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特開2023-107393照明制御システムおよびコントローラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107393
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】照明制御システムおよびコントローラ
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20230727BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20230727BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20230727BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20230727BHJP
   H05B 47/125 20200101ALI20230727BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/16
H05B47/11
H05B47/19
H05B47/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008568
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 祐也
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA17
3K273QA28
3K273QA29
3K273QA31
3K273QA39
3K273RA02
3K273RA03
3K273RA16
3K273SA02
3K273SA04
3K273SA19
3K273SA21
3K273SA36
3K273SA38
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA29
3K273TA30
3K273TA46
3K273TA49
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA02
3K273UA12
3K273UA13
3K273UA14
3K273UA15
3K273UA17
3K273UA19
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】コントローラ側の設定により、複数の照明器具の点灯状態の変化を同時に完了させることができる照明制御システムおよびコントローラを得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明制御システムは、複数の照明器具と、複数の照明器具に制御信号を順番に送信して、前記複数の照明器具を制御する親機と、を備え、前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する時間差に基づいて、前記複数の照明器具のフェード時間、または、前記複数の照明器具が前記制御信号を受信してから前記制御信号に基づく制御を開始するまでの制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具と、
複数の照明器具に制御信号を順番に送信して、前記複数の照明器具を制御する親機と、
を備え、
前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する時間差に基づいて、前記複数の照明器具のフェード時間、または、前記複数の照明器具が前記制御信号を受信してから前記制御信号に基づく制御を開始するまでの制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する前記時間差に基づいて前記フェード時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記親機は、前記複数の照明器具に予め定められた送信間隔で前記フェード時間の情報を含む前記制御信号を順番に送信し、前記複数の照明器具の数と前記送信間隔とに基づいて前記フェード時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とする請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を順番に送信している途中で割り込みによる通信を行った場合、前記フェード時間を再度調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とする請求項2または3に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する前記時間差に基づいて前記制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する前記時間差に基づいて前記制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に開始させることを特徴とする請求項5に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記親機は、前記複数の照明器具に予め定められた送信間隔で前記制御待ち時間の情報を含む前記制御信号を順番に送信し、前記複数の照明器具の数と前記送信間隔とに基づいて前記制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とする請求項5または6に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を順番に送信している途中で割り込みによる通信を行った場合、前記制御待ち時間を再度調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とする請求項5から7の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記フェード時間に基づき前記複数の照明器具の点灯状態の変化を同時に完了させるか、前記制御待ち時間に基づき前記複数の照明器具の点灯状態の変化を同時に完了させるか、は切り替え可能であることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記複数の照明器具は複数のグループに属し、
前記親機は、前記複数のグループに前記制御信号を順番に送信して、前記複数の照明器具を制御することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項11】
前記親機は、スケジュール情報または使用頻度についての学習データに基づき、前記複数の照明器具の点灯状態の変化を同時に完了させる制御を有効または無効にすることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項12】
複数の照明器具に制御信号を順番に送信して、前記複数の照明器具を制御し、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する時間差に基づいて、前記複数の照明器具のフェード時間、または、前記複数の照明器具が前記制御信号を受信してから前記制御信号に基づき制御を開始するまでの制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることを特徴とするコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムおよびコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、グループ制御の対象となる複数の負荷を時間差なく同時に動作させることを可能にする照明制御システムが開示されている。この照明制御システムにおいて、制御端末器は、それぞれ固有な個別アドレスを設定する個別アドレス設定部と、複数台の制御端末器で共通な一斉制御アドレスを設定する一斉制御アドレス設定部とを備える。グループ制御の対象となる制御端末器は一斉制御アドレスが共通に設定される。グループ調光用の操作端末器のアップスイッチ又はダウンスイッチが押操作された場合、伝送制御装置から一斉制御アドレスを含む伝送信号が信号線に送出される。各制御端末器は、ほぼ同時にその伝送信号を受け取って照明負荷の調光レベルを変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-12242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数の照明負荷をまとめたグループ単位で制御を行う。ここで、複数のエリアを一斉に制御したい場合には、複数のグループを更にまとめて制御単位とする必要がある。このようなシステムにおいて、一括制御したいグループの範囲を変更したい場合には、各照明負荷に設定された一斉制御アドレスを変更する必要があり、システムの更新範囲が大きく、手間がかかるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、コントローラ側の設定により、複数の照明器具の点灯状態の変化を同時に完了させることができる照明制御システムおよびコントローラを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明制御システムは、複数の照明器具と、複数の照明器具に制御信号を順番に送信して、前記複数の照明器具を制御する親機と、を備え、前記親機は、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する時間差に基づいて、前記複数の照明器具のフェード時間、または、前記複数の照明器具が前記制御信号を受信してから前記制御信号に基づく制御を開始するまでの制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。
【0007】
本開示に係るコントローラは、複数の照明器具に制御信号を順番に送信して、前記複数の照明器具を制御し、前記複数の照明器具に前記制御信号を送信する時間差に基づいて、前記複数の照明器具のフェード時間、または、前記複数の照明器具が前記制御信号を受信してから前記制御信号に基づき制御を開始するまでの制御待ち時間を調整して、前記複数の照明器具の前記制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る照明制御システムでは、親機であるコントローラが、複数の照明器具に制御信号を送信する時間差に基づいて、複数の照明器具のフェード時間または複数の照明器具の制御待ち時間を調整して、複数の照明器具の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。従って、コントローラ側の設定により、複数の照明器具の点灯状態の変化を同時に完了させることができる。
本開示に係るコントローラは、複数の照明器具に制御信号を送信する時間差に基づいて、複数の照明器具のフェード時間または複数の照明器具の制御待ち時間を調整して、複数の照明器具の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。従って、コントローラ側の設定により、複数の照明器具の点灯状態の変化を同時に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明制御システムを示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る通信シーケンスを示す図である。
図3】実施の形態1に係るコントローラを示すブロック図である。
図4】実施の形態2に係る通信シーケンスを示す図である。
図5】実施の形態3に係る通信シーケンスを示す図である。
図6】実施の形態4に係る通信シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各実施の形態に係る照明制御システムおよびコントローラについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100を示すブロック図である。コントローラ1は、例えば照明制御盤内または天井に設置される。コントローラ1は、接続された端末機器からの情報収集および照明器具2の照明状態を変化させる制御を行う。また、コントローラ1は、上位システムへ情報を伝送し、上位システムからの制御指令を実行する。
【0012】
端末機器には複数の種類がある。図1の例では、端末機器として照明器具2、照度センサ3、人感センサ4、壁スイッチ5が示されている。それぞれの端末機器は1台であっても良く、複数台であっても良い。また、端末機器の組合せを変更しても良い。コントローラ1と端末機器との通信手段は有線通信または無線通信である。コントローラ1は、端末機器から取得した入力情報と、あらかじめコントローラ1に設定されている目標値などの設定情報より、照明器具2のオン、オフ、調光、色温度制御などを行う。
【0013】
照明器具2は、コントローラ1と信号の送受信を行う。照明器具2は、コントローラ1からオン、オフ、調光率、色温度を示す制御信号を受信することで、照明状態を変化させる。照明器具2は、受信した制御信号を変換してLED電源等に伝送する制御ユニットを内部に搭載していても良い。また、照明器具2が有するLEDの駆動電源装置が、直接制御信号の送受信を行っても良い。
【0014】
照度センサ3は、主に天井に設置される。照度センサ3は、対象エリアの机上面または床面等からの反射光を受光部で検出する。照度センサ3は、入力された光の量を電気信号に変換し、相対的に照度値を測定する。照度センサ3は、測定した照度値データをコントローラ1へ送信する。コントローラ1は受信した照度値データと、予め設定された目標照度とを照合して、照度センサ3の照度値が目標照度に近づくように照明器具2に対して調光指令を送信する。なお、カメラによる撮像データを使用した画像センサによって対象エリアの明るさを検出し、検出した明るさから基準照度に基づく相対的な照度を算出することで照度センサ機能を実現しても良い。
【0015】
人感センサ4は、主に天井に設置される。人感センサ4は、対象エリアに人が存在するか否かを検出してコントローラ1に通知する。これにより、コントローラ1は人が存在する場合に照明器具2を点灯する処理、または、人が不在になった場合に照明器具2を消灯する処理を行う。人体検出機能は、赤外線による検出で実現しても良い。また、カメラによる撮像データに基づき、独自のアルゴリズムにより対象エリアにおける人の在、不在、移動、通過などを検出することで人体検出機能を実現しても良い。
【0016】
壁スイッチ5は、例えば一般ユーザーの手が届く壁面に設置される。壁スイッチ5が有する各スイッチには、予め照明器具2のアドレス番号またはグループ番号を単位としたオンオフ制御、調光制御、色温度制御等が設定されている。また、各スイッチには、複数グループのオン、オフ、調光率、色温度の制御パターンの組み合わせが設定されていても良い。ユーザーがスイッチを押下することで、これらの制御が可能となる。
【0017】
設定器6は、各端末機器の動作に関する各種設定およびモニタを実施できる。設定器6は、コントローラ1または端末機器と、赤外線通信などによって直接送受信しても良い。設定器6は、コントローラ1と各端末機器が繋がる有線通信または無線通信に接続されても良い。設定器6は、コントローラ1と上位システムが繋がる通信ラインに接続されても良い。設定器6は、ワイヤレスリモコン、パソコン、モバイル端末等によって実現できる。
【0018】
ゲートウェイ装置7は、コントローラ1が制御情報を上位システムに伝送する場合、または、上位システムからコントローラ1に対して制御指令が送られる場合に、照明制御システム100の通信形態と上位システムの通信形態とを変換する。上位システムの通信形態は、例えばオープン規格であるBACnetである。これにより、照明器具2の状態または各種センサの検出状況を、上位の管理システムまたは他設備に通知することができる。
【0019】
中央管理装置8によって、照明制御システム100の監視および照明器具2の状態の操作を行う。中央管理装置8は、例えばBACnet通信によってゲートウェイ装置7から照明制御システム100内の状態をモニタして監視することができる。また中央管理装置8は、例えばBACnet通信によってゲートウェイ装置7から照明制御システム100に制御指令を発信することができる。また、照明制御システム100が外部の空調システムまたはセキュリティシステムと通信することで、照明制御システム100と他のシステムとが連動した制御が可能となる。
【0020】
本実施の形態の照明制御システム100は複数の照明器具2を備える。各照明器具2を個別に管理するために、複数の照明器具2にはアドレスまたは回路番号といった個別の識別番号が設定される。ここでは、照明器具2に個別アドレスが設定されるものとする。予め各照明器具2には識別用のユニークなアドレスが設定され、このアドレスに基づき個別アドレスを任意または自動で設定しても良い。また、照明器具2に赤外線通信機能等を設け、設定器6によって個別アドレスを任意に設定しても良い。
【0021】
コントローラ1は、個別アドレスを宛先とした制御指令コマンドによって、照明器具2を1台ずつ個別に動作させても良い。また、複数台の照明器具2をグルーピングし、グループ番号を宛先とした制御指令コマンドをコントローラ1から送信することで、共通のグループに設定された照明器具2を同時に制御できる。
【0022】
個別アドレスおよびグループ番号はコントローラ1から照明状態を変化させることに限らず、照度センサ3または人感センサ4と照明器具2を関連付けるために使用されても良い。例えば、人感センサ4が在または不在を検出すると、その人感センサ4と同じグループに設定された照明器具2を制御するように関連付けを行っても良い。また、照度センサ3が検出した明るさが変化した場合に、その照度センサ3と同じグループに設定された照明器具2の明るさを変化させるように関連付けを行っても良い。
【0023】
壁スイッチ5の各ボタンに個別アドレスまたはグループ番号を割付けることで、ボタンが押された時に、そのボタンに割付けられた個別アドレスまたはグループ番号が設定されている照明器具2が制御される。
【0024】
複数のグループをまとめて制御したい場合には、例えばゾーンという制御単位を用いても良い。任意に各ゾーン番号に含める複数のグループ番号を設定できる。壁スイッチ5にゾーン番号を割付けること、または、設定器6または上位システムからゾーンを制御単位としたオン、オフ操作を行うことで、コントローラ1は該当するゾーンに含まれるグループを順に制御する。これにより、複数のグループを一括で制御できる。
【0025】
また、例えば複数のグループの調光状態が設定されたパターンという制御単位を用いても良い。パターンには、任意にグループ毎に異なる調光率等を設定することができる。これにより、複数のグループの制御状態を一括で変更することができる。
【0026】
ゾーン番号およびパターン番号は複数設定できる。コントローラ1は各ゾーン番号および各パターン番号に該当するグループ番号をデータテーブルとして記憶する。本実施の形態では、例えばゾーン制御のように、複数のグループに属する照明器具2の点灯状態が制御される際に、複数のグループが順次制御されていることが視覚上分からないようにする。つまり、複数の照明器具2の変化を同時に完了させる。
【0027】
図2は、実施の形態1に係る通信シーケンスを示す図である。なお、以下で示される数値は一例である。親機であるコントローラ1は、複数の照明器具2に制御信号を順番に送信して、複数の照明器具2を制御する。図2の例では、複数の照明器具2は複数のグループ1~50にそれぞれ属している。コントローラ1は、複数のグループに制御信号を順番に送信することで、複数の照明器具2を制御する。これに限らず、コントローラ1は、照明器具2の個別アドレスを宛先として複数の照明器具2に制御信号を順番に送信して、複数の照明器具2を制御しても良い。
【0028】
図2に示される例では、コントローラ1は、複数の照明器具2が属するグループ1~50に対して、順に制御信号として消灯信号を送信する。なお、図2においてグループ4~49は便宜上省略されている。各グループに属する照明器具2は1つ以上であればよい。
【0029】
照明制御システム100では、フェード時間の設定およびフェード制御が可能である。フェード制御では、照明器具2の調光率または色温度を段階的または連続的に変化させる。フェード時間は、照明器具2の点灯状態が変化し始めてから変化が完了するまでに要する時間である。フェード時間を指定することで、照明器具2はフェード時間に従って点灯状態を段階的または連続的に変化させる。フェード時間における段階的な変化は、滑らかで連続的な変化であることが望ましい。しかし、細かく制御できない場合には、段階的な変化が視認できてもよい。フェード時間は、照明器具2に予め設定されている場合と、コントローラ1からの制御信号にフェード時間のデータを含める場合がある。本実施の形態では、後者を適用している。
【0030】
例えば、消灯状態の照明器具2に対し、100%点灯させる制御信号と共にフェード時間を10秒として指定するデータを送信したとする。この場合、照明器具2は、消灯状態から10秒かけて段階的に100%点灯の状態に変化する。フェード時間として、調光率または色温度の時間に対する傾きを指定しても良い。傾きを指定する場合、例えば調光率が100%変化するのに要する時間を10秒に設定すると、調光率50%から100%には5秒で変化する。本実施の形態では前者のようにフェード時間として傾きでは無く時間を指定した例を説明する。
【0031】
図2の例では、コントローラ1のデータベースにおいて、ゾーン番号1にはグループ番号1~50が登録されているとする。コントローラ1は壁スイッチ5等からゾーン番号1の制御指令を受信すると、ゾーン番号1にグループ番号1~50が登録されていることを確認する。その後コントローラ1は、複数のグループ1~50に予め定められた送信間隔で制御信号を順番に送信する。送信間隔は例えば0.1秒である。このとき、グループ1~50まで順に制御信号を発信すると5秒経過する。また、コントローラ1には、予め最短フェード時間が設定されている。最短フェード時間は、最後に制御信号を受信するグループ50における目標とするフェード時間である。最短フェード時間は、例えば1.0秒である。
【0032】
コントローラ1は、制御対象のゾーンに属するグループ数、送信間隔および最短フェード時間から、複数のグループの制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させるように、各グループのフェード時間を算出する。コントローラ1は、グループ1に対しては5.9秒、グループ2には5.8秒、グループ3には5.7秒のフェード時間を指定する。このように、コントローラ1は0.1秒間隔で、制御信号で指定するフェード時間を減少させる。これにより、最後のグループ50のフェード時間は最短フェード時間である1.0秒となる。
【0033】
これにより、先に制御信号を受信した照明器具2ほど長いフェード時間で消灯する。よって、複数のグループに送信する制御信号の送信間隔によって発生する制御完了のタイミング差を解消できる。つまり、最後に制御信号を受信したグループ50がフェード時間1.0秒で消灯するのと同時に、グループ1からグループ49までの照明器具2も消灯する。
【0034】
このように、本実施の形態のコントローラ1は、複数の照明器具2に制御信号を送信する時間差に基づいてフェード時間を調整して、複数の照明器具2の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。コントローラ1は、複数の照明器具2に予め定められた送信間隔でフェード時間の情報を含む制御信号を順番に送信する。コントローラ1は、複数の照明器具2の数と送信間隔とに基づいてフェード時間を調整して、複数の照明器具2の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。
【0035】
従って、使用者に複数の照明器具2が一斉に変化するように感じさせることができ、利用者の視覚上の違和感を抑制して、視覚上の快適さを向上できる。なお、本実施の形態ででは複数の照明器具2の制御開始時間には時間差が生じる。また、ここで言う複数の照明器具2の数は、制御信号を送信する回数に該当し、制御信号をグループ番号宛てに送信する場合はグループの数を意味する。
【0036】
また、本実施の形態では、例えばフロアの複数のグループに属する照明器具2を一斉に制御したい場合に、照明器具2側のアドレスまたはグループを変更する必要はない。つまり、コントローラ側の設定により、複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させることができる。従って、照明制御システム100の設定を容易にできる。
【0037】
コントローラ1が送信する制御信号の送信間隔は、照明制御システム100として固定値であっても良く、設定器6等から変更できても良い。また、最短フェード時間についても、設定器6等から管理者が容易に変更できる。
【0038】
また、ゾーン制御またはパターン制御以外にも上位システムから複数のグループ番号に対する制御指令が連続的に発信される場合がある。この場合、コントローラ1は、上位システムから制御指令を順次受信する度に、制御指令を下位側のシステムに反映させるように、照明器具2に対して順次制御信号を発信する。このような上位システムからの制御に基づき本実施の形態の点灯状態の変化を同時に完了させる制御を行う場合、上位システムからの最初の制御指令に制御対象となるグループ数のデータを含めても良い。これにより、コントローラ1に制御対象となるグループ数を通知できる。コントローラ1は取得したグループ数を基に、ゾーン制御の場合と同様に、各グループのフェード時間を算出できる。
【0039】
もしくは、上位システムからの複数の制御指令のうち、最後の制御指令にのみ送信完了を示すデータを含ませても良い。コントローラ1は、送信完了を示すデータを含む制御指令を受信するまでは、照明器具2への制御信号を送信しない。コントローラ1は、送信完了を示すデータを含む制御指令を受信した時点で、それまでに上位システムから受信した制御指令において制御対象となったグループ数を算出する。これにより、コントローラ1はグループ数を把握でき、ゾーン制御の場合と同様に、各グループのフェード時間を算出できる。
【0040】
本実施の形態の点灯状態の変化を同時に完了させる制御は、コントローラ等が管理するスケジュール制御に基づき実施されても良い。この場合、コントローラ1が制御対象のグループ数を管理すれば良いため、上位システムからの制御指令に基づく制御よりも、容易に制御を実施できる。
【0041】
また、例えば人感センサ4による制御の有効/無効を切替える設定においても、間接的に照明状態を変化させる場合がある。例えば、人感センサ4による制御が無効な状態で、各グループの照明器具2が点灯しているとする。このとき、管理者の操作またはスケジュール制御によって、人感センサ4による制御が無効から有効に切り替わった場合、人感センサ4が人の存在を検出しているグループは点灯を継続する。一方で、人感センサ4が人の不在を検出しているグループは、人感センサ4による制御が有効になった時点で消灯制御される。
【0042】
このように、人感センサ4による制御の有効、無効の切替え等の設定値の変更に基づく照明状態の変化についても、本実施の形態の点灯状態の変化を同時に完了させる制御が実施されても良い。このような設定値の変更は、スケジュール制御によって行われることが多い。コントローラ1が管理するスケジュール制御であれば、コントローラ1が制御対象となるグループ数を把握できる。一方、上位システムから設定値が変更される場合、上位システムは最初の制御指令に制御対象のグループ数のデータに含めてコントローラ1に送信しても良い。また、上位システムは、最後の制御指令に送信完了を示すデータを含めても良い。これにより、コントローラ1が制御対象のグループ数を把握できる。
【0043】
図3は、実施の形態1に係るコントローラ1を示すブロック図である。制御部1aは例えばマイコンまたはプロセッサである。制御部1aは、コントローラ1が実施する各種制御を行う。不揮発性記憶部1bには制御部1aにおける制御のための各種設定値が保存される。不揮発性記憶部1bは、コントローラ1の電源がオフされた後、再起動した際にも設定値を保持している。揮発性記憶部1cは、コントローラ1または端末機器の状態情報を保存する。状態情報は常に変化する。このため、不揮発性記憶部1bには保存せず、読み書きの回数に制限のない揮発性記憶部1cに保存すると良い。揮発性記憶部1cのデータはコントローラ1の電源がオフされた場合には、リセットされ初期値に戻る。日時情報管理部1dには年月日、曜日、時刻情報等が保持されている。制御部1aは、予め設定されたスケジュール情報によって制御を行う場合などに、日時情報管理部1dから現在日時を取得する。
【0044】
上位通信部1eはゲートウェイ装置7と接続される。これによりコントローラ1は、上位システムと双方向通信を行う。ゲートウェイ装置7と上位通信部1eは、例えばEthernet(登録商標)等で通信する。赤外線通信部1fは、設定器6と赤外線による双方向通信を行う。赤外線通信部1fによって、設定器6から各種設定、操作、状態モニタなどが実施できる。設定器6との通信手段は、赤外線通信に限らず、その他の無線通信または有線通信であっても良い。有線通信部1gは、照明器具2等の端末機器と接続される。端末機器との通信は有線に限らず、無線通信であっても良い。制御部1aは、照明器具2に対して制御信号を送信する場合、または端末機器の状態をモニタする場合に、有線通信部1gを介して端末機器と双方向通信を行う。
【0045】
制御部1aは、設定器6または上位システムからゲートウェイ装置7を介して、送信間隔または最短フェード時間を受信すると、不揮発性記憶部1bにデータを保存する。また、初期設定として、各端末機器の個別情報またはグループ番号、ゾーン番号などの割付け情報についても、不揮発性記憶部1bに保存される。これにより、コントローラ1は、照明器具2の数またはグループ数に該当する制御信号を送信する回数を把握できる。
【0046】
例えば、上位システムからゾーン制御の指令があった場合、制御部1aは上位通信部1eを介して制御指令を受信する。制御部1aは、該当するゾーン番号に割付けられたグループ番号を不揮発性記憶部1bから抽出する。また制御部1aは、不揮発性記憶部1bから送信間隔、最短フェード時間を抽出する。さらに制御部1aは、送信間隔、最短フェード時間およびグループ数から、各グループのフェード時間を算出する。制御部1aは、算出したフェード時間の情報を含んだ制御信号を、有線通信部1gを介して送信する。
【0047】
制御信号では、宛先としてグループ番号または個別アドレスが指定され、例えば調光率、色温度、フェード時間がデータとして含まれる。照明器具2は、予め設定されたグループ番号または個別アドレスと、制御信号に含まれる宛先情報が一致した場合には、制御信号のデータに従って点灯状態を変化させる。
【0048】
制御部1aは、不揮発性記憶部1bの保存データを毎回参照するのではなく、コントローラ1が起動した際に不揮発性記憶部1bの保存データを一時的に揮発性記憶部1cに保存して使用しても良い。
【0049】
図2では消灯制御を例に説明したが、点灯制御、調光、調色をする際に本実施の形態の点灯状態の変化を同時に完了させる制御を行っても良い。この際、点灯状態の変化の完了時における複数の照明器具2の調光率、色温度は、同じであっても異なっていても良い。
【0050】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明制御システムおよびコントローラについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明制御システムおよびコントローラについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0051】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る通信シーケンスを示す図である。照明制御システム100の構成は実施の形態1と同様であり、ゾーン番号1にはグループ番号1~50が登録されている。また、送信間隔は0.1秒である。本実施の形態では、グループ番号1~50についてフェード時間は全て同じであり、例えば1.0秒である。本実施の形態では、複数のグループが制御信号を受信してから制御信号に基づく制御を開始するまでの制御待ち時間を調整して、複数のグループの制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる点が実施の形態1と異なる。また、複数のグループは制御信号に基づく制御を同時に開始する。
【0052】
コントローラ1は、複数のグループの制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に開始および完了させるように、複数のグループの数と送信間隔とに基づいて各グループの制御待ち時間を算出する。最後のグループ50が制御信号を受信する4.9秒前に、グループ1が制御信号を受信する。このため、グループ1は4.9秒、グループ2には4.8秒、グループ3には4.7秒の制御待ち時間を設定する。このように、0.1秒間隔で制御信号に含める制御待ち時間のデータを減少させていく。最後のグループ番号50の制御待ち時間は0秒となる。
【0053】
照明器具2は、制御信号の受信後、制御待ち時間だけ点灯状態を変化させない。各照明器具2は、制御信号を受信してから制御待ち時間の経過後に、制御信号に基づく制御を開始する。これにより、最後に制御信号を受信したグループ50が点灯状態の変化を開始するタイミングにおいて、グループ1~49も点灯状態の変化を開始する。また、全グループに同じフェード時間が設定されているため、グループ1~50までの全ての照明器具2の状態変化が同時に完了する。
【0054】
このように本実施の形態では、親機であるコントローラ1は、複数の照明器具2に制御信号を送信する時間差に基づいて、複数の照明器具2が制御信号を受信してから制御信号に基づく制御を開始するまでの制御待ち時間を調整する。これによりコントローラ1は、複数の照明器具2の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に開始および完了させる。コントローラ1は、複数の照明器具2に予め定められた送信間隔で制御待ち時間の情報を含む制御信号を順番に送信する。コントローラ1は、複数の照明器具2の数と送信間隔とに基づいて制御待ち時間を調整して、複数の照明器具2の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に開始および完了させる。
【0055】
従って、実施の形態1と同様に、コントローラ1側の設定により、複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させることができる。また、本実施の形態では、複数のグループの制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に開始させることができる。このため、利用者の視覚上の違和感をさらに抑制できる。
【0056】
本実施の形態では、フェード時間を0秒に設定し、フェードがない制御を行っても良い。また、送信間隔と同様に、フェード時間についても、管理者が設定器6等から容易に変更できる。また、実施の形態1と同様に、上位システムからの制御によって本実施の形態の点灯状態の変化を同時に完了させる制御を実施したい場合には、制御対象となるグループ数を最初の制御指令に含めて送信しても良い。また、実施の形態1と同様に、上位システムからの最後の制御指令に送信完了を示すデータを含ませても良い。これにより、コントローラ1が制御対象のグループ数を把握できる。
【0057】
また、実施の形態1と同様に、本実施の形態の点灯状態の変化を同時に完了させる制御は、コントローラ等が管理するスケジュール制御に基づき実施されても良い。また、実施の形態1と同様に、人感センサ4による制御の有効、無効の切替え等の設定値の変更に基づく照明状態の変化についても、本実施の形態の点灯状態の変化を同時に完了させる制御が実施されても良い。
【0058】
実施の形態1では、フェード時間によって制御タイミングを調整した。このとき、調光率、色温度の傾きを指定するフェード時間ではなく、現在の調光率、色温度から目的の調光率、色温度に到達するまでの時間を定義したフェード時間が適用されることが好ましい。これにより、例えば、複数のグループの調光率または色温度の状態が異なったとしても、制御完了のタイミングを同時にすることができる。実施の形態1の制御は、照度センサ3による制御またはグループ毎の個別の制御等によって、複数のグループの照明器具2の状態が異なる場合に効果が表れ易い。
【0059】
これに対し本実施の形態では、複数のグループのフェード時間は共通である。このとき、複数のグループの現在の調光率、色温度が同一であれば、調光率、色温度の傾きを指定するフェード時間が適用できる。これにより、複数のグループで調光率、色温度の変化速度を揃えて、複数の照明器具2を視覚上の違和感を抑制して制御できる。また、複数のグループの現在の調光率、色温度が異なる場合は、傾きを指定したフェード時間ではなく、時間を定義したフェード時間を使用すると良い。この場合、複数のグループの現在の調光率、色温度が異なっても、同時に制御を開始し、同時に制御完了させることができる。このとき、複数のグループで点灯状態の変化速度は異なるが、開始と完了タイミングを揃えることにより快適さを向上できる。
【0060】
本実施の形態では、複数の照明器具2が複数のグループに属する例について説明した。このとき、コントローラ1は複数のグループに制御信号を順番に送信することで、複数の照明器具2に制御信号を順番に送信して、複数の照明器具2を制御することとなる。これに限らず、コントローラ1は、個別アドレスを宛先として複数の照明器具2に制御信号を順番に送信して、複数の照明器具2を制御しても良い。
【0061】
実施の形態3
図5は、実施の形態3に係る通信シーケンスを示す図である。コントローラ1は、複数の照明器具2に制御信号を順番に送信している途中で割り込みによる通信を行った場合、フェード時間を再度調整する。これによりコントローラ1は、複数の照明器具2の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0062】
実施の形態1のように複数のグループに制御信号を順番に送信している途中で、他の優先度の高い処理が入った場合、優先度の高い処理を先行して実行する必要がある。優先度の高い処理は、例えば、利用者による壁スイッチ5の操作による照明器具2の点灯である。フェード時間をグループ毎に算出しても、割込みが入った場合には、タイミングがずれる。このため、割込み前に制御信号を送信したグループと割込み後に制御信号を送信したグループでは、同時に制御を完了できない。そこで、コントローラ1は、割込みによる遅延を挽回するように、割込み後に制御信号を送信するグループのフェード時間を短く再計算する。
【0063】
図5に示される例では、グループ2に制御指令を送信した後に、壁スイッチ5の操作に基づく通信が発生している。この通信には制御信号の送信間隔と同様に0.1秒を要する。この後、グループ3のフェード時間を5.7秒から5.6秒に変更する。つまり、割込みによる制御信号1個分の時間だけ、フェード時間を縮小する。グループ4以降についても、フェード時間を割込み前の算出結果より0.1秒縮小する。最後のグループ50のフェード時間は、最短フェード時間から0.1秒縮小して0.9秒となる。
【0064】
この処理では、予め最短フェード時間として充分な時間が保持されていることが必要である。このため、割込み処理が多く発生する可能性があれば、最短フェード時間を長めに設定すると良い。
【0065】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4に係る通信シーケンスを示す図である。本実施の形態のコントローラ1は、複数の照明器具2に制御信号を順番に送信している途中で割り込みによる通信を行った場合、制御待ち時間を再度調整する。これによりコントローラ1は、複数の照明器具2の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させる。他の構成は実施の形態2と同様である。
【0066】
本実施の形態では、制御待ち時間に加えて、全てのグループに対して保持時間が設定される。保持時間は、制御待ち時間が経過してから、制御信号に基づく制御を開始するまでの時間である。保持時間は例えば1.0秒である。保持時間は制御待ち時間と別のデータとして保存されても良く、制御待ち時間として保持時間を含めた値が保存されても良い。保持時間は、制御待ち時間と共に、制御信号のデータとして複数のグループに送信される。
【0067】
図6の例において、グループ1の制御待ち時間は4.9秒であり、保持時間が1.0秒であるため、合計の待ち時間は5.9秒となる。グループ2では、4.8秒の制御待ち時間と1.0秒の保持時間を合せて、待ち時間は5.8秒となる。グループ3への制御信号の送信前に割込み処理による送信が1個入るとする。割込み前のグループ3の制御待ち時間は4.7秒であり保持時間は1.0秒であったが、割込み処理による0.1秒の遅延を補うために保持時間を0.9秒とする。従って、グループ3の合計の待ち時間は5.6秒となる。最後のグループ50の制御待ちは0秒であり、保持時間は0.9秒であるため、合計の待ち時間は0.9秒となる。
【0068】
このように待ち時間に予め調整のための保持時間を含ませることで、本実施の形態においても、複数の照明器具2の制御信号に基づく点灯状態の変化を同時に完了させることができる。保持時間については、設定器6で容易に変更できる。保持時間分が追加されることで制御開始までの時間が遅くなる。このため、保持時間は割込みの頻度等によって、任意に調整できると良い。
【0069】
これまでに説明したフェード時間に基づき複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させる機能と、制御待ち時間に基づき複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させる機能は、コントローラ1に両方備えられても良い。フェード時間に基づき複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させるか、制御待ち時間に基づき複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させるかは、切り替え可能であっても良い。また、フェード時間または制御待ち時間に基づき複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させる制御を実施しないモードにも切り替え可能であっても良い。これらの設定は、上位システムまたは設定器6によって実施できる。
【0070】
コントローラ1は、スケジュール情報に基づき、複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させる制御を有効または無効にしても良い。コントローラ1の日時情報管理部1dによって、任意の年月日、曜日、時刻に実施する照明制御内容を設定できる。これにより、例えば利用者が照明器具2を目視することが多い時間帯、または、照明器具2の状態の変化量が大きい時間帯に本実施の形態の制御を行うことで、効率の良い運用が可能となる。
【0071】
コントローラ1に人工知能が搭載され、曜日、時間帯における照明制御システム100の運用情報を保存し学習できても良い。この場合、コントローラ1は、使用頻度についての学習データに基づき、複数の照明器具2の点灯状態の変化を同時に完了させる制御を有効または無効にする。使用頻度とは、例えば利用者が壁スイッチ5を操作する頻度または人感センサ4による人の検出頻度である。例えば壁スイッチ5の操作が多い時間帯には、フェード時間または制御待ち時間によるタイミング調整が正確に実施できない可能性がある。このため、本実施の形態のタイミング調整を実施しないものとしても良い。
【0072】
人が滞在せず、照明器具2が人目につかない時間帯では、本実施の形態のタイミング調整をしないものとしても良い。これにより、システム制御の負荷を抑えることができる。また実施の形態3、4のように、優先度が高い処理が割り込む頻度が高い曜日または時間帯を蓄積データより学習しても良い。これにより、フェード時間または保持時間を適切な値で運用できる。
【0073】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 コントローラ、1a 制御部、1b 不揮発性記憶部、1c 揮発性記憶部、1d 日時情報管理部、1e 上位通信部、1f 赤外線通信部、1g 有線通信部、2 照明器具、3 照度センサ、4 人感センサ、5 壁スイッチ、6 設定器、7 ゲートウェイ装置、8 中央管理装置、100 照明制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6