(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107359
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】培養システム及び細胞の培養方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20230727BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008525
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】515238909
【氏名又は名称】田邊 剛士
(71)【出願人】
【識別番号】517123221
【氏名又は名称】アイ ピース,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田邊 剛士
(72)【発明者】
【氏名】須藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】平出 亮二
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029BB01
4B029BB11
4B029DA03
4B029GB02
(57)【要約】
【課題】並行して細胞を培養可能な培養システム及び細胞の培養方法を提供する
【解決手段】細胞を収容するよう構成された細胞収容器10と、複数の培養装置20と、細胞収容器10から細胞を複数の培養装置20に分配するよう構成された分配流路30と、を備え、複数の培養装置20のそれぞれが、複数の培養槽21と、複数の培養槽21に選択的に分配流路30からの流体を供給するよう構成された供給流路22と、複数の培養槽21を連結する連結流路23と、を備え、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、複数の培養槽21が、連結流路23で直列に接続されており、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、連結流路23を介して、細胞が、複数の培養槽21を順次移動するように、供給流路22が複数の培養槽21に選択的に流体を供給するよう構成されている、培養システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を収容するよう構成された細胞収容器と、
複数の培養装置と、
前記細胞収容器から前記細胞を前記複数の培養装置に分配するよう構成された分配流路と、
を備える培養システムであって、
前記複数の培養装置のそれぞれが、
複数の培養槽と、
前記複数の培養槽に選択的に前記分配流路からの流体を供給するよう構成された供給流路と、
前記複数の培養槽を連結するよう構成された連結流路と、
を備え、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の培養槽が、前記連結流路で直列に接続されており、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記連結流路を介して、細胞が、前記複数の培養槽を順次移動するように、前記供給流路が前記複数の培養槽に選択的に流体を供給するよう構成される、
培養システム。
【請求項2】
前記複数の培養装置のそれぞれの前記供給流路に前記分配流路からの流体を供給するよう構成された流体機械をさらに備える、請求項1に記載の培養システム。
【請求項3】
前記複数の培養装置のそれぞれが、前記供給流路に設けられた複数の供給弁をさらに備える、請求項1又は2に記載の培養システム。
【請求項4】
前記複数の培養装置のそれぞれが、前記連結流路に設けられた連結弁をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の培養システム。
【請求項5】
前記複数の培養装置のそれぞれが、前記連結流路に設けられた中間槽をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の培養システム。
【請求項6】
前記複数の培養装置のそれぞれが、前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の培養システム。
【請求項7】
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記連結流路を介して、前記細胞が、前記複数の培養槽を順次移動するよう、前記排出流路が前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成される、請求項6に記載の培養システム。
【請求項8】
前記複数の培養装置のそれぞれが、
前記供給流路に設けられた複数の供給弁と、
前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路と、
前記排出流路に設けられた複数の排出弁と、
をさらに備え、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の供給弁が、それぞれ、前記複数の培養槽に対応し、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の排出弁が、それぞれ、前記複数の培養槽に対応し、
前記細胞収容器から前記細胞が供給される前記複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する前記複数の供給弁のうちの1つの供給弁が開き、
前記細胞収容器から前記細胞が供給される前記複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する前記複数の排出弁のうちの1つの排出弁が開く、
請求項1又は2に記載の培養システム。
【請求項9】
前記複数の培養装置のそれぞれが、
前記供給流路に設けられた複数の供給弁と、
前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路と、
前記排出流路に設けられた複数の排出弁と、
をさらに備え、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の供給弁が、それぞれ、前記複数の培養槽に対応し、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の排出弁が、それぞれ、前記複数の培養槽に対応し、
流体が供給される前記複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する前記複数の供給弁のうちの1つの供給弁が開き、
前記流体が供給される前記複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する前記複数の排出弁のうちの1つの排出弁が開く、
請求項1又は2に記載の培養システム。
【請求項10】
前記複数の培養装置のそれぞれが、
前記供給流路に設けられた複数の供給弁と、
前記連結流路に設けられた複数の連結弁と、
前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路と、
前記排出流路に設けられた複数の排出弁と、
をさらに備え、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の供給弁が、それぞれ、前記複数の培養槽に対応し、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の連結弁が、前記複数の培養槽の間に設けられており、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の排出弁が、それぞれ、前記複数の培養槽に対応し、
前記細胞が配置されている前記複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する前記複数の供給弁のうちの1つの供給弁が開き、
前記細胞が配置されている培養槽と前記細胞が配置されている前記培養槽に隣接する培養槽との間の前記連結弁が開き、
前記隣接する培養槽に対応する前記複数の排出弁のうちの1つの排出弁が開く、
請求項1又は2に記載の培養システム。
【請求項11】
流体を収容するよう構成された一又は複数の流体収容器をさらに備え、
前記分配流路が、前記流体収容器から前記流体を前記複数の培養装置に分配するよう構成されている、
請求項1から10のいずれか1項に記載の培養システム。
【請求項12】
前記流体が、培地、緩衝液、細胞剥離剤、凍結保存剤、又は因子を含む、請求項11に記載の培養システム。
【請求項13】
細胞の培養方法であって、
細胞を収容するよう構成された細胞収容器と、複数の培養装置と、前記細胞収容器から前記細胞を前記複数の培養装置に分配するよう構成された分配流路と、を備える培養システムであって、前記複数の培養装置のそれぞれが、複数の培養槽と、前記複数の培養槽に選択的に前記分配流路からの流体を供給するよう構成された供給流路と、前記複数の培養槽を連結するよう構成された連結流路と、を備える、培養システムを用意することと、
前記細胞収容器から、前記複数の培養装置のそれぞれに、前記分配流路を介して、前記細胞を分配することと、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の培養槽の少なくとも1つに、前記供給流路を介して、前記細胞を供給することと、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の培養槽の少なくとも1つで、前記細胞を培養すること、
を含む、細胞の培養方法。
【請求項14】
前記複数の培養装置のそれぞれが、前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備え、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の培養槽の少なくとも1つに、前記供給流路を介して、細胞を供給することにおいて、前記複数の培養槽の少なくとも1つ内の流体が、前記排出流路に排出される、
請求項13に記載の細胞の培養方法。
【請求項15】
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の培養槽のうち前記細胞が配置されている培養槽に、前記供給流路を介して、流体を供給することをさらに含む、請求項13に記載の細胞の培養方法。
【請求項16】
前記複数の培養装置のそれぞれが、前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備え、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の培養槽のうち前記細胞が配置されている培養槽に、前記供給流路を介して、前記流体を供給することにおいて、前記複数の培養槽のうち前記細胞が配置されている培養槽内の流体が、前記排出流路に排出される、
請求項15に記載の細胞の培養方法。
【請求項17】
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記細胞が配置されている培養槽から、他の培養槽に、前記連結流路を介して、前記細胞を移動させることをさらに含む、請求項13に記載の細胞の培養方法。
【請求項18】
前記複数の培養装置のそれぞれが、前記複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備え、
前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記細胞が配置されている培養槽から、他の培養槽に、前記連結流路を介して、前記細胞を移動させることにおいて、前記他の培養槽内の流体が、前記排出流路に排出される、請求項17に記載の細胞の培養方法。
【請求項19】
前記流体が、気体、液体、又はゲルである、請求項13から18のいずれか1項に記載の細胞の培養方法。
【請求項20】
前記流体が因子を含み、前記複数の培養装置のそれぞれにおいて、前記複数の培養槽の少なくとも1つで、前記因子により、前記細胞から異なる状態の細胞が誘導される、請求項13から19のいずれか1項に記載の細胞の培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は培養システム及び細胞の培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞を自動的に培養するシステムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/145235号公報
【特許文献2】特開2016-208866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、並行して細胞を培養可能な培養システム及び細胞の培養方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様に係る培養システムは、細胞を収容するよう構成された細胞収容器と、複数の培養装置と、細胞収容器から細胞を複数の培養装置に分配するよう構成された分配流路と、を備え、複数の培養装置のそれぞれが、複数の培養槽と、複数の培養槽に選択的に分配流路からの流体を供給するよう構成された供給流路と、複数の培養槽を連結するよう構成された連結流路と、を備え、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の培養槽が、連結流路で直列に接続されており、複数の培養装置のそれぞれにおいて、連結流路を介して、細胞が、複数の培養槽を順次移動するように、供給流路が複数の培養槽に選択的に流体を供給するよう構成されている。
【0006】
上記の培養システムが、複数の培養装置のそれぞれの供給流路に分配流路からの流体を供給するよう構成された流体機械をさらに備えていてもよい。
【0007】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、供給流路に設けられた複数の供給弁をさらに備えていてもよい。
【0008】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の供給弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応してもよい。
【0009】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、連結流路に設けられた連結弁をさらに備えていてもよい。
【0010】
上記の培養システムにおいて、連結弁が複数の培養槽の間に設けられていてもよい。
【0011】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、連結流路に設けられた中間槽をさらに備えていてもよい。
【0012】
上記の培養システムにおいて、中間槽が複数の培養槽の間に設けられていていてもよい。
【0013】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備えていてもよい。
【0014】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、排出流路に設けられた複数の排出弁をさらに備えていてもよい。
【0015】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の排出弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応してもよい。
【0016】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれにおいて、連結流路を介して、細胞が、複数の培養槽を順次移動するよう、排出流路が複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成されていてもよい。
【0017】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、供給流路に設けられた複数の供給弁と、複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路と、排出流路に設けられた複数の排出弁と、をさらに備え、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の供給弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応し、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の排出弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応し、細胞収容器から細胞が供給される複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する複数の供給弁のうちの1つの供給弁が開き、細胞収容器から細胞が供給される複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する複数の排出弁のうちの1つの排出弁が開いてもよい。
【0018】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、供給流路に設けられた複数の供給弁と、複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路と、排出流路に設けられた複数の排出弁と、をさらに備え、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の供給弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応し、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の排出弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応し、流体が供給される複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する複数の供給弁のうちの1つの供給弁が開き、流体が供給される複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する複数の排出弁のうちの1つの排出弁が開いてもよい。
【0019】
上記の培養システムにおいて、複数の培養装置のそれぞれが、供給流路に設けられた複数の供給弁と、連結流路に設けられた複数の連結弁と、複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路と、排出流路に設けられた複数の排出弁と、をさらに備え、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の供給弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応し、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の連結弁が、複数の培養槽の間に設けられており、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の排出弁が、それぞれ、複数の培養槽に対応し、細胞が配置されている複数の培養槽のうちの1つの培養槽に対応する複数の供給弁のうちの1つの供給弁が開き、細胞が配置されている培養槽と細胞が配置されている培養槽に隣接する培養槽との間の連結弁が開き、隣接する培養槽に対応する複数の排出弁のうちの1つの排出弁が開いてもよい。
【0020】
上記の培養システムにおいて、細胞が配置されている培養槽に対応する複数の排出弁のうちの1つの排出弁が閉じ、隣接する培養槽に対応する複数の供給弁のうちの1つの供給弁が閉じてもよい。
【0021】
上記の培養システムが、流体を収容するよう構成された一又は複数の流体収容器をさらに備え、分配流路が、流体収容器から流体を複数の培養装置に分配するよう構成されていてもよい。
【0022】
上記の培養システムにおいて、流体が、培地、緩衝液、細胞剥離剤、凍結保存剤、又は因子を含んでいてもよい。
【0023】
本発明の態様に係る細胞の培養方法は、細胞を収容するよう構成された細胞収容器と、複数の培養装置と、細胞収容器から細胞を複数の培養装置に分配するよう構成された分配流路と、を備える培養システムであって、複数の培養装置のそれぞれが、複数の培養槽と、複数の培養槽に選択的に分配流路からの流体を供給するよう構成された供給流路と、複数の培養槽を連結するよう構成された連結流路と、を備える、培養システムを用意することと、細胞収容器から、複数の培養装置のそれぞれに、分配流路を介して、細胞を分配することと、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の培養槽の少なくとも1つに、供給流路を介して、細胞を供給することと、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の培養槽の少なくとも1つで、細胞を培養すること、を含む。
【0024】
上記の細胞の培養方法において、複数の培養装置のそれぞれが、複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備え、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の培養槽の少なくとも1つに、供給流路を介して、細胞を供給することにおいて、複数の培養槽の少なくとも1つ内の流体が、排出流路に排出されてもよい。
【0025】
上記の細胞の培養方法において、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の培養槽のうち細胞が配置されている培養槽に、供給流路を介して、流体を供給することをさらに含んでいてもよい。
【0026】
上記の細胞の培養方法において、複数の培養装置のそれぞれが、複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備え、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の培養槽のうち細胞が配置されている培養槽に、供給流路を介して、流体を供給することにおいて、複数の培養槽のうち細胞が配置されている培養槽内の流体が、排出流路に排出されてもよい。
【0027】
上記の細胞の培養方法において、複数の培養装置のそれぞれにおいて、細胞が配置されている培養槽から、他の培養槽に、連結流路を介して、細胞を移動させることをさらに含んでいてもよい。
【0028】
上記の細胞の培養方法において、複数の培養装置のそれぞれが、複数の培養槽から選択的に流体を排出するよう構成された排出流路をさらに備え、複数の培養装置のそれぞれにおいて、細胞が配置されている培養槽から、他の培養槽に、連結流路を介して、細胞を移動させることにおいて、他の培養槽内の流体が、排出流路に排出されてもよい。
【0029】
上記の細胞の培養方法において、流体が、気体、液体、又はゲルであってもよい。
【0030】
上記の細胞の培養方法において、流体が、培地、緩衝液、細胞剥離剤、凍結保存剤、又は因子を含んでいてもよい。
【0031】
上記の細胞の培養方法において、流体が因子を含み、複数の培養装置のそれぞれにおいて、複数の培養槽の少なくとも1つで、因子により、細胞から異なる状態の細胞が誘導されてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、並行して細胞を培養可能な培養システム及び細胞の培養方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1実施形態に係る培養システムの模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る培養システムの模式図である。
【
図3】第2実施形態に係る培養システムの模式図である。
【
図4】第3実施形態に係る培養システムの模式図である。
【
図5】第4実施形態に係る培養システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0035】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る培養システムは、細胞を収容するよう構成された細胞収容器10と、複数の培養装置20A、20B、20Cと、細胞収容器10から細胞を複数の培養装置20A、20B、20Cに分配するよう構成された分配流路30と、を備える。複数の培養装置20A、20B、20Cの数は特に限定されない。
【0036】
複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれは、複数の培養槽21と、複数の培養槽21に選択的に分配流路30からの流体を供給するよう構成された供給流路22と、複数の培養槽21を連結する連結流路23と、を備える。複数の培養槽21の数は特に限定されない。ここで、流体とは、気体、液体、及びゲルを含む。
【0037】
複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれにおいて、複数の培養槽21は、連結流路23で直列に接続されている。また、複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれにおいて、連結流路23を介して、細胞が、複数の培養槽21を順次移動するように、供給流路22が複数の培養槽21に選択的に流体を供給するよう構成されている。
【0038】
培養システムは、さらに、1又は複数の流体収容器11A、11B、11C、11Dを備えていてもよい。複数の流体収容器11A、11B、11C、11Dの数は特に限定されない。細胞収容器10に収容される細胞は、特に限定されない。流体収容器11A、11B、11C、11Dに収容される流体は特に限定されない。例えば、第1の流体収容器11Aは、培地を収容する。第2の流体収容器11Bは、剥離剤を収容する。第3の流体収容器11Cは、凍結保存剤を収容する。第4の流体収容器11Dは、気体を収容する。例えば、細胞収容器10及び流体収容器11A、11B、11C、11Dのそれぞれの容積は可変である。
【0039】
例えば、細胞収容器10及び流体収容器11A、11B、11C、11Dは、合流流路32に接続される。細胞収容器10及び流体収容器11A、11B、11C、11Dは、合流流路32に無菌的に接続されてもよい。合流流路32は、分配流路30に接続されている。合流流路32には、細胞収容器10及び流体収容器11A、11B、11C、11Dにそれぞれ対応する複数の合流弁33、34A、34B、34C、34Dが設けられている。なお、気体として周囲の空気を用いる場合は、流体収容器11Dを合流流路32に接続しなくともよい。この場合、合流弁34Dを開けば、周囲の空気を合流流路32に入れることが可能である。合流流路32の周囲の空気を入れる開口には、フィルターを設けてもよい。
【0040】
合流流路32を介して細胞収容器10から分配流路30に細胞を送る際には、細胞収容器10に対応する合流弁33が開かれ、他の合流弁34A、34B、34C、34Dは閉じられる。
【0041】
合流流路32を介して第1の流体収容器11Aから分配流路30に培地を送る際には、第1の流体収容器11Aに対応する合流弁34Aが開かれ、他の合流弁33、34B、34C、34Dは閉じられる。
【0042】
合流流路32を介して第2の流体収容器11Bから分配流路30に剥離剤を送る際には、第2の流体収容器11Bに対応する合流弁34Bが開かれ、他の合流弁33、34A、34C、34Dは閉じられる。
【0043】
合流流路32を介して第3の流体収容器11Cから分配流路30に凍結保存剤を送る際には、第3の流体収容器11Cに対応する合流弁34Cが開かれ、他の合流弁33、34A、34B、34Dは閉じられる。
【0044】
合流流路32を介して第4の流体収容器11Dから分配流路30に気体を送る際には、第4の流体収容器11Dに対応する合流弁34Dが開かれ、他の合流弁33、34A、34B、34Cは閉じられる。
【0045】
分配流路30は、細胞収容器10及び流体収容器11A、11B、11C、11Dのいずれかと、複数の培養装置20A、20B、20Cと、を接続する。分配流路30は、分岐して、複数の培養装置20A、20B、20Cに接続している。分配流路30には、分配流路30内の流体を移動させる流体機械31が設けられていてもよい。流体機械31は、例えば、ポンプである。
【0046】
細胞収容器10内の細胞は、合流流路32及び分配流路30を介して、流体機械31によって、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される。例えば、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される細胞の種類及び量は同じであってもよい。あるいは、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される細胞の種類及び量の少なくともいずれかは異なっていてもよい。
【0047】
第1の流体収容器11A内の培地は、合流流路32及び分配流路30を介して、流体機械31によって、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される。例えば、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される培地の種類及び量は同じであってもよい。あるいは、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される培地の量は異なっていてもよい。
【0048】
第2の流体収容器11B内の剥離剤は、合流流路32及び分配流路30を介して、流体機械31によって、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される。例えば、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される剥離剤の種類及び量は同じであってもよい。あるいは、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される剥離剤の量は異なっていてもよい。
【0049】
第3の流体収容器11C内の凍結保存剤は、合流流路32及び分配流路30を介して、流体機械31によって、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される。例えば、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される凍結保存剤の種類及び量は同じであってもよい。あるいは、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される凍結保存剤の量は異なっていてもよい。
【0050】
第4の流体収容器11D内の気体は、合流流路32及び分配流路30を介して、流体機械31によって、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される。例えば、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される気体の種類及び量は同じであってもよい。あるいは、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される気体の量は異なっていてもよい。
【0051】
複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれにおいて、分配流路30に、供給流路22が接続している。供給流路22は、分岐して、複数の培養槽21に接続している。分岐した供給流路22には、複数の培養槽21にそれぞれ対応する複数の供給弁24が設けられる。複数の培養槽21のいずれか1つに流体を供給する際に、対応する1つの供給弁24が開かれ、他の供給弁24は閉じられる。
【0052】
複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれは、連結流路23に設けられた1又は複数の連結弁25をさらに備えていてもよい。例えば、複数の連結弁25のそれぞれは、隣り合う培養槽21の間に配置される。任意の一組の培養槽21の間で流体を移動させる際、当該一組の培養槽21の間の連結弁25が開かれ、他の連結弁25は閉じられる。
【0053】
複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれは、複数の培養槽21から選択的に流体を排出するための排出流路26をさらに備えていてもよい。排出流路26は、複数の培養槽21に接続している。排出流路26には、複数の培養槽21にそれぞれ対応する複数の排出弁27が設けられる。複数の培養槽21のいずれか1つから流体を排出する際に、対応する1つの排出弁27が開かれ、他の排出弁27は閉じられる。なお、
図2に示すように、培養槽21に対して、供給流路22を重力方向において高い位置に接続し、排出流路26及び連結流路23を低い位置に接続してもよい。
【0054】
図1に示す複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれにおける複数の培養槽21の少なくとも1つに、細胞回収流路40を介して細胞回収容器41が接続されてもよい。細胞回収流路40には、回収弁28が設けられていてもよい。細胞回収容器41は、細胞回収流路40に、無菌的に接続されてもよい。複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれの排出流路26には、排出容器50が接続されてもよい。例えば、細胞回収容器41及び排出容器50のそれぞれの容積は可変である。
【0055】
第1実施形態に係る培養システムは、流体機械31、合流弁33、34、供給弁24、排出弁27、及び回収弁28を制御する制御部301をさらに備えていてもよい。制御部301は、例えば、流体機械31が動かす流体の流量、流速、及び流体圧力を制御する。制御部301は、例えば、合流弁33、34、供給弁24、排出弁27、及び回収弁28のそれぞれの開閉を制御し、合流弁33、34、供給弁24、排出弁27、及び回収弁28のそれぞれを通過する流体の流量、流速、及び流体圧力を制御する。
【0056】
次に、第1実施形態に係る培養システムを用いた細胞の培養方法を説明する。
【0057】
制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の培養槽21AAに対応する第1の供給弁24AAと第1の排出弁27AAを開き、第1の培養装置20Aの他の供給弁24AB、24ACと他の排出弁27AB、27ACを閉じ、連結弁25AA、25ABを閉じ、回収弁28を閉じる。
【0058】
制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の培養槽21BAに対応する第1の供給弁24BAと第1の排出弁27BAを開き、第2の培養装置20Bの他の供給弁24BB、24BCと他の排出弁27BB、27BCを閉じ、連結弁25BA、25BBを閉じ、回収弁28Bを閉じる。
【0059】
制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の培養槽21CAに対応する第1の供給弁24CAと第1の排出弁27CAを開き、第3の培養装置20Cの他の供給弁24CB、24CCと他の排出弁27CB、27CCを閉じ、連結弁25CA、25CBを閉じ、回収弁28Cを閉じる。
【0060】
制御部301が、細胞収容器10に対応する合流弁33を開き、他の合流弁34A、34B、34C、34Dを閉じる。制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、分配流路30内の流体を第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。これにより、細胞収容器10内の細胞を含む流体が、合流流路32を経て、分配流路30に動かされる。細胞を含んでいる流体は、例えば培地である。次に、制御部301が、気体を収容する第4の流体収容器11Dに対応する合流弁34Dを開き、他の合流弁33、34A、34B、34Cを閉じる。これにより、細胞を含む流体に続いて、気体が、合流流路32を経て、分配流路30に動かされる。細胞を含む流体は、分配流路30によって第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに分配される。細胞を含む流体に続いて、気体が、分配流路30によって第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに分配される。
【0061】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた細胞を含む流体は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の気体等の流体は、細胞を含む流体に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0062】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた細胞を含む流体は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の気体等の流体は、細胞を含む流体に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0063】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた細胞を含む流体は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の気体等の流体は、細胞を含む流体に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0064】
細胞を含む流体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、細胞収容器10から第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AA、24BA、24CAが開くタイミングを異ならせて、細胞を含む流体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0065】
細胞を含む流体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31は、流体を動かすことを停止する。制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AAと第1の排出弁27AAを閉じ、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BAと第1の排出弁27BAを閉じ、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CAと第1の排出弁27CAを閉じる。所定の期間、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれで、細胞が培養される。培養は接着培養であってもよいし、浮遊培養であってもよい。培養は二次元培養であってもよいし、三次元培養であってもよい。
【0066】
第1の培養槽21AA、21BA、21CA内の培地を交換する際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AAと第1の排出弁27AAを開き、他の供給弁24AB、24AC及び他の排出弁27AB、27ACを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BAと第1の排出弁27BAを開き、他の供給弁24BB、24BC及び他の排出弁27BB、27BCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CAと第1の排出弁27CAを開き、他の供給弁24CB、24CC及び他の排出弁27CB、27CCを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Aを開き、他の合流弁33、34B、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の未使用の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0067】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた未使用の培地は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第1の培養槽21AA内の培地が交換される。
【0068】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた未使用の培地は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第1の培養槽21BA内の培地が交換される。
【0069】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた未使用の培地は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第1の培養槽21CA内の培地が交換される。
【0070】
培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第1の流体収容器11Aから第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AA、24BA、24CAが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0071】
なお、未使用の培地を第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれに送る前に、第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれの中の培地の一部または全部を、排出してもよい。
【0072】
この場合、制御部301は、合流弁34Dを開き、他の合流弁33、34A、34B、34Cを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第4の流体収容器11D内の気体を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0073】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた気体は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の使用された培地の一部又は全部は、気体に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第1の培養槽21AA内の培地の一部又は全部が排出される。
【0074】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた気体は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の使用された培地の一部又は全部は、気体に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第1の培養槽21BA内の培地の一部又は全部が排出される。
【0075】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた気体は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の使用された培地の一部又は全部は、気体に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第1の培養槽21CA内の培地の一部又は全部が排出される。
【0076】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CA内の培地の交換が終了すると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31は、流体を動かすことを停止する。制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AAと第1の排出弁27AAを閉じ、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BAと第1の排出弁27BAを閉じ、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CAと第1の排出弁27CAを閉じる。所定の期間、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれで、細胞が培養される。培養は接着培養であってもよいし、浮遊培養であってもよい。培養は二次元培養であってもよいし、三次元培養であってもよい。
【0077】
第1の培養槽21AA、21BA、21CA内の細胞を継代する際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AAと第1の排出弁27AAを開き、他の供給弁24AB、24AC及び他の排出弁27AB、27ACを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BAと第1の排出弁27BAを開き、他の供給弁24BB、24BC及び他の排出弁27BB、27BCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CAと第1の排出弁27CAを開き、他の供給弁24CB、24CC及び他の排出弁27CB、27CCを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Bを開き、他の合流弁33、34A、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第2の流体収容器11B内の剥離剤を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0078】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた剥離剤は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0079】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた剥離剤は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0080】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた剥離剤は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0081】
剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第2の流体収容器11Bから第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AA、24BA、24CAが開くタイミングを異ならせて、剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0082】
なお、剥離剤を第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれに送る前に、第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれの中の培地の一部または全部を、気体を用いて排出してもよい。第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれの中の培地の一部または全部を、気体を用いて排出する方法は、上述したとおりである。
【0083】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CA内に剥離剤が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31は、流体を動かすことを停止する。第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれから細胞を剥離するための所定の時間、細胞を剥離剤と接触させる。なお、浮遊培養や三次元培養の場合は、細胞を剥離剤と接触させなくともよい。
【0084】
所定の時間が経過した後、制御部301が、合流弁33、34A、34B、34Cを閉じ、合流弁34Dを開く。また、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第4の流体収容器11D内の気体を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0085】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた気体は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0086】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた気体は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0087】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた気体は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0088】
気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第4の流体収容器11Dから第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AA、24BA、24CAが開くタイミングを異ならせて、気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0089】
制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の培養槽21AAに対応する第1の供給弁24AAを開き、第1の培養槽21AAに対応する第1の排出弁27AAを閉じ、第2の培養槽21ABに対応する第2の供給弁24ABを閉じ、第2の培養槽21ABに対応する第2の排出弁27ABを開き、第3の培養槽21ACに対応する第3の供給弁24ACを閉じ、第3の培養槽21ACに対応する第3の排出弁27ACを閉じる。制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の培養槽21AAと第2の培養槽21ABの間の第1の連結弁25AAを開き、第2の培養槽21ABと第3の培養槽21ACの間の第2の連結弁25ABを閉じる。
【0090】
制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の培養槽21BAに対応する第1の供給弁24BAを開き、第1の培養槽21BAに対応する第1の排出弁27BAを閉じ、第2の培養槽21BBに対応する第2の供給弁24BBを閉じ、第2の培養槽21BBに対応する第2の排出弁27BBを開き、第3の培養槽21BCに対応する第3の供給弁24BCを閉じ、第3の培養槽21BCに対応する第3の排出弁27BCを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の培養槽21BAと第2の培養槽21BBの間の第1の連結弁25BAを開き、第2の培養槽21BBと第3の培養槽21BCの間の第2の連結弁25BBを閉じる。
【0091】
制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の培養槽21CAに対応する第1の供給弁24CAを開き、第1の培養槽21CAに対応する第1の排出弁27CAを閉じ、第2の培養槽21CBに対応する第2の供給弁24CBを閉じ、第2の培養槽21CBに対応する第2の排出弁27CBを開き、第3の培養槽21CCに対応する第3の供給弁24CCを閉じ、第3の培養槽21CCに対応する第3の排出弁27CCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の培養槽21CAと第2の培養槽21CBの間の第1の連結弁25CAを開き、第2の培養槽21CBと第3の培養槽21CCの間の第2の連結弁25CBを閉じる。
【0092】
制御部301が、合流弁33、34B、34C、34Dを閉じ、培地を収容する第1の流体収容器11Aに対応する合流弁34Aを開く。制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0093】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた培地は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Aを経て、第2の培養槽21AB内に動かされる。第2の培養槽21AB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0094】
分配流路30から第1の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた培地は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Bを経て、第2の培養槽21BB内に動かされる。第2の培養槽21BB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0095】
分配流路30から第1の培養装置20Cの供給流路22Bに動かされた培地は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第2の培養槽21CB内に動かされる。第2の培養槽21CB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0096】
細胞を含む培地が、第1の培養槽21AA、21BA、21CAから第2の培養槽21AB、21BB、21CBに、それぞれ、同時に到達するように、連結流路23A、23B、23Cの長さを設定してもよい。例えば、第1の培養槽21AA、21BA、21CAから第2の培養槽21AB、21BB、21CBまでのそれぞれの流路長が同じになるよう、連結流路23A、23B、23Cの長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AA、24BA、24CAが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに異なるタイミングで到達し、細胞を含む培地が、第1の培養槽21AA、21BA、21CAから第2の培養槽21AB、21BB、21CBに、それぞれ、異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0097】
細胞を含む流体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AA、第1の連結弁25AA、及び第2の排出弁27ABを閉じ、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BA、第1の連結弁25BA、及び第2の排出弁27BBを閉じ、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CA、第1の連結弁25CA、及び第2の排出弁27CBを閉じる。所定の期間、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれで、細胞が培養される。培養は接着培養であってもよいし、浮遊培養であってもよい。培養は二次元培養であってもよいし、三次元培養であってもよい。
【0098】
第2の培養槽21AB、21BB、21CBの培地を交換する際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第2の供給弁24ABと第2の排出弁27ABを開き、他の供給弁24AA、24AC及び他の排出弁27AA、27ACを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第2の供給弁24BBと第2の排出弁27BBを開き、他の供給弁24BA、24BC及び他の排出弁27BA、27BCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第2の供給弁24CBと第2の排出弁27CBを開き、他の供給弁24CA、24CC及び他の排出弁27CA、27CCを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Aを開き、他の合流弁33、34B、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の未使用の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0099】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた未使用の培地は、第2の培養槽21ABに到達する。第2の培養槽21AB内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第2の培養槽21AB内の培地が交換される。
【0100】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた未使用の培地は、第2の培養槽21BBに到達する。第2の培養槽21BB内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第2の培養槽21BB内の培地が交換される。
【0101】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた未使用の培地は、第2の培養槽21CBに到達する。第2の培養槽21CB内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第2の培養槽21CB内の培地が交換される。
【0102】
培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第1の流体収容器11Aから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0103】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CB内の培地の交換が終了すると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。制御部301が、第1の培養装置20Aの第2の供給弁24ABと第2の排出弁27ABを閉じ、第2の培養装置20Bの第2の供給弁24BBと第2の排出弁27BBを閉じ、第3の培養装置20Cの第2の供給弁24CBと第2の排出弁27CBを閉じる。所定の期間、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれで、細胞が培養される。培養は接着培養であってもよいし、浮遊培養であってもよい。培養は二次元培養であってもよいし、三次元培養であってもよい。
【0104】
第2の培養槽21AB、21BB、21CB内の細胞を継代する際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第2の供給弁24ABと第2の排出弁27ABを開き、他の供給弁24AA、24AC及び他の排出弁27AA、27ACを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第2の供給弁24BBと第2の排出弁27BBを開き、他の供給弁24BA、24BC及び他の排出弁27BA、27BCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第2の供給弁24CBと第2の排出弁27CBを開き、他の供給弁24CA、24CC及び他の排出弁27CA、27CCを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Bを開き、他の合流弁33、34A、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第2の流体収容器11B内の剥離剤を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0105】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた剥離剤は、第2の培養槽21ABに到達する。第2の培養槽21AB内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0106】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた剥離剤は、第2の培養槽21BBに到達する。第2の培養槽21BB内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0107】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた剥離剤は、第2の培養槽21CBに到達する。第2の培養槽21CB内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0108】
剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第2の流体収容器11Bから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0109】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CB内に剥離剤が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれから細胞を剥離するための所定の時間、細胞を剥離剤と接触させる。なお、浮遊培養や三次元培養の場合は、細胞を剥離剤と接触させなくともよい。
【0110】
所定の時間が経過した後、制御部301が、合流弁33、34A、34B、34Cを閉じ、合流弁34Dを開く。また、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第4の流体収容器11D内の気体を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0111】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた気体は、第2の培養槽21ABに到達する。第2の培養槽21AB内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0112】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた気体は、第2の培養槽21BBに到達する。第2の培養槽21BB内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0113】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた気体は、第2の培養槽21CBに到達する。第2の培養槽21CB内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0114】
気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第4の流体収容器11Dから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0115】
制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AAを閉じ、第1の排出弁27AAを閉じ、第2の供給弁24ABを開き、第2の排出弁27ABを閉じ、第3の供給弁24ACを閉じ、第3の排出弁27ACを開く。制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の連結弁25AAを閉じ、第2の連結弁25ABを開く。制御部301が、第3の培養槽21ACに接続されている細胞回収流路40Aに設けられた回収弁28Aを閉じる。
【0116】
制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BAを閉じ、第1の排出弁27BAを閉じ、第2の供給弁24BBを開き、第2の排出弁27BBを閉じ、第3の供給弁24BCを閉じ、第3の排出弁27BCを開く。制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の連結弁25BAを閉じ、第2の連結弁25BBを開く。制御部301が、第3の培養槽21BCに接続されている細胞回収流路40Bに設けられた回収弁28Bを閉じる。
【0117】
制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CAを閉じ、第1の排出弁27CAを閉じ、第2の供給弁24CBを開き、第2の排出弁27CBを閉じ、第3の供給弁24CCを閉じ、第3の排出弁27CCを開く。制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の連結弁25CAを閉じ、第2の連結弁25CBを開く。制御部301が、第3の培養槽21CCに接続されている細胞回収流路40Cに設けられた回収弁28Cを閉じる。
【0118】
制御部301が、合流弁33、34B、34C、34Dを閉じ、培地を収容する第1の流体収容器11Aに対応する合流弁34Aを開く。制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0119】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた培地は、第2の培養槽21ABに到達する。第2の培養槽21AB内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Aを経て、第3の培養槽21AC内に動かされる。第3の培養槽21AC内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0120】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた培地は、第2の培養槽21BBに到達する。第2の培養槽21BB内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Bを経て、第3の培養槽21BC内に動かされる。第3の培養槽21BC内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0121】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Bに動かされた培地は、第2の培養槽21CBに到達する。第2の培養槽21CB内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第3の培養槽21CC内に動かされる。第3の培養槽21CC内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0122】
細胞を含む培地が、第2の培養槽21AB、21BB、21CBから第3の培養槽21AC、21BC、21CCに、それぞれ、同時に到達するように、連結流路23A、23B、23Cの長さを設定してもよい。例えば、第2の培養槽21AB、21BB、21CBから第3の培養槽21AC、21BC、21CCまでのそれぞれの流路長が同じになるよう、連結流路23A、23B、23Cの長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達し、細胞を含む培地が、第2の培養槽21AB、21BB、21CBから第3の培養槽21AC、21BC、21CCに、それぞれ、異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0123】
細胞を含む流体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。制御部301が、第1の培養装置20Aの第2の供給弁24AB、第2の連結弁25AB、及び第3の排出弁27ACを閉じ、第2の培養装置20Bの第2の供給弁24BB、第2の連結弁25BB、及び第3の排出弁27BCを閉じ、第3の培養装置20Cの第2の供給弁24CB、第2の連結弁25CB、及び第3の排出弁27CCを閉じる。所定の期間、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれで、細胞が培養される。培養は接着培養であってもよいし、浮遊培養であってもよい。培養は二次元培養であってもよいし、三次元培養であってもよい。
【0124】
第3の培養槽21AC、21BC、21CCの培地を交換する際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第3の供給弁24ACと第3の排出弁27ACを開き、他の供給弁24AA、24AB及び他の排出弁27AA、27ABを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第3の供給弁24BCと第3の排出弁27BCを開き、他の供給弁24BA、24BB及び他の排出弁27BA、27BBを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第3の供給弁24CCと第3の排出弁27CCを開き、他の供給弁24CA、24CB及び他の排出弁27CA、27CBを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Aを開き、他の合流弁33、34B、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の未使用の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0125】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた未使用の培地は、第3の培養槽21ACに到達する。第2の培養槽21AC内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第3の培養槽21AC内の培地が交換される。
【0126】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた未使用の培地は、第3の培養槽21BCに到達する。第3の培養槽21BC内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第3の培養槽21BC内の培地が交換される。
【0127】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた未使用の培地は、第3の培養槽21CCに到達する。第3の培養槽21CC内の使用された培地は、未使用の培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。これにより、第3の培養槽21CC内の培地が交換される。
【0128】
培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第1の流体収容器11Aから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0129】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CC内の培地の交換が終了すると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。制御部301が、第1の培養装置20Aの第3の供給弁24ACと第3の排出弁27ACを閉じ、第2の培養装置20Bの第3の供給弁24BCと第3の排出弁27BCを閉じ、第3の培養装置20Cの第3の供給弁24CCと第3の排出弁27CCを閉じる。所定の期間、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれで、細胞が培養される。培養は接着培養であってもよいし、浮遊培養であってもよい。培養は二次元培養であってもよいし、三次元培養であってもよい。
【0130】
第3の培養槽21AC、21BC、21CC内の細胞を回収する際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第3の供給弁24ACと第3の排出弁27ACを開き、他の供給弁24AA、24AB及び他の排出弁27AA、27ABを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第3の供給弁24BCと第3の排出弁27BCを開き、他の供給弁24BA、24BB及び他の排出弁27BA、27BBを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第3の供給弁24CCと第3の排出弁27CCを開き、他の供給弁24CA、24CB及び他の排出弁27CA、27CBを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Bを開き、他の合流弁33、34A、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第2の流体収容器11B内の剥離剤を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0131】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた剥離剤は、第3の培養槽21ACに到達する。第3の培養槽21AC内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0132】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた剥離剤は、第3の培養槽21BCに到達する。第3の培養槽21BC内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0133】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた剥離剤は、第3の培養槽21CCに到達する。第3の培養槽21CC内の使用された培地は、剥離剤に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0134】
剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第2の流体収容器11Bから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0135】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CC内に剥離剤が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれから細胞を剥離するための所定の時間、細胞を剥離剤と接触させる。なお、浮遊培養や三次元培養の場合は、細胞を剥離剤と接触させなくともよい。
【0136】
所定の時間が経過した後、制御部301が、合流弁33、34A、34B、34Cを閉じ、合流弁34Dを開く。また、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第4の流体収容器11D内の気体を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0137】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた気体は、第3の培養槽21ACに到達する。第3の培養槽21AC内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0138】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた気体は、第3の培養槽21BCに到達する。第3の培養槽21BC内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0139】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた気体は、第3の培養槽21CCに到達する。第3の培養槽21CC内の使用された剥離剤は、気体に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0140】
気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第4の流体収容器11Dから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0141】
制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AAを閉じ、第1の排出弁27AAを閉じ、第2の供給弁24ABを閉じ、第2の排出弁27ABを閉じ、第3の供給弁24ACを開き、第3の排出弁27ACを閉じる。制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の連結弁25AAを閉じ、第2の連結弁25ABを閉じる。制御部301が、回収弁28Aを開く。
【0142】
制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BAを閉じ、第1の排出弁27BAを閉じ、第2の供給弁24BBを閉じ、第2の排出弁27BBを閉じ、第3の供給弁24BCを開き、第3の排出弁27BCを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の連結弁25BAを閉じ、第2の連結弁25BBを閉じる。制御部301が、回収弁28Bを開く。
【0143】
制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CAを閉じ、第1の排出弁27CAを閉じ、第2の供給弁24CBを閉じ、第2の排出弁27CBを閉じ、第3の供給弁24CCを開き、第3の排出弁27CCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の連結弁25CAを閉じ、第2の連結弁25CBを閉じる。制御部301が、回収弁28Cを開く。
【0144】
制御部301が、合流弁33、34A、34B、34Dを閉じ、凍結保存剤を収容する第3の流体収容器11Cに対応する合流弁34Cを開く。制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第3の流体収容器11C内の凍結保存剤を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0145】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた凍結保存剤は、第3の培養槽21ACに到達する。第3の培養槽21AC内の細胞は、凍結保存剤中に分散する。細胞を含む凍結保存剤は、細胞回収流路40Aを経て、細胞回収容器41A内に動かされる。
【0146】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた凍結保存剤は、第3の培養槽21BCに到達する。第3の培養槽21BC内の細胞は、凍結保存剤中に分散する。細胞を含む凍結保存剤は、細胞回収流路40Bを経て、細胞回収容器41B内に動かされる。
【0147】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Bに動かされた凍結保存剤は、第3の培養槽21CCに到達する。第3の培養槽21CC内の細胞は、凍結保存剤中に分散する。細胞を含む凍結保存剤は、細胞回収流路40Cを経て、細胞回収容器41C内に動かされる。
【0148】
凍結保存剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第3の流体収容器11Cから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、凍結保存剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0149】
細胞を含む流体が、細胞回収容器41A、41B、41Cに入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。制御部301が、回収弁28A、28B、28Cを閉じる。その後、細胞回収容器41A、41B、41Cを細胞回収流路40A、40B、40Cから外し、凍結保存してもよい。
【0150】
なお、細胞回収流路40A、40B、40Cに細胞を保存する際に、凍結保存剤以外の流体を用いてもよく、培地や緩衝液を用いてもよい。
【0151】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る培養システムにおいては、
図3に示すように、複数の培養装置20A、20B、20Cのそれぞれが、連結流路23に設けられた中間槽60をさらに備える。中間層60は、培養槽21の間に設けられる。中間槽60は、細胞を収容するよう構成される。中間槽60は、細胞を含む流体を攪拌するよう構成された攪拌装置を備えていてもよい。中間槽60は、細胞塊を分割可能な細胞塊分割機構を備えていてもよい。第2実施形態に係る培養システムの他の構成要素は、第1実施形態と同様である。
【0152】
第2実施形態において、第1の培養槽21AA、21BA、21CA内の細胞を第2の培養槽21AB、21BB、21CB内に動かす際、細胞が接着培養である場合は、第1実施形態と同様に、細胞を培養槽から剥離する。細胞が接着培養でない場合は、細胞を培養槽から剥離しなくともよい。その後、制御部301が、第1実施形態と同様に弁を制御し、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0153】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた培地は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Aを経て、第1の中間槽60AA内に動かされる。第1の中間槽60AA内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、連結流路23A、第2の培養槽21AB、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0154】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた培地は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Bを経て、第1の中間槽60BA内に動かされる。第1の中間槽60BA内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、連結流路23B、第2の培養槽21BB、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0155】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた培地は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第1の中間槽60CA内に動かされる。第1の中間槽60CA内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、連結流路23C、第2の培養槽21CB、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0156】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の中間槽60AA、60BA、60CA内に細胞を含む培地が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31は、流体を動かすことを停止する。
【0157】
例えば、第1の中間槽60AA、60BA、60CAのそれぞれにおいて、培地における細胞の密度が均一になった後、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0158】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた培地は、第1の中間槽60AAに到達する。第1の中間槽60AA内の細胞を含む培地は、連結流路23Aを経て、第2の培養槽21AB内に動かされる。第2の培養槽21AB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0159】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた培地は、第1の中間槽60BAに到達する。第1の中間槽60BA内の細胞を含む培地は、連結流路23Bを経て、第2の培養槽21BB内に動かされる。第2の培養槽21BB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0160】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた培地は、第1の中間槽60CAに到達する。第1の中間槽60CA内の細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第2の培養槽21CB内に動かされる。第2の培養槽21CB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0161】
第2実施形態において、第2の培養槽21AB、21BB、21CB内の細胞を第3の培養槽21AC、21BC、21CC内に動かす際、制御部301が、第1実施形態と同様に弁を制御し、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0162】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた培地は、第2の培養槽21ABに到達する。第2の培養槽21AB内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Aを経て、第2の中間槽60AB内に動かされる。第2の中間槽60AB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、連結流路23A、第3の培養槽21AC、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0163】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた培地は、第2の培養槽21BBに到達する。第2の培養槽21BB内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Bを経て、第2の中間槽60BB内に動かされる。第2の中間槽60BB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、連結流路23B、第3の培養槽21BC、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0164】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた培地は、第2の培養槽21CBに到達する。第2の培養槽21CB内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第2の中間槽60CB内に動かされる。第2の中間槽60CB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、連結流路23C、第3の培養槽21CC、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0165】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の中間槽60AB、60BB、60CB内に細胞を含む培地が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31は、流体を動かすことを停止する。
【0166】
例えば、第2の中間槽60AB、60BB、60CBのそれぞれにおいて、培地における細胞の密度が均一になった後、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、第1の流体収容器11A内の培地を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0167】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた培地は、第2の中間槽60ABに到達する。第2の中間槽60AB内の細胞を含む培地は、連結流路23Aを経て、第3の培養槽21AC内に動かされる。第3の培養槽21AC内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0168】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた培地は、第2の中間槽60BBに到達する。第2の中間槽60BB内の細胞を含む培地は、連結流路23Bを経て、第3の培養槽21BC内に動かされる。第3の培養槽21BC内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0169】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた培地は、第2の中間槽60CBに到達する。第2の中間槽60CB内の細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第3の培養槽21CC内に動かされる。第3の培養槽21CC内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0170】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る培養システムは、
図4に示すように、第5の流体収容器11Eをさらに備えていてもよい。例えば、第5の流体収容器11Eは、因子を収容する。例えば、第5の流体収容器11Eの容積は可変である。例えば、第5の流体収容器11Eは、合流流路32に接続される。第5の流体収容器11Eは、合流流路32に無菌的に接続されてもよい。合流流路32には、第5の流体収容器11Eに対応する合流弁34Eが設けられている。
【0171】
合流流路32を介して第5の流体収容器11Eから分配流路30に因子を送る際には、第5の流体収容器11Eに対応する合流弁34Eが開かれ、他の合流弁33、34A、34B、34C、34Dは閉じられる。第3実施形態に係る培養システムの他の構成要素は、第1実施形態と同様である。
【0172】
因子は、例えば、第1の状態の細胞から第1の状態とは異なる第2の状態の細胞を誘導するための因子である。因子はDNA、RNA、及びオリゴヌクレオチド等の核酸であってもよいし、タンパク質であってもよいし、化合物であってもよいし、ウイルスであってもよい。DNAはプラスミドDNAであってもよい。RNAはmRNA、siRNA、及びmiRNAであってもよい。RNAは、修飾RNAであってもよいし、非修飾RNAであってもよい。ウイルスはセンダイウイルス及びレンチウイルスであってもよい。
【0173】
本開示において、誘導とは、リプログラミング、初期化、形質転換、分化転換(Transdifferentiation or Lineage reprogramming)、分化誘導及び細胞の運命変更(Cell fate reprogramming)等を指す。多能性幹細胞以外の細胞を多能性幹細胞に誘導する因子を、リプログラミング因子という。リプログラミング因子は、例えば、OCT3/4、SOX2、KLF4、c-MYCを含む。幹細胞を分化細胞に誘導する因子を、分化誘導因子という。
【0174】
第1の状態の細胞の例としては、単核球、幹細胞、線維芽細胞、神経細胞、網膜上皮細胞、肝細胞、β細胞、腎細胞、間葉系幹細胞、血液細胞、メガカリオサイト、T細胞、軟骨細胞、心筋細胞、筋細胞、血管細胞、上皮細胞、多能性幹細胞、ES細胞、及びiPS細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
第2の状態の細胞の例としては、単核球、幹細胞、線維芽細胞、神経細胞、網膜上皮細胞、肝細胞、β細胞、腎細胞、間葉系幹細胞、血液細胞、メガカリオサイト、T細胞、軟骨細胞、心筋細胞、筋細胞、血管細胞、上皮細胞、多能性幹細胞、ES細胞、及びiPS細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
第5の流体収容器11E内の因子は、合流流路32及び分配流路30を介して、流体機械31によって、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される。例えば、複数の培養装置20A、20B、20Cに分配される因子の種類及び量は同じである。
【0177】
次に、第3実施形態に係る培養システムを用いた細胞への因子の導入方法を説明する。当該方法は、第1実施形態に係る細胞の培養方法と適宜組み合わされて実施される。
【0178】
第1の培養槽21AA、21BA、21CA内で細胞が培養されており、第5の流体収容器11Eから第1の培養槽21AA、21BA、21CA内の細胞に因子を送る際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第1の供給弁24AAと第1の排出弁27AAを開き、他の供給弁24AB、24AC及び他の排出弁27AB、27ACを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第1の供給弁24BAと第1の排出弁27BAを開き、他の供給弁24BB、24BC及び他の排出弁27BB、27BCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第1の供給弁24CAと第1の排出弁27CAを開き、他の供給弁24CB、24CC及び他の排出弁27CB、27CCを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Eを開き、他の合流弁33、34A、34B、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第5の流体収容器11E内の因子を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0179】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた因子は、第1の培養槽21AAに到達する。第1の培養槽21AA内の過剰な流体は、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0180】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた因子は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の過剰な流体は、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0181】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた因子は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の過剰な流体は、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0182】
因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CAに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第5の流体収容器11Eから第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AA、24BA、24CAが開くタイミングを異ならせて、因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽24AA、24BA、24CAに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0183】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽21AA、21BA、21CA内に因子が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31は、流体を動かすことを停止する。第1の培養槽21AA、21BA、21CAのそれぞれにおいて、細胞内に因子を導入するための所定の時間、細胞を因子と接触させる。その後、第1実施形態で説明したように、第1の培養槽21AA、21BA、21CA内の培地を交換してもよい。
【0184】
第2の培養槽21AB、21BB、21CB内で細胞が培養されており、第5の流体収容器11Eから第2の培養槽21AB、21BB、21CB内の細胞に因子を送る際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第2の供給弁24ABと第2の排出弁27ABを開き、他の供給弁24AA、24AC及び他の排出弁27AA、27ACを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第2の供給弁24BBと第2の排出弁27BBを開き、他の供給弁24BA、24BC及び他の排出弁27BA、27BCを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第2の供給弁24CBと第2の排出弁27CBを開き、他の供給弁24CA、24CC及び他の排出弁27CA、27CCを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Eを開き、他の合流弁33、34A、34B、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第5の流体収容器11E内の因子を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0185】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた因子は、第2の培養槽21ABに到達する。第2の培養槽21AB内の過剰な流体は、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0186】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた因子は、第2の培養槽21BBに到達する。第2の培養槽21BB内の過剰な流体は、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0187】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた因子は、第2の培養槽21CBに到達する。第2の培養槽21CB内の過剰な流体は、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0188】
因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第5の流体収容器11Eから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽24AB、24BB、24CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0189】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CB内に因子が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれにおいて、細胞内に因子を導入するための所定の時間、細胞を因子と接触させる。その後、第1実施形態で説明したように、第2の培養槽21AB、21BB、21CB内の培地を交換してもよい。
【0190】
第3の培養槽21AC、21BC、21CC内で細胞が培養されており、第5の流体収容器11Eから第3の培養槽21AC、21BC、21CC内の細胞に因子を送る際には、制御部301が、第1の培養装置20Aの第3の供給弁24ACと第3の排出弁27ACを開き、他の供給弁24AA、24AB及び他の排出弁27AA、27ABを閉じる。制御部301が、第2の培養装置20Bの第3の供給弁24BCと第3の排出弁27BCを開き、他の供給弁24BA、24BB及び他の排出弁27BA、27BBを閉じる。制御部301が、第3の培養装置20Cの第3の供給弁24CCと第3の排出弁27CCを開き、他の供給弁24CA、24CB及び他の排出弁27CA、27CBを閉じる。また、制御部301が、合流弁34Eを開き、他の合流弁33、34A、34B、34C、34Dを閉じ、流体機械31を制御し、流体機械31が、第5の流体収容器11E内の因子を、合流流路32及び分配流路30を介して、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cに向けて動かす。
【0191】
分配流路30から第1の培養装置20Aの供給流路22Aに動かされた因子は、第3の培養槽21ACに到達する。第3の培養槽21AC内の過剰な流体は、排出流路26Aを経て、排出容器50に動かされる。
【0192】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた因子は、第3の培養槽21BCに到達する。第3の培養槽21BC内の過剰な流体は、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【0193】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた因子は、第3の培養槽21CCに到達する。第3の培養槽21CC内の過剰な流体は、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【0194】
因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第5の流体収容器11Eから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第1の培養槽24AC、24BC、24CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【0195】
第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CC内に因子が入ると、制御部301が、流体機械31を制御し、流体機械31が、流体を動かすことを停止する。第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれにおいて、細胞内に因子を導入するための所定の時間、細胞を因子と接触させる。その後、第1実施形態で説明したように、第3の培養槽21AC、21BC、21CC内の培地を交換してもよい。
【0196】
細胞に因子を導入するのは、第1から第3の培養槽21の任意の1又は複数で行ってよい。
【0197】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る培養システムは、
図5に示すように、複数の細胞収容器10A、10B、10Cを備えていてもよい。複数の細胞収容器の数は限定されない。複数の細胞収容器10A、10B、10Cのそれぞれに収容される細胞は、特に限定されない。複数の細胞収容器10A、10B、10Cに収容される細胞は、互いに異なっていてもよい。合流流路32には、複数の細胞収容器10A、10B、10Cにそれぞれ対応する複数の合流弁33A、33B、33Cが設けられている。
【0198】
合流流路32を介して細胞収容器10Aから分配流路30に細胞を送る際には、細胞収容器10Aに対応する合流弁33Aが開かれ、他の合流弁33B、33C、34A、34B、34C、34Dは閉じられる。細胞収容器10A内の細胞を、第1から第3の培養装置20Aから20Cのそれぞれに分配してもよいし、第1から第3の培養装置20Aから20Cの少なくともいずれかに送ってもよい。
【0199】
合流流路32を介して細胞収容器10Bから分配流路30に細胞を送る際には、細胞収容器10Bに対応する合流弁33Bが開かれ、他の合流弁33A、33C、34A、34B、34C、34Dは閉じられる。細胞収容器10B内の細胞を、第1から第3の培養装置20Aから20Cのそれぞれに分配してもよいし、第1から第3の培養装置20Aから20Cの少なくともいずれかに送ってもよい。
【0200】
合流流路32を介して細胞収容器10Cから分配流路30に細胞を送る際には、細胞収容器10Cに対応する合流弁33Cが開かれ、他の合流弁33A、33B、34A、34B、34C、34Dは閉じられる。細胞収容器10C内の細胞を、第1から第3の培養装置20Aから20Cのそれぞれに分配してもよいし、第1から第3の培養装置20Aから20Cの少なくともいずれかに送ってもよい。
【0201】
第4実施形態に係る培養システムのその他の構成要素は、第1から第3実施形態に係る培養システムの少なくともいずれかと同様である。
【0202】
(実施形態に係る培養システムの第1の使用例)
細胞を細胞収容器10に入れる。細胞の例としては、単核球、幹細胞、線維芽細胞、神経細胞、網膜上皮細胞、肝細胞、β細胞、腎細胞、間葉系幹細胞、血液細胞、メガカリオサイト、T細胞、軟骨細胞、心筋細胞、筋細胞、血管細胞、上皮細胞、多能性幹細胞、ES細胞、及びiPS細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられる細胞の濃度を設定する。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で細胞をシングルセルから増殖させる。さらに、第2及び第3の培養槽21で細胞を増殖させる。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、細胞のクローンを樹立する。
【0204】
(実施形態に係る培養システムの第2の使用例)
第1の状態の細胞から第2の状態の細胞を誘導するための因子を第1の状態の細胞に導入し、細胞収容器10に入れる。複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられる因子を導入された細胞の濃度を設定する。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で第1の状態の細胞から第2の状態の細胞を誘導し、第2及び第3の培養槽21で第2の状態の細胞を拡大培養する。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、誘導された細胞のクローンを樹立する。
【0205】
(実施形態に係る培養システムの第3の使用例)
細胞を遺伝子編集し、細胞収容器10に入れる。例えば、細胞にタンパク質を導入することにより、細胞を遺伝子編集してもよい。タンパク質はCas9タンパク質等のヌクレアーゼタンパク質であってもよい。複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられる遺伝子編集された細胞の濃度を設定する。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で細胞をシングルセルから増殖させる。さらに、第2及び第3の培養槽21で細胞を増殖させる。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、遺伝子編集された細胞のクローンを樹立する。
【0206】
(実施形態に係る培養システムの第4の使用例)
幹細胞を細胞収容器10に入れる。幹細胞から体細胞を誘導するための因子を第5の流体収容器11Eに入れる。複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられる幹細胞の濃度を設定する。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で幹細胞を浮遊培養して幹細胞にスフェロイドを形成させ、第2の培養槽21でスフェロイドに因子を導入し、第3の培養槽21で因子を導入した細胞を接着培養し、体細胞を誘導する。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、シングルセル由来の誘導された体細胞を樹立する。
【0207】
(実施形態に係る培養システムの第5の使用例)
幹細胞を細胞収容器10に入れる。幹細胞から体細胞を誘導するための因子を第5の流体収容器11Eに入れる。複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられる幹細胞の濃度を設定する。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で幹細胞を接着培養又は浮遊培養し、幹細胞に因子を導入する。第2及び第3の培養槽21で、誘導された細胞を接着培養又は浮遊培養し、誘導された細胞を増殖させる。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、シングルセル由来の誘導された体細胞を樹立する。
【0208】
(実施形態に係る培養システムの第6の使用例)
体細胞を細胞収容器10に入れる。体細胞から幹細胞を誘導するための因子を第5の流体収容器11Eに入れる。複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられる体細胞の濃度を設定する。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で体細胞を接着培養又は浮遊培養し、体細胞に因子を導入する。第2及び第3の培養槽21で、誘導された細胞を接着培養又は浮遊培養し、誘導された細胞を増殖させる。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、シングルセル由来の誘導された幹細胞を樹立する。
【0209】
(実施形態に係る培養システムの第7の使用例)
分化誘導された細胞を細胞収容器10に入れる。分化誘導された細胞から別の分化細胞を誘導するための因子を第5の流体収容器11Eに入れる。複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられる分化誘導された細胞の濃度を設定する。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で体細胞を接着培養又は浮遊培養し、分化誘導された細胞に因子を導入する。第2及び第3の培養槽21で、誘導された細胞を接着培養又は浮遊培養し、誘導された細胞を増殖させる。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、細胞系譜特異的(lineage specific)な分化誘導を行う。
【0210】
(実施形態に係る培養システムの第8の使用例)
互いに異なるキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子改変T細胞(CAR-T細胞)を細胞収容器10に入れる。複数の培養装置20のそれぞれに、シングルセルが分配されるように、細胞収容器10に入れられるCAR-T細胞の濃度を設定する。例えば、第1の培養装置20Aに第1の種類のCAR-T細胞のシングルセルが分配され、第2の培養装置20Bに第2の種類のCAR-T細胞のシングルセルが分配され、第3の培養装置20Aに第3の種類のCAR-T細胞のシングルセルが分配される。例えば、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、第1の培養槽21で細胞をシングルセルから増殖させる。さらに、第2及び第3の培養槽21で細胞を増殖させる。これにより、複数の培養装置20のそれぞれにおいて、CAR-T細胞のクローンを樹立する。
【0211】
上記のように、本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施形態及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、供給弁24AB及び排出弁27ABが閉じていれば、連結弁25AAが開いていても、気圧により、培養槽21AA内の流体が連結流路23Aに進入できない場合があり得る。したがって、弁を閉じなくとも、圧力等により弁を流体が通過できない場合は、弁を閉じなくともよい。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0212】
10・・・細胞収容器、11A、11B、11C、11D、11E・・・流体収容器、20、20A、20B、20C・・・培養装置、21、21AA、21AB、21AC、21BA、21BB、21BC、21CA、21CB、21CC・・・培養槽、22、22A、22B、22C・・・供給流路、23、23A、23B、23C・・・連結流路、24、24AA、24AB、24AC、24BA、24BB、24BC、24CA、24CB、24CC・・・供給弁、25、25AA、25AB、25BA、25BB、25CA、25CB・・・連結弁、26、26A、26B、26C・・・排出流路、27、27AA、27AB、27AC、27BA、27BB、27BC、27CA、27CB、27CC・・・排出弁、28、28A、28B、28C・・・回収弁、30・・・分配流路、31・・・流体機械、32・・・合流流路、33、34A、34B、34C、34D、34E・・・合流弁、40、40A、40B、40C・・・細胞回収流路、41、41A、41B、41C・・・細胞回収容器、50・・・排出容器、60、60AA、60AB、60BA、60BB、60CA、60CB・・・中間槽、301・・・制御部
【手続補正書】
【提出日】2023-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
分配流路30から第2の培養装置20Bの供給流路22Bに動かされた培地は、第1の培養槽21BAに到達する。第1の培養槽21BA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Bを経て、第2の培養槽21BB内に動かされる。第2の培養槽21BB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Bを経て、排出容器50に動かされる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Bに動かされた培地は、第1の培養槽21CAに到達する。第1の培養槽21CA内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第2の培養槽21CB内に動かされる。第2の培養槽21CB内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第1の流体収容器11Aから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第2の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第2の流体収容器11Bから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第2の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0114
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0114】
気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第4の流体収容器11Dから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第2の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
分配流路30から第3の培養装置20Cの供給流路22Cに動かされた培地は、第2の培養槽21CBに到達する。第2の培養槽21CB内の細胞は、培地中に分散する。細胞を含む培地は、連結流路23Cを経て、第3の培養槽21CC内に動かされる。第3の培養槽21CC内の気体等の流体は、細胞を含む培地に押され、排出流路26Cを経て、排出容器50に動かされる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
細胞を含む培地が、第2の培養槽21AB、21BB、21CBから第3の培養槽21AC、21BC、21CCに、それぞれ、同時に到達するように、連結流路23A、23B、23Cの長さを設定してもよい。例えば、第2の培養槽21AB、21BB、21CBから第3の培養槽21AC、21BC、21CCまでのそれぞれの流路長が同じになるよう、連結流路23A、23B、23Cの長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに異なるタイミングで到達し、細胞を含む培地が、第2の培養槽21AB、21BB、21CBから第3の培養槽21AC、21BC、21CCに、それぞれ、異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第1の流体収容器11Aから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第3の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、培地が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第2の流体収容器11Bから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第3の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、剥離剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第4の流体収容器11Dから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第3の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、気体が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
凍結保存剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第3の流体収容器11Cから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第1の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、凍結保存剤が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0150
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0150】
なお、細胞回収容器41A、41B、41Cに細胞を保存する際に、凍結保存剤以外の流体を用いてもよく、培地や緩衝液を用いてもよい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0188
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0188】
因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽21AB、21BB、21CBに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第5の流体収容器11Eから第2の培養槽21AB、21BB、21CBのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第2の供給弁24AB、24BB、24CBが開くタイミングを異ならせて、因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第2の培養槽24AB、24BB、24CBに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0194
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0194】
因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽21AC、21BC、21CCに同時に到達するように、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。例えば、第5の流体収容器11Eから第3の培養槽21AC、21BC、21CCのそれぞれまでの流路長が同じになるよう、分配流路30及び/又は供給流路22の長さを設定してもよい。なお、第3の供給弁24AC、24BC、24CCが開くタイミングを異ならせて、因子が、第1から第3の培養装置20A、20B、20Cの第3の培養槽24AC、24BC、24CCに異なるタイミングで到達するようにしてもよい。