(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107328
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】移動範囲規制ブラケット及びエレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20230727BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B66B11/02 C
B66B5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008467
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仮屋 智貴
(72)【発明者】
【氏名】中山 徹也
(72)【発明者】
【氏名】島田 勝博
【テーマコード(参考)】
3F304
3F306
【Fターム(参考)】
3F304BA22
3F306AA02
3F306AA11
3F306CB06
3F306CB60
(57)【要約】
【課題】安全フックの移動範囲を制限することができるとともに、既設のエレベーターの手すりに対しても取り付け作業を容易に行うことができる移動範囲規制ブラケット及びエレベーターを提供する。
【解決手段】移動範囲規制ブラケット10は、第1係合部11と、第2係合部12と、連結部13と、を備えている。第1係合部11は、上部桟7に着脱可能に係合する。第2係合部12は、支柱6に着脱可能に係合する。連結部13は、第1係合部11と第2係合部12を連結し、上部桟7と支柱6とともに閉空間を形成する。そして、安全フック100は、連結部13、上部桟7及び支柱6で形成された閉空間における桟に連結される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかごの上部に設置された手すりに着脱可能に取り付けられる動範囲規制ブラケットにおいて、
前記手すりの桟に着脱可能に係合する第1係合部と、
前記乗りかごの上部から立設する前記手すりの支柱に着脱可能に係合する第2係合部と、
前記第1係合部と前記第2係合部を連結し、前記桟と前記支柱とともに閉空間を形成する連結部と、を備え、
安全フックは、前記連結部、前記桟及び前記支柱で形成された前記閉空間における前記桟に連結される
移動範囲規制ブラケット。
【請求項2】
前記第1係合部が前記桟に係合する向きと、前記第2係合部が前記支柱に係合する向きは、異なる方向を向いている
請求項1に記載の移動範囲規制ブラケット。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記桟に対して前記手すりの内側から係合し、
前記第2係合部は、前記支柱に対して前記手すりの外側から係合する
請求項2に記載の移動範囲規制ブラケット。
【請求項4】
前記第1係合部を前記桟に締結固定するジャッキボルトを有する
請求項1に記載の移動範囲規制ブラケット。
【請求項5】
前記連結部の強度は、前記桟及び前記支柱の強度よりも低く設定される
請求項1に記載の移動範囲規制ブラケット。
【請求項6】
建築構造物内に形成された昇降路内を昇降動作する乗りかごと、
前記乗りかごの上部に設置される手すりと、
前記手すりに着脱可能に取り付けられる移動範囲規制ブラケットと、を備え、
前記移動範囲規制ブラケットは、
前記手すりの桟に着脱可能に係合する第1係合部と、
前記乗りかごの上部から立設する前記手すりの支柱に着脱可能に係合する第2係合部と、
前記第1係合部と前記第2係合部を連結し、前記桟と前記支柱とともに閉空間を形成する連結部と、を備え、
安全フックは、前記連結部、前記桟及び前記支柱で形成された前記閉空間における前記桟に連結される
エレベーター。
【請求項7】
前記支柱は、前記乗りかごの上部の四隅に配置され、
前記桟は、四隅に配置された前記支柱を連結し、
前記移動範囲規制ブラケットは、2つの前記支柱の間に配置される
請求項6に記載のエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動範囲規制ブラケット及びエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベーターの保守点検や作業を行う際、作業者は、保守点検時等、昇降路内を昇降する乗りかごの上部である天井部に乗って作業することがある。そのため、乗りかごの天井部には、作業者の安全を確保するために、手すりが設置されている。そして、作業者のベルト等に固定された安全フックを手すりに連結し、作業者の安全を確保していた。
【0003】
この安全フックを連結するための技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、四方を囲むようにかごの上部に立設された手摺枠と、手摺枠の上部に連続して設けられ、四方を囲むように無端状に形成された手摺レールと、手摺レールに設けられ、無端状の手摺レールに沿って移動自在なガイドと、ガイドに設けられ、かご上にいる作業者が安全フックを連結可能な安全フック連結手段と、を備えた技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、安全フックが手摺レールの中間部まで移動した場合、手摺レールに過大な荷重が加わるため、手すりを強固に形成する必要があった。そのため、安全フックの移動可能な範囲は、手すりの支柱近傍に制限することが求められている。
【0006】
さらに、特許文献1に記載された技術では、安全フックを連結するために、手摺レール、ガイド及び安全フック連結手段を予め手すりに設置する必要があり、既設のエレベーターには設置することが困難であった。
【0007】
本目的は、上記の問題点を考慮し、安全フックの移動範囲を制限することができるとともに、既設のエレベーターの手すりに対しても取り付け作業を容易に行うことができる移動範囲規制ブラケット及びエレベーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本目的を達成するため、移動範囲規制ブラケットは、エレベーターの乗りかごの上部に設置された手すりに着脱可能に取り付けられる。移動範囲規制ブラケットは、第1係合部と、第2係合部と、連結部と、を備えている。第1係合部は、手すりの桟に着脱可能に係合する。第2係合部は、乗りかごの上部から立設する手すりの支柱に着脱可能に係合する。連結部は、第1係合部と第2係合部を連結し、桟と支柱とともに閉空間を形成する。そして、安全フックは、連結部、桟及び支柱で形成された閉空間における桟に連結される。
【0009】
また、エレベーターは、上述した移動範囲規制ブラケットが着脱可能に取り付けられる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の移動範囲規制ブラケット及びエレベーターによれば、安全フックの移動範囲を制限することができるとともに、既設のエレベーターの手すりに対しても取り付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態例にかかるエレベーターの乗りかごの上部を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態例にかかる移動範囲規制ブラケットを示す斜視図である。
【
図5】
図5Aから
図5Cは実施の形態例にかかる移動範囲規制ブラケットの取り付け方法を示す図である。
【
図6】
図6Aから
図6Bは実施の形態例にかかる移動範囲規制ブラケットの取り付け方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態例にかかる移動範囲規制ブラケット及びエレベーターにいて、
図1~
図6Bを参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0013】
1.実施の形態例
1-1.エレベーターの構成
まず、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるエレベーターの構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本例のエレベーターの乗りかごの上部を示す斜視図である。
【0014】
本例のエレベーター1は、建築構造物内に形成された昇降路内を昇降動作し、人や荷物を乗せる乗りかご2を有している。乗りかご2の上下方向の上部である天井部3には、上部作業用の手すり4が設置されている。
【0015】
手すり4は、複数の支柱6と、上部桟7と、中部桟8とを有している。支柱6は、略円柱状に形成されている。支柱6は、乗りかご2の天井部3の四隅に配置されている。そして、支柱6は、天井部3から上下方向の上方に向けて立設している。なお、支柱6を天井部3に折りたたみ可能に設置してもよい。
【0016】
支柱6の上下方向の上端部には、上部桟7が設置されている。上部桟7は、乗りかご2の天井部3の外周と平行に配置され、隣り合う2つの支柱6を連結する。また、支柱6の上下方向の中間部には、中部桟8が設置されている。中部桟8は、上部桟7と同様に、乗りかご2の天井部3の外周と平行に配置され、隣り合う2つの支柱6を連結する。上部桟7及び中部桟8は、略四角柱状に形成されている。ここで、上部桟7及び中部桟8で囲まれた水平方向の空間の内側、すなわち手すり4の内側と称し、上部桟7及び中部桟8で囲まれた水平方向の空間の外側、すなわち乗りかご2の天井部3の外周の外側を手すり4の外側と称す。
【0017】
なお、支柱6を略円柱状に形成し、上部桟7及び中部桟8を略四角柱状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、支柱6を略四角柱状に形成し、上部桟7及び中部桟8を略円柱状に形成してもよい。また、手すり4に設ける桟として、上部桟7と中部桟8の2つの桟を設ける例を説明したが、これに限定されるものではなく、3つ以上の桟を設けてもよい。
【0018】
また、手すり4における支柱6と上部桟7が接続する角部には、移動範囲規制ブラケット10が取り付けられている。
【0019】
1-2.移動範囲規制ブラケットの構成例
次に、
図2Aから
図4を参照して移動範囲規制ブラケット10について説明する。
図2Aは
図1に示す範囲Aを拡大して示す斜視図、
図2Bは
図2AをB視点から見た図、
図2Cは
図2AをC視点から見た図である。
図3は、
図1に示す範囲Aを
図2Aとは異なる方向から見た斜視図である。
図4は、移動範囲規制ブラケット10を示す斜視図である。
【0020】
図2Aから
図4に示すように、移動範囲規制ブラケット10は、第1係合部11と、第2係合部12と、連結部13とを有している。また、
図2Aから
図3に示すように、移動範囲規制ブラケット10は、ジャッキボルト15と、ナット16とを有している。
【0021】
図4に示すように、第1係合部11は、連結部13の長手方向の一端部に形成されている。第1係合部11は、上部桟7の形状に合わせて、略コの字状に形成されている。第1係合部11は、第1面部17と、第2面部18と、第3面部19とを有している。第1面部17、第2面部18及び第3面部19は、略平板状に形成されている。第1面部17と第2面部18は、水平方向と略平行をなし、第3面部19は、水平方向と直交する上下方向と略平行をなしている。第2面部18は、第1面部17の上下方向の上方に位置し、第1面部17と第2面部18は、上下方向において間隔を空けて対向している。
【0022】
第1面部17には、ジャッキボルト15が挿通する貫通孔17aが形成されている。第1面部17における第2面部18と対向する一面には、ナット16(
図2C及び
図3参照)が配置される。ナット16は、第1面部17における貫通孔17aが設けられた位置に配置される。なお、ナット16を予め第1面部17に溶接により固定してもよい。
【0023】
第1面部17の一端部には、第3面部19が略垂直に接続される。第3面部19は、第2面部18の一端部に接続される。そして、第1係合部11における第1面部17及び第2面部18の一端部側は、第3面部19で閉じられており、第1面部17及び第2面部18の他端部側は、開放されている。
【0024】
図2Aから
図3に示すように、第1係合部11は、手すり4の内側から上部桟7に着脱可能に係合される。また、第1係合部11は、ジャッキボルト15及びナット16により上部桟7に保持される。なお、第1係合部11を上部桟7に取り付けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、第1係合部11を中部桟8に取り付けてもよい。
【0025】
また、第1係合部11を上部桟7の形状に合わせて、略コの字状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上部桟7が略円柱状に形成されている場合、第1係合部11を円筒の一部が切り欠かれた形状、すなわち略C字状に形成してもよく、手すり4の桟に係合することができる形状であればその他各種の形状であってもよい。
【0026】
図4に示すように、第1係合部11における第1面部17の他端部には、連結部13の長手方向の一端部が接続される。連結部13は、略平板状に形成されている。そして、平板状に形成されているため、連結部13は、その強度が支柱6や上部桟7の強度よりも低く見える。なお、実際に、連結部13の強度は、支柱6や上部桟7の強度よりも低い。また、連結部13は、第1面部17から上下方向の下方に向けて斜めに延在している。連結部13の長手方向の他端部、すなわち上下方向の下部には、第2係合部12が形成されている。
【0027】
第2係合部12は、連結部13の他端部から水平方向に略垂直に屈曲している。第2係合部12は、略平板状に形成されており、面が上下方向と略平行に配置される。第2係合部12の面が向いている方向は、第1係合部11の第3面部19が向いている方向とは異なる方向を向いている。
【0028】
また、第2係合部12を略円柱状の支柱6の形状に合わせて、円筒の一部が切り欠かれた形状、すなわち略C字状に形成してもよく、第2係合部12の形状は、手すり4の支柱に係合することができる形状であれたばその他各種の形状であってもよい。
【0029】
図2Aから
図3に示すように、第2係合部12は、手すり4の外側から支柱6に着脱可能に係合される。第1係合部11と第2係合部12における閉じられた面が向いている方向が異なる方向を向いている。そのため、移動範囲規制ブラケット10は、第1係合部11と第2係合部12により手すり4を挟み込むようにして、手すり4に取り付けられる。これにより、移動範囲規制ブラケット10が手すり4から外れることを抑制することができる。
【0030】
移動範囲規制ブラケット10を手すり4に取り付けることで、移動範囲規制ブラケット10の連結部13が、手すり4の支柱6と上部桟7を斜めに連結するように配置される。そして、
図2Bに示すように、連結部13と、支柱6と、上部桟7により囲まれた閉空間Q1が形成される。そして、作業者は、
図2Aに示すように、安全フック100を連結部13、支柱6及び上部桟7で囲まれた閉空間Q1における上部桟7に連結する。このように、安全フック100は、上部桟7の中間部ではなく、中間部よりも強度が高い支柱6の近傍に取り付けられる。これにより、作業者が乗りかご2から墜落した場合の強度を確保することができるとともに、手すり4の上部桟7を強固に形成する必要がなくなる。
【0031】
ここで、安全フック100は、縦向きよりも横向きのほうが連結した際の強度が低い。そして、安全フック100を閉空間Q1における支柱6に取り付けた場合、安全フック100は、比較的強度が弱い横向きで手すり4に連結されることになる。これに対して、本例の移動範囲規制ブラケット10は、第2係合部12には、第1係合部11のようにジャッキボルト15やナット16が設けられていない。そのため、作業者には、第2係合部12付近は、第1係合部11や上部桟7よりも強度が低く見える。これにより、作業者に対して閉空間Q1における上部桟7側に、すなわち縦向きに安全フック100を連結するように促すことができる。
【0032】
さらに、連結部13の見た目は、支柱6や上部桟7よりも強度が低く見える。そのため、作業者には、連結部13は、支柱6や上部桟7よりも強度が低く見える。これにより、作業者に対して強度が低い連結部13ではなく強度が高い上部桟7に安全フック100を正確に取り付けるように促すことができる。このように、本例の移動範囲規制ブラケット10によれば、安全フック100を連結する向きや位置を正確な向き及び位置となるように作業者に対して促すことができ、作業者が安全フック100の連結の仕方を間違えることを防止できる。
【0033】
また、安全フック100が支柱6から離れる方向に移動した場合、安全フック100は、移動範囲規制ブラケット10に当接する。これにより、安全フック100の移動範囲を強度が高い支柱6の近傍に制限することができる、すなわち比較的強度が低い上部桟7の中間部までの移動を規制でき、作業の安全性を高めることができる。さらに、移動範囲規制ブラケット10に加わる水平方向の荷重は、移動範囲規制ブラケット10の第2係合部12を介して支柱6に伝わる。そのため、移動範囲規制ブラケット10を強固に手すり4に取り付けなくても、作業者の安全性を確保することができる。
【0034】
さらに、
図1に示すように、移動範囲規制ブラケット10は、2つの支柱6の間に取り付けられる。これにより、移動範囲規制ブラケット10が手すり4から外れても、安全フック100は2つの支柱6の間に位置するため、安全フック100が手すり4から外れることを防止できる。
【0035】
2.移動範囲規制ブラケット10の取り付け方法
次に、上述した構成を有する移動範囲規制ブラケット10の取り付け方法を
図5Aから
図6Bを参照して説明する。
図5Aから
図6Bは、移動範囲規制ブラケット10の取り付け方法を示す説明図である。
【0036】
まず、
図5A及び
図6Aに示すように、第1係合部11を手すり4の内側から接近させて、第1係合部11における第3面部19と対向する開口部から第1係合部11を上部桟7に嵌め込む。このとき、第1係合部11の第2面部18が上部桟7の上下方向の上面部に対向し、第3面部19が上部桟7の水平方向の内側の面部に対向する。次に、移動範囲規制ブラケット10を回転させて、第2係合部12を手すり4の外側から支柱6に係合させる。
【0037】
次に、
図5B及び
図6Bに示すように、第1係合部11の第2面部18を上部桟7の上面部と重ね合わせて、第1係合部11を上部桟7に係合させる。これにより、
図5Cに示すように、第1係合部11の第1面部17が上部桟7の上下方向の下面部と対向する。そして、
図2C及び
図3に示すように、第1係合部11をジャッキボルト15とナット16を用いて上部桟7に締結固定する。これにより、移動範囲規制ブラケット10の取り付け作業が完了する。
【0038】
ここで、上述したように、移動範囲規制ブラケット10に加わる荷重は、支柱6に伝達され、移動範囲規制ブラケット10には大きな荷重が作用しない。さらに、移動範囲規制ブラケット10は、第1係合部11と第2係合部12における係合する向きが異なっており、手すり4を挟み込みようにして取り付けられる。そのため、移動範囲規制ブラケット10が作業者の意図に反して外れることを抑制することができ、ジャッキボルト15やナット16により第1係合部11を上部桟7に締結固定しなくてもよい。
【0039】
なお、ジャッキボルト15やナット16による締結固定を用いることで、手すり4を折りたたんだ場合でも、移動範囲規制ブラケット10が手すり4から外れることを防止できる。
【0040】
このように、本例の移動範囲規制ブラケット10は、溶接等の煩雑な作業を行うことなく、第1係合部11及び第2係合部12の係合で手すり4に取り付けられる。その結果、移動範囲規制ブラケット10の取り付けを容易に行うことができる。
【0041】
さらに、手すり4に加工を施すことなく、移動範囲規制ブラケット10を取り付けることができる。そのため、既設のエレベーターの手すりに対しても移動範囲規制ブラケット10を取り付けることができる。
【0042】
なお、移動範囲規制ブラケット10を手すり4から取り外す場合、まずジャッキボルト15を第1係合部11から取り外す。そして、第1係合部11及び第2係合部12の係合を解除するために、移動範囲規制ブラケット10を回転させる。これにより、移動範囲規制ブラケット10が手すり4から取り外される。このように、本例の移動範囲規制ブラケット10によれば、取り外し作業も容易に行うことができる。
【0043】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0044】
また、上述した実施の形態例では、第1係合部11と手すり4の内側から係合し、第2係合部12を手すり4の外側から係合する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1係合部11を手すり4の外側から係合し、第2係合部12を手すり4の内側から係合してもよい。なお、第1係合部11を手すり4の外側から係合する場合、連結部13は、第1係合部11の第1面部17よりも手すり4の内側に配置される。そのため、ジャッキボルト15を第1面部17の貫通孔17aに挿入する際に、作業者の手元が連結部13によって隠れる。したがって、第1係合部11は、手すり4の内側から係合することが好ましい。
【0045】
また、第1係合部11と第2係合部12の係合する向きを同じ向きにしてもよい。これにより、取り付け作業をさらに容易に行うことができる。しかしながら、移動範囲規制ブラケット10の脱落を防止する観点から、第1係合部11と第2係合部12における手すり4に対する係合の向きは、異なる向きにすることが好ましい。
【0046】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…エレベーター、 2…乗りかご、 3…天井部、 4…手すり、 6…支柱、 7…上部桟(桟)、 8…中部桟、 10…移動範囲規制ブラケット、 11…第1係合部、 12…第2係合部、 13…連結部、 15…ジャッキボルト、 16…ナット、 17…第1面部、 17a…貫通孔、 18…第2面部、 19…第3面部、 100…安全フック、 Q1…閉空間