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特開2023-107567画像補正装置、画像補正方法、および遠隔操作システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107567
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】画像補正装置、画像補正方法、および遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20230727BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008826
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 幸紀
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003BA04
2D003DA04
2D003DB00
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB00
(57)【要約】
【課題】操作性の低下を抑える。
【解決手段】画像補正装置は、遠隔操作される作業機械が備える撮像装置が撮像した画像を取得する画像取得部と、前記作業機械の振動を示す振動情報を取得する振動情報取得部と、前記作業機械の旋回体が旋回中であることを検出する旋回検出部と、前記振動情報に基づいて前記画像のブレ補正を行うとともに、前記旋回中には前記画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とするブレ補正部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作される作業機械が備える撮像装置が撮像した画像を取得する画像取得部と
前記作業機械の振動を示す振動情報を取得する振動情報取得部と
前記作業機械の旋回体が旋回中であることを検出する旋回検出部と
前記振動情報に基づいて前記画像のブレ補正を行うとともに、前記旋回中には前記画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とするブレ補正部と
を備える画像補正装置。
【請求項2】
前記ブレ補正部は、前記旋回中ではない場合に、ヨー軸方向のブレ補正を有効とする、
請求項1に記載の画像補正装置。
【請求項3】
前記作業機械の旋回速度を示す旋回速度情報を取得する速度情報取得部をさらに備え、
前記旋回検出部は、前記旋回速度情報に基づいて、前記旋回中であることを検出する
請求項1または2に記載の画像補正装置。
【請求項4】
前記旋回検出部は、前記旋回速度が閾値以上の場合に、前記旋回中であることを検出する、
請求項3に記載の画像補正装置。
【請求項5】
前記作業機械が備える操作部の旋回に係る操作量を取得する操作量取得部を備え、
前記旋回検出部は、前記操作量に基づいて、前記旋回中であることを検出する
請求項1または2に記載の画像補正装置。
【請求項6】
遠隔操作される作業機械が備える撮像装置が撮像した画像を取得する画像取得部と
前記作業機械の振動を示す振動情報を取得する振動情報取得部と
前記振動情報に基づいて前記画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とするブレ補正部と
を備える画像補正装置。
【請求項7】
遠隔操作される作業機械が備える撮像装置が撮像した画像を取得するステップと
前記作業機械の振動を示す振動情報を取得するステップと
前記作業機械の旋回体が旋回中であることを検出するステップと
前記振動情報に基づいて前記画像のブレ補正を行うとともに、前記旋回中には前記画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とするステップと
を実行する画像補正方法。
【請求項8】
遠隔操作される作業機械が備える撮像装置が撮像した画像を取得する画像取得部と
前記作業機械の振動を示す振動情報を取得する振動情報取得部と
前記作業機械の旋回体が旋回中であることを検出する旋回検出部と
前記振動情報に基づいて前記画像のブレ補正を行うとともに、前記旋回中には前記画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とするブレ補正部と
を備える遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像補正装置、画像補正方法、および遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、作業機械を遠隔操作する技術が知られている。特許文献1によれば、作業具(バケット)の位置の情報と、作業対象までの距離の情報から得られた作業対象の位置の情報とを用いて、作業具に対応する部分の画像を生成して表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-160741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠隔操作においては操作室のオペレータが画像を見て操作を行うが、車体に固定されたカメラが振動することで画像が揺れ、オペレータの酔いを引き起こす可能性があるため、画像のブレ補正が行うことが考えられる。しかし、その場合は、ブレ補正を行うことで、本来動いて見えるはずの画像が、その場に留まって見えるように表示されてしまうことがある。これにより、オペレータの操作性が低下してしまうことがある。
本開示は、操作性の低下を抑えることができる画像補正装置、画像補正方法、および遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、画像補正装置は、遠隔操作される作業機械が備える撮像装置が撮像した画像を取得する画像取得部と、前記作業機械の振動を示す振動情報を取得する振動情報取得部と、前記作業機械の旋回体が旋回中であることを検出する旋回検出部と、前記振動情報に基づいて前記画像のブレ補正を行うとともに、前記旋回中には前記画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とするブレ補正部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、画像補正装置は、操作性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る遠隔操作システムの構成を示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る作業機械の外観図である。
図3】第1の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る遠隔操作装置が行う表示制御方法を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
図6】第2の実施形態に係る遠隔操作装置が行う表示制御方法を示すフローチャートである。
図7】第4の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
図8】第4の実施形態に係る作業機械が行う撮像画像の出力方法を示すフローチャートである。
図9】第5の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
図10】第5の実施形態に係る作業機械が行う撮像画像の出力方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《システム》
図1は、第1の実施形態に係る遠隔操作システムの構成を示す概略図である。
遠隔操作システム1は、遠隔操作によって動作する作業機械100と、遠隔操作装置500とを備える。作業機械100は、作業現場(例えば、鉱山、採石場)に設けられる。遠隔操作装置500は、作業現場または作業現場から離れた地点(例えば、市街、作業現場内)の遠隔操作室に設けられる。作業機械100と遠隔操作装置500とは、インターネットなどのネットワークを介して接続される。
遠隔操作システム1は、遠隔操作装置500を用いて作業機械100を操作するためのシステムである。
【0009】
作業機械100は、遠隔操作装置500から受信する操作信号に従って動作する。
遠隔操作室の操作装置530のレバーやペダルがオペレータによって操作されることにより、作業機、旋回、走行操作などの操作信号が生成される。生成された操作信号は、作業機械100に送信される。
【0010】
《作業機械》
図2は、第1の実施形態に係る作業機械の外観図である。
第1の実施形態に係る作業機械100は、油圧ショベルである。なお、作業機械100は、油圧ショベル以外の例えばホイールローダ、ブルドーザ等の作業機械であってもよい。作業機械100は、油圧により作動する作業機110と、作業機110を支持する旋回体120と、旋回体120を支持する走行体130とを備える。走行体130は、例えば、履帯である。
【0011】
旋回体120には、運転室121が備えられる。運転室121の上部には、撮像装置122が設けられる。撮像装置122は、運転室121内の前方かつ上方に設置される。撮像装置122は、運転室121前面のフロントガラスを通して、運転室121の前方の画像(例えば、動画像)を撮像する。撮像装置122の例としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ、およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いた撮像装置が挙げられる。なお、撮像装置122は、必ずしも運転室121に設けられなくてもよく、撮像装置122は少なくとも旋回体120の作業対象と作業機110とを撮像可能な位置に設けられていればよい。例えば、撮像装置122は、運転室121の外に設けられていてもよく、例えば、旋回体に設けられていてもよい。また、撮像装置122は、作業機械100の外に設けられていてもよく、すなわち、作業機械100とは別の場所に設けられていてもよい。
【0012】
作業機械100は、撮像装置122、旋回速度センサ123、振動センサ124、制御装置125を備える。
【0013】
旋回速度センサ123は、旋回体120が旋回する際の回転速度を検出する。例えば、旋回速度センサ123はロータリエンコーダであってよい。
振動センサ124は、旋回体120の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の動作(例えば、ロール角、ピッチ角、ヨー角)を示す振動情報を検出する。振動センサ124は、撮像装置122との相対的な位置関係が固定されているものとする。振動センサ124は、例えば運転室121の下面に設置される。振動センサ124は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いることができる。ロール角は、旋回体の前後方向の軸周りの角度を示す。ピッチ角は、旋回体の左右方向の軸周りの角度を示す。ヨー角は、旋回体の上下方向の軸周りの角度を示す。なお、振動情報は、ロール角、ピッチ角、ヨー角などを用いずに、IMUの加速度や角速度から求めることも可能である。また、振動センサ124は、旋回体120以外(例えば、作業機110など)に配置されていてもよい。
【0014】
制御装置125は、通信部126(図3参照)を介して、遠隔操作装置500から操作信号を受信する。制御装置125は、受信した操作信号に従って、作業機110、旋回体120、または走行体130を駆動させる。
【0015】
《遠隔操作装置》
遠隔操作装置500は、図1に示すように、運転席510、表示装置520、操作装置530、制御装置540を備える。
表示装置520は、運転席510の前方に配置される。表示装置520は、オペレータが運転席510に座ったときにオペレータの眼前に位置する。表示装置520は、図1に示すように、並べられたディスプレイ521、ディスプレイ522、ディスプレイ523、ディスプレイ524、ディスプレイ525によって構成される。なお、表示装置520を構成するディスプレイの数はこれに限られない。例えば、表示装置520は、図1に示すように、並べられた複数のディスプレイによって構成されてもよいし、1つの大きなディスプレイによって構成されてもよい。また、表示装置520は、プロジェクタ等によって曲面や球面に画像を投影するものであってもよい。
【0016】
操作装置530は、運転席510の近傍に配置される。操作装置530は、オペレータが運転席510に座ったときにオペレータの操作可能な範囲内に位置する。操作装置530は、旋回体120を旋回させるための旋回レバーを含む。操作装置530は、例えば電気式レバーおよび電気式ペダルを備える。
【0017】
制御装置540は、画像補正装置の一例である。制御装置540は、作業機械100から受信した画像を表示装置520に表示させ、操作装置530の操作を表す操作信号を作業機械100に送信する。
【0018】
図3は、第1の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
作業機械100の制御装置125は、プロセッサ1250、メインメモリ1257、ストレージ1258、画像符号化装置1259を備えるコンピュータである。ストレージ1258は、プログラムQを記憶する。プロセッサ1250は、プログラムQをストレージ1258から読み出してメインメモリ1257に展開し、プログラムQに従った処理を実行する。制御装置125は、通信部126を介してネットワークに接続される。画像符号化装置1259は、撮像装置122が撮像した画像を符号化(圧縮)する。なお、画像符号化装置1259は、制御装置125と別個に設けられたものであってもよい。
【0019】
制御装置125は、符号化された画像情報と、旋回速度センサ123が検出した旋回体120の旋回速度情報と、振動センサ124が計測した振動情報とを関連付ける。これにより、各情報は、同期される。制御装置125は、関連付けた情報を遠隔操作装置500に送信する。
【0020】
遠隔操作装置500の制御装置540は、プロセッサ5100、メインメモリ5200、ストレージ5300、画像復号装置5400、受信部5500を備えるコンピュータである。ストレージ5300は、プログラムPを記憶する。プロセッサ5100は、プログラムPをストレージ5300から読み出してメインメモリ5200に展開し、プログラムPに従った処理を実行する。制御装置540は、通信部550を介してネットワークに接続される。受信部5500は、通信部550を介して、それぞれ関連付けられている、画像情報と、旋回速度情報と、振動情報とを受信する。画像復号装置5400は、符号化された画像を復号する。なお、画像復号装置5400は、制御装置540と別個に設けられたものであってもよい。
【0021】
ストレージ5300は、記憶領域を有する。ストレージ5300の例としては、HDD、SSD、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ5300は、制御装置540の共通通信線に直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェースを介して制御装置540に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ5300は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0022】
プロセッサ5100は、プログラムPの実行により、画像取得部5101、振動情報取得部5102、ブレ補正部5103、速度情報取得部5104、旋回検出部5105、および表示制御部5106を備える。
【0023】
画像取得部5101は、画像復号装置5400によって復号された画像を取得する。なお、画像取得部5101が取得する画像は、作業機械100の撮像装置122が取得し、制御装置125で符号化され、画像復号装置5400で復号された画像である。
【0024】
表示制御部5106は、画像取得部5101によって取得された画像を表示装置520に表示させる。
【0025】
振動情報取得部5102は、作業機械100の振動情報を取得する。振動情報は、振動センサ124によって検出される。
【0026】
ブレ補正部5103は、遠隔操作に伴うオペレータの酔いを防止するために、表示装置520に表示される画像のブレ補正を行う。具体的には、ブレ補正部5103は、振動情報取得部5102によって取得された振動情報に応じて、画像取得部5101が受信した画像のブレ補正を行う。ブレ補正部5103は、ロール軸方向、ピッチ軸方向、ヨー軸方向のそれぞれについて、ブレ補正を行う。ここで、振動情報に基づくブレ補正について詳述する。例えば、ブレ補正部5103は、高速フレームレートでの連続撮影することによって得られた複数の撮像画像のそれぞれ(毎フレーム)に対して、水平移動及び回転を加えることで、補正を行う。
【0027】
具体的には、ブレ補正部5103は、予めヨー角とX軸方向のシフト量との関係を示す関数にヨー角を代入することで、ヨー軸方向のブレを補正する。なお、X軸方向とは、撮像画像が表示される画面の水平方向であり、撮像画像のブレ方向のひとつである。ヨー角とX軸方向のシフト量との関係を示す関数は、例えば正接関数で表されてよい。また、ブレ補正部5103は、予めピッチ角とY軸方向のシフト量との関係を示す関数にピッチ角を代入することで、ピッチ軸方向のブレを補正する。なお、Y軸方向とは、撮像画像が表示される画面の上下方向であり、撮像画像の他のブレ方向のひとつである。ピッチ角とY軸方向のシフト量との関係を示す関数は、例えば正接関数で表されてよい。ブレ補正部5103は、撮像画像を算出した補正量だけX軸方向およびY軸方向にシフトさせる。そして、ブレ補正部5103は、予めロール角とX軸方向のシフト量との関係を示す関数及び、ロール角とY軸方向のシフト量との関係を示す関数にロール角を代入することで、ロール軸方向のブレを補正する。ブレ補正部5130は、3軸のブレ補正を行う。なお、ブレ補正部5130は、ヨー角、ピッチ角、ロール角のうち、いずれかひとつ、あるいは、それらの組み合わせによるブレ補正を行ってもよい。例えば、ブレ補正部5130は、ヨー角のブレ補正のみのブレ補正を行ってもよいし、好ましくは、ピッチ角とヨー角のブレ補正を行うことがよい。
【0028】
速度情報取得部5104は、作業機械100の旋回速度を示す旋回速度情報を取得する。速度情報取得部5104は、旋回速度センサ123の検出結果に基づいて、旋回速度情報を取得する。
【0029】
旋回検出部5105は、作業機械100が旋回中であることを検出する。旋回検出部5105は、速度情報取得部5104によって取得された旋回速度情報に基づいて、旋回中であることを検出する。例えば、掘削など旋回操作を伴わない作業機による作業によって旋回速度情報が取得された場合には、旋回中であるとみなさないようにするため、旋回検出部5105は、旋回速度が閾値未満の場合に、旋回中であることを検出しないようにすることが好ましい。また、積込など作業機の操作と旋回の操作とが同時に操作される複合操作などの場合において、旋回速度が低速となるように操作する場合がある。このような場合には、操作性の低下を抑制するために、旋回中であることを検出しないようにすることが好ましい。このため、旋回検出部5105は、旋回速度が予め設定される閾値以上の場合に、旋回中であることを検出する。また、旋回検出部5105は、レバー操作量が所定の操作量以上の時に旋回速度が閾値以上であるとみなして、旋回中であることを検出してもよい。
【0030】
ブレ補正部5103は、掘削等の作業機の操作や走行時や、旋回とはみなされない複合操作など、旋回以外の操作においては、3軸のブレ補正を行う。一方で、ブレ補正部5103は、作業機械100の旋回中に、画像取得部5101が受信した画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とする。ヨー軸方向についてブレ補正を無効とするとは、例えば、ヨー軸方向について、ブレ補正を行わない(実行しない)ことや、ブレ補正を禁止することや、ブレ補正を無効化することを含む。本実施形態において、ブレ補正部5103は、ヨー角としてゼロを代入することで、ヨー軸方向のブレ補正がなされないようにすることができる。
【0031】
ブレ補正部5103は、作業機械100の旋回中ではない場合に、ヨー軸方向のブレ補正を有効とする。ヨー軸方向のブレ補正を有効とするとは、例えば、ヨー軸方向について、ブレ補正を行う(実行する)ことや、ブレ補正の禁止を行わないことや、ブレ補正の無効化を行わないことを含む。ブレ補正部5103は、作業機の操作と旋回の操作が同時に操作される複合操作など、作業機の操作が含まれる場合には、ヨー軸のブレ補正を有効とし、ヨー軸のブレ補正を含むように実行するようにしてもよい。
【0032】
《方法》
ここで、第1の実施形態に係る遠隔操作装置500が行う撮像画像の表示制御方法について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る遠隔操作装置が行う表示制御方法を示すフローチャートである。
制御装置540は、制御装置540の画像取得部5101は、画像情報を取得する(ステップS1)。そして、振動情報取得部5102は、振動情報を取得する(ステップS2)。次に、速度情報取得部5104は、作業機械100の旋回速度を示す旋回速度情報を取得する(ステップS3)。なお、ステップS1~ステップS3において取得される各情報は、関連付けられている。
【0033】
そして、旋回検出部5105は、旋回速度情報が示す旋回速度が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS4)。旋回速度が閾値以上ではない場合(ステップS4:NO)、ブレ補正部5103は、3軸のブレ補正を行い(ステップS5)、ステップS7に進む。
【0034】
一方、旋回速度が閾値以上である場合(ステップS4:YES)、ブレ補正部5103は、ピッチ軸方向、ロール軸方向の2軸のブレ補正を行う(ステップS6)。そして、表示制御部5106は、ブレ補正が行われた画像を表示装置520に表示し(ステップS7)、図4に示す処理を終了する。
【0035】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、作業機械100の振動情報に基づいて、撮像装置122が撮像した画像のブレ補正を行う制御装置540が、作業機械100の旋回中には、当該画像のヨー軸方向についてブレ補正を無効とし、ブレ補正を行わないようにする。これにより、旋回時に本来動いて見えるはずの画像が、その場に留まって見えるように表示されることを抑えることができる。したがって、旋回時におけるオペレータの違和感を抑えることができ、オペレータの操作性が低下することを抑えることができる。また、旋回中ではない場合には、3軸方向についてブレ補正をおこなうため、作業機械100の振動によるブレを除去することができる。したがって、掘削や排土など旋回を伴わない作業時におけるオペレータの酔いを抑制することができる。
【0036】
また、第1の実施形態によれば、制御装置540は、旋回中ではない場合に、ヨー軸方向のブレ補正を有効とする。これにより、旋回中ではない場合には、3軸方向についてブレ補正をおこなうことができるため、作業機械100の振動によるブレを除去することができる。したがって、掘削や排土など旋回を伴わない作業時におけるオペレータの酔いを抑制することができる。
【0037】
また、第1の実施形態によれば、制御装置540は、作業機械100の旋回速度を示す旋回速度情報に基づいて、旋回中であることを検出する。これにより、作業機械100が旋回中であるか否かを簡単かつ正確に検出することができる。
【0038】
また、第1の実施形態によれば、制御装置540は、旋回速度が閾値以上の場合に、旋回中であることを検出する。これにより、掘削などの旋回操作を伴わない作業によって旋回速度情報が取得された場合や、積込など作業機の操作と旋回の操作が同時に操作される複合操作などの場合において、旋回速度が低速となるように操作する場合がある。このような場合には、旋回中であるとみなさないようにすることができるため、ヨー軸方向についてもブレ補正を行うことができる。したがって、掘削や積込などの作業時の酔いを抑制することができる。
【0039】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態では、旋回検出部5105が、旋回速度情報を用いて、旋回中であることを検出する。第2の実施形態では、このような構成に加えて又は代えて、旋回検出部5105が、操作装置530の旋回に係る操作量を用いて、旋回中であることを検出することについて説明する。
【0040】
図5は、第2の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態に係る作業機械100は、第1の実施形態の構成のうち旋回速度センサ123を備えない。また、制御装置540は、第1の実施形態の構成のうち速度情報取得部5104を備えない。
操作装置530が備えるレバーは、オペレータから旋回操作を受け付ける。当該レバーは、旋回操作を受け付けると、受け付けた旋回操作が示す旋回の操作量を制御装置540に出力する。
【0041】
制御装置540は、操作量取得部5110を備える。操作量取得部5110は、操作装置530から出力された旋回の操作量を取得する。旋回検出部5105は、操作量取得部5110によって取得された操作量に基づいて、旋回中であることを検出する。例えば、掘削や積込などにおける旋回操作(微操作)によって操作量が取得された場合には、旋回中であると見なさいようにするため、旋回検出部5105は、操作量が閾値未満の場合に、旋回中であることを検出しないようにする。言い換えれば、旋回検出部5105は、操作量が閾値以上の場合に、旋回中であることを検出する。
【0042】
なお、制御装置540は、操作量取得部5110が取得した操作量を、通信部550を介して作業機械100へ送信する。遠隔操作装置500から送信された操作量は、通信部126を介して制御装置125に入力される。これにより、制御装置125は、入力された操作量に応じた角度で旋回体120を旋回させる。
【0043】
なお、操作量取得部5110は、操作装置530から出力された操作量を取得することに限らず、作業機械100が実際に旋回した際の旋回角度を取得するようにしてもよい。具体的に補足すると、作業機械100は、撮像装置122によって撮像された画像や、振動センサ124の検出結果や、実際に旋回した際の旋回角度を関連付けた情報を遠隔操作装置500へ送信すればよい。操作量取得部5110は、この関連付けられた情報の中から旋回角度を抽出して取得するようにしてもよい。
【0044】
《方法》
ここで、第2の実施形態に係る遠隔操作装置500が行う撮像画像の表示制御方法について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る遠隔操作装置が行う表示制御方法を示すフローチャートである。
制御装置540の画像取得部5101は、画像情報を取得する(ステップS11)。そして、振動情報取得部5102は、振動情報を取得する(ステップS12)。次に、操作量取得部5110は、旋回の操作量を取得する(ステップS13)。なお、ステップS11~ステップS13において取得される各情報は、関連付けられている。
【0045】
そして、旋回検出部5105は、操作量が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS14)。旋回の操作量が閾値以上ではない場合(ステップS14:NO)、ブレ補正部5103は、3軸のブレ補正を行い(ステップS15)、ステップS17に進む。
【0046】
一方、旋回の操作量が閾値以上である場合(ステップS14:YES)、ブレ補正部5103は、ヨー軸のブレ補正を禁止し、ピッチ軸、ロール軸の2軸のブレ補正を行う(ステップS16)。次に、表示制御部5106は、ブレ補正が行われた画像を表示装置520に表示し(ステップS17)、図6に示す処理を終了する。
【0047】
なお、第2の実施形態において、旋回速度が閾値以上である場合に、2軸のブレ補正を行うようにしてもよい。具体的に補足すると、第2の実施形態において、作業機械100は、旋回速度センサ123を備えればよい。また、制御装置540は、速度情報取得部5104を備えればよい。そして、ステップS14において、旋回の操作量が閾値以上ではない場合に、速度情報取得部5104が作業機械100の旋回速度が閾値以上であるか否かを判断すればよい。さらに、旋回速度が閾値以上である場合に、ブレ補正部5103は、2軸のブレ補正を行うようにすればよい。
【0048】
《作用・効果》
このように、第2の実施形態によれば、制御装置540は、旋回の操作量に基づいて、旋回中であることを検出する。これにより、旋回時におけるオペレータの違和感を抑えることができるため、オペレータの操作性が低下することを抑えることができる。また、作業機械100が旋回中であるか否かを簡単かつ正確に検出することができる。
【0049】
〈第3の実施形態〉
第1の実施形態では、旋回体120が旋回中である場合に、ヨー軸方向についてブレ補正を行わない。第3の実施形態では、旋回体120が旋回中であるか否かにかかわらず、ヨー軸方向についてブレ補正を行わない遠隔操作装置500について説明する。
【0050】
第3の実施形態において、作業機械100は、第1の実施形態の構成のうち旋回速度センサ123を備えない。また、制御装置540は、第1の実施形態の構成のうち速度情報取得部5104、および旋回検出部5105を備えない。ブレ補正部5103は、振動情報取得部5102によって取得された振動情報に応じて、画像取得部5101が受信した画像のロール軸方向およびピッチ軸方向についてブレ補正を行う。一方で、ブレ補正部5103は、当該画像のヨー軸方向について常時、ブレ補正を行わない。
【0051】
《方法》
ここで、第3の実施形態に係る遠隔操作装置500が行う撮像画像の表示制御方法について説明する。
制御装置540の画像取得部5101は、画像情報を取得する。そして、振動情報取得部5102は、振動情報を取得する。次に、ブレ補正部5103は、2軸のブレ補正を行う。次に、表示制御部5106は、ブレ補正が行われた画像を表示装置520に表示し、処理を終了する。
【0052】
《作用・効果》
このように、第3の実施形態によれば、制御装置540は、電源の起動中、常時、画像のヨー軸方向についてブレ補正を行わないようにする。これにより、簡単な制御で、旋回時に本来動いて見えるはずの画像が、その場に留まって見えるように表示されることを抑えることができる。したがって、旋回時におけるオペレータの違和感を抑えることができ、オペレータの操作性が低下することを簡単に抑えることができる。
【0053】
〈第4の実施形態〉
第1の実施形態では、遠隔操作装置500側でブレ補正を行う。第4の実施形態では、作業機械100側でブレ補正を行うことについて説明する。
【0054】
図7は、第4の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
作業機械の制御装置125は、画像補正装置の一例である。
【0055】
プロセッサ1250は、プログラムQの実行により、振動情報取得部1251、補正量演算部1252、旋回検出部1253、速度情報取得部1254、および画像出力部1255を備える。
撮像装置122は、ブレ補正部1220を備える。
【0056】
振動情報取得部1251は、振動センサ124によって検出される振動情報を取得する。
ブレ補正部1220は、振動情報取得部1251によって取得された振動情報に応じて、機械的に画像のブレ補正を行う機構を備える。ブレ補正部1220は、例えば、振動情報に応じてレンズやイメージセンサを移動させることによってブレを打ち消す光学式のものである。具体的には、ブレ補正部1220は、ヨー方向に駆動するアクチュエータとピッチ方向に駆動するアクチュエータとを備え、振動情報に応じて各アクチュエータを駆動させる。ただし、ブレ補正部1220は、光学式のものに限らず、ジンバル等の撮像装置122に外付けされる外装式のものや、受光素子から受け取った画像データに所定の計算を行って補正を施す電子式のものでもよい。電子式のブレ補正部1220は、例えば、第1の実施形態のブレ補正部5103と同様の方法でブレを補正してよい。
【0057】
補正量演算部1252は、ブレ補正部1220の補正量を演算する。補正量演算部1252は、ブレ補正部1220に生じる振動情報を補正する。具体的には、旋回時に、振動情報のうちヨー軸方向の角速度をゼロに書き換え、非旋回時には当該書き換えを行わないようにすればよい。ブレ補正部1220は、補正量演算部1252によって補正された振動情報に応じたブレ補正を行う。
【0058】
旋回検出部1253は、作業機械100が旋回中であることを検出する。速度情報取得部1254は、旋回速度センサ123の検出結果に基づいて、旋回速度を示す旋回速度情報を取得する。旋回検出部1253は、速度情報取得部1254によって取得された旋回速度情報に基づいて、旋回中であることを検出する。例えば、旋回検出部5105は、旋回速度が閾値以上の場合に、旋回中であることを検出する。
【0059】
画像出力部1255は、撮像装置122によって撮像された画像を出力する。具体的には、画像出力部1255から出力された画像は、画像符号化装置1259に入力されて、符号化される。符号化された画像は、通信部126へ出力される。通信部126は、符号化した画像を遠隔操作装置500の通信部550へ送信する。
【0060】
通信部550は、作業機械100から受信した画像を画像復号装置5400へ出力する。画像復号装置5400は、符号化された画像を復号し、画像取得部5101へ出力する。表示制御部5106は、画像取得部5101によって取得された画像を表示装置520に表示させる。
【0061】
《方法》
ここで、第4の実施形態に係る作業機械100が行う撮像画像の出力方法について説明する。
図8は、第4の実施形態に係る作業機械が行う撮像画像の出力方法を示すフローチャートである。
振動情報取得部1251は、振動情報を取得する(ステップS31)。そして、制御装置125は、振動情報をブレ補正部1220に入力する(ステップS32)。これにより、ブレ補正部1220は、ピッチ方向、ロール方向およびヨー方向の補正を行う。次に、旋回検出部1253は、速度情報取得部1254が作業機械100の旋回速度を示す旋回速度情報を取得する(ステップS33)。
【0062】
そして、旋回検出部1253は、旋回速度情報が示す旋回速度が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS34)。旋回速度が閾値以上ではない場合(ステップS34:NO)、補正量演算部1252は、ステップS37に進む。
【0063】
一方、旋回速度が閾値以上である場合(ステップS34:YES)、補正量演算部1252は、振動情報のうちヨー角の角速度をゼロに書き換える(ステップS35)。そして、制御装置125は、補正量演算部1252によって演算された振動情報をブレ補正部1220に入力する(ステップS36)。これにより、ブレ補正部1220は、ピッチ方向の補正を行い、ヨー方向の補正を行わない。次に、画像出力部1255は、撮像装置122によって撮像された画像を出力し(ステップS37)、図8に示す処理を終了する。
【0064】
《作用・効果》
このように、第4の実施形態によれば、制御装置125が、ブレ補正部1220を制御して、作業機械100の旋回中には、振動情報のうちヨー角の角速度をゼロに書き換えるようにする。これにより、旋回時に本来動いて見えるはずの画像が、その場に留まって見えるように表示されることを抑えることができる。したがって、旋回時におけるオペレータの違和感を抑えることができ、オペレータの操作性が低下することを抑えることができる。また、旋回中ではない場合には、3軸方向についてブレ補正をおこなうため、作業機械100の振動によるブレを除去することができる。したがって、掘削や積込など旋回を伴わない作業時におけるオペレータの酔いを抑制することができる。
【0065】
また、第4の実施形態によれば、制御装置125は、作業機械100の旋回速度を示す旋回速度情報に基づいて、旋回中であることを検出する。これにより、作業機械100が旋回中であるか否かを簡単かつ正確に検出することができる。
【0066】
また、第4の実施形態によれば、制御装置125は、旋回速度が閾値以上の場合に、旋回中であることを検出する。これにより、掘削や積込などにおける旋回操作によって旋回速度が取得された場合には、旋回中であると見なさいようにすることができるため、ヨー軸方向についてもブレ補正を行うことができる。したがって、掘削や積込などの作業時の酔いを抑制することができる。
【0067】
〈第5の実施形態〉
第4の実施形態では、旋回検出部1253が、旋回速度情報を用いて、旋回中であることを検出する。第5の実施形態では、このような構成に加えて又は代えて、旋回検出部1253が、操作装置530の旋回に係る操作量を用いて、旋回中であることを検出する作業機械100について説明する。
【0068】
図9は、第5の実施形態に係る遠隔システムの構成を示す概略ブロック図である。
操作装置530は、旋回操作を受け付けると、受け付けた操作量を制御装置540に出力する。制御装置540は、入力された操作量を、通信部550を介して作業機械100へ送信する。
【0069】
作業機械100の制御装置125は、第4の実施形態の構成に加えて操作量取得部1256を備える。操作量取得部1256は、通信部126が受信した操作量を取得する。旋回検出部1253は、操作量取得部1256によって取得された操作量に基づいて、旋回中であることを検出する。なお、第5の実施形態において、作業機械100は、第4の実施形態の構成のうち旋回速度センサ123を備えない。また、制御装置125は、第4の実施形態の構成のうち速度情報取得部1254を備えない。
【0070】
《方法》
ここで、第5の実施形態に係る作業機械100が行う撮像画像の出力方法について説明する。
図10は、第5の実施形態に係る作業機械が行う撮像画像の出力方法を示すフローチャートである。
振動情報取得部1251は、振動情報を取得する(ステップS41)。そして、制御装置125は、振動情報をブレ補正部1220に入力する(ステップS42)。これにより、ブレ補正部1220は、ピッチ方向、ロール方向およびヨー方向の補正を行う。次に、操作量取得部1256は、旋回の操作量を取得する(ステップS43)。
【0071】
そして、旋回検出部5105は、旋回の操作量が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS44)。旋回の操作量が閾値以上ではない場合(ステップS44:NO)、ステップS48に進む。一方、旋回の操作量が閾値以上である場合(ステップS44:YES)、補正量演算部1252は、振動情報のうちヨー角の角速度をゼロに書き換える(ステップS45)。そして、制御装置125は、補正量演算部1252によって演算された振動情報をブレ補正部1220に入力する(ステップS46)。これにより、ブレ補正部1220は、ピッチ方向の補正を行い、ヨー方向の補正を行わない。
【0072】
そして、画像出力部1255は、撮像装置122によって撮像された画像を出力し(ステップS47)、図10に示す処理を終了する。出力された画像は、通信部126、550を介して遠隔操作装置500の制御装置540に入力されて、表示装置520に表示される。
【0073】
なお、第5の実施形態において、旋回速度が閾値以上である場合に、振動情報のうちヨー角の角速度をゼロに書き換えるようにしてもよい。具体的に補足すると、第5の実施形態において、作業機械100は、旋回速度センサ123を備えればよい。また、制御装置125は、速度情報取得部1254を備えればよい。そして、ステップS34において、旋回の操作量が閾値以上ではない場合に、速度情報取得部1254が作業機械100の旋回速度が閾値以上であるか否かを判断すればよい。さらに、旋回速度が閾値以上である場合に、補正量演算部1252は、振動情報のうちヨー角の角速度をゼロに書き換えればよい。
【0074】
《作用・効果》
このように、第5の実施形態によれば、制御装置125は、旋回の操作量に基づいて、旋回中であることを検出する。これにより、旋回時におけるオペレータの違和感を抑えることができるため、オペレータの操作性が低下することを抑えることができる。また、作業機械100が旋回中であるか否かを簡単かつ正確に検出することができる。
【0075】
〈第6の実施形態〉
第4の実施形態では、旋回体120が旋回中である場合に、ヨー軸方向についてブレ補正を行わない。第6の実施形態では、旋回体120が旋回中であるか否かにかかわらず、ヨー軸方向についてブレ補正を行わない作業機械100について説明する。
【0076】
第6の実施形態において、作業機械100は、第4の実施形態のうち旋回速度センサ123を備えない。また、制御装置125は、第4の実施形態のうち旋回検出部1253、および速度情報取得部1254を備えない。補正量演算部1252は、振動情報のうちヨー軸方向の角速度を、常にゼロに書き換える。
【0077】
《方法》
ここで、第6の実施形態に係る遠隔操作装置500が行う撮像画像の表示制御方法について説明する。
振動情報取得部1251は、振動情報を取得する。そして、振動情報のうちヨー角の角速度をゼロに書き換える。次に、制御装置125は、補正量演算部1252によって演算された振動情報をブレ補正部1220に入力する。これにより、ブレ補正部1220は、ピッチ方向およびロール方向の補正を行い、ヨー方向の補正を行わない。
【0078】
そして、画像出力部1255は、撮像装置122によって撮像された画像を出力し、処理を終了する。出力された画像は、通信部126、550を介して遠隔操作装置500の制御装置540に入力されて、表示装置520に表示される。
【0079】
《作用・効果》
このように、第6の実施形態によれば、制御装置125は、常時、振動情報のうちヨー角の角速度をゼロに書き換える。これにより、簡単な制御で、旋回時に本来動いて見えるはずの画像が、その場に留まって見えるように表示されることを抑えることができる。したがって、旋回時におけるオペレータの違和感を抑えることができ、オペレータの操作性が低下することを簡単に抑えることができる。
【0080】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、ブレ補正部は3軸のブレ補正をするものであったが、ヨー方向とピッチ方向の2軸のブレ補正を行うものでもよく、2軸のブレ補正において、旋回中はヨー方向のブレ補正を実行しないようにするものでもよい。他の実施形態として、油圧駆動系を使用する車両では、油圧アクチュエータの圧力変動により振動を検出することができる。具体的には、油圧シリンダと油圧モータの圧力変動などをモニタリングすることによって、振動を検出することができる。
【0081】
上述した実施形態に係る制御装置540および制御装置125においては、プログラムP、Qがそれぞれストレージ5300、1258に格納される場合について説明したが、これに限られない。例えば、プログラムP、Qがそれぞれ通信回線によって制御装置125や制御装置540に配信されるものであってもよい。この場合、配信を受けた制御装置125や制御装置540がプログラムP、Qをそれぞれメインメモリ5200、1257に展開し、上記処理を実行する。
【0082】
また、プログラムP、Qは、それぞれ上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムP、Qは、それぞれ上述した機能をストレージ5300、1258に記憶されている他のプログラムP、Qとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムP、Qとの組み合わせで実現するものであってもよい。
【0083】
また、制御装置125および制御装置540は、それぞれ上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ5100、1250によって実現される機能の一部がそれぞれ当該PLDによって実現されてよい。
【0084】
また、制御装置125および制御装置540は、それぞれ複数のプロセッサ5100、1250を備えていてもよいし、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0085】
また、上述した説明では、制御装置125は、作業機械100に具備される構成について説明したが、これに限らない。制御装置125は、外部のコンピュータ装置(例えば、クラウドサーバ)に具備されていてもよい。また、制御装置125が備える各機能部(振動情報取得部1251、補正量演算部1252、旋回検出部1253、速度情報取得部1254、画像出力部1255、操作量取得部1256等)のうち、全部または一部が外部のコンピュータ装置に具備されていてもよい。例えば、制御装置125が備える各機能部のうち、全部または一部が、一のコンピュータ装置に具備されていてもよいし、複数のコンピュータ装置に具備されていてもよい。外部のコンピュータ装置に各機能部を具備させるようにした場合、遠隔操作装置500は、外部のコンピュータ装置から各種情報を受信するようにすればよい。
【0086】
また、制御装置540についても同様である。すなわち、上述した説明では、制御装置540は、遠隔操作装置500に具備される構成について説明したが、これに限らない。制御装置540は、外部のコンピュータ装置(例えば、クラウドサーバ)に具備されていてもよい。また、制御装置540が備える各機能部(画像取得部5101、振動情報取得部5102、ブレ補正部5103、速度情報取得部5104、旋回検出部5105、表示制御部5106、操作量取得部5110等)のうち、全部または一部が外部のコンピュータ装置に具備されていてもよい。例えば、制御装置540が備える各機能部のうち、全部または一部が、一のコンピュータ装置に具備されていてもよいし、複数のコンピュータ装置に具備されていてもよい。外部のコンピュータ装置に各機能部を具備させるようにした場合、表示装置520は、外部のコンピュータ装置から受信した各種情報を表示すればよい。
【符号の説明】
【0087】
1…遠隔操作システム 100…作業機械 122…撮像装置 123…旋回速度センサ 124…振動センサ 125…制御装置 500…遠隔操作装置 510…運転席 520…表示装置 530…操作装置 540…制御装置 1220…ブレ補正部 1251…振動情報取得部 1252…補正量演算部 1253…旋回検出部 1254…速度情報取得部 1255…画像出力部 1256…操作量取得部 5101…画像取得部 5102…振動情報取得部 5103…ブレ補正部 5104…速度情報取得部 5105…旋回検出部 5106…表示制御部 5110…操作量取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10