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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107390
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】保護カバー付き口部
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/62 20060101AFI20230727BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B65D41/62
B65D77/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008564
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】節田 征矢
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB01
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA01A
3E067BA04A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA04
3E067EA06
3E067EA29
3E067EB19
3E067EB27
3E067FC01
3E067GA01
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB02
3E084BA01
3E084BA07
3E084BA08
3E084BA09
3E084FA09
3E084FD13
3E084GB08
(57)【要約】
【課題】口部のシール性及び開封時のタンパー性の双方を向上させることが可能な保護カバー付き口部を提供すること。
【解決手段】保護カバー付き口部10は、容器の上部に設けられた口部100と、口部100を保護する保護カバー200と、を備える。保護カバー200は、基材層と裏側接着層とを含む。保護カバー200には、切込みが形成されている。口部100は、周壁部110を有する。保護カバー200は、上面被覆部210と周壁部被覆部230とを有する。周壁部被覆部230は、複数の接着部を有する。複数の接着部は、保護カバーの一方側部上に保護カバーの他方側部が重ね合わされた状態で、少なくとも他方側部の裏側接着層を介して一方側部と他方側部とが互いに接着することによって形成された重ね合わせ接着部232aを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の上部に設けられた口部と、
前記口部を保護する保護カバーと、を備え、
前記保護カバーは、
基材層と、
前記基材層の裏面に設けられた裏側接着層と、を含み、
前記保護カバーには、当該保護カバーの縁部から前記口部の上面側に向かって切込みが形成されており、
前記口部は、円筒状に形成された周壁部を有し、
前記保護カバーは、
前記口部の前記上面を被覆する上面被覆部と、
前記周壁部の外周面を被覆する周壁部被覆部と、を有し、
前記周壁部被覆部は、前記周壁部の周方向に間隔を置いて、又は、重なり合って配置された複数の接着部を有し、
前記複数の接着部は、前記保護カバーのうち前記周方向における前記切込みの一方側に形成された一方側部上に、前記保護カバーのうち前記周方向における前記切込みの他方側に形成された他方側部が重ね合わされた状態で、少なくとも前記他方側部の前記裏側接着層を介して前記一方側部と前記他方側部とが互いに接着することによって形成された重ね合わせ接着部を含む、保護カバー付き口部。
【請求項2】
前記保護カバーは、前記基材層の表面に設けられた表側接着層をさらに有し、
前記重ね合わせ接着部では、前記一方側部の前記表側接着層と前記他方側部の前記裏側接着層とが互いに接着されている、請求項1に記載の保護カバー付き口部。
【請求項3】
前記保護カバーの周縁部は、
互いに対向する一対の辺部と、
前記一対の辺部につながった摘まみ部と、を有し、
前記切込みは、前記辺部に形成されている、請求項1又は2に記載の保護カバー付き口部。
【請求項4】
前記切込みの上端部は、前記周壁部の上端部と同じかそれよりも高く、かつ、前記口部の前記上面よりも低い位置に形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の保護カバー付き口部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保護カバー付き口部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビア樽等の容器における口部が保護カバーによって被覆された構造が知られている。例えば、特開2007-168829号公報には、樽型容器の口部の開口を覆う平板状の天板と、天板の上面に熱融着され、かつ、天板の周縁から下方へ延びる熱収縮性の筒状フィルムと、を備える天板付キャップシールが開示されている。筒状フィルムは、天板の周縁部の上面に接するリング状の折曲げ上部を有しており、この折曲げ上部の一部分に、開封用摘まみ片が内側に突設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-168829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2007-168829号公報に記載されるような天板付キャップシールでは、口部のシール性を高めることが望ましく、また、開封時におけるタンパー性の向上も求められている。
【0005】
本発明の目的は、口部のシール性及び開封時のタンパー性の双方を向上させることが可能な保護カバー付き口部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一局面に従った保護カバー付き口部は、容器の上部に設けられた口部と、前記口部を保護する保護カバーと、を備え、前記保護カバーは、基材層と、前記基材層の裏面に設けられた裏側接着層と、を含み、前記保護カバーには、当該保護カバーの縁部から前記口部の上面側に向かって切込みが形成されており、前記口部は、円筒状に形成された周壁部を有し、前記保護カバーは、前記口部の上面を被覆する上面被覆部と、前記周壁部の外周面を被覆する周壁部被覆部と、を有し、前記周壁部被覆部は、前記周壁部の周方向に間隔を置いて、又は、重なり合って配置された複数の接着部を有し、前記複数の接着部は、前記保護カバーのうち前記周方向における前記切込みの一方側に形成された一方側部上に、前記保護カバーのうち前記周方向における前記切込みの他方側に形成された他方側部が重ね合わされた状態で、少なくとも前記他方側部の前記裏側接着層を介して前記一方側部と前記他方側部とが互いに接着することによって形成された重ね合わせ接着部を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、口部のシール性及び開封時のタンパー性の双方を向上させることが可能な保護カバー付き口部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態における保護カバー付き口部を含む樽型容器を概略的に示す斜視図である。
図2】保護カバー付き口部の斜視図である。
図3】保護カバー付き口部を正面から見た図である。
図4図3におけるIV-IV線での断面図である。
図5】保護カバーの平面図である。
図6図3におけるVI-VI線での断面図である。
図7図3におけるVII-VII線での断面図である。
図8】保護カバー付き口部の製造工程を概略的に示す断面図である。
図9】保護カバー付き口部の製造工程を概略的に示す断面図である。
図10】保護カバー付き口部の製造工程を概略的に示す断面図である。
図11】保護カバー付き口部の製造工程を概略的に示す断面図である。
図12】保護カバー付き口部の製造工程を概略的に示す断面図である。
図13】保護カバーの変形例を概略的に示す平面図である。
図14】保護カバーの変形例を概略的に示す平面図である。
図15】保護カバー及び重ね合わせ接着部の変形例を概略的に示す断面図である。
図16】保護カバー及び折畳み接着部の変形例を概略的に示す断面図である。
図17】本発明の第2実施形態における保護カバー付き口部を含む缶容器を概略的に示す分解斜視図である。
図18図17に示される缶容器の一部を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における保護カバー付き口部を含む樽型容器を概略的に示す斜視図である。図2は、保護カバー付き口部の斜視図である。図3は、保護カバー付き口部を正面から見た図である。
【0011】
図1に示されるように、樽型容器1は、容器本体5と、保護カバー付き口部10と、を備えている。容器本体5は、飲料物等の内容物を収容可能である。容器本体5は、本実施形態では樽型に形成されており、特にビール等を収納して飲食店等に配送し使用される大型容器に好ましく用いられる。容器本体5は、天板部5aを有している。ただし、容器本体5は、樽型の形状に限られない。
【0012】
保護カバー付き口部10は、口部100と、保護カバー200と、を備えている。
【0013】
口部100は、容器本体5の天板部5aに設けられている。口部100は、金属等からなる。図2図4に示されるように、口部100は、周壁部110と、フランジ部120と、接続部130と、を有している。
【0014】
周壁部110は、円筒状に形成されている。周壁部110の内側には、容器本体5への内容物の充填や容器本体5からの内容物の排出が可能な治具を接続可能なバルブ構造等が設けられている。図4に示されるように、周壁部110の外径は、周壁部110の中心軸AXと平行な方向の全域にわたって一定である。ただし、周壁部110の外径は、中心軸AXと平行な方向に下方に向かうにしたがって拡径又は縮径していてもよく、また、周壁部110の外周面に小さな突出部等が設けられていてもよい。
【0015】
フランジ部120は、周壁部110の上端部から周壁部110の径方向(図4における左右方向)における外向きに張り出すとともに、周壁部110の周方向に環状につながる形状を有している。上下方向におけるフランジ部120の寸法は、同方向における周壁部110の寸法よりも小さい。フランジ部120は、上面121と、テーパ部122と、角部123と、を有している。
【0016】
上面121は、フランジ部120の上面、つまり、口部100の上面を構成している。上面121は、平坦に形成されている。上面121は、前記中心軸AXと直交している。
【0017】
テーパ部122は、周壁部110の上端部から上方に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有している。テーパ部122は、周壁部110の外周面に対して傾斜している。テーパ部122と中心軸AXとのなす角は、30度以上60度以下が好ましく、40度以上45度以下がより好ましい。
【0018】
角部123は、上面121の外端部とテーパ部122の外端部とを連結している。角部123は、径方向における外向きに凸となるように湾曲する形状を有している。
【0019】
接続部130は、周壁部110の下部につながっている。接続部130は、容器本体5の天板部5aに接続される部位である。
【0020】
保護カバー200は、口部100を保護している。保護カバー200は、薄膜状ないしシート状に形成されている。図5は、口部100に取り付けられる前の状態における保護カバー200の平面図である。図5に示されるように、保護カバー200は、口部100に取り付けられる前の状態において、矩形状に形成されていることが好ましい。保護カバー200は、例えば、一辺が80mm~120mmからなる正方形、長方形、菱形、平行四辺形に形成されてもよい。ただし、保護カバー200の外形は、これらの形状とは異なる多角形形状や円形、楕円形に形成されてもよく、また、花びらのように周囲に突出した部分を有する形状に形成されても良い。保護カバー200の外形が矩形状の場合は、特殊な抜型等を用いることなく所定幅の原反を所定長さに切断することのみで形成できるため、保護カバー200の外形は矩形状に形成されることが好ましい。
【0021】
図5に示されるように、保護カバー200の周縁部は、互いに対向する一対の辺部236と、一対の辺部236につながった摘まみ領域234と、を有している。各辺部236は、直線状に形成されている。各摘まみ領域234は、保護カバー200の各角部で構成されている。
【0022】
保護カバー200には、辺部236から保護カバー200の内側に向かう切断誘導部Sが形成されている。切断誘導部Sは、切込みで構成されてもよいし、容易に切断されるハーフカット等で他の部位よりも薄く形成された構成でもよいし、ミシン目で構成されてもよい。切断誘導部Sが切断部分と繋がっている部分とが交互に繰り返されるミシン目で構成される場合、切断部分の長さよりも繋がっている部分の長さの方が短いことが好ましい。例えば、切断部分の長さを2mm~10mm、繋がっている部分の長さを0.2mm~0.8mmである。また、切込みの長さ方向1~2カ所に容易に切断される0.2mm~0.8mm程度の繋がり部分を設けた構成でも良い。切断誘導部Sは、切込みとは異なる構成であった場合においても、口部100に取り付けられる際に、保護カバー200の縁部から口部100の上面121側に向かう切込みとなる。切断誘導部Sは、直線状に形成されてもよいし、湾曲する形状に形成されてもよい。切断誘導部Sは、保護カバー200の中心を基準として点対称な形状を有していてもよい。切断誘導部Sの長さは、切断誘導部Sの内側の端部S10が上面121の外端部ないし角部123に重ならない範囲における最大値に設定されることが好ましい。
【0023】
図4に示されるように、保護カバー200は、基材層201と、裏側接着層202と、を有している。
【0024】
基材層201は、紙、セロファン、合成樹脂等からなる。口部100は、内容物の充填時や洗浄等で内側に水滴等が付着しやすいため通気性(特に水蒸気透過性)がある方が好ましく、また、プラスチック廃棄物削減や二酸化炭素等の温暖化ガス排出削減の環境影響を低減できることから、基材層201は、植物由来のパルプ原料等で製造可能な紙又はセロファンからなることが好ましい。基材層201の表面には、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インキジェット印刷等によって文字デザイン等が施された印刷層(図示略)及び印刷層を被覆する透明なオーバーコート層(図示略)が設けられてもよい。基材層201が紙からなる場合、その厚みは、30μm~150μmに設定されることが好ましく、基材層201がセロファンからなる場合、その厚みは、20μm~60μmに設定されることが好ましい。このようにすれば、基材層201の強度、及び、折り重なりやすさ(成形のしやすさ)が確保される。
【0025】
基材層201としては、特に折り重なり状態が維持されやすいものが好ましく、基材層201に裏側接着層202が積層された状態において折り癖が付き易い構成が好ましい。折り癖が付き易い構成として、次の折り曲げ評価試験における折り目付近の角度の測定値が、60度以下のものが好ましい。
【0026】
(1)10cm四方の試験片を軽く四つ折りにし、最初の折り目に対し常温の加圧バーで1秒間(圧力0.65kgf/cm)をかける。
(2)四つ折りを1面に広げる。広げる際に試験片の端(折り目から離れた場所)を持ち上げて広げる。
(3)その後30秒放置し、最初の折り目部分の開き角度を測定する。
【0027】
この測定を以下の3つの試験片において行った。
第1試験片:紙(大王製紙株式会社製ナゴヤ晒竜王)50g/mにオレフィン系樹脂の水性ヒートシール剤を塗布積層したシート
第2試験片:セロファン(フタムラ化学製 MST AZ-1 #300、アクリル系ヒートシール剤を両面に塗布した防湿セロファン)
第3試験片:PETフィルム(東洋紡製二軸延伸PETE5101、12μm)にエチレン酢酸ビニル共重合体のヒートシール剤を塗布積層したシート
【0028】
第1試験片の測定角度は、40度であった。第2試験片の測定角度は、50度であった。第3試験片の測定角度は、80度であった。つまり、第1試験片及び第2試験片は、折り癖が付きやすい構成であった。
【0029】
セロファンからなる基材層201の特徴として、合成樹脂フィルムと同様の透明性が得られ、優れた低帯電性、耐熱性、易引き裂き性、防曇性、透湿性、耐溶剤性を有することが挙げられる。
【0030】
引き裂き性の良い基材層201では、後述する摘まみ領域234を摘まみ引き上げることで後述する重ね合わせ接着部232aの周方向における端縁等を起端として容易に引き裂かれるため、保護カバー200を口部100から容易に取り外すことができる。このような引き裂き性は、次の方法で評価できる。
【0031】
(1)80mm×30mmの試験片を準備する。
(2)長さ80mmの一端側を全幅(30mm)に亘って金属板で水平にクランプし、他端側を引張荷重を測定可能な試験機(プッシュプルゲージ)に接続したクランプで保持し、金属板でクランプされた試験片を上方へ45度且つ手前側へ45度の角度で引き上げる。
(3)試験片が裂け始めた時の荷重を測定する。
【0032】
このようにして測定した時の引き裂き荷重は、20N未満が好ましい。上記第1試験片の測定値は、1N~15Nであった。上記第2試験片の測定値は、1N~15Nであった。上記第3試験片のPETフィルムやOPPフィルムの測定値は、20N以上であった。つまり、第1試験片及び第2試験片は、引き裂き性の良い構成であった。
【0033】
裏側接着層202は、基材層201の裏面に設けられている。なお、基材層201と裏側接着層202との間に、裏側接着層202の基材層201への密着性を高めるアンダーコート層(図示略)が設けられてもよい。この裏側接着層202は、口部100には接着されていない。このため、保護カバー200は、口部100に対して相対回転可能である。
【0034】
裏側接着層202は、熱接着性を有する材料からなることが好ましい。そのような材料として、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、アクリル系、ポリエステル系等の熱可塑性樹脂が挙げられる。裏側接着層202は、特に70℃~100℃程度の低温で裏側接着層202同士が熱接着可能な材料、例えば、低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体等のアクリル酸系共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等からなることがより好ましい。
【0035】
裏側接着層202は、溶融押出コーティングにより基材層201の裏面へ積層されることにより形成されるものでもよいが、エマルジョンもしくはディスパージョンの分散液状で塗布されるもの(例えば、三井化学(株)のポリオレフィン水性ディスパージョン「商品名:ケミパール」、住友精化(株)の共重合ナイロンもしくはエチレン酢酸ビニル共重合体等の水系エマルジョン「商品名:セポルジョン」)又はポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を含むものであることが好ましい。このようにすれば、水蒸気透過性も良好であり、また、リサイクルの際に紙繊維の解離がし易くなり、基材層201のリサイクル適性が向上する。
【0036】
裏側接着層202は、熱接着性のものに限定されず、水や加湿により活性化して接着する、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂やでんぷん等からなるものであってもよい。
【0037】
裏側接着層202の厚みは、基材層201よりも薄いものが良く、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上15μm以下であることがさらに好ましく、また、3μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
【0038】
図2図4に示されるように、保護カバー200は、上面被覆部210と、下面被覆部220と、周壁部被覆部230と、を有している。
【0039】
上面被覆部210は、口部100の上面、より詳細には、フランジ部120の上面121を被覆している。裏側接着層202のうち上面被覆部210の裏面に位置する部位は、上面121に接着されていない。上面被覆部210上に前記印刷層及び前記オーバーコート層が設けられることが好ましい。
【0040】
下面被覆部220は、テーパ部122及び角部123を被覆している。下面被覆部220の上端部は、上面被覆部210の縁部につながっている。裏側接着層202のうち下面被覆部220の裏面に位置する部位は、テーパ部122に接着されていない。
【0041】
周壁部被覆部230は、周壁部110の外周面を被覆している。周壁部被覆部230は、下面被覆部220の下端部につながっている。つまり、下面被覆部220は、上面被覆部210と周壁部被覆部230との間に形成されている。周壁部被覆部230は、接着領域232と、摘まみ領域234と、を有している。
【0042】
接着領域232は、フランジ部120の外径よりも小さな外径を有している。このため、保護カバー200が口部100から上方に離脱することが抑制される。図4に示されるように、接着領域232は、フランジ部120と周壁部110との境界部P1と、当該境界部P1から下方に10mmの位置P2と、の間に、上下方向に1mm~10mmの幅で周方向に帯状に形成されている。裏側接着層202のうち接着領域232の裏面に位置する部位は、周壁部110に接着されていない。
【0043】
図2及び図3に示されるように、接着領域232は、周方向に間隔を置いて、又は、互いに重なり合って配置された複数の接着部232a,232bを有している。各接着部232a,232bは、保護カバー200が周壁部110の外周面に沿うように当該保護カバー200を絞った状態で加熱することによって形成される。複数の接着部232a,232bは、重ね合わせ接着部232aと、折畳み接着部232bと、を有している。
【0044】
図6に示されるように、重ね合わせ接着部232aは、保護カバー200のうち周方向における切込みの一方側に形成された一方側部a1上に、保護カバー200のうち周方向における切込みの他方側に形成された他方側部a2が重ね合わされた状態で、他方側部a2の裏側接着層202を介して一方側部a1と他方側部a2とが互いに接着することによって形成されている。各重ね合わせ接着部232aは、保護カバー200が周壁部110の外周面に沿うように当該保護カバー200が絞られたときに一方側部a1上に他方側部a2が重なり、かつ、その重なった部位同士の接着によって形成されている。
【0045】
図3に示されるように、重ね合わせ接着部232aの上端部(切込みの上端部)は、周壁部110の上端部と同じかそれよりも高く、かつ、口部100の上面121よりも低い位置に形成されていてもよい。本実施形態では、重ね合わせ接着部232aの上端部は、角部123に位置している。すなわち、重ね合わせ接着部232aの上端部は、平面視において視認できない位置に設定される。
【0046】
図7に示されるように、折畳み接着部232bは、基材層201が折り畳まれた状態で裏側接着層202同士が互いに接着することによって形成されている。より詳細には、各折畳み接着部232bは、基材層201が折り畳まれること(皺や襞となること)によって裏側接着層202同士が互いに接する部位が形成され、かつ、その部位同士が互いに接着することによって形成されている。
【0047】
摘まみ領域234は、接着領域232の下方に形成されている。摘まみ領域234は、各接着部232a,232bを有していないか、接着領域232における各接着部232a,232bの数よりも少数の接着部を有している。前述のように、摘まみ領域234は、保護カバー200の各角部で構成されている。ただし、上下方向における接着領域232の長さが比較的小さい場合(例えば、1mm~3mm程度の場合)、保護カバー200の各角部に加え、保護カバー200の周縁部のうち各角部間の部位(辺部236等)も摘まみ領域234を構成する。この角部における基材層201上に前記印刷層及び前記オーバーコート層が設けられてもよい。この場合、印刷層は、当該角部が摘まみとなる部分であることを示す表示を含むことが好ましい。このようにすれば、摘まみ領域234のうち摘まみになる部分の認識が容易になる。
【0048】
口部100の内側の空間S1(図4を参照)は、上面被覆部210と上面121との間、下面被覆部220とテーパ部122との間、及び、接着領域232のうち前記周方向に各接着部232a,232bに隣接する隣接部232c(図6及び図7を参照)と周壁部110の外周面との間を介して口部100の外側の空間S2(図4を参照)と連通している。また、基材層201及び裏側接着層202は、通気可能(特に水蒸気透過が可能)である。このため、前記空間S1で生じた水蒸気が有効に前記空間S2に抜ける。
【0049】
次に、図8図12を参照しながら、保護カバー付き口部10の製造方法(口部100に保護カバー200を取り付ける方法)について説明する。保護カバー付き口部10の製造方法は、準備工程と、押し付け工程と、折り曲げ工程と、退避工程と、接着部形成工程と、を備えている。
【0050】
準備工程では、周壁部110を含む口部100と、基材層201及び裏側接着層202を含む保護カバー200と、が準備され、図8に示されるように、口部100の上方に保護カバー200が位置決めされる。このとき、保護カバー200は、裏側接着層202が口部100と対向する姿勢で口部100の上方に配置される。
【0051】
押し付け工程では、図9において矢印AR9で示されるように、押し付け具20によって保護カバー200が口部100の上面121に押し付けられる。押し付け具20は、上面121の外径と実質的に等しい外径を有する円柱状に形成されている。ただし、保護カバー200を口部100の上面121に押し付け可能であれば、押し付け具20は、円柱状に限らず、円筒状等に形成されてもよい。押し付け工程の次工程の折り曲げ工程を容易にするために、押し付け工程において、押し付け具20は、加熱されてもよい。
【0052】
折り曲げ工程では、押し付け具20による保護カバー200の押し付けが維持された状態において、図10において矢印AR10で示されるように、リング部材30によって保護カバー200のうち上面121から張り出した部位が下方に折り曲げられる。リング部材30は、フランジ部120の外径よりも大きな内径を有している。リング部材30の内径は、当該リング部材30の内周面とフランジ部120の外端部との間の距離が保護カバー200の厚みの2倍~4倍程度かそれよりも僅かに大きくなるように設定される。折り曲げ工程において、保護カバー200の折り曲げを容易にするとともに、保護カバー200が折り曲げられた状態から戻りにくくするために、リング部材30は、加熱されてもよい。加熱されたリング部材30によって保護カバー200のうち上面121から張り出した部位が下方に折り曲げられた際、基材層201が折り畳まれるとともに裏側接着層202同士が互いに接着されてもよい。この場合における裏側接着層202同士の接着は、保護カバー200の折り曲げ状態が容易に広がらない程度の仮接着状態ないし疑似接着状態である。保護カバー200に形成された切断誘導部Sは、切込みとは異なる構成(ミシン目等)であった場合においても、この折り曲げ工程において、保護カバー200の縁部から口部100の上面121側に向かう切込みとなる。
【0053】
なお、折り曲げ工程において保護カバー200のうち上面121から張り出した部位を下方に折り曲げるのに用いられる部材は、リング部材30に限られない。折り曲げ工程では、円筒状の部材や、周方向に間隔を置いて並ぶように配置された複数の押し下げ部材等が用いられてもよい。
【0054】
退避工程では、押し付け具20による保護カバー200の押し付けが維持された状態において、図11において矢印AR11で示されるように、リング部材30が保護カバー200から離間するまで当該リング部材30を上方に退避させる。なお、保護カバー200をリング部材30によって折り曲げられた状態に確実に維持するために、リング部材30を保護カバー200から離間するまで上方に退避させることなく、次の接着部形成工程で用いられる挟持部材40と緩衝しない位置、つまり、リング部材30の下端部がフランジ部120と前記径方向に重なる位置にリング部材30を位置させておいてもよい。
【0055】
接着部形成工程では、図12において矢印AR12で示されるように、保護カバー200のうち周壁部110の上部と前記径方向に重なる部位231(図11を参照)を、一対の挟持部材40によって絞りながら周壁部110の外周面に押し付ける。図8図11に示されるように、各挟持部材40は、周壁部110の外周面に沿う円弧部42を有している。
【0056】
接着部形成工程では、裏側接着層202が接着性を生じる温度となるように、加熱された円弧部42によって保護カバー200の前記部位231を絞りながら周壁部110の外周面に押し付ける。その結果、図12に示されるように、保護カバー200の前記部位231には、複数の接着部232a,232bが形成される。具体的に、重ね合わせ接着部232aは、前記部位231が円弧部42によって絞られながら周壁部110の外周面に押し付けられる際に一方側部a1上に他方側部a2が重ね合わされるとともに、他方側部a2の裏側接着層202を介して一方側部a1と他方側部a2とが互いに接着することによって形成される。また、各折畳み接着部232bは、前記部位231が円弧部42によって絞られながら周壁部110の外周面に押し付けられる際に基材層201が折り畳まれた部位が複数生じ、かつその折り畳まれた部位で裏側接着層202同士が互いに接着し固定されることによって形成される。これにより、保護カバー200の前記部位231が接着領域232となる。なお、この際、各接着部232a,232bは、周方向に間隔を置いた状態、又は、互いに重なり合った状態で形成される。また、この接着部形成工程では、裏側接着層202同士は熱接着されるが、肉厚の金属等からなる周壁部110の表面は昇温され難いことから裏側接着層202の周壁部110への接着性は生じ難く、また、周壁部110が金属の場合には裏側接着層202及び挟持部材40の温度を調整することで裏側接着層202の周壁部110へ接着を回避することができる。
【0057】
接着部形成工程では、一対の挟持部材40は、保護カバー200の前記部位231の下方に位置する部位233(図11を参照)を周壁部110の外周面に押し付けない。これにより、前記部位233が摘まみ領域234となる。換言すれば、接着部形成工程では、保護カバー200の下端部が摘まみ領域234となるように、保護カバー200のうち前記下端部の上方に位置する部位のみを一対の挟持部材40によって加熱しつつ絞りながら周壁部110の外周面に押し付ける。なお、摘まみ領域234には、折り曲げ工程において形成された接着部232a,232b(仮接着状態ないし疑似接着状態の部位)が存在していてもよいが、摘まみ領域234における接着部232a,232bの数は、接着領域232における接着部232a,232bの数よりも少ない。
【0058】
なお、接着部形成工程において前記部位231を絞るのに用いられる部材は、一対の挟持部材40に限られない。接着部形成工程では、周方向に四分割された円弧部を有し、四つの円弧部が四方から前記部位231を周壁部110の外周面に押し付ける部材や、周方向に間隔を置いて並ぶように配置された多数の押し付け部を有し、各押し付け部が前記部位231を周壁部110の外周面に押し付ける部材等が用いられてもよい。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態の保護カバー付き口部10では、重ね合わせ接着部232aは、一方側部a1上に他方側部a2が重ね合わされた状態で、他方側部a2の裏側接着層202を介して一方側部a1と他方側部a2とが互いに接着することによって形成されているため、当該重ね合わせ接着部232aの接着面積が確保される。このため、保護カバー200によるシール性が高まる。具体的には、重ね合わせ接着部232aを含む保護カバー200を口部100から取り外すのに必要な外力(シール保持力)は、重ね合わせ接着部232aを含まず折畳み接着部232bのみを含む保護カバーを口部100から取り外すのに必要な外力よりも大きくなる。
【0060】
さらに、本実施形態の保護カバー200の開封時には、摘まみ領域234を摘まんで引き上げることにより切込みを開く方向に力が作用することによって保護カバー200が切込みから引き裂かれるため、保護カバー200の開封前の状態に戻すことができず良好な封緘性が得られる。
【0061】
また、保護カバー200のうち接着領域232の下方に、接着部232a,232bを有していないか接着領域232における接着部232a,232bの数よりも少数の接着部232a,232b(仮接着状態ないし疑似接着状態の部位)を有する摘まみ領域234が形成されている。このため、摘まみ領域234の認識及び摘まみ領域234を摘まんで開封することが容易であり、しかも、保護カバー200は単一の部材からなるため、開封後に廃棄される部材が1点のみとなる。また、基材層201として上記の引き裂き性の良いものが用いられることにより、摘まみ領域234を摘まんで開封する際、接着部232a,232bの近傍で容易に引き裂かれるため好ましい。
【0062】
上記実施形態において、図13及び図14に示されるように、保護カバー200に形成された切断誘導部Sは、辺部236に対して45度程度傾斜していてもよい。また、図14に示されるように、一つの辺部に設ける切断誘導部Sの数は、2本でも良く、1本から3本程度が好ましいが、特に限定されない。四つの辺部の全てに切断誘導部Sを設けても良く、各辺部に設ける切断誘導部Sの数が異なっていても良い。さらに、各切断誘導部Sの長さは、互いに異なっていても良い。
【0063】
また、上記実施形態において、図15及び図16に示されるように、保護カバー200は、基材層201の表面に設けられた表側接着層203をさらに有していてもよい。この場合、図15に示されるように、各重ね合わせ接着部232aでは、一方側部a1の表側接着層203と他方側部a2の裏側接着層202とが互いに接着されている。そして、図16に示されるように、各折畳み接着部232bでは、表側接着層203同士も互いに接着されている。このため、意図せず各接着部232a,232bが剥離することが抑制される。このような保護カバー200として、表裏両面が熱接着性を有するセロファン(セロファンからなる基材層201と、アクリル系樹脂や塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等からなる裏側接着層202と、アクリル系樹脂や塩化ビニル酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等からなる表側接着層203と、を有するもの、紙基材の表側に裏面側接着層と熱接着性を有する前記エマルジョンやディスパージョン等からなる接着層を塗布したもの)が挙げられる。この保護カバー200では、表面側の水濡れ等に対する耐水性も得られる。なお、耐水性を向上させるため、表側接着層203に防水性や撥水性に優れた材料を用いることができる。保護カバー200が表側接着層203を有する場合は、表側接着層203が挟持部材40に接するため、表側接着層203として、裏側接着層202よりも融点等の接着剤活性化温度が高いものを用いることが好ましい。
【0064】
また、保護カバー200は、いわゆるヒートシール紙(低融点の樹脂繊維を含有する紙)で構成されてもよい。この場合、紙が基材層201を構成し、低融点の樹脂繊維が裏側接着層202を構成する。
【0065】
また、接着領域232では、周方向の全域にわたって裏側接着層202同士が互いに隣接されていてもよい。また、下面被覆部220の少なくとも一箇所に、重ね合わせ接着部232aや折畳み接着部232bが形成されてもよい。
【0066】
(第2実施形態)
次に、図17及び図18を参照しながら、本発明の第2実施形態における保護カバー付き口部を含む缶容器について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0067】
本実施形態では、缶容器2は、アルミニウムやスチール等の金属からなる缶容器本体(飲料缶や食品缶等)6と、保護カバー200と、を備えている。図17において矢印AR17で示されるように、保護カバー200が缶容器本体6に上方から取り付けられる。このときの取付け工程は、第1実施形態と同様である。
【0068】
缶容器本体6は、胴部170と、胴部170の上端部に接続された口部100と、を有している。口部100は、周壁部110と、上壁部140と、環状突部150と、拡径部160と、を有している。
【0069】
上壁部140は、周壁部110内を閉塞している。上壁部140には、取出部142が設けられている。なお、図17には、取出部142の一例として、ステイオンタブ型のものが示されている。
【0070】
環状突部150は、缶容器2の容器部材の上部開口に蓋部材の周縁を巻締装着した巻締部分であり、周壁部110の上端部から上方かつ側方に突出するとともに、環状につながる形状を有している。本実施形態では、この環状突部150の上面が口部100の上面121を構成している。
【0071】
拡径部160は、周壁部110の下端部から下方に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有している。拡径部160は、周壁部110と胴部170とを連結している。この拡径部160の側方に摘まみ領域234が位置している。
【0072】
なお、上述した実施形態及びその変形例において開示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、相互に組み合わせることが可能である。
【0073】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0074】
上記実施形態における保護カバー付き口部は、容器の上部に設けられた口部と、前記口部を保護する保護カバーと、を備え、前記保護カバーは、基材層と、前記基材層の裏面に設けられた裏側接着層と、を含み、前記保護カバーには、当該保護カバーの縁部から前記口部の上面側に向かって切込みが形成されており、前記口部は、円筒状に形成された周壁部を有し、前記保護カバーは、前記口部の上面を被覆する上面被覆部と、前記周壁部の外周面を被覆する周壁部被覆部と、を有し、前記周壁部被覆部は、前記周壁部の周方向に間隔を置いて、又は、重なり合って配置された複数の接着部を有し、前記複数の接着部は、前記保護カバーのうち前記周方向における前記切込みの一方側に形成された一方側部上に、前記保護カバーのうち前記周方向における前記切込みの他方側に形成された他方側部が重ね合わされた状態で、少なくとも前記他方側部の前記裏側接着層を介して前記一方側部と前記他方側部とが互いに接着することによって形成された重ね合わせ接着部を含む。
【0075】
この保護カバー付き口部では、重ね合わせ接着部は、一方側部上に他方側部が重ね合わされた状態で、少なくとも他方側部の裏側接着層を介して一方側部と他方側部とが互いに接着することによって形成されているため、当該重ね合わせ接着部の接着面積が確保される。このため、保護カバーによるシール性が高まる。さらに、保護カバーの開封時には、摘まみ領域を摘まんで引き上げることにより切込みを開く方向に力が作用することによって保護カバーが切込みから引き裂かれるため、保護カバーの開封前の状態に戻すことができず良好な封緘性が得られる。
【0076】
また、前記保護カバーは、前記基材層の表面に設けられた表側接着層をさらに有していてもよい。この場合において、前記重ね合わせ接着部では、前記一方側部の前記表側接着層と前記他方側部の前記裏側接着層とが互いに接着されていることが好ましい。
【0077】
このようにすれば、保護カバーによるシール性がより高まる。
【0078】
また、前記保護カバーの周縁部は、互いに対向する一対の辺部と、前記一対の辺部につながった摘まみ部と、を有し、前記切込みは、前記辺部に形成されていることが好ましい。さらに、前記保護カバーが四つの前記辺部を有する場合は、各辺部に一つ以上の前記切込みを設けることが良く、切込の数は、例えば各辺部に1から3である。
【0079】
この態様では、摘まみ部を摘まんで保護カバーを取り外す際、いずれかの辺部に形成された切込みを引き裂く方向に力が作用するため、保護カバーの取外しが容易になるとともに、保護カバーの開封前の状態に戻すことができず良好な封緘性が得られる(タンパー性が高まる)。
【0080】
また、前記切込みの上端部は、前記周壁部の上端部と同じかそれよりも高く、かつ、前記口部の前記上面よりも低い位置に形成されていることが好ましい。
【0081】
このようにすれば、一方側部と他方側部との接着面積、すなわち、保護カバーによるシール性を高めつつ、切込みを介して埃等が口部内に入り込むことが抑制される。
【0082】
また、前記複数の接着部は、前記基材層が折り畳まれており、かつ、前記裏側接着層同士が互いに接着することによって形成された折畳み接着部をさらに含んでいてもよい。
【0083】
この場合において、前記折畳み接着部では、前記表側接着層同士も互いに接着されていることが好ましい。
【0084】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 樽型容器、2 缶容器、5 容器本体、5a 天板部、6 缶容器本体、10 保護カバー付き口部、100 口部、110 周壁部、120 フランジ部、121 上面、122 テーパ部、123 角部、130 接続部、200 保護カバー、201 基材層、202 裏側接着層、203 表側接着層、210 上面被覆部、220 下面被覆部、230 周壁部被覆部、232 接着領域、232a 重ね合わせ接着部、232b 折畳み接着部、232c 隣接部、234 摘まみ領域、AX 中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18