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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107371
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】バックル
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/12 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
A44B11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008539
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 謙一朗
(72)【発明者】
【氏名】高桜 亮一郎
【テーマコード(参考)】
3B090
【Fターム(参考)】
3B090AC05
3B090AD01
(57)【要約】
【課題】部品数を抑えつつ、帯体に対する留め付け位置を調整および維持できるバックルを提供する。
【解決手段】バックル1は、一対の側壁部2A,2Bと、一対の側壁部2A,2Bを連結する第1バー31および第2バー32と、一対の側壁部2A,2Bの間に配置され、一対の側壁部2A,2Bの対向方向に交差する方向に延びるタブ部4と、タブ部4と一対の側壁部2A,2Bとを連結する連結部5A,5Bと、を備え、タブ部4は、第1バー31と第2バー32との間に配置され、第1バー31との間に帯体B1を挟持可能である先端部411を有し、タブ部4は、連結部5A,5Bの一部である可撓部53を弾性変形させることで、先端部411が第1バー31から離間するように姿勢変化可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側壁部(2A,2B)と、
前記一対の側壁部(2A,2B)を連結する第1バー(31)および第2バー(32)と、
前記一対の側壁部(2A,2B)の間において前記一対の側壁部(2A,2B)の対向方向に交差する方向に沿って延びるタブ部(4)と、
前記タブ部(4)と前記一対の側壁部(2A,2B)の少なくとも一方とを連結する連結部(5)と、を備え、
前記タブ部(4)は、前記第1バー(31)と前記第2バー(32)との間に配置され、前記第1バー(31)との間に帯体(B1)を挟持可能である先端部(411)を有し、
前記タブ部(4)は、前記連結部(5)の少なくとも一部である可撓部(53)を弾性変形させることで、前記先端部(411)が前記第1バー(31)から離間するように姿勢変化可能である、バックル。
【請求項2】
前記タブ部(4)は、前記連結部(5)に対して前記先端部(411)側とは反対側に配置された後端部(421)をさらに有する、請求項1に記載のバックル。
【請求項3】
前記先端部(411)は、前記タブ部(4)が姿勢変化することによって前記第2バー(32)に当接可能である、請求項1または請求項2に記載のバックル。
【請求項4】
前記連結部(5)は、前記タブ部(4)と前記一対の側壁部(2A,2B)のそれぞれとを連結する第1連結部(5A)および第2連結部(5B)を備え、
前記第1連結部(5A)および前記第2連結部(5B)のそれぞれは、
前記側壁部(2A,2B)から前記一対の側壁部(2A,2B)の対向方向に沿って延びる横腕部(51)と、
前記横腕部(51)から前記タブ部(4)の延伸方向に沿って延び、前記可撓部(53)が形成された縦腕部(52)と、を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバックル。
【請求項5】
前記縦腕部(52)には、前記対向方向に沿って溝(521)が形成される、請求項4に記載のバックル。
【請求項6】
前記縦腕部(52)は、前記横腕部(51)から前記タブ部(4)の前記先端部(411)側に向かって延びる、請求項4または請求項5に記載のバックル。
【請求項7】
前記タブ部(4)は、
前記先端部(411)を含む作用部(41)と、
前記作用部(41)に連続し、前記一対の側壁部(2A,2B)の対向方向において前記作用部(41)の幅寸法(W1)よりも小さい幅寸法(W2)を有する中間部(43)と、を備え、
前記縦腕部(52)は、前記中間部(43)と前記側壁部(2A,2B)との間を通って前記作用部(41)に接続される、請求項6に記載のバックル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯体に装着されるバックルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトやテープなどの帯体に装着されるバックルが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなバックルは、一対の側壁部と、一対の側壁部を連結する複数のバーとを備えており、帯体がこれらバーに掛け回され、帯体に張力が加わることで、バックルの留め付け力が作用するように構成されている。また、このようなバックルでは、帯体に対するバックルの姿勢を傾けることで上記留め付け力を解除でき、これにより、帯体に対するバックルの留め付け位置を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-152193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したようなバックルでは、バックルの姿勢が意図せずに傾いた場合、帯体に対する留め付け力が弱まり、帯体に対するバックルの留め付け位置がずれることがある。また、特許文献1に開示のバックルは、バックルの留め付け位置を維持するために、バーとの間に帯体を挟持する挟持部材を備えるが、この挟持部材は、バックル本体に回転可能に支持される別部材として構成されるため、バックルの部品数が増加し、製造コストが大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、部品数を抑えつつ、帯体に対する留め付け位置を調整および維持できるバックルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るバックルは、一対の側壁部と、前記一対の側壁部を連結する第1バーおよび第2バーと、前記一対の側壁部の間において前記一対の側壁部の対向方向に交差する方向に沿って延びるタブ部と、前記タブ部と前記一対の側壁部の少なくとも一方とを連結する連結部と、を備え、前記タブ部は、前記第1バーと前記第2バーとの間に配置され、前記第1バーとの間に帯体を挟持可能である先端部を有し、前記タブ部は、前記連結部の少なくとも一部である可撓部を弾性変形させることで、前記先端部が前記第1バーから離間するように姿勢変化可能である。
このような構成では、帯体が第1バーに掛け回され、第1バーと第2バーとの間を挿通する場合において、タブ部が帯体の抜け止めとして作用し、帯体に対するバックルの留め付け位置を維持できる。また、タブ部の姿勢を変化させることで、タブ部による帯体の抜け止めを解除し、帯体に対するバックルの留め付け位置を調整することができる。さらに、バックルを構成する各要素を一体的に形成することが可能であるため、バックルを構成する部品数を抑えることができる。
【0007】
本発明の一形態において、前記タブ部は、前記連結部に対して前記先端部側とは反対側に配置された後端部をさらに有することが好ましい。
このような構成によれば、後端部に押圧を加えることで、可撓部を支点としてタブ部を回動させることができる。これにより、タブ部の操作に要する力を小さくすることができる。
【0008】
本発明の一形態において、前記先端部は、前記タブ部が姿勢変化することによって前記第2バーに当接可能であることが好ましい。
このような構成によれば、タブ部の過剰な姿勢変化を防止でき、連結部の破損を抑制できる。
【0009】
本発明の一形態において、前記連結部は、前記タブ部と前記一対の側壁部のそれぞれとを連結する第1連結部および第2連結部を備え、前記第1連結部および前記第2連結部のそれぞれは、前記側壁部から前記一対の側壁部の対向方向に沿って延びる横腕部と、前記横腕部から前記タブ部の延伸方向に沿って延び、前記可撓部が形成された縦腕部と、を備えることが好ましい。
このような構成では、タブ部が姿勢変化する際、連結部やその周囲におけるねじれの発生を抑制し、バックルの破損を抑制できる。
【0010】
本発明の一形態において、前記縦腕部には、前記対向方向に沿って溝が形成されることが好ましい。
このような構成によれば、縦腕部に可撓部を好適に形成できる。
【0011】
本発明の一形態において、前記縦腕部は、前記横腕部から前記タブ部の前記先端部側に向かって延びることが好ましい。
このような構成では、タブ部の操作性を軽くすることができる。
【0012】
本発明の一形態において、前記タブ部は、前記先端部を含む作用部と、前記作用部に連続し、前記一対の側壁部の対向方向において前記作用部の幅寸法よりも小さい幅寸法を有する中間部と、を備え、前記縦腕部は、前記中間部と前記側壁部との間を通って前記作用部に接続されることが好ましい。
このような構成によれば、バックルの全体幅が大きくなることを抑制しつつ、帯体を挟持するための先端部の幅を大きく確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品数を抑えつつ、帯体に対する留め付け位置を調整および維持できるバックルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るバックルを示す斜視図。
図2】前記実施形態に係るバックルを示す正面図。
図3】前記実施形態に係るバックルの使用例を説明するための図であって、図2のA-A矢視断面図。
図4図3からタブ部の姿勢が変化した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図1図4に基づいて説明する。
本実施形態のバックル1は、ベルトやテープなどの帯体B1,B2に装着され、かつ、帯体B1に対する留め付け位置を調整可能なものとする。なお、図1図2では、帯体B1,B2の図示を省略している。
以下、バックル1の説明では、互いに直交するXYZ方向を利用する。ここで、バックル1が装着される帯体B1,B2の主な延出方向をX方向とし、当該X方向に直交する帯体B1,B2の幅方向をY方向とし、X方向およびY方向にそれぞれ直交する方向をZ方向とする。また、Z方向の一方側(+Z方向)をバックル1の表側とし、Z方向の他方側(-Z方向)をバックル1の裏側とする。
【0016】
バックル1は、例えば合成樹脂の射出成形品であり、可撓性材料により一体形成される。このバックル1は、互いに対向した一対の側壁部2A,2Bと、一対の側壁部2A,2Bを連結する複数のバー(第1バー31,第2バー32,第3バー33および第4バー34)と、一対の側壁部2A,2Bの間に配置されたタブ部4と、タブ部4と一対の側壁部2A,2Bとを連結する連結部5と、を備える。
【0017】
側壁部2A,2Bは、それぞれ、XZ平面に沿って配置され、X方向に長い略矩形の板形状を成しており、Y方向において互いに対向する内面21を備えている。なお、側壁部2A,2Bのうち、X方向の一方側(-X方向)の端部を後端部22とし、X方向の他方側(+X方向)の端部を前端部23とする。側壁部2A,2Bの後端部22付近における-Z側の縁部24は、-X方向に向かうほど+Z方向に位置するように、X方向に対して傾斜している。
【0018】
本実施形態において、第1バー31および第2バー32には、バックル1の後側から延びる調整用の帯体B1が巻き付けられる。
第1バー31および第2バー32は、それぞれ、側壁部2A,2Bの内面21同士を連結するようにY方向に沿って延びている。第1バー31は、第2バー32よりも+Z側に配置され、第1バー31と第2バー32との間には、後述するタブ部4の先端部411が配置される隙間が形成される。また、第1バー31および第2バー32のX方向の配置関係は、特に限定されないが、第2バー32は、第1バー31よりも-X側に配置されることが好ましい。
【0019】
本実施形態において、第3バー33および第4バー34には、バックル1の前側から延びる固定用の帯体B2が装着される。
第3バー33および第4バー34は、それぞれ、第1バー31および第2バー32よりも+X側において、側壁部2A,2Bの内面21同士を連結するようにY方向に沿って延びている。第3バー33は、第4バー34よりも-X側に配置され、第3バー33と第4バー34との間にはX方向の隙間が形成される。なお、第4バー34は、側壁部2A,2Bの前端部23に接続されている。
【0020】
タブ部4は、一対の側壁部2A,2Bの間に配置され、一対の側壁部2A,2Bの対向方向に交差する方向に沿って延びている。具体的には、タブ部4は、XY平面に沿って配置される板形状を成しており、タブ部4の+X側の部分である作用部41と、タブ部4の-X側の部分である操作部42と、作用部41と操作部42との間の部分であって、作用部41および操作部42のそれぞれに連続した中間部43とを備えている。
【0021】
作用部41は、タブ部4の+X側の端部である先端部411を含んでおり、作用部41のZ方向寸法は、先端部411に向かって漸減している。この先端部411は、第1バー31と第2バー32との間に配置され、第1バー31との間に帯体B1が挿通可能な隙間Sを形成する。先端部411のうちのX方向に面する先端面412は、第1バー31と第2バー32との間を挿通する帯体B1の経路上に配置される。
なお、帯体B1が存在しない状態において、第1バー31と先端部411との間の隙間Sは、帯体B1の厚みよりも小さいことが好ましい。また、帯体B1が存在しない状態において、第1バー31と先端部411とが接触してもよく、帯体B1の挿通に合わせてタブ部4の姿勢が変化することで隙間Sが形成されてもよい。
【0022】
操作部42は、タブ部4の-X側の端部である後端部421を含んでおり、側壁部2A,2Bの後端部22や連結部5よりも-X側に配置されている。操作部42は、-Z方向に面する操作面422を有しており、操作面422は、-X方向に向かうほど+Z方向に位置するように、X方向に対して傾斜している。この操作面422は、側壁部の縁部24と共に、使用者の手指などが入り込むための空間を帯体B1との間に形成する。
【0023】
また、タブ部4において、中間部43のY方向の幅寸法W2は、作用部41のY方向の幅寸法W1よりも小さく、作用部41は、Y方向の両側において、中間部43よりもY方向外側に突出している。操作部42のY方向の幅寸法は、中間部43の幅寸法W2よりも大きく、操作面422が広く確保されている(図2参照)。
【0024】
連結部5は、側壁部2Aとタブ部4とを連結する第1連結部5Aと、側壁部2Bとタブ部4とを連結する第2連結部5Bとを備える。以下、第1連結部5Aおよび第2連結部5Bを単に、連結部5A,5Bと称する場合がある。
連結部5A,5Bは、それぞれ、側壁部2A,2Bの後端部22からY方向内側に向かって延びた横腕部51と、横腕部51から+X方向に(すなわちタブ部4の延伸方向に)延びた縦腕部52と、を備える。縦腕部52は、側壁部2A(または側壁部2B)とタブ部4の中間部43との間を通り、作用部41のうち中間部43よりもY方向外側に突出した部分に対してX方向に接続されている。このような連結部5A,5Bによれば、縦腕部52と側壁部2A(または側壁部2B)との間、および、縦腕部52と中間部43との間には、それぞれ隙間が形成されている。
【0025】
また、縦腕部52には、Y方向に沿って溝521が形成されている(図3参照)。これにより、縦腕部52には、溝521によりZ方向の厚みが小さくなった部分として、弾性変形可能な可撓部53が形成されている。
なお、本実施形態では、バックル1の表側の美観上、縦腕部52の溝521が-Z方向に開口するが、+Z方向に開口してもよい。また、本実施形態では、溝521は、縦腕部52をY方向に貫通しているが、貫通しなくてもよい。
【0026】
次に、バックル1の使用例および動作について、図3および図4を参照して説明する。
まず、作業者は、帯体B1,B2をバックル1に装着する。
具体的には、作業者は、帯体B2の端部BEをバックル1の裏面側から第3バー33に掛け回しつつ、第3バー33と第4バー34との間に通してバックル1の裏面側に引き出す。そして、引き出した帯体B2の端部BEを、バックル1の裏面側に延びる帯体B2の中間部位に重ね合わせ、任意の固定具または縫着によって固定する。
また、作業者は、帯体B1の端部BEをバックル1の裏面側から第1バー31に掛け回しつつ、第1バー31と第2バー32との間に通してバックル1の裏面側に引き出す。そして、帯体B1の他端部(図示省略)からバックル1までの帯体B1の長さが所望の長さになるように、バックル1からの帯体B1の端部BEの引き出し量を調整する。
【0027】
ここで、帯体B1の端部BEを第1バー31と第2バー32との間に通すとき、および、帯体B1の端部BEの引き出し量を調整するとき、作業者は、タブ部4の操作面422に対して+Z方向の押圧Fを加え、タブ部4の姿勢を変化させる。このとき、操作面422に加わる荷重は、タブ部4を介して連結部5A,5Bに伝達され、連結部5A,5Bの可撓部53を弾性変形させる。これにより、タブ部4は、連結部5A,5Bの可撓部53を支点として回動し、先端部411は、第1バー31から離間する方向へ移動する。その結果、第1バー31と先端部411との間には、帯体B1が自由に移動可能な隙間Sが形成される(図4参照)。なお、先端部411が第2バー32に当接することで、タブ部4の回動範囲は制限される。
【0028】
作業者は、帯体B1の端部BEの引き出し量の調整が完了した後、タブ部4の操作面422に加えていた押圧を解除する。すると、可撓部53の弾性力により、タブ部4の姿勢が元に戻る(図3参照)。このとき、タブ部4の先端部411は、第1バー31との間に帯体B1を挟み、タブ部4の先端面412は、帯体B1の一方側の面に当接する。
以上により、バックル1への帯体B1,B2の装着が完了する。
【0029】
バックル1の使用中、帯体B1,B2には、バックル1のX方向の両側に引っ張られるような張力が加わる。この間、帯体B1の中間部位が第2バー32との間に帯体B1の端部BEを挟み、当該端部BEを第2バー32に押しつけるため、帯体B1に対するバックル1の留め付けが可能となる。
【0030】
ここで、バックル1の姿勢が変化した場合において、帯体B1の中間部位が帯体B1の端部BEを第2バー32に押し付けなくなっても、タブ部4が帯体B1の抜け止めとして作用するため、帯体B1に対するバックル1の留め付け位置を維持できる。
具体的には、帯体B1に張力が加わると、帯体B1からタブ部4の先端面412に対して、第2バー32から第1バー31に向かう方向の力が伝達される。これにより、タブ部4の先端部411には第1バー31に近接する方向の力が加わり、先端部411が第1バー31との間に帯体B1を強い力で挟持する。その結果、バックル1に対する帯体B1の移動を防止できる。
【0031】
なお、本実施形態では、バックル1の姿勢が通常状態であっても、タブ部4による帯体B1の抜け止めが作用するため、バックル1が帯体B1に強く留め付けされる。
また、可撓部53の弾性力は、タブ部4の姿勢を元に戻す力として作用すれば十分であり、タブ部4による帯体B1の抜け止めに寄与してもよいが、寄与しなくてもよい。
【0032】
(本実施形態の効果)
本実施形態のバックル1は、上述したように、一対の側壁部2A,2Bと、一対の側壁部2A,2Bを連結する第1バー31および第2バー32と、一対の側壁部2A,2Bの間に配置され、一対の側壁部2A,2Bの対向方向に交差する方向に延びるタブ部4と、タブ部4と一対の側壁部2A,2Bとを連結する連結部5A,5Bと、を備え、タブ部4は、第1バー31と第2バー32との間に配置され、第1バー31との間に帯体B1を挟持可能である先端部411を有し、タブ部4は、連結部5A,5Bの一部である可撓部53を弾性変形させることで、先端部411が第1バー31から離間するように姿勢変化可能である。
このような構成によれば、タブ部4が帯体B1の抜け止めとして作用するため、帯体B1に対するバックル1の留め付け位置を維持できる。また、タブ部4の姿勢を変化させることで、タブ部4による帯体B1の抜け止めを解除し、帯体B1に対するバックル1の留め付け位置を調整することができる。さらに、バックル1を構成する各要素を一体的に形成することが可能であるため、バックル1を構成する部品数を抑えることができる。
【0033】
本実施形態において、タブ部4は、連結部5A,5Bに対して先端部411側とは反対側に配置された後端部421をさらに有する。このような構成によれば、後端部421に押圧を加えることで、連結部5A,5Bの可撓部53を支点としてタブ部4を回動させることができる。これにより、タブ部4の操作に要する力を小さくすることができる。
【0034】
本実施形態において、先端部411は、タブ部4が姿勢変化することによって第2バー32に当接可能である。このような構成によれば、タブ部4の過剰な姿勢変化を防止でき、連結部5A,5Bの破損を抑制できる。
【0035】
本実施形態において、連結部5A,5Bは、側壁部2A,2BからY方向に沿って延びた横腕部51と、横腕部51からX方向に沿って延び、可撓部53として形成された縦腕部52と、を備える。このような構成では、タブ部4が姿勢変化する際において、連結部5A,5Bやその周囲にねじれが生じることを防止でき、バックル1の破損などを抑制できる。
【0036】
本実施形態において、連結部5A,5Bには、Y方向に沿って溝521が形成されている。このような構成によれば、縦腕部52に可撓部53を好適に形成できる。
【0037】
本実施形態において、縦腕部52は、横腕部51からタブ部4の先端部411側に向かって延びている。このような構成では、タブ部4の操作性を軽くすることができる。
【0038】
本実施形態において、タブ部4は、先端部411を含む作用部41と、作用部41に連続し、作用部41の幅寸法W1よりも小さい幅寸法W2を有する中間部43と、を備え、縦腕部52は、中間部43と側壁部2A(または側壁部2B)との間を延びつつ作用部41に接続されている。このような構成によれば、バックル1の全体幅が大きくなることを抑制しつつ、帯体B1を挟持するための先端部411の幅を大きく確保することができる。
【0039】
(変形例)
前記実施形態において、バックル1は、調整用の帯体B1および固定用の帯体B2が取り付けられる一体物であるが、本発明はこれに限られない。例えば、変形例に係るバックルは、互いに脱着可能に構成された雄部材および雌部材を備えるものであってもよい。この場合、雄部材および雌部材のうち、一方に調整用の帯体B1が取り付けられ、他方に固定用の帯体B2が取り付けられ、当該一方が側壁部2A,2B、第1バー31、第2バー32、タブ部4および連結部5を備えてもよい。
また、バックル1は、第3バー33および第4バー34を備えず、固定用の帯体B2が取り付けられなくてもよい。
【0040】
前記実施形態では、連結部5A,5Bのうちの縦腕部52に弾性変形可能な可撓部53が構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、連結部5A,5Bのうちの横腕部51が弾性変形してもよいし、横腕部51および縦腕部52を含んだ全体が弾性変形してもよい。すなわち、可撓部53とは、連結部5A,5Bのうちの少なくとも一部であって、タブ部4の姿勢変化に伴って弾性変形可能な部分であればよい。また、可撓部53の形成は、溝521を形成することに限定されず、厚みや材料の選択などによって成されてもよい。
【0041】
前記実施形態において、連結部5A,5Bの各形状は、任意に変更可能である。例えば、連結部5A,5Bは、第1バー31よりも-X側の範囲R(図2参照)内において、側壁部2A,2Bとタブ部4とを連結する任意の形状を有してもよい。また、連結部5A,5Bは、タブ部4に対してX方向に接続されるのではなく、Y方向に接続されてもよいし、作用部41に接続されるのではなく、中間部43に接続されてもよい。
また、前記実施形態において、連結部5は、第1連結部5Aおよび第2連結部5Bを備えるが、いずれか一方を備えるものであってもよい。この場合、連結部5は、タブ部4を片持ち状に支持してもよい。
【0042】
前記実施形態において、タブ部4の形状は、任意に変更可能である。例えば、前記実施形態における操作部42や中間部43が省略されてもよい。この場合、タブ部4の作用部41を-Z側へ押し込むような操作が行われてもよい。
【0043】
前記実施形態において、帯体B1の厚みは任意に選択可能である。例えば、帯体B1が隙間Sを挿通した状態でタブ部4が姿勢変化可能であるように、帯体B1の厚みを選択できる。
【符号の説明】
【0044】
1…バックル、21…内面、22…後端部、23…前端部、24…縁部、2A,2B…側壁部、31…第1バー、32…第2バー、33…第3バー、34…第4バー、4…タブ部、41…作用部、411…先端部、412…先端面、42…操作部、421…後端部、422…操作面、43…中間部、5…連結部、5A…第1連結部、5B…第2連結部、51…横腕部、52…縦腕部、521…溝、53…可撓部、B1,B2…帯体、BE…端部。
図1
図2
図3
図4