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特開2023-107286水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107286
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/52 20230101AFI20230727BHJP
【FI】
C02F1/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008388
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】福水 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 太一
【テーマコード(参考)】
4D015
【Fターム(参考)】
4D015BA19
4D015BA21
4D015BB09
4D015BB12
4D015CA02
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA13
4D015DB01
4D015DC07
4D015DC08
4D015EA03
4D015EA12
4D015EA33
4D015FA01
4D015FA02
4D015FA12
4D015FA13
4D015FA26
(57)【要約】
【課題】生物処理状況に応じて凝集剤の添加量を適切に制御することができる水処理システムを提供する。
【解決手段】水処理システム1は、有機物を含有する被処理水を生物処理する生物反応槽20と、生物処理した生物処理水を貯留する凝集反応槽21と、生物反応槽20に貯留された被処理水から放出される気体の濃度を測定する気体濃度測定手段11と、気体濃度測定手段11が測定した気体の濃度の測定値に基づき、凝集反応槽21に貯留された生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する制御手段12と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含有する被処理水を生物処理する生物反応槽と、
前記生物処理した生物処理水を貯留する凝集反応槽と、
前記生物反応槽に貯留された前記被処理水から放出される気体の濃度を測定する気体濃度測定手段と、
前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値に基づき、前記凝集反応槽に貯留された前記生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する制御手段と、を有する水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理システムにおいて、
前記気体濃度測定手段は二酸化炭素濃度測定器を含む水処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水処理システムにおいて、
前記凝集剤が添加された前記生物処理水に含まれる凝集物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像から前記凝集物の凝集状態を示す特徴量を算出する画像処理手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値と前記画像処理手段が算出した前記凝集物の前記特徴量とに基づき、前記凝集剤の添加量を制御する水処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の水処理システムにおいて、
前記画像処理手段は、前記撮像手段が撮像した画像について隣接する画素との色差が規定値を越える画素であるエッジピクセルを検出し、前記エッジピクセルに基づいて前記凝集物の前記特徴量を算出する水処理システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の水処理システムにおいて、
前記制御手段は、前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値に基づいて前記凝集剤の添加量を制御する第1の制御と、前記画像処理手段が算出した前記凝集物の前記特徴量に基づいて前記凝集剤の添加量を制御する第2の制御と、を実行可能であり、前記第1および第2の制御の一方を所定時間毎に実行し、前記所定時間の期間内は、前記第1および第2の制御の他方を実行する水処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の水処理システムにおいて、
前記制御手段は、前記所定時間の期間内に前記第2の制御を実行し、単位時間当たりの前記気体の濃度の変化量が閾値を越えた場合は、前記第2の制御に替えて前記第1の制御を実行する水処理システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の水処理システムにおいて、
前記制御手段は、前記所定時間の期間内に前記第1の制御を実行し、単位時間当たりの前記凝集物の前記特徴量の変化量が閾値を越えた場合は、前記第1の制御に替えて前記第2の制御を実行する水処理システム。
【請求項8】
有機物を含有する被処理水を生物処理する工程と、
前記生物処理で生じる気体の濃度を測定する工程と、
前記生物処理を行った生物処理水に凝集剤を添加するとともに、前記気体の濃度の測定値に基づき、前記凝集剤の添加量を制御する工程と、を含む水処理方法。
【請求項9】
有機物を含有する被処理水を生物処理した際に生じる気体の濃度を測定する気体濃度測定手段と、
前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値に基づき、前記被処理水を生物処理した生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する制御手段と、を有する制御装置。
【請求項10】
コンピュータに、
有機物を含有する被処理水を生物処理した際に生じる気体の濃度を測定する気体濃度測定手段から前記気体の濃度の測定値を取得する手順と、
前記気体の濃度の測定値に基づいて、前記被処理水を生物処理した生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する手順と、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場、浄水場、排水処理施設等では、汚濁物質の物理的性状に応じた水処理が行われており、その中の一つに、有機物を微生物に分解させる生物処理を利用したものがある。この種の水処理では、有機物を含む原水(以下、被処理水)に生物処理を施した後、生物処理水に含まれる懸濁物質を除去する凝集固液分離処理が行われる。被処理水に含まれる有機物(特に低分子有機物)の多くは、そのままの状態では凝集できないため、生物処理して凝集可能な状態とする。凝集固液分離処理では、凝集剤を添加して懸濁物質を粗大化させる凝集操作と、凝集操作により発生した凝集物(フロック)を分離する固液分離操作が行われる。
被処理水に含まれる有機物の負荷が経時変化すると、それに伴って生物処理水に含まれる生物由来の懸濁物質(生物増殖で生じた物質、生物死骸等)の量も変化する。このため、生物処理状況に応じて、凝集操作における凝集剤の添加量を適切に制御することが好ましい。特許文献1には、凝集反応槽に流入する生物処理水のBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)濃度を吸光度センサで測定し、BOD濃度の測定値に基づいて凝集剤の添加量を制御する処理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-148146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の処理方法において、吸光度センサは、生物処理水中に光ビームを通過させることで、生物処理水中の汚濁成分による吸収または分散を測定する。しかし、生物処理水には、生物処理で生じる物質以外の懸濁物質も含まれている。このため、吸光度センサでは、BOD濃度を正確に測定することは困難である。
また、吸光度センサは、生物処理水の流路中に挿入されるため、センサ部が汚れてBOD濃度を正確に測定することができなくなるおそれがある。
上記のように、特許文献1に記載の処理方法では、BOD濃度を正確に測定することができないために、生物処理状況に応じて凝集剤の添加量を適切に制御することは困難である。
【0005】
本発明の目的は、生物処理状況に応じて凝集剤の添加量を適切に制御することができる水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
有機物を含有する被処理水を生物処理する生物反応槽と、
前記生物処理した生物処理水を貯留する凝集反応槽と、
前記生物反応槽に貯留された前記被処理水から放出される気体の濃度を測定する気体濃度測定手段と、
前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値に基づき、前記凝集反応槽に貯留された前記生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する制御手段と、を有する水処理システムが提供される。
【0007】
前記気体濃度測定手段は、二酸化炭素濃度測定器を含むことが好ましい。
【0008】
前記凝集剤が添加された前記生物処理水に含まれる凝集物を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像から前記凝集物の凝集状態を示す特徴量を算出する画像処理手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値と前記画像処理手段が算出した前記凝集物の前記特徴量とに基づき、前記凝集剤の添加量を制御することが好ましい。
【0009】
前記画像処理手段は、前記撮像手段が撮像した画像について隣接する画素との色差が規定値を越える画素であるエッジピクセルを検出し、前記エッジピクセルに基づいて前記凝集物の前記特徴量を算出することが好ましい。
【0010】
前記制御手段は、前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値に基づいて前記凝集剤の添加量を制御する第1の制御と、前記画像処理手段が算出した前記凝集物の前記特徴量に基づいて前記凝集剤の添加量を制御する第2の制御と、を実行可能であり、前記第1および第2の制御の一方を所定時間毎に実行し、前記所定時間の期間内は、前記第1および第2の制御の他方を実行することが好ましい。
【0011】
前記制御手段は、前記所定時間の期間内に前記第2の制御を実行し、単位時間当たりの前記気体の濃度の変化量が閾値を越えた場合は、前記第1の制御に切り替えることが好ましい。
【0012】
前記制御手段は、前記所定時間の期間内に前記第1の制御を実行し、単位時間当たりの前記凝集物の前記特徴量の変化量が閾値を越えた場合は、前記第2の制御に切り替えることが好ましい。
【0013】
前記凝集剤が添加された前記生物処理水から前記凝集物を浮上分離する浮上分離槽をさらに有することが好ましい。
【0014】
また、本発明の別の態様によれば、
有機物を含有する被処理水を生物処理する工程と、
前記生物処理で生じる気体の濃度を測定する工程と、
前記生物処理を行った生物処理水に凝集剤を添加するとともに、前記気体の濃度の測定値に基づき、前記凝集剤の添加量を制御する工程と、を含む水処理方法が提供される。
【0015】
また、本発明のさらに別の態様によれば、
有機物を含有する被処理水を生物処理した際に生じる気体の濃度を測定する気体濃度測定手段と、
前記気体濃度測定手段が測定した前記気体の濃度の測定値に基づき、前記被処理水を生物処理した生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する制御手段と、を有する制御装置が提供される。
【0016】
また、本発明のさらに別の態様によれば、
コンピュータに、
有機物を含有する被処理水を生物処理した際に生じる気体の濃度を測定する気体濃度測定手段から前記気体の濃度の測定値を取得する手順と、
前記気体の濃度の測定値に基づいて、前記被処理水を生物処理した生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する手順と、を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、生物処理状況に応じて凝集剤の添加量を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態による水処理システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示した制御手段の一構成例を示すブロック図である。
図3】制御用特性データの一例を示す図である。
図4】制御用特性データの別の例を示す図である。
図5図1に示した水処理システムで実行される水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態による水処理システムの構成を示すブロック図である。
図7】凝集剤の添加量の制御の一例を説明するための図である。
図8】凝集子液分離処理前後のLC-OCDの一測定例を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態による水処理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による水処理システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、水処理システム1は、制御装置10、生物反応槽20、凝集反応槽21、フロック形成槽22、浮上分離槽23および凝集剤貯槽24を有する。
【0021】
生物反応槽20は、有機物を含有する被処理水(原水)を貯留し、有機物を微生物に分解させる生物処理を施す槽である。被処理水は、例えば顧客から提供される排水等であってもよく、SS(Suspended Solid)と呼ばれる懸濁物質や不溶化したい物質を含んでいてもよい。生物処理として、好気処理法と嫌気処理法のいずれも適用可能であるが、本実施形態では、好気処理法の一例である生物膜法を適用する。生物膜法とは、担体に微生物を付着させ、付着した微生物を利用した生物反応により被処理水中の有機物を処理する方法である。微生物が有機物を消費するためには酸素が必要となるため、生物反応槽20には、被処理水をばっ気する機構(微生物に必要な酸素を供給するためのエアバブリング機構)が設けられている。ばっ気により微生物が増殖して浮遊性の懸濁物質を発生する。浮遊性の懸濁物質は、多数の微生物の他、有機性および無機性の浮遊物質を含む。
【0022】
凝集反応槽21は、配管を介して生物反応槽20と連結されており、生物処理水が生物反応槽20から凝集反応槽21に流入する。生物処理水は、被処理水を生物処理したものであり、生物由来の懸濁物質(微生物の増殖で生じた物質、生物死骸等)を含む。凝集反応槽21は、生物処理水を貯留し、生物処理水に凝集剤を添加して第1凝集操作を行う槽である。第1凝集操作では、凝結反応によって懸濁物質を凝集した微小な塊である凝集物(フロック)を析出させる。第1凝集操作で使用する凝集剤は、例えば、アルミニウム系(ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸バンド等)、鉄系(ポリ鉄、塩化第二鉄)等の無機凝集剤や有機凝結剤であるが、これらに限定されない。
【0023】
なお、凝集反応槽21には、生物処理水の水素イオン指数(pH)を調整するためのpH調整剤も添加されている。ここで、水素イオン指数(pH)は、溶液の酸性およびアルカリ性の程度を表す。凝集反応槽21には、撹拌機構が設けられており、凝集剤やpH調整剤を撹拌させることが可能である。また、必要に応じてバッファ槽およびポンプを凝集反応槽21と生物反応槽20との間の配管の途中に設けて、凝集反応槽21への生物処理水の流入量を適宜に調整してもよい。
【0024】
フロック形成槽22は、配管を介して凝集反応槽21と連結されており、第1凝集操作が行われた生物処理水が凝集反応槽21からフロック形成槽22に流入する。フロック形成槽22は、第1凝集操作が行われた生物処理水に凝集剤を添加してフロックを粗大化する第2凝集操作を行う凝集反応槽である。第2凝集操作では、生物処理水中の浮遊物質や第1凝集操作で形成された微小なフロックを絡め取ることで、さらに大きなフロックが形成される。第2凝集操作で使用する凝集剤は、ポリマー等の有機凝集剤(高分子凝集剤)である。ポリマーは、カチオンであっても、アニオンであってもよい。
【0025】
浮上分離槽23は、配管を介してフロック形成槽22と連結されており、第2凝集操作が行われた生物処理水がフロック形成槽22から浮上分離槽23に流入する。浮上分離槽23は、固液分離槽である。浮上分離槽23では、気体を加圧溶解させた加圧水が槽の下部から注入され、フロックに気泡を付けて浮力を与えることで浮上分離する。浮上分離槽23の貯留水のうち下層のきれいな水が、浮上分離処理水として排出される。浮上分離処理水は、例えば、河川や海洋に放流される他、回収水として再利用される。
【0026】
凝集剤貯槽24は、第1凝集操作で使用する凝集剤を貯留する。凝集剤貯槽24は、配管を介して凝集反応槽21と連結されており、凝集剤を凝集反応槽21に添加することが可能である。凝集剤貯槽24と凝集反応槽21との間の配管には、凝集剤貯槽24に貯留した凝集剤を凝集反応槽21に送り出すためのポンプ25が設けられている。ポンプ25は、凝集剤の添加量を制御するための凝集剤制御信号S11に従って凝集剤の送り出す量を調整することが可能である。凝集剤貯槽24およびポンプ25は、凝集剤添加手段の一例である。
【0027】
制御装置10は、生物処理状況に応じて凝集剤の添加量を制御する。制御装置10は、生物反応槽20から放出される気体の濃度を測定する気体濃度測定手段11と、気体濃度測定手段11が測定した気体の濃度の測定値に基づき、凝集剤の添加量を制御する制御手段12とを有する。
【0028】
気体濃度測定手段11は、生物反応槽20の内部にセンサ部11aを備え、このセンサ部11aを介して、生物処理で生じる気体の濃度を測定する。気体濃度測定手段11は、気体濃度測定値を示す測定信号S10を制御手段12に供給する。測定対象気体は、酸素、窒素、硫化水素、二酸化炭素等である。生物処理状況に応じて凝集剤の添加量を制御する場合の制御精度の観点から、センサ部11aには、二酸化炭素濃度測定器(CO2センサ)を用いることが好ましい。
【0029】
制御手段12は、気体濃度測定手段11から測定信号S10を受信し、測定信号S10により示される気体濃度測定値に基づいて凝集反応槽21への凝集剤の添加量を制御する。制御手段12は、凝集剤の添加量を制御するための凝集剤制御信号S11をポンプ25に供給する。制御手段12は、ポンプ25の送り出し量を制御することで、凝集剤の添加量を連続的に、または、段階的に制御することができる。
【0030】
図2は、制御手段12の一構成例を示すブロック図である。図2に示すように、制御手段12は、制御部121と、記憶部122とを有する。制御部121は、マイクロプロセッサ等を含むコンピュータである。制御部121は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)で構成されてもよい。記憶部122は、半導体メモリ等からなり、制御装置10を動作させるのに必要な情報(例えば、プログラムやデータ)を格納する。例えば、気体濃度測定値に基づく凝集剤の添加量を制御するためのプログラム、その制御に必要なデータや演算結果などが記憶部122に格納される。なお、図2には、制御装置10が有する構成要素のうち、本実施形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0031】
図3に、気体濃度に基づいて凝集剤の添加量を制御するための制御用特性データの一例を示す。図3において、縦軸は凝集剤の添加量を示し、横軸は生物反応槽の気体濃度を示す。制御用特性データは、気体濃度の段階的な変化に対する凝集剤の添加量を規定したものである。この制御用特性データは、記憶部122に格納される。制御部121は、記憶部122に格納された制御用特性データを参照し、気体濃度測定手段11が測定した気体濃度の測定値に基づいて凝集剤の添加量を演算することができる。
【0032】
図4に、気体濃度に基づいて凝集剤の添加量を制御するための制御用特性データの別の例を示す。図3と同様、図4においても、縦軸は凝集剤の添加量を示し、横軸は生物反応槽の気体濃度を示す。制御用特性データは、気体濃度の連続的な変化に対する凝集剤の添加量を規定したものである。この制御用特性データも、記憶部122に格納される。制御部121は、記憶部122に格納された制御用特性データを参照し、気体濃度測定手段11が測定した気体濃度の測定値に基づいて凝集剤の添加量を演算することができる。
【0033】
次に、上述した水処理システム1にて行われる水処理方法について説明する。ここでは、便宜上、凝集剤の添加量を制御する処理に関わる工程についてのみ説明する。
図5は、水処理方法の一例を示すフロー図である。まず、生物反応槽20にて、有機物を含有する被処理水を生物処理する(ステップS21)。次に、気体濃度測定手段11が、生物処理で生じる気体の濃度を測定する(ステップS22)。そして、凝集反応槽(凝集反応槽21/フロック形成槽22)にて、生物処理を行った生物処理水に凝集剤を添加するとともに、制御手段12が、気体の濃度の測定値に基づき、凝集剤の添加量を制御する(ステップS23)。
【0034】
ステップS23の凝集処理/添加量制御処理において、具体的には、凝集反応槽21にて、生物処理を行った生物処理水に第1凝集操作のための凝集剤を添加し、さらに、フロック形成槽22にて、第2凝集操作のための凝集剤を添加する。そして、制御部121が、記憶部122に格納した制御用特性データを参照し、気体濃度測定手段11が測定した気体濃度の測定値に基づいて第1凝集操作で使用する凝集剤の添加量を演算し、演算結果に基づいて、凝集反応槽21への凝集剤の添加量を制御する。
【0035】
以上説明した本実施形態の水処理システム1によれば、以下のような作用効果を奏する。
例えば、微生物である細菌は、有機物を食べると二酸化炭素を発生する。被処理水中の有機物の負荷(汚濁負荷)が増大すると、二酸化炭素の量が増え、その分、生物由来の懸濁物の量も増大する。このように、生物処理で生じる気体の濃度と生物由来の懸濁物の量との間には相関があり、気体濃度が変化すると、それに伴って生物由来の懸濁物の量も変化する。水処理システム1では、上記相関を利用し、生物処理で生じる気体の濃度に応じて凝集剤の添加量を制御する。よって、生物処理状況に応じて凝集剤の添加量を適切に制御することができる。
【0036】
また、凝集剤の添加量を適切に制御することで、凝集剤のコストや汚泥発生量などを削減することもできる。
さらに、有機物や懸濁物質の濃度が変化する被処理水(原水)に対して、安定した凝集固液分離処理を行うことができる。
また、水回収設備では、生物処理、凝集固液分離処理、膜ろ過(除濁膜、逆浸透膜(RO膜))などの工程を含むシステムを採用しているが、このシステムに、本発明を用いれば、膜ろ過への負荷も低減することが可能となる。よって、システム全体での安定な運用を実現することが可能である。
【0037】
なお、本実施形態の水処理システム1では、凝集反応槽21への凝集剤の添加量を制御しているが、これに代えて、フロック形成槽22への凝集剤の添加量を制御してもよい。この場合は、フロック形成槽22に対して、凝集剤貯槽24およびポンプ25に相当する凝集剤貯槽およびポンプを設ける。また、凝集反応槽21およびフロック形成槽22の両方について凝集剤の添加量を制御してもよい。ただし、凝集操作において、第1凝集操作の調整が重要であるので、第1凝集操作に使用する凝集剤の添加量を調整することが好ましい。
【0038】
また、本実施形態では、固液分離に加圧浮上分離を用いているが、これに代えて沈殿分離を用いてもよい。ただし、生物処理で発生する懸濁物質(SS)の密度が低いことから、加圧浮上分離を用いることが好ましい。
さらに、懸濁物質(SS)やBOD成分の粗取りを目的として、生物反応槽20の前段に、凝集固液分離処理を行う槽が配置されてもよい。
【0039】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態による水処理システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の水処理システム2は、制御装置10が画像処理手段13および撮像手段14を備える点で、第1の実施形態と異なる。画像処理手段13および撮像手段14を除く構成は、第1の実施形態で説明したものと同じであるので、ここでは、それらの構成の詳細な説明は省略する。
【0040】
撮像手段14は、凝集反応槽21に取り付けられている。撮像手段14は、凝集剤が添加された生物処理水に含まれる凝集物(以下、フロックと呼ぶ。)を撮像する。撮像手段14は、フロックを撮像できるものであればよく、例えば、カメラや画像センサである。メンテナンス性や費用対効果を考慮すると、撮像手段14として、非接液型の画像センサを用いるのが好ましく、赤外センサを用いることがより好ましい。
【0041】
画像処理手段13は、撮像手段14が撮像した画像からフロックの凝集状態を示す特徴量を算出する。画像処理手段13は、撮像手段14が撮像した画像について隣接する画素との色差が規定値を越える画素であるエッジピクセルを検出し、エッジピクセルに基づいてフロックの特徴量を算出する。例えば、画像処理手段13は、単位面積当たりのエッジピクセル数の総和をフロックの特徴量として算出する。ここで、単位面積は、撮像範囲である。
【0042】
具体的には、画像処理手段13は、撮像手段14が撮像した画像について濃淡処理を施し、濃淡処理を施した画像について微分処理を施し、微分処理を行った結果からエッジピクセルを取得する。濃淡処理では、画像の濃淡(明暗)を、3段階以上の階調、例えば256段階の階調(0~255階調)に数値化する。微分処理では、濃淡処理を施した結果である数値データを微分処理することで、濃淡(明度)の数値データの変化点(エッジ)を検出する。エッジとなり得る濃淡変化が大きな箇所は微分値が大きくなる。微分処理の結果から得られたエッジのピクセル数を、上記のエッジピクセル数としてもよい。
【0043】
制御手段12は、気体濃度測定手段11が測定した気体の濃度の測定値と画像処理手段13が算出したフロックの特徴量とに基づき、凝集剤の添加量を制御する。制御手段12は、気体濃度測定手段11が測定した気体の濃度の測定値に基づいて凝集剤の添加量を制御する第1の制御と、画像処理手段13が算出した凝集物の特徴量に基づいて凝集剤の添加量を制御する第2の制御と、を実行可能である。制御手段12は、第1および第2の制御の一方を所定時間毎に実行し、所定時間の期間内は、第1および第2の制御の他方を実行してもよい。
【0044】
図7は、凝集剤の添加量の制御の一例を示す。第1の制御(気体濃度に基づく制御)が規定時間T1毎に実行され、規定時間T1の期間内は、第2の制御(エッジピクセルに基づく制御)が時間T2毎に実行される。
【0045】
具体的には、時刻t1で、第1の制御が実行される。時刻t1での気体濃度はAであり、この気体濃度Aに対応する凝集剤の添加量が設定される。時刻t1から規定時間T1を経過する時刻t2までの期間は、第2の制御が時間T2毎に実行される。第2の制御では、例えば、フロックの特徴量とあらかじめ設定された閾値とを比較し、比較の結果に基づいて凝集剤の添加量を増やすか、減らすか、維持するかを決定する。このため、時刻t1から時刻t2の期間内では、フロックの特徴量に応じて凝集剤の添加量が増減する。その後、時刻t2で、第1の制御が再び実行される。時刻t2での気体濃度はB(>A)であり、この気体濃度Bに対応する凝集剤の添加量が設定される。
【0046】
以上説明した本実施形態の水処理システム2によれば、以下のような作用効果を奏する。
生物由来の懸濁物質(菌体や代謝物など)に対する凝集剤の添加量は、生物処理で生じる気体の濃度から算出することができる。しかし、生物反応槽20から流出する生物処理水には、凝集可能な懸濁物質であって、気体濃度だけでは算出することが困難な物質も含まれている。例えば、生物由来のEPS(Extracellular polymeric substances:細胞外高分子物質)や、微生物が分解することができない物質(例えば、生物処理前の被処理水に含まれている無機性の懸濁物質等)などである。
【0047】
本実施形態の水処理システム2では、第1の制御により、生物由来の懸濁物質(菌体や代謝物など)に対する凝集剤の添加量を適切に調整することができる。また、第2の制御により、生物由来のEPSや微生物が分解することができない物質を含む懸濁物質に対しても、凝集剤の添加量を適切に調整することができる。
【0048】
また、浮上分離槽23の後段に、精密ろ過(MF)膜、限外ろ過(UF)膜や逆浸透(RO)膜等の膜ろ過装置を設けた場合、生物由来のEPSは膜の閉塞要因物質となるため、凝集操作でEPSの量を低減する必要がある。図8は、凝集子液分離処理前後のLC-OCD(Liquid Chromatography-Organic Carbon Detection)の一測定例を示す。LC-OCDとは、有機物を分子量毎に分け、それぞれの成分の有機物濃度を測定する方法である。図8において、上側は生物処理水のクロマトグラムを示し、下側は凝集固液分離処理水のクロマトグラムを示す。これらクロマトグラムから、第1の制御と第2の制御とを併用することで、生物由来のEPSを含む懸濁物質の量が減少していることが分かる。このようにEPSの量を低減することで、膜ろ過装置のろ過性能を維持することができる。
【0049】
なお、被処理水の濁度(例えば、有機物負荷)が上昇して気体濃度が急激に上昇した場合には、規定時間T1の期間内であっても、第1の制御を実行することが好ましい。この点について、具体的に説明する。第2の制御(エッジピクセルに基づく制御)では、凝集剤の添加量の増減がゆっくりと変化するため、気体濃度が急激に変化した場合に、凝集操作を適切に行うことができなくなる可能性がある。この問題を解消するために、気体濃度を所定の時間間隔で測定し、気体濃度の変化量が閾値を越えた場合に、第1の制御を実行する。具体的には、規定時間T1の期間内において、単位時間当たりの気体濃度の変化量が閾値を越えた場合に、第2の制御から第1の制御に切り替える。これにより、凝集操作を適切に行うことができる。ここで、単位時間は、例えば、第2の制御を実行する時間間隔である。
【0050】
また、第2の制御を所定時間(T1)毎に実行し、所定時間(T1)の期間内は、第1の制御を実行してもよい。この制御フローによれば、例えば、生物処理できない有機物が被処理水に大量に存在する場合に、凝集剤の添加量を適切に制御することが可能である。
【0051】
さらに、上記制御フローにおいて、制御手段12は、第1の制御を実行している所定時間(T1)の期間において、単位時間当たりのフロックの特徴量の変化量が閾値を越えた場合は、第1の制御から第2の制御に切り替えてもよい。これにより、被処理水における、生物由来のEPSや微生物が分解することができない物質を含む懸濁物質の濃度が急激に上昇した場合に、凝集操作を適切に行うことができる。
【0052】
本実施形態では、撮像手段14は、凝集反応槽21に取り付けられているが、これに限定されない。撮像手段14は、フロック形成槽22に取り付けられてもよい。この場合、撮像手段14は、フロック形成槽22に貯留した生物処理水中(第1凝集操作が行われた生物処理水中)のフロックを撮像する。ただし、第1凝集操作から第2凝集操作までにある程度の時間経過を要するため、凝集剤の添加量を、第1凝集操作時点(注入時点)からある程度の時間を経過した後の画像から算出することになる。このタイムラグによる誤差の問題を考慮すると、凝集剤の添加量を正確に制御するという観点から、撮像手段14は、凝集反応槽21に取り付けることが好ましい。
【0053】
また、撮像手段14を凝集反応槽21とフロック形成槽22の両方に取り付けても良い。この場合は、以下のように凝集剤の添加量を制御する。
【0054】
凝集剤の添加量が適正であれば、通常、フロック形成槽22のフロックの特徴量は、凝集反応槽21のフロックの特徴量よりも小さくなる。換言すると、フロック形成槽22のフロックの特徴量と凝集反応槽21のフロックの特徴量との差分が小さい場合は、凝集剤の添加量が適正でないと言える。したがって、フロック形成槽22のフロックの特徴量と凝集反応槽21のフロックの特徴量との差分が大きくなるように、凝集剤の添加量を制御することが好ましい。具体的には、画像処理手段13は、フロック形成槽22に取り付けた撮像手段14の撮像画像から第1のフロックの特徴量を算出するとともに、凝集反応槽21に取り付けた撮像手段14の撮像画像から第2のフロックの特徴量を算出する。第1および第2のフロックの特徴量は、画像処理手段13から制御手段12に供給される。制御手段12は、第2の制御において、第1のフロックの特徴量と第2のフロックの特徴量との差分が小さくなるように凝集剤の添加量を制御する。
【0055】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態による水処理システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の水処理システム3は、栄養剤貯槽26およびポンプ27を備え、制御手段12が栄養剤の添加量を制御する点で、第2の実施形態と異なる。栄養剤貯槽26およびポンプ27を除く構成は、第1および第2の実施形態で説明したものと同じであるので、ここでは、それらの構成の詳細な説明は省略する。
【0056】
栄養剤貯槽26は、微生物に必要な栄養剤を貯留する。栄養剤貯槽26は、配管を介して凝集反応槽21と連結されており、栄養剤を凝集反応槽21に添加することが可能である。栄養剤貯槽26と凝集反応槽21との間の配管には、栄養剤貯槽26に貯留した栄養剤を凝集反応槽21に送り出すためのポンプ27が設けられている。ポンプ27は、栄養剤の添加量を制御するための栄養剤制御信号S13に従って栄養剤の送り出し量を調整することが可能である。
【0057】
制御手段12は、気体濃度測定手段11によって取得した気体の濃度の測定値に基づいて凝集反応槽21への栄養剤の添加量を制御する。制御手段12は、栄養剤の添加量を制御するための栄養剤制御信号S13をポンプ27に供給する。制御手段12は、ポンプ27の送り出し量を制御することで、栄養剤の添加量を連続的に、または、段階的に制御することができる。
【0058】
本実施形態の水処理システム3によれば、第1および第2の実施形態で説明した作用効果に加えて、微生物の量に応じて栄養剤の添加量を適切に制御することができる。例えば、微生物が増殖すると、栄養剤の必要量も増大する。このように微生物の量と栄養剤の量との間には相関がある。この相関の関係を利用し、栄養剤の添加量を適切に制御する。これにより、生物処理に必要な栄養剤のコストを削減することができる。
【0059】
上述した第1乃至第3の実施形態において、各実施形態で説明した構成要素を組み合わせてもよい。例えば、第3の実施形態で説明した栄養剤の添加量を制御する構成を、第1の実施形態に適用してもよい。
【0060】
また、第1乃至第3の実施形態において、以下のような変形1~4を適用することができる。
(変形例1)
生物反応槽20に貯留した被処理水の水素イオン指数(pH)に応じて、凝集反応槽21へのpH調整剤の添加量を制御してもよい。具体的には、pH計を生物反応槽20に取り付けるとともに、凝集剤貯槽24およびポンプ25に相当するpH調整剤貯槽およびポンプを設ける。pH計が被処理水のpHを測定し、測定結果を制御手段12に供給する。制御手段12は、pH計の測定結果に基づき、ポンプの送り出し量を制御する。これにより、凝集反応槽21へのpH調整剤の添加量を適切に制御することができ、pH調整剤のコスト削減が可能となる。
【0061】
なお、生物反応槽20に流入する被処理水の有機物負荷が一定であっても、被処理水のpHが変化すると、生物反応槽20で発生する気体の量(気体濃度)が変化する場合がある。この場合は、図3または図4に示した制御用特性データをpHの値毎に設け、制御手段12が、pH計の測定結果に基づいて、凝集剤の制御に用いる制御用特性データを切り替えてもよい。
【0062】
(変形例2)
生物反応槽20から凝集反応槽21に流入する生物処理水の流量は一定であるため、生物反応槽20に流入する被処理水の流量が変化すると、生物処理水のBOD濃度が変化する。したがって、被処理水の流量に応じて凝集反応槽21への凝集剤の添加量を制御することが好ましい。
【0063】
具体的には、被処理水を生物反応槽20に供給する配管に流量計を設ける。流量計は、被処理水の流量を計測し、計測結果を制御手段12に供給する。制御手段12は、気体濃度測定手段11により取得した気体の濃度の測定値と流量計により取得した被処理水の流量とに基づいて凝集剤の添加量を制御する。例えば、予め設定した複数の流量について、図3または図4に示したような制御用特性データを流量毎に設け、各流量の間については、対応する制御用特性データを補間することで求める。制御手段12は、流量計の測定値に基づいて凝集剤の制御に用いる制御用特性データを切り替える。
【0064】
(変形例3)
生物反応槽20において、ばっ気により微生物が増殖する。ばっ気量と微生物の量との間には相関があるため、気体濃度に応じてばっ気量を制御することが好ましい。具体的には、制御手段12が、気体濃度測定手段11により取得した気体の濃度の測定値に基づいて、エアバブリング機構のばっ気量を制御する。これにより、より安定した生物処理が可能となる。
【0065】
(変形例4)
被処理水の流量、生物反応槽20の気体濃度、被処理水のpH、およびフロックの特徴量の少なくとも一つを入力層(インプット)とし、凝集剤の添加量を出力層(アウトプット)として、これらの間の関係をニューラルネットワークで分析してもよい。この場合、制御手段12は、ニューラルネットワークの分析結果に基づいて凝集剤の添加量を決定する。
【0066】
以上説明した第1乃至第3の実施形態において、制御手段12が行う処理(例えば、凝集剤に関わる制御)の内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御手段12に読み込ませ、実行させてもよい。ここで、コンピュータ読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置10に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。
【0067】
記録媒体に記録されるプログラムの一例として、コンピュータに、
有機物を含有する被処理水を生物処理した際に生じる気体の濃度を測定する気体濃度測定手段から気体の濃度の測定値を取得する手順と、
気体の濃度の測定値に基づいて、被処理水を生物処理した生物処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する手順と、を実行させるためのプログラムが挙げられる。
【符号の説明】
【0068】
10 制御装置
11 気体濃度測定手段
11a センサ部
12 制御手段
20 生物反応槽
21 凝集反応槽
22 フロック形成槽
23 浮上分離槽
24 凝集剤貯槽
25 ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9