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  • 特開-レゾルバロータ構造及び組立て方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107379
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】レゾルバロータ構造及び組立て方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20230727BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
H02K1/28 Z
H02K15/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008550
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】後澤 武史
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 綾一
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC04
5H601EE15
5H601GA23
5H601GA33
5H601GA40
5H601JJ05
5H601KK01
5H601KK30
5H615AA01
5H615BB02
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS09
5H615SS10
5H615SS57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】輪状ロータの各面のバリ側とダレ側とを簡単に見分けることができるレゾルバロータ構造及び組立て方法を提供する。
【解決手段】軸孔2の内面2Aにキー10を有する輪状ロータ1と、キー溝を有する回転軸と、ダレが形成された裏面側から回転軸を挿入する構成としたレゾルバロータ構造において、輪状ロータ1のキー10の両側に形成される第1加工逃げ部11及び第2加工逃げ部12の形状を異ならせた構成と方法であり、また、第1加工逃げ部11と第2加工逃げ部12の平面で見た形状は、V字型又はU字型の第1、第2谷部をなしている構成と方法であり、また、第1加工逃げ部11の第1谷部の第1開き角と、第2加工逃げ部12の第2谷部の第2開き角とは、互いに異なるようにした構成と方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸孔(2)の内面(2A)にキー(10)を有する輪状ロータ(1)と、前記キー(10)と係合するキー溝を有する回転軸(6)と、前記軸孔(2)の表面(1A)と裏面(1B)に形成されたバリ(4)とダレ(3)とからなり、前記ダレ(3)が形成された前記裏面(1B)側から前記回転軸(6)を挿入する構成としたレゾルバロータ構造において、
前記輪状ロータ(1)の前記キー(10)の両側に形成される第1加工逃げ部(11)及び第2加工逃げ部(12)の形状を異ならせたことを特徴とするレゾルバロータ構造。
【請求項2】
前記第1加工逃げ部(11)と前記第2加工逃げ部(12)の平面で見た形状は、V字型又はU字型の第1、第2谷部(13,14)をなしていることを特徴とする請求項1記載のレゾルバロータ構造。
【請求項3】
前記第1加工逃げ部(11)の前記第1谷部(13)の第1開き角(θ1)と、前記第2加工逃げ部(12)の前記第2谷部(14)の第2開き角(θ2)とは、互いに異なることを特徴とする請求項1又は2記載のレゾルバロータ構造。
【請求項4】
前記輪状ロータ(1)の片面又は両面には、前記バリ(4)・ダレ(3)側を示す判別マーク(5)を設けたことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のレゾルバロータ構造。
【請求項5】
前記判別マーク(5)は、突起形状よりなり、かつ、三角形、四角形、円形、長方形の何れか1つからなることを特徴とする請求項4記載のレゾルバロータ構造。
【請求項6】
軸孔(2)の内面(2A)にキー(10)を有する輪状ロータ(1)と、前記キー(10)と係合するキー溝を有する回転軸(6)と、前記軸孔(2)の表面(1A)と裏面(1B)に形成されたバリ(4)とダレ(3)とからなり、前記ダレ(3)が形成された前記裏面(1B)側から前記回転軸(6)を挿入する構成としたレゾルバロータ構造において、
前記輪状ロータ(1)の前記キー(10)の両側に形成される第1加工逃げ部(11)及び第2加工逃げ部(12)の形状を異ならせたことを特徴とするレゾルバロータ構造の組立て方法。
【請求項7】
前記第1加工逃げ部(11)と前記第2加工逃げ部(12)の平面で見た形状は、V字型又はU字型の第1、第2谷部(13,14)をなしていることを特徴とする請求項6記載のレゾルバロータ構造の組立て方法。
【請求項8】
前記第1加工逃げ部(11)の前記第1谷部(13)の第1開き角(θ1)と、前記第2加工逃げ部(12)の前記第2谷部(14)の第2開き角(θ2)とは、互いに異なることを特徴とする請求項6又は7記載のレゾルバロータ構造の組立て方法。
【請求項9】
前記輪状ロータ(1)の片面又は両面には、前記バリ(4)・ダレ(3)側を示す判別マーク(5)を設けたことを特徴とする請求項6ないし8の何れか1項に記載のレゾルバロータ構造の組立て方法。
【請求項10】
前記判別マーク(5)は、突起形状よりなり、かつ、三角形、四角形、円形、長方形の何れか1つからなることを特徴とする請求項9記載のレゾルバロータ構造の組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバロータ構造及び組立て方法に関し、特に、輪状ロータをプレス加工によって形成した時に、軸孔の内壁に形成されるバリとダレが輪状ロータの表裏の何れであるかを、キーの両側の第1、第2加工逃げ部の形状を異ならせることによって、軸孔内に回転軸を挿入する際の目印とし、ダレ側からの回転軸の挿入方向を間違えることのない状態として生産性の向上を得るための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のロータ等のプレス打抜品のバリ方向判別方法の第1従来例として、特許文献1の構成を挙げることができる。
すなわち、図示していないが、プレス打抜品のエッジ部に光を照射してその反射光をイメージセンサに入力し、このイメージセンサで反射光の反射強度の分布を検出し、反射強度の分布にピークがない場合に光を照射したエッジ部にバリがあることを検知し、反射強度にピークがある場合に、光を照射したエッジ部がバリ方向と反対側の打抜ダレ部であることを検知していた。
また、第2従来例として、出願人自身が開発したバリ/ダレ判別方法においては、特許公報等の文献は開示していないが、図3図4及び図5において開示することができる。
すなわち、図3図4のように、図示しないフープ材からプレス機によって輪状ロータ1をプレス加工すると、図4のように、プレス加工時の方向に従って、その軸孔2の内面2Aの裏面1B側に曲折状のダレ(ダレ側とも云う)3が形成されていると共に、前記内面2Aの表面1Aには突出するバリ(バリ側とも云う)4が形成されている。
【0003】
前述の図4で示す輪状ロータ1の軸孔2のプレス加工を行う時に、従来においては、図3で示すように、キー10の近傍に凸状又は凹状の三角形状からなる判別マーク5を同時プレスで同時加工している。
前記判別マーク5は、例えば、輪状ロータ1の表面1Aでかつバリ4が形成されている状態(図4の状態)を示しており、前記判別マーク5が上向きとなるように輪状ロータ1を得ることができる。
従って、輪状ロータ1の前記軸孔2内に回転軸6を設ける場合には、図5のように、輪状ロータ1の挿入方向Dに沿ってダレ側3から輪状ロータ1の軸孔2を回転軸6の端部6aに挿入し、さらに、バリ側4を貫通し、図示していないが、図4図5に示されるように、次の輪状ロータ1aを積層することになる。尚、複数の輪状ロータ1、1a・・・は積層又は転積させて所定の厚さになるように構成されている。尚、前述と逆に、回転軸6の端部6aを図5の回転軸の挿入方法Uのようにダレ側3から挿入して軸付きロータを得ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61-20842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレゾルバロータ構造及び組立て方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、輪状ロータは、その製造工程上、プレス加工されるため、ダレやバリ面が生じることは不可避のことである。
特に、回転軸6を輪状ロータ1の軸孔2に挿入する時は、軸孔2のダレ側3から挿入することが一般的であるため、軸孔2の内面2Aのダレ側3とバリ側4を判別する必要がある。
現在のところ、輪状ロータ1の表面1Aの判別マーク5を表示するための発明がなされているが、プレス機も種々多くの機種が用いられているため、プレス機の構成によっては、このような判別マーク5を打つことができないプレス機もあり、この場合には、判別マーク5を打つことができず、別形状等の判別マーク5を用意しなければならなかった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、輪状ロータをプレス加工によって形成した時に、軸孔の内壁に形成されるバリとダレが輪状ロータの表裏の何れかであるかを、キーの両側の第1、第2加工逃げ部の形状を異ならせることによって、軸孔内に回転軸を挿入(又は、回転軸に対して輪状ロータの軸孔を挿入)する際の目印とし、ダレ側からの回転軸の挿入方向を間違えることのない状態として生産性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるレゾルバロータ構造及び組立て方法は、軸孔の内面にキーを有する輪状ロータと、前記キーと係合するキー溝を有する回転軸と、前記軸孔の表面と裏面に形成されたバリとダレとからなり、前記ダレが形成された前記裏面側から前記回転軸を挿入する構成としたレゾルバロータ構造において、前記輪状ロータの前記キーの両側に形成される第1加工逃げ部及び第2加工逃げ部の形状を異ならせた構成と方法であり、また、前記第1加工逃げ部と前記第2加工逃げ部の平面で見た形状は、V字型又はU字型の第1、第2谷部をなしている構成と方法であり、また、前記第1加工逃げ部の前記第1谷部の第1開き角と、前記第2加工逃げ部の前記第2谷部の第2開き角とは、互いに異なる構成と方法であり、また、前記輪状ロータの片面又は両面には、前記バリ・ダレ側を示す判別マークを設けた構成と方法であり、また、前記判別マークは、突起形状よりなり、かつ、三角形、四角形、円形、長方形の何れか1つからなる構成と方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるレゾルバロータ構造及び組立て方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、軸孔の内面にキーを有する輪状ロータと、前記キーと係合するキー溝を有する回転軸と、前記軸孔の表面と裏面に形成されたバリとダレとからなり、前記ダレが形成された前記裏面側から前記回転軸を挿入する構成としたレゾルバロータ構造において、前記輪状ロータの前記キーの両側に形成される第1加工逃げ部及び第2加工逃げ部の形状を異ならせたことにより、輪状ロータの表裏からバリ・ダレ側を容易かつ確実に認識することができる。また、従来の判別マークを打つ必要がないため、プレス機械の構造に依存することがなくなる。
また、前記第1加工逃げ部と前記第2加工逃げ部の平面で見た形状は、V字型又はU字型の第1、第2谷部をなしているため、簡単にバリ・ダレを判別できる。
また、前記第1加工逃げ部の前記第1谷部の第1開き角と、前記第2加工逃げ部の前記第2谷部の第2開き角とは、互いに異なることにより、バリ・ダレ側を見つけることが容易となり、輪状ロータの取り付けが正確となる。
また、前記輪状ロータの片面又は両面には、前記バリ・ダレ側を示す判別マークを設けたことにより、本発明に従来構成を併用することにより、より確実な判別を行うことができる。
また、前記判別マークは、突起形状よりなり、かつ、三角形、四角形、円形、長方形の何れか1つからなることにより、本発明構成と従来構成とを組み合わせた構成となり、より確実な判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態によるレゾルバロータ構造を示す平面図である。
図2図1の円状点線部分の拡大図である。
図3図1の本発明構成に従来の判別マークを形成した輪状ロータの一部を示す構成図である。
図4図3の輪状ロータの軸孔2ダレとバリを示す断面図である。
図5図4の軸孔のダレ側から回転軸に輪状ロータをロータ挿入方向に沿って挿入する状態を示し、また、逆に、回転軸を輪状ロータの軸孔のダレ側から挿入する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるレゾルバロータ構造及び組立て方法は、輪状ロータをプレス加工によって形成した時に、軸孔の内壁に形成されるバリとダレが輪状ロータの表裏の何れであるかを、キーの両側の第1、第2加工逃げ部の形状を異ならせることによって、軸孔内に回転軸を挿入する際の表、裏の目印とし、ダレ側からの回転軸の挿入方向又はその逆の挿入方向を間違えることのない状態として生産性を向上させることができる。
【実施例0011】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバロータ構造及び組立て方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明すると共に、図3図4及び図5の構成については、本発明の説明に援用するものとする。
図1において、符号1で示されるものは、図示しないプレス機でプレス加工された輪状ロータの一部であり、この輪状ロータ1の軸孔2の内面2Aには、この内面2Aから内方へ向けて突出するキー10が形成されている。
前記キー10は、図示していないフープ材をプレス加工する時に、金型を逃がすためのV字型又はU字型をなす第1、第2加工逃げ部11、12が形成され、前記各加工逃げ部11、12の形状は互いに異なるように構成されている。
【0012】
前記第1加工逃げ部11の第1開き角θ1と前記第2加工逃げ部12の第2開き角θ2は互いに異なり、一例として、θ1<θ2の関係である。
従って、例えば、図2のように、輪状ロータを平面でみてθ1<θ2の場合、すなわち、開き角θ1、θ2に対応する第1谷部13<第2谷部14には、輪状ロータ1の表面1A側にバリ4が突出し、その裏面1B側にダレ3が形成されている構成とすることができる。
また、前述のバリ4とダレ3の位置は、前述とは逆の第1、第2加工逃げ部11、12を逆として、設定することもできる。また、前述の第1、第2開き角θ1、θ2のみではなく、その形状を四角と三角で組み合わせる等、無限の形状組み合わせに替えることができる。
【0013】
また、本実施の形態による輪状ロータ1を回転軸6に挿入固定するには、 前述の輪状ロータ1の互いに形状が異なる第1、第2加工逃げ部11、12を確認して、輪状ロータ1のバリ4が表面1A側にあり、ダレ3が裏面1B側にあることを確認し、前記輪状ロータ1を図5のように、前記ダレ3が回転軸6の端部6aに当接し、続けて前記輪状ロータ1を回転軸6の下方、すなわち、輪状ロータ1の挿入方向Dへ押し下げることにより、1枚目の輪状ロータ1の回転軸6への取り付けが完了する。
【0014】
さらに、前記回転軸6に対する1枚目の輪状ロータ1の取り付けが完了し、次の輪状ロータ1aを回転軸6に取り付ける場合、図5の点線で示されるように、前回、回転軸6に取り付けた輪状ロータ1の後から前回と同様に、次の輪状ロータ1aを回転軸6に取り付けることができる。
尚、今回は、輪状ロータ1のダレ3が回転軸6の頭部である端部6aに当接して輪状ロータ1を回転軸6に挿入して組み立てる場合について述べたが、この方法に限ることなく、輪状ロータ1を固定し、回転軸6を矢印Uの方向に押し上げた場合も、回転軸6に1枚もしくは複数枚の輪状ロータ1を固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明によるレゾルバロータ構造及び組立て方法によれば、輪状ロータ1の軸孔のバリ側とダレ側とが、キー抜き時の一対の加工逃げ部の形状の違いによって、簡単かつ確実に、確認することができ、回転軸に対する輪状ロータを取り付けることができる。
【符号の説明】
【0016】
1 輪状ロータ
1a 次の輪状ロータ
1A 表面
1B 裏面
2 軸孔
2A 内面
3 ダレ(ダレ側)
4 バリ(バリ側)
5 判別マーク
6 回転軸
6a 端部
10 キー
11 第1加工逃げ部
12 第2加工逃げ部
13 第1谷部
14 第2谷部
D 輪状ロータの挿入方向
U 回転軸の挿入方向
θ1 第1開き角
θ2 第2開き角
図1
図2
図3
図4
図5