(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107370
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】コードエンド
(51)【国際特許分類】
A44B 99/00 20100101AFI20230727BHJP
【FI】
A44B99/00 611N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008538
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】南部 円香
(57)【要約】
【課題】ソケットへのプラグの差し込みを円滑に行うことができるコードエンドを提供する。
【解決手段】コードエンド10は、第1開口26および第2開口27が形成され、第1開口26に紐端部41A,41Bが差し込まれる筒状のソケット20と、ソケット20の第2開口27に差し込まれるプラグ30と、を備え、プラグ30は、基部31と、基部31からプラグ30の差込方向に沿って延伸し、紐端部41A,41Bの間に配置されるガイド部32と、を有し、ガイド部32は、基部31に接続された基端側部分321と、基端側部分321よりも先端側の部分であって、紐端部41A,41Bが並列する幅方向において基端側部分321よりも大きな幅を有する先端側部分322とを含み、紐端部41A,41Bに対して幅方向に面するガイド部32の各側面320A,320Bには、基端側部分321および先端側部分322による段差部323が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口(26)および第2開口(27)が形成され、前記第1開口(26)に2つの紐端部(41A,41B)が差し込まれる筒状のソケット(20)と、
前記ソケット(20)の前記第2開口(27)に差し込まれるプラグ(30)と、を備え、
前記プラグ(30)は、基部(31)と、前記基部(31)から前記プラグ(30)の差込方向に沿って延伸し、前記2つの紐端部(41A,41B)の間に配置されるガイド部(32)と、を有し、
前記ガイド部(32)は、前記基部(31)に接続された基端側部分(321)と、前記基端側部分(321)よりも先端側の部位であって、前記2つの紐端部(41A,41B)が並列する幅方向において前記基端側部分(321)よりも大きな寸法を有する先端側部分(322)とを含み、
前記紐端部(41A,41B)に対して前記幅方向に面する前記ガイド部(32)の各側面(320A,320B)には、前記基端側部分(321)および前記先端側部分(322)による段差部(323)が形成されている、コードエンド。
【請求項2】
前記プラグ(30)は、前記ガイド部(32)に対する前記幅方向の両側において、前記基部(31)から前記差込方向に沿って延伸した一対の脚部(33A,33B)をさらに有し、
前記脚部(33A,33B)は、前記紐端部(41A,41B)を前記ガイド部(32)との間に挟持するように弾性変形可能である、請求項1に記載のコードエンド。
【請求項3】
前記先端側部分(322)の前記幅方向の寸法は、前記段差部(323)から前記差込方向に向かって漸減している、請求項2に記載のコードエンド。
【請求項4】
前記プラグ(30)は、前記先端側部分(322)の前記幅方向の両側に設けられた一対のプレート部(34A,34B)をさらに有し、
前記プレート部(34A,34B)は、前記差込方向および前記幅方向のそれぞれに交差する厚み方向において前記紐端部(41A,41B)に面する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコードエンド。
【請求項5】
前記基部(31)は、
前記ソケット(20)の前記第2開口(27)に嵌合する嵌合部(311)と、
前記嵌合部(311)から前記差込方向に突出し、前記2つの紐端部(41A,41B)に対して前記差込方向に面する一対の突出部(312A,312B)と、を備え、
前記差込方向および前記幅方向のそれぞれに交差する厚み方向において前記突出部(312A,312B)に対する少なくとも一方側には、前記嵌合部(311)および前記突出部(312A,312B)による基部側段差部(313A,313B)が形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコードエンド。
【請求項6】
前記先端側部分(322)のうち前記基端側部分(321)に隣接する部位の前記幅方向の寸法(W2)に対する前記基端側部分(321)の前記幅方向の寸法(W1)の比は、1/4~1/2の範囲である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコードエンド。
【請求項7】
前記ガイド部(32)の前記差込方向の寸法(D2)に対する前記基端側部分(321)の前記差込方向の寸法(D1)の比は、1/5~1/2の範囲である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコードエンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐端部に装着されるコードエンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートカットなどの端部処理が施された紐端部に対して装着されるコードエンドが知られている。例えば、特許文献1には、2つの紐端部が配置されるプラグと、当該プラグが差し込まれるソケットとを備えるコードエンド(紐止め具)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒートカットなどの端部処理が施された紐端部は、断面積が大きくなるように変形することがある。しかし、前述した特許文献1のコードエンドでは、このような紐端部の変形が考慮されていないため、変形した紐端部がソケットに干渉し、プラグを差し込み難くする可能性がある。
【0005】
本発明は、ソケットへのプラグの差し込みを円滑に行うことができるコードエンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るコードエンドは、第1開口および第2開口が形成され、前記第1開口に2つの紐端部が差し込まれる筒状のソケットと、前記ソケットの前記第2開口に差し込まれるプラグと、を備え、前記プラグは、基部と、前記基部から前記プラグの差込方向に沿って延伸し、前記2つの紐端部の間に配置されるガイド部と、を有し、前記ガイド部は、前記基部に接続された基端側部分と、前記基端側部分よりも先端側の部位であって、前記2つの紐端部が並列する幅方向において前記基端側部分よりも大きな寸法を有する先端側部分とを含み、前記紐端部に対して前記幅方向に面する前記ガイド部の各側面には、前記基端側部分および前記先端側部分による段差部が形成されている。
このような構成によれば、プラグのガイド部の先端側部分がプラグの他要素またはソケットとの間に紐端部の中間部位を挟持しつつ、プラグのガイド部の基端側部分がプラグの他要素またはソケットとの間に紐端部の末端部位を収容するための空間を確保できる。端部処理による変形が生じる可能性のある紐端部の末端部位を収容する空間が確保されることで、紐端部がソケットに干渉することを抑制でき、ソケットへのプラグの差し込みを円滑に行うことができる。
【0007】
本発明の一形態において、前記プラグは、前記ガイド部に対する前記幅方向の両側において、前記基部から前記差込方向に沿って延伸した一対の脚部をさらに有し、前記脚部は、前記紐端部を前記ガイド部との間に挟持するように弾性変形可能であることが好ましい。
このような構成では、プラグ単体で紐端部を挟持することができ、ソケットへのプラグの差込作業が容易となる。
【0008】
本発明の一形態において、前記先端側部分の前記幅方向の寸法は、前記段差部から前記差込方向に向かって漸減していることが好ましい。
このような構成では、先端側部分が紐端部に対して多点で接触し易いため、紐端部の保持力を向上させることができる。
【0009】
本発明の一形態において、前記プラグは、前記先端側部分の前記幅方向の両側に設けられた一対のプレート部をさらに有し、前記プレート部は、前記差込方向および前記幅方向のそれぞれに交差する厚み方向において前記紐端部に面することが好ましい。
このような構成では、プレート部がプラグにセットされた紐端部を支持することができる。
【0010】
本発明の一形態において、前記基部は、前記ソケットの前記第2開口に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部から前記差込方向に突出し、前記2つの紐端部に対して前記差込方向に面する一対の突出部と、を備え、前記差込方向および前記幅方向のそれぞれに交差する厚み方向において前記突出部に対する少なくとも一方側には、前記嵌合部および前記突出部による基部側段差部が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、プラグの基部側段差部とソケットとの間に隙間空間が形成される。紐端部にほつれが存在する場合、ほつれが当該隙間空間に収容されることで、プラグとソケットとの間にかみ込まれることが抑制され、プラグをソケットに確実に差し込むことができる。
【0011】
本発明の一形態において、前記基端側部分の前記幅方向の寸法は、前記先端側部分のうち前記基端側部分に隣接する部位の前記幅方向の寸法に対して、1/4~1/2の範囲であることが好ましい。
また、本発明の一形態において、前記基端側部分の前記差込方向の寸法は、前記ガイド部の前記差込方向の寸法に対して、1/5~1/2の範囲であることが好ましい。
このような構成では、紐端部の保持と、紐端部の末端部位の収容空間の形成とを好適に両立することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ソケットへのプラグの差し込みを円滑に行うことができるコードエンドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコードエンドを示す分解斜視図。
【
図2】前記実施形態のコードエンドについてソケットを一部切断して示す平面図。
【
図5】前記実施形態のコードエンドについて、紐端部に対する装着前の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のコードエンド10は、筒状のソケット20と、ソケット20に差し込まれるプラグ30とを備え、紐40の2つの紐端部41A,41Bに装着されるものである。以下、ソケット20に対するプラグ30の差込方向をY方向とし、紐端部41A,41Bは、Y方向に直交するX方向に並列配置されるものとする。また、X方向およびY方向にそれぞれ直交する方向をZ方向(コードエンド10の厚み方向)とする。
【0015】
なお、本実施形態において、紐40とは、結束等が可能ないわゆる紐状体を総称するものであり、一般的な紐、ワイヤ、ケーブル、テープ、またはベルトなどが挙げられる。紐40の断面形状や材質、使用形態は、特に限定されない。例えば、紐40をジッパーのスライダの孔に挿通して2つに屈曲し、紐端部41A,41Bにコードエンド10を装着することで、スライダを操作する際のつまみとして利用できる。
【0016】
ソケット20の構成について、
図1~
図3を参照して説明する。
ソケット20は、例えば合成樹脂の射出成形品であり、Z方向に互いに対向する上壁部21および下壁部22と、上壁部21と下壁部22との間をX方向の両端部で連結する側壁部23,24とを備えている。また、ソケット20には、上壁部21、下壁部22および側壁部23,24により囲われる収容空間25と、収容空間25のY方向の一方側に連通する第1開口26と、収容空間25のY方向の他方側に連通する第2開口27とが形成されている。なお、
図1,
図2では、上壁部21の図示を省略している。
【0017】
本実施形態において、上壁部21および下壁部22間のZ方向の距離、すなわち収容空間25のZ方向の寸法は、Y方向に沿って略一定である。一方、側壁部23,24の間のX方向の距離、すなわち収容空間25のX方向の寸法は、Y方向に進むほど漸減している。また、上壁部21および下壁部22のそれぞれの内面には、後述するプラグ30のガイド溝325に係合するレール部211,221がY方向に沿って設けられている。また、上壁部21および下壁部22のそれぞれには、後述するプラグ30の凸部313に係合する孔部212,222が設けられている。
【0018】
プラグ30の構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
プラグ30は、例えば合成樹脂の射出成形品であり、
図4に示すように、基部31と、基部31からY方向に沿って延伸したガイド部32と、ガイド部32に対するX方向の両側において基部31からY方向に沿って延伸した一対の脚部33A,33Bと、ガイド部32のX方向の両側に設けられた一対のプレート部34A,34Bと、を備えている。
【0019】
基部31は、嵌合部311と、嵌合部311に設けられた一対の突出部312A,312Bとを備えている。
嵌合部311は、ソケット20の第2開口27に嵌合することで、第2開口27を塞ぐ部位である。また、嵌合部311のZ方向両側の各面には、ソケット20の各孔部212,222に対して係合する凸部313が設けられている。
突出部312Aは、ガイド部32と脚部33Aとの間において嵌合部311からY方向に突出しており、突出部312Bは、ガイド部32と脚部33Bとの間において嵌合部311からY方向に突出している。
【0020】
本実施形態では、
図3に示すように、突出部312Aに対するZ方向の両側において、嵌合部311および突出部312Aによる基部側段差部313Aが形成されている。これにより、突出部312Aとソケット20との間には、Z方向の隙間が形成される。
また、突出部312Bは、突出部312Aと同様の構成を有しており、突出部312Bに対するZ方向の両側には、嵌合部311および突出部312Bによる基部側段差部313B(
図4参照)が形成されている。これにより、突出部312Bとソケット20との間には、Z方向の隙間が形成される。
【0021】
ガイド部32は、
図4に示すように、基部31からY方向に沿って延伸し、2つの紐端部41A,41Bの間に配置される部位であり、X方向外側に向いた一対の側面320A,320Bを有している。また、ガイド部32は、基部31に接続された基端側部分321と、基端側部分321よりも先端側の部位であって、基端側部分321よりも大きなX方向寸法を有する先端側部分322とを含んで構成されている。このガイド部32の側面320A,320Bには、基端側部分321および先端側部分322による段差部323が形成されている。
また、ガイド部32の側面320A,320Bのうち、先端側部分322に対応する部分には、複数の溝部324が形成されている。この溝部324は、先端側部分322をZ方向に貫通している。
また、ガイド部32の先端側部分322には、上述のレール部211,221に係合するガイド溝325がY方向に沿って形成されている。
【0022】
先端側部分322のX方向の寸法は、段差部323からガイド部32の先端側(Y方向)に向かって漸減している。ここで、基端側部分321のX方向の寸法W1は、先端側部分322のうち基端側部分321に隣接する部位のX方向の寸法W2に対して、1/4~1/2の範囲であることが好ましい。また、基端側部分321のY方向の寸法D1は、ガイド部32のY方向の寸法D2に対して、1/5~1/2の範囲であることが好ましい。
【0023】
脚部33A,33Bは、ガイド部32に対するX方向の両側において基部31からY方向に沿って延伸しており、X方向内側に弾性変形可能である。
例えば、
図4に示すように、プラグ30がソケット20へ差し込まれる前の状態では、脚部33A,33Bは、先端側(Y方向)に向かうほどX方向外側に向かうように、Y方向に対して若干傾斜している。一方、
図2に示すように、プラグ30がソケット20へ差し込まれた状態では、脚部33A,33Bは、X方向内側に弾性変形しており、Y方向に向かうほどX方向内側に向かうように、Y方向に対して若干傾斜している。このとき、脚部33A,33Bは、ガイド部32の側面320A,320Bのうちの先端側部分322の部分に対して平行な方向に沿って配置される。
【0024】
また、脚部33A,33Bのうち先端側部分322に対向する部位には、X方向内側に向かって突出する複数の爪部331が設けられている。プラグ30がソケット20へ差し込まれた状態では、各爪部331の先端から先端側部分322までのX方向の距離が複数の爪部331の間で略等しくなる。
【0025】
一対のプレート部34A,34Bは、ガイド部32の先端側部分322に対するX方向の両側において、先端側部分322のZ方向の一方側の端部に接続されており、XY平面に沿って延びた板形状をそれぞれ有する。
なお、本実施形態では、プレート部34A,34Bは、先端側部分322のY方向の全範囲ではなく、段差部323に近い側の一部範囲に接続されている。
【0026】
以上説明したプラグ30では、紐端部41Aが配置される紐配置空間35Aがガイド部32と脚部33Aとの間に形成され、紐端部41Bが配置される紐配置空間35Bがガイド部32と脚部33Bとの間に形成される。
ここで、
図2に例示するように、プラグ30がソケット20へ差し込まれた後、紐配置空間35A,35Bでは、基端側部分321と脚部33B(または脚部33A)との間のX方向の寸法W4が、先端側部分322と脚部33B(または脚部33A)との間のX方向の寸法W3よりも大きい。また、基端側部分321と脚部33A,33Bとの間の空間は、後述するように、紐端部41A,41Bの各末端部位411を収容するための末端収容空間350A,350Bとして機能する。
なお、紐端部41A,41Bについて、紐端部41A,41Bの端面に近い部位を末端部位411とし、末端部位411よりも当該端面から離れた部位を中間部位412とする。
【0027】
次に、本実施形態に係るコードエンド10の使用例について説明する。
まず、作業者は、
図5に示すように、紐40の紐端部41A,41Bを、第1開口26から第2開口27に向かってソケット20に挿通させた後、プラグ30の紐配置空間35A,35Bにそれぞれ配置する。
このとき、作業者は、紐端部41A,41BをZ方向の一方側からプレート部34A,34Bに載置すればよい。プレート部34A,34Bは、紐端部41A,41Bの中間部位412に対してZ方向に面し、紐端部41A,41Bを支持することができる。また、紐端部41A,41Bの末端部位411は、プラグ30の末端収容空間350A,350Bに収容される。
【0028】
次に、作業者は、プラグ30をソケット20の第2開口27に対してZ方向に差し込む。このとき、作業者は、プラグ30の脚部33A,33BをX方向両側から掴み、脚部33A,33BをX方向内側に弾性変形させることで、脚部33A,33Bとガイド部32との間に紐端部41A,41Bを挟持させる。脚部33A,33Bにおける各爪部331は、紐端部41A,41Bに食い込み、紐端部41A,41Bを保持する。また、ソケット20のレール部211がガイド溝325に挿入され、プラグ30がガイド部32によって案内される。
【0029】
その後、プラグ30は、
図2に示すように、ソケット20に差し込まれた状態になる。このとき、嵌合部311の各凸部313が、ソケット20の孔部212,222に対して係合することで、プラグ30の抜け止めを行う。また、脚部33A,33Bは、ソケット20の側壁部23,24によりX方向内側への押圧を受けることで、弾性変形した状態を維持し、ガイド部32との間に紐端部41A,41Bを挟持した状態を維持する。これにより、コードエンド10が紐端部41A,41Bに装着される。
【0030】
(本実施形態の効果)
本実施形態のコードエンド10は、上述したように、第1開口26および第2開口27が形成され、第1開口26に紐端部41A,41Bが差し込まれる筒状のソケット20と、ソケット20の第2開口27に差し込まれるプラグ30と、を備え、プラグ30は、基部31と、基部31からプラグ30の差込方向(Y方向)に沿って延伸し、ソケット20内で紐端部41A,41Bの間に配置されるガイド部32と、を有し、ガイド部32は、基部31に接続された基端側部分321と、基端側部分321よりも先端側の部位であって、紐端部41A,41Bが並列する幅方向(X方向)において基端側部分321よりも大きな幅を有する先端側部分322とを含み、紐端部41A,41Bに対してX方向に面するガイド部32の各側面320A,320Bには、基端側部分321および先端側部分322による段差部323が形成されている。
本実施形態では、プラグ30のガイド部32の先端側部分322がプラグ30の他要素(ここでは脚部33A,33B)との間に紐端部41A,41Bの中間部位412を挟持し、ガイド部32の基端側部分321が脚部33A,33Bとの間に末端収容空間350A,350Bを確保する。末端収容空間350A,350Bが端部処理による変形が生じる可能性のある末端部位411を収容できるため、紐端部41A,41Bがソケット20に干渉することを抑制でき、ソケット20へのプラグ30の差し込みを円滑に行うことができる。
【0031】
本実施形態において、プラグ30は、ガイド部32に対するX方向の両側において、基部31からY方向に沿って延伸した一対の脚部33A,33Bをさらに有し、脚部33A,33Bは、紐端部41A,41Bをガイド部32との間に挟持するように弾性変形可能である。このような構成では、プラグ30単体で紐端部41A,41Bを挟持することができ、ソケット20へのプラグ30の差込作業が容易となる。
【0032】
また、本実施形態において、ガイド部32の先端側部分322の幅寸法は、段差部323から差込方向に向かって漸減している。このような構成では、先端側部分322が紐端部41A,41Bに対して多点で接触し易いため、紐端部41A,41Bの保持力を向上させることができる。
【0033】
本実施形態において、プラグ30は、ガイド部32の先端側部分322のX方向両側に設けられた一対のプレート部34A,34Bをさらに有し、プレート部34A,34Bは、Z方向において紐端部41A,41Bに面する。このような構成では、プレート部34A,34Bがプラグ30にセットされた紐端部41A,41Bを支持することができる。これにより、ソケット20へのプラグ30の差込前において、紐端部41A,41Bがプラグ30から脱落することを抑制できる。
また、本実施形態では、プラグ30に対して紐端部41A,41Bをセットする際、紐端部41A,41Bをプレート部34A,34Bに載置すればよいため、紐端部41A,41Bのセットが容易となる。
【0034】
本実施形態において、基部31は、ソケット20の第2開口27に嵌合する嵌合部311と、嵌合部311からY方向に突出し、紐端部41A,41Bに対してY方向に面する一対の突出部312A,312Bと、を備え、突出部312A,312Bに対するZ方向の少なくとも一方側には、嵌合部311および突出部312A,312Bによる基部側段差部313A,313Bが形成されている。このような構成によれば、プラグ30の基部側段差部313A,313Bとソケット20との間に、紐端部41A,41Bのほつれを収容するための隙間空間が形成される。紐端部41A,41Bにほつれが存在する場合、ほつれが当該隙間空間に収容されることで、ソケット20とプラグ30との間にかみ込まれることが抑制され、プラグ30をソケット20に確実に差し込むことができる。
【0035】
本実施形態において、基端側部分321のX方向の寸法W1は、先端側部分322のうち基端側部分321に隣接する部位のX方向の寸法W2に対して、1/4~1/2の範囲であることが好ましい。また、本実施形態において、基端側部分321のY方向の寸法D1は、ガイド部32のY方向の寸法D2に対して、1/5~1/2の範囲であることが好ましい。
このような構成では、紐端部41A,41Bの保持と、プラグ30の末端収容空間350A,350Bの形成とを好適に両立することができる。
【0036】
(変形例)
上記実施形態では、突出部312A,312Bに対するZ方向の両側において、基部側段差部313A,313Bが形成されているが、突出部312A,312Bに対するZ方向のいずれか一方側において、基部側段差部313A,313Bが形成されてもよい。
また、基部31は、突出部312A,312Bを有さず、基部側段差部313A,313Bが形成されなくてもよい。
【0037】
上記実施形態では、プラグ30が一対のプレート部34A,34Bを有するが、本発明はこれに限られず、プラグ30が一対のプレート部34A,34Bを有さずともよい。
【0038】
上記実施形態では、ガイド部32の先端側部分322のX方向の寸法は、段差部323からY方向に向かって漸減しているが、本発明はこれに限られず、先端側部分322の形状は任意に変更可能である。
【0039】
上記実施形態では、プラグ30が一対の脚部33A,33Bを有するが、本発明はこれに限られず、プラグ30が一対の脚部33A,33Bを有さずともよい。
例えば、プラグ30のガイド部32は、脚部33A,33Bとの間ではなく、ソケット20の側壁部23,24との間に紐端部41A,41Bを挟持してもよい。この場合、ガイド部32の基端側部分321とソケット20の側壁部23,24との間には、紐端部41A,41Bが配置される紐配置空間が形成される。当該紐配置空間は、上記実施形態と同様、段差部323によりX方向に広く確保された末端収容空間を含むものとする。
【0040】
上記実施形態では、1つの紐4の両端部を紐端部41A,41Bとして説明しているが、紐端部41A,41Bは、互いに異なる紐の端部であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…コードエンド、20…ソケット、21…上壁部、211…レール部、212…孔部、22…下壁部、221…レール部、222…孔部、23,24…側壁部、25…収容空間、26…第1開口、27…第2開口、30…プラグ、31…基部、311…嵌合部、312A,312B…突出部、313…凸部、313A,313B…基部側段差部、32…ガイド部、320A,320B…側面、321…基端側部分、322…先端側部分、323…段差部、324…溝部、325…ガイド溝、331…爪部、33A,33B…脚部、34A,34B…プレート部、35A,35B…紐配置空間、350A,350B…末端収容空間、40…紐、411…末端部位、412…中間部位、41A,41B…紐端部。