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特開2023-107417検知システム、画像処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107417
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】検知システム、画像処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20230727BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20230727BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230727BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20230727BHJP
   G01B 11/28 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G01B11/02 H
H04N5/247
H04N5/232 300
G06T7/62
G01B11/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008612
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】田村 将
【テーマコード(参考)】
2F065
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA24
2F065AA58
2F065BB05
2F065DD03
2F065FF01
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ05
2F065QQ24
2F065QQ29
2F065QQ31
5C122DA11
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK35
5C122GC52
5C122GE06
5C122GE11
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB06
5L096FA59
5L096FA64
(57)【要約】
【課題】対象物の鉛直方向の規模を容易に判定する。
【解決手段】貯留された液体の表面に生じる対象物の少なくとも一部を撮像する撮像装置300と、撮像装置300が撮像した画像に含まれる対象物の状況を検知する画像処理装置400とを有し、撮像装置300および壁部200は、撮像装置300が撮像した画像に含まれる対象物の液体外の背景に壁部200の少なくとも一部が写り込む位置に配置され、画像処理装置400は、画像に含まれる対象物の画像と壁部200の画像とに基づいて、対象物の状況を検知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部と、
貯留された液体の表面に生じる対象物の少なくとも一部を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に含まれる前記対象物の状況を検知する検知部とを有し、
前記撮像部および前記壁部は、前記撮像部が撮像した画像に含まれる前記対象物の前記液体外の背景に前記壁部の少なくとも一部が写り込む位置に配置され、
前記検知部は、前記画像に含まれる前記対象物の画像と前記壁部の画像とに基づいて、前記対象物の状況を検知する検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検知システムにおいて、
前記検知部は、前記対象物の画像と前記壁部の画像とのコントラストに基づいて、前記対象物の状況を検知する検知システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検知システムにおいて、
前記検知部は、前記撮像部が撮像した画像に対して二値化処理を行い、該二値化処理した画像を用いて、前記対象物の状況を検知する検知システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の検知システムにおいて、
前記検知部は、前記対象物の状況として、前記対象物の前記液体の表面からの高さを算出する検知システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の検知システムにおいて、
前記検知部は、前記対象物の状況として、前記撮像部が撮像した画像に含まれる前記対象物の該画像上の面積を算出する検知システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の検知システムにおいて、
前記検知部が検知した状況が所定の閾値を超えたかどうかを判定する判定部を有する検知システム。
【請求項7】
請求項6に記載の検知システムにおいて、
前記判定部が、前記検知部が検知した状況が前記閾値を超えたと判定した場合、所定の出力を行う出力部を有する検知システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の検知システムにおいて、
前記壁部は、鉛直方向に延びた板状の部材であり、
前記撮像部は、前記対象物を略水平方向から撮像する検知システム。
【請求項9】
貯留された液体の表面に生じる対象物の少なくとも一部を撮像する撮像装置が撮像した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像に含まれる前記対象物の状況を検知する検知部とを有し、
前記検知部は、前記画像取得部が取得した画像に含まれる前記対象物の画像と、前記画像取得部が取得した画像に含まれる、前記対象物の前記液体外の背景に少なくとも一部が写り込む位置に配置された壁部の画像とに基づいて、前記対象物の状況を検知する画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
貯留された液体の表面に生じる対象物の少なくとも一部を撮像する撮像装置が撮像した画像を取得する手順と、
前記取得した画像に含まれる前記対象物の状況を、前記取得した画像に含まれる前記対象物の画像と、前記取得した画像に含まれる、前記対象物の前記液体外の背景に少なくとも一部が写り込む位置に配置された壁部の画像とに基づいて検知する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知システム、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
排水処理に利用される曝気槽等では、槽内の微生物の活性の変化や、界面活性剤の流入などによって、水面に発生する泡立ちが異常に多くなることがある。異常に発生した泡は、水槽の壁面を超えて周囲に飛散するおそれがある。そこで、カメラを用いて被処理水の水面を撮影し、撮影した画像の水面の色に基づいて、異常発泡を検知する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-29938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術においては、カメラが水面を鉛直方向から撮影した画像を用いるため、水面からの泡の高さを判別することが困難である。そのため、発生した対象物が水槽の壁面を超えるかどうかを判断するための、当該対象物の鉛直方向の規模を判定することができない。
【0005】
本発明の目的は、対象物の鉛直方向の規模を容易に判定することができる検知システム、画像処理装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検知システムは、
壁部と、
貯留された液体の表面に生じる対象物の少なくとも一部を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に含まれる前記対象物の状況を検知する検知部とを有し、
前記撮像部および前記壁部は、前記撮像部が撮像した画像に含まれる前記対象物の前記液体外の背景に前記壁部の少なくとも一部が写り込む位置に配置され、
前記検知部は、前記画像に含まれる前記対象物の画像と前記壁部の画像とに基づいて、前記対象物の状況を検知する。
【0007】
また、本発明の画像処理装置は、
貯留された液体の表面に生じる対象物の少なくとも一部を撮像する撮像装置が撮像した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像に含まれる前記対象物の状況を検知する検知部とを有し、
前記検知部は、前記画像取得部が取得した画像に含まれる前記対象物の画像と、前記画像取得部が取得した画像に含まれる、前記対象物の前記液体外の背景に少なくとも一部が写り込む位置に配置された壁部の画像とに基づいて、前記対象物の状況を検知する。
【0008】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータに、
貯留された液体の表面に生じる対象物の少なくとも一部を撮像する撮像装置が撮像した画像を取得する手順と、
前記取得した画像に含まれる前記対象物の状況を、前記取得した画像に含まれる前記対象物の画像と、前記取得した画像に含まれる、前記対象物の前記液体外の背景に少なくとも一部が写り込む位置に配置された壁部の画像とに基づいて検知する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、対象物の鉛直方向の規模を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の検知システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した画像処理装置の内部構成の一例を示す図である。
図3図2に示した判定部が泡状物質の高さと閾値とを比較する様子の一例を示す図である。
図4図2に示した判定部が泡状物質の高さと閾値とを比較する様子の他の例を示す図である。
図5図2に示した判定部が泡状物質の高さと閾値とを比較する様子の他の例を示す図である。
図6図1に示した検知システムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の検知システムの第2の実施の形態を示す図である。
図8図7に示した画像処理装置の内部構成の一例を示す図である。
図9図8に示した判定部が泡状物質の面積と閾値とを比較する様子の一例を示す図である。
図10図8に示した判定部が泡状物質の面積と閾値とを比較する様子の他の例を示す図である。
図11図7に示した検知システムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図12】本発明の検知システムの第3の実施の形態を示す図である。
図13図12に示した画像処理装置の内部構成の一例を示す図である。
図14図12に示した検知システムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の検知システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における検知システムは図1に示すように、壁部200と、撮像装置300と、画像処理装置400とを有する。
【0013】
撮像装置300は、水槽100に貯留された液体の表面に生じる対象物である泡状物質500の少なくとも一部を液体の外で撮像する撮像部である。撮像装置300は、泡状物質500全体を撮像することが好ましい。撮像装置300が泡状物質500の一部を撮像する場合、過去の測定結果に基づいて判定された、泡状物質500が発生しやすい箇所や、泡状物質500が多く発生することが予想できる箇所を撮像できる位置に撮像装置300が設置される。撮像装置300は、泡状物質500を撮像した画像において、壁部200が泡状物質500の液体外の背景として写り込む位置から撮像する位置および方向に配置されている。例えば、撮像装置300は、壁部200へ向かう方向であって泡状物質500の高さ方向と直交する方向(水平方向)から泡状物質500を撮像できる位置に配置されていても良い。撮像装置300は、例えば、壁部200を背景とした泡状物質500を撮像する非接液の画像センサ(カメラ)であっても良い。撮像装置300は、壁部200を背景とした泡状物質500をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、継続的に撮像を行う動画撮像用カメラ)であっても良い。撮像装置300は、撮像した画像を示す画像データを画像処理装置400へ送信する。撮像装置300の配置方法は特に規定しない。例えば、撮像装置300が水槽100の壁面に固定されていても良いし、水槽100の底面から延びる固定部材に取り付けられていても良いし、上方から吊り下げられていても良い。また、撮像装置300の液面からの高さが、液体の水位に応じて変更されても良い。撮像装置300から画像処理装置400への間の画像データの送信は、無線通信を介しても良いし、有線通信を介しても良い。
【0014】
壁部200は、撮像装置300が泡状物質500を撮像した画像において、泡状物質500の液体外の背景として少なくとも一部が写り込む位置に配置されている。例えば、壁部200は、泡状物質500の高さ方向(鉛直方向)に延びている板状の部材でも良い。また、壁部200は、撮像装置300側の表面(泡状物質500の背景になる面)が、撮像装置300が撮像した画像において、泡状物質500とのコントラストが明確になる色や明るさに設定されている。壁部200の撮像装置300側の表面の色は、単色であることが好ましい。例えば、撮像装置300が撮像した画像において、泡状物質500が淡い(明るい)色である場合、壁部200は濃い(暗い)色に設定されているものが好ましい。また、撮像装置300が撮像した画像において、泡状物質500が濃い(暗い)色である場合、壁部200は淡い(明るい)色に設定されているものが好ましい。壁部200は、水槽100の壁面の一部でも良い。
【0015】
図2は、図1に示した画像処理装置400の内部構成の一例を示す図である。図1に示した画像処理装置400は図2に示すように、画像取得部410と、検知部420と、判定部430と、通知部440とを有する。なお、図2には、図1に示した画像処理装置400が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0016】
画像取得部410は、撮像装置300から送信されてきた画像データを取得する。画像取得部410は、通信機能を具備し、撮像装置300から送信されてきた画像データを受信して取得する。撮像装置300は、所定のタイミングで画像データを送信しても良いし、画像取得部410が画像データを要求するための要求信号を撮像装置300へ送信し、撮像装置300がその要求信号を受信したら画像データを送信しても良い。画像取得部410は、要求信号を定期的に撮像装置300へ送信しても良い。画像取得部410は、取得した画像データを検知部420へ出力する。
【0017】
検知部420は、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる泡状物質500の状況を検知する。このとき、検知部420は、画像に含まれる泡状物質500の画像とその背景の壁部200の画像とのコントラストに基づいて、泡状物質500の状況を検知する。例えば、検知部420は、画像に含まれる泡状物質500の画像の色とその背景の壁部200の画像の色との差分に基づいて、泡状物質500の状況を検知しても良い。また、検知部420は、画像に含まれる泡状物質500の画像の明るさとその背景の壁部200の画像の明るさとの差分に基づいて、泡状物質500の状況を検知しても良い。検知部420は、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像に対して二値化処理を行い、二値化処理した画像から泡状物質500と壁部200とを識別し、泡状物質500の状況を検知しても良い。なお、本形態においては、検知部420は、泡状物質500の状況として、泡状物質500の液体の表面(液面)からの高さを算出する。検知部420は撮像装置300から泡状物質500までの距離や、撮像角度、倍率、画角等を用いて、泡状物質500の液面からの高さを算出しても良い。画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像に液面が含まれていない場合、検知部420は、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像の下端からの泡状物質500の高さを算出しても良い。詳細は後述する。なお、ここで、検知部420が算出する高さは、絶対的な値に限らず、閾値と比較した相対的な値でも良い。この閾値は、事前に行われた実験結果に基づいて設定された値でも良いし、運用中に状況に応じて外部から設定(変更)できる値でも良い。検知部420は、算出した結果を判定部430へ出力する。
【0018】
判定部430は、検知部420が検知した状況として検知部420から出力されてきた泡状物質500の高さが所定の閾値を超えたかどうかを判定する。この閾値は、泡状物質500が水槽100の壁面を超えるおそれがあるという値としてあらかじめ設定されている。なお、この閾値は、外部から設定・変更可能である。判定部430は、判定結果を通知部440へ出力する。判定部430は、検知部420から出力されてきた泡状物質500の高さが所定の閾値を超えた場合のみ、その旨を通知部440へ出力しても良い。また、判定部430は、判定結果とともに、検知部420が算出した高さを通知部440へ出力しても良い。また、判定部430が、判定結果とともに、検知部420が算出した高さと閾値との差分を通知部440へ出力しても良い。
【0019】
図3は、図2に示した判定部430が泡状物質500の高さと閾値とを比較する様子の一例を示す図である。図4は、図2に示した判定部430が泡状物質500の高さと閾値とを比較する様子の他の例を示す図である。図3および図4において、泡状物質500を斜線で示している。図3に示した例では、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の高さが閾値よりも低い。この場合、判定部430は、検知部420から出力されてきた泡状物質500の高さが所定の閾値を超えていないと判定する。一方、図4に示した例では、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の高さが閾値を超えている。この場合、判定部430は、検知部420から出力されてきた泡状物質500の高さが所定の閾値を超えていると判定する。
【0020】
図5は、図2に示した判定部430が泡状物質500の高さと閾値とを比較する様子の他の例を示す図である。図4に示した例と比較して、図5に示した例では、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像に液面が含まれていない。そのため、検知部420は、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像の下端からの泡状物質500の高さを算出する、検知部420は、算出した結果を判定部430へ出力する。判定部430は、検知部420から出力されてきた高さと閾値とを比較する。判定部430が比較に用いる高さは、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像の下端からの泡状物質500の高さとなる。なお、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像に液面が含まれている場合であっても、検知部420は、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像の下端からの泡状物質500の高さを算出しても良い。
【0021】
通知部440は、判定部430から出力されてきた判定結果を通知(出力)する。通知部440は、出力部の1つである。通知部440は、検知部420が算出した高さが閾値を超えたと判定部430が判定した場合、所定の通知を行っても良い。通知部440が行う通知方法は、特に限定しない。通知部440が行う通知方法は、例えば、所定の画面の表示でも良いし、音声を用いた通知、警告ランプの点灯、アラームの鳴動、振動による通知、他の装置への警告信号の送信等でも良い。通知部440は、図3および図4に示すように、画像取得部410が取得した画像データが示す画像に、閾値を合成して、画面として出力しても良い。通知部440は、画面を出力する場合、例えば、検知部420が算出した高さが閾値を超えた場合と超えなかった場合とで識別を容易にするために、互いに異なる色を用いてそれぞれの場合の泡状物質500を着色しても良い。
【0022】
以下に、図1に示した検知システムにおける処理について説明する。図6は、図1に示した検知システムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0023】
撮像装置300が泡状物質500の少なくとも一部を撮像すると(ステップS1)、撮像装置300が撮像した画像を示す画像データを画像処理装置400へ送信する。撮像装置300から送信された画像データを画像処理装置400が受信すると、画像処理装置400の画像取得部410が画像データを取得する(ステップS2)。すると、検知部420が、画像取得部410が取得した画像データが示す画像に含まれる泡状物質500の高さを、当該画像に含まれる泡状物質500の画像と、壁部200の画像とに基づいて算出する(ステップS3)。続いて、判定部430が、検知部420が算出した泡状物質500の高さが所定の閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS4)。検知部420が算出した泡状物質500の高さが所定の閾値を超えている場合、通知部440は所定の通知(出力)を行う(ステップS5)。
【0024】
このように、本形態においては、水槽100に貯留された液体の表面に生じる泡状物質500の少なくとも一部を、壁部200を背景として撮像できるように、壁部200および撮像装置300を配置し、撮像装置300が泡状物質500を撮像し、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の高さを、画像に含まれる泡状物質500の画像と壁部200の画像とに基づいて画像処理装置400が算出する。これにより、泡状物質500を略水平方向から撮像でき、さらに、壁部200を背景にすることで泡状物質500の判定を容易に行うことができる。そのため、泡状物質500の高さ(鉛直方向の規模)を容易に判定することができる。
(第2の実施の形態)
【0025】
図7は、本発明の検知システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における検知システムは図1に示すように、壁部200と、撮像装置300と、画像処理装置401とを有する。壁部200および撮像装置300それぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0026】
図8は、図7に示した画像処理装置401の内部構成の一例を示す図である。図7に示した画像処理装置401は図8に示すように、画像取得部410と、検知部421と、判定部431と、通知部440とを有する。なお、図8には、図7に示した画像処理装置401が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。画像取得部410および通知部440のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0027】
検知部421は、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる泡状物質500の状況を検知する。このとき、検知部421は、画像に含まれる泡状物質500の画像とその背景の壁部200の画像とのコントラストに基づいて、泡状物質500の状況を検知する。例えば、検知部421は、画像に含まれる泡状物質500の画像の色とその背景の壁部200の画像の色との差分に基づいて、泡状物質500の状況を検知しても良い。また、検知部421は、画像に含まれる泡状物質500の画像の明るさとその背景の壁部200の画像の明るさとの差分に基づいて、泡状物質500の状況を検知しても良い。検知部421は、画像取得部410から出力されてきた画像データが示す画像に対して二値化処理を行い、二値化処理した画像から泡状物質500と壁部200とを識別し、泡状物質500の状況を検知しても良い。なお、本形態においては、検知部421は、泡状物質500の状況として、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積を算出する。検知部421は撮像装置300から泡状物質500までの距離や、撮像角度、倍率、画角等を用いて、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積を算出しても良い。なお、ここで、検知部421が算出する面積は、絶対的な値に限らず、閾値や画像全体の面積と比較した相対的な値でも良い。この閾値は、事前に行われた実験結果に基づいて設定された値でも良いし、運用中に状況に応じて外部から設定(変更)できる値でも良い。検知部421は、算出した結果を判定部430へ出力する。
【0028】
判定部431は、検知部421が検知した状況として検知部421から出力されてきた、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積が所定の閾値を超えたかどうかを判定する。この閾値は、泡状物質500が水槽100の壁面を超えるおそれがあるという値としてあらかじめ設定されている。なお、この閾値は、外部から設定・変更可能である。判定部431は、判定結果を通知部440へ出力する。判定部431は、検知部421から出力されてきた、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積が所定の閾値を超えた場合のみ、その旨を通知部440へ出力しても良い。また、判定部431は、判定結果とともに、検知部421が算出した、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積を通知部440へ出力しても良い。また、判定部431が、判定結果とともに、検知部420が算出した、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積と閾値との差分を通知部440へ出力しても良い。
【0029】
図9は、図8に示した判定部431が、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積と閾値とを比較する様子の一例を示す図である。図10は、図8に示した判定部431が、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積と閾値とを比較する様子の他の例を示す図である。図9および図10において、泡状物質500を斜線で示している。図9に示した例では、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積が小さい。この面積が閾値以下であれば、判定部431は、検知部421から出力されてきた、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積が所定の閾値を超えていないと判定する。一方、図10に示した例では、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積が図9に示した例と比べて小さい。この面積が閾値を超えていれば、判定部431は、検知部421から出力されてきた、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積が所定の閾値を超えていると判定する。
【0030】
以下に、図7に示した検知システムにおける処理について説明する。図11は、図7に示した検知システムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0031】
撮像装置300が泡状物質500を撮像すると(ステップS11)、撮像装置300が撮像した画像を示す画像データを画像処理装置401へ送信する。撮像装置300から送信された画像データを画像処理装置401が受信すると、画像処理装置401の画像取得部410が画像データを取得する(ステップS12)。すると、検知部421が、画像取得部410が取得した画像データが示す画像に含まれる泡状物質500の当該画像に占める画像上の面積を、当該画像に含まれる泡状物質500の画像と、壁部200の画像とに基づいて算出する(ステップS13)。続いて、判定部431が、検知部421が算出した泡状物質500の当該画像に含まれる画像上の面積が所定の閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS14)。検知部421が算出した泡状物質500の当該画像に含まれる画像上の面積が所定の閾値を超えている場合、通知部440は所定の通知(出力)を行う(ステップS15)。
【0032】
このように、本形態においては、水槽100に貯留された液体の表面に生じる泡状物質500の少なくとも一部を、壁部200を背景として撮像できるように、壁部200および撮像装置300を配置し、撮像装置300が泡状物質500を撮像し、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の画像上の面積を、画像に含まれる泡状物質500の画像と壁部200の画像とに基づいて画像処理装置401が算出する。これにより、泡状物質500を略水平方向から撮像でき、さらに、壁部200を背景にすることで泡状物質500の判定を容易に行うことができる。そのため、泡状物質500の鉛直方向の規模を、水平方向に撮像した画像に占める面積を用いて容易に判定することができる。
(第3の実施の形態)
【0033】
図12は、本発明の検知システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における検知システムは図12に示すように、壁部200と、撮像装置300と、画像処理装置402と、薬液貯槽600と、添加装置610とを有する。壁部200および撮像装置300それぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0034】
薬液貯槽600は、泡状物質500の発生を抑制するまたは消すための薬液が貯留されたタンクである。薬液貯槽600に貯留される薬液として、例えば、泡状物質500を構成する泡の表面膜を不均一な状態にして、泡が安定化することを防ぐ消泡剤が挙げられる。薬液貯槽600に貯留される薬液は、消泡剤に限らず、泡状物質500の発生を抑制できるまたは消すことができる薬液であれば良い。
【0035】
添加装置610は、薬液貯槽600に貯留されている薬液を水槽100に発生した泡状物質500に添加(出力)する添加部である。添加装置610は、出力部の1つである。このとき、添加装置610は、画像処理装置402からの指示に基づいて、薬液貯槽600に貯留されている薬液を水槽100に発生した泡状物質500に添加する。
【0036】
図13は、図12に示した画像処理装置402の内部構成の一例を示す図である。図12に示した画像処理装置402は図13に示すように、画像取得部410と、検知部420と、判定部430と、通知部440と、添加制御部450とを有する。なお、図13には、図12に示した画像処理装置402が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。画像取得部410、検知部420、判定部430および通知部440のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0037】
添加制御部450は、判定部430が、検知部420が算出した高さが閾値を超えたと判定した場合、薬液貯槽600に貯留されている薬液を泡状物質500に添加するように添加装置610へ指示する。添加制御部450は、例えば、所定の量の薬液を泡状物質500に添加するように添加装置610へ指示しても良いし、検知部420が算出した高さと閾値との差分に応じた量の薬液を泡状物質500に添加するように添加装置610へ指示しても良い。この指示方法は、添加制御部450と添加装置610との間で、添加の指示であることが認識できる信号を用いて行う方法で良い。
【0038】
以下に、図12に示した検知システムにおける処理について説明する。図14は、図12に示した検知システムにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0039】
撮像装置300が泡状物質500を撮像すると(ステップS21)、撮像装置300が撮像した画像を示す画像データを画像処理装置402へ送信する。撮像装置300から送信された画像データを画像処理装置402が受信すると、画像処理装置402の画像取得部410が画像データを取得する(ステップS22)。すると、検知部420が、画像取得部410が取得した画像データが示す画像に含まれる泡状物質500の高さを、当該画像に含まれる泡状物質500の画像と、壁部200の画像とに基づいて算出する(ステップS23)。続いて、判定部430が、検知部420が算出した泡状物質500の高さが所定の閾値を超えているかどうかを判定する(ステップS24)。検知部420が算出した泡状物質500の高さが所定の閾値を超えている場合、通知部440は所定の通知(出力)を行う(ステップS25)。また、添加制御部450は、薬液貯槽600に貯留されている薬液を泡状物質500に添加するように添加装置610へ指示する(ステップS26)。すると、添加装置610は、添加制御部450からの指示に従って、薬液貯槽600に貯留されている薬液を水槽100に発生した泡状物質500に添加する(ステップS27)。
【0040】
このように、本形態においては、水槽100に貯留された液体の表面に生じる泡状物質500の少なくとも一部を、壁部200を背景として撮像できるように、壁部200および撮像装置300を配置し、撮像装置300が泡状物質500を撮像し、撮像装置300が撮像した画像に含まれる泡状物質500の高さを、画像に含まれる泡状物質500の画像と壁部200の画像とに基づいて画像処理装置400が算出する。これにより、泡状物質500を略水平方向から撮像でき、加えて、壁部200を背景にすることで泡状物質500の判定を容易に行うことができる。そのため、泡状物質500の高さ(鉛直方向の規模)を容易に判定することができる。さらに、泡状物質500の高さが所定の閾値を超えている場合、消泡剤等の薬液を添加する制御を行う。これにより、泡状物質500が増加することを防止することができる。
(他の実施の形態)
【0041】
上述した実施の形態においては、検知する泡状物質500の状況として、高さまたは面積である場合を例に挙げて説明したが、高さと面積との双方としても良い。この場合、画像処理装置が、泡状物質500の高さと面積との双方が閾値を超えているかどうかを判定しても良いし、泡状物質500の高さが閾値を超えているかどうかを優先して判定しても良い。また、検知する対象物は泡状物質に限らず、水処理において液面に発生する物質(例えば、膜等)でも良い。また、泡状物質500が発生する液体が貯留されているのは水槽100に限らず、所定の領域を持つ池等の貯水領域でも良い。また、壁部200の形状は板状に限らず、他の形状でも良い。壁部200の形状は、例えば棒状でも良い。壁部200の形状が棒状である場合、背景として棒状の壁部200が写り込む部分の泡状物質500の状況を用いることとなる。さらに、泡状物質500の背景に写り込む壁部200に、泡状物質500のサイズを認識することができるスケールが表示されていても良い。
【0042】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。
【0043】
上述した画像処理装置400~402それぞれが行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を画像処理装置400~402それぞれにて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを画像処理装置400~402それぞれに読み込ませ、実行するものであっても良い。画像処理装置400~402それぞれにて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、画像処理装置400~402それぞれに内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、画像処理装置400~402それぞれに設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0044】
100 水槽
200 壁部
300 撮像装置
400~402 画像処理装置
410 画像取得部
420,421 検知部
430,431 判定部
440 通知部
450 添加制御部
500 泡状物質
600 薬液貯槽
610 添加装置
図1
図2
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図5
図6
図7
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図10
図11
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