジョークラッシャ2は、隙間調整器22で固定歯8を移動させて隙間幅Dが調整されるようにし、隙間調整器22の移動によって固定歯8を移動させてもよい。
【0050】
図8には、他の実施形態に係るジョークラッシャ50の一部が示されている。このジョークラッシャ50の説明において、ジョークラッシャ2と同様の構成については、その説明が省略され、同じ符号を用いて説明がされる。
【0051】
ジョークラッシャ50は、隙間調整器22に代えて隙間調整器52を備える。ジョークラッシャ50は、一対のガイドレール54を備える。隙間調整器52は、一対のガイドレール54に支持されて、固定歯8に近づく向きと固定歯8から離れる向きとに移動可能である。隙間調整器52は、一対のくさび36、トグルシート38、一対のサイドガイド56及び一対のストッパ58を備える。このジョークラッシャ50は、ジョークラッシャ2が備えるサポート34を備えない。一対のガイドレール54は、ガイド40に代えてフレーム4が有する他のガイドに支持されている。ジョークラッシャ50の他の構成は、ジョークラッシャ2のそれと同様にされている。なお、
図8では、下方から隙間調整器52を支持する一対のガイドレール54が示されているが、一対のガイドレール54との間で、隙間調整器52を移動可能に上方から挟み込む他の一対のガイドレールを備えてもよい。
【0052】
それぞれのサイドガイド56は、ガイドレール54に接触し、トグルシート38が幅方向にずれることを防止している。それぞれのストッパ58は、トグルプレート26をトグルシート38に当接させている。また、ストッパ58は、トグルプレート26が幅方向にずれることを防止している。
【0053】
油圧シリンダ24は、フレーム4に支持されている。押し当て42の待機位置では、押し当て42は、フレーム4内に引っ込んでおり、フレーム4内に収まっている。押し当て42は隙間調整器52を付勢するときに、くさび36に直に当接する。このジョークラッシャ50の様に、押し当て42がくさび36に当接してもよい。この隙間調整器52では、くさび幅Wは、トグルシート38と押し当て42との間における一対のくさび36の幅として測定される。
【0054】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0055】
[項目1]
固定歯と、
前記固定歯に対して揺動し前記固定歯との間で被破砕物を破砕する動歯と、
前記固定歯と前記動歯との隙間幅を調整するくさびを有する隙間調整器と、
前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変えるアクチュエータと
を備える、ジョークラッシャ。
【0056】
[項目2]
前記アクチュエータが前記隙間調整器を付勢し移動させる押し当てを有し、前記押し当てが前記隙間調整器から離れた待機位置に移動可能である、項目1に記載のジョークラッシャ。
【0057】
[項目3]
前記固定歯と前記動歯との当接を検出するゼロ点検出器を備える、項目1又は2に記載のジョークラッシャ。
【0058】
[項目4]
位置センサを備え、
前記ゼロ点検出器が、前記位置センサが検出対象物の位置を検出することで、前記固定歯と前記動歯との当接を検出する、項目3に記載のジョークラッシャ。
【0059】
[項目5]
前記位置センサが検出する、前記検出対象物の位置が、設定範囲を外れたことを知らせる警報器を備える、項目4に記載のジョークラッシャ。
【0060】
[項目6]
固定歯と、
前記固定歯に対して揺動し前記固定歯との間で被破砕物を破砕する動歯と、
前記固定歯と前記動歯との隙間幅を調整するくさびを有する隙間調整器と、
前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変えるアクチュエータと、
制御器と
を備え、
前記制御器が、
前記アクチュエータによって前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変え、
前記隙間調整器を移動させ変えた前記隙間幅を前記くさびで調整する、ジョークラッシャ。
【0061】
[項目7]
前記アクチュエータで前隙間調整器を移動させ前記固定歯と前記動歯とを当接させ、
前記固定歯と前記動歯とが当接した前記隙間調整器の位置に基づいて、前記隙間幅を前記くさびで調整する、項目6に記載のジョークラッシャ。
【0062】
[項目8]
固定歯と、前記固定歯に対して揺動し前記固定歯との間で被破砕物を破砕する動歯との、隙間幅を調整するくさびを有する隙間調整器と、
前記隙間調整器を移動させるアクチュエータと
を用い、
前記アクチュエータによって前記隙間調整器を移動させ前記隙間幅を変え、
前記隙間調整器を移動させ変えた前記隙間幅を前記くさびで調整する、
隙間幅の調整方法。
【0063】
[項目9]
前記アクチュエータで前隙間調整器を移動させ前記固定歯と前記動歯とを当接させ、
前記固定歯と前記動歯とが当接した前記隙間調整器の位置に基づいて、前記隙間幅を前記くさびで調整する、項目8に記載の、隙間幅の調整方法。
【符号の説明】
【0064】
2、50・・・ジョークラッシャ
8・・・固定歯
20・・・動歯
22、52・・・隙間調整器
24・・・油圧シリンダ(アクチュエータ)
30・・・位置センサ
32・・・制御器(ゼロ点検出器、警報器)
36・・・くさび
42・・・押し当て
D・・・隙間幅