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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107218
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】自動車用システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/02 20060101AFI20230726BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20230726BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
B60K11/02
F16H57/04 G
F16H57/04 Z
B60K1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023004800
(22)【出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】10 2022 200 696.8
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ヤウス
(72)【発明者】
【氏名】ルペルト ハンス-マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ルタ
(72)【発明者】
【氏名】シュミーデル カイ-トーステン
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
3J063
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AC23
3D235BB17
3D235BB19
3D235BB26
3D235BB45
3D235CC12
3D235FF32
3D235HH02
3D235HH05
3D235HH52
3J063AA01
3J063BA11
3J063BA15
3J063BB46
3J063BB48
3J063CA01
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD38
3J063XD62
3J063XD63
3J063XH03
3J063XH12
3J063XH23
3J063XH43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、自動車の異なる構成部品に潤滑剤を供給するための自動車用のシステムに関する。
【解決手段】このシステムはリザーバを有し、潤滑剤の3つの流路(5,6,7)と冷却液の2つの流路(8,9)がリザーバを通り、リザーバには、対応する流路(5,6,7,8,9)が通る少なくとも一つの流路が形成される。本発明は、さらに、このようなシステムを有する自動車(100)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(100)用のシステム(1)であって、
リザーバ(4)を形成する上リザーバ部(2)及び前記上リザーバ部(2)に取り付けられる下リザーバ部(3)を備え、
前記リザーバ(4)の中を第1潤滑剤通路(5)、第2潤滑剤通路(6)及び第3潤滑剤通路(7)が通り、
前記潤滑剤通路(5,6,7)から流体的に分離した第1冷却液通路(8)及び第2冷却液通路(9)が前記リザーバ(4)の中を通り、
前記下リザーバ部(3)に、潤滑剤用の2つの別々の液溜め(10)が成形され、
前記リザーバ(4)は、前記第1潤滑剤通路(5)用に、前記第1潤滑剤通路(5)が通じる第1リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11a)及び第1リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12a)を有し、前記第2潤滑剤通路(6)用に、前記第2潤滑剤通路(6)が通じる第2リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11b)及び第2リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12b)を有し、前記第3潤滑剤通路(7)用に、前記第3潤滑剤通路(7)が通じる第3リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11c)及び第3リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12c)を有し、
前記リザーバ(4)は、前記第1冷却液通路(8)用に、前記第1冷却液通路(8)が通じる第1リザーバ冷却液入口接続部(13,13a)及び第1リザーバ冷却液出口接続部(14,14a)を有し、前記第2冷却液通路(9)用に、前記第2冷却液通路(9)が通じる第2リザーバ冷却液入口接続部(13,13b)及び第2リザーバ冷却液出口接続部(14,14b)を有し、
前記第1潤滑剤通路(5)用の第1送出装置(15,15a)及び前記第2潤滑剤通路(6)用の第2送出装置(15,15b)を備え、
前記各送出装置(15)は前記リザーバ(4)に取り付けられ、
前記リザーバ(4)は、前記第1送出装置(15,15a)用に、前記第1送出装置(15,15a)が動作中に前記第1潤滑剤通路(5)に沿って潤滑剤を送出するように、前記第1送出装置(15,15a)が流体的に接続される2つの流体的第1ポンプ接続部(16)を有し、前記第2送出装置(15,15b)用に、前記第2送出装置(15,15b)が動作中に前記第2潤滑剤通路(6)に沿って潤滑剤を送出するように、前記第2送出装置(15,15b)が流体的に接続される2つの流体的第2ポンプ接続部(17)を有し、
前記システム(1)は、前記第1潤滑剤通路(5)用に第1冷却器(18,18a)と、前記第2潤滑剤通路(6)用に第2冷却器(18,18b)と、前記第3潤滑剤通路(7)用に第3冷却器(18,18c)とを有し、
前記各冷却器(18)は前記リザーバ(4)に取り付けられ、
前記各冷却器(18)は、冷却器潤滑剤入口、冷却器潤滑剤出口、冷却器冷却液入口及び冷却器冷却液出口を有し、
前記リザーバ(4)は、前記各冷却器潤滑剤入口用に、対応するリザーバ潤滑剤出口(19)を有し、前記各冷却器潤滑剤出口用に、対応するリザーバ潤滑剤入口(20)を有し、対応する潤滑剤通路(5,6,7)が前記各冷却器(18)の中を通り、
前記リザーバ(4)は、前記各冷却器冷却液入口用に、対応するリザーバ冷却液出口(21)を有し、前記各冷却器冷却液出口用に、対応するリザーバ冷却液入口(22)を有し、動作中に、前記潤滑剤通路(5,6,7)から流体的に分離して、冷却液が前記各冷却器(18)を通って流れ、動作中に、対応する潤滑剤通路(5,6,7)に沿って流れる潤滑剤が前記各冷却器(18)において冷却液で冷却され、
前記リザーバ(4)内に少なくとも1つの流路(24)が成形され、
前記流路(24)によって区画された対応する潤滑剤通路(5,6,7)または冷却液通路(8,9)が前記各流路(24)の中を通るシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
少なくとも1つの流路(23)の少なくとも1つは、前記リザーバ部(2,3)の1つに成形されることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記リザーバ部(2,3)の少なくとも1つが射出成形によって製造され、
前記リザーバ部(2,3)に少なくとも1つの流路(24)が射出成形中にインサートによって製造されることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記下リザーバ部(3)が深い容器状に形成され、
前記上リザーバ部(2)が板状に形成されて前記下リザーバ部(3)の上に配置され、
少なくとも1つの流路(24)の少なくとも1つ、特に前記各流路(24)が前記上リザーバ部(2)に成形されることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記ポンプ接続部(16,17)が前記下リザーバ部(3)に形成され、前記送出装置(15)が前記下リザーバ部(3)に取り付けられることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記各冷却器(18)がプレート冷却器(26)として形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記冷却器(18)は、前記下リザーバ部(3)から離れる方向を向く前記上リザーバ部(2)の面に配置されて、前記上リザーバ部(2)に取り付けられ、
前記上リザーバ部(2)は、前記リザーバ潤滑剤出口(19)、前記リザーバ潤滑剤入口(20)、前記リザーバ冷却液出口(21)及び前記リザーバ冷却液入口(22)を有することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記第1リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11a)が前記下リザーバ部(3)に形成され、
前記第1リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12a)が前記上リザーバ部(2)に形成され、前記第1リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11a)から離れる方向を向くことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記第2リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11b)が前記下リザーバ部(3)に形成され、
前記第2リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12b)が前記上リザーバ部(2)に形成され、前記第2リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11b)と同じリザーバ(4)の面(27)に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記第3リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11c)及び前記第3リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12c)は、前記上リザーバ部(2)に形成され、前記リザーバ(4)の同じ面(27)に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記第1リザーバ冷却液入口接続部(13,13a)及び前記第1リザーバ冷却液出口接続部(14,14a)は、前記上リザーバ部(2)に形成され、前記リザーバ(4)の異なる面(27)に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記第2リザーバ冷却液入口接続部(13,13b)及び前記第2リザーバ冷却液出口接続部(14,14b)は、前記上リザーバ部(2)に形成され、前記リザーバ(4)の異なる面(27)に配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記システム(1)は第1温度センサ(28,28a)を有し、
前記リザーバ(4)は、前記第1温度センサ(28,28a)用に第1センサ接続部(29,29a)を有し、この第1センサ接続部を介して、前記第1温度センサ(28,28a)が前記第1潤滑剤通路(5)に入り、特に前記第1リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11a)と前記第1送出装置(15,15a)の間に入り、
前記システム(1)は第2温度センサ(28,28b)を有し、
前記リザーバ(4)は、前記第2温度センサ(28,28b)用に第2センサ接続部(29,29b)を有し、この第2センサ接続部を介して、前記第2温度センサ(28,28b)が前記第2潤滑剤通路(6)に入り、特に前記第2リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11b)と前記第2送出装置(15,15b)の間に入ることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記第1潤滑剤通路(5)が、第1液溜め(10,10a)を通り、前記第1リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11a)が前記第1液溜め(10,10a)に流体的に接続されて、前記第1潤滑剤通路(5)が、前記第1リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11a)から前記第1冷却器(18,18a)を通って前記第1液溜め(10,10a)を通り、そして前記第1リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12a)に通じ、及び/または
前記第2潤滑剤通路(6)が、第2液溜め(10,10b)を通り、前記第2リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11b)が前記第2液溜め(10,10b)に流体的に接続されて、前記第2潤滑剤通路(6)が、前記第2リザーバ潤滑剤入口接続部(11,11b)から前記第2冷却器(18,18b)を通って前記第2液溜め(10,10b)を通り、そして前記第2リザーバ潤滑剤出口接続部(12,12b)に通じることを特徴とするシステム。
【請求項15】
第1電気機械(101)と、第2電気機械(102)と、変速機(103)と、請求項1から14のいずれか1つに記載のシステム(1)とを有する自動車(100)であって、
前記第1潤滑剤通路(5)が前記第1電気機械(101)を通り、
前記第2潤滑剤通路(6)が前記第2電気機械(102)を通り、
前記第3潤滑剤通路(7)が前記変速機(103)を通る自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤の流路と冷却液の流路とが通る自動車用システムに関する。また、本発明は、このようなシステムを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、通常、2つ以上の部品に流体、例えば潤滑剤が供給される。また、通常、前記流体は温度が制御される。この目的のために、自動車では一般に、それぞれの部品に、別々且つ関連する供給品とインフラストラクチャが用意されている。このことにより、設置スペースが増えるのに加え、必要な部品の数も増やす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術において知られた解決手段の欠点を解消する、自動車用システム及びそのようなシステムを有する自動車用の改善された実施形態または少なくとも他の実施形態を提示することを目的とする。特に、本発明は、システム及び自動車について、効率の向上、及び/または費用対効果がより高い製造、及び/または設置スペース要件の低減を特徴とする実施形態を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、独立請求項の主題により解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
したがって、本発明は、異なる流路に沿って潤滑剤と冷却液とが流れ、リザーバを有する自動車用のモジュールとしてのシステムを提供するという大きな考えに基づいており、リザーバには2つの送出装置と3つの冷却器が取り付けられ、このリザーバの中には少なくとも一つの流路が一体的に成形され、その中をそれぞれ対応する流路が通る。リザーバ内に流路を形成することにより、流路抵抗が減少し、したがってシステム内の圧力損失が低減される。このことにより、システム及び対応する自動車の効率が向上する。さらに、対応する自動車の部品を供給するためにシステムに必要とされる部品がより少なくなるため、システムの設置スペースがより少なくて済み、システム及び対応する自動車の費用対効果がより高くなる。
【0006】
本発明の思想によれば、システムしたがってモジュールは、互いに取り付けられる2つのリザーバ部を有し、以下では、これらを上リザーバ部及び下リザーバ部とも称し、これらがリザーバを形成する。以下において潤滑剤通路とも称する、潤滑剤、特にオイルの3つの流路がリザーバの中を通る。したがって、第1潤滑剤通路、第2潤滑剤通路及び第3潤滑剤通路がリザーバの中を通る。また、潤滑剤通路に沿って流れる潤滑剤を冷却するために、冷却液の2つの流路がリザーバの中を通り、以下ではこれを冷却液通路とも称する。したがって、潤滑剤通路とは流体的に分離して、第1冷却液通路と第2冷却液通路とがリザーバの中を通る。下リザーバ部には、潤滑剤のための2つの別々の液溜めが成形されている。リザーバは、各潤滑剤通路と各冷却液通路用に、対応する入口と出口とを有する。したがって、リザーバは、第1潤滑剤通路用に第1リザーバ潤滑剤入口接続部と第1リザーバ潤滑剤出口接続部とを有し、これらの接続部を第1潤滑剤通路が通る。また、リザーバは、第2潤滑剤通路用に第2リザーバ潤滑剤入口接続部と第2リザーバ潤滑剤出口接続部とを有し、これらの接続部を第2潤滑剤通路が通る。さらに、リザーバは、第3潤滑剤通路用に第3リザーバ潤滑剤入口接続部と第3リザーバ潤滑剤出口接続部とを有し、これらの接続部を第3潤滑剤通路が通る。さらに、リザーバは、第1冷却液通路用に第1リザーバ冷却液入口接続部と第1リザーバ冷却液出口接続部とを有し、これらの接続部を第1冷却液通路が通る。また、リザーバは、第2冷却液通路用に第2リザーバ冷却液入口接続部と第2リザーバ冷却液出口接続部とを有し、これらの接続部を第2冷却液通路が通る。さらに、このシステムは、第1潤滑剤通路用及び第2潤滑剤通路用に、それぞれ対応する送出装置を有し、これらの送出装置はリザーバに装着される。したがって、このシステムは、第1潤滑剤通路用の第1送出装置と第2潤滑剤通路用の第2送出装置とを有する。また、リザーバは、各送出装置用に、対応する2つの流体接続部を有し、これらを以下ではポンプ接続部とも称する。したがって、リザーバは、第1送出装置用に2つの流体的第1ポンプ接続部を有し、それに第1送出装置が流体的に接続され、第1送出装置は動作中に第1潤滑剤通路に沿って潤滑剤を送出する。さらに、リザーバは、第2送出装置用に2つの流体的第2ポンプ接続部を備え、それに第2送出装置が流体的に接続され、第2送出装置は動作中に第2潤滑剤通路に沿って潤滑剤を送出する。また、このシステムは、各潤滑剤通路用に、リザーバに取り付けられる冷却器をさらに有する。したがって、システムは、第1潤滑剤通路用に第1冷却器を、第2潤滑剤通路用に第2冷却器を、そして第3潤滑剤通路用に第3冷却器を有する。各冷却器は、潤滑剤を入れるために、以下で冷却器潤滑剤入口とも称する入口と、潤滑剤を排出するために、以下で冷却器潤滑剤出口とも称する出口とを有する。
【0007】
また、各冷却器は、冷却液を受け入れるために、以下で冷却器冷却液入口とも称する入口と、冷却液を排出するために、以下で冷却器冷却液出口とも称する出口とを有する。リザーバは、各冷却器潤滑剤入口に対して、対応するリザーバ潤滑剤出口と、各冷却器潤滑剤出口に対して、対応するリザーバ潤滑剤入口とを有し、対応する潤滑剤通路が各冷却器の中を通る。また、リザーバは、各冷却器冷却液入口用に、対応するリザーバ冷却液出口と、各冷却器冷却液出口用に、対応するリザーバ冷却液入口とを有し、潤滑剤通路から流体的に分離した冷却液が動作中に各冷却器を通って流れる。したがって、対応する潤滑剤通路に沿って各冷却器の中を流れる潤滑剤が動作中に冷却液で冷却される。ここで、リザーバには少なくとも1つの流路が成形される。また、流路によって区画された対応する潤滑剤通路または冷却液通路は、それぞれの流路の中を通る。
【0008】
ここで、リザーバに「成形される」という用語は、有利には、リザーバの内部に各流路が全体的に形成されることを意味する。このことは、特に、リザーバがそれ自体少なくとも1つの流路を形成すること、及び/または少なくとも1つの成形された流路を形成するためにリザーバ以外に他の部品が存在しないことを意味する。
【0009】
少なくとも1つの流路の少なくとも1つを、両方のリザーバ部によりリザーバ内に成形することが考えられる。有利には、両方のリザーバ部により形成される各流路は、一方のリザーバ部に流路部を有し、この流路部は、他方のリザーバ部に対する離間方向に開放され、流路を形成するために他方のリザーバ部によって閉じられる。したがって、下リザーバ部の流路は、上リザーバ部に向かって開いた流路部を有し、流路が成形されるように上リザーバ部によって閉じられ、またはその逆も同様である。
【0010】
少なくとも1つの流路のうちの少なくとも1つは、リザーバ部のうちの1つに成形することが好ましい。したがって、流路は対応するリザーバ部に全体的に成形される。このことは、特に、リザーバ部がそれ自体で少なくとも1つの流路を形成すること、及び/または少なくとも1つの成形された流路を形成するためにリザーバ部以外に他の部品が存在しないことを意味する。
【0011】
原則として、少なくとも1つの流路を両方のリザーバ部にそれぞれ成形することができる。
【0012】
少なくとも上リザーバ部に少なくとも1つの流路を成形することが都合がよい。
【0013】
各流路は上リザーバ部に成形することが好ましい。したがって、システムの製造が簡素化される。
【0014】
リザーバ部は、それぞれ任意の材料から製造できる。
【0015】
好ましくは、各リザーバ部は、金属または合金、例えばアルミニウムから製造される。同様に、各リザーバ部は、例えばポリアミド、特に繊維強化ポリアミド、特にPA 66 GF 35 HSなどのプラスチックから製造できる。
【0016】
有利には少なくとも1つの流路のうちの少なくとも1つ、好ましくはリザーバの各流路は、リザーバ部の射出成形中に対応するリザーバ部に成形されることが都合がよい。このことは、リザーバ部が射出成形によって製造され、対応する金型に挿入されて後に除去される少なくとも1つのインサートが射出成形中に配置され、その結果、この少なくとも1つのインサートによって射出成形後にリザーバ部内に少なくとも1つの流路が成形されることを意味する。このように、コアとしても知られるこのようなインサートによって、少なくとも1つの流路が、対応するリザーバ部内に成形される。このことにより、特に費用対効果が高くて簡単なシステムの製造が可能になる。
【0017】
ここで、少なくとも1つのインサートが対応するリザーバ部内に残ること、すなわちリザーバ部の一部になることが考えられる。同様に、少なくとも1つのインサートは射出成形後にリザーバ部から取り出すことができる。
【0018】
リザーバ部は、基本的にどのようにして形成してもよい。
【0019】
好ましい実施形態では、下リザーバ部は深い容器状に形成され、上リザーバ部は板状に形成されて下リザーバ部の上に配置される。このように、上リザーバ部は、蓋の態様で下リザーバ部の上に載置される。
【0020】
好ましい実施形態では、流路の少なくとも1つ、有利には各流路が上リザーバ部に成形される。このように、流路が好ましくはリザーバ部の1つに成形されるので、リザーバの製造ひいてはシステムの製造が簡素化され、費用対効果がより高くなる。上リザーバ部がさらに板状に形成されている場合、少なくとも1つの流路内で流動抵抗がさらに減少するので効率が向上する。
【0021】
ポンプ接続部を下リザーバ部に形成し、送出装置を下リザーバ部に取り付けることが有利である。
【0022】
原則として、各冷却器はどのようにして形成してもよい。
【0023】
有利なのは、冷却器の少なくとも1つ、好ましくは各冷却器がプレート冷却器として形成されている実施形態である。したがって、各冷却器は、簡素且つコンパクトな態様でリザーバに取り付けることができる。
【0024】
冷却器の少なくとも1つ、好ましくは各冷却器が、下リザーバ部から離れる方向を向く上リザーバ部の面に配置されて上リザーバ部に取り付けられる実施形態が有利であると考えられる。ここで、上リザーバ部は、リザーバ潤滑剤出口、リザーバ潤滑剤入口、リザーバ冷却液出口、及びリザーバ冷却液入口を有する。
【0025】
有利な実施形態では、第1リザーバ潤滑剤入口接続部は、下リザーバ部に形成される。また、第1リザーバ潤滑剤出口接続部は上リザーバ部に形成され、第1リザーバ潤滑剤入口接続部から離れる方向を向く。
【0026】
有利な変形例によれば、第2リザーバ潤滑剤入口接続部は下リザーバ部に形成される。また、第2リザーバ潤滑剤出口接続部は有利には上リザーバ部に形成され、好ましくは第2リザーバ潤滑剤入口接続部と同じ面に配置される。有利には、第2リザーバ潤滑剤出口接続部と第2リザーバ潤滑剤入口接続部は互いに平行である。
【0027】
有利なのは、第3リザーバ潤滑剤入口接続部と第3リザーバ潤滑剤出口接続部が上リザーバ部に形成され、リザーバの同じ面に配置される実施形態である。第3リザーバ潤滑剤入口接続部と第3リザーバ潤滑剤出口接続部が互いに平行であることが好ましい。
【0028】
有利な実施形態では、第1リザーバ冷却液入口接続部と第1リザーバ冷却液出口接続部は、上リザーバ部に形成され、リザーバの異なる面に配置される。
【0029】
有利な実施形態によれば、第2リザーバ冷却液入口接続部と第2リザーバ冷却液出口接続部は、上リザーバ部に形成され、リザーバの異なる面に配置される。
【0030】
好ましくは、第1リザーバ冷却液入口接続部と第2リザーバ冷却液出口接続部は互いに平行である。
【0031】
有利には、第2リザーバ冷却液入口接続部と第1リザーバ冷却液出口接続部は互いに平行である。
【0032】
実際には、リザーバはそれぞれが互いに離れる方を向く2つの面を有する。したがって、リザーバは、第1面と、第1面から離れる方を向く第2面とを有する。また、リザーバは、第3面と、第3面から離れる方を向く第4面とを有する。第1面及び第2面は、第3面及び第4面に対して傾斜する方向または横切る方向へ、好ましくは横切る方向へ延びる。好ましくは、第3面及び第4面により、第1面及び第2面が互いに接続される。
【0033】
有利には、ポンプ接続部がリザーバの第1面に配置される。有利には、第2リザーバ冷却液入口接続部及び第1リザーバ冷却液出口接続部がリザーバの第2面に配置される。有利には、第1リザーバ冷却液入口接続部及び第2リザーバ冷却液出口接続部、さらに第1リザーバ潤滑剤入口接続部が、リザーバの第3面に配置される。有利には、第2リザーバ潤滑剤入口接続部及び第2リザーバ潤滑剤出口接続部、さらに第1リザーバ潤滑剤出口接続部が、リザーバの第4面に配置される。
【0034】
原則的に、冷却液通路は、互いに流体的に別々にリザーバを通ってもよい。
【0035】
また、冷却液通路がリザーバ内、特に上リザーバ部内を交差することも考えられる。したがって、冷却液通路の間の冷却液の流れがリザーバ内で生じ得る。
【0036】
有利な実施形態では、システムは、潤滑油通路の少なくとも1つ用に、対応の温度センサを有し、各温度センサ用に、以下でセンサ接続部とも称する対応の接続部をリザーバに備える。
【0037】
好ましいのは、システムが、第1潤滑剤通路及び第2潤滑剤通路用に、それぞれ対応する温度センサを有する実施形態である。したがって、システムは、第1潤滑剤通路用に第1温度センサを有する。リザーバは、第1温度センサ用に第1センサ接続部を有し、この第1センサ接続部を介して第1温度センサが第1潤滑剤通路に入り、特に第1リザーバ潤滑剤入口接続部と第1送出接続部との間に入る。また、システムは、第2潤滑剤通路用に第2温度センサを有する。リザーバは、第2温度センサ用に第2センサ接続部を有し、この第2センサ接続部を介して第2温度センサが第2潤滑剤通路に入り、特に第2リザーバ潤滑剤入口接続部と第2送出接続部との間に入る。
【0038】
好ましいのは、第1潤滑剤通路が第1の液溜めに通じる実施形態である。また、第1リザーバ潤滑剤入口接続部が第1液溜めに流体的に接続されるので、第1潤滑剤通路は、第1リザーバ潤滑剤入口接続部から第1冷却器を通って第1液溜めを通り、第1リザーバ潤滑剤出口接続部に通じる。
【0039】
有利な実施形態では、第2潤滑剤通路が第2の液溜めの中を通る。また、第2リザーバ潤滑剤入口接続部が第2液溜めに流体的に接続されるので、第2潤滑剤通路は、第2リザーバ潤滑剤入口接続部から第2冷却器を通って第2液溜めを通り、第2リザーバ潤滑剤出口接続部に通じる。
【0040】
このシステムは、異なる部品に潤滑剤を供給するために自動車に採用される。
【0041】
好ましくは、各潤滑剤通路は、対応する部品に潤滑剤、特にオイルを供給するために機能する。
【0042】
好ましくは、自動車は、第1電気機械、第2電気機械及び変速機を備え、これらのそれぞれに本システムを介して潤滑剤が供給される。
【0043】
各電気機械は、電気モーターにすることができる。
【0044】
有利には、第1潤滑剤通路が第1電気機械を通り、第2潤滑剤通路が第2電気機械を通り、第3潤滑剤通路が変速機を通る。
【0045】
本発明の範囲には、このシステムの他に、このシステムを有する自動車も含まれることを理解されたい。
【0046】
本発明の他の重要な特徴及び効果は、従属請求項、図面、及び図面に対応する図の説明から得られる。
【0047】
上述し、さらに以下で説明する特徴は、記載されたそれぞれの組み合わせにおいてのみ使用できるのではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせでも、あるいはそれ自体でも使用できることを理解されたい。
【0048】
本発明の好ましい例示的な実施形態を図面に示し、以下においてより詳細に説明する。同じ参照符号は、同じまたは類似の、あるいは機能的に同じ部品に関する。
【0049】
各図は概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、システムを有する自動車の回路図を大幅に簡略化した図である。
図2図2は、このシステムの平面図である。
図3図3は、このシステムの分解斜視図である。
図4図4は、このシステムのリザーバの分解斜視図である。
図5図5は、リザーバのうちの下リザーバ部の斜視図である。
図6図6は、リザーバのうちの上リザーバ部の斜視図である。
図7図7は、下リザーバ部の詳細斜視図である。
図8図8は、このシステムの斜視図である。
図9図9は、このシステムの側面図である。
図10図10は、このシステムの他の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
例えば図1図10に示されるようなシステム1は、図1に例示される自動車100のモジュール25として用いられる。
【0052】
図示の例示的な実施形態では、自動車100は、システム1に加えて第1電気機械101,第2電気機械102及び変速機103を備え、これらにはそれぞれ、動作中にシステム1を介して潤滑剤、例えばオイルが供給される。このために、潤滑剤に対応する流路5,6,7がそれぞれシステム1内を通り、以下ではこれらを潤滑剤通路5,6,7とも称する。第1潤滑剤通路5は、システム1の中と第1電気機械101の中を通っている。第2潤滑剤通路6は、システム1の中と第2電気機械102の中を通っている。さらに、第3潤滑剤通路7は、システム1の中と変速機103の中を通っている。
【0053】
図2図10より明らかなように、システム1は、互いに取り付けられる2つのリザーバ部2,3を有し、これらを以下では上リザーバ部2及び下リザーバ部3とも称する。上リザーバ部2及び下リザーバ部3は、組み合わさってシステム1のリザーバ4を形成する。特に図4から明らかなように、図示された例示的な実施形態における下リザーバ部3は、深い容器状である。上リザーバ部2は板状であり、下リザーバ部3の上に取り付けられる。上リザーバ部2は、蓋の要領で下リザーバ部3を閉鎖している。
【0054】
潤滑剤通路5,6,7はリザーバ4の中を通っている。システム1において、各潤滑剤通路5,6,7に沿って流れる潤滑剤は動作中に冷却される。この目的のために、冷却液の2つの流路8,9が、潤滑剤通路5,6,7から流体的に分離されて、リザーバ4の中を通っている。以下では、この流路8,9を冷却液通路8,9とも称する。このように、第1冷却液通路8と第2冷却液通路9とがリザーバ4の中を通っている。特に図5から明らかなように、下リザーバ部3には、潤滑剤用の2つの別々の液溜め10,すなわち第1液溜め10a及び第2液溜め10bが成形されている。リザーバ4は、それぞれの潤滑剤5,6,7に対して、潤滑剤を受け入れるための対応する入口11と、潤滑剤を排出するための対応する出口12とを有する。以下では、入口11をリザーバ潤滑剤入口接続部11とも称し、出口12をリザーバ潤滑剤出口接続部12とも称する。そのため、リザーバ4は、第1潤滑剤通路5用に、第1潤滑剤通路5が通る第1リザーバ潤滑剤入口接続部11aと第1リザーバ潤滑剤出口接続部12aとを有する。また、リザーバ4は、第2潤滑剤通路6用に、第2潤滑剤通路6が通る第2リザーバ潤滑剤入口接続部11bと第2リザーバ潤滑剤出口接続部12bとを有する。さらに、リザーバ4は、第3潤滑剤通路7用に、リザーバ4は、第3潤滑剤通路7が通る第3リザーバ潤滑剤入口接続部11cと第3リザーバ潤滑剤出口接続部12cとを有する。さらに、リザーバ4は、各冷却液通路8,9に対して、冷却液を受け入れるための対応する入口13と、冷却液を排出するための対応する出口14とを有する。以下では、入口13をリザーバ冷却液入口接続部13とも称し、出口14をリザーバ冷却液出口接続部13とも称する。したがって、リザーバ4は、第1冷却液通路用8用に、第1冷却液通路8が通じる第1リザーバ冷却液入口接続部13aと第1リザーバ冷却液出口接続部14aとを有する。また、リザーバ4は、第2冷却液通路9用に、第2冷却液通路9が通じる第2リザーバ冷却液入口接続部13bと第2リザーバ冷却液出口接続部14bとを有する。さらに、システム1は、第1潤滑剤通路5及び第2潤滑剤通路6に対して、対応する潤滑剤通路5,6に沿って潤滑剤をそれぞれ送出するための送出装置15を有する。したがって、システム1は、第1潤滑剤通路5のための第1送出装置15aと、第2潤滑剤通路6のための第2送出装置15bとを有する。ここで、各送出装置15はリザーバ4に取り付けられる。リザーバ4は、各送出装置15に対して、送出装置15が潤滑剤を送出するために流体的に接続される、対応する流体接続部16,17を有する。この接続部16,17は、以下ではポンプ接続部16,17とも称する。したがって、リザーバ4は、第1送出装置15aに対して、第1潤滑剤通路5が第1ポンプ接続部16に通じ、動作中に第1送出装置15aが第1潤滑剤通路5に沿って潤滑剤を送出するように、第1送出装置15aが流体的に接続されるとともに図示の例示的な実施形態において第1送出装置15aが挿入される2つの流体的第1ポンプ接続部16を有する。さらに、リザーバ4は、第2送出装置15bに対して、第2潤滑剤通路6が第2ポンプ接続部17に通じ、動作中に第2送出装置15bが第2潤滑剤通路6に沿って潤滑剤を送出するように、第1送出装置15bが流体的に接続されるとともに図示の例示的な実施形態において第2送出装置15bが挿入される2つの流体的第2ポンプ接続部17を有する。特に図2から明らかなように、ポンプ接続部16,17は、図示の例示的な実施形態では下リザーバ部3に形成される。また、送出装置15は、図示の例示的な実施形態では下リザーバ部3に取り付けられる。
【0055】
さらに、システム1は、各潤滑剤通路5,6,7を通って流れる潤滑剤を冷却するために、リザーバ4に取り付けられる対応する冷却器18を有する。したがって、システム1は、第1潤滑剤通路5用に第1冷却器18aを、第2潤滑剤通路6用に第2冷却器18bを、第3潤滑剤通路7用に第3冷却器18cを有する。各冷却器18は、潤滑剤を受け入れるための冷却器潤滑剤入口、潤滑剤を排出するための冷却器潤滑剤出口、冷却液を受け入れるための冷却器冷却液入口、冷却液を排出するための冷却器冷却液出口を有し、これらはそれぞれ図には示されていない。例えば図4から明らかなように、リザーバ4は、各冷却器18に対応の潤滑剤通路5,6,7が通じるように、各冷却器潤滑剤入口用には対応するリザーバ潤滑剤出口19を有し、各冷却器潤滑剤出口用には対応するリザーバ潤滑剤入口20を有する。さらに、リザーバ4は、動作中に潤滑剤通路5,6,7から流体的に分離した冷却液が各冷却器18を通って流れるように、そして動作中に対応の潤滑剤通路5,6,7に沿って流れる潤滑剤が各冷却器18において冷却液で冷却されるように、各冷却器冷却液入口用には対応するリザーバ冷却液出口21を有し、各冷却器冷却液出口用には対応するリザーバ冷却液入口22を有する。特に図3から明らかなように、各冷却器18は、図示された例示的な実施形態ではプレート冷却器26として形成されている。
【0056】
特に図4から明らかなように、リザーバ4には少なくとも1つの流路24が成形される。図示された例示的な実施形態では、少なくとも1つの流路24は、リザーバ部2,3の少なくとも1つに成形される。図示された例示的な実施形態では、流路5,6,7,8,9の少なくとも1つのための少なくとも1つの流路24が上リザーバ部2に成形される。したがって、少なくとも1つの流路24が上リザーバ部2に成形され、対応する潤滑剤通路5,6,7または冷却液通路8,9が各流路24の中を通る。したがって、システム1が簡単な態様で構成され、且つ個別の部品がより少なくなる。さらに、少なくとも1つの流路24により、対応する流路5,6,7,8,9での圧力損失が低減される。
【0057】
リザーバ部2,3は、有利には、軽金属、例えばアルミニウムから、またはプラスチック、例えば繊維強化ポリアミド、特にPA 66 GF 35 HSから製造される。ここで、各流路24は、上リザーバ部2が射出成形されるという点において上リザーバ部2に形成でき、各流路24は射出成形中にインサート(図示せず)を用いて形成され、インサートは射出成形後に対応の射出成形型(図示せず)から取り外されて、各流路24が上リザーバ部2に成形される。
【0058】
例えば図2及び図3から明らかなように、図示された例示的な実施形態における冷却器18は、下リザーバ部3から離れる方向を向いた上リザーバ部2の面に配置され、上リザーバ部2に取り付けられる。したがって、上リザーバ部2は、リザーバ潤滑剤出口19,リザーバ潤滑剤入口20,リザーバ冷却液出口21及びリザーバ冷却液入口22を有する。
【0059】
特に図2及び図4から明らかなように、図示された例示的な実施形態では複数の流路24が上リザーバ部2に成形される。図示された例示的な実施形態において、上ハウジング部2は、第1リザーバ潤滑剤出口接続部12aを含む第1潤滑剤通路5用の第1流路24aを有する。さらに、上ハウジング部2は、第2リザーバ潤滑剤出口接続部12bを含む第2潤滑剤通路6用の第2流路24bを有する。第3潤滑剤通路7用の第3流路24cは第3リザーバ潤滑剤入口接続部11cを有し、第3潤滑剤通路7用の第4流路24dは第3リザーバ潤滑剤出口接続部12cを有する。さらに、上ハウジング部2は、第1冷却液通路8及び第2冷却液通路9用の第5流路24e及び第6流路24fを有し、第5流路24eは第1リザーバ冷却液入口接続部13aを有し、第6流路24fは第2リザーバ冷却液出口接続部14bを有する。また、上ハウジング部2は、第1冷却液通路8用の第7流路24gを有し、第2冷却液通路9用の第8流路24hを有する。第7流路24gは第1リザーバ冷却液出口接続部14aを有する。第8流路24hは第2リザーバ冷却液入口接続部13bを有する。
【0060】
特に図2から明らかなように、第1冷却液通路8は、第1ハウジング冷却液入口接続部13aを介して第5流路24eに通じ、第1冷却器18a及び第7流路24gを介して第1ハウジング冷却液出口接続部14aに通じる。第2冷却液通路9は、第2ハウジング冷却液入口接続部13bを介して第8流路24hに通じ、第2冷却器18bを介して第2ハウジング冷却液出口接続部14bから第6流路24fに通じる。特に図2及び図6から明らかなように、第6流路24f及び第7流路24gはそれぞれ、図示の例示的実施形態において、さらに第5流路24e及び第8流路24hのそれぞれと上ハウジング部2の第9流路24iを介して流体的に接続されている。図6から明らかなように、第9流路24iは下リザーバ部3の方を向く面で開口している。そこでは、特に図5及び図7に示される下リザーバ部3の対応する突出部30が第9流路24iに係合し、生じた冷却液を排出するための排液開口31が構成される。
【0061】
図示の例示的な実施形態では、第1潤滑剤通路5は第1液溜め10aの中に通じる。さらに、第1リザーバ潤滑剤入口接続部11aは第1液溜め10aに流体的に接続される。したがって、第1潤滑剤通路5は第1リザーバ潤滑剤入口接続部11aから第1冷却器18aを通って第1液溜め10aを通り、第1リザーバ潤滑剤出口接続部12aに通じる。さらに、図示の例示的な実施形態では、第2潤滑剤通路6は第2液溜め10bの中に通じ、第2リザーバ潤滑剤入口接続部11bは第2液溜め10bに流体的に接続される。したがって、第2潤滑剤通路6は第2リザーバ潤滑剤入口接続部11bから第2冷却器18bを通って第2液溜め10bを通り、第2リザーバ潤滑剤出口接続部12bに通じる。
【0062】
リザーバ4は、それぞれが互いに外を向いた2つの面27を有する。したがって、リザーバは、互いに外を向いた第1面27a及び第2面27bを有する。さらに、リザーバ4は、互いに外を向いた第3面27cと第4面27dとを有する。図示された例示的な実施形態では、第3面27c及び第4面27dは、第1面27a及び第2面27bに対して実質的に交差する方向に延びている。ポンプ接続部16,17は、第1面27aに配置されている。
【0063】
図2によれば、図示された例示的な実施形態の第1リザーバ潤滑剤入口接続部11aは下リザーバ部3に形成されている。また、第1リザーバ潤滑剤出口接続部12aは、図示された例示的な実施形態では上リザーバ部2に形成され、第1リザーバ潤滑剤入口接続部11aから離れる方を向いている。特に図4から明らかなように、図示された例示的な実施形態の第2リザーバ潤滑剤入口接続部11bは下リザーバ部3に形成されている。また、第2リザーバ潤滑剤出口接続部12bは上リザーバ部2に配置され、第2リザーバ潤滑剤入口接続部11bと共にリザーバ4の第4面27dに配置される。
【0064】
特に図4から明らかなように、第3リザーバ潤滑剤入口接続部11c及び第3リザーバ潤滑剤出口接続部12cは上リザーバ部2に形成され、リザーバ4の第2面27bに配置されている。
【0065】
特に図4から明らかなように、第1リザーバ冷却液入口接続部13a及び第2リザーバ冷却液出口接続部14bは、図示された例示的実施形態ではリザーバ4の第3面27cに配置される。また、第2リザーバ冷却液入口接続部13b及び第1リザーバ冷却液出口接続部14aは、図示された例示的な実施形態ではリザーバ4の第2面27bに配置される。
【0066】
例えば図4からさらに明らかなように、第3リザーバ潤滑剤入口接続部11c及び第3リザーバ潤滑剤出口接続部12cは上リザーバ部2に形成され、リザーバの第2面27bに配置される。
【0067】
図示された例示的な実施形態では、特に図2から明らかなように、システム1は、第1潤滑剤通路5及び第2潤滑剤通路6用に、それぞれ対応する温度センサ28を有する。したがって、システム1は、第1潤滑剤通路5用に第1温度センサ28aを有し、第2潤滑剤通路6用に第2温度センサ28bを有する。さらに、リザーバ4は、各温度センサ28用に、対応する接続部29を有し、この接続部を以下ではセンサ接続部29とも称する。したがって、リザーバ4は、第1温度センサ28a用に第1センサ接続部29aを有し、この接続部を介して第1温度センサ28aが第1潤滑剤通路5に入る。図示された例示的な実施形態では、第1温度センサ28aは、第1リザーバ潤滑剤入口接続部11aと第1送出装置15aとの間で第1潤滑剤通路5内に入る。また、リザーバ4は、第2温度センサ28b用に第2センサ接続部29bを有し、この第2センサ接続部を介して第2温度センサ28bが第2潤滑剤通路6に入る。図示された例示的な実施形態では、第2温度センサ28bは、第2リザーバ潤滑剤入口接続部11bと第2送出接続部15bの間で第2潤滑剤通路6に入る。
【0068】
特に図2から明らかなように、システム1は、接続部11,12,13,14,16,17の少なくとも1つ用に、対応するコネクタ32を有していてもよい。さらに、このシステムは、リザーバ部2,3の間、及び冷却器18と上リザーバ部2との間にシール33を有する。また、図示された例示的な実施形態のリザーバ部2,3は、ネジ34によって、互いに取り付けられるとともに冷却器18に取り付けられ、加えてリザーバ4に送出装置15が取り付けられている。
【0069】
図1から明らかなように、冷却液通路8,9の少なくとも1つは、冷却回路104の中を通ってよい。図示された例示的な実施形態では、単なる例示であるが第1冷却液通路8は冷却回路104を通り、この冷却回路104は、例えば冷却液を冷却するための冷却液冷却器105と冷却液を送出するための冷却液ポンプ106というさらなる部品を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】