(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107426
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】肉様加工食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 13/00 20160101AFI20230727BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20230727BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20230727BHJP
A23L 17/00 20160101ALI20230727BHJP
A23D 9/00 20060101ALN20230727BHJP
【FI】
A23L13/00 Z
A23J3/16 502
A23J3/14
A23L17/00 Z
A23D9/00 518
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008621
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】魚住 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】志田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】太田 晶
【テーマコード(参考)】
4B026
4B042
【Fターム(参考)】
4B026DC06
4B026DC07
4B026DG03
4B026DH05
4B026DL05
4B026DP03
4B026DX02
4B042AC05
4B042AD01
4B042AD02
4B042AD03
4B042AD36
4B042AE03
4B042AK06
4B042AK13
4B042AP04
4B042AP14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】硬さ、弾力性、なめらかさに優れた肉様加工食品の製造方法を提供する。
【解決手段】A:粉末状植物たん白質と水を添加混合し、ゲル状の生地を生成する工程、B:Aの生地に、固体脂含有量を10~90質量%に調整した食用油脂を添加する工程、C:Bの生地を加熱する工程を含む、肉様加工食品の製造方法であって、粉末状植物たん白質が粉末状大豆たん白質であり、ゲル状生地と食用油脂との比率が1.8~50.0であり、食用油脂と粉末状植物たん白質との比率が0.1~3である、肉様加工食品の製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程A~Cを含む、肉様加工食品の製造方法
A:粉末状植物たん白質と水を混合し、ゲル状の生地を生成する工程
B:Aの生地に、固体脂含有量を10~90質量%に調整した食用油脂を添加する工程
C:Bの生地を加熱する工程
【請求項2】
粉末状植物たん白質が粉末状大豆たん白質である請求項1記載の製造方法
【請求項3】
前記Aのゲル状生地と食用油脂との比率(ゲル状生地/食用油脂)が1.8~50.0とする工程を含む請求項1~2のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項4】
食用油脂と粉末状植物たん白質との比率(食用油脂/粉末状植物たん白質)が0.1~3である請求項1~3いずれか1項に記載の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉様加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乳アレルゲンや卵アレルゲンなどの動物性アレルゲンを含まない食品や、健康訴求、畜肉原料の供給不安などから、ミートレス化が進みベジタリアンやビーガンであっても喫食が可能な植物ベースの肉様加工食品が多く市場に出てきている。
そのような肉様加工食品の多くは、植物たん白質を肉代替として製造されているが、植物たん白質の結着性や弾力性に問題がある。さらに肉様の食感、風味とするために油脂を別途添加するため実際の畜肉とは食感が異なるなど改善の余地があった。
【0003】
肉様加工食品として従来知られている技術としては以下のものがある。
特許文献1は植物性組織状たん白質に特定量の水を含み天然肉に近い食感を呈する肉様食品に関する特許であるが、油脂の固体脂含量や水とたん白質のゲルに着目していない。特許文献2は水とデンプン又は増粘剤に着目した擬似ローフ食品組成物に関する特許であるが、 油脂の固体脂含量や水とたん白質のゲルに着目していない。特許文献3は大豆蛋白と植物蛋白水性混合物を混練後、油脂を添加する技術であるが、油脂の固体脂肪含量に着目していない。以上のことから上記特許文献の発明では畜肉様の食感として満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-150892号公報
【特許文献2】特表2016-501022号公報
【特許文献3】特開1985-186252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本特許はかかる事情に鑑みてなされたものであり、硬さ、弾力性、なめらかさに優れた肉様加工食品の製造方法を提供することを目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鋭意検討の結果、植物たん白をゲル化する工程と固体脂を含む油脂を添加することで、結着性に優れ、畜肉様の食感が再現された肉様加工食品を得ることができる製造方法を発明するに至った。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下のものを提供する。
(1)下記工程A~Cを含む、肉様加工食品の製造方法
A:粉末状植物たん白質と水を添加混合し、ゲル状の生地を生成する工程
B:Aの生地に、固体脂含有量を10~90質量%に調整した食用油脂を添加する工程
C:Bの生地を加熱する工程
(2)粉末状植物たん白質が粉末状大豆たん白質である請求項1記載の製造方法
(3)前記Aのゲル状生地と食用油脂との比率(ゲル状生地/食用油脂)が1.8~50.0とする工程を含む請求項1~2のいずれか1項に記載の製造方法。
(4)食用油脂と粉末状植物たん白質の比率(食用油脂/粉末状植物たん白質)が0.1~3である請求項1~3いずれか1項に記載の製造方法
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬さ、弾力性、なめらかさ(油性感)のある肉様加工食品を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明について詳細に説明する。本発明において肉様加工食品は粉末状植物たん白質、食用油脂を含有する。
【0010】
粉末状植物たん白質は、植物由来であり、食品に添加できるたん白質であれば特に限定はない。粉末状植物たん白質としては、例えば、大豆、そら豆、えんどう豆、緑豆、ヒヨコ豆、落花生、ルビナス、キマメ、ナタ豆、ツル豆、インゲン豆、小豆、ササゲ、レンズ豆、イナゴ豆、オーツ麦、大麦、小麦、ライ麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯、薩摩芋、チア、キヌア、ムラサキウマゴヤシ、麻、アーモンド、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、ピスタチオ、パンプキンシード、ココナッツ、グレープシード、金時豆、黒豆、ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、ケール、クランベリー、ザクロ、菜種、ひまわり種子、綿実種子、亜麻(アマニ)、ゴマ等の各種の植物由来のたん白質である。また、これらのたん白質の酵素分解物や熱分解物等の加工処理を施した粉末状植物たん白質として使用してもよい。なお、これらは1種単独で粉末状植物たん白質として使用してもよく、2種以上を組み合わせて粉末状植物たん白質として使用してもよい。粉末状植物たん白質中におけるたん白質(すなわち植物性たん白質)の含有量は、例えば、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が最も好ましい。
【0011】
上記の粉末状植物たん白質の中でも、粉末状分離たん白質または、粉末状濃縮たん白質が好ましい。素材としては大豆、えんどう豆が好ましく、大豆がより好ましい。本発明においては粉末状分離大豆たん白質を使用することが好ましい。
【0012】
本発明においてゲル状とは植物たん白質が十分に保水した状態であり、保形性を有し、わずかに弾力を持つ状態を指す。
【0013】
ゲル状の生地を生成するには、粉末状植物たん白質と水とを質量比で1:3~1:13で混合することで生成できる。使用する水の温度は0~20℃が好ましい。
【0014】
粉末状植物たん白質と水との混合には、サイレントカッター、フードプロセッサー、カッターミキサー、ミキサー等が利用できる。
【0015】
食用油脂としては、植物性油脂、動物性油脂、合成油脂、加工油脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせた調合油として用いてもよい。
【0016】
植物性油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米ぬか油、小麦胚芽油、ヤシ油、カカオ脂、パーム油、パーム核油及び藻類油等が挙げられる。
【0017】
動物性油脂としては、魚油(マグロ、サバ、イワシ、カツオ、ニシン等に由来する油脂)、豚脂、牛脂、乳脂、羊脂等が挙げられる。
【0018】
合成油脂としては、中鎖脂肪酸油等が挙げられる。
【0019】
加工油脂としては、上記の油脂に対して所望の処理を施した油脂であってもよい。このような処理としては、分別(例えば分別乳脂低融点部、パームスーパーオレイン等の分別)、硬化、エステル交換等が挙げられる。油脂に対しては、1又は2以上の処理を施してもよい。
【0020】
本発明は、ゲル状の生地に、食用油脂を添加する工程で油脂の固体脂含有量を10~90質量%に調整する。固体脂含量は、12~70質量%に調整することが肉様加工品に類似した食感を得る点で、好ましい。固体脂含有量を調整するための油脂としては特に限定されず、上記に示した油脂が適宜用いられる。中でも、本発明の効果を奏しやすいという観点から、パーム系油脂(パーム油、パーム分別軟質油、パーム分別中融点油、またはそれらのエステル交換油脂、硬化油脂)、ラウリン系油脂(パーム核油、ヤシ油、またはそれらのエステル交換油脂、硬化油脂)、パーム系油脂とラウリン系油脂のエステル交換油脂、液状油(菜種油、大豆油、コーン油)、香味油、呈味油などを用いることが好ましく、それらを混合し、固体脂含量が10~90%となる温度に調整し、添加することができる。
【0021】
本発明においては、課題に対する効果を得られやすい点から混合した油脂を混錬急冷しショートニング、マーガリンなどの可塑性油脂組成物として使用することが好ましい。
【0022】
本発明では、製造時における油脂温度が5~30℃であることが好ましい。
油脂温度がこの範囲であると、上記固体脂含有量が最適な範囲に調整でき、肉様加工食品の硬さ、弾力性、なめらかさが良好になる。
【0023】
本発明では、製造時における最終生地温度が0℃~30.0℃であることが好ましく、8.0~30.0℃、16.0℃~30.0℃がより好ましく、20.0℃~25.0℃がさらに好ましい。
【0024】
本発明では、ゲル状生地と食用油脂との比率((粉末状植物たん白質+水)/食用油脂)は、1.8~50.0であることが好ましく、2.5~10.0であることがより好ましい。
【0025】
本発明では、食用油脂と粉末状植物たん白質との比率(食用油脂/粉末状植物たん白質)は、0.1~3.0であることが好ましく、0.5~1.9であることがより好ましい。
【0026】
本発明では、水と粉末状植物たん白質との比率(水/粉末状植物たん白質)は1.0~13.0であることが好ましく、3.5~6.0であることがより好ましい。
【0027】
肉様加工食品に使用される食用油脂の量としては2~35質量%が好ましく、6~28質量%であることがより好ましい。
【0028】
肉様加工食品に使用される粉末状大豆たん白質の量としては、5~25質量%が好ましく、11~17質量%であることがより好ましい。
【0029】
(その他の成分)
本発明の食肉様加工食品には、必要に応じて、食塩、糖類、乳化剤、乳製品、卵素材、呈味素材、増粘安定剤、上記以外のタンパク質、酵素、アルコール、香料、着色料、スパイス等を配合することができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
食塩としては、精製塩等が挙げられる。 食塩の配合量としては0.1~3質量%であることが好ましい。
【0031】
糖類としては、例えば、砂糖(上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒糖、甜菜糖等)、異性化糖、液糖、澱粉、加工澱粉、デキストリン(澱粉の分解物)、澱粉糖化物、糖アルコール、乳糖等が例示される。前記糖アルコールとしては、1糖アルコール(ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール等)、2糖アルコール(マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール)、3糖アルコール(マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール等)、4糖アルコール(マルトテトライトール等)等が挙げられる。
【0032】
乳化剤としては、通常食品に添加することができる乳化剤であれば特に制限はなく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
【0033】
乳製品としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、牛乳、生クリーム、チーズ(ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等)、バター、発酵バター、発酵乳等が挙げられる。
【0034】
呈味素材としては各種調味料、各種発酵物や、各種エキス(キノコエキス、昆布エキス、酵母エキス等)などが挙げられる。
【0035】
呈味素材は、ゲル状の生地の生成を阻害しない範囲で、工程Aで混合してもよいし、工程Aで作成したゲル状生地に混合してもよい。
【0036】
増粘安定剤としては、例えば、寒天、アルギン酸ナトリウム、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、グルコマンナン、ジェランガム、大豆多糖類、イヌリン、タラガム、ローカストビーンガム、カードラン、アラビアガム、タマリンドシードガム、ウェランガム、ペクチン、結晶セルロース、セルロースエーテル、ゼラチン等が例示される。前記セルロースエーテルとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0037】
酵素としては、トランスグルタミナーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、アミラーゼ、ペプチターゼ、ぺプチナ―ゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、グルコースオキシダーゼ等が挙げられる。
【0038】
アルコールとしては、例えば、エタノール、グリセリン等が挙げられる。
【0039】
スパイスとしては、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、レッドペッパー、ターメリック、カルダモン、シナモン、クローブ、クミン、コリアンダー、サフラン、ナツメグ、メース、フェンネル、オレガノ、バジル、セージ、タイム、マジョラム、ローズマリー、ローレル等が挙げられる。スパイスの配合量としては、0.1~5.0質量%が好ましい。
【0040】
<肉様加工食品の製造方法>
本発明の肉様加工食品は、植物たん白質と水からなるゲル状生地(水相)と食用油脂(油相)を含み、肉様加工食品の製造方法として知られる任意の方法によって製造することができる。
【0041】
水相及び油相は、各相を構成する成分を、撹拌機等を用いて適宜混合撹拌することで得られる。
【0042】
乳化物は、水相及び油相から乳化物を製造できる任意の方法によって得られる。このような方法としては、ゲル化した水相に油相を添加し撹拌する方法等が挙げられる。
乳化剤を用いる場合、乳化剤は、その性質等に応じて任意のタイミングで水相及び/または油相に添加できる。
【0043】
上記乳化の製造に際して、水相と油相との割合(質量比)は、好ましくは、水相:油相=98:2~60:40である。
【0044】
水相と油相が混合された生地は型に詰められる。
ここで型とは、どのような型でもよいが、ソーセージのケーシングや、ミートローフ、パウンドケーキなどの角型や丸型が挙げられる。なかでも角型が好適に利用できる。
【0045】
型に詰めた肉様加工食品は、80~130℃で40~60分加熱される。
加熱としては、焼成、蒸し、ボイル(茹で)などを行うことができる。
【0046】
<肉様加工食品の性質>
本発明の肉様加工食品は、良好な硬さ、弾力性と、良好ななめらかさとを備える。肉様加工食品の硬さ、弾力性、なめらかさは、実施例に示した方法によって評価される。
【0047】
<肉様加工食品の用途>
本発明の肉様加工食品は、ハム、ベーコン、魚肉ソーセージ、畜肉ソーセージ、ミートローフ、ケーゼ、つくね、などの代替品として喫食できる。
【実施例0048】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、表1に示す配合量は質量%を示す。
【0049】
表1記載の原材料は以下の通りである。
粉末状植物たん白質:粉末状分離大豆たん白質(日清オイリオグループ(株)製)
可塑性油脂組成物(ミヨシ油脂(株)製)
ヤシ油
なたね油
硬化油
塩
スパイス
【0050】
<肉様加工食品(ケーゼ代替物)の製造>
(1)表1の配合量に従い、粉末状植物たん白質と水をフードプロセッサーにて全体がゲル化するまで十分に攪拌する。
(2)塩、スパイスを添加し、均一に混合する。
(3)(2)のゲル化生地(生地温度20℃)に表1に記載した温度に調整した油脂を添加し、均一になるまで攪拌する。
(4)生地の空気を抜きながら、角型に詰め、120℃50分オーブンで焼成する。
(5)粗熱を取り、5℃にて冷却・保存し、肉様加工食品としてケーゼ代替物を得た。
【0051】
[固体脂含有量(SFC)の測定方法]
食用油脂の固体脂含有量(SFC)は、基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.2.9-2013 固体脂含有量(NMR法)」に準じて、表1記載の温度にて測定した。
その結果を表中の「投入温度での固体脂含有量」の項に示す。
【0052】
【0053】
<肉様加工食品の評価>
実施例1~10、比較例1~7の配合にて焼成した肉様加工食品(ケーゼ代替物)を、5℃にて一晩置いた後、喫食し硬さ、弾力性、なめらかさを以下の基準で評価した。
比較例4については、工程(A)において粘土状となったため、官能評価は行わなかった。
なお、以下の評価を行った評価パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準嗅覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判断された20~40代の男性8名、女性12名を選抜した。
【0054】
評価を実施するにあたりパネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが共通認識を持つようにした。また、官能評価におけるパネルの偏りを排除し、評価の精度を高めるために、サンプルの試験区番号や内容はパネルに知らせず、ランダムに提示した。
【0055】
<硬さ>
◎:20人中16人~20人がしっかりした硬さがあると答えた
○:20人中11人~15人がしっかりした硬さがあると答えた
△:20人中6人~10人がしっかりした硬さがあると答えた
×:20人中しっかりした硬さがあると答えたのは5人以下であった
【0056】
<弾力性>
◎:20人中16人~20人がしっかりした弾力があると答えた
○:20人中11人~15人がしっかりした弾力があると答えた
△:20人中6人~10人がしっかりした弾力があると答えた
×:20人中 しっかりした弾力があると答えたのは5人以下であった
【0057】
<なめらかさ>
◎:20人中16人~20人がざらつきが無くなめらかであると答えた
○:20人中11人~15人がざらつきが無くなめらかであると答えた
△:20人中6人~10人がざらつきが無くなめらかであると答えた
×:20人中 ざらつきが無くなめらかであると答えたのは5人以下であった
【0058】
表1の結果より、
ゲル状の生地を作り、固体脂含量を10~90にした実施例は、硬さ、弾力性、なめらかさすべてにおいて課題をクリアしていた。
一方、投入温度での固体脂含有量が10~90の範囲から外れている比較例1、2、6、7は硬さ、弾力性、なめらかさいずれかにおいて課題を満足できていない結果となった。また、比較例3、4は粉末状植物たん白質と水を混合時に生地状態がゲル状でないため、比較例5は油脂を添加しないために課題を満たすことができなかった。