(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107597
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】電気融着装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/34 20060101AFI20230727BHJP
F16L 47/02 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
B29C65/34
F16L47/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008865
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】300091304
【氏名又は名称】株式会社 ラインアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】片野 景一郎
(72)【発明者】
【氏名】大籔 直孝
(72)【発明者】
【氏名】有吉 和久
【テーマコード(参考)】
3H019
4F211
【Fターム(参考)】
3H019GA02
4F211AD12
4F211AG08
4F211AH11
4F211AK09
4F211AM22
4F211AM23
4F211AP15
4F211AP18
4F211AR16
4F211AR19
4F211TA01
4F211TC11
4F211TD07
4F211TD11
4F211TN12
(57)【要約】
【課題】二次電池の充電回数を容易に認識できる電気融着装置を提供する。
【解決手段】電気融着装置1は、施工単位に含まれる第1配管100aから第N配管に対して定められた第1融着数N
1から第N融着数N
Nが取込まれる融着数取込まれ部11と、第1配管から第N配管の端部当たりの接合に必要な第1電力量Q
1から第N電力量Q
Nを記憶する記憶部14と、施工単位に含まれる接合を行うのに要する総電力量を、電力量と融着数との積の総和から求める総電力量演算部15と、二次電池36に残された残存電力量を測定する測定部12と、表示部17と、表示部を制御する制御部23とを備え、総電力量から残存電力量を引いた値を不足電力量、二次電池の最大容量を電池最大電力量と規定したときに、制御部は、残存電力量が総電力量よりも小さいときには、不足電力量を電池最大電力量で除した値を整数に切り上げた第1必要回数を、表示部に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工単位に含まれる、互いの諸元の少なくとも一つが異なる第1配管から第N配管に対して定められた、前記第1配管から前記第N配管それぞれの端部を融着する数である第1融着数N1から第N融着数NNが取込まれる融着数取込まれ部と、
予め定められた、前記第1配管から前記第N配管の端部1つ当たりの接合に必要な第1電力量Q1から第N電力量QNを記憶する記憶部と、
前記施工単位に含まれる接合を行うのに要する総電力量Qtotを、前記電力量と前記融着数との積の総和から求める総電力量演算部と、
二次電池に残された残存電力量を測定する測定部と、
表示を行う表示部と、
前記表示部を制御する制御部と、
を備え、
前記総電力量演算部が求めた前記総電力量Qtotから前記測定部が測定した前記残存電力量を引いた値を、不足電力量と規定し、
前記二次電池の最大容量を、電池最大電力量と規定したときに、
前記制御部は、前記残存電力量が前記総電力量Qtotよりも小さいときには、前記不足電力量を前記電池最大電力量で除した値を整数に切り上げた第1必要回数を、前記表示部に表示させる、電気融着装置。
ただし、Nは2以上の自然数である。
【請求項2】
前記融着数取込まれ部では、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが記載された施工計画書から、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNを読取ることにより、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが取込まれる、請求項1に記載の電気融着装置。
【請求項3】
前記融着数取込まれ部では、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNを含む融着数情報を受信することにより、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが取込まれる、請求項1に記載の電気融着装置。
【請求項4】
前記融着数取込まれ部では、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが入力されることにより、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが取込まれる、請求項1に記載の電気融着装置。
【請求項5】
互いの諸元の少なくとも一つが異なる前記第1配管から前記第N配管は、互いの呼び径が異なる前記第1配管から前記第N配管である、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気融着装置。
【請求項6】
前記融着数取込まれ部は、前記総電力量演算部に無線通信により、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNを送る、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気融着装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記残存電力量が前記総電力量よりも小さいときには、前記不足電力量を前記電池最大電力量で除した値に、1よりも大きい安全係数を乗じた値を、整数に切り上げた第2必要回数を、前記表示部に表示させる、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気融着装置。
【請求項8】
前記二次電池の使用回数を記憶する電池情報記憶部を備え、
前記記憶部には、回数上限値が記憶され、
前記制御部は、前記使用回数が前記回数上限値以上となったときに、前記表示部に前記二次電池の交換を促す表示をさせる、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気融着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気融着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製の配管を継手部材を介して互いに接合(融着)することが行われている(例えば、特許文献1から3参照)。継手部材の継手本体は、樹脂製である。継手本体内には、電線が埋め込まれている。継手部材と配管との接合には、電気融着装置が用いられる。継手本体内に一対の配管の端部を配置した状態で、電気融着装置により電線に電力を印加すると、電線が熱を発する。継手部材の内周面と配管の端部の外周面とが熱で溶けた後で冷え固まると、一対の配管が継手部材を介して互いに接合される。
【0003】
近年、電気融着装置による接合作業を、商用電源から離れた所でも行えるようにするために、電気融着装置が二次電池を備える場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4847846号公報
【特許文献2】特許第4923222号公報
【特許文献3】特開2014-153811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、施工作業の1つのまとまりである施工単位には、互いの呼び径が異なる複数の配管を用いて、それぞれ所定の溶接数接合することが含まれることがある。複数の配管が互いに同一の樹脂材料で形成されている場合には、一般的に、配管の呼び径が大きくなるほど、接合に必要な電力量は多くなる。
接合に必要な電力量は、呼び径以外にも、配管の管壁の厚さ、材質等の諸元によっても変化する。電気融着装置を用いる際に、施工単位に含まれる配管全体の接合に必要な電力量の認識が困難になっている。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、施工単位に含まれる配管の接合に必要な二次電池の充電回数を容易に認識できる電気融着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の電気融着装置は、施工単位に含まれる、互いの諸元の少なくとも一つが異なる第1配管から第N配管に対して定められた、前記第1配管から前記第N配管それぞれの端部を融着する数である第1融着数N1から第N融着数NNが取込まれる融着数取込まれ部と、予め定められた、前記第1配管から前記第N配管の端部1つ当たりの接合に必要な第1電力量Q1から第N電力量QNを記憶する記憶部と、前記施工単位に含まれる接合を行うのに要する総電力量Qtotを、前記電力量と前記融着数との積の総和から求める総電力量演算部と、二次電池に残された残存電力量を測定する測定部と、表示を行う表示部と、前記表示部を制御する制御部と、を備え、前記総電力量演算部が求めた前記総電力量Qtotから前記測定部が測定した前記残存電力量を引いた値を、不足電力量と規定し、前記二次電池の最大容量を、電池最大電力量と規定したときに、前記制御部は、前記残存電力量が前記総電力量Qtotよりも小さいときには、前記不足電力量を前記電池最大電力量で除した値を整数に切り上げた第1必要回数を、前記表示部に表示させることを特徴としている。
ただし、Nは2以上の自然数である。
【0008】
この発明では、総電力量演算部は、融着数取込まれ部から取込まれた第1融着数N1から第N融着数NN、記憶部に記憶された第1電力量Q1から第N電力量QNに基づいて、総電力量Qtotを求める。制御部は、残存電力量が総電力量Qtotよりも小さいときには、不足電力量を電池最大電力量で除した値を整数に切り上げた第1必要回数を、表示部に表示させる。電気融着装置の使用者は、表示部に表示された第1必要回数を視認することにより、施工単位に含まれる配管の接合に必要な二次電池の充電回数である第1必要回数を容易に認識することができる。
【0009】
また、前記電気融着装置において、前記融着数取込まれ部では、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが記載された施工計画書から、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNを読取ることにより、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが取込まれてもよい。
この発明では、融着数取込まれ部により、第1融着数N1から第N融着数NNが記載された施工計画書から、第1融着数N1から第N融着数NNを読取ることにより、第1融着数N1から第N融着数NNを取込むことができる。
【0010】
また、前記電気融着装置において、前記融着数取込まれ部では、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNを含む融着数情報を受信することにより、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが取込まれてもよい。
この発明では、融着数取込まれ部により融着数情報を受信することにより、第1融着数N1から第N融着数NNを取込むことができる。
【0011】
また、前記電気融着装置において、前記融着数取込まれ部では、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが入力されることにより、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNが取込まれてもよい。
この発明では、融着数取込まれ部において第1融着数N1から第N融着数NNが入力されることにより、第1融着数N1から第N融着数NNを取込むことができる。
【0012】
また、前記電気融着装置において、互いの諸元の少なくとも一つが異なる前記第1配管から前記第N配管は、互いの呼び径が異なる前記第1配管から前記第N配管であってもよい。
この発明では、互いの呼び径が異なる第1配管から第N配管に対して、使用者は、表示部に表示された第1必要回数を視認することにより、施工単位に含まれる配管の接合に必要な二次電池の充電回数である第1必要回数を容易に認識することができる。
【0013】
また、前記電気融着装置において、前記融着数取込まれ部は、前記総電力量演算部に無線通信により、前記第1融着数N1から前記第N融着数NNを送ってもよい。
この発明では、融着数取込まれ部と総電力量演算部とが互いに離れている場合であっても、融着数取込まれ部は無線通信により総電力量演算部に第1融着数N1から第N融着数NNを送ることができる。
【0014】
また、前記電気融着装置において、前記制御部は、前記残存電力量が前記総電力量よりも小さいときには、前記不足電力量を前記電池最大電力量で除した値に、1よりも大きい安全係数を乗した値を、整数に切り上げた第2必要回数を、前記表示部に表示させてもよい。
この発明では、第1必要回数に対して安全係数分の余裕を持った第2必要回数を、表示部に表示させることができる。
【0015】
また、前記電気融着装置において、前記二次電池の使用回数を記憶する電池情報記憶部を備え、前記記憶部には、回数上限値が記憶され、前記制御部は、前記使用回数が前記回数上限値以上となったときに、前記表示部に前記二次電池の交換を促す表示をさせてもよい。
一般的に、二次電池を一定回数以上使用すると、二次電池の充電性能が低下する。この発明では、制御部は、使用回数が回数上限値以上となったときに、表示部に二次電池の交換を促す表示をさせ、使用者がこの表示を視認して二次電池を交換する。これにより、二次電池の充電性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電気融着装置では、施工単位に含まれる配管の接合に必要な二次電池の充電回数を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態の電気融着装置における融着制御装置の斜視図である。
【
図2】同電気融着装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】同電気融着装置の通信装置のブロック図である。
【
図5】電池パックに充電するための電池充電器の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電気融着装置の一実施形態を、
図1から
図5を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示す本実施形態の電気融着装置1は、例えば、一対の配管100を継手部材105を介して互いに接合するために用いられる。
配管100は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂で形成されている。
図2に示すように、例えば、継手部材105は、継手本体106と、一対の電線(不図示)と、一対の端子107と、を有する。
【0019】
継手本体106は、配管100と同一の材料で筒状に形成されている。継手本体106の内周面における、継手本体106の軸線方向の中心には、係止部106aが固定されている。係止部106aは、環状であり、継手本体106と同軸に配置されている。
継手本体106の外面には、バーコード、QRコード(登録商標)等である継手コード109が設けられている。例えば、継手コード109には、接合に必要な電圧値、電流値、後述する電力量Q、配管100の呼び径等を表す情報が記載されている。
【0020】
電線は、継手本体106の各端部内にそれぞれ埋め込まれている。一対の電線の一方である第1電線は、継手本体106の第1端部を加熱するための電線である。一対の電線の他方である第2電線は、継手本体106における第1端部とは反対の第2端部を加熱するための電線である。
一対の端子107は、継手本体106の外面に設けられている。一対の端子107は、電線にそれぞれ接続されている。
以上のように構成された継手部材105において、継手本体106の端部内には、配管100の端部が配置される。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の電気融着装置1は、融着制御装置10と、通信装置45と、を備えている。
図2に示すように、融着制御装置10は、主読取り部(融着数取込まれ部)11と、測定部12と、電池情報読取り部13と、記憶部14と、総電力量演算部15と、主入力部16と、主表示部(表示部)17と、無線通信部20と、主電源部21と、溶融電源部22と、主制御部(制御部)23と、電池パック24と、を備えている。
以下では、まず電池パック24について説明する。
【0022】
電池パック24は、ケース35と、二次電池36と、電池情報記憶部37と、電池接続端子38と、電池情報端子39と、を有する。
ケース35は、二次電池36及び電池情報記憶部37が収容可能な所定の形状である。
二次電池36は、例えば、リチウムイオン二次電池のような充電が可能な電池である。ここで、空の二次電池36に充電できる最大容量を、電池最大電力量と規定する。
電池情報記憶部37は、二次電池36の使用回数等を記憶する。例えば、新品の電池パック24では、二次電池36は一度充電されていて、電池情報記憶部37に記憶された二次電池36の使用回数は1である。
【0023】
電池接続端子38及び電池情報端子39は、例えば導電性を有する金属で形成され、ケース35の外面に固定されている。電池接続端子38は、二次電池36に接続されている。電池情報端子39は、電池情報記憶部37に接続されている。
【0024】
主読取り部11は、公知の光学式読取り装置を備えている。主読取り部11は、継手部材105の継手コード109、及び
図3に示す施工計画書115等を読込む。ここで、施工計画書115について説明する。
【0025】
まず、電気融着装置1による接合に用いられる配管100である、
図2に示す第1配管100a、第2配管100b、第3配管100cについて説明する。第1配管100aから第3配管100cは、互いの呼び径(配管100の諸元の少なくとも一つ)が異なる。具体的には、第1配管100aから第3配管100cは、互いの管壁の厚さがほぼ等しい。第2配管100bの呼び径は第1配管100aの呼び径よりも大きく、第3配管100cの呼び径は第2配管100bの呼び径よりも大きい。
なお、配管100の種類が第1配管100aから第3配管100cの3つである場合を例にとって説明するが、配管100の種類は、2以上の自然数であるN(複数)であれば限定されない。
配管100の諸元の少なくとも一つが、配管100の呼び径であるとした。しかし、配管100の諸元の少なくとも一つは、配管100の管壁の厚さ、配管100の材質等でもよい。
【0026】
継手部材105は、第1配管100aから第3配管100cに対応する、継手部材105aから継手部材105cを有する。
例えば、継手部材105aは、一対の第1配管100aを互いに接合するための継手である。継手部材105b,105cについても、継手部材105aと同様である。
【0027】
ここで、施工単位は、所定の期間に電気融着装置1を用いて配管100及び継手部材105を接合する所定の配管構造を意味する。この例では、施工単位は、例えば、第1配管100aを6本、第2配管100bを6本、第3配管100cを3本、継手部材105aを5つ、継手部材105bを5つ、継手部材105cを2つ有する。
例えば、配管構造を構成するために、第1配管100aの端部を融着する数である第1融着数N1は、継手部材105aの数の2倍の10である。第2配管100bの端部を融着する数である第2融着数N2は、継手部材105bの数の2倍の10である。第3配管100cの端部を融着する数である第3融着数N3は、継手部材105cの数の2倍の4である。第1融着数N1から第3融着数N3は、施工単位に含まれる第1配管100aから第3配管100cに対して定められる。
【0028】
図3に示すように、施工計画書115には、第1融着数N
1から第3融着数N
3が記載されている。主読取り部11には、第1融着数N
1から第3融着数N
3が取込まれる。
【0029】
図2に示すように、測定部12は、電池パック24の二次電池36に残された電力量である残存電力量を測定する。
電池情報読取り部13は、電池パック24の電池情報記憶部37から二次電池36の使用回数等を読取る。
記憶部14には、後述する第1電力量Q
1、第2電力量Q
2、第3電力量Q
3、及び回数上限値等が記憶されている。第1電力量Q
1、第2電力量Q
2、及び第3電力量Q
3を区別無く言うときには、電力量Qと言う。
第1電力量Q
1(J)は、予め定められた、第1配管100aの端部1つ当たりの接合に必要な電力量である。第2電力量Q
2(J)は、予め定められた、第2配管100bの端部1つ当たりの接合に必要な電力量である。第3電力量Q
3(J)は、予め定められた、第3配管100cの端部1つ当たりの接合に必要な電力量である。
【0030】
一般的に、二次電池を一定回数以上使用すると、二次電池の充電性能が低下する。回数上限値は、充電性能がほぼ低下することなく二次電池36を充電可能な回数である。
総電力量演算部15は、施工単位に含まれる接合を行うのに要する総電力量Qtotを、電力量(第1電力量Q1から第3電力量Q3)と融着数(第1融着数N1から第3融着数N3)との積の総和から求める。より具体的に説明すると、総電力量演算部15は、施工単位に含まれる接合を行うのに要する総電力量Qtotを、(1)式から求める。
【0031】
【0032】
図1及び
図2に示すように、主入力部16は、ボタン等を有している。使用者は、主入力部16を操作して入力を行う。
主表示部17は、例えば液晶パネルであり、表示を行う。
図2に示すように、無線通信部20は、外部と無線通信を行う。
主電源部21は、電池パック24の二次電池36からの制御電力を、主読取り部11、測定部12、電池情報読取り部13、記憶部14、総電力量演算部15、主入力部16、主表示部17、無線通信部20、主制御部23等に供給する。
溶融電源部22は、電池パック24の二次電池36からの溶融電力を、継手部材105に伝達する。溶融電源部22には、ケーブル27の第1端部が接続されている。ケーブル27における第1端部とは反対側の第2端部には、出力コネクタ28が設けられている。出力コネクタ28は、継手部材105の一対の端子107に、着脱可能に接続される。
【0033】
主制御部23は、主読取り部11、測定部12、電池情報読取り部13、記憶部14、総電力量演算部15、主入力部16、主表示部17、無線通信部20、溶融電源部22に接続される。主制御部23は、記憶部14、主表示部17、無線通信部20、溶融電源部22を制御する。
測定部12等は、ケース30に収容されている。
ケース30には、電池接続端子31及び電池情報端子32が固定されている。ケース30における電池接続端子31及び電池情報端子32が固定された部分には、電池パック24が着脱可能に装着される電池収用部30aが設けられている。
電池接続端子31は、主電源部21、溶融電源部22等に接続されている。
電池情報端子32は、電池情報読取り部13に接続されている。
【0034】
ケース30の電池収用部30aに電池パック24が装着されたときに、電池接続端子31に電池パック24の電池接続端子38が接続され、電池情報端子32に電池パック24の電池情報端子39が接続される。
【0035】
通信装置45は、高性能携帯型電話機、いわゆるスマートフォン等のコンピュータを用いて構成されている。
図4に示すように、通信装置45は、通信表示入力部46と、通信読取り部(融着数取込まれ部)47と、無線通信部48と、通信制御部49と、を備えている。
通信表示入力部46は、通信入力部46aと、通信表示部46bと、を有する。
通信入力部46aは、例えばタッチパネル等である。使用者は、通信入力部46aを操作して入力を行う。通信表示部46bは、例えば液晶パネルであり、表示を行う。通信入力部46a及び通信表示部46bは、互いに重なるように配置されて、通信入力部46を構成する。
通信読取り部47は、公知の光学式読取り装置を備えている。通信読取り部47は、施工計画書115を読込む。
無線通信部48は、通信網NW(
図2参照)を介して、融着制御装置10の無線通信部20と無線通信を行うか、無線通信部20と直接無線通信を行う。
通信制御部49は、通信表示入力部46、通信読取り部47、無線通信部48に接続され、通信表示入力部46、無線通信部48を制御する。
【0036】
図5に、示すように、電池パック24に充電するための電池充電器55を示す。電池充電器55は、装置本体56と、装置本体56にケーブル57を介して接続されたプラグ58と、を有する。
装置本体56は、図示しないAC/DCコンバータと、一対の電気接点とを有する。AC/DCコンバータは、ケーブル57に接続されている。例えば、AC/DCコンバータは、プラグ58から入力された交流の商用電源を、直流の電力に変換する。変換された電力は、一対の電気接点の一方に出力される。
電池充電器55の装置本体56に電池パック24が装着されたときに、装置本体56の一対の電気接点の一方に、電池パック24の電池接続端子38が接続される。
【0037】
次に、以上のように構成された電気融着装置1の動作について説明する。
予め、融着制御装置10の電池収用部30aに、電池パック24を装着しておく。電池充電器55のプラグ58を、図示しないコンセントに差し込んでおく。
使用者は、通信装置45の通信読取り部47で施工計画書115を読込む。通信読取り部47では、施工計画書115から、第1融着数N1から第3融着数N3を読取ることにより、第1融着数N1から第3融着数N3が取込まれる。通信装置45の通信制御部49は、融着制御装置10の無線通信部48及び融着制御装置10の無線通信部20を介して、総電力量演算部15に無線通信により、第1融着数N1から第3融着数N3を送る。すなわち、通信読取り部47は、総電力量演算部15に無線通信により、第1融着数N1から第3融着数N3を送る。
なお、融着制御装置10の主読取り部11で、施工計画書115を読込んでもよい。
総電力量演算部15は、施工単位に含まれる接合を行うのに要する総電力量Qtotを、前記(1)式から求める。測定部12は、電池パック24の二次電池36の残存電力量を測定する。主制御部23は、総電力量演算部15が求めた総電力量Qtotから測定部12が測定した残存電力量を引いた値を、不足電力量として求める。
【0038】
主制御部23は、残存電力量が総電力量Qtotよりも小さいときには、不足電力量を電池最大電力量で除した値を整数に切り上げた第1必要回数を、主表示部17に表示させる。主制御部23は、残存電力量が総電力量Qtot以上であるときには、前記表示をしない。
例えば、使用者は、一対の第1配管100aの端部の外周面を削り(スクレープし)、これらの端部を、継手部材105a内にそれぞれ挿入する。使用者が融着制御装置10の主入力部16を操作すると、主制御部23は、溶融電源部22により継手部材105aの各電線に、第1電力量Q1の電力をそれぞれ印加する。
以上の工程により、一対の第1配管100aが継手部材105aを介して互いに接合される。第2配管100b、第3配管100cに対しても、同様に接合を行う。
【0039】
使用者は、主表示部17に表示された第1必要回数に基づいて、融着制御装置10の電池収用部30aから電池パック24を適宜取外す。電池充電器55の装置本体56に電池パック24を装着し、電池パック24の二次電池36を充電する。電池充電器55で二次電池36を充電するごとに、電池情報記憶部37に記憶された二次電池36の使用回数が、1増加する。
【0040】
主制御部23は、電池パック24(二次電池36)の使用回数が回数上限値以上となったときに、主表示部17に電池パック24の交換を促す表示をさせてもよい。この場合、表示を視認した使用者は、電池パック24を、新品の電池パック24に交換する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の電気融着装置1では、通信読取り部47から取込まれた第1融着数N1から第3融着数N3、記憶部14に記憶された第1電力量Q1から第3電力量Q3に基づいて、総電力量Qtotを求める。主制御部23は、残存電力量が総電力量Qtotよりも小さいときには、不足電力量を電池最大電力量で除した値を整数に切り上げた第1必要回数を、主表示部17に表示させる。電気融着装置1の使用者は、主表示部17に表示された第1必要回数を視認することにより、施工単位に含まれる配管100の接合に必要な二次電池36の充電回数である第1必要回数を容易に認識することができる。
【0042】
通信読取り部47では、施工計画書115から、第1融着数N1から第3融着数N3を読取ることにより、第1融着数N1から第3融着数N3が取込まれる。このため、通信読取り部47より、第1融着数N1から第3融着数N3が記載された施工計画書115から、第1融着数N1から第3融着数N3を読取ることにより、第1融着数N1から第3融着数N3を取込むことができる。
互いの諸元の少なくとも一つが異なる第1配管100aから第3配管100cは、互いの呼び径が異なる第1配管100aから第3配管100cである。互いの呼び径が異なる第1配管100aから第3配管100cに対して、使用者は、表示部17に表示された第1必要回数を視認することにより、施工単位に含まれる配管100の接合に必要な二次電池36の充電回数である第1必要回数を容易に認識することができる。
【0043】
通信読取り部47は、総電力量演算部15に無線通信により、第1融着数N1から第3融着数N3を送る。従って、通信読取り部47と総電力量演算部15とが互いに離れている場合であっても、通信読取り部47は無線通信により総電力量演算部15に第1融着数N1から第3融着数N3を送ることができる。
一般的に、二次電池を一定回数以上使用すると、二次電池の充電性能が低下する。電池パック24の使用回数が回数上限値以上となったときに、主制御部23が主表示部17に電池パック24の交換を促す表示をさせる場合がある。このように構成することにより、使用者がこの表示を視認して電池パック24を交換することで、電池パック24の充電性能を維持することができる。
【0044】
本実施形態の電気融着装置1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
記憶部14に、1よりも大きい安全係数が記憶されてもよい。そして、主制御部23は、残存電力量が総電力量Qtotよりも小さいときには、不足電力量を電池最大電力量で除した値に、安全係数を乗じた値を、整数に切り上げた第2必要回数を、主表示部17に表示させもよい。このように構成することにより、第1必要回数に対して安全係数分の余裕を持った第2必要回数を、主表示部17に表示させることができる。
なお、二次電池36の使用回数が多くなるのに従って、安全係数を大きくしてもよい。
【0045】
本実施形態では、融着数取込まれ部は、融着制御装置10の主読取り部11及び通信装置45の通信読取り部47であるとした。しかし、融着数取込まれ部は、融着制御装置10の主受信部及び通信装置45の通信受信部であるとしてもよい。この場合、融着数取込まれ部では、第1融着数N1から第3融着数N3を含む融着数情報を受信することにより、第1融着数N1から第3融着数N3が取込まれる。この場合、例えば、主受信部及び通信受信部は、有線通信、無線通信、記憶媒体等を用いて、融着数取込まれ部により融着数情報を受信することにより、第1融着数N1から第3融着数N3を取込むことができる。
【0046】
融着数取込まれ部は、融着制御装置10の主入力部16及び通信装置45の通信入力部46aと一体化されてもよい。この場合、融着数取込まれ部では、第1融着数N1から第3融着数N3が使用者により入力されることにより、第1融着数N1から第3融着数N3が取込まれる。使用者が融着数取込まれ部において第1融着数N1から第N融着数NNを入力することにより、融着数取込まれ部は第1融着数N1から第N融着数NNを取込むことができる。
【0047】
電気融着装置1による接合中に二次電池36の残存電力量が無くなりかけたとき(以下、残存電力量低下状態と言う)には、以下のように電力を印加してもよい。例えば、残存電力量低下状態は、二次電池36の電圧が過放電保護電圧の101%~110%以下になったことで判断してもよい。ここで、過放電保護電圧とは、放電終止を意味する。以下では、第1配管100aの接合を行う場合について説明する。
ここで、配管100の端部1つ当たりの接合に必要な時間を、印加時間と規定する。例えば、印加時間は数分程度である。
【0048】
主制御部23は、溶融電源部22により第1電力量Q1の電力を印加している間に二次電池36が残存電力量低下状態になったときは、残存電力量低下状態になったときが、印加時間の開始からX時間(印加時間の3%以上5%以下)以内の場合には、後述する再接合処理を行い、印加時間の開始からX時間を超える場合には、後述する電池交換処理を行う。
再接合処理では、例えば、主制御部23は、主表示部17に、「電池パックを交換して、継手部材を交換して再施工して下さい」と表示させる。この場合、表示を視認した使用者は、電池パック24を、新しい電池パック24に交換する。接合されかけた各配管100の端部を切断し、切断した端部及び接合されかけた継手部材105aを廃棄する。
一対の第1配管100aの端部の外周面を削り、これらの端部を、新しい継手部材105a内にそれぞれ挿入する。使用者は、新しい電池パック24を装着した電気融着装置1を用いて、一対の第1配管100aを継手部材105aを介して接合する。
【0049】
一方で、電池交換処理では、例えば、主制御部23は、主表示部17に、「Y時間以内に電池パックを交換して下さい」と表示させる。Y時間は、印加時間の8%以上15%以下である。この場合、表示を視認した使用者は、電池パック24を、新しい電池パック24にY時間以内に交換する。主制御部23は、溶融電源部22により、第1電力量Q1に対応する電圧を、(印加時間-X時間)の間印加する。
ここで、電池パック24を新しい電池パック24に交換するのに要した時間を、電池交換時間と規定する。
電池パック24を交換した後で、主制御部23は、溶融電源部22により、第1電力量Q1に対応する電圧を、(2)式で規定される時間印加してもよい。
(印加時間-X時間)+(電池交換時間×(10%~80%)) ・・(2)
【0050】
前記電池交換処理において、使用者がY時間以内に電池パック24を交換できなかったときは、主制御部23は、主表示部17に、「施工エラー:継手部材を交換して再施工して下さい」と表示させてもよい。このとき、電気融着装置1が、ブザー等の警告音を発する警告部を備え、警告部が警告音を発してもよい。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、電気融着装置1は、融着制御装置10の主読取り部11及び通信装置45の通信読取り部47の一方を備えればよい。
継手部材105の継手本体106に、継手本体106の第1端部及び第2端部を一度に加熱するための1本の電線が埋め込まれていてもよい。この場合、例えば、一対の配管100aを継手部材105aを介して互いに接合するには、この電線に、第1電力量Q1の2倍の電力量を印加する。
【符号の説明】
【0052】
1 電気融着装置
11 主読取り部(融着数取込まれ部)
12 測定部
14 記憶部
15 総電力量演算部
17 主表示部(表示部)
23 主制御部(制御部)
36 二次電池
47 通信読取り部(融着数取込まれ部)
100a 第1配管
100b 第2配管
100c 第3配管
115 施工計画書