(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107408
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ロボットアーム装置
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
B25J19/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008597
(22)【出願日】2022-01-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】アリヤ・マデ・ラマ・プラディプタ
(72)【発明者】
【氏名】林健安
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CY05
3C707CY12
3C707HS27
3C707MS05
(57)【要約】
【課題】ロボットアーム装置を提供する。
【解決手段】ロボットアーム装置はロボットアーム、ケーブル結合体および巻き取りモジュールを備える。ロボットアームは台座、第一アームおよび第二アームを有する。ケーブル結合体はロボットアームの第一アームおよび第二アームに隣接するように配置される。巻き取りモジュールはロボットアームの第一アームに配置され、レール、ブロックおよび弾性復元ユニットを有する。ブロックはレールに上下に移動可能に配置され、かつケーブル結合体および弾性復元ユニットに連結される。上述した構造の特徴により、本発明によるロボットアーム装置は作動の利便性を向上させ、作動妨害を抑制し、配線配置に掛かる手間を減らすことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアーム、ケーブル結合体および巻き取りモジュールを備え、
前記ロボットアームは台座、第一アームおよび第二アームを有し、
前記ケーブル結合体は前記ロボットアームの前記第一アームおよび前記第二アームに隣接するように配置され、一端が前記ロボットアームの前記第二アームに固定され、
前記巻き取りモジュールは前記ロボットアームの前記第一アームに配置され、レール、ブロックおよび弾性復元ユニットを有し、
前記ブロックは前記レールに上下に移動可能に配置され、かつ前記ケーブル結合体および前記弾性復元ユニットに連結されることを特徴とする、
ロボットアーム装置。
【請求項2】
前記ロボットアームはさらに第一関節部および第二関節部を有し、前記ロボットアームにおいて、前記第一関節部は前記台座の頂部に回転可能に装着され、前記第一アームは底部が前記第一関節部に回転可能に連結され、前記第二関節部は前記第一アームの頂部に回転可能に連結され、前記第二アームは後端部が前記第二関節部に回転可能に連結され、前記ロボットアームにおいて、前記第一アームは前記底部が第一旋転中心を円心にし、前記第一関節部に向かって旋転し、前記第二関節部は第二旋転中心を円心にし、前記第一アームに向かって旋転し、前記第一旋転中心と前記第二旋転中心との間の最短距離からなる連結線は前記ブロックの運動軌跡に平行であることを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム装置。
【請求項3】
前記ケーブル結合体はケーブルおよび前記ケーブルを覆う電線管を有し、前記電線管は一端が前記ロボットアームの前記台座に固定され、他端が前記ロボットアームの前記第二アームの前端部に固定され、前記巻き取りモジュールはさらに保護カバーおよび電線管固定ユニットを有し、前記保護カバーは前記ロボットアームの前記第一アームに配置され、前記レールは前記保護カバー内に配置され、前記電線管固定ユニットは前記ブロックおよび前記電線管を連結し、前記弾性復元ユニットは先端部が前記電線管固定ユニットに固定され、末端部が前記保護カバーに固定されることを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム装置。
【請求項4】
前記電線管固定ユニットは板状位置決めユニットおよび係止リングを有し、前記板状位置決めユニットは前記ブロックおよび前記弾性復元ユニットの先端部を連結し、前記係止リングは前記電線管を固定するために前記板状位置決めユニットに配置され、前記板状位置決めユニットは第一位置決め部、第二位置決め部および第三位置決め部を有し、前記第二位置決め部および前記第三位置決め部は前記第一位置決め部の相対する両側に別々に垂直に連結され、前記第一位置決め部は前記ブロックに連結され、前記第二位置決め部は前記係止リングに連結され、前記第三位置決め部は前記弾性復元ユニットの先端部に連結され、長さが前記ブロックの長さより大きいことを特徴とする請求項3に記載のロボットアーム装置。
【請求項5】
前記巻き取りモジュールはさらに二つの片状ストッパーおよび二つのガイドホイールを有し、一つの前記片状ストッパーは前記保護カバーの頂部に固定され、二つの前記ガイドホイールは二つの前記片状ストッパーの間に着脱可能に配置され、前記電線管は二つの前記ガイドホイールの間を通ることを特徴とする請求項3に記載のロボットアーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームに関し、詳しくは作動の利便性を向上させるロボットアーム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多軸ロボットアームの開発および応用が進むのに伴い、人手を減らし、人の代わりに危険な作業現場で働いて、精密加工の品質を大いに向上させることができるようになる。多軸ロボットアームは速度が素早く、作動が高難度かつ複雑であるため、過大な作動が配線を損壊させることを防止するには、配線の長さを余分に確保することが必要である。言い換えれば、ロボットアームの作動に応じる空間範囲が過大であるとともに配線が長過ぎるため、配線と周囲の物件とが絡み合うことがよくある。
【0003】
特許文献1により開示されたケーブリールシステムは、ガイドホイールおよび定力ばねを有する。ケーブルを引っ張る角度でロボットアームを作動させる際、ケーブルはガイドホイールを押してレールに沿って前進させる。ガイドホイールは前進すると同時に定力ばねの弾力に反発する。ケーブルを緩める角度でロボットアームを作動させる際、定力ばねは弾力によってガイドホイールを後退させる。ガイドホイールは後退すると同時に緩くなったケーブルを巻き取る。
【0004】
特許文献2により開示されたガイドシステムは、台座、配線を配置するためのスタンドおよび回動装置を有する。スタンドは方向転換位置と回動位置との間を移動できる。回動装置はスタンドを回動位置に自動的に復元させる。スタンドを引っ張る角度でロボットアームを作動させる際、スタンドは方向変換ユニットを押してレールに沿って前進させる。スタンドは前進すると同時に回動装置の回動力に反発する。スタンドを緩める角度でロボットアームを作動させる際、回動装置は回動力によってスタンドを回動位置に帰す。
【0005】
特許文献1および特許文献2は体積が大きく、コストが高いことが問題点である。体積が大きければロボットアームは運動範囲が限定され、慣性能率が低下するため、全体構造には改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US10,989,282号公報
【特許文献2】US9,399,299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は作動の利便性を向上させ、作動妨害を抑制し、作動空間を縮減することができるロボットアーム装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するためのロボットアーム装置は、ロボットアーム、ケーブル結合体および巻き取りモジュールを備える。ロボットアームは台座、第一アームおよび第二アームを有する。ケーブル結合体はロボットアームの第一アームおよび第二アームに隣接するように配置され、一端がロボットアームの第二アームに固定される。巻き取りモジュールはロボットアームの第一アームに配置され、レール、ブロックおよび弾性復元ユニットを有する。ブロックはレールに上下に移動可能に配置され、かつケーブル結合体および弾性復元ユニットに連結される。
【0009】
上述した構造の特徴により、ケーブル結合体はロボットアームの作動角度によって引っ張られるか解放されることができる。詳しく言えば、ロボットアームがケーブル結合体を引っ張る際、ケーブル結合体はブロックによってレースに沿って上昇すると同時に弾性復元ユニットの弾性復元力を貯存する。ロボットアームがケーブル結合体を緩める際、弾性復元ユニットは弾性復元力でブロックを降下させるとともにケーブル結合体を元の位置に復元させる。ケーブル結合体は引っ張られたり解放されたりしても、巻き取りモジュールの巻き取り機能によってロボットアームに隣接するように維持されるため、ケーブル結合体が周りの部材を妨害することを抑制し、ロボットアームを作動させる空間を縮減し、作動の利便性を向上させることができる。
【0010】
比較的好ましい場合、ケーブル結合体はケーブルおよびケーブルを覆う電線管を有する。電線管は一端がロボットアームの台座に固定され、他端がロボットアームの第二アームの前端部に固定される。
【0011】
比較的好ましい場合、ロボットアームはさらに第一関節部および第二関節部を有する。第一関節部は台座の頂部に回転可能に装着される。第一アームは底部が第一関節部に回転可能に連結される。第二関節部は第一アームの頂部に回転可能に連結される。第二アームは後端部が第二関節部に回転可能に連結される。
【0012】
比較的好ましい場合、巻き取りモジュールはさらに保護カバーおよび電線管固定ユニットを有する。保護カバーはロボットアームの第一アームに配置される。レールは保護カバー内に配置される。電線管固定ユニットはブロックおよび電線管を連結する。弾性復元ユニットは先端部が電線管固定ユニットに固定され、末端部が保護カバーに固定される。
【0013】
比較的好ましい場合、電線管固定ユニットは板状位置決めユニットおよび係止リングを有する。板状位置決めユニットはブロックおよび弾性復元ユニットの先端部を連結する。係止リングは電線管を固定するために板状位置決めユニットに配置される。上述した構造の特徴により、電線管固定ユニットは係止リングを介して電線管を上下に移動させる。
【0014】
比較的好ましい場合、板状位置決めユニットは第一位置決め部、第二位置決め部および第三位置決め部を有する。第二位置決め部および第三位置決め部は第一位置決め部の相対する両側に別々に垂直に連結される。第一位置決め部はブロックに連結される。第二位置決め部は係止リングに連結される。第三位置決め部は弾性復元ユニットの先端部に連結され、長さがブロックの長さより大きいため、弾性復元ユニットの無効な行程を短縮することができる。
【0015】
比較的好ましい場合、第一アームは底部が第一旋転中心を円心にし、第一関節部に向かって旋転する。第二関節部は第二旋転中心を円心にし、第一アームに向かって旋転する。第一旋転中心と第二旋転中心との間の最短距離からなる連結線はブロックの運動軌跡に平行である。上述した技術的特徴により、作動中のブロックの安定性を向上させることができる。
【0016】
比較的好ましい場合、電線管は一端が電線管固定ユニットに固定される。電線管固定ユニットはホルダーに回転可能に装着される。ホルダーは末端連結台座に連結される。末端連結台座は第三関節部に回転可能に連結される。第三関節部は第二アームの前端部に回転可能に連結される。上述した技術的特徴により、電線管固定ユニットはホルダーに回転可能に装着されるため、第二アームが作動したうえで電線管が捩れて損壊することを抑制することができる。
【0017】
比較的好ましい場合、レールはレール固定台座に固定される。レール固定台座は保護カバーに配置される。上述した構造の特徴により、巻き取りモジュール全体をロボットアームから取り外し、モジュール化の効果を実現させることができる。
【0018】
比較的好ましい場合、レールはレール固定台座に固定される。レール固定台座はロボットアームの第一アームに固定されて第一アームと一体になり、構造強度を向上させる。
【0019】
比較的好ましい場合、巻き取りモジュールはさらに二つの片状ストッパーおよび二つのガイドホイールを有する。一つの片状ストッパーは保護カバーの頂部に固定される。二つのガイドホイールは二つの片状ストッパーの間に着脱可能に配置される。電線管は二つのガイドホイールの間を通る。上述した構造の特徴により、電線管にガイド効果およびロック効果を発揮することができる。一つのガイドホイールを取り外せば電線管の着脱および交換を簡単に行うことができる。
【0020】
比較的好ましい場合、弾性復元ユニットは張力が0.8kgから1.3kgの間である。張力が0.8kg以下である場合、ロボットアームの迅速な作動に応じて電線管を迅速に巻き取ることはできない。また、張力が1.3kg以上である場合、モーターの負荷が増大したことが原因で電線管および内部のケーブルを損壊させることが起こりやすい。
【0021】
比較的好ましい場合、ブロックの行程が320mmから400mmの間であれば、多軸旋転角度で作動するロボットアームに対応することができる。
【0022】
本発明によるロボットアーム装置の詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法について、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。なお、以下の詳細な説明および本発明により開示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある者ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置を別の角度から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置の一部分を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置の巻き取りモジュールを示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置の巻き取りモジュールを示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置を背面から見た断面図の一部分である。
【
図7】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置においてブロックがレールに沿って上昇する状態を背面から見た断面図の一部分である。
【
図8】本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置を側面から見た断面図の一部分である。
【
図9】本発明の第2実施形態によるロボットアーム装置を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態によるロボットアーム装置の一部分を示す分解斜視図である。
【
図11】本発明の第3実施形態によるロボットアーム装置を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第3実施形態によるロボットアーム装置の一部分を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明によるロボットアーム装置を図面に基づいて説明する。なお、明細書および図面において、方向性用語は図面中の方向に基づいて表現される。同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造の特徴を示す。
【0025】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態によるロボットアーム装置10はロボットアーム20、ケーブル結合体および巻き取りモジュール40を備える。
【0026】
ロボットアームは6軸ロボットアームであるが、これに限定されない。ロボットアーム20は台座21、第一関節部22、第一アーム23、第二関節部24、第二アーム25、第三関節部26および末端連結台座27を有する。
第一関節部22は台座21の頂部に回転可能に装着される。第一アーム23は底部が第一関節部22に上下に回転可能に連結される。第二関節部24は第一アーム23の頂部に上下に回転可能に連結される。第二アーム25は後端部が第二関節部24に回転可能に連結される。第三関節部26は第二アーム25の前端部に上下に回転可能に連結される。末端連結台座27は第三関節部26に回転可能に連結される。
【0027】
ケーブル結合体はケーブル(図中未表示)およびケーブルを覆う電線管30を有する。ケーブルは送電線、信号伝送ワイヤまたは送電線および信号伝送ワイヤの結合体であるが、これに限定されない。電線管30はプラスチック波付き管などの伸縮可能な弾性チューブから製作されるが、これに限定されず、ケーブルを固定できる結束用ベルトを使用してもよい。
電線管30は一端がロボットアーム20の台座21に固定され、続いて折り返し、180度回転してロボットアーム20の第一関節部22に固定され、続いてロボットアーム20の第一アーム23の後側面に沿って上に伸び、続いてロボットアーム20の第二アーム25の右側面に沿って前に伸び、続いて他端が電線管固定ユニット32に差し込まれる。電線管固定ユニット32は移動せず回転できる部品であり、ホルダー34に固定される。ホルダー34は一端が末端連結台座27に連結される。
【0028】
図4および
図5に示すように、巻き取りモジュール40は保護カバー41、レール固定台座50、レール51、ブロック52、電線管固定ユニット60および弾性復元ユニット70を有する。
【0029】
保護カバー41はフロントシェル42、バックシェル43、上部サイドキャップ44、下部サイドキャップ45、上部スタンド46および下部スタンド47を有する。フロントシェル42は相対する第一側板422および第二側板424と、第一側板422および第二側板424を連結する第一連結板426と、第一連結板426の頂部に形成された上部嵌合溝427と、第一連結板426の底部に形成された下部嵌合溝428とを有する。
バックシェル43は第三側板432と、第四側板434と、第三側板432および第四側板434を連結する第二連結板436とを有する。バックシェル43は第三側板432がフロントシェル42の第一側板422とともにレール固定台座50に重なって固定され、第四側板434とフロントシェル42の第二側板424との間が隙間48になる。上部サイドキャップ44はフロントシェル42およびバックシェル43の先端部に装着される。下部サイドキャップ45はフロントシェル42およびバックシェル43の末端部に装着される。
上部スタンド46はフロントシェル42の上部嵌合溝427に嵌まり込み、レール固定台座50の頂部に固定される。下部スタンド47はフロントシェル42の下部嵌合溝428に嵌まり込み、レール固定台座50の底部に固定される。
図3に示すように、保護カバー41は上部スタンド46および下部スタンド47が締結部材によってロボットアーム20の第一アーム23に締結される。
【0030】
レール51は保護カバー41内に配置され、レール固定台座50に固定される。ブロック52はレール51に上下に移動可能に配置される。
【0031】
電線管固定ユニット60は板状位置決めユニット61および係止リング65を有する。板状位置決めユニット61は第一位置決め部62、第二位置決め部63および第三位置決め部64を有する。第二位置決め部63および第三位置決め部64は第一位置決め部62の相対する両側に別々に垂直に連結されて第一位置決め部62と一体になる。
図5に示すように、板状位置決めユニット61の第一位置決め部62はブロック52に連結され、板状位置決めユニット61をブロック52とともに同調作動させることができる。板状位置決めユニット61の第二位置決め部63は隙間48から保護カバー41に突出する。係止リング65は保護カバー41に露出した板状位置決めユニット61の第二位置決め部63に連結されると同時に電線管30を固定するため、板状位置決めユニット61と電線管30とともに同調作動することができる。
【0032】
引張りスプリングなどの弾性復元ユニット70は先端部が第一ボルト71に連結され、末端部が第二ボルト72に連結される。第一ボルト71は板状位置決めユニット61の第三位置決め部64の先端部に締め付けられる。第二ボルト72は片状ストッパー73に締め付けられる。片状ストッパー73はレール固定台座50の底部に固定される。
上述した構造の特徴により、板状位置決めユニット61がブロック52とともにレール51に沿って上昇する際、弾性復元ユニット70は板状位置決めユニット61によって引っ張られて弾性復元力を貯存する。
図5に示すように、板状位置決めユニット61の第三位置決め部64は長さがブロック52の長さより大きいため、弾性復元ユニット70の無効な行程を短縮することができる。
【0033】
上述をまとめると、ロボットアーム20が作動すると、電線管30はロボットアーム20の作動角度によって引っ張られるか解放される。
図6および
図7に示すように、ロボットアーム20が電線管30を引っ張る際、電線管30は係止リング65とともにブロック52をレール51に沿って上昇させ、同時に板状位置決めユニット61とともに弾性復元ユニット70を引っ張って弾性復元ユニット70の弾性復元力を貯存する。ロボットアーム20が電線管30を解放する際、弾性復元ユニット70は弾性復元力によってブロック52を板状位置決めユニット61とともに降下させ、同時に電線管30を係止リング65とともに元の位置に復元させる。ロボットアーム20は作動を停止するまで電線管30を引っ張りたり緩めたりすることを繰り返す。
電線管30は引っ張られたり解放されたりしても、ロボットアーム20の第一アーム23および第二アーム25に隣接するように維持されるため、電線管30が周りの部材を妨害することを抑制し、ロボットアーム20を作動させる空間を縮減することができる。
【0034】
図8に示すように、第一アーム23は底部が第一旋転中心P1を円心にし、第一関節部22に向かって旋転する。第二関節部24は第二旋転中心P2を円心にし、第一アーム23に向かって旋転する。第一旋転中心P1と第二旋転中心P2との間の最短距離からなる連結線Lはブロック52の運動軌跡に平行である。上述した技術的特徴により、作動中のブロック52を安定させて線形運動を維持することができる。電線管30がロボットアーム20の作動角度によって引っ張られる際、ブロック52はレール51に沿って上昇する。言い換えれば、ブロック52の行程は電線管30の引っ張られて伸びた長さによって決められる。
本実施形態において、電線管30を最大限に引っ張るために、ブロック52の行程は320mmから400mmの間である。詳しく言えば、第二アーム25を90度回転させ、第三関節部26を120度回転させ、末端連結台座27を360度回転させれば、電線管30を最大限に引っ張って伸ばすことができる。本実施形態において、弾性復元ユニット70は張力が0.8kgから1.3kgの間である。張力が0.8kg以下である場合、ロボットアーム20の迅速な作動に応じて電線管30を迅速に巻き取ることはできないため、後続作業に支障をきたす。張力が1.3kg以上である場合、モーターの負荷が増大したことが原因で電線管30および内部のケーブルを損壊させることが起こりやすい。
【0035】
(第2実施形態)
図9および
図10に示すように、第2実施形態と第一実施形態との違いは二つの片状ストッパー80および二つのガイドホイール81、82にある。第2実施形態において、一つの片状ストッパー80は保護カバー41の頂部に固定される。二つのガイドホイール81、82はそれぞれのシャフト83が二つの片状ストッパー80の間に回転可能に配置される。一つのシャフト83は一端がナット84に締め付けられ、他端がC字型金具85によって固定される。別の一つのシャフト83は一端がナット86に締め付けられ、他端がねじ87によって固定される。
上述した構造の特徴により、二つのガイドホイール81、82の間を電線管30が通れば、電線管30にガイド効果およびロック効果を発揮することができる。ガイドホイール82を取り外せば電線管30および内部のケーブルのメンテナンスおよび交換を簡単に行うことができる。
【0036】
(第3実施形態)
図11および
図12に示すように、第3実施形態と第1実施形態との違いは下記の通りである。第1実施形態において、巻き取りモジュール40は第一アーム23の外側に位置するようにモジュール化される。第3実施形態において、レール固定台座91は第一アーム23と一体成型される。保護カバー92は締結部材によって第一アーム23に締め付けられてレール固定台座91に被さる。
上述した構造の特徴により、第3実施形態は構造強度を向上させることができる。巻き取りモジュール90のほかの付属品(例えばレール51、ブロック52、電線管固定ユニット60および弾性復元ユニット70)は第1実施形態と同じであるため、詳細な構造および作動原理を省略する。
【0037】
上述をまとめると、引っ張られたり解放されたりするケーブル結合体(電線管30)は巻き取りモジュール40、90の巻き取り機能によってロボットアーム20の表面に付着するように維持されるため、ロボットアーム装置10は構造全体の外観が簡潔になるだけでなく、ケーブル結合体(電線管30)が周りの部材を妨害することを抑制し、ロボットアーム20を作動させる空間を縮減し、作動の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 ロボットアーム装置
20 ロボットアーム
21 台座
22 第一関節部
23 第一アーム
24 第二関節部
25 第二アーム
26 第三関節部
27 末端連結台座
30 電線管
32 電線管固定部
34 ホルダー
40 巻き取りモジュール
41 保護カバー
42 フロントシェル
422 第一側板
424 第二側板
426 第一連結板
427 上部嵌合溝
428 下部嵌合溝
43 バックシェル
432 第三側板
434 第四側板
436 第二連結板
44 上部サイドキャップ
45 下部サイドキャップ
46 上部スタンド
47 下部スタンド
48 隙間
50 レール固定台座
51 レール
52 ブロック
60 電線管固定ユニット
61 板状位置決めユニット
62 第一位置決め部
63 第二位置決め部
64 第三位置決め部
65 係止リング
70 弾性復元ユニット
71 第一ボルト
72 第二ボルト
73、80 片状ストッパー
81、82 ガイドホイール
83 シャフト
84、86 ナット
85 C字型金具
87 ねじ
90 巻き取りモジュール
91 レール固定台座
92 保護カバー
L 連結線
P1 第一旋転中心
P2 第二旋転中心
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアーム、ケーブル結合体および巻き取りモジュールを備え、
前記ロボットアームは台座、第一アームおよび第二アームを有し、
前記ケーブル結合体は前記ロボットアームの前記第一アームおよび前記第二アームに隣接するように配置され、一端が前記ロボットアームの前記第二アームに固定され、
前記巻き取りモジュールは前記ロボットアームの前記第一アームに配置され、レール、ブロックおよび弾性復元ユニットを有し、
前記ブロックは前記レールに上下に移動可能に配置され、かつ前記ケーブル結合体および前記弾性復元ユニットに連結され、
前記ケーブル結合体はケーブルおよび前記ケーブルを覆う電線管を有し、前記電線管は一端が前記ロボットアームの前記台座に固定され、他端が前記ロボットアームの前記第二アームの前端部に固定され、前記巻き取りモジュールはさらに保護カバーおよび電線管固定ユニットを有し、前記保護カバーは前記ロボットアームの前記第一アームに配置され、前記レールは前記保護カバー内に配置され、前記電線管固定ユニットは前記ブロックおよび前記電線管を連結し、前記弾性復元ユニットは先端部が前記電線管固定ユニットに固定され、末端部が前記保護カバーに固定され、
前記電線管固定ユニットは板状位置決めユニットおよび係止リングを有し、前記板状位置決めユニットは前記ブロックおよび前記弾性復元ユニットの先端部を連結し、前記係止リングは前記電線管を固定するために前記板状位置決めユニットに配置され、前記板状位置決めユニットは第一位置決め部、第二位置決め部および第三位置決め部を有し、
前記第一位置決め部は前記ブロックに連結され、前記第二位置決め部は前記係止リングに連結され、前記第三位置決め部は前記弾性復元ユニットの先端部に連結され、長さが前記ブロックの長さより大きいことを特徴とする、
ロボットアーム装置。
【請求項2】
前記ロボットアームはさらに第一関節部および第二関節部を有し、前記ロボットアームにおいて、前記第一関節部は前記台座の頂部に回転可能に装着され、前記第一アームは底部が前記第一関節部に回転可能に連結され、前記第二関節部は前記第一アームの頂部に回転可能に連結され、前記第二アームは後端部が前記第二関節部に回転可能に連結され、前記ロボットアームにおいて、前記第一アームは前記底部が第一旋転中心を円心にし、前記第一関節部に向かって旋転し、前記第二関節部は第二旋転中心を円心にし、前記第一アームに向かって旋転し、前記第一旋転中心と前記第二旋転中心との間の最短距離からなる連結線は前記ブロックの運動軌跡に平行であることを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム装置。
【請求項3】
前記第二位置決め部および前記第三位置決め部は前記第一位置決め部の相対する両側に別々に垂直に連結されることを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム装置。
【請求項4】
前記巻き取りモジュールはさらに二つの片状ストッパーおよび二つのガイドホイールを有し、一つの前記片状ストッパーは前記保護カバーの頂部に固定され、二つの前記ガイドホイールは二つの前記片状ストッパーの間に着脱可能に配置され、前記電線管は二つの前記ガイドホイールの間を通ることを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム装置。