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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107479
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20230727BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G01L3/10 305
G01B7/30 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008708
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】景井 勝典
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA36
2F063BA08
2F063BB03
2F063BC02
2F063BD11
2F063CA31
2F063DA05
2F063DB07
2F063DC08
2F063DD03
2F063GA52
(57)【要約】
【課題】防水性をより高めることができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ装置は、センサハウジングを備えている。センサハウジングは、回転軸が挿入される第1の収容室と、基板が収容される第2の収容室と、を有する。センサハウジングは、樹脂成形品である筒状のインナーハウジング25Bと、インナーハウジング25Bがインサートされる樹脂成形品であるアウターハウジングと、を有している。インナーハウジング25Bの内周は第1の収容室の内部に露出している。インナーハウジング25Bの外周の一部は第2の収容室の内部に露出している。インナーハウジング25Bは、第2の収容室の内部に露出する部分に対して、周方向に隣接する外周の2つの領域に、軸方向の全長にわたって設けられる凹凸部81を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象である回転軸の回転運動に関する物理量を検出するように構成されるセンサと、
前記センサが設けられる基板と、
前記回転軸が挿入される第1の収容室と、前記基板が収容される第2の収容室と、を有するセンサハウジングと、を備え、
前記センサハウジングは、樹脂成形品である筒状のインナーハウジングと、
前記インナーハウジングがインサートされる樹脂成形品であるアウターハウジングと、を有し、
前記インナーハウジングの内周は前記第1の収容室の内部に露出する一方、前記インナーハウジングの外周の一部は前記第2の収容室の内部に露出しており、
前記インナーハウジングは、前記第2の収容室の内部に露出する部分に対して、周方向に隣接する外周の2つの領域に、軸方向の全長にわたって設けられる凹凸部を有しているセンサ装置。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記インナーハウジングの軸方向の全長にわたって延び、前記インナーハウジングの周方向に間隔をあけて設けられる複数の凹状の曲面を有する溝部と、
前記溝部を設けることによって複数の前記溝部の間に形成される突部と、を有している請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記凹凸部は、前記インナーハウジングの軸方向の全長にわたって延び、前記インナーハウジングの周方向に間隔をあけて設けられる複数の凸状の曲面を有する突部と、
前記突部を設けることによって複数の前記突部の間に形成される溝部と、を有している請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記インナーハウジングは、前記第1の収容室と前記第2の収容室との間を遮るように設けられる壁部を有している請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記第1の収容室の内部に位置し、前記回転軸に対して一体回転可能に設けられる永久磁石と、
前記第1の収容室の内部に位置し、前記回転軸のねじれに伴い前記永久磁石に対する回転位置が変化する磁気ヨークと、
前記磁気ヨークの周囲を囲むように前記インナーハウジングの内周に露出した状態でインサートされ、前記磁気ヨークからの磁束を集める第1の集磁リングと、
前記第1の集磁リングとは異なる前記磁気ヨークの軸方向位置において、前記磁気ヨークの周囲を囲むように前記インナーハウジングの内周に露出した状態でインサートされ、前記磁気ヨークからの磁束を集める第2の集磁リングと、を有し、
前記第1の集磁リングおよび前記第2の集磁リングは、その外周面から径方向外側へ突出し、前記壁部を貫通して前記第2の収容室の内部に露出する集磁突部を有し、
前記センサは、2つの前記集磁突部の間に介在し、2つの前記集磁突部の間に漏出する磁束に応じた電気信号を生成するように構成される磁気センサであって、
前記集磁突部が設けられる部分の前記第1の集磁リングおよび前記第2の集磁リングの内面の領域は、前記インナーハウジングを構成する樹脂によって覆われている請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記第1の集磁リングおよび前記第2の集磁リングの前記集磁突部が設けられる部分は、他の部分に対して、径方向外側に位置している請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記回転軸は、車両の転舵輪を転舵させる転舵シャフトに噛み合うピニオンシャフトである請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1のセンサ装置は、検出対象の物理量を測定するセンサと、センサが設けられる基板と、基板を収容する樹脂製の基板収容部と、を有している。基板収容部の外面は、樹脂製のアウタケースにより覆われている。アウタケースは、モールド成形によって基板収容部の周囲を囲むように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-25819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のセンサ装置は、つぎの懸念事項を有する。すなわち、アウタケースを成形する際、基板収容部の外面とアウタケースの内面との間に、わずかな隙間が形成されるおそれがある。この隙間から水が浸入するおそれがある。センサ装置の防水性をより高めることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決し得るセンサ装置は、検出対象である回転軸の回転運動に関する物理量を検出するように構成されるセンサと、前記センサが設けられる基板と、前記回転軸が挿入される第1の収容室と、前記基板が収容される第2の収容室と、を有するセンサハウジングと、を備えている。前記センサハウジングは、樹脂成形品である筒状のインナーハウジングと、前記インナーハウジングがインサートされる樹脂成形品であるアウターハウジングと、を有している。前記インナーハウジングの内周は前記第1の収容室の内部に露出する一方、前記インナーハウジングの外周の一部は前記第2の収容室の内部に露出している。前記インナーハウジングは、前記第2の収容室の内部に露出する部分に対して、周方向に隣接する外周の2つの領域に、軸方向の全長にわたって設けられる凹凸部を有している。
【0006】
センサハウジングの内部に水が浸入した場合、インナーハウジングとアウターハウジングとの間のわずかな隙間を介して、インナーハウジングの外周に水が漏れ出すおそれがある。
【0007】
上記のセンサ装置によれば、アウターハウジングを成形する際の成形収縮現象によって、凹凸部の凸の部分とアウターハウジングとの間の径方向の隙間が、より狭められている。このため、センサハウジングの内部に水が浸入した水が、インナーハウジングの外周を伝って、第2の収容室に流入することが抑制される。
【0008】
上記のセンサ装置において、前記凹凸部は、前記インナーハウジングの軸方向の全長にわたって延び、前記インナーハウジングの周方向に間隔をあけて設けられる複数の凹状の曲面を有する溝部と、前記溝部を設けることによって複数の前記溝部の間に形成される突部と、を有していてもよい。
【0009】
上記のセンサ装置によれば、アウターハウジングを成形する際の成形収縮現象によって、凹凸部の突部とアウターハウジングとの間の径方向の隙間が、より狭められる。
上記のセンサ装置において、前記凹凸部は、前記インナーハウジングの軸方向の全長にわたって延び、前記インナーハウジングの周方向に間隔をあけて設けられる複数の凸状の曲面を有する突部と、前記突部を設けることによって複数の前記突部の間に形成される溝部と、を有していてもよい。
【0010】
上記のセンサ装置によれば、アウターハウジングを成形する際の成形収縮現象によって、凹凸部の突部とアウターハウジングとの間の径方向の隙間が、より狭められる。
上記のセンサ装置において、前記インナーハウジングは、前記第1の収容室と前記第2の収容室との間を遮るように設けられる壁部を有していてもよい。
【0011】
第2の収容室の内部に露出するインナーハウジングの一部が開口部を有する場合、センサハウジングの内部に浸入した水が、開口部を介して、第2の収容室へ流入するおそれがある。
【0012】
上記のセンサ装置によれば、壁部によって、第1の収容室と第2の収容室との間が遮られる。このため、センサハウジングの内部に浸入した水が、第2の収容室へ流入することが抑制される。
【0013】
上記のセンサ装置において、前記第1の収容室の内部に位置し、前記回転軸に対して一体回転可能に設けられる永久磁石と、前記第1の収容室の内部に位置し、前記回転軸のねじれに伴い前記永久磁石に対する回転位置が変化する磁気ヨークと、前記磁気ヨークの周囲を囲むように前記インナーハウジングの内周に露出した状態でインサートされ、前記磁気ヨークからの磁束を集める第1の集磁リングと、前記第1の集磁リングとは異なる前記磁気ヨークの軸方向位置において、前記磁気ヨークの周囲を囲むように前記インナーハウジングの内周に露出した状態でインサートされ、前記磁気ヨークからの磁束を集める第2の集磁リングと、を有していてもよい。前記第1の集磁リングおよび前記第2の集磁リングは、その外周面から径方向外側へ突出し、前記壁部を貫通して前記第2の収容室の内部に露出する集磁突部を有していてもよい。前記センサは、2つの前記集磁突部の間に介在し、2つの前記集磁突部の間に漏出する磁束に応じた電気信号を生成するように構成される磁気センサであってもよい。前記集磁突部が設けられる部分の前記第1の集磁リングおよび前記第2の集磁リングの内面の領域は、前記インナーハウジングを構成する樹脂によって覆われていてもよい。
【0014】
上記のセンサ装置によれば、センサハウジングの内部に浸入した水が、第1の集磁リングおよび第2の集磁リングの集磁突部が設けられる部分と、インナーハウジングとの境界部分の隙間を介して、第2の収容室へ流入することが抑制される。
【0015】
上記のセンサ装置において、前記第1の集磁リングおよび前記第2の集磁リングの前記集磁突部が設けられる部分は、他の部分に対して、径方向外側に位置していてもよい。
上記のセンサ装置によれば、アウターハウジングの成形時、第1の集磁リングの集磁突部が設けられる部分の内面の領域を、インナーハウジングを構成する樹脂によって簡単に覆うことができる。また、アウターハウジングの成形時、第2の集磁リングの集磁突部が設けられる部分の内面の領域を、インナーハウジングを構成する樹脂によって簡単に覆うことができる。
【0016】
上記のセンサ装置において、前記回転軸は、車両の転舵輪を転舵させる転舵シャフトに噛み合うピニオンシャフトであってもよい。
上記のセンサ装置は、防水性の確保が要求される車両用途に好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のセンサ装置によれば、防水性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】センサ装置の一実施の形態の分解斜視図である。
図2】一実施の形態のセンサ装置を軸方向に切断した断面図である。
図3】一実施の形態の集磁リングの斜視図である。
図4】一実施の形態のインナーハウジングの斜視図である。
図5】一実施の形態のインナーハウジングの斜視図である。
図6】一実施の形態のインナーハウジングを集磁突部に対応する位置で軸方向に切断した断面図である。
図7図6のVII-VII線で切断した一実施の形態のインナーハウジングの断面図である。
図8】一実施の形態のインナーハウジングの斜視図である。
図9】一実施の形態のインナーハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、センサ装置の一実施の形態を説明する。
<センサ装置の全体構成>
図1に示すように、センサ装置10は、検出対象である回転軸11に設けられる。回転軸11は、入力軸12、トーションバー13、および出力軸14を有している。入力軸12と出力軸14とは、トーションバー13を介して互いに連結される。入力軸12、トーションバー13、および出力軸14は、同一の軸線O上に位置している。回転軸11は、たとえば車両の操舵装置を構成するラックアンドピニオン機構のピニオンシャフトである。ピニオンシャフトには、ステアリングシャフトを介してステアリングホイールが連結される。
【0020】
センサ装置10は、ステアリングホイールの操作を通じて回転軸11に加わるトルクを検出する。センサ装置10は、永久磁石21、磁気ヨーク22、基板23、センサハウジング25、およびカバー26を有している。
【0021】
永久磁石21は、円筒状である。永久磁石21は、その周方向において、S極とN極とが交互に着磁されている。永久磁石21の内周面と入力軸12の外周面とは、互いに嵌り合っている。永久磁石21の内周面は、入力軸12の外周面に固定される。
【0022】
磁気ヨーク22は、円筒状である。磁気ヨーク22の内部には、永久磁石21が挿入される。磁気ヨーク22は、第1のヨーク31、第2のヨーク32、およびホルダ33を有している。第1のヨーク31および第2のヨーク32は、磁性体からなる環状の部材である。第1のヨーク31および第2のヨーク32は、回転軸11の軸線Oに沿って並んでいる。磁気ヨーク22は、第1のヨーク31および第2のヨーク32が合成樹脂材料によりモールドされることにより形成される。ホルダ33は、磁気ヨーク22の合成樹脂材料により形成された部である。ホルダ33は、第1のヨーク31と第2のヨーク32との位置関係を保持する。磁気ヨーク22は、出力軸14に固定される。
【0023】
第1のヨーク31は、複数の歯部31aを有している。歯部31aは、第1のヨーク31の周方向において、等間隔に並んでいる。第2のヨーク32は、複数の歯部32aを有している。歯部32aは、第2のヨーク32の周方向において、等間隔に並んでいる。歯部31aと歯部32aとは、回転軸11の軸線Oに沿った方向において、互いに反対側へ延びている。また、歯部31aと歯部32aとは、第1のヨーク31および第2のヨーク32の周方向において、交互に配置されている。トーションバー13に捩れ変形が生じていない状態において、歯部31a,32aの周方向における中心は、永久磁石21のN極とS極との境界に一致する。
【0024】
基板23は、矩形の板状である。基板23は、軸線Oに沿った方向において、互いに反対側に位置する第1の主面および第2の主面を有している。また、基板23は、3つの支持孔41、複数の端子接続孔42、第1の磁気センサ45、および第2の磁気センサ46を有している。支持孔41は、基板23の中央付近に設けられている。支持孔41は、基板23の長辺方向に一列に並んでいる。端子接続孔42は、基板23の第1の長辺に沿って、たとえば二列に並んでいる。第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46は、基板23の第1の主面に設けられている。第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46は、基板23の第2の長辺に沿って並んでいる。第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46は、回転軸11の回転角度を検出するためのものであって、たとえばホールセンサである。回転軸11の回転角度は、回転軸11の回転運動に関する物理量である。
【0025】
センサハウジング25は、アウターハウジング25Aおよび筒状のインナーハウジング25Bを有している。アウターハウジング25Aおよびインナーハウジング25Bは、それぞれ樹脂成形品である。インナーハウジング25Bは、インサート成形によって、アウターハウジング25Aと一体的に設けられる。インサート成形は、開いた状態の金型にインサート品であるインナーハウジング25Bを装着し、その後、金型を閉じて射出成形を行う成形技術である。金型の内部において、インナーハウジング25Bは、一部分を除き、金型に注入される溶融樹脂により包み込まれる。この溶融樹脂が冷却固化することにより、インナーハウジング25Bの外側にアウターハウジング25Aが形成される。センサハウジング25は、インナーハウジング25Bの径方向外側へ張り出す張出部を有している。回転軸11は、センサハウジング25を軸方向に貫通するように設けられる。
【0026】
センサハウジング25は、円筒状の挿通孔51、円筒状の第1の収容室52、および第2の収容室53を有している。挿通孔51と第1の収容室52とは、互いに連通している。挿通孔51および第1の収容室52は、それぞれ同一の軸線O上に位置している。挿通孔51の内径は、回転軸11の外径よりも若干大きい。挿通孔51には、第1の収容室52を介して、入力軸12が挿通される。
【0027】
第1の収容室52の内径は、磁気ヨーク22の外径よりも若干大きい。インナーハウジング25Bの内周面は、第1の収容室52の内周面を構成する。第1の収容室52は、永久磁石21および磁気ヨーク22を収容する。
【0028】
第2の収容室53は、センサハウジング25の張出部に設けられている。第2の収容室53は、基板23を収容する。第2の収容室53は、矩形の開口部53aを有している。開口部53aは、インナーハウジング25Bの径方向外側へ開口している。開口部53aは、カバー26によって閉塞される。
【0029】
第2の収容室53の内端面には、3つの支持突部54が設けられている。支持突部54は、たとえば段付き円柱状である。各支持突部54は、開口部53aの長辺に沿って、一列に並んでいる。各支持突部54は、基板23の各支持孔41に対応している。
【0030】
第2の収容室53の内端面には、複数の端子55の第1の端部が突出して設けられている。複数の端子55は、開口部53aの長辺に沿って、たとえば二列に並んでいる。端子55の第1の端部は、開口部53aの開口方向において、支持突部54の外側に位置している。複数の端子55は、基板23に設けられた複数の端子接続孔42に対応する。
【0031】
センサハウジング25の張出部の端壁外面には、四角筒状のコネクタ嵌合部56が突出して設けられている。複数の端子55の第2の端部は、センサハウジング25の張出部の端壁を貫通して、コネクタ嵌合部56の内部に露出する。コネクタ嵌合部56には、基板23の端子55と外部機器との間を電気的に接続する配線のコネクタ(図示略)が嵌合される。外部機器は、たとえば操舵装置の制御装置である。
【0032】
第1の収容室52の内周面には、第1の集磁リング61および第2の集磁リング62が設けられている。第1の集磁リング61および第2の集磁リング62は、インサート成形によって、インナーハウジング25Bと一体的に設けられる。第1の集磁リング61および第2の集磁リング62は、磁気ヨーク22の外周に沿って湾曲する円弧板状である。第1の集磁リング61および第2の集磁リング62は、回転軸11の軸線Oに沿った方向に並んでいる。第1の集磁リング61は、第1のヨーク31に対応する。第2の集磁リング62は、第2のヨーク32に対応する。第1の集磁リング61は、2つの集磁突部61a,61bを有している。これら集磁突部61a,61bは、第2の収容室53の内部に露出している。第2の集磁リング62は、2つの集磁突部62a,62bを有している。これら集磁突部62a,62bは、第2の収容室53の内部に露出している。1つの組である集磁突部61aと集磁突部62aとは、軸線Oに沿った方向において、互いに対向している。他の組である集磁突部61bと集磁突部62bとは、軸線Oに沿った方向において、互いに対向している。
【0033】
<センサ装置の取り付け状態>
図2に示すように、センサ装置10は、ハウジング15に取り付けられる。センサハウジング25の内部とハウジング15の内部とは、互いに連通している。ハウジング15は、検出対象である回転軸11を回転可能に支持する。ハウジング15は、たとえば車両の操舵装置を構成するラックアンドピニオン機構を収容するギヤハウジングである。ラックアンドピニオン機構は、車両の転舵輪を転舵させる転舵シャフト、および転舵シャフトのラック歯に噛み合うピニオンシャフトを有する。本実施の形態では、回転軸11は、ピニオンシャフトである。回転軸11に取り付けられた磁気ヨーク22は、センサハウジング25の第1の収容室52に収容された状態に維持される。
【0034】
基板23は、第2の収容室53の内端面に取り付けられている。第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46が設けられる基板23の第1の主面は、センサハウジング25の張出部の端壁と反対側を向いている。基板23は、2つの切欠23aを有している。これら切欠23aは、第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46に対応する、基板23の側縁部に設けられている。基板23が第2の収容室53の内端面に取り付けられた状態において、第1の集磁リング61の集磁突部61a,61bは、基板23の切欠23aの内部に位置した状態に維持される。
【0035】
図示は割愛するが、第2の収容室53の内端面に設けられた各支持突部54は、基板23の各支持孔41を貫通している。これにより、基板23が第2の収容室53の内端面に対して相対的に移動することが規制される。また、第2の収容室53の内端面から突出する各端子55の第1の端部は、基板23の各端子接続孔42を貫通している。各端子55の第1の端部は、半田付けによって基板23に接合されている。基板23のパターン配線と各端子55とは電気的に接続されている。
【0036】
磁気ヨーク22の第1のヨーク31および第2のヨーク32の内側には、永久磁石21が位置している。永久磁石21、第1のヨーク31、および第2のヨーク32は、磁気回路を形成する。回転軸11の軸線Oに沿った方向において、第1の集磁リング61は第1のヨーク31に対応した位置に保持されている。第1の集磁リング61は、第1のヨーク31の周囲を取り囲んでいる。第1の集磁リング61は、第1のヨーク31からの磁束を誘導する。第2の集磁リング62は第2のヨーク32に対応した位置に保持されている。第2の集磁リング62は、第2のヨーク32の周囲を取り囲んでいる。第2の集磁リング62は、第2のヨーク32からの磁束を誘導する。
【0037】
図3に示すように、第1の集磁リング61の集磁突部61aと、第2の集磁リング62の集磁突部62aとは、互いに平行である。第1の磁気センサ45は、第1の集磁リング61の集磁突部61aと、第2の集磁リング62の集磁突部62aとの間に介在されている。第1の集磁リング61の集磁突部61bと、第2の集磁リング62の集磁突部62bとは、互いに平行である。第2の磁気センサ46は、第1の集磁リング61の集磁突部61bと、第2の集磁リング62の集磁突部62bとの間に介在されている。第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46は、第1の集磁リング61および第2の集磁リング62に誘導される磁束を検出する。
【0038】
ステアリングホイールの操作を通じて入力軸12にトルクが加わることにより、トーションバー13は、ねじれ変形する。入力軸12に加えられるトルクに応じて、入力軸12と出力軸14との間に相対的な回転変位が生じる。すると、永久磁石21と第1のヨーク31との回転方向における相対位置が変化する。このため、永久磁石21から第1のヨーク31を通じて第1の集磁リング61に誘導される磁束が変化する。また、永久磁石21と第2のヨーク32との回転方向における相対位置が変化する。このため、永久磁石21から第2のヨーク32を通じて第2の集磁リング62に誘導される磁束が変化する。
【0039】
第1の磁気センサ45は、第1の集磁リング61の集磁突部61aと、第2の集磁リング62の集磁突部62aとの間に漏出する磁束に応じた電気信号を生成する。第2の磁気センサ46は、第1の集磁リング61の集磁突部61bと、第2の集磁リング62の集磁突部62bとの間に漏出する磁束に応じた電気信号を生成する。第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46により生成される電気信号は、トーションバー13のねじれ変形、すなわちトーションバー13のねじれ角に応じて変化する。操舵装置の制御装置は、第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46により生成される電気信号に基づき、トーションバー13に作用するトルクを演算する。トルクは、回転軸11の回転運動に関する物理量である。
【0040】
<水の浸入経路>
このように構成したセンサ装置10は、つぎの懸念事項を有する。
すなわち、転舵シャフトの両端には、ラックエンドを介してタイロッドが回転自在に連結されている。また、ギヤハウジングの両端部には、それぞれ蛇腹状に設けられたゴム製のブーツが装着されている。転舵シャフトとタイロッドとの接続部分は、ブーツによって包囲されている。このブーツによってギヤハウジングの内部に、水あるいは粉塵が入り込むことが抑制される。ところが、ブーツの経年劣化などに起因して、ブーツに亀裂あるいは破れ目が生じることがある。この場合、ブーツの亀裂あるいは破れ目からギヤハウジングの内部へ浸入した水が、センサハウジング25の内部を遡上するおそれがある。
【0041】
インナーハウジング25Bは、インサート成形によって、アウターハウジング25Aと一体的に設けられる。ただし、インサート成形の際、アウターハウジング25Aとインナーハウジング25Bとの境界部分に、わずかな隙間が形成されるおそれがある。また、第1の集磁リング61および第2の集磁リング62は、インサート成形によって、インナーハウジング25Bと一体的に設けられる。ただし、インサート成形の際、第1の集磁リング61とインナーハウジング25Bとの境界部分、あるいは第2の集磁リング62とインナーハウジング25Bとの境界部分に、わずかな隙間が形成されるおそれがある。
【0042】
このため、センサハウジング25の内部を遡上する水が、アウターハウジング25Aとインナーハウジング25Bとの境界部分の隙間を介して、第2の収容室53の内部に浸入することが懸念される。また、センサハウジング25の内部を遡上する水が、第1の集磁リング61とインナーハウジング25Bとの境界部分、または第2の集磁リング62とインナーハウジング25Bとの境界部分の隙間を介して、第2の収容室53の内部に浸入することが懸念される。第2の収容室53には、電子部品が設けられた基板23が収容されている。第2の収容室53の内部に浸入した水が基板23に付着すると、電子部品の正常な動作が阻害されるおそれがある。電子部品は、第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46を含む。このため、センサハウジング25の内側から第2の収容室53に水が浸入することを抑制する必要がある。
【0043】
そこで、本実施の形態では、インナーハウジング25Bとして、つぎの構成を採用している。
<インナーハウジング>
図4に示すように、インナーハウジング25Bは、インナーハウジング本体25B1および突出部25B2を有している。インナーハウジング本体25B1は、両端が開口した円筒状である。インナーハウジング本体25B1の内周面は、第1の収容室52の内周面を構成する。突出部25B2は、インナーハウジング本体25B1の外周面から径方向外側へ突出している。
【0044】
突出部25B2は、第1の突出部71、第2の突出部72、および壁部73を有している。壁部73は、インナーハウジング本体25B1の外周面に設けられている。壁部73は、軸線Oに沿った方向において、インナーハウジング本体25B1の全長にわたって延びている。壁部73は、軸線Oに沿った方向において、第1の端部および第2の端部を有している。第1の端部と第2の端部とは、軸線Oに沿った方向において、互いに反対側に位置している。
【0045】
第1の突出部71は、壁部73の第1の端部からインナーハウジング本体25B1の径方向外側へ突出している。第2の突出部72は、壁部73の第2の端部からインナーハウジング本体25B1の径方向外側へ突出している。第1の突出部71の壁部73からの突出長さは、第2の突出部72の壁部73からの突出長さよりも長い。第1の突出部71と第2の突出部72は、軸線Oに沿った方向において、互いに対向している。また、第1の突出部71と第2の突出部72は、互いに平行である。第2の突出部72に対する第1の突出部71の対向面は、第2の収容室53の内端面の一部を構成する。
【0046】
第1の集磁リング61の内周面は、インナーハウジング本体25B1の内部に露出している。第1の集磁リング61の内周面は、インナーハウジング本体25B1の内周面に対して、段差のない状態である。第1の集磁リング61の2つの集磁突部61a,61bは、壁部73を貫通してインナーハウジング本体25B1の外部に露出している。2つの集磁突部61a,61bは、第2の突出部72に対する第1の突出部71の対向面に沿うかたちで、インナーハウジング本体25B1の径方向外側へ延びている。
【0047】
第2の集磁リング62の内周面は、インナーハウジング本体25B1の内部に露出している。第2の集磁リング62の内周面は、インナーハウジング本体25B1の内周面に対して、段差のない状態である。第2の集磁リング62の2つの集磁突部62a,62bは、壁部73を貫通してインナーハウジング本体25B1の外部に露出している。2つの集磁突部62a,62bは、第1の突出部71に対する第2の突出部72の対向面に沿うかたちで、インナーハウジング本体25B1の径方向外側へ延びている。
【0048】
図4および図5に示すように、インナーハウジング本体25B1は、凹凸部81を有している。凹凸部81は、インナーハウジング本体25B1の外周面において、突出部25B2に対して周方向に隣接する2つの領域に設けられている。凹凸部81は、たとえば複数の溝部81aを有している。溝部81aは、軸線Oに沿った方向において、インナーハウジング本体25B1の全長にわたって延びている。溝部81aは、軸線Oに沿った方向からみて、たとえば滑らかな凹状の曲面を有している。各溝部81aは、インナーハウジング本体25B1の周方向に並んでいる。各溝部81aを設けることにより、各溝部81aの間に突部81bが形成される。突部81bは、軸線Oに沿った方向からみて、滑らかな凸状の曲面を有している。各溝部81aは、インナーハウジング本体25B1の周方向において、滑らかな曲面を有する突部81bを介して、互いに連続している。
【0049】
インナーハウジング25Bの外周は、突出部25B2の一部分を除き、アウターハウジング25Aにより覆われる。第2の突出部72は、第2の収容室53の内部に露出する。第2の突出部72に対する第1の突出部71の対向面は、第2の収容室53の内部に露出する。第1の集磁リング61の集磁突部61a,61b、および第2の集磁リング62の集磁突部62a,62bは、第2の収容室53の内部に露出する。壁部73の集磁突部61a,61b,62a,62bが突出する面の大部分は、第2の収容室53の内部に露出する。
【0050】
図6に示すように、壁部73は、インナーハウジング25Bの径方向において、第1の収容室52と第2の収容室53との間を遮るように設けられる。壁部73の第1の端部(図6中の下端)は、第1の集磁リング61に対して、第2の集磁リング62の反対側に位置している。壁部73の第2の端部(図6中の上端)は、第2の集磁リング62に対して第1の集磁リング61の反対側に位置している。
【0051】
図3に示すように、第1の集磁リング61は、所定形状に打ち抜かれた金属板材を塑性変形させることにより形成される。第1の集磁リング61は、C字状のリング本体91を有している。リング本体91は、周方向において、第1の端部および第2の端部を有している。第1の端部と第2の端部とは、リング本体91の周方向において、互いに近接した状態で対向している。第1の端部と第2の端部との間には、隙間が形成されている。
【0052】
リング本体91は、突出部91aを有している。突出部91aは、リング本体91の径方向において、隙間と反対側に位置している。突出部91aは、リング本体91の他の円弧状に湾曲した部分の外周面を含む仮想円筒よりも、径方向外側に位置している。突出部91aは、仮想円筒の接線方向に延びる矩形の平板状である。リング本体91の周方向において、突出部91aの両端は、斜状に屈曲した状態で、リング本体91の他の円弧状に湾曲した部分に連結されている。
【0053】
突出部91aは、軸線Oに沿った方向において、第1の端部および第2の端部を有している。第1の端部と第2の端部とは、軸線Oに沿った方向において、互いに反対側に位置している。2つの集磁突部61a,61bは、突出部91aの第2の端部(図3中の上端部)に設けられている。集磁突部61a,61bは、軸線Oに沿って第2の端部から離れる方向へわずかに延び、リング本体91の径方向外側へ湾曲している。
【0054】
第2の集磁リング62は、第1の集磁リング61と同様の構造を有している。第2の集磁リング62は、C字状のリング本体92を有している。リング本体92は、突出部92aを有している。2つの集磁突部62a,62bは、突出部92aの第1の端部(図3中の下端部)に設けられている。集磁突部62a,62bは、軸線Oに沿って第1の端部から離れる方向へわずかに延び、リング本体92の径方向外側へ湾曲している。
【0055】
図6に示すように、第1の集磁リング61の突出部91a、および第2の集磁リング62の突出部92aは、壁部73を含むインナーハウジング25Bの周壁に埋設されている。2つの突出部91a,92aは、インナーハウジング25Bの軸方向において、インナーハウジング25Bの外部に露出しない。
【0056】
図7に示すように、第1の集磁リング61の突出部91aの内面は、インナーハウジング25Bを構成する合成樹脂により覆われている。内面は、2つの集磁突部62a,62bの突出方向とは反対側の突出部91aの面である。図8に示すように、第2の集磁リング62の突出部92aの内面は、第1の集磁リング61の突出部91aの内面と同様に、インナーハウジング25Bを構成する合成樹脂により覆われている。2つの突出部91a,92aは、インナーハウジング25Bの径方向において、インナーハウジング25Bの内部に露出しない。
【0057】
<本実施の形態の作用および効果>
本実施の形態は、つぎの作用および効果を奏する。
(1)インナーハウジング本体25B1の外周面において、突出部25B2に対して周方向に隣接する2つの領域には、凹凸部81が設けられている。アウターハウジング25Aの成形時、成形収縮現象が発生する。成形収縮は、金型の内部に充填された溶融樹脂が冷却されて固化する際、体積が収縮する現象である。成形収縮現象を利用して、凹凸部81とアウターハウジング25Aとの間の径方向の隙間を抑制することができる。
【0058】
図9の矢印D1で示されるように、インナーハウジング25Bを包み込む溶融樹脂が固化するとき、樹脂は、突部81bから溝部81aに向けて収縮する。樹脂は、突部81bの先端部分は、樹脂によって径方向へ締め付けられる。先端部分は、突部81bの先端および先端周辺の部分を含む。このため、突部81bの先端部分とアウターハウジング25Aとの間の径方向の隙間が、より狭まる。
【0059】
図4および図5の矢印D2で示されるように、センサハウジング25の内部を遡上する水が、アウターハウジング25Aとインナーハウジング25Bとの間の軸方向の隙間を介して、インナーハウジング25Bの外周面に漏れ出すことが考えられる。水漏れする外周面の位置は、たとえば、凹凸部81に対して、インナーハウジング25Bの突出部25B2の反対側の位置である。
【0060】
ただし、突部81bの先端部分とアウターハウジング25Aとの間の径方向の隙間は、成形収縮現象によって、より狭められている。このため、水がインナーハウジング25Bの外周面を周方向に伝って、突出部25B2に至ることが抑えられる。ひいては、水がインナーハウジング25Bの周方向から第2の収容室53の内部に浸入することが抑制される。第2の収容室53の内部に収容される基板23が水濡れすることもない。センサ装置10の防水性をより高めることができる。
【0061】
(2)インナーハウジング25Bは、壁部73を有している。壁部73は、インナーハウジング25Bの径方向において、インナーハウジング本体25B1の内外を遮る。このため、図3に矢印D3で示されるように、センサハウジング25の内部を遡上する水が、第2の収容室53の内部に浸入することを抑制することができる。基板23が水濡れすることもない。インナーハウジング本体25B1の内外が、開口部を介して連通する構成を採用する場合に比べて、センサ装置10の防水性をより高めることができる。
【0062】
(3)第1の集磁リング61は、その径方向外側へ突出する突出部91aを有している。第2の集磁リング62は、その径方向外側へ突出する突出部92aを有している。このため、アウターハウジング25Aを成形することによって、2つの突出部91a,92aの内面を、インナーハウジング25Bを構成する合成樹脂によって覆うことができる。
【0063】
また、アウターハウジング25Aの成形時、インナーハウジング25Bを包み込む溶融樹脂が固化するとき、センサハウジング25全体としてみると、樹脂は、インナーハウジング25Bの径方向内側に向けて収縮する。このため、2つの突出部91a,92aとアウターハウジング25Aとの間の径方向外側の隙間が、より狭まる。
【0064】
したがって、図3に矢印D3で示されるように、センサハウジング25の内部を遡上する水が、2つの突出部91a,92aとインナーハウジング25Bとの境界部分の隙間を介して、第2の収容室53の内部に浸入することを抑制することができる。基板23が水濡れすることもない。2つの突出部91a,92aの内面が、インナーハウジング25Bの内部に露出する構成を採用する場合に比べて、センサ装置10の防水性をより高めることができる。
【0065】
<他の実施の形態>
本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・凹凸部81の溝部81aの数は、1つでもよいし、4つ以上でもよい。溝部81aの数が増えるほど、突部81bの数も増える。このため、インナーハウジング25Bとアウターハウジング25Aとの間の径方向の隙間が、より狭められた箇所の数が増えるため、センサ装置10の防水性がより向上する。
【0066】
・凹凸部81の溝部81aは、インナーハウジング25Bの軸方向に対して、交わる方向に傾斜していてもよい。
・凹凸部81は、2方向の複数の溝部81aを有し、これら2方向の溝部81aが交差するように設けてもよい。溝部81aの幅は、適宜調節される。
【0067】
・突部81bをインナーハウジング25Bの外周面に対して突出するように設けてもよい。複数の突部81bを設けることにより、各突部81b間に溝部81aが形成される。このようにしても、凹凸部81が得られる。したがって、先の(1)欄に記載の効果を得ることができる。
【0068】
・センサ装置10として、第1の磁気センサ45または第2の磁気センサ46を割愛した構成を採用してもよい。この場合、第1の集磁リング61として、2つの集磁突部61a,61bのいずれか一方を割愛した構成を採用することができる。また、第2の集磁リング62として、2つの集磁突部61a,61bのいずれか一方を割愛した構成を採用することができる。
【0069】
・製品仕様などによっては、第1の集磁リング61の突出部91aの内面は、インナーハウジング25Bを構成する合成樹脂により覆われていなくてもよい。また、第2の集磁リング62の突出部92aの内面は、インナーハウジング25Bを構成する合成樹脂により覆われていなくてもよい。
【0070】
・第1の集磁リング61として、突出部91aを割愛した構成を採用してもよい。また、第2の集磁リング62として、突出部92aを割愛した構成を採用してもよい。この場合、第1の集磁リング61のリング本体91、および第2の集磁リング62のリング本体92は、滑らかな円弧板状となる。集磁突部61a,61bが設けられる部分の第1の集磁リング61の内面の領域、および集磁突部62a,62bが設けられる部分の第2の集磁リング62の内面の領域は、インナーハウジング25Bを構成する合成樹脂により覆われていてもよい。
【0071】
・センサ装置10は、回転軸11の回転角度を検出する回転角センサであってもよい。この場合、たとえば、回転軸11の外周面には、主動歯車が一体回転可能に装着される。第2の収容室53の内部には、2つの従動歯車が回転可能に支持される。これら従動歯車の歯数は互いに異なっている。基板23には、各従動歯車の回転角度に応じた電気信号を生成するセンサが設けられる。従動歯車は、第1の収容室52と第2の収容室53との境界部分に設けられる開口部を介して、主動歯車に噛み合う。このため、主動歯車の回転に連動して、2つの従動歯車は回転する。2つの従動歯車の歯数は互いに異なっているため、主動歯車の回転角度に対する2つの従動歯車の回転角度は、それぞれ異なる。このため、第1の磁気センサ45および第2の磁気センサ46が生成する電気信号の位相は、互いに異なる。操舵装置の制御装置は、センサにより生成される電気信号に基づき、回転軸11の回転角度を検出する。インナーハウジング25Bの外周面に凹凸部81を設けることにより、先の(1)欄に記載の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0072】
10…センサ装置
11…回転軸
21…永久磁石
22…磁気ヨーク
23…基板
25…センサハウジング
25A…アウターハウジング
25B…インナーハウジング
45…第1の磁気センサ
46…第2の磁気センサ
52…第1の収容室
53…第2の収容室
61…第1の集磁リング
61a,61b…集磁突部
62…第2の集磁リング
62a,62b…集磁突部
81…凹凸部
81a…溝部
81b…突部
73…壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9