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  • 特開-蓄冷剤収容構造および容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107562
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】蓄冷剤収容構造および容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20230727BHJP
   B65D 81/18 20060101ALN20230727BHJP
【FI】
B65D81/38 N
B65D81/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008820
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】葛谷 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067BA05A
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB17A
3E067CA18
3E067EB17
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA02
(57)【要約】
【課題】結露水による悪影響を防止する。
【解決手段】蓄冷剤収容構造30は、蓄冷剤RAを収容する収容部32と、収容部32の下側に設けられた結露水貯留部34とを備えている。結露水貯留部34の底面が、収容部32の底面と間隔をあけて収容部32の底面を覆っている。結露水貯留部34は、該結露水貯留部34の底面よりも高い位置に、外部に通じる開口34aを有している。結露水貯留部34の底面が、防水性を有するシートで構成されている。
【選択図】図7


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄冷剤を収容する収容部と、
前記収容部の下側に設けられた結露水貯留部と、を備えている
ことを特徴とする蓄冷剤収容構造。
【請求項2】
前記結露水貯留部の底面が、前記収容部の底面と間隔をあけて該収容部の底面を覆っている請求項1記載の蓄冷剤収容構造。
【請求項3】
前記結露水貯留部は、該結露水貯留部の底面よりも高い位置に、外部に通じる開口を有している請求項1または2記載の蓄冷剤収容構造。
【請求項4】
前記結露水貯留部の底面が、防水性を有するシートで構成されている請求項1~3の何れか一項に記載の蓄冷剤収容構造。
【請求項5】
前記結露水貯留部が、前記収容部の側面に接続され、
前記結露水貯留部における前記収容部への接続部位よりも上側部分が、前記収容部の側面から張り出している請求項1~4の何れか一項に記載の蓄冷剤収容構造。
【請求項6】
前記収容部が、容器の天面部に設けられ、
前記収容部は、横向きに開口する蓄冷剤出し入れ口を備えている請求項1~5の何れか一項に記載の蓄冷剤収容構造。
【請求項7】
吸水体が、前記結露水貯留部に設けられている請求項1~6の何れか一項に記載の蓄冷剤収容構造。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の蓄冷剤収容構造を備えている容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄冷剤を収容する蓄冷剤収容構造および容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内部に収納した物品を冷却状態で保つ保冷容器において、蓄冷剤を保持部材で保持している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の保持部材は、両端が開口する筒状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造であると、蓄冷剤の表面または保持部材の表面に生じた結露水が、容器に収納した物品に垂れるなど、保持部材の周辺に悪影響を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、蓄冷剤によって生じる結露水に起因する周囲への悪影響を防止できる蓄冷剤収容保持構造および容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る蓄冷剤収容構造は、
蓄冷剤を収容する収容部と、
前記収容部の下側に設けられた結露水貯留部と、を備えていることを要旨とする。
【0007】
本開示に係る容器は、本開示の蓄冷剤収容構造を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る蓄冷剤収容構造によれば、蓄冷剤によって生じる結露水に起因する周囲への悪影響を防止できる。
本発明に係る容器によれば、蓄冷剤によって生じる結露水に起因する周囲への悪影響を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る蓄冷剤収容構造を備えた容器を示す正面図である。なお、容器の前面部を閉じている。
図2】実施例の蓄冷剤収容構造を示す正面図である。蓄冷剤出し入れ口を開いた状態を示す。
図3】実施例の蓄冷剤収容構造を示す正面図である。蓄冷剤出し入れ口を閉じた状態を示す。
図4】実施例の蓄冷剤収容構造を示す側面図である。蓄冷剤出し入れ口を開いた状態を示す。
図5】実施例の蓄冷剤収容構造を示す側面図である。蓄冷剤出し入れ口を閉じた状態を示す。
図6】実施例の蓄冷剤収容構造を示す断面図である。蓄冷剤出し入れ口を開いた状態を示す。
図7】実施例の蓄冷剤収容構造を示す断面図である。蓄冷剤出し入れ口を閉じた状態を示す。
図8】実施例の蓄冷剤収容構造の一部を示す斜視図である。
図9】実施例の収容部の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る蓄冷剤収容構造および容器につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0011】
図1に示すように、実施例に係る蓄冷剤収容構造30を備える容器10は、箱状である。容器10は、天井を構成する天面部12と、底面を構成する底面部14と、前面を構成する前面部16と、後面を構成する後面部18と、左右の側面を構成する側面部20,20とを備えている。容器10の各部が、断熱構造になっている。容器10の各部は、例えば、塩化ビニル等にアルミ等を積層した遮熱シートや、ポリスチレンフォームや硬質ポリウレタンフォームなどの発泡体などの断熱性がよい材料を、単独または組み合わせて構成される。容器10は、前面部16が開閉可能である。容器10は、前面部16を開放して、物品が出し入れされる。容器10は、蓄冷剤収容構造30に収容した蓄冷剤RAによって、内部が冷却される。容器10は、箱状の使用形態から折り畳んでコンパクトにまとめることができる。なお、実施例の容器10は、搬送台車CAに設置して用いられるものを例示している。
【0012】
図1図7に示すように、実施例の蓄冷剤収容構造30は、容器10の天面部12に設けられている。蓄冷剤収容構造30は、蓄冷剤RAを収容する収容部32と、収容部32の下側に設けられた結露水貯留部34とを備えている。
【0013】
図2図3に示すように、収容部32は、蓄冷剤RAを出し入れ可能な蓄冷剤出し入れ口32aを有している。実施例において、蓄冷剤出し入れ口32aは、横向きに開口している。収容部32は、収容部シートS1で構成されている。実施例の収容部32は、収容部シートS1の縁を天面部12に接続して袋状になっている。収容部シートS1は、例えば、塩化ビニルなどの樹脂シートなどを使用できる。実施例の収容部シートS1は、可撓性を有している。
【0014】
図4図5に示すように、収容部32は、蓄冷剤出し入れ口32aを開閉する開閉手段を有している。開閉手段は、開閉部36と、開閉部36を着脱可能に保持する保持部38とを有している。開閉部36は、収容部32における蓄冷剤出し入れ口32aの下部から延びる帯状である。開閉部36は、保持部38の面ファスナーに着脱する面ファスナーを備えている。開閉部36を保持部38に取り付けることで、開閉部36が蓄熱剤出し入れ口32aを上下に横切る。このとき、開閉部36で蓄冷剤RAの出し入れが規制される。また、開閉部36を保持部38に取り付けることで、収容部32における蓄冷剤出し入れ口32aの下部を持ち上げ可能である。これによって、蓄冷剤出し入れ口32aの上下寸法を縮めて、蓄冷剤RAの出し入れを規制できる。
【0015】
図8および図9に示すように、収容部32における蓄冷剤出し入れ口32aと反対側が、1枚の収容部シートS1を折り畳んで角部が形成されている。収容部32は、収容部32の後面内側に重なるように折り畳み部44を形成することで、底面から側面および後面を立ち上げて、1枚の収容部シートS1が連なる角部を形成している。このようにすることで、収容部32の角部の密閉性を向上することができる。また、収容部シートS1のカットなどの手間を省くことができる。
【0016】
図6図7に示すように、結露水貯留部34の底面が、収容部32の底面を覆っている。また、結露水貯留部34の底面が、収容部32の底面との間に間隔をあけて配置されている。収容部32の底面と結露水貯留部34の底面との間に、空間が形成されている。結露水貯留部34は、貯留部シートS2で構成されている。実施例の結露水貯留部34は、貯留部シートS2の縁を収容部32に接続して袋状になっている。結露水貯留部34の底面を、防水性を有する貯留部シートS2で構成するとよい。すなわち、実施例の結露水貯留部34の底面は、水を通さず、吸水しない。なお、実施例の結露水貯留部34は、1枚の貯留部シートS2で構成されている。また、貯留部シートS2は、通気性がないまたは通気性が低いとよい。貯留部シートS2は、例えば、塩化ビニルなどの樹脂シートなどを使用できる。実施例の貯留部シートS2は、可撓性を有している。
【0017】
図6図7に示すように、結露水貯留部34は、該結露水貯留部34の底面よりも高い位置に、開口34aを有している。結露水貯留部34で囲われた空間が、開口34aを介して外部に通じている。実施例の結露水貯留部34は、貯留部シートS2における開口34a付近を、糸で縫合している。これにより、結露水貯留部34における開口34a付近の上下寸法を縮めて、開口34aの位置を持ち上げている。
【0018】
図6図7に示すように、吸水体40が、結露水貯留部34に設けられている。吸水体40は、布や不織布などの繊維体や、ポリウレタンフォームなどの発泡体などを、単独または組み合わせて使用できる。
【0019】
図2および図3に示すように、結露水貯留部34の上部が、収容部32の側面に接続されている。結露水貯留部34における収容部32への接続部位よりも上側部分42が、収容部32の側面から張り出している。
【0020】
図8に示すように、結露水貯留部34は、収容部32の後面外側に重ねて設けられている。実施例では、貯留部シートS2の後縁部を収容部32の後面の内側に折り返すと共に、折り畳み部44と収容部32の後面との間に、貯留部シートS2の側縁部を折り返して縫製している。結露水貯留部34は、収容部32の後面を覆う部分と収容部32の底面を覆う部分の空間が繋がっている。実施例において、結露水貯留部34の後面と収容部32の後面との間が、結露水貯留部34の底面と収容部32の底面との間よりも狭くなっている。
【0021】
収容部32に収容された蓄冷剤RAによって、収容部32自体が冷却される。特に、蓄冷剤RAが載っている収容部32の底面が冷却される。このため、収容部32の外面に結露が生じることがある。実施例の蓄冷剤収容構造30によれば、収容部32の下側に結露水貯留部34があるので、収容部32から滴下した結露水を、結露水貯留部34で受け止めて、貯めることができる。従って、蓄冷剤収容構造30を備えた容器10において、容器10に収容した物品に対する結露水の付着を回避でき、結露水による汚損などの悪影響を防止できる。特に、天面部12に設けられた蓄冷剤収容構造30であると、容器10に収容した物品の上側に配置されるので、結露水対策の効果が大きい。
【0022】
結露水貯留部34の底面が、収容部32の底面と間隔をあけて、収容部32の底面を覆っている。これにより、収容部32の底面と結露水貯留部34の底面との間に、空間が形成される。この空間によって、断熱を図ることができ、結露水貯留部34の底面に結露が生じることを防止できる。
【0023】
結露水貯留部34は、該結露水貯留部34の底面よりも高い位置に、外部に通じる開口34aを有している。これにより、結露水貯留部34に受け止めた結露水が、開口34aから流出することを防止できる。また、開口34aを有していることで、結露水貯留部34の清掃や、吸水体40の出し入れが可能である。
【0024】
結露水貯留部34の底面が、防水性を有する貯留部シートS2で構成されている。これにより、結露水貯留部34に受け止めた結露水の流出を防止できる。また、吸水体40を結露水貯留部34に設けることで、結露水貯留部34で受けた結露水を、吸水体40に吸い取って保持できる。これによっても、結露水貯留部34に受け止めた結露水の流出を防止できる。
【0025】
結露水貯留部34(貯留部シートS2)における収容部32への接続部位よりも上側部分42が、収容部32の側面から張り出している。仮に、結露が収容部32の側面に生じたとしても、結露水貯留部34の上側部分42で結露水を受け止めることができる。これにより、容器10に収容した物品に対する結露水の滴下を回避でき、結露水による汚損などの悪影響を防止できる。仮に、結露が収容部32の後面に生じたとしても、収容部32の後面を覆って結露水貯留部34が設けられているので、結露水を受け止めることができる。これにより、容器10に収容した物品に対する結露水の滴下を回避でき、結露水による汚損などの悪影響を防止できる。
【0026】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例および以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)結露水貯留部を、収容部の底面だけ覆うように設けてもよい。また、結露水貯留部を、収容部の全体を覆うように設けてもよく、収容部の一部を覆うように設けてもよい。
(2)結露水貯留部を、収容部と一体的に設ける構成に限らず、収容部と別体に設けてもよい。
(3)結露水貯留部を、1枚のシートで構成することに限らず、複数枚のシートを組み合わせて構成してもよい。
(4)結露水貯留部を、シートで構成することに限らず、金属や樹脂等の板材などで構成してもよい。
(5)結露水貯留部を、防水性を有する材料で構成することに限らず、例えば、吸水性を有する材料で構成してもよい。
(6)蓄冷剤収容構造を、容器の天面部以外に設けてもよい。例えば、容器の後面部や側面部などに設けることができる。なお、容器の後面部や側面部に蓄冷剤収容構造を設ける場合、蓄冷剤出し入れ口や結露水貯留部の開口を上向きにするとよい。
(7)蓄冷剤収容構造は、容器に縫合や接着などにより一体的に設けてもよく、面ファスナーやその他の取り付け手段によって着脱可能な別体であってもよい。
(8)開閉手段は、面ファスナーに限らず、磁石の組み合わせや、磁石と金属片との組み合わせや、スナップボタンや、その他の手段を用いてもよい。
(9)吸水体を省略してもよい。吸収体が、結露水貯留部と別体であっても、一体であっても何れでもよい。なお、結露水貯留部が吸水性を有していてもよい。
(10)容器は、搬送台車に設置されるタイプに限らず、物品を冷却状態で保つ容器全般に適用可能である。
(11)容器は、箱状に限らず、袋状やカバー状であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
10 容器,12 天面部,30 蓄冷剤収容構造,32 収容部,
32a 蓄冷剤出し入れ口,34 結露水貯留部,34a 開口,40 吸水体,
42 上側部分,RA 蓄冷剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9