(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107554
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】容器及び容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/02 20060101AFI20230727BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20230727BHJP
G06K 19/04 20060101ALI20230727BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G06K19/02
G06K19/077 200
G06K19/04
B65D25/20 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008811
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 晴彦
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA20
3E062AB01
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA08
3E062DA09
(57)【要約】
【課題】アンテナやICチップを形成する製品の材料によらず、アンテナやICチップを実装可能とすること。
【解決手段】容器は、導電性インキにより印刷されたアンテナと、紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂により前記アンテナに固着されたICチップと、紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂により形成され、少なくともICチップを覆うICチップ保護基材と、を有し、熱可塑性樹脂から形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性インキにより印刷されたアンテナと、
紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂により前記アンテナに固着されたICチップと、
紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂により形成され、少なくとも前記ICチップを覆うICチップ保護基材と、
を有し、
熱可塑性樹脂により形成された、
容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記第一紫外線硬化樹脂は、導電性フィラーを含み、
前記第二紫外線硬化樹脂は、前記導電性フィラーを含まない、
容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器であって、
前記導電性インキが金属ナノインキである、
容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器であって、
前記ICチップ保護基材が前記ICチップ及び前記アンテナを覆っている、
容器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器であって、
紫外線により硬化する第三紫外線硬化樹脂によって形成され、少なくとも前記アンテナを覆うアンテナ保護基材を有し、
前記第三紫外線硬化樹脂は、前記第二紫外線硬化樹脂よりも硬化後における弾性力が高い、
容器。
【請求項6】
請求項5に記載の容器であって、
前記第三紫外線硬化樹脂が前記アンテナ及び前記ICチップを覆っている、
容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の容器であって、
前記容器が円筒形状の試験管である、
容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の容器であって、
前記アンテナ及び前記ICチップを前記容器の曲面部分に有する、
容器。
【請求項9】
アンテナ及びICチップを有し、熱可塑性樹脂から形成された容器の製造方法であって、
容器本体に導電性インキにより前記アンテナを印刷する工程と、
前記アンテナに紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂により前記ICチップを固着する工程と、
少なくとも前記ICチップを覆うICチップ保護基材を紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂によって形成する工程と、
を有する、容器の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の容器の製造方法であって、
前記第一紫外線硬化樹脂は、導電性フィラーを含み、
前記第二紫外線硬化樹脂は、前記導電性フィラーを含まない、
容器の製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の容器の製造方法であって、
前記導電性インキが金属ナノインキである、
容器の製造方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の容器の製造方法であって、
前記ICチップ保護基材を形成する工程では、前記第一紫外線硬化樹脂により前記ICチップ及び前記アンテナを覆う、
容器の製造方法。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか1項に記載の容器の製造方法であって、
少なくとも前記アンテナを覆うアンテナ保護基材を紫外線により硬化する第三紫外線硬化樹脂により形成する工程を備え、
前記第三紫外線硬化樹脂は、前記第二紫外線硬化樹脂よりも硬化後の弾性力が高い、
容器の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の容器の製造方法であって、
前記第三紫外線硬化樹脂によって前記アンテナ及び前記ICチップを覆う、
容器の製造方法。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか1項に記載の容器の製造方法であって、
前記容器本体が円筒形状の試験管である、
容器の製造方法。
【請求項16】
請求項9から15のいずれか1項に記載の容器の製造方法であって、
前記アンテナ及び前記ICチップが前記容器本体の曲面部分に形成される、
容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器及び容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の製造、管理、流通等の分野において、製品に関する情報や識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術を適用する動きが活発化している。そこで、例えば、RFID対応のアンテナ及びICチップを実装したRFIDラベルが採用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のRFIDラベルの製造方法では、ICチップ内蔵のパッケージタグと支持シートに形成されたアンテナパターンとを接合する際に、高融点型のホットメルト層を介在させて、ホットメルト層にパッケージタグを配置した後、熱圧着する方法が採られている。
【0005】
しかし、製品の材料となる樹脂のなかには、熱硬化性接着剤の硬化温度域で軟化する熱可塑性樹脂が用いられている場合があり、このような樹脂が用いられた製品には、特許文献1に記載された製造方法が適用できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、アンテナやICチップを形成する製品の材料によらず、アンテナやICチップを実装可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、導電性インキにより印刷されたアンテナと、紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂により前記アンテナに固着されたICチップと、紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂により形成され、少なくとも前記ICチップを覆うICチップ保護基材と、を有し、熱可塑性樹脂から形成された容器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本態様によれば、アンテナやICチップを形成する製品の材料によらず、アンテナやICチップを実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係るRFID容器を説明する外観図である。
【
図2】
図2は、容器本体の表面に導電性インキによりアンテナを形成する工程を説明する模式図である。
【
図3】
図3は、アンテナに紫外線硬化異方導電性樹脂を配置する工程を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、アンテナに紫外線硬化異方導電性樹脂を配置した後、ICチップを実装する工程を説明する模式図である。
【
図5】
図5は、紫外線硬化異方導電性樹脂に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。
【
図6】
図6は、ICチップ保護基材を形成する紫外線硬化樹脂を配置する工程を説明する模式図である。
【
図7】
図7は、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、第二実施形態に係るRFID容器を説明する外観図である。
【
図9】
図9は、第三実施形態に係るRFID容器を説明する外観図である。
【
図10】
図10は、第四実施形態に係るRFID容器を説明する外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
<容器>
本実施形態において、容器とは、いわゆる試験管である。なかでも、本実施形態は、遠沈管と呼ばれる容器に好適に適用できる。遠沈管は、遠心分離機を用いた実験や臨床検査の分野にて使用される容器である。また、本実施形態において、RFID容器とは、非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術に対応したアンテナ及びICチップが組み込まれた容器である。
【0011】
図1は、第一実施形態に係るRFID容器1を説明する外観図である。
【0012】
RFID容器1は、容器本体10と、アンテナ11と、ICチップ12と、ICチップ保護基材13と、を備える。容器本体10は、アンテナ11、ICチップ12及びICチップ保護基材13を容器本体10の曲面部分に有している。
【0013】
本実施形態において、容器本体10は、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、ポリスチレン製、アクリル樹脂製等の試験管である。樹脂製の試験管は、安全性及び衛生面等の問題から、リサイクルが不要な用途に適用することができる。本実施形態において、容器本体10は、円筒形状のポリプロピレン製又はPFA(フッ素樹脂)製の遠沈管である。
【0014】
アンテナ11は、導電性インキにより容器本体10の曲面部分にループ状のパターンとして印刷されている。本実施形態においては、導電性インキとして、金属ナノインキを使用することができる。
【0015】
金属ナノインキは、数ナノ~数十ナノメートルの金属ナノ粒子が分散液中に分散したインキである。金属ナノインキは、塗布されると、金属ナノ粒子が緻密に並んだ薄膜が形成される。これを乾燥させると、金属ナノ粒子に特有の融点降下が生じて金属ナノ粒子同士が融着し、金属結合を形成する。その結果、金属ナノインキは、金属箔に類似した金属塗膜層を形成することができる。
【0016】
本実施形態では、製造上における取り扱い性の利点から銀ナノ粒子が用いられた銀ナノインキを好適に用いることができる。
【0017】
アンテナ11は、RFIDの仕様に応じて、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応したアンテナ長さ及びアンテナ線幅になるように設計されたパターンや、マイクロ波(1~30GHz、特に2.4GHz近傍)、及びHF帯(3MHz~30MHz、特に13.56MHz近傍)等の特定の周波数帯に対応したアンテナ長さ及びアンテナ線幅になるように設計されたパターンを使用することができる。
【0018】
ICチップ12は、読取装置(図示されていない)等の機器との間で通信可能に設計された半導体パッケージである。
【0019】
本実施形態においては、ICチップ12は、第一紫外線硬化樹脂としてのペースト状の紫外線硬化異方導電性樹脂14(以下、UV硬化ACP14と記す)を硬化させることにより、アンテナ11に電気的及び機械的に固着されている。
【0020】
UV硬化ACP14は、接着成分であるバインダ樹脂に、所定粒径に調製された導電性フィラーが混合されたものである。
【0021】
バインダ樹脂は、絶縁性を有し、紫外線照射により硬化する樹脂である。UV硬化ACP14により、アンテナ11とICチップ12とを電気的及び機械的に接続することができる。
【0022】
ICチップ保護基材13は、第二紫外線硬化樹脂としての紫外線硬化樹脂15(以下、UV硬化樹脂15と記す。
図6参照)により形成されている。ICチップ保護基材13は、ICチップ12を覆っている。
【0023】
ICチップ12を保護する観点から、ICチップ保護基材13として、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。
【0024】
弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂等を使用することができる。
【0025】
ICチップ保護基材13を形成するUV硬化樹脂15としては、UV硬化ACP14に用いられたバインダ樹脂と同じ樹脂を使用することができる。
【0026】
<作用効果>
RFID容器1において、アンテナ11は、導電性インキにより容器本体10の曲面部分にループ状のパターンとして印刷されている。また、ICチップ12は、UV硬化ACP14を硬化させることにより、アンテナ11に電気的及び機械的に固着されている。ICチップ12を覆うICチップ保護基材13は、UV硬化樹脂15により形成されている。このため、RFID容器1は、加熱工程を経ることなく製造することができる。
【0027】
したがって、従来のアンテナ及びICチップの形成に用いられていた熱硬化性接着剤の硬化温度域で軟化する熱可塑性樹脂が用いられた製品に対しても、アンテナ11やICチップ12を実装することができる。
【0028】
また、RFID容器1において、ICチップ12が固着された領域は、ICチップ保護基材13により覆われている。したがって、例えば、RFID容器1を複数同時に扱う場合に、RFID容器1同士の接触からICチップ12を保護したり、水滴や埃からICチップ12を保護したりすることができる。
【0029】
また、ICチップ保護基材13として、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂を用いることにより、ICチップ12を保護する効果が高められる。
【0030】
<容器の製造方法>
次に、本実施形態に係るRFID容器1の製造方法について説明する。
【0031】
RFID容器1の製造方法は、容器本体10の表面に導電性インキによりアンテナ11を印刷し、UV硬化ACP14を用いてICチップ12をアンテナ11に固着し、UV硬化樹脂15を用いてICチップ12を覆うICチップ保護基材13を形成する。
【0032】
図2は、容器本体10の表面に導電性インキによりアンテナ11のパターンを印刷する工程を説明する模式図である。
図3は、アンテナ11にUV硬化ACP14を配置する工程を説明する模式図である。
図4は、アンテナ11にUV硬化ACP14を配置した後、ICチップ12を実装する工程を説明する模式図である。
【0033】
また、
図5は、UV硬化ACP14に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。
図6は、ICチップ保護基材13を形成するUV硬化樹脂15を配置する工程を説明する模式図である。
図7は、UV硬化樹脂15に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。
【0034】
まず、
図2に示すように、導電性インキにより容器本体10の表面にアンテナ11のパターンが印刷される。
【0035】
適用可能な印刷方法としては、シルクスクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、UV印刷、インクジェット印刷、吹き付け塗装等を適用可能である。なかでも、銀ナノインキを使用したパッド印刷、オフセット印刷、UV印刷、インクジェット印刷を用いることが好ましい。
【0036】
本実施形態においては、銀ナノインキを用いたインクジェット印刷により、アンテナ11のパターンを容器本体10の曲面部分に直接印刷する。
【0037】
続いて、
図3に示すように、印刷により形成されたアンテナ11に、UV硬化ACP14を配置する。本実施形態では、UV硬化ACP14を吐出するためのディスペンサ等を用いて、ICチップ12が実装される位置にUV硬化ACP14を塗工する。
【0038】
次に、
図4に示すように、UV硬化ACP14を配置した後、アンテナ11における所定位置にICチップ12を実装する。また、
図5に示すように、UVランプ101により、UV硬化ACP14に紫外線を照射し、UV硬化ACP14を硬化させる。
【0039】
図4及び
図5に示す工程により、UV硬化ACP14に含まれるバインダ樹脂が硬化することで接着剤として機能し、アンテナ11とICチップ12とが機械的に接続される。また、このとき、UV硬化ACP14に含まれる導電性フィラーが電気導通路を形成することによって、アンテナ11とICチップ12とが電気的に接続される。
【0040】
次に、
図6に示すように、ICチップ保護基材13を形成するためのUV硬化樹脂15を塗工する。UV硬化樹脂15の厚みは、ICチップ12の厚み以上とし、ICチップ12の厚みに対応して設定される。本実施形態においては、ICチップ12の厚み以上である150μmとすることが好ましい。
【0041】
次に、
図7に示すように、UVランプ102により、UV硬化樹脂15に紫外線を照射し、UV硬化樹脂15を硬化させる。
【0042】
以上の工程により、アンテナ11及びICチップ12が容器本体10に直接設けられたRFID容器1を製造することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、
図4に示すように、ICチップ12の実装後、アンテナ11とICチップ12との間の電気的導通を確実なものにするとともに、ICチップ12をUV硬化ACP14によってアンテナ11に仮止めするために、ICチップ12を破損しない程度の圧力で加圧する工程を実行してもよい。
【0044】
<作用効果>
以上の製造方法によれば、アンテナ11は、導電性インキにより容器本体10の曲面部分にループ状のパターンとして印刷され、ICチップ12は、UV硬化ACP14を硬化させることにより、アンテナ11に電気的及び機械的に固着される。また、ICチップ12を覆うICチップ保護基材13は、UV硬化樹脂15により形成される。このため、加熱工程を経ることなく、RFID容器1を製造することができる。
【0045】
したがって、本実施形態に係る容器の製造方法によれば、従来のアンテナ及びICチップの形成に用いられていた熱硬化性接着剤の硬化温度域で軟化する熱可塑性樹脂が用いられた製品に対しても、アンテナ11やICチップ12を実装することができる。これにより、容器本体10を形成する材料の選択の自由度が広がる。
【0046】
また、RFID容器1の製造方法によれば、アンテナ11を、導電性インキを用いて、容器本体10の表面に直接印刷することができる。このため、容器本体10の曲面部分にもアンテナ11を形成することが容易である。したがって、容器本体10の形状による制約受けることなく、RFID対応容器の適用範囲を広げることができる。
【0047】
また、RFID容器1の製造方法によれば、ICチップ12は、UV硬化ACP14によってアンテナ11に電気的及び機械的に固着されている。また、ICチップ保護基材13もまた、UV硬化樹脂15により形成される。
【0048】
[第二実施形態]
図8は、第二実施形態に係るRFID容器2を説明する外観図である。これ以降の実施形態においては、第一実施形態と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施形態に係るRFID容器2は、保護基材13Aを有する。保護基材13Aは、ICチップ保護基材13を形成した第二紫外線硬化樹脂によって形成されており、アンテナ11とICチップ12の両方を覆っている。
【0050】
これにより、RFID容器2は、ICチップ12とともにアンテナ11が、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂である第二紫外線硬化樹脂により形成された保護基材13Aによって覆われるため、例えば、RFID容器1を複数同時に扱う場合に、RFID容器1同士の接触からアンテナ11及びICチップを保護したり、水滴や埃からアンテナ11及びICチップ12を保護したりすることができる。
【0051】
なお、本実施形態に係るICチップ12及びアンテナ11を保護する保護基材13Aは、容器本体10の表面において、第二紫外線硬化樹脂をICチップ12及びアンテナ11の両方を覆うように形成する工程を実行することにより実現可能である。
【0052】
[第三実施形態]
図9は、第三実施形態に係るRFID容器3を説明する外観図である。
【0053】
本実施形態に係るRFID容器3は、ICチップ保護基材13とアンテナ保護基材131とを有する。アンテナ保護基材131は、第三紫外線硬化樹脂により形成されており、アンテナ11を覆う領域に亘って配置されている。
【0054】
アンテナ保護基材131が硬質であると、容器本体10の変形に追従できず、ひび割れや破損が生じやすくなる。このため、第三紫外線硬化樹脂としては、硬化後において軟質で柔軟な樹脂を選択することができる。
【0055】
アンテナ保護基材131は、第二紫外線硬化樹脂により形成されたICチップ保護基材13よりも硬化後における弾性力が高い第三紫外線硬化樹脂により形成することができる。本実施形態においては、ゴム弾性を有する紫外線硬化樹脂が適用可能であり、ヤング率が3~200N/cm2、かつ、強度が3~50N/cm2、かつ、伸びが30~300%である紫外線硬化樹脂を使用することができる。上記特性を有する、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を使用可能である。
【0056】
アンテナ保護基材131は、ICチップ12の高さを考慮する必要がないため、5μm~50μmとすることができる。
【0057】
以上のように、RFID容器3は、ICチップ12が、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂である第二紫外線硬化樹脂により形成されたICチップ保護基材13によって覆われるため、ICチップ12の保護する機能が高められる。
【0058】
また、RFID容器3は、アンテナ11が、ICチップ保護基材13よりも硬化後における弾性力が高い第三紫外線硬化樹脂により形成されたアンテナ保護基材131によって覆われるため、例えば、RFID容器1を複数同時に扱う場合に、RFID容器1同士の接触からアンテナ11の表面を保護したり、水滴や埃からアンテナ11を保護したりすることができる。
【0059】
[第四実施形態]
図10は、第四実施形態に係るRFID容器4を説明する外観図である。
【0060】
本実施形態に係るRFID容器4では、第三紫外線硬化樹脂により形成されたアンテナ保護基材131Aを有する。アンテナ保護基材131Aは、アンテナ11と、ICチップ保護基材13により覆われたICチップ12の両方を覆う領域に亘って配置されている。
【0061】
RFID容器4は、第二紫外線硬化樹脂により形成されたICチップ保護基材13によってICチップ12が覆われ、そのICチップ保護基材13の表面がさらに第三紫外線硬化樹脂により形成されたアンテナ保護基材131Aによって覆われるため、ICチップ12及びアンテナ11を保護する機能が高められる。
【0062】
本実施形態においては、第三紫外線硬化樹脂として、第二紫外線硬化樹脂と同じ樹脂を適用してもよい。
【0063】
なお、本実施形態に係るアンテナ保護基材131Aは、第二紫外線硬化樹脂によりICチップ12を覆うICチップ保護基材13を形成する工程を行った後、アンテナ11とICチップ保護基材13とを覆うように第三紫外線硬化樹脂を配置し、アンテナ保護基材131Aを形成する工程を実行することにより実現可能である。
【0064】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0065】
本実施形態では、ICチップ12は、UV硬化ACP14によって、アンテナ11に電気的及び機械的に固着されていると説明した。しかし、アンテナ11とICチップ12とは、電気的な接続が保持できればよく、ICチップ12は、例えば、はんだ等を用いてアンテナ11に実装された後、導電性フィラーを含まない第一紫外線硬化樹脂によってアンテナ11に物理的に固定されてもよい。
【0066】
本実施形態においては、アンテナ11は、ループ状のアンテナパターンのほか、ループ部、メアンダ及びキャパシタハットを有するダイポールアンテナであってもよい。また、アンテナ11は、コイル状のアンテナパターンであってもよい。
【0067】
ICチップ12は、LED等が搭載された半導体パッケージであってもよい。
【0068】
図5に示したUVランプ101と、
図7に示したUVランプ102とは同じものを使用できる。また、UV硬化ACP14の上にICチップ12を実装した後、続いて、UV硬化樹脂15を塗工し、その後に、1回の紫外線照射により、UV硬化ACP14とUV硬化樹脂15とを硬化させてもよい。
【0069】
本実施形態において、第二紫外線硬化樹脂によってICチップ12を覆う工程は、ICチップ12を実装する工程よりも後であればよい。
【0070】
また、第三紫外線硬化樹脂によって、アンテナ11を覆う工程は、アンテナ11が印刷された後であればよい。
【0071】
本実施形態において、RFID容器1が試験管(遠沈管)である場合について説明したが、RFID容器1は、この限りではない。例えば、注射器のシリンジのような管状体や、矩形状の測定用セルであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1,2,3,4 RFID容器
10 容器本体
11 アンテナ
12 ICチップ
13,13A ICチップ保護基材
14 紫外線硬化異方導電性樹脂(UV硬化ACP)
15 紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)
101,102 UVランプ
131,131A アンテナ保護基材