(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107577
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】穿孔装置、着脱方法及びコアビット
(51)【国際特許分類】
B28D 1/14 20060101AFI20230727BHJP
B23B 51/04 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B28D1/14
B23B51/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008841
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】502263905
【氏名又は名称】ダイヤモンド機工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000165424
【氏名又は名称】株式会社コンセック
(71)【出願人】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 立
(72)【発明者】
【氏名】向井 啓通
(72)【発明者】
【氏名】垣中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】上條 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平田 豪
(72)【発明者】
【氏名】神田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】綿川 文治
(72)【発明者】
【氏名】大下 貴史
(72)【発明者】
【氏名】眞野 敬英
【テーマコード(参考)】
3C037
3C069
【Fターム(参考)】
3C037AA05
3C037DD05
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB01
3C069BB03
3C069BC02
3C069CA07
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】コアビットの着脱を遠隔から行なうための穿孔装置、着脱方法及びコアビットを提供する。
【解決手段】穿孔装置10は、先端に刃を設けた長尺の円筒形状のチューブ部40を有するコアビット21と、コアビット21を回転させる回転機構部25と、この回転機構部25を前進させる直動機構部27とを備える。穿孔装置10は、チューブ部40を一時的に固定する保持部材30を備える。コアビット21のチューブ部40には、回転機構部25に取り付けられた連結部と嵌合可能であって、外周に沿って外径方向に突出した係合部が設けられる。保持部材30によりチューブ部40を固定した状態で、カップリング部50を、回転機構部25により第1方向R1に回転させることにより、チューブ部40と嵌合させる。更に、回転機構部25により第1方向R1とは逆の第2方向に回転させることにより、チューブ部40との嵌合を解除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に刃を設けた長尺の円筒形状のチューブ部を有するコアビットと、
前記コアビットを回転させる回転機構部と、
前記回転させたコアビットを前進させる直動機構部と、を備え、
前記コアビットを第1方向に回転させながら前進させることにより穿孔する穿孔装置であって、
前記チューブ部を一時的に固定する保持部材を備え、
前記コアビットには、前記回転機構部に取り付けられた連結部と嵌合可能であって、外周に沿って外径方向に突出した係合部が設けられ、
前記保持部材により前記チューブ部を固定した状態で、前記連結部を、前記回転機構部により前記第1方向に回転させることにより、前記チューブ部と嵌合させ、前記回転機構部により前記第1方向とは逆の第2方向に回転させることにより、前記チューブ部との嵌合を解除することを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記連結部には、前記チューブ部の基端部が内嵌するカップリング部が含まれ、
前記カップリング部には、前記先端側に突出した突条部と、この突条部の先端から外周方向に突出する突出部とを備えた嵌合部と本体部とによって凹部が形成され、
前記コアビットの基端部には、前記凹部と嵌合する係合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
先端に刃を設けた長尺の円筒形状のチューブ部を有するコアビットと、前記コアビットを回転させる回転機構部と、前記回転させたコアビットを前進させる直動機構部とを備え、前記コアビットを第1方向に回転させながら前進させることにより穿孔する穿孔装置において前記チューブ部を着脱させる着脱方法であって、
前記穿孔装置は、前記チューブ部を一時的に固定する保持部材を備え、
前記コアビットには、前記回転機構部に取り付けられた連結部と嵌合可能であって、外周に沿って外径方向に突出した係合部が設けられ、
前記保持部材により前記チューブ部を固定した状態で、前記連結部を、前記回転機構部により前記第1方向に回転させることにより、前記チューブ部と嵌合させ、前記回転機構部により前記第1方向とは逆の第2方向に回転させることにより、前記チューブ部との嵌合を解除することを特徴とする着脱方法。
【請求項4】
先端に刃を設けた長尺の円筒形状のチューブ部を有し、
回転機構部と直動機構部とを備え、第1方向に回転させながら前進させることにより穿孔する穿孔装置に取り付けられるコアビットであって、
前記回転機構部に取り付けられた連結部と嵌合可能であって、外周に沿って外径方向に突出した係合部が設けられていることを特徴とするコアビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、先端に刃を設けた長尺の円筒形状のチューブ部を有するコアビットを備えた穿孔装置、着脱方法及びコアビットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート等の構造物を穿孔するために、円筒形状のコアビットを備えた穿孔装置を用いることがある。この穿孔装置において、長い孔(深い孔)を形成する場合、長尺のシャンク(チューブ)を有する一体式のコアビットを用いることもある(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の穿孔装置のコアビットは、円筒の先端の外周に刃が設けられたビット部と、コアビットを回転させる回転機構部に取り付けるカップリング部とが一体に形成されている。この穿孔装置は、切粉を吸引するとともに、コアビットを回転させながら直進することにより、穿孔対象物に孔を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コアビットは、刃が摩耗した場合やチューブ内に穿孔による残留物が残った場合等には、穿孔装置の回転機構部から取り外す。従来、コアビットは、回転機構部からの回転を効率よく伝達するために、回転機構部の接続部に強固に連結されている。この場合、コアビットと回転機構部とは螺合等されているため、コアビットの着脱は人手で行なう必要があった。そして、コアビットの着脱を、遠隔から行なうことは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための穿孔装置は、先端に刃を設けた長尺の円筒形状のチューブ部を有するコアビットと、前記コアビットを回転させる回転機構部と、前記回転させたコアビットを前進させる直動機構部と、を備え、前記コアビットを第1方向に回転させながら前進させることにより穿孔する穿孔装置であって、前記チューブ部を一時的に固定する保持部材を備え、前記コアビットには、前記回転機構部に取り付けられた連結部と嵌合可能であって、外周に沿って外径方向に突出した係合部が設けられ、前記保持部材により前記チューブ部を固定した状態で、前記連結部を、前記回転機構部により前記第1方向に回転させることにより、前記チューブ部と嵌合させ、前記回転機構部により前記第1方向とは逆の第2方向に回転させることにより、前記チューブ部との嵌合を解除する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コアビットの着脱を遠隔から行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1における2-2線における断面図である。
【
図3】実施形態におけるコアビットの要部の正面図である。
【
図4】実施形態におけるコアビットの要部の拡大図である。
【
図5】実施形態におけるコアビットの要部の断面図である。
【
図6】実施形態におけるコアビットの要部の分解斜視図である。
【
図7】実施形態における穿孔装置の着脱時の動作を説明する要部の平面図である。
【
図8】実施形態における穿孔装置の着脱時の動作を説明する要部の斜視図である。
【
図9】実施形態における穿孔装置の着脱時の動作を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図9を用いて、穿孔装置、着脱方法及びコアビットを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態の穿孔装置は、鉄筋コンクリートブロック(穿孔対象物)に、水平方向に延在する長孔を形成する。
【0009】
図1は、本実施形態の穿孔装置10の正面図であり、
図2は、
図1における2-2線における断面図である。
図1に示すように、本実施形態の穿孔装置10は、略直方体形状の支持枠11を有している。この支持枠11は、後述する穿孔部20を支持する。具体的には、支持枠11は、四角枠を構成するフレーム12,14と、これらの角をそれぞれ連結するフレーム13とを備えている。フレーム12は、穿孔対象物側に設けられている。フレーム14は、各フレーム12のそれぞれと平行に配置されている。フレーム13は、フレーム12,14の間で、これらと直交する方向に延在して配置されている。
【0010】
図1及び
図2に示すように、穿孔装置10には、フレーム13と平行に延在する一対(2つ)の差込ブラケットB1が設けられている。差込ブラケットB1は、フレーム14側が開口した中空の四角柱形状からなる。この差込ブラケットB1は、穿孔装置10を移動させる場合に、フォークリフトのフォークを差し込むために用いられる。なお、フォークリフトにより穿孔装置10を持ち上げた場合にも、穿孔装置10の重心がフォーク間に位置になるように、差込ブラケットB1は離間して配置されている。
【0011】
図2に示すように、フレーム12のフレーム14側の面には、基板15が取り付けられている。基板15の中心には、貫通孔15aが形成されている。この貫通孔15aは、後述する穿孔部20のコアビット21が遊嵌可能な大きさの円形状を有している。
【0012】
基板15の上部には、取付部材16aを介して、回転可能にローラ18aが取り付けられている。ローラ18aは、コアビット21の外周面に当接するように配置される。
更に、
図2の下側に位置するフレーム12には、取付部材16bを介して、後述するガイド軸27aが固定されている。ガイド軸27aの上には、取付部を介して、離間した2つのローラ18bが回転可能に配置されている。これらローラ18bは、ローラ18aと対向する位置で、貫通孔15aを遊嵌した状態のコアビット21の外周面に当接するように配置される。
【0013】
基板15の右部及び左部には、貫通孔15aを挟んで、一対(2つ)の取付部材16cが設けられている。各取付部材16cのフレーム14側には、保持部材30の本体部31がそれぞれ固定されている。保持部材30は、1対(2つ)の本体部31を有する。
【0014】
図1に示すように、保持部材30の各本体部31は、ローラ18a,18bよりもフレーム14側(基端部側)であって、コアビット21を挟んで対向するように配置されている。
【0015】
図2に示すように、各本体部31は、内蔵するエアシリンダによって先端が伸縮する可動部33を備える。可動部33の先端には、当接部35が設けられている。各当接部35の中心は、コアビット21の中心を含む直線上に配置される。各当接部35は、可動部33が伸長した際に、コアビット21に当接する。保持部材30は、2つの本体部31の当接部35が、コアビット21の両側から押圧することにより、コアビット21を挟み込んで固定する。
【0016】
図1に示した穿孔部20は、コアビット21、回転機構部25及び直動機構部27を備えている。回転機構部25は、コアビット21を回転させる。直動機構部27は、コアビット21を、コアビット21が接続された回転機構部25ごと直進させる。
【0017】
コアビット21は、略円筒形状を有しており、ビット部22、チューブ部40及びカップリング部50を備えている。ビット部22の先端(フレーム12側の端部)には、複数の円弧形状のチップ(刃)が、間隔をおいて固着されている。本実施形態のチップは、内周側が外周側よりも突出した形状をしている。ビット部22は、螺合してチューブ部40に一体化されている。この螺合を解除することにより、ビット部22をチューブ部40から取り外して交換することができる。
【0018】
チューブ部40は、例えば、1m程度の長尺の円筒形状を有している。
カップリング部50は、回転機構部25の接続部25aと、螺合によって連結する部分である。
【0019】
回転機構部25は、接続部25aが連結した回転軸、ギア(図示せず)及びモータ25mを備えている。モータ25mは、正逆回転モータであり、その回転力を、接続部25aを介してカップリング部50に伝達し、コアビット21を回転させる。
更に、接続部25aは、円筒形状を有する。接続部25aの内部は、後述する接続部56の内部と連通するとともに、集塵用ホースH1を介して図示しない吸引装置に接続されている。これにより、コアビット21の内部からの粉塵を排出する。
【0020】
直動機構部27は、ガイド軸27a及び可動部27bを備えている。ガイド軸27aは、支持枠11内でフレーム13と平行に延在しており、その端部がフレーム12,14に取り付けられている。可動部27bは、ガイド軸27aに摺動可能に取り付けられ、内蔵するモータの回転力を変換した直進力を用いてガイド軸27a上を直進移動する。この可動部27bには、回転機構部25が取り付けられている。
【0021】
更に、穿孔装置10は、図示しない制御装置を備える。制御装置は、回転機構部25及び直動機構部27を制御する。これにより、制御装置は、コアビット21を回転させながら直進させることにより、円環形状に切削(穿孔)を行なう。
【0022】
更に、この制御装置は、交換時には、保持部材30の各本体部31のエアシリンダを制御して、コアビット21のチューブ部40を保持する。そして、制御装置は、チューブ部40を保持した後、回転機構部25及び直動機構部27を制御する。これにより、保持部材30で固定されたチューブ部40に対してカップリング部50を回転させて、チューブ部40とカップリング部50との着脱を行なう。
【0023】
(チューブ部40及びカップリング部50の構成)
次に、本発明に係わるチューブ部40及びカップリング部50の要部について説明する。
【0024】
図3及び
図5は、チューブ部40の基端部45(ビット部22と反対側の端部)とカップリング部50とが一体化した状態の要部の正面図及び断面図である。
図4は、
図3における要部の拡大図である。
図6は、基端部45におけるチューブ部40とカップリング部50との分解斜視図である。
【0025】
図3及び
図5に示すように、チューブ部40は、円筒形状の本体部41及び大径部42を有する。大径部42は、本体部41の基端部側(先端と反対側)の近傍に設けられる。大径部42は、本体部41より肉厚であって、本体部41の外径よりも大きい外径を有する。大径部42は、径外方向に突出したブロック形状の複数(ここでは4つ)の係合部42aを有する。4つの係合部42aは、90度毎に、離間して設けられている。
【0026】
図6に示すように、各係合部42aは、後述するカップリング部50の嵌合部52の外周方向における長さよりも大きい隙間をおいて配置されている。このため、係合部42aの間を、嵌合部52は通過できる。
【0027】
図4に示すように、各係合部42aの先端側の側面42cは、チューブ部40の直径を含む断面に対して角度θを有する。この角度θは、穿孔中に、チューブ部40とカップリング部50との嵌合が弛んだり締まったりしない角度である。
また、
図5に示すように、本体部41の基端部45は、カップリング部50に内嵌するとともに、カップリング部50の本体部51の先端側に軸方向で当接している。
【0028】
図3に示すように、カップリング部50は、底部51aを有した円筒形状の本体部51と、複数の嵌合部52とを有する。底部51aには、軸中心に延在する貫通孔が形成されている。更に、底部51aには、チューブ部40側に円板55が固定されている。この円板55は、カップリング部50に内嵌しているチューブ部40の内周面との間及び底部51aとの間に隙間を設けて配置される。また、本体部51には、外周に等間隔で形成された複数の孔51hが形成されている。これら複数の孔51hを介して、カップリング部50とチューブ部40の基端部45との隙間に入り込む微量の粉塵を排出する。
【0029】
図3に示すように、嵌合部52は、90度毎に形成されており、凹部54を形成する部材である。具体的には、各嵌合部52は、L字形状の円弧面で構成され、軸方向に突出した突条部52aと、この突条部52aの先端から径方向に突出した突出部52bとを有する。従って、カップリング部50において、本体部51とL字形状の嵌合部52とによって、凹部54が形成されている。各凹部54には、チューブ部40の係合部42aのそれぞれが嵌合する。
【0030】
図4に示すように、突出部52bの基端部側の当接面は、チューブ部40の係合部42aの側面42cと当接するように、断面に対して角度θで形成されている。この場合、嵌合部52は、係合部42aと、突条部52a及び突出部52bで当接する。
【0031】
更に、
図5に示すように、カップリング部50の本体部51には、底部51aの基端部側に、接続部56が固定されている。接続部56は、基端部側が小径の段付き円筒形状を有し、回転機構部25の接続部25aに、螺合等により連結される。この接続部56の内部は、カップリング部50の底部51aの貫通孔に連通するとともに、回転機構部25の接続部25aの内部と連通する。
【0032】
(穿孔方法)
次に、
図1を用いて、以上の構成を有する穿孔装置10を用いた穿孔方法について説明する。穿孔する際には、コアビット21を穿孔装置10に設置する。具体的には、コアビット21のカップリング部50の接続部56を、回転機構部25の接続部25aに螺合する。
【0033】
その後、図示しないフォークリフトの一対のフォークを、穿孔装置10の差込ブラケットB1に挿入して、穿孔装置10を持ち上げて移動させる。そして、穿孔装置10のフレーム12が穿孔対象物に当接するように穿孔装置10を配置する。
次に、穿孔装置10の集塵用ホースH1を、図示しない吸引装置に接続する。そして、この吸引装置を稼働させ、コアビット21の内部の空気を、チューブ部40の内部、底部51aの貫通孔、カップリング部50の接続部56、回転機構部25の接続部25a及び集塵用ホースH1を介して排出する。
【0034】
そして、操作者は、制御装置を用いて、穿孔部20の回転機構部25のモータ25m及び直動機構部27の可動部27bのモータを駆動させる。これにより、コアビット21が第1方向R1に回転しながら、穿孔対象物の当接面から内部へと水平方向(
図1の左側)に直進して、ビット部22の刃が円環形状に切削を行なう。なお、コアビット21がローラ18a,18b間を通過すると、各ローラ18a,18bは、コアビット21に当接して、回転しながらコアビット21を支持する。更に、切削によって発生した粉塵は、吸引装置による空気の流れと回転するチューブ部40の遠心力とにより、チューブ部40の内周面に沿って後方(
図1の右側)に移動する。そして、粉塵は、チューブ部40の内周面と円板55との隙間、円板55と底部51aとの間を介して、底部51aの貫通孔から、集塵用ホースH1に排出される。
【0035】
その後、コアビット21による切削が完了した場合、コアビット21を第1方向R1に回転させながら、直動機構部27の可動部27bを駆動してコアビット21を後退させる。これにより、穿孔対象物におけるコアビット21の内部領域がコアビット21とともに引き抜かれ、穿孔対象物に孔が形成される。
【0036】
(着脱方法)
次に、本実施形態における穿孔装置10におけるコアビット21の着脱方法について説明する。
【0037】
上述したような穿孔により、コアビット21のビット部22の刃が摩耗した場合やチューブ部40内の残留物を取り除きたい場合に、コアビット21におけるビット部22及びチューブ部40の取り外しを行なう。
【0038】
この場合、まず、操作者は、制御装置を用いて、保持部材30の1対の本体部31のエアシリンダを制御する。
この制御により、
図7の二点鎖線で示すように、各可動部33が伸長するので、対向する可動部33の先端の当接部35が、コアビット21のチューブ部40に押圧する。従って、チューブ部40は、当接部35により両側から挟み込んで固定される。これにより、チューブ部40は、回転不能で、かつ直動不能になる。
【0039】
次に、
図8に示すように、回転機構部25のモータ25mを回転させる。ここでは、コアビット21のカップリング部50の突出部52bが突出する方向(第1方向R1)とは逆の第2方向R2に回転させる。これにより、チューブ部40の係合部42aが、コアビット21のカップリング部50の凹部54から離間する。
【0040】
その後、直動機構部27のモータを稼働させて、可動部27bを後退(フレーム14側に移動)させる。
これにより、
図6及び
図9に示すように、チューブ部40は、カップリング部50から離れる。
【0041】
その後、
図9に示すコアビット21のチューブ部40に吊り具等を掛止する。そして、制御装置は、操作者の指示に応じて、保持部材30の各本体部31のエアシリンダを制御して、可動部33を縮小させる。これにより、チューブ部40は保持部材30から自由になる。そして、コアビット21のビット部22及びチューブ部40を、掛止した吊り具によって吊り上げて移動させる。
【0042】
その後、移動先において、コアビット21のチューブ部40内から残留物を除去したり、摩耗した刃を有するビット部22を新たな刃のビット部22と交換したりする。そして、新たなビット部22を取り付けたチューブ部40を、吊り具で吊り下げて、穿孔装置10に配置する。
【0043】
そして、制御装置は、再び、保持部材30を制御して、2つの可動部33を伸長することにより、新たに配置したチューブ部40を固定する。
その後、
図6に示すように、直動機構部27のモータを駆動させて、カップリング部50の嵌合部52が、チューブ部40の係合部42aの間を通過するように、可動部27bを前進(フレーム12側に移動)させる。
【0044】
そして、
図8に示す第1方向R1に、回転機構部25のモータ25mを回転させる。これにより、カップリング部50が、チューブ部40に対して回転するので、チューブ部40の係合部42aは、カップリング部50の凹部54に嵌合する。以上により、新たなチューブ部40が穿孔装置10に設置される。
【0045】
(作用)
穿孔装置10は、チューブ部40の係合部42aが嵌合する凹部54を有する。回転機構部25によりカップリング部50を回転できるので、凹部54からチューブ部40の係合部42aを解除できる。
【0046】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の穿孔装置10は、保持部材30により、コアビット21のチューブ部40を一時的に固定した状態で、回転機構部25を第2方向R2に回転させることにより、カップリング部50の凹部54とチューブ部40の係合部42aとの嵌合を解除する。また、第2方向R2とは逆の第1方向R1に回転させることにより、カップリング部50の凹部54に、チューブ部40の係合部42aを嵌合させる。従って、回転機構部25の回転により、遠隔操作によって、コアビット21のチューブ部40を着脱することができる。
【0047】
(2)本実施形態では、カップリング部50の接続部56を介して、吸引装置に接続される集塵用ホースH1が取り付けられている。これにより、穿孔中においても、穿孔により生じた粉塵を、コアビット21のチューブ部40内から排出することができるので、他への拡散を抑制して回収することができる。
【0048】
(3)本実施形態では、保持部材30の1対の本体部31は、チューブ部40の先端側に配置されている。これにより、チューブ部40の先端側でチューブ部40を固定することができる。
【0049】
(4)本実施形態では、コアビット21のチューブ部40の係合部42aの先端側の側面42cは、カップリング部50と角度θで当接する。これにより、チューブ部40とカップリング部50との嵌合が弛んだり締まったりせずに、穿孔を行なうことができる。従って、良好な穿孔と、効率的なチューブ部40の着脱とを実現することができる。
【0050】
(5)本実施形態では、コアビット21は、回転機構部25の接続部25aに固定するカップリング部50を備える。これにより、従来の回転機構部25を用いて、コアビット21のチューブ部40を、遠隔により着脱することができる。
【0051】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、コアビット21のチューブ部40を保持する保持部材30は、チューブ部40の先端側において設けた。保持部材30は、チューブ部40を一時的に回転不能に固定できれば、どのような配置や構成であってもよい。例えば、チューブ部40の長手方向における中央部を一時的に固定するように保持部材を配置してもよい。更に、保持部材は、磁石や真空吸着を用いてチューブ部を一時的に固定する機構を用いてもよい。この場合、保持部材の本体部を、チューブ部の下方や側方に1箇所のみ設けてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、チューブ部40の外周面に、離間した複数の係合部42aを径外方向に突出して設けた。また、カップリング部50には、係合部42aが嵌合する凹部54を形成する嵌合部52を設けた。チューブ部40と、カップリング部50とが係合する部分の構成は、これらの形状に限定されず、回転により着脱が可能である形状であればよい。例えば、カップリング部の嵌合部とチューブ部の係合部とを逆に設けてもよい。具体的には、カップリング部の本体部をチューブ部に内嵌し、カップリング部の先端側に、複数の離間した係合部を設ける。チューブ部の基端部側にL字形状の嵌合部を設けて凹部54を形成する。そして、この凹部54にカップリングの係合部を嵌合してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、コアビット21は、遠隔で交換するチューブ部40と、回転機構部25の接続部25aに取り付けられるカップリング部50とを備える。コアビット21は、カップリング部50を備える場合に限られない。例えば、カップリング部50を、コアビット21とは別体にして、予め、回転機構部25の接続部25aに一体化して取り付けておいてもよい。
【0054】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記保持部材は、前記チューブ部の先端側を固定することを特徴とする請求項1又は2に記載の穿孔装置。
(b)前記穿孔装置の回転機構部に螺合により着脱可能であって、前記連結部を構成するカップリング部を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載のコアビット。
【符号の説明】
【0055】
θ…角度、B1…差込ブラケット、R1…第1方向、R2…第2方向、10…穿孔装置、11…支持枠、12,13,14…フレーム、15…基板、15a…貫通孔、16a,16b,16c…取付部材、18a,18b…ローラ、20…穿孔部、21…コアビット、22…ビット部、25…回転機構部、25a,56…接続部、25m…モータ、27…直動機構部、27a…ガイド軸、27b,33…可動部、30…保持部材、31,41,51…本体部、35…当接部、40…チューブ部、42…大径部、42a…係合部、42c…側面、45…基端部、50…カップリング部、51a…底部、51h…孔、52…嵌合部、52a…突条部、52b…突出部、54…凹部、55…円板。