(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107269
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ケーブル支持具
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20230727BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20230727BHJP
F16L 3/02 20060101ALI20230727BHJP
F16L 3/24 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/04 056
F16L3/02 Z
F16L3/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008353
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】合同会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】若尾 祐輝
【テーマコード(参考)】
3H023
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AC13
3H023AE13
5G357BB01
5G357BB04
5G357BC05
5G363AA16
5G363BA01
5G363DA17
5G363DB40
(57)【要約】
【課題】複数タイプのケーブルラックのいずれにも固定可能になり、しかも固定作業が極めて簡単なケーブル支持具を提供する。
【解決手段】ケーブルP側面を支持する支持体10を設ける。支持体10を鋼製樋1の本体2に固定する固定体20を設ける。固定体20に本体2のリップ部2Aの上面に当接する帯状の当接片21を形成する。当接片21の先端部にリップ部2Aの内面側に回り込む弾性部22を形成する。弾性部22の先端から斜め下向きに屈曲される屈曲片23を形成する。リップ部2Aの内側に係止する係止突起24を屈曲片の上端部に形成する。屈曲片23の先端部が本体2の側板2Bの内側面に当接するように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル等を支持する支持体と、支持体を、リップ部を持った鋼製樋の本体に固定する固定体とが一体に形成されたケーブル支持具であって、
支持体は、本体の側板の外側面に沿って垂下する連結部と、連結部から形成されケーブルを支持する支持部を備え、
固定体は、本体のリップ部に当接する当接片と、本体の内側面に係止する係止突起と、を備え、支持体の連結部が親桁の外側面に面接触するように構成したことを特徴とするケーブル支持具。
【請求項2】
前記係止突起の反対側に屈曲片が設けられ、支持体を本体に取り付けると屈曲片が本体の内側に当接する請求項1に記載のケーブル支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な操作で親桁寸法が異なる複数のケーブルラックに固定することが可能なケーブル支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配線工事において、敷設したケーブルラック内部にケーブルを通線した後、更にケーブルを増設する場合、ラック内部にケーブルを敷設する事ができないことがある。例えば、弱電ケーブルを増設したい場合セパレータが必要となる為、ケーブルを通線した後のラック内にケーブルを敷設することができない。そこでケーブルラックの代わりに吊りボルトの利用が考えられる。
【0003】
当出願人は、先に吊りボルトに固定するケーブル支持具を提案している(特許文献1)。このケーブル支持具は、吊りボルトに側面略J字状を成したケーブル支持具を固定する構成である。すなわち、吊りボルトの両側を挟着する一対の挟着具を設け、各挟着具にケーブル支持具の上端部をネジ止め固定する。
【0004】
また、当出願人は、ケーブルラックに固定する管支持具も提案している(特許文献2)。この管支持具は、ケーブルラックの親桁に配管を支持する構成である。この構成によると、親桁の水平縁部の内側に係止する上部金具と、親桁の外側面から下面にかけて係止する下部金具とで親桁に固定する構造で、固定した上部金具に配管を支持する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-185002号公報
【特許文献2】特開2001-136629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のケーブル支持具を使用してケーブルを増設する場合、吊りボルトの吊りピッチが広い為、ケーブルが垂れ下がり美観が悪くなる不都合が生じる。
【0007】
そこで、吊りボルトに代えてケーブルラックにケーブル支持具を固定するには、特許文献2に記載の構成のように、親桁上端部に係止する上部金具と、親桁の外側面から底部に係止する下部金具とで親桁に固定する構造が必要になる。
【0008】
ところが、ケーブルラックは、通常、親桁寸法の違う複数のタイプが使用されているので、上部金具や下部金具を一つのタイプに合わせて形成すると、親桁寸法の違う他のタイプに使用できなくなる不都合が生じる。
【0009】
しかも、従来のケーブル支持具や管支持具では、上部金具や下部金具などの複数の部材をネジ等で固定して使用するので、支持具を固定する際の取付け作業にも多くの手間を要する課題があった。また、複数の部材から成る支持具を、ケーブルラックのタイプ別に合わせて夫々製造することは、製造コスト上の課題もある。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、複数タイプのケーブルラックのいずれにも固定可能になり、しかも固定作業が極めて簡単なケーブル支持具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ケーブルP等を支持する支持体10と、支持体10を、リップ部2Aを持った鋼製樋1の本体2に固定する固定体20とが一体に形成されたケーブル支持具であって、支持体10は、本体2の側板2Bの外側面に沿って垂下する連結部11と、連結部11から形成されケーブルPを支持する支持部12を備え、固定体20は、本体2のリップ部2Aに当接する当接片21と、親桁の内側面に係止する係止突起24と、を備え、支持体10の連結部11が親桁の外側面に面接触するように構成したことにある。
【0012】
第2の手段は、前記係止突起24の反対側に屈曲片23が設けられ、支持体10を親桁に取り付けると屈曲片23が本体2の内側に当接するように形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のごとく、屈曲片23の先端部が本体2の側板2Bの内側面に係止するように構成したことにより、連結部11が本体2の側板2Bに接触するように取付く。この結果、数タイプのケーブルラック等の鋼製樋1に共通して使用が可能になる。しかも、支持体10と固定体20とが帯状材で一体に形成されているので取付け作業が簡単になる。また、製造コスト上の課題も解消した。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】(イ)~(ハ)は、本発明の固定時の工程を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明ケーブル支持具は、ケーブルラックやケーブルダクト等のリップ部を持った鋼製樋1の本体2外側面に沿ってケーブルPやPF管を支持するもので、支持体10と固定体20とが一体に形成されている。支持体10はケーブルP等を支持する部位で、本体2の側板2B外側面に配される(
図7参照)。
【0016】
支持体10は、側板2Bの外側面に沿って垂下する連結部11と、連結部11の先端から屈曲形成され前記ケーブルPを支持する支持部12とを備えている(
図1参照)。そして、連結部11から支持部12にかけてカバー部13を形成する(
図3参照)。このカバー部13は支持体10に係止するケーブルPを保護するもので、ビニルコーティング等で形成される。
【0017】
また、連結部11は、本体2の側板2Bに接触して支持体10のブレを防止する。また、カバー部13が本体2の側板2Bに接触することでもブレを防止する。
【0018】
固定体20は、鋼製樋1の本体2に固定する帯状の弾性を有する部位である。この固定体20の構成は、当接片21、弾性部22、屈曲片23、係止突起24を備えたものである(
図1参照)。
【0019】
当接片21は、本体2のリップ部2Aの上面に当接する部位である。図示の当接片21はケーブルラックのリップ部2A上面に当接しているが、これと同様のリップ部を有するケーブルダクト等の鋼製樋1にも当接できる。弾性部22は、当接片21の先端部から円弧状に延長されリップ部2Aの内面側に回り込む部位である(
図5参照)。
【0020】
これら当接片21、弾性部22、屈曲片23は、異なったサイズの鋼製樋1に対応できるようにするため、予め大きなサイズの鋼製樋1、すなわちリップ部2Aの長い本体2に合わせて形成している(
図5、
図6参照)。また、側板2Bが短い本体2に装着した場合は、本体2の下側にケーブルPを支持することもできる。
【0021】
一方、屈曲片23は、弾性部22の先端から斜め下向きに屈曲された部位である(
図2参照)。この屈曲片23の先端部は、固定体20をリップ部2Aに固定したときに、本体2の側板2Bの内側面に接するように形成している(
図4(ハ)参照)。そして、屈曲片23が本体2の内側面に係止して突っ張ることで、連結部11が本体2の側板2Bに接触し、連結部11が本体2の側板2Bに沿った状態になる。
【0022】
係止突起24は、屈曲片23の後端から延長形成され、本体2のリップ部2Aの内側に係止する突起部分である(
図5、
図6参照)。すなわち、本体2のリップ部2Aに固定体20を装着すると、係止突起24の先端部がリップ部2Aの内側面に当接するように構成している(
図4(ハ)参照)。
【0023】
図示の係止突起24は、弾性部22と屈曲片23との屈曲部位から屈曲片23方向に向けて斜め外側に向けて形成された左右一対の切込み部24Aを介して形成されている(
図2参照)。そして、屈曲片23を下向きに屈曲すると、切込み部24Aから係止突起24が斜め上方に持ち上がるように形成される。
【0024】
このとき、係止突起24の上端部は、当接片21に予め形成した切欠き部21Aを通して当接片21より上方へ突出するように形成している(
図1、
図2参照)。こうすることで、当接片21と係止突起24とで挟着する本体2のリップ部2Aに対する挟着力をより強固にすることができる(
図5、
図6参照)。
【0025】
また、支持体10と固定体20を帯板で一体に形成することで、支持体10と本体2との隙間をなくすことができるので、支持体10を取り付けた後でも鋼製樋1の開口部を施蓋するカバーを取り付けることができる(図示せず)。尚、屈曲片23がなくとも連結部11を本体2の方向に押し込み、側板2Bに当接させることで、カバーを取り付けることもできる。
【0026】
本発明支持具を本体2に取り付けるには、簡単な操作で行える(
図4(イ)~(ハ)参照)。すなわち、(イ)のごとく、本体2のリップ部2Aの上面に支持体10を載置し、リップ部2Aの下面側に固定体20を配置する。次に、(ロ)のように、支持体10を本体2の側板2B側に回転すると、(ハ)のごとく、固定体20の係止突起24が本体2のリップ部2Aの下面に係止した状態で取り付けられる。
【0027】
その後、屈曲片23が本体2の側板2B内側面に当たって係止する(
図5、
図6参照)。この結果、係止突起24と屈曲片23とが、本体2のリップ部2Aと側板2Bとに同時に係止し、極めて強固な係止力が得られる。
【0028】
尚、本発明の各構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲の設計変更は自由である。例えば、支持金具の材質を金属材の他、合成樹脂材にて形成することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
P ケーブル
1 鋼製樋
2 本体
2A リップ部
2B 側板
10 支持体
11 連結部
12 支持部
13 カバー部
20 固定体
21 当接片
21A 切欠き部
22 弾性部
23 屈曲片
24 係止突起
24A 切込み部