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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107474
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20230727BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20230727BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20230727BHJP
   G01K 1/143 20210101ALI20230727BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G01R1/067 D
G01R1/073 D
G01K1/14 L
G01K1/143
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008700
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】598072179
【氏名又は名称】株式会社片岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】錦織 篤志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智晴
(72)【発明者】
【氏名】井上 憲雄
【テーマコード(参考)】
2F056
2G011
5H030
【Fターム(参考)】
2F056CA02
2F056CA14
2F056CL07
2G011AA04
2G011AA16
2G011AB01
2G011AB07
2G011AC11
2G011AE00
2G011AF07
5H030AA08
5H030AS20
5H030FF22
(57)【要約】
【課題】複数の対象物それぞれの温度を正確に測定すべく、各対象物に対して温度センサをそれぞれ同様の相対位置に近接または当接させることが可能な構成を実現する。
【解決手段】支持体たるトレー3に支持させた複数個の対象物たる二次電池4の各々に接触させる複数の電極たる電圧測定用ピン624及び電流測定用ピン625と、トレー3に支持させた複数個の二次電池4の各々に当接または近接させる複数の温度センサ64と、複数の電圧測定用ピン624、電流測定用ピン625及び複数の温度センサ64を支持し、複数個の二次電池4に対し所定方向に沿って相対的に接近離間でき、前記複数の複数の電圧測定用ピン624及び電流測定用ピン625の各々が個別にこれに対し所定方向に沿って相対的に変位可能であり、複数の温度センサ64の各々が個別にこれに対し所定方向に沿って相対的に変位可能である基盤61とを具備する検査装置2を採用する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に支持させた複数個の対象物の各々に接触させる複数の電極と、
前記支持体に支持させた複数個の対象物の各々に当接または近接させる複数の温度センサと、
前記複数の電極及び前記複数の温度センサを支持し、前記複数個の対象物に対し所定方向に沿って相対的に接近離間でき、前記複数の電極の各々が個別にこれに対し前記所定方向に沿って相対的に変位可能であり、前記複数の温度センサの各々が個別にこれに対し前記所定方向に沿って相対的に変位可能である基盤と
を具備する検査装置。
【請求項2】
前記基盤に電極ガイドを支持させているものであって、
前記電極ガイドが、
前記基盤に固定された固定部と、
この固定部内にその基端部が収納され対象物に向かう方向に弾性付勢されるとともに前記温度センサが設けられている移動部と、
前記移動部を対象物に向かう方向に付勢する付勢手段と、
前記電極が収容される貫通孔と
を備えたものである請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記温度センサの先端が、前記電極ガイドの移動部の前記対象物に対向する面と面一になるように配されている請求項2記載の検査装置。
【請求項4】
前記基盤にプローブピンを支持させているものであって、
前記プローブピンが、
前記基盤に固定された固定部と、
前記固定部に対して相対移動可能であり前記対象物に向かう方向に弾性付勢される電圧測定用の前記電極と、
前記固定部に対して前記電圧測定用の電極とは独立に相対移動可能であり前記対象物に向かう方向に弾性付勢される電流測定用の前記電極と、
前記電極を対象物に向かう方向に付勢する電極付勢手段とを備えたものである請求項1、2又は3記載の検査装置。
【請求項5】
前記複数の電極と、前記複数の温度センサとが、対象物に向かう付勢力を受けつつそれぞれ独立に前記対象物に対して接離する方向に移動可能である請求項1、2、3又は4記載の検査装置。
【請求項6】
前記対象物が二次電池である請求項1、2、3、4又は5記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対象物にそれぞれ接続可能な複数の電極を備えた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、リチウムイオン電池に代表される、充電して繰り返し使用することのできる二次電池が、様々な電気機器や電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等に採用されている。
【0003】
ところで、二次電池の性能は温度によって変化するため、二次電池の性能試験を行うにあたっては多数個の二次電池それぞれの温度を正確に測定する必要がある。そのため、このような性能試験を行うための検査装置に二次電池温度検出機構を設けることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
しかして、例えば100個以上の二次電池に対して同時に充放電検査を行う際には、各二次電池の設計誤差やトレーの変形等の影響により位置ずれが生じうる。しかしながら、このような場合であっても各二次電池個別の温度を正確に測定する必要がある。
【0005】
また、二次電池に限らず、複数個の対象物にそれぞれ接続可能な複数の電極を備えた検査装置に関し、同様に複数の対象物それぞれの温度を正確に測定する要望が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-189059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の点に着目して行われたもので、複数の対象物それぞれの温度を正確に測定すべく、各対象物に対して温度センサをそれぞれ同様の相対位置に近接または当接させることが可能な構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決すべく、本発明に係る検査装置は、以下に述べるような構成を有する。
【0009】
すなわち請求項1の発明に係る検査装置は、支持体に支持させた複数個の対象物の各々に接触させる複数の電極と、前記支持体に支持させた複数個の対象物の各々に当接または近接させる複数の温度センサと、前記複数の電極及び前記複数の温度センサを支持し、前記複数個の対象物に対し所定方向に沿って相対的に接近離間でき、前記複数の電極の各々が個別にこれに対し前記所定方向に沿って相対的に変位可能であり、前記複数の温度センサの各々が個別にこれに対し前記所定方向に沿って相対的に変位可能である基盤とを具備する。
【0010】
このようなものであれば、複数の電極をそれぞれ対象物に接触させつつ、複数の温度センサをそれぞれ対象物に対して同様の位置に当接または近接させることにより、各対象物の温度を確実に測定することができる。
【0011】
基盤に温度センサを支持させるための具体的な態様の一例として、前記基盤に電極ガイドを支持させているものであって、前記電極ガイドが、前記基盤に固定された固定部と、
この固定部内にその基端部が収納され対象物に向かう方向に弾性付勢されるとともに前記温度センサが設けられている移動部と、前記移動部を対象物に向かう方向に付勢する付勢手段と、前記電極が収容される貫通孔とを備えたものであるものが挙げられる。
【0012】
さらに、対象物の温度をより正確に測定するには、前記温度センサの先端が、前記電極ガイドの移動部の前記対象物に対向する面と面一になるように配されているものが望ましい。
【0013】
基盤に電極を支持させるための具体的な態様の一例として、前記基盤にプローブピンを支持させているものであって、前記プローブピンが、前記基盤に固定された固定部と、前記固定部に対して相対移動可能であり前記対象物に向かう方向に弾性付勢される電圧測定用の前記電極と、前記固定部に対して前記電圧測定用の電極とは独立に相対移動可能であり前記対象物に向かう方向に弾性付勢される電流測定用の前記電極と、前記電極を対象物に向かう方向に付勢する電極付勢手段とを備えたものが挙げられる。
【0014】
複数の電池それぞれに対して温度センサ及び電極を適切に位置決めするための構成として、前記複数の電極と、前記複数の温度センサとが、対象物に向かう付勢力を受けつつそれぞれ独立に前記対象物に対して接離する方向に移動可能であるものが挙げられる。
【0015】
対象物の望ましい一例として、二次電池が挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の対象物それぞれの温度を正確に測定すべく、各対象物に対して各温度センサをそれぞれ同様の相対位置に近接または当接させることが可能な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る充放電検査装置を示す斜視図。
図2】同実施形態に係る充放電検査装置を示す要部正断面図。
図3】同実施形態に係る下部フレームを示す斜視図。
図4】同実施形態に係る負極用プローブを示す斜視図。
図5】同実施形態に係るプローブピン及び電極ガイドを示す斜視図。
図6】二次電池に対するプローブピン及び電極ガイドの接離の態様を示す図。
図7】二次電池に対するプローブピン及び電極ガイドの接離の態様を示す図。
図8】二次電池に対するプローブピン及び電極ガイドの接離の態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態に係る検査装置である充放電検査装置2は、図1及び図2に示すように、支持体であるトレー3に収められた状態で搬入される複数個の対象物である二次電池4の各々の電極に本発明の電極を備えたプローブを接続し、当該二次電池4の充電または放電を伴う検査を実施する既知のものである。
【0019】
図1及び図2に、検査対象の二次電池4及び二次電池搬送用のトレー3を示している。本実施形態における二次電池4は、円筒状の外形をなす乾電池型のリチウムイオン電池であり、その一方の端面に突き出た正極が設けられ、他方の端面に突き出ていない負極が設けられている。
【0020】
トレー3は、図1及び図2に示すように、平面視略方形状をなす四方の周壁31に包囲される内部空間に複数個の二次電池4を収容して支持する、上方に開放した扁平な箱体である。トレー3の底壁32の上向面からは、上方に向けて多数の柱状体321が突出している。これら柱状体321は、トレー3の内部空間において前後左右に沿って等間隔に並んでいる。前後または左右に隣接する二本の柱状体321の間隔は、ちょうど二次電池4の外径寸法に等しい。
【0021】
柱状体321は、個々の二次電池4が配置される領域を区画するとともに、トレー3内で二次電池4が傾倒しないように支える役割を担う。各二次電池4は、四隅に柱状体321が起立している各領域内に挿入され、それら四隅の柱状体321によって保持される。トレー3に収容された二次電池4の正極は上方を向き、負極は下方を向く。また、トレー3の底壁32における、個々の二次電池4を保持する領域に面した部位には、上下に貫通した孔322を穿ってある。
【0022】
充放電検査装置2は、図1及び図2に示すように、トレー3に収容された二次電池4の一方側の電極即ち正極に接続される一方側のプローブである正極用プローブ5と、同二次電池4の他方側の電極即ち負極に接続される他方側のプローブである負極用プローブ6とを備えている。正極用プローブ5及び負極用プローブ6はそれぞれ、一個のトレー3に収容される二次電池4の最大個数に対応する本数存在する。一個のトレー3に二次電池4が前後及び左右に十六個ずつ、都合二百五十六個収容されるとすると、正極用プローブ5及び負極用プローブ6もまた前後方向及び左右方向に沿って十六本ずつ配列され、合計二百五十六本設けられる。
【0023】
正極用プローブ5は、図2に示すように、上下方向に伸長し、二次電池4の正極に接触する先端部を下方に向けた金属製の棒材(プローブピン52)を主体とする。正極用プローブ5は、その基端部即ち上端部を、塩化ビニル等の絶縁材料を素材とする基盤51に支持させている。充放電検査装置2の上部フレーム21は、正極用プローブ5が固定された基盤51を包含し、エアシリンダまたは液圧シリンダ等のアクチュエータ23によりその高さ位置を上下動させることが可能である。
【0024】
負極用プローブ6もまた、図1図8に示すように、上下方向に伸長し、二次電池4の負極に接触する先端部を上方に向けた金属製の棒材(プローブピン62)を主体とする。負極用プローブ6と正極用プローブ5とは、上下方向に沿って互いに対向する。負極用プローブ6は、その基端部即ち下端部を、塩化ビニル等の絶縁材料を素材とする基盤61に支持させている。充放電検査装置2の下部フレーム22は、負極用プローブ6が固定された基盤61を包含し、エアシリンダまたは液圧シリンダ等のアクチュエータ24によりその高さ位置を上下動させることが可能である。
【0025】
二次電池4の充電及び/または放電を伴う二次電池4の充放電試験を行う際には、検査対象となる複数個の二次電池4をトレー3に収めた上、そのトレー3を充放電検査装置2の上部フレーム21と下部フレーム22との間の領域に搬入する。
【0026】
トレー3を充放電検査装置2に搬入すると、図2に示すように、トレー3の上方に所在する上部フレーム21に固定された正極用プローブ5の各々がトレー3内の各二次電池4にそれぞれ対面し、かつトレー3の下方に所在する下部フレーム22に固定された負極用プローブ6の各々がトレー3内の各二次電池4にそれぞれ対面する状況となる。
【0027】
しかして、アクチュエータ23を作動させて上部フレーム21をトレー3に近づけるように下降させると、下方を向いた正極用プローブ5の先端部がトレー3の内部空間に進入し、トレー3に収められた二次電池4の正極に当接する。並びに、アクチュエータ24を作動させて下部フレーム22をトレー3に近づけるように上昇させると、上方を向いた負極用プローブ6の先端部がトレー3の底壁32に穿たれた貫通孔322を介してトレー3の内部空間に進入し、トレー3に収められた二次電池4の負極に当接する。
【0028】
図2は、正極用プローブ5及び負極用プローブ6をそれぞれ二次電池4の正極及び負極に当接させた状態を示している。その上で、所要の電源(図示せず)から供給される電源電圧を二次電池4に接続したプローブ5、6に印加して二次電池4を充電し、及び/または、既に二次電池4に充電されている電荷をプローブ5、6を介して放電させる。さらに、二次電池4の充放電の際にプローブ5、6を流れる電流の大きさや、二次電池4の端子間電圧即ち両プローブ5、6間の電圧を計測する。
【0029】
二次電池4の充放電試験が完了したならば、上部フレーム21をトレー3から引き離すように上昇させるとともに、下部フレーム22をトレー3から引き離すように下降させる。これにより、正極用プローブ5及び負極用プローブ6がそれぞれ二次電池4の正極及び負極から離間し、かつこれらプローブ5、6がトレー3の内部空間から脱出する。そして、トレー3を充放電検査装置2から搬出する。
【0030】
以後、同様に、新たな検査対象の二次電池4を収めたトレー3を充放電検査装置2に搬入し、正極用プローブ5及び負極用プローブ6を二次電池4の正極及び負極に接続して、当該二次電池4の充放電を実行後、トレー3を充放電検査装置2から搬出する、という手順を反復する。
【0031】
さらに本実施形態では、負極用プローブ6は、図3図4及び図6図8に示すように、トレー3が挿入された状態でトレー3に対し接離可能な基盤61と、この基盤61に固定され基盤61がトレー3に近接移動することでトレー3に収容された各二次電池4の底面の電極に各々接触する複数のプローブピン62と、この複数のプローブピン62の各々に対しプローブピン62が収容される貫通孔であるプローブピン挿通孔632xを有する複数の電極ガイドたるプローブガイド63と、複数のプローブガイド63の上面に各々配置される複数の温度センサ64とを有し、プローブガイド63は基盤61に対して、上下動可能かつトレー3に向けて付勢されるよう取り付けられているとともに、プローブピン62と温度センサ64とが同時に二次電池4の底面の電極(負極)に各々接触するようになっている。また、負極用プローブ6は、図3に示すように、1枚の基盤61上にプローブピン62及びプローブガイド63を前後方向に2列、左右方向に16個ずつ配したプローブユニット60を前後方向に8個並列させて形成している。
【0032】
プローブピン62は、図6図8に示すように、基盤61に固定された固定部621と、この固定部621に対して相対移動可能でありトレー3に向かう方向に弾性付勢される移動部622と、移動部622をトレー3に向かう方向に付勢するプローブ付勢手段623とを備えている。移動部622は、平面視中央部に位置する電圧測定ピン624と、この電圧測定ピン624を包囲するように配された電流測定ピン625と、電流測定ピン625の基端部に固定された第1の絶縁体626と、電圧測定ピン624の中間部に固定された第2の絶縁体627と、電圧測定ピン624の中間よりも先端寄りの部位に固定された第3の絶縁体628とを備えている。プローブ付勢手段623は、固定部621と電流測定ピン625との間に配されるコイルばねである外スプリング629と、電流測定ピン625と電圧測定ピン624との間に配されるコイルばねである内スプリング620とを備えている。
【0033】
プローブガイド63は、図4図8に示すように、基盤61に固定された固定部材631と、この固定部材631内にその基端部が収納されトレー3に向かう方向に弾性付勢される移動部材632と、移動部材632をトレー3に向かう方向に付勢する付勢手段633とを備えている。また、移動部材632には、温度センサ64が設けられている。固定部材631は、基盤61にねじ止め固定されており、頂板631aと側板631bとにより区成される領域631s内に移動部材632の基端部及び付勢手段633を収納するようになっているともに、頂板631aには移動部材632を挿通させることが可能な窓631xが設けられている。移動部材632は、円筒状の本体632aと、この本体632aの基端に形成したフランジ632bとを備えており、本体632aの軸心部に電極(電圧測定ピン624及び電流測定ピン625)が収容される貫通孔、すなわちプローブピン62を挿通させることが可能なプローブピン挿通孔632xを有する。付勢手段633は基盤61と移動部材632との間に配された圧縮コイルばねであり、固定端側を基盤61に、自由端側を移動部材632の下面にそれぞれ衝き当てている。
【0034】
温度センサ64は、本実施形態ではサーミスタであり、対象物たる二次電池4毎に一つずつ存在する。この温度センサ64は、各二次電池4の温度を、二次電池4毎に個別に測定可能である。
【0035】
ここで、二次電池4に対し、各電圧測定ピン624、各電流測定ピン625及び各移動部材632はそれぞれ独立に接離方向に移動可能であり、また、各電圧測定ピン624、各電流測定ピン625及び各移動部材632相互も互いに干渉することなく独立に移動可能である。
【0036】
基盤61を含む下部フレーム22がトレー3に近づくと、つれてプローブピン62もトレー3に下方から接近し、図7及び図8に示すように電圧測定ピン624の先端、電流測定ピン625の先端及び移動部材632の先端面すなわち上面632sが順次二次電池4の底面(負極)に衝き当たる。このとき、プローブピン62の外スプリング629及び内スプリング620、並びにプローブガイド63の付勢手段633が圧縮されて弾性付勢力を蓄積し、プローブピン62の電流測定ピン625、電圧測定ピン624並びにプローブガイド63の移動部材632を二次電池4の底面(負極)に向けて付勢する。
【0037】
このとき、温度センサ64は移動部材632の上面632sと面一となるように配されているので、前述したように、前記プローブピン62(の電圧測定ピン624及び電流測定ピン625)と前記温度センサ64とが同時に二次電池4の底面の電極(負極)に各々接触する。
【0038】
ここで、図1は本実施形態に係る充放電検査装置2を示す全体斜視図であり、二次電池4を収容した状態のトレー3を挿入する直前の状態を示している。図2は本実施形態に係る充放電検査装置2の要部を示す正断面図であり、特にプローブピン52、62を二次電池4に接触させる態様を示している。図3は本実施形態に係る下部フレーム22を示す斜視図である。図4は本実施形態に係る負極用プローブ6を示す斜視図である。図5は本実施形態に係る基盤61に支持されたプローブピン62及びプローブガイド63各2個を示す斜視図である。図6図8は二次電池に対するプローブピン62及びプローブガイド63の接離の態様を示す図であり、図6はプローブピン62の電圧測定ピン624及び電流測定ピン625並びにプローブガイド63の移動部材632が二次電池4から離間している状態、図7はプローブピン62の電圧測定ピン624及び電流測定ピン625が二次電池4に接触しプローブガイド63の移動部材632が二次電池4から離間している状態、図8はプローブピン62の電圧測定ピン624及び電流測定ピン625並びにプローブガイド63の移動部材632が二次電池4に接触している状態をそれぞれ示す。
【0039】
このような構成によれば、プローブピン62と温度センサ64とが同時に二次電池4の底面の電極(負極)に各々当接するので、充電又は放電を伴う検査中に各二次電池4に対応する温度センサ64を同様の相対位置に近接または当接させることができ、特に本実施形態では確実に二次電池4の負極に当接させ続けることができる。従って、二次電池4の温度を正確に測定し、二次電池4の温度に依存する種々の補正をも正確に行うことができる。
【0040】
また、プローブガイド63が、基盤61に固定された固定部材631と、この固定部材631内にその基端部が収納されトレー3に向かう方向に弾性付勢される移動部材632と、移動部材632を二次電池4に向かう方向に付勢する付勢手段633とを備え、温度センサ64がプローブガイド63の移動部材632の上面632sと面一になるように配されているので、さらに確実に温度センサ64を二次電池4の負極に当接させ、確実に二次電池4の温度を測定することができる。
【0041】
加えて、各二次電池4にそれぞれ対応する電極すなわち電流測定ピン625及び電圧測定ピン624と、同じく各二次電池4にそれぞれ対応する温度センサ64とが、二次電池4に向かう付勢力を受けつつそれぞれ独立に二次電池4に対して接離する方向に移動可能であるので、各二次電池4に対する検査を正確に行うべく、これら電流測定ピン625、電圧測定ピン624及び温度センサ64をそれぞれ対応する二次電池4の負極に当接させることができる。
【0042】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0043】
例えば、複数の二次電池それぞれに対して対応する電極及び温度センサをそれぞれ基盤に支持させ、これら電極及び温度センサが二次電池に対し個別に当該二次電池との間で接離する方向に沿って相対的に変位可能に構成したものであれば、上述した実施形態以外の構成であっても本発明の所期の効果を得ることはできる。但し、上述した実施形態のように、固定部と、移動部と、付勢手段と、貫通孔を有する電極ガイド(プローブガイド)を基盤に支持させ、電極ガイドの移動部に温度センサを設ける態様であれば、この電極ガイドに電極(プローブピン)を貫通させることにより、限られたスペースに1つの二次電池に対応する電極及び温度センサを配置することができる。
【0044】
また、温度センサの配置は、上述した実施形態のように電極ガイド(プローブガイド)の移動部における二次電池に対抗する面と面一である必要は必ずしもない。但し、温度センサを電極ガイド(プローブガイド)の移動部における二次電池に対抗する面と面一に配置すれば、温度センサを二次電池に確実に当接させることができる。
【0045】
そして、対象物は二次電池以外のものであってもよい。すなわち、対象物に電極を当接させて通電するとともに対象物の温度測定を行う検査装置全般に本発明を適用してももちろんよい。
【0046】
加えて、電池の形状も、突き出た正極と突き出ていない負極を有する円筒状の外形に限定されず、本発明は他の形状の電池にも適用することができる。
【0047】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0048】
2…検査装置(充放電検査装置)
3…支持体(トレー)
4…対象物(二次電池)
61…基盤
62…プローブピン
621…(プローブピンの)固定部
623…電極付勢手段
624…電極(電圧測定用ピン)
625…電極(電圧測定用ピン)
63…電極ガイド(プローブガイド)
631…(電極ガイドの)固定部
632…移動部
632x…貫通孔(プローブピン挿通孔)
633…付勢手段
64…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8