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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107556
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】蓋体及び蓋体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/02 20060101AFI20230727BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20230727BHJP
   G06K 19/04 20060101ALI20230727BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20230727BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G06K19/02
G06K19/077 200
G06K19/04
B65D51/24 200
B65D25/20 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008813
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 晴彦
【テーマコード(参考)】
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AC02
3E062AC08
3E062BA07
3E062BB02
3E062DA08
3E084AA12
3E084AA24
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC04
3E084DC05
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
(57)【要約】
【課題】アンテナやICチップを形成する製品の材料によらず、アンテナやICチップを実装可能とすること。
【解決手段】蓋体は、導電性インキにより印刷されたアンテナと、紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂によりアンテナに固着されたICチップと、紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂により形成され、少なくともICチップを覆うICチップ保護基材と、を有し、熱可塑性樹脂により形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に装着される蓋体であって、
導電性インキにより印刷されたアンテナと、
紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂により前記アンテナに固着されたICチップと、
紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂により形成され、少なくとも前記ICチップを覆うICチップ保護基材と、
を有し、
熱可塑性樹脂により形成された、
蓋体。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋体であって、
前記第一紫外線硬化樹脂は、導電性フィラーを含み、
前記第二紫外線硬化樹脂は、前記導電性フィラーを含まない、
蓋体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蓋体であって、
前記導電性インキが金属ナノインキである、
蓋体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の蓋体であって、
前記ICチップ保護基材が前記ICチップ及び前記アンテナを覆っている、
蓋体。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の蓋体であって、
紫外線により硬化する第三紫外線硬化樹脂によって形成され、少なくとも前記アンテナを覆うアンテナ保護基材を有し、
前記第三紫外線硬化樹脂は、前記第二紫外線硬化樹脂よりも硬化後における弾性力が高い、
蓋体。
【請求項6】
請求項5に記載の蓋体であって、
前記第三紫外線硬化樹脂が前記アンテナ及び前記ICチップを覆っている、
蓋体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の蓋体であって、
前記アンテナ及び前記ICチップを前記蓋体の平面部分に有する、
蓋体。
【請求項8】
請求項7に記載の蓋体であって、
前記平面部分は、前記容器の外装面を形成する前記蓋体の表面側における平面部分である、
蓋体。
【請求項9】
請求項7に記載の蓋体であって、
前記平面部分は、前記容器の内側に対向する前記蓋体の裏面側における平面部分である、
蓋体。
【請求項10】
請求項9に記載の蓋体であって、
前記蓋体は、前記蓋体の裏面側に前記容器の内容物の漏洩を封止するシール材を有し、
前記アンテナ及び前記ICチップを前記蓋体と前記シール材との間に有する、
蓋体。
【請求項11】
アンテナ及びICチップを有し、熱可塑性樹脂から形成され、容器に装着される蓋体の製造方法であって、
蓋本体に導電性インキにより前記アンテナを印刷する工程と、
前記アンテナに紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂により前記ICチップを固着する工程と、
少なくとも前記ICチップを覆うICチップ保護基材を紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂によって形成する工程と、
を有する、蓋体の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の蓋体の製造方法であって、
前記第一紫外線硬化樹脂は、導電性フィラーを含み、
前記第二紫外線硬化樹脂は、前記導電性フィラーを含まない、
蓋体の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の蓋体の製造方法であって、
前記導電性インキが金属ナノインキである、
蓋体の製造方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載の蓋体の製造方法であって、
前記ICチップ保護基材を形成する工程では、前記第一紫外線硬化樹脂により前記ICチップ及び前記アンテナを覆う、
蓋体の製造方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項に記載の蓋体の製造方法であって、
少なくとも前記アンテナを覆うアンテナ保護基材を紫外線により硬化する第三紫外線硬化樹脂により形成する工程を備え、
前記第三紫外線硬化樹脂は、前記第二紫外線硬化樹脂よりも硬化後における弾性力が高い、
蓋体の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の蓋体の製造方法であって、
前記第三紫外線硬化樹脂によって前記アンテナ及び前記ICチップを覆う、
蓋体の製造方法。
【請求項17】
請求項11から16のいずれか1項に記載の蓋体の製造方法であって、
前記アンテナ及び前記ICチップが前記蓋体の平面部分に形成される、
蓋体の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の蓋体の製造方法であって、
前記アンテナ及び前記ICチップが前記容器の外装面を形成する前記蓋体の表面側における平面部分に形成される、
蓋体の製造方法。
【請求項19】
請求項17に記載の蓋体の製造方法であって、
前記アンテナ及び前記ICチップが前記容器の内側に対向する前記蓋体の裏面側における平面部分に形成される、
蓋体の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の蓋体の製造方法であって、
前記アンテナ及び前記ICチップを前記蓋体の裏面側の平面部分に形成し、
前記平面部分に形成された前記アンテナ及び前記ICチップを覆うとともに前記容器の内容物の漏洩を封止するシール材を形成する、
蓋体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体及び蓋体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の製造、管理、流通等の分野において、製品に関する情報や識別情報が書き込まれたICチップから非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術を適用する動きが活発化している。そこで、例えば、RFID対応のアンテナ及びICチップを実装したRFIDラベルが採用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-129989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のRFIDラベルの製造方法では、ICチップ内蔵のパッケージタグと支持シートに形成されたアンテナパターンとを接合する際に、高融点型のホットメルト層を介在させて、ホットメルト層にパッケージタグを配置した後、熱圧着する方法が採られている。
【0005】
しかし、製品の材料となる樹脂のなかには、熱硬化性接着剤の硬化温度域で軟化する熱可塑性樹脂が用いられている場合があり、このような樹脂が用いられた製品には、特許文献1に記載された製造方法が適用できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、アンテナやICチップを形成する製品の材料によらず、アンテナやICチップを実装可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、容器に装着される蓋体であって、導電性インキにより印刷されたアンテナと、紫外線により硬化する第一紫外線硬化樹脂により前記アンテナに固着されたICチップと、紫外線により硬化する第二紫外線硬化樹脂により形成され、少なくとも前記ICチップを覆うICチップ保護基材と、を有し、熱可塑性樹脂により形成された、蓋体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本態様によれば、アンテナやICチップを形成する製品の材料によらず、アンテナやICチップを実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係る蓋体を説明する外観図である。
図2図2は、蓋本体の表面に導電性インキによりアンテナを形成する工程を説明する模式図である。
図3図3は、アンテナに紫外線硬化異方導電性樹脂を配置する工程を説明する模式図である。
図4図4は、アンテナに紫外線硬化異方導電性樹脂を配置した後、ICチップを実装する工程を説明する模式図である。
図5図5は、紫外線硬化異方導電性樹脂に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。
図6図6は、ICチップ保護基材を形成する紫外線硬化樹脂を配置する工程を説明する模式図である。
図7図7は、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。
図8図8は、第二実施形態に係る蓋体を説明する外観図である。
図9図9は、第三実施形態に係る蓋体を説明する外観図である。
図10図10は、第四実施形態に係る蓋体を説明する外観図である。
図11図11は、第五実施形態に係る蓋体を説明する断面図である。
図12図12は、その他の実施形態に係る蓋体を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
<蓋体>
本実施形態において、蓋体とは、容器に装着される蓋体である。なかでも、本実施形態に係る蓋体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる樹脂製容器に適用できる。また、本実施形態における蓋体は、非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術に対応したアンテナ及びICチップが組み込まれた蓋体である。
【0011】
図1は、第一実施形態に係る蓋体1を説明する外観図である。
【0012】
蓋体1は、蓋本体10と、アンテナ11と、ICチップ12と、ICチップ保護基材13と、を備える。蓋本体10は、アンテナ11、ICチップ12及びICチップ保護基材13を、容器の外装面を形成する蓋体1の表面における平面部分に有する。
【0013】
本実施形態において、蓋本体10は、熱可塑性樹脂からなる蓋体である。蓋本体10を形成可能な熱可塑性樹脂の一例は、ポリエチレン及びポリプロピレン等である。
【0014】
アンテナ11は、導電性インキにより蓋本体10の平面部分にループ状のパターンとして印刷されている。本実施形態においては、導電性インキとして、金属ナノインキを使用することができる。
【0015】
金属ナノインキは、数ナノ~数十ナノメートルの金属ナノ粒子が分散液中に分散したインキである。金属ナノインキは、塗布されると、金属ナノ粒子が緻密に並んだ薄膜が形成される。これを乾燥させると、金属ナノ粒子に特有の融点降下が生じて金属ナノ粒子同士が融着し、金属結合を形成する。その結果、金属ナノインキは、金属箔に類似した金属塗膜層を形成することができる。
【0016】
本実施形態では、製造上における取り扱い性の利点から銀ナノ粒子が用いられた銀ナノインキを好適に用いることができる。
【0017】
アンテナ11は、RFIDの仕様に応じて、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応したアンテナ長さ及びアンテナ線幅になるように設計されたパターンや、マイクロ波(1~30GHz、特に2.4GHz近傍)、及びHF帯(3MHz~30MHz、特に13.56MHz近傍)等の特定の周波数帯に対応したアンテナ長さ及びアンテナ線幅になるように設計されたパターンを使用することができる。
【0018】
ICチップ12は、読取装置(図示されていない)等の機器との間で通信可能に設計された半導体パッケージである。
【0019】
本実施形態においては、ICチップ12は、第一紫外線硬化樹脂としてのペースト状の紫外線硬化異方導電性樹脂14(以下、UV硬化ACP14と記す)を硬化させることにより、アンテナ11に電気的及び機械的に固着されている。
【0020】
UV硬化ACP14は、接着成分であるバインダ樹脂に、所定粒径に調製された導電性フィラーが混合されたものである。
【0021】
バインダ樹脂は、絶縁性を有し、紫外線照射により硬化する樹脂である。UV硬化ACP14により、アンテナ11とICチップ12とを電気的及び機械的に接続することができる。
【0022】
ICチップ保護基材13は、第二紫外線硬化樹脂としての紫外線硬化樹脂15(以下、UV硬化樹脂15と記す。図6参照)により形成されている。ICチップ保護基材13は、ICチップ12を覆っている。
【0023】
ICチップ12を保護する観点から、ICチップ保護基材13として、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。
【0024】
弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂等を使用することができる。
【0025】
ICチップ保護基材13を形成するUV硬化樹脂15としては、UV硬化ACP14に用いられたバインダ樹脂と同じ樹脂を使用することができる。
【0026】
<作用効果>
蓋体1において、アンテナ11は、導電性インキにより蓋本体10の平面部分にループ状のパターンとして印刷されている。また、ICチップ12は、UV硬化ACP14を硬化させることにより、アンテナ11に電気的及び機械的に固着されている。ICチップ12を覆うICチップ保護基材13は、UV硬化樹脂15により形成されている。このため、蓋体1は、加熱工程を経ることなく製造することができる。
【0027】
したがって、従来のアンテナ及びICチップの形成に用いられていた熱硬化性接着剤の硬化温度域で軟化する熱可塑性樹脂を用いた製品に対しても、アンテナ11やICチップ12を実装することができる。
【0028】
また、蓋体1において、ICチップ12が固着された領域は、ICチップ保護基材13により覆われている。したがって、例えば、蓋体1を複数同時に扱う場合に、蓋体1同士の接触からICチップ12を保護したり、水滴や埃からICチップ12を保護したりすることができる。
【0029】
また、ICチップ保護基材13として、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂を用いることにより、ICチップ12を保護する効果が高められる。
【0030】
<蓋体の製造方法>
次に、本実施形態に係る蓋体1の製造方法について説明する。
【0031】
蓋体1の製造方法は、蓋本体10の表面に導電性インキによりアンテナ11を印刷し、UV硬化ACP14を用いてICチップ12をアンテナ11に固着し、UV硬化樹脂15を用いてICチップ12を覆うICチップ保護基材13を形成する。
【0032】
図2は、蓋本体10の表面に導電性インキによりアンテナ11のパターンを印刷する工程を説明する模式図である。図3は、アンテナ11にUV硬化ACP14を配置する工程を説明する模式図である。図4は、アンテナ11にUV硬化ACP14を配置した後、ICチップ12を実装する工程を説明する模式図である。
【0033】
また、図5は、UV硬化ACP14に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。図6は、ICチップ保護基材13を形成するUV硬化樹脂15を配置する工程を説明する模式図である。図7は、UV硬化樹脂15に紫外線を照射する工程を説明する模式図である。
【0034】
まず、図2に示すように、導電性インキにより蓋本体10の表面にアンテナ11のパターンが印刷される。
【0035】
適用可能な印刷方法としては、シルクスクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、UV印刷、インクジェット印刷、吹き付け塗装等を適用可能である。なかでも、銀ナノインキを使用したパッド印刷、オフセット印刷、UV印刷、インクジェット印刷を用いることが好ましい。
【0036】
本実施形態においては、銀ナノインキを用いたインクジェット印刷により、アンテナ11のパターンを蓋本体10の平面部分に直接印刷する。
【0037】
続いて、図3に示すように、印刷により形成されたアンテナ11に、UV硬化ACP14を配置する。本実施形態では、UV硬化ACP14を吐出するためのディスペンサ等を用いて、ICチップ12が実装される位置にUV硬化ACP14を塗工する。
【0038】
次に、図4に示すように、UV硬化ACP14を配置した後、アンテナ11における所定位置にICチップ12を実装する。また、図5に示すように、UVランプ101により、UV硬化ACP14に紫外線を照射し、UV硬化ACP14を硬化させる。
【0039】
図4及び図5に示す工程により、UV硬化ACP14に含まれるバインダ樹脂が硬化することで接着剤として機能し、アンテナ11とICチップ12とが機械的に接続される。また、このとき、UV硬化ACP14に含まれる導電性フィラーが電気導通路を形成することによって、アンテナ11とICチップ12とが電気的に接続される。
【0040】
次に、図6に示すように、ICチップ保護基材13を形成するためのUV硬化樹脂15を塗工する。UV硬化樹脂15の厚みは、ICチップ12の厚み以上とし、ICチップ12の厚みに対応して設定される。本実施形態においては、ICチップ12の厚み以上である150μmとすることが好ましい。
【0041】
次に、図7に示すように、UVランプ102により、UV硬化樹脂15に紫外線を照射し、UV硬化樹脂15を硬化させる。
【0042】
以上の工程により、アンテナ11及びICチップ12が蓋本体10に直接設けられた蓋体1を製造することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、図4に示すように、ICチップ12の実装後、アンテナ11とICチップ12との間の電気的導通を確実なものにするとともに、ICチップ12をUV硬化ACP14によってアンテナ11に仮止めするために、ICチップ12を破損しない程度の圧力で加圧する工程を実行してもよい。
【0044】
<作用効果>
以上の製造方法によれば、アンテナ11は、導電性インキにより蓋本体10の平面部分にループ状のパターンとして印刷され、ICチップ12は、UV硬化ACP14を硬化させることにより、アンテナ11に電気的及び機械的に固着される。また、ICチップ12を覆うICチップ保護基材13は、UV硬化樹脂15により形成される。このため、加熱工程を経ることなく、蓋体1を製造することができる。
【0045】
したがって、本実施形態に係る蓋体1の製造方法によれば、従来のアンテナ及びICチップの形成に用いられていた熱硬化性接着剤の硬化温度域で軟化する熱可塑性樹脂が用いられた製品に対しても、アンテナ11やICチップ12を実装することができる。これにより、蓋本体10を形成する材料の選択の自由度が広がる。
【0046】
また、蓋体1の製造方法によれば、アンテナ11を、導電性インキを用いて、蓋本体10の表面に直接印刷することができる。このため、蓋本体10の平面部分にアンテナ11を形成することが容易である。したがって、蓋本体10の形状による制約受けることなく、RFID対応蓋体の適用範囲を広げることができる。
【0047】
また、蓋体1の製造方法によれば、ICチップ12は、UV硬化ACP14によってアンテナ11に電気的及び機械的に固着されている。また、ICチップ保護基材13もまた、UV硬化樹脂15により形成される。
【0048】
[第二実施形態]
図8は、第二実施形態に係る蓋体2を説明する外観図である。これ以降の実施形態においては、第一実施形態と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施形態に係る蓋体2は、保護基材13Aを有する。保護基材13Aは、ICチップ保護基材13を形成した第二紫外線硬化樹脂によって形成されており、アンテナ11とICチップ12の両方を覆っている。
【0050】
これにより、蓋体2は、ICチップ12とともにアンテナ11が、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂である第二紫外線硬化樹脂により形成された保護基材13Aによって覆われるため、例えば、蓋体1を複数同時に扱う場合に、蓋体1同士の接触からアンテナ11及びICチップを保護したり、水滴や埃からアンテナ11及びICチップ12を保護したりすることができる。
【0051】
なお、本実施形態に係るICチップ12及びアンテナ11を保護する保護基材13Aは、蓋本体10の表面において、第二紫外線硬化樹脂をICチップ12及びアンテナ11の両方を覆うように形成する工程を実行することにより実現可能である。
【0052】
[第三実施形態]
図9は、第三実施形態に係る蓋体3を説明する外観図である。
【0053】
本実施形態に係る蓋体3は、ICチップ保護基材13とアンテナ保護基材131とを有する。アンテナ保護基材131は、第三紫外線硬化樹脂により形成されており、アンテナ11を覆う領域に亘って配置されている。
【0054】
アンテナ保護基材131が硬質であると、蓋本体10の変形に追従できず、ひび割れや破損が生じやすくなる。このため、第三紫外線硬化樹脂としては、硬化後において軟質で柔軟な樹脂を選択することができる。
【0055】
アンテナ保護基材131は、第二紫外線硬化樹脂により形成されたICチップ保護基材13よりも硬化後における弾性力が高い第三紫外線硬化樹脂により形成することができる。本実施形態においては、ゴム弾性を有する紫外線硬化樹脂が適用可能であり、ヤング率が3~200N/cm、かつ、強度が3~50N/cm、かつ、伸びが30~300%である紫外線硬化樹脂を使用することができる。上記特性を有する、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を使用可能である。
【0056】
アンテナ保護基材131は、ICチップ12の高さを考慮する必要がないため、5μm~50μmとすることができる。
【0057】
以上のように、蓋体3は、ICチップ12が、弾性を有する紫外線硬化樹脂又は硬質で割れにくい紫外線硬化樹脂である第二紫外線硬化樹脂により形成されたICチップ保護基材13によって覆われるため、ICチップ12の保護する機能が高められる。
【0058】
また、蓋体3は、アンテナ11が、ICチップ保護基材13よりも硬化後における弾性力が高い第三紫外線硬化樹脂により形成されたアンテナ保護基材131によって覆われるため、例えば、蓋体1を複数同時に扱う場合に、蓋体1同士の接触からアンテナ11の表面を保護したり、水滴や埃からアンテナ11を保護したりすることができる。
【0059】
[第四実施形態]
図10は、第四実施形態に係る蓋体4を説明する外観図である。
【0060】
本実施形態に係る蓋体4では、第三紫外線硬化樹脂により形成されたアンテナ保護基材131Aを有する。アンテナ保護基材131Aは、アンテナ11と、ICチップ保護基材13により覆われたICチップ12の両方を覆う領域に亘って配置されている。
【0061】
蓋体4は、第二紫外線硬化樹脂により形成されたICチップ保護基材13によってICチップ12が覆われ、そのICチップ保護基材13の表面がさらに第三紫外線硬化樹脂により形成されたアンテナ保護基材131Aによって覆われるため、ICチップ12及びアンテナ11を保護する機能が高められる。
【0062】
本実施形態においては、第三紫外線硬化樹脂として、第二紫外線硬化樹脂と同じ樹脂を適用してもよい。
【0063】
なお、本実施形態に係るアンテナ保護基材131Aは、第二紫外線硬化樹脂によりICチップ12を覆うICチップ保護基材13を形成する工程を行った後、アンテナ11とICチップ保護基材13とを覆うように第三紫外線硬化樹脂を配置し、アンテナ保護基材131Aを形成する工程を実行することにより実現可能である。
【0064】
[第五実施形態]
図11は、第五実施形態に係る蓋体5を説明する断面図である。
【0065】
本実施形態に係る蓋体5は、容器の内側に対向する蓋体5の裏面における平面部分に、アンテナ11及びICチップ12を有し、ICチップ12がICチップ保護基材13により覆われている。
【0066】
また、蓋体5は、容器の内側に対向する側にシール材20を備える。蓋体5は、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13を蓋体5とシール材20との間に有する。
【0067】
本実施形態においては、蓋体5は、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13が容器内側に対向する蓋体5の表面(すなわち、蓋体5の裏面側)における平面部分に設けられている。
【0068】
シール材20は、発泡樹脂等の緩衝性のある材料から形成されており、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13と容器の内容物とが接触しないようにするとともに蓋本体10と容器の口部分との密封性を高めるために配置されている。
【0069】
蓋体5は、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13が容器の内側に対向する蓋体5の裏面側に設けられているため、蓋本体10の外側表面に設けられている場合よりも、ICチップ12及びアンテナ11を保護する機能が高められる。
【0070】
また、蓋本体10と容器との間には、シール材20が設けられているため、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13と容器の内容物とが接触しない。
【0071】
なお、蓋体5は、裏面側に蓋体1の製造方法と同じ方法でアンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13を形成することができる。
【0072】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0073】
本実施形態に係る蓋体1を適用可能な容器の材質は、PET樹脂に限定されない。一般的に、容器としての使用に適用可能な他の樹脂であれば適用可能である。
【0074】
本実施形態では、蓋体1において、アンテナ11は、導電性インキにより蓋本体10の平面部分にループ状のパターンとして印刷されていると説明した。しかし、アンテナ11は、ユーザによる開封動作の妨げにならない場所であれば、蓋体1の曲面部分に印刷されていてもよい。
【0075】
本実施形態では、ICチップ12は、UV硬化ACP14によって、アンテナ11に電気的及び機械的に固着されていると説明した。しかし、アンテナ11とICチップ12とは、電気的な接続が保持できればよく、ICチップ12は、例えば、はんだ等を用いてアンテナ11に実装された後、導電性フィラーを含まない第一紫外線硬化樹脂によってアンテナ11に物理的に固定されてもよい。
【0076】
本実施形態においては、アンテナ11は、ループ状のアンテナパターンのほか、ループ部、メアンダ及びキャパシタハットを有するダイポールアンテナであってもよい。また、アンテナ11は、コイル状のアンテナパターンであってもよい。
【0077】
ICチップ12は、LED等が搭載された半導体パッケージであってもよい。
【0078】
図5に示したUVランプ101と、図7に示したUVランプ102とは同じものを使用できる。また、UV硬化ACP14の上にICチップ12を実装した後、続いて、UV硬化樹脂15を塗工し、その後に、1回の紫外線照射により、UV硬化ACP14とUV硬化樹脂15とを硬化させてもよい。
【0079】
本実施形態において、第二紫外線硬化樹脂によってICチップ12を覆う工程は、ICチップ12を実装する工程よりも後であればよい。
【0080】
また、第三紫外線硬化樹脂によって、アンテナ11を覆う工程は、アンテナ11が印刷された後であればよい。
【0081】
また、蓋体5に備えられたシール材20は、蓋体1から蓋体4に設けられていてもよい。
【0082】
本実施形態において、蓋体1がペットボトル容器の蓋体である場合について説明したが、蓋体1は、この限りではない。例えば、上蓋と本体部とがヒンジにより一体化されたヒンジキャップ、フォーマー容器のノズルキャップ、計量機能を有する計量キャップであってもよい。また、有底円筒形状又は有底矩形筒状の封止容器の蓋体であっても適用可能である。
【0083】
図12は、その他の実施形態として示す蓋体6の断面図である。
【0084】
第五実施形態では、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13が蓋体5とシール材20との間に形成された場合であって、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13が容器内側に対向する蓋体5の表面(すなわち、蓋体5の裏面側)における平面部分に設けられた場合を説明した。
【0085】
一方、図12に示すように、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13が蓋体5とシール材20との間に形成された場合であって、アンテナ11,ICチップ12及びICチップ保護基材13がシール材20の蓋体側の表面に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1,2,3,4,5,6 蓋体
10 蓋本体
11 アンテナ
12 ICチップ
13,13A ICチップ保護基材
14 紫外線硬化異方導電性樹脂(UV硬化ACP)
15 紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)
20 シール材
101,102 UVランプ
131,131A アンテナ保護基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12