(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107505
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】エネルギーシステム、および、運転方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/47 20180101AFI20230727BHJP
F24F 11/54 20180101ALI20230727BHJP
【FI】
F24F11/47
F24F11/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008740
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 定康
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AA04
3L260AA09
3L260AB02
3L260BA43
3L260BA46
3L260BA48
3L260EA08
3L260FC31
3L260JA23
(57)【要約】
【課題】太陽光発電装置が設置された建物において温度調整装置を効率よく運転させる。
【解決手段】建物10に設けられるエネルギーシステム100は、太陽光発電装置110による現在の発電電力量、第1電力消費装置140の現在の消費電力量、温度調整装置(空気調和装置150)に対する現在の要求運転容量、温度調整装置の第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報、および、温度調整装置のガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報に基づいて、第2電力消費装置の定格能力に対する運転容量の割合である電力容量割合、および、ガス消費装置の定格能力に対する運転容量の割合であるガス容量割合を設定し、電力容量割合となるように第2電力消費装置を制御し、ガス容量割合となるようにガス消費装置を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられるエネルギーシステムであって、
商用電力を受電する受電装置と、
太陽光を電力に変換する太陽光発電装置と、
前記商用電力および前記太陽光発電装置による発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費する第1電力消費装置と、
前記商用電力および前記発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費して、熱媒体の温度を変更する第2電力消費装置と、燃料ガスを燃焼させて、前記熱媒体の温度を変更するガス消費装置とを含む温度調整装置と、
前記太陽光発電装置による現在の発電電力量、前記第1電力消費装置の現在の消費電力量、前記温度調整装置に対する現在の要求運転容量、前記第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報、および、前記ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報に基づいて、前記第2電力消費装置の定格能力に対する運転容量の割合である電力容量割合、および、前記ガス消費装置の定格能力に対する運転容量の割合であるガス容量割合を設定する設定部と、
前記電力容量割合となるように前記第2電力消費装置を制御し、前記ガス容量割合となるように前記ガス消費装置を制御する制御部と、
を備えるエネルギーシステム。
【請求項2】
所定期間における前記商用電力の上限値である契約電力が設定されており、
前記設定部は、前記第1電力消費装置の現在の消費電力量および前記第2電力消費装置の消費電力量が、前記太陽光発電装置による現在の発電電力量と前記契約電力との合計電力量以下となるように、前記電力容量割合および前記ガス容量割合を設定する、請求項1に記載のエネルギーシステム。
【請求項3】
前記設定部は、
前記太陽光発電装置による現在の発電電力量と売電単価とに基づいて、前記太陽光発電装置の売電料金を算出し、
前記第1電力消費装置の現在の消費電力量と前記商用電力の買電単価とに基づいて、前記第1電力消費装置の買電料金を算出し、
前記第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報と前記買電単価とに基づいて、前記第2電力消費装置の運転容量に応じた買電料金を算出し、
前記ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報とガス単価とに基づいて、前記ガス消費装置の運転容量に応じたガス料金を算出し、
前記第1電力消費装置の買電料金、前記第2電力消費装置の買電料金、および、前記ガス消費装置のガス料金の合計料金から前記太陽光発電装置の売電料金を減算した料金が最も少なくなるように、前記電力容量割合および前記ガス容量割合を設定する、請求項1または2に記載のエネルギーシステム。
【請求項4】
前記設定部は、
前記太陽光発電装置による現在の発電電力量と、前記第1電力消費装置の現在の消費電力量と、前記商用電力のCO2排出係数と基づいて、前記第1電力消費装置による二酸化炭素排出量を算出し、
前記第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報と、前記商用電力のCO2排出係数とに基づいて、前記第2電力消費装置の運転容量に応じた二酸化炭素排出量を算出し、
前記ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報と、ガスのCO2排出係数とに基づいて、前記ガス消費装置の運転容量に応じた二酸化炭素排出量を算出し、
前記第1電力消費装置による二酸化炭素排出量、前記第2電力消費装置による二酸化炭素排出量、および、前記ガス消費装置による二酸化炭素排出量の合計が最も少なくなるように、前記電力容量割合および前記ガス容量割合を設定する、請求項1に記載のエネルギーシステム。
【請求項5】
前記温度調整装置は、空気調和装置であり、
前記熱媒体は、前記空気調和装置内で循環される冷媒であり、
前記空気調和装置は、
前記第2電力消費装置として機能するEHPユニットと、
前記ガス消費装置として機能するGHPユニットと、
室内機と、
前記EHPユニット、前記GHPユニットおよび前記室内機に前記冷媒を循環させる冷媒循環路と、
を有し、
前記EHPユニットは、
電動機と、
前記電動機によって動作され、前記冷媒を圧縮する電動式圧縮機と、
を有し、
前記GHPユニットは、
ガスエンジンと、
前記ガスエンジンによって動作され、前記冷媒を圧縮するエンジン式圧縮機と、
を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のエネルギーシステム。
【請求項6】
商用電力を受電する受電装置と、太陽光を電力に変換する太陽光発電装置と、前記商用電力および前記太陽光発電装置による発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費する第1電力消費装置と、前記商用電力および前記発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費して、熱媒体の温度を変更する第2電力消費装置、および、燃料ガスを燃焼させて、前記熱媒体の温度を変更するガス消費装置とを含む温度調整装置と、が設けられた建物において、前記温度調整装置を運転する運転方法であって、
前記太陽光発電装置による現在の発電電力量、前記第1電力消費装置の現在の消費電力量、前記温度調整装置に対する現在の要求運転容量、前記第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報、および、前記ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報に基づいて、前記第2電力消費装置の定格能力に対する運転容量の割合である電力容量割合、および、前記ガス消費装置の定格能力に対する運転容量の割合であるガス容量割合を設定し、
前記電力容量割合となるように前記第2電力消費装置を制御し、
前記ガス容量割合となるように前記ガス消費装置を制御する、運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーシステム、および、運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置として、GHP(ガスヒートポンプ)エアコンとEHP(電気式ヒートポンプ)エアコンが普及している。GHPエアコンは、ガスエンジンと、ガスエンジンによって動作するエンジン式圧縮機とを含む室外機を備える。EHPエアコンは、電動機と、電動機によって動作する電動式圧縮機とを含む室外機を備える。
【0003】
EHPエアコンは、ガスエンジンを備えていないため、GHPエアコンに必要なガスエンジンのメンテナンス(例えば、エンジンオイルの補充や交換、オイルフィルタの交換、点火プラグの点検や交換等)を行う必要がない。このため、EHPエアコンは、メンテナンスに要するコストが低いという利点を有する。
【0004】
一方、GHPエアコンは、ヒートポンプによる暖房に加えて、ガスエンジンの排熱を回収して屋内の空気を加熱することができる。このため、GHPエアコンは、EHPエアコンと比較して効率的に屋内を暖めることが可能となる。また、GHPエアコンは、ほとんど電力を消費しないため、EHPエアコンと比較して、消費電力量を大幅に削減することができるという利点を有する。
【0005】
このように、GHPエアコンとEHPエアコンとはそれぞれ異なる利点を有している。そこで、それぞれの利点を活かすために、ガスエンジン、エンジン式圧縮機、電動機、および、電動式圧縮機を含む室外機を備える空気調和装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、上記特許文献1のような空気調和装置等の温度調整装置を備える建物に太陽光発電装置が設けられる例が増加してきた。太陽光発電装置による発電電力量が建物全体の消費電力量を超える場合、発電電力量と消費電力量の差分を売電することもできる。このため、太陽光発電装置による発電電力量、建物全体の消費電力量を加味して、温度調整装置を効率よく運転させることができる技術の開発が希求されている。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、太陽光発電装置が設置された建物において空気調和装置等の温度調整装置を効率よく運転させることが可能なエネルギーシステムおよび運転方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のエネルギーシステムは、建物に設けられるエネルギーシステムであって、商用電力を受電する受電装置と、太陽光を電力に変換する太陽光発電装置と、商用電力および太陽光発電装置による発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費する第1電力消費装置と、商用電力および発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費して、熱媒体の温度を変更する第2電力消費装置と、燃料ガスを燃焼させて、熱媒体の温度を変更するガス消費装置とを含む温度調整装置と、太陽光発電装置による現在の発電電力量、第1電力消費装置の現在の消費電力量、温度調整装置に対する現在の要求運転容量、第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報、および、ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報に基づいて、第2電力消費装置の定格能力に対する運転容量の割合である電力容量割合、および、ガス消費装置の定格能力に対する運転容量の割合であるガス容量割合を設定する設定部と、電力容量割合となるように第2電力消費装置を制御し、ガス容量割合となるようにガス消費装置を制御する制御部と、を備える。
【0010】
また、所定期間における商用電力の上限値である契約電力が設定されており、設定部は、第1電力消費装置の現在の消費電力量および第2電力消費装置の消費電力量が、太陽光発電装置による現在の発電電力量と契約電力との合計電力量以下となるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定してもよい。
【0011】
また、設定部は、太陽光発電装置による現在の発電電力量と売電単価とに基づいて、太陽光発電装置の売電料金を算出し、第1電力消費装置の現在の消費電力量と商用電力の買電単価とに基づいて、第1電力消費装置の買電料金を算出し、第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報と買電単価とに基づいて、第2電力消費装置の運転容量に応じた買電料金を算出し、ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報とガス単価とに基づいて、ガス消費装置の運転容量に応じたガス料金を算出し、第1電力消費装置の買電料金、第2電力消費装置の買電料金、および、ガス消費装置のガス料金の合計料金から太陽光発電装置の売電料金を減算した料金が最も少なくなるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定してもよい。
【0012】
また、設定部は、太陽光発電装置による現在の発電電力量と、第1電力消費装置の現在の消費電力量と、商用電力のCO2排出係数と基づいて、第1電力消費装置による二酸化炭素排出量を算出し、第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報と、商用電力のCO2排出係数とに基づいて、第2電力消費装置の運転容量に応じた二酸化炭素排出量を算出し、ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報と、ガスのCO2排出係数とに基づいて、ガス消費装置の運転容量に応じた二酸化炭素排出量を算出し、第1電力消費装置による二酸化炭素排出量、第2電力消費装置による二酸化炭素排出量、および、ガス消費装置による二酸化炭素排出量の合計が最も少なくなるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定してもよい。
【0013】
また、温度調整装置は、空気調和装置であり、熱媒体は、空気調和装置内で循環される冷媒であり、空気調和装置は、第2電力消費装置として機能するEHPユニットと、ガス消費装置として機能するGHPユニットと、室内機と、EHPユニット、GHPユニットおよび室内機に冷媒を循環させる冷媒循環路と、を有し、EHPユニットは、電動機と、電動機によって動作され、冷媒を圧縮する電動式圧縮機と、を有し、GHPユニットは、ガスエンジンと、ガスエンジンによって動作され、冷媒を圧縮するエンジン式圧縮機と、を有してもよい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の運転方法は、商用電力を受電する受電装置と、太陽光を電力に変換する太陽光発電装置と、商用電力および太陽光発電装置による発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費する第1電力消費装置と、商用電力および発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費して、熱媒体の温度を変更する第2電力消費装置、および、燃料ガスを燃焼させて、熱媒体の温度を変更するガス消費装置とを含む温度調整装置と、が設けられた建物において、温度調整装置を運転する運転方法であって、太陽光発電装置による現在の発電電力量、第1電力消費装置の現在の消費電力量、温度調整装置に対する現在の要求運転容量、第2電力消費装置の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報、および、ガス消費装置の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報に基づいて、第2電力消費装置の定格能力に対する運転容量の割合である電力容量割合、および、ガス消費装置の定格能力に対する運転容量の割合であるガス容量割合を設定し、電力容量割合となるように第2電力消費装置を制御し、ガス容量割合となるようにガス消費装置を制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、太陽光発電装置が設置された建物において空気調和装置等の温度調整装置を効率よく運転させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るエネルギーシステムを説明する図である。
【
図2】本実施形態に係る空気調和装置を説明する図である。
【
図4】本実施形態に係る空気調和装置の運転方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
[エネルギーシステム100]
図1は、本実施形態に係るエネルギーシステム100を説明する図である。
図1に示すように、エネルギーシステム100は、建物10に設けられる。建物10は、住宅、ショッピングセンター等の商業ビル、会社が事業所を構えるオフィスビル、学校等である。エネルギーシステム100は、太陽光発電装置110と、パワーコンディショナ112と、受電装置120と、受電電力メータ130と、発電電力メータ132と、第1電力消費装置140と、空気調和装置150とを含む。
【0019】
太陽光発電装置110は、例えば、建物10の屋根、屋上に設けられる。太陽光発電装置110は、太陽光を電力(直流)に変換する。
【0020】
パワーコンディショナ112は、太陽光発電装置110によって変換された電力を交流電力に変換する。パワーコンディショナ112によって変換された電力(交流)は、受電装置120に出力される。
【0021】
受電装置120は、商用電力(商用電源)を受電する。受電装置120は、引込線122を介して配電線に接続される。受電装置120は、例えば、分電盤、または、配電盤である。
【0022】
受電電力メータ130は、受電装置120による商用電力の受電電力量を計測する。発電電力メータ132は、太陽光発電装置110による発電電力量を計測する。
【0023】
第1電力消費装置140は、受電装置120に接続される。第1電力消費装置140は、受電装置120から供給される、商用電力および発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費する。第1電力消費装置140は、後述する室外機154のEHPユニット250とは異なる機器である。第1電力消費装置140は、例えば、照明機器、調理機器、冷蔵庫、パーソナルコンピュータ、エレベータ、換気装置等である
【0024】
空気調和装置150(温度調整装置)は、建物10内(屋内)の空気の温度を調整する。空気調和装置150は、リモートコントローラ152と、室外機154と、室内機156と、冷媒循環路158と、中央制御部160と、メモリ170とを備える。
【0025】
リモートコントローラ152は、ユーザの操作入力を受け付ける。リモートコントローラ152に入力された情報は、後述する室内制御部290に送信される。本実施形態に係る空気調和装置150は、室内機156の数に対応した数のリモートコントローラ152を備える。
【0026】
室外機154は、屋外に設けられる。室内機156は、屋内に設けられる。本実施形態に係る空気調和装置150は、1または複数の室内機156を備える。
【0027】
冷媒循環路158は、冷媒が循環する流路である。冷媒循環路158は、室外機154および室内機156に冷媒(熱媒体)を循環させる。
【0028】
中央制御部160は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。中央制御部160は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部160は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して空気調和装置150全体を管理および制御する。中央制御部160の具体的な機能については、後に詳述する。
【0029】
メモリ170は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成される。メモリ170は、中央制御部160に用いられるプログラムや各種データを記憶する。本実施形態において、メモリ170は、受電装置120に設定された契約電力、および、運転情報を記憶する。契約電力は、所定期間における商用電力の上限値である。運転情報は、GHPユニット210の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報、および、EHPユニット250の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報を含む。運転情報については後に詳述する。
【0030】
続いて、本実施形態に係る室外機154、室内機156、および、中央制御部160について具体的に説明する。
【0031】
[室外機154]
図2は、本実施形態に係る空気調和装置150を説明する図である。
図2に示すように、室外機154は、GHPユニット210と、EHPユニット250とを含む。
図2中、実線の矢印は、冷房時の冷媒の流れを示す。また、
図2中、破線は、信号線を示す。
【0032】
GHPユニット210(ガス消費装置)は、四方弁212と、室外熱交換器214と、室外送風機216と、暖房用膨張弁218と、エンジン式圧縮機220と、ガスエンジン222と、GHP制御部230とを含む。
【0033】
四方弁212は、冷媒入口212a、冷媒出口212b、第1ポート212c、および、第2ポート212dを有する。四方弁212の第1ポート212cおよび第2ポート212dは、冷媒循環路158に接続される。空気調和装置150を冷房として機能させる場合、四方弁212は、冷媒入口212aと第1ポート212cとを連通させ、冷媒出口212bと第2ポート212dとを連通させる。空気調和装置150を暖房として機能させる場合、四方弁212は、冷媒入口212aと第2ポート212dとを連通させ、冷媒出口212bと第1ポート212cとを連通させる。
【0034】
室外熱交換器214は、冷媒循環路158に設けられる。室外熱交換器214は、冷媒循環路158を流れる冷媒と、屋外の空気とで熱交換を行う。
【0035】
室外送風機216は、室外熱交換器214に空気を送る。室外送風機216は、例えば、ファンで構成される。室外送風機216は、室外熱交換器214による屋外の空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0036】
暖房用膨張弁218は、冷媒循環路158における、室外熱交換器214と、後述する室内機156(室内膨張弁284)との間に設けられる。暖房用膨張弁218は、暖房時、空気調和装置150を暖房として機能させるため、減圧機構として作動する。また、暖房用膨張弁218は、冷房時、全開となり、室内機156へ向かう凝縮した冷媒(液)の抵抗にならないようにしている。
【0037】
エンジン式圧縮機220は、ガスエンジン222によって動作される。エンジン式圧縮機220は、冷媒を圧縮する。エンジン式圧縮機220の吐出側は、四方弁212の冷媒入口212aに接続される。エンジン式圧縮機220の吸入側は、四方弁212の冷媒出口212bに接続される。エンジン式圧縮機220は、四方弁212の冷媒出口212bから吸入した冷媒を圧縮して、四方弁212の冷媒入口212aに吐出する。したがって、エンジン式圧縮機220が駆動されることにより、冷媒循環路158を冷媒が循環する。
【0038】
ガスエンジン222は、燃料ガスを燃焼させ、これにより得られる動力をエンジン式圧縮機220に出力する。
【0039】
GHP制御部230は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。GHP制御部230は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。GHP制御部230は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働してGHPユニット210全体を管理および制御する。
【0040】
EHPユニット250(第2電力消費装置)は、四方弁212と、室外熱交換器214と、室外送風機216と、暖房用膨張弁218と、電動式圧縮機260と、電動機262と、EHP制御部270とを含む。なお、上記GHPユニット210と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
電動式圧縮機260は、電動機262によって動作される。電動式圧縮機260は、冷媒を圧縮する。電動式圧縮機260の吐出側は、四方弁212の冷媒入口212aに接続される。電動式圧縮機260の吸入側は、四方弁212の冷媒出口212bに接続される。電動式圧縮機260は、四方弁212の冷媒出口212bから吸入した冷媒を圧縮して、四方弁212の冷媒入口212aに吐出する。したがって、電動式圧縮機260が駆動されることにより、冷媒循環路158を冷媒が循環する。
【0042】
電動機262は、受電装置120から供給される、商用電力および発電電力のうちのいずれか一方または両方によって得られる動力を電動式圧縮機260に出力する。
【0043】
EHP制御部270は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。EHP制御部270は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。EHP制御部270は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働してEHPユニット250全体を管理および制御する。
【0044】
[室内機156]
図2に示すように、1または複数の室内機156は、冷媒循環路158における、室外熱交換器214(暖房用膨張弁218)と、四方弁212の第2ポート212dとの間に設けられる。
【0045】
室内機156は、室内熱交換器280と、室内送風機282と、室内膨張弁284と、室内制御部290とを含む。
【0046】
室内熱交換器280は、冷媒循環路158における、室外熱交換器214と、四方弁212の第2ポート212dとの間に設けられる。室内熱交換器280は、冷媒循環路158を流れる冷媒と、屋内の空気とで熱交換を行う。室内送風機282は、室内熱交換器280に空気を送る。室内送風機282は、例えば、ファンで構成される。室内送風機282は、室内熱交換器280による屋内の空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0047】
室内膨張弁284は、冷媒循環路158における室外熱交換器214と室内熱交換器280との間に設けられる。室内膨張弁284は、冷媒を減圧する。
【0048】
室内制御部290は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。室内制御部290は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。室内制御部290は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して室内機156全体を管理および制御する。
【0049】
室内制御部290は、例えば、リモートコントローラ152が受け付けたユーザの操作入力に対応する信号を取得する。運転開始の操作入力を受け付けた旨の信号を取得すると、室内制御部290は、室内送風機282を動作させる。また、運転停止の操作入力を受け付けた旨の信号を取得すると、室内制御部290は、室内送風機282の動作を停止させる。
【0050】
[中央制御部160の機能]
図3は、中央制御部160の機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施形態において、中央制御部160は、通信部162、設定部164、運転制御部166として機能する。
【0051】
通信部162は、受電電力メータ130と通信を確立し、受電装置120による商用電力の現在の受電電力量を取得する。
【0052】
また、通信部162は、発電電力メータ132と通信を確立し、太陽光発電装置110による現在の発電電力量を取得する。
【0053】
また、通信部162は、通信網20を介して管理サーバ30に接続される。通信部162は、管理サーバ30と通信を確立し、管理サーバ30から、売電単価、商用電力の買電単価、商用電力のペナルティ料金、および、燃料ガスのガス単価を取得する。なお、商用電力の買電単価には、契約電力に応じて決定される基本料金と、電力の使用量に応じて決定される従量料金が含まれる。
【0054】
また、通信部162は、GHP制御部230、EHP制御部270、室内制御部290と通信を確立する。
【0055】
設定部164は、太陽光発電装置110による現在の発電電力量、第1電力消費装置140の現在の消費電力量、空気調和装置150に対する現在の要求運転容量、および、運転情報に基づいて、電力容量割合およびガス容量割合を設定する。なお、電力容量割合は、EHPユニット250の定格能力に対する運転容量の割合である。また、ガス容量割合は、GHPユニット210の定格能力に対する運転容量の割合である。本実施形態において、設定部164は、太陽光発電装置110による現在の発電電力量と売電単価とに基づいて、太陽光発電装置110の売電料金を算出し、第1電力消費装置140の現在の消費電力量と商用電力の買電単価とに基づいて、第1電力消費装置140の買電料金を算出し、運転情報と買電単価とに基づいて、EHPユニット250の運転容量に応じた買電料金を算出し、運転情報とガス単価とに基づいて、GHPユニット210の運転容量に応じたガス料金を算出し、第1電力消費装置140の買電料金、EHPユニット250の買電料金、および、GHPユニット210のガス料金の合計料金から太陽光発電装置110の売電料金を減算した料金が最も少なくなるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定する。設定部164の具体的な処理については後に詳述する。
【0056】
運転制御部166(制御部)は、GHP制御部230を制御して、GHPユニット210の四方弁212を切り換えさせたり、ガスエンジン222および室外送風機216の動作を制御させたり、暖房用膨張弁218の開度を調整させたりする。また、運転制御部166は、室内制御部290を制御して、EHPユニット250の四方弁212を切り換えさせたり、電動機262および室外送風機216の動作を制御させたり、暖房用膨張弁218の開度を調整させたりする。また、運転制御部166は、室内制御部290を制御して、室内送風機282の動作を制御させたり、室内膨張弁284の開度を調整させたりする。
【0057】
また、本実施形態において、運転制御部166は、ガス容量割合となるようにGHPユニット210を制御し、電力容量割合となるようにEHPユニット250を制御する。運転制御部166の具体的な処理については後に詳述する。
【0058】
[空気調和装置150の運転方法]
図4は、本実施形態に係る空気調和装置150の運転方法の処理の流れを示すフローチャートである。また、本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって空気調和装置150の運転方法が繰り返し実行される。
【0059】
[発電電力量取得処理S110]
通信部162は、発電電力メータ132から、太陽光発電装置110による現在の発電電力量を取得する。
【0060】
[受電電力量取得処理S120]
通信部162は、受電電力メータ130から、現在の受電電力量を取得する。受電電力量には、第1電力消費装置140の消費電力量、および、EHPユニット250の消費電力量が含まれる。
【0061】
[各消費電力量演算処理S130]
通信部162は、EHP制御部270から、電動式圧縮機260の周波数、および、EHPユニット250の室外送風機216の出力のうちのいずれか一方または両方を取得する。
【0062】
設定部164は、電動式圧縮機260の周波数、および、EHPユニット250の室外送風機216の出力のうちのいずれか一方または両方に基づき、EHPユニット250の現在の消費電力量を演算する。そして、設定部164は、受電電力量取得処理S120において取得された受電電力量から、EHPユニット250の現在の消費電力量を減算し、第1電力消費装置140の現在の消費電力量を演算する。
【0063】
[第1判定処理S140]
設定部164は、各消費電力量演算処理S130において演算した第1電力消費装置140の現在の消費電力量(以下、「第1消費電力量」という)が、合計電力量以上であるか否かを判定する。合計電力量は、発電電力量取得処理S110で取得した現在の発電電力量と、契約電力との合計である。その結果、第1消費電力量が合計電力量以上であると判定した場合(S140におけるYES)、設定部164は、GHP運転処理S150に処理を移す。一方、第1消費電力量が合計電力量以上ではない、つまり、第1消費電力量が合計電力量未満あると判定した場合(S140におけるNO)、設定部164は、第2判定処理S160に処理を移す。
【0064】
[GHP運転処理S150]
運転制御部166は、GHP制御部230を制御して、空気調和装置150に対する現在の要求運転容量となるように、GHPユニット210(エンジン式圧縮機220、ガスエンジン222、室外送風機216)を動作させる。また、運転制御部166は、EHP制御部270を制御して、EHPユニット250(電動式圧縮機260、電動機262、室外送風機216)の動作を停止させる。
【0065】
なお、第1消費電力量が合計電力量と等しい場合の、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストは、下記式(1)を用いて演算することができる。
運転コスト=(GHPユニット210の消費ガス量×ガス単価)+{基本料金+(契約電力×従量料金)} …式(1)
【0066】
また、第1消費電力量が合計電力量超である場合の、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストは、下記式(2)を用いて演算することができる。
運転コスト=(GHPユニット210の消費ガス量×ガス単価)+{基本料金+(契約電力×従量料金)}+{(第1消費電力量-合計電力量)×従量料金}+ペナルティ料金 …式(2)
【0067】
[第2判定処理S160]
設定部164は、第1消費電力量が契約電力以上であるか否かを判定する。その結果、第1消費電力量が契約電力以上であると判定した場合(S160におけるYES)、設定部164は、第1容量割合設定処理S170に処理を移す。一方、第1消費電力量が契約電力以上ではない、つまり、第1消費電力量が契約電力未満あると判定した場合(S160におけるNO)、設定部164は、第2容量割合設定処理S190に処理を移す。
【0068】
[第1容量割合設定処理S170]
設定部164は、第1消費電力量およびEHPユニット250の消費電力量が、太陽光発電装置110による現在の発電電力量と契約電力との合計電力量以下となるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定する。
【0069】
第1容量割合設定処理S170において、設定部164は、まず、余剰電力量を演算する。余剰電力量は、下記式(3)を用いて演算することができる。
余剰電力量=太陽光発電装置110による現在の発電電力量+契約電力-第1消費電力量 …式(3)
【0070】
そして、設定部164は、メモリ170に記憶された運転情報を参照し、EHPユニット250の消費電力量が、最低値以上、余剰電力量以下である場合の電力容量割合の範囲(以下、「電力容量割合範囲」という)を演算する。
【0071】
図5は、運転情報の一例を説明する図である。運転情報は、GHPユニット210の運転容量と消費ガス量(消費エネルギー[kW])との対応関係を示す情報と、EHPユニット250の運転容量と消費電力量(消費エネルギー[kW])との対応関係を示す情報とを含む。
図5中、横軸は、GHPユニット210またはEHPユニット250の運転容量割合を示す。
図5中、左側の縦軸は、エネルギー消費効率(COP)を示す。
図5中、右側の縦軸は、消費エネルギーを示す。また、
図5において、実線は、EHPユニット250の運転容量と消費エネルギーとの対応関係を示し、破線は、GHPユニット210の運転容量と消費エネルギーとの対応関係を示す。また、
図5において、一点鎖線は、EHPユニット250の運転容量とCOPとの対応関係を示し、二点鎖線は、GHPユニット210の運転容量とCOPとの対応関係を示す。なお、GHPユニット210の消費エネルギーは、GHPユニット210の消費ガス量の1次換算エネルギーである。また、EHPユニット250の消費エネルギーは、EHPユニット250の消費電力量の1次換算エネルギーである。運転容量割合は、定格能力(冷却能力または加熱能力の最大値)に対する運転容量(冷却能力または加熱能力)の割合である。
【0072】
図5に示すように、GHPユニット210の消費エネルギーと、EHPユニット250の消費エネルギーとが等しくなる運転容量割合を閾値とすると、運転容量割合が閾値超である場合には、GHPユニット210の消費エネルギーがEHPユニット250の消費エネルギーよりも小さくなる。単位消費エネルギーあたりのガス単価と、単位消費エネルギーあたりの、商用電力の買電単価とが等しい場合、運転容量割合が閾値超である場合には、GHPユニット210を運転させた方が、EHPユニット250を運転させるよりも空気調和装置150の運転コストが低くなる。
【0073】
また、運転容量割合が閾値超である場合には、GHPユニット210のCOPがEHPユニット250のCOPよりも大きくなる。
【0074】
一方、運転容量割合が閾値未満である場合には、EHPユニット250の消費エネルギーがGHPユニット210の消費エネルギーよりも小さくなる。単位消費エネルギーあたりのガス単価と、単位消費エネルギーあたりの、商用電力の買電単価とが等しい場合、運転容量割合が閾値未満である場合には、EHPユニット250を運転させた方が、GHPユニット210を運転させるよりも空気調和装置150の運転コストが低くなる。
【0075】
また、運転容量割合が閾値未満である場合には、EHPユニット250のCOPがGHPユニット210のCOPよりも大きくなる。
【0076】
例えば、余剰電力量の1次換算エネルギーが40[kW]である場合、電力容量割合範囲は、10%(最低値)以上91%となる。
【0077】
図4に戻って説明すると、設定部164は、電力容量割合範囲内、かつ、GHPの運転容量割合範囲(以下、「ガス容量割合範囲」という、
図5に示す運転情報では、10%以上100%以下)内において、空気調和装置150に対する現在の要求運転容量を満たし、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストが最も少なくなるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定する。
【0078】
従量料金が売電単価未満である場合、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストは、下記式(4)を用いて演算することができる。
運転コスト=(GHPユニット210の消費ガス量×ガス単価)+{基本料金+(契約電力×従量料金)}-{(余剰電力量-EHPユニット250の消費電力量)×売電単価} …式(4)
【0079】
従量料金が売電単価以上である場合、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストは、下記式(5)、式(6)を用いて演算することができる。
運転コスト=(GHPユニット210の消費ガス量×ガス単価)+{基本料金+(第2消費電力量×従量料金)}-{(発電電力量-(第1消費電力量+第3消費電力量))×売電単価} …式(5)
EHPユニット250の消費電力量=第2消費電力量+第3消費電力量 …式(6)
【0080】
[第1運転容量割合制御処理S180]
運転制御部166は、GHP制御部230を制御して、第1容量割合設定処理S170において設定されたガス容量割合となるように、GHPユニット210を制御させ、EHP制御部270を制御して、第1容量割合設定処理S170において設定された電力容量割合となるように、EHPユニット250を制御させる。
【0081】
[第2容量割合設定処理S190]
第1容量割合設定処理S170と同様に、設定部164は、第1消費電力量およびEHPユニット250の消費電力量が、太陽光発電装置110による現在の発電電力量と契約電力との合計電力量以下となるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定する。
【0082】
第2容量割合設定処理S190において、設定部164は、第1容量割合設定処理S170と同様に、メモリ170に記憶された運転情報を参照し、電力容量割合範囲を演算する。
【0083】
設定部164は、電力容量割合範囲内、かつ、ガス容量割合範囲内において、空気調和装置150に対する現在の要求運転容量を満たし、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストが最も少なくなるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定する。
【0084】
従量料金が売電単価未満である場合、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストは、上記式(6)および下記式(7)を用いて演算することができる。
運転コスト=(GHPユニット210の消費ガス量×ガス単価)+{基本料金+(第1消費電力量+第2消費電力量)×従量料金)}-{(発電電力量-第3消費電力量)×売電単価} …式(7)
上記式(7)において、第1消費電力量+第2消費電力量の最大値は、契約電力となるように演算される。
【0085】
従量料金が売電単価以上である場合、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストは、上記式(6)および下記式(8)を用いて演算することができる。
運転コスト=(GHPユニット210の消費ガス量×ガス単価)+{基本料金+(第2消費電力量×従量料金)}-{(発電電力量-(第1消費電力量+第3消費電力量))×売電単価} …式(8)
上記式(8)において、第2消費電力量の最大値は、契約電力となるように演算される。
【0086】
[第2運転容量割合制御処理S200]
運転制御部166は、GHP制御部230を制御して、第2容量割合設定処理S190において設定されたガス容量割合となるように、GHPユニット210を制御させ、EHP制御部270を制御して、第2容量割合設定処理S190において設定された電力容量割合となるように、EHPユニット250を制御させる。
【0087】
以上説明したように、エネルギーシステム100およびエネルギーシステム100に設けられた空気調和装置150の運転方法は、空気調和装置150に対する現在の要求運転容量(要求空調負荷)を実現しつつ、運転コストを最小限に抑えることが可能となる。したがって、エネルギーシステム100およびエネルギーシステム100に設けられた空気調和装置150の運転方法は、太陽光発電装置110が設置された建物10において、空気調和装置150を効率よく運転させることができる。
【0088】
また、第1電力消費装置140の現在の消費電力量が、太陽光発電装置110による現在の発電電力量と契約電力との合計電力量未満である場合、設定部164は、第1消費電力量およびEHPユニット250の消費電力量が、太陽光発電装置110による現在の発電電力量と契約電力との合計電力量以下となるように、ガス容量割合および電力容量割合を設定する。したがって、エネルギーシステム100およびエネルギーシステム100に設けられた空気調和装置150の運転方法は、空気調和装置150によって契約電力を超えてしまう事態を回避することができる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0090】
例えば、上述した実施形態において、温度調整装置が、冷媒の温度を変更する空気調和装置150である場合を例に挙げた。しかし、温度調整装置は、商用電力および発電電力のうちのいずれか一方または両方を消費して、熱媒体の温度を変更する第2電力消費装置と、燃料ガスを燃焼させて、熱媒体の温度を変更するガス消費装置とを含んでいればよい。温度調整装置は、例えば、ガス焚き給湯器および電気式ヒートポンプ給湯器を備える給湯装置、石油ボイラおよび電気式ヒートポンプ熱源を備える暖房装置、GHPユニット210、EHPユニット250、冷媒循環路158、および、冷媒と冷却水とを熱交換させる熱交換器を備える冷却水循環装置(チラー)であってもよい。
【0091】
上記実施形態において、設定部164が、第1電力消費装置140および空気調和装置150の運転コストが最も少なくなるように、ガス容量割合および電力容量割合を設定する場合を例に挙げた。しかし、設定部164は、二酸化炭素排出量が最も少なくなるように、ガス容量割合および電力容量割合を設定してもよい。例えば、設定部164は、太陽光発電装置110による現在の発電電力量と、第1電力消費装置140の現在の消費電力量と、商用電力のCO2排出係数とに基づいて、第1電力消費装置140による二酸化炭素排出量を算出する。さらに、設定部164は、EHPユニット250の運転容量と消費電力量との対応関係を示す情報と、商用電力のCO2排出係数とに基づいて、EHPユニット250の運転容量に応じた二酸化炭素排出量を算出する。また、設定部164は、GHPユニット210の運転容量と消費ガス量との対応関係を示す情報と、ガスのCO2排出係数とに基づいて、GHPユニット210の運転容量に応じた二酸化炭素排出量を算出する。そして、設定部164は、第1電力消費装置140による二酸化炭素排出量、EHPユニット250による二酸化炭素排出量、および、GHPユニット210による二酸化炭素排出量の合計が最も少なくなるように、電力容量割合およびガス容量割合を設定する。
【符号の説明】
【0092】
10 建物
100 エネルギーシステム
110 太陽光発電装置
120 受電装置
140 第1電力消費装置
150 空気調和装置(温度調整装置)
156 室内機
158 冷媒循環路
164 設定部
166 運転制御部(制御部)
210 GHPユニット(ガス消費装置)
220 エンジン式圧縮機
222 ガスエンジン
250 EHPユニット(第2電力消費装置)
260 電動式圧縮機
262 電動機