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  • 特開-体液情報を取得するための装置 図1
  • 特開-体液情報を取得するための装置 図2
  • 特開-体液情報を取得するための装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010752
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】体液情報を取得するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/145 20060101AFI20230113BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230113BHJP
   A61C 3/02 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61B5/145
A61B5/00 N
A61C3/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177403
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2021042674の分割
【原出願日】2017-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】593088201
【氏名又は名称】大信貿易株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 勲
(57)【要約】
【課題】体液情報を取得するための装置を提供すること。
【解決手段】装置1は、インプラント10の空洞10e内に配置されたセンサ30を含む。第1のプローブ40aは、インプラント10が骨2に埋め込まれたときに、骨2に接触するように構成されている。第2のプローブ40bは、インプラント10が骨2に埋め込まれたときに、口腔内の唾液に接触しないように唾液からシールされた第1の粘膜3に接触するように構成されている。センサ30は、第1のプローブ40aが接触する骨2を流れる体液の情報を取得するように構成されている。センサ30は、第2のプローブ40bが接触する第1の粘膜3を流れる体液の情報を取得するようにさらに構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置またはプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液情報を取得するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、糖尿病患者は、血糖値をセルフコントロールするために食事の前と食事の後に血糖値を測定する必要があった。具体的には、食事の前の血糖値が高いと食事を制限する必要があり、食事の後に血糖値を再度測定して血糖値の上昇がないかを確認する必要があった。血糖値を測定するためには、指先を針でついて採血する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、指先を針でついて採血することは痛く、感染症のおそれもあり、その採血に基づいて血糖値を測定することには大変手間がかかるという課題があった。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、体液情報(例えば、血液情報)を簡便な手法で取得することを可能にする装置を提供することを目的とする。これにより、体液情報(例えば、血液情報)に基づく血糖値を表示することを容易にすることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の装置は、体液情報を取得するための装置であって、口腔内の骨に埋め込まれるインプラントであって、その内部に空洞を有するインプラントと、該空洞内に配置されたセンサと、該センサに接続されている少なくとも1つのプローブであって、該少なくとも1つのプローブは、該インプラントの外部に延びており、該少なくとも1つのプローブは、第1のプローブおよび第2のプローブのうちの少なくとも一方を含み、該第1のプローブは、該インプラントが該骨に埋め込まれたときに、該骨に接触するように構成されており、該第2のプローブは、該インプラントが該骨に埋め込まれたときに、該骨を覆う第1の粘膜であって、該口腔内の唾液に接触しないように該唾液からシールされた第1の粘膜に接触するように構成されている、少なくとも1つのプローブとを備え、該センサは、該第1のプローブが接触する該骨を流れる体液の情報を取得するように構成されている、または、該第2のプローブが接触する該第1の粘膜を流れる体液の情報を取得するようにさらに構成されており、これにより、上記目的が達成される。
【0006】
前記少なくとも1つのプローブは、第3のプローブをさらに含み、該第3のプローブは、前記インプラントが前記骨に埋め込まれたときに、該第1の粘膜を覆う第2の粘膜であって、前記口腔内の唾液に接触している第2の粘膜に接触するように構成されていてもよく、前記センサは、該第3のプローブが接触する該第2の粘膜に接触している該唾液の情報を取得するようにさらに構成されていてもよい。
【0007】
前記センサは、第1のセンサおよび第2のセンサのうちの少なくとも一方を含み、該第1のセンサは、前記第1のプローブが接触する前記骨を流れる体液の情報を取得するように構成されていてもよく、該第2のセンサは、前記第2のプローブが接触する前記第1の粘膜を流れる体液の情報を取得するように構成されていてもよい。
【0008】
前記センサは、第3のセンサをさらに含み、該第3のセンサは、前記第3のプローブが接触する前記第2の粘膜に接触している前記唾液の情報を取得するように構成されていてもよい。
【0009】
前記装置は、前記骨を流れる体液の情報および前記第1の粘膜を流れる体液の情報のうちの少なくとも一方が該装置の外部に読み出されることを可能にする手段をさらに備えていてもよい。
【0010】
前記装置は、前記第2の粘膜に接触している前記唾液の情報が該装置の外部に読み出されることを可能にする手段をさらに備えていてもよい。
【0011】
前記体液の情報は、それに基づいて血糖値を算出することが可能である情報であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、体液情報(例えば、血液情報)を簡便な手法で取得することを可能にする装置を提供することが可能である。これにより、体液情報(例えば、血液情報)に基づく血糖値を表示することを容易にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】体液情報を取得するための装置1の構成の一例を模式的に示す図
図2】プローブ40aの先端部分、プローブ40bの先端部分、プローブ40cの先端部分を拡大して示す図
図3】空洞10e内に配置されたセンサ30を含む回路構成100の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、体液情報を取得するための装置1の構成の一例を模式的に示す。
【0016】
装置1は、インプラント10を備えている。インプラント10は、インプラント10の一部が口腔内の骨2に埋め込まれるように形成されている。ここで、インプラント10が口腔内の骨2のどこにどのように埋め込まれるかは問わない。例えば、インプラントは、歯と歯の間の隙間にある骨に埋め込まれてもよいし、歯が抜けたところ(例えば、親不知が抜けたところ)の骨に埋め込むようにしてもよい。インプラント10が骨2に埋め込まれる角度や向きは問わない。インプラント10は、例えば、チタン製であるが、インプラントの材料は問わない。インプラント10は、装置1を内蔵するために設計された専用のインプラントであってもよいし、人工歯を設置するために用いられる公知のインプラントに基づくものであってもよい。なお、図1に示されるインプラント10の形状、大きさなどは一例にすぎない。本発明のインプラントの構成は、図1に示される例には限定されない。
【0017】
インプラント10は、その内部に空洞10eを有している。装置1は、インプラント10の空洞10e内に配置されたセンサ30をさらに備えている。
【0018】
装置1は、インプラント10に設けられた孔10a、10b、10cを通ってインプラント10の外部に延びているプローブ40a、40b、40cをさらに備えている。なお、図1に示されるプローブの数、各プローブの孔の位置、プローブの間隔、各プローブが延びている方向、各プローブが延びている長さなどは一例にすぎない。本発明のプローブの構成は、図1に示される例には限定されない。例えば、図1に示される例では、プローブ40a、40b、40cは、インプラント10の壁に沿うようにほぼ鉛直方向下向きに延びているが、インプラント10の壁にほぼ垂直な方向(または、インプラント10の壁に対して斜め方向)に延びるようにしてもよい。
【0019】
プローブ40aは、インプラント10が骨2に埋め込まれたときに、骨2に接触するように構成されている。プローブ40bは、インプラント10が骨2に埋め込まれたときに、骨2を覆う粘膜3(すなわち、口腔内の唾液に接触しないように唾液からシールされた粘膜3)に接触するように構成されている。プローブ40cは、インプラント10が骨2に埋め込まれたときに、粘膜3を覆う粘膜4(すなわち、口腔内の唾液に接触している粘膜4)に接触するように構成されている。
【0020】
図2は、プローブ40aの先端部分、プローブ40bの先端部分、プローブ40cの先端部分を拡大して示す。図2では、インプラント10が骨2に埋め込まれたときの、プローブ40a、40b、40cの配置の例が示されている。このように、インプラント10が骨2に埋め込まれたときに、プローブ40aが骨2に接触し、かつ、プローブ40bが骨2を覆う粘膜3(すなわち、口腔内の唾液に接触しないように唾液からシールされた粘膜3)に接触し、かつ、プローブ40cが粘膜3を覆う粘膜4(すなわち、口腔内の唾液に接触している粘膜4)に接触するようにプローブ40a、40b、40cの配置が予め設計されている。
【0021】
図3は、空洞10e内に配置されたセンサ30を含む回路構成100の一例を示す。
【0022】
回路構成100は、センサ30と、メモリ32と、プロセッサ34と、外部インタフェース36とを含む。これらの構成要素は、相互に接続されている。
【0023】
センサ30は、インプラント10に設けられた孔10a、10b、10cを通ってインプラント10の外部に延びているプローブ40a、40b、40cに接続されている。センサ30は、プローブ40aが接触する骨2を流れる体液(例えば、血液)の情報を取得するように構成されている。センサ30は、プローブ40bが接触する粘膜3を流れる体液(例えば、血液)の情報を取得するようにさらに構成されている。センサ30は、プローブ40cが接触する粘膜4に接触している口腔内の唾液の情報(例えば、唾液に含まれるタンパク質の情報)を取得するようにさらに構成されている。ここで、センサ30の具体的な構成は問わない。例えば、センサ30は、単一の構成部品で構成されていてもよいし、複数の構成部品で構成されていてもよい。例えば、センサ30は、第1のセンサ30a、第2のセンサ30b、第3のセンサ30cを含んでいてもよい。この場合、第1のセンサ30aが、プローブ40aが接触する骨2を流れる体液(例えば、血液)の情報を取得するように構成されており、かつ、第2のセンサ30bが、プローブ40bが接触する粘膜3を流れる体液(例えば、血液)の情報を取得するように構成されており、かつ、第3のセンサ30cが、プローブ40cが接触する粘膜4に接触している口腔内の唾液の情報を取得するように構成されていてもよい。
【0024】
メモリ32には、例えば、センサ30の出力に対する処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ32に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ32にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネットなどのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ32にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ32にインストールされるようにしてもよい。
【0025】
プロセッサ34は、回路構成100の全体の動作を制御する。プロセッサ34は、メモリ32に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、装置1は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能である。
【0026】
外部インタフェース36は、端末装置(図示せず)との通信を制御する。端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどの任意の種類のコンピュータであり得る。外部インタフェース36は、例えば、スマートフォンにインストールされたアプリケーションプログラムと協働して、骨2を流れる体液(例えば、血液)の情報および粘膜3を流れる体液(例えば、血液)の情報のうちの少なくとも一方が装置1の外部に読み出されることを可能にする手段として機能する。さらに、外部インタフェース36は、例えば、スマートフォンにインストールされたアプリケーションプログラムと協働して、粘膜4に接触している唾液の情報が装置1の外部に読み出されることを可能にする手段として機能してもよい。このような情報の読み出しは、例えば、端末装置をインプラント10に近接させることによって近距離無線通信(NFC)などの公知の技術によって達成することが可能である。
【0027】
このようにして、装置1の外部に読み出された情報は、端末装置(例えば、スマートフォン)のディスプレイ上に表示されることが可能である。骨2を流れる体液(例えば、血液)の情報に基づいて血糖値を算出することが可能である。粘膜3を流れる体液(例えば、血液)の情報に基づいて血糖値を算出することも可能である。骨2を流れる体液(例えば、血液)の情報および粘膜3を流れる体液(例えば、血液)の情報の両方に基づいて血糖値を算出するようにしてもよい。従って、骨2を流れる体液(例えば、血液)の情報または粘膜3を流れる体液(例えば、血液)の情報に基づいて算出された血糖値を端末装置(例えば、スマートフォン)のディスプレイ上に表示することが可能である。
【0028】
なお、図3に示される回路構成100には示されていないが、回路構成100は、回路構成100内の各構成要素に電力を供給する電力供給部を含む。ここで、電力供給部の構成は問わない。電力供給部は、装置1の外部から電力を受け取り、その受け取った電力を回路構成100内の各構成要素に配給するようにしてもよいし、装置1の内部に内蔵された電池から電力を受け取り、その受け取った電力を回路構成100内の各構成要素に配給するようにしてもよい。この場合、電池は、装置1の外部から充電可能な電池であることが好ましい。
【0029】
なお、図1に示される例では、装置1が、インプラント10に設けられた孔10a、10b、10cを通ってインプラント10の外部に延びているプローブ40a、40b、40cを備えている構成を説明したが、装置1の構成はこれに限定されない。装置1が、インプラント10に設けられた孔10a、10b、10cのうちの少なくとも1つを通ってインプラント10の外部に延びているプローブ40a、40b、40cのうちの少なくとも1つを備えている構成もまた本発明の範囲内である。特に、装置1が、インプラント10に設けられた孔10a、10bのうちの少なくとも1つを通ってインプラント10の外部に延びているプローブ40a、40bのうちの少なくとも1つを備えている構成もまた本発明の範囲内である。
【0030】
さらに、インプラント10に設けられた孔10a、10b、10cの代わりに、スリットまたは切り欠きをインプラント10に設けるようにしてもよい。
【0031】
さらに、インプラント10の外部に延びているプローブ40a、40b、40cのうちの少なくとも1つは、センサ30に接続されていれば足り、必ずしも、インプラント10に設けられた孔(またはスリットまたは切り欠き)を通ることは必要とされない。プローブ40a、40b、40cのうちの少なくとも1つとセンサ30との接続の態様は任意である。例えば、そのような接続は有線接続であるか無線接続であるかを問わない。このように、インプラント10に孔(またはスリットまたは切り欠き)を設けることは必須ではない。インプラント10に孔(またはスリットまたは切り欠き)を設けない場合には、インプラント10として公知の任意のインプラントを用いることが可能である。
【0032】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、体液情報(例えば、血液情報)を簡便な手法で取得することを可能にする装置等を提供するものとして有用である。これにより、体液情報(例えば、血液情報)に基づく血糖値を表示することが容易になる。
【符号の説明】
【0034】
1 装置
2 骨
3 粘膜
4 粘膜
10 インプラント
10a、10b、10c 孔
10e 空洞
30 センサ
32 メモリ
34 プロセッサ
36 外部インタフェース
40a、40b、40c プローブ
100 回路構成
図1
図2
図3