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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010761
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】カメラ制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20230113BHJP
   B25J 3/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178713
(22)【出願日】2022-11-08
(62)【分割の表示】P 2020544397の分割
【原出願日】2019-02-20
(31)【優先権主張番号】1802992.6
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】516210894
【氏名又は名称】シーエムアール・サージカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル・キース
(72)【発明者】
【氏名】カスバートソン・レベッカ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・ゴードン・トーマス
(57)【要約】
【課題】外科医が目前の処置を続行できると同時にさらに直感的および簡単に手術部位の見え方を変更可能にできる改良型のマスタ-スレーブシステム提供する。
【解決手段】マスタ-スレーブシステムは、第1のエンドエフェクタを支持する第1のマニピュレータと、第2のエンドエフェクタを支持する第2のマニピュレータと、第1のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる第1の移動コマンドと、第2のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる第2の移動コマンドとを操作者の手から同時に受けるよう構成された入力装置と、入力装置から受信した第1の移動コマンドおよび第2の移動コマンドに応えて、第1のエンドエフェクタおよび第2のエンドエフェクタそれぞれの所望の移動を決定するよう構成されたプロセッサとを、備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエンドエフェクタを支持する第1のマニピュレータと、
第2のエンドエフェクタを支持する第2のマニピュレータと、
前記第1のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第1のマスタ装置移動コマンドと、前記第2のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第2のマスタ装置移動コマンドとを操作者の手から同時に受けるよう構成された入力装置と、
前記入力装置から受信した前記第1のマスタ装置移動コマンドおよび前記第2のマスタ装置移動コマンドに応えて、前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタそれぞれの所望のスレーブ装置移動を決定するよう構成されたプロセッサと、を備えるマスタ-スレーブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記入力装置は、前記操作者によって保持されるための本体であって、通常の使用において前記操作者の片手で把持されるよう構成された本体を備える、システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、前記入力装置は、前記第1のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を実行させる前記第1のマスタ装置移動コマンドを受けるための第1の入力部を備える、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、前記プロセッサは複数のモードで動作可能であり、前記複数のモードは、
前記入力装置が前記第2のエンドエフェクタに作動可能に結合する結合モードと、
前記入力装置が前記第2のエンドエフェクタから作動可能な結合が解除されている結合解除モードと、
前記第1の入力部が前記第1のエンドエフェクタに作動可能に結合する動作モードと、
前記第1の入力部が前記第1のエンドエフェクタに作動可能な結合が解除されている選択モードとを備える、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはクラッチ入力部から受信した信号に応答して前記結合解除モードで作動するよう構成されている、システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記結合モードにあるとき、前記入力装置は、前記第2のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を実行させる前記第2のマスタ装置移動コマンドを受けるよう構成されている、システム。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記動作モードにあるとき、前記第1の入力部は、前記第1のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を実行させる前記第1のマスタ装置移動コマンドを受けるよう構成されている、システム。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記選択モードにあるとき、前記第1の入力部はさらに、前記入力装置と関連付けられる第3のエンドエフェクタを選択するよう構成されている、システム。
【請求項9】
請求項4から8のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、第2の入力部からの信号の受信に応答して前記動作モードで作動するよう構成されている、システム。
【請求項10】
請求項8に従属する請求項9に記載のシステムにおいて、前記入力装置はさらに、前記第1の入力部による前記第3のエンドエフェクタの選択に応答して前記第3のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第3のマスタ装置移動コマンドを受けるよう構成されている、システム。
【請求項11】
請求項4から10のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記結合解除モードになると、前記プロセッサはさらに、同時に前記結合解除モードおよび前記選択モードで作動するよう構成されている、システム。
【請求項12】
請求項3から11のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記入力装置はさらに、
前記第1の入力部に結合された駆動機構であって、前記操作者に力のフィードバックを行うために前記第1の入力部に力を加えるよう構成された駆動機構、
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記第1の入力部に加えられた力を感知するよう構成された力センサ、
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記操作者がいつ前記第1の入力部に接触しているかを検知するよう構成された静電容量センサ、および
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記本体に対する前記第1の入力部の位置を感知するよう構成された位置センサの、1つ以上を備える、システム。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、
前記第1のエンドエフェクタの前記決定された所望のスレーブ装置移動に従った前記第1のエンドエフェクタ、
前記第2のエンドエフェクタの前記決定された所望のスレーブ装置移動に従った前記第2のエンドエフェクタの、1つ以上の移動を実行させるよう構成されている、システム。
【請求項14】
請求項3から13のいずれか一項に記載のシステムにおいて、
前記第1のエンドエフェクタは多数の自由度を有し、
前記プロセッサは、前記第1のエンドエフェクタの前記自由度のうちの少なくとも1つを前記第1の入力部に選択的に関連させ、前記第1の入力部の移動に応答して前記第1のエンドエフェクタの前記自由度のうちの前記少なくとも1つの移動を実行させるよう構成されている、システム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記第1のエンドエフェクタは作業場所の画像を撮像するための画像撮像装置を備える、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記画像撮像装置は内視鏡である、システム。
【請求項17】
請求項15または16に記載のシステムにおいて、撮像した前記画像を表示するための表示装置をさらに備える、システム。
【請求項18】
請求項3から17のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、操作者選択参照フレームに対する前記第1の入力部の移動にともなって前記第1のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を決定するよう構成されている、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、前記操作者選択参照フレームは、
前記入力装置に固定されているか、または
前記表示装置に固定されている、システム。
【請求項20】
請求項3から19のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、前記表示装置に表示された前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタの移動がそれぞれ前記第1の入力部および前記入力装置の動きに対応するように、入力装置参照フレームと第2のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新し、第1の入力部参照フレームと第1のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新するように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットマスタ-スレーブシステムにおいて、典型的には、操作者は1つ以上の入力装置を用いて多数の遠隔操作ツールの動きを制御する。その結果、操作者は、これらのツールを制御するために、これらのツールが操作されている作業場所と同じ場所にいる必要はない。操作者が作業場所を目視できるように、カメラなどの画像撮像装置および撮像画像を視覚的に表示するための表示装置が備えられてもよい。ロボットマスタ-スレーブシステムの用途のいくつかは、危険な環境(例えば、水中、原子力または化学プラント)での組み立て、メンテナンス、または探査、および最小のものでは侵襲的な外科手術システムなどである。
【0003】
特に外科手術システムにおいては、外科医、アシスタント、学生、またはその組み合わせであろう操作者は、操作者用コンソール(例えば、外科医用コンソール)で多数の入力装置を操作することで、多数のロボットマニピュレータに支持される多数の(手術器具などの)遠隔ツールを遠隔で操作できる。ロボットマニピュレータは手術器具だけでなく内視鏡などの画像撮像装置を支持して、操作者は外科医用コンソールにおける表示装置上で離れた手術部位を視認できる。
【0004】
手術中、外科医は、入力装置を操作して、手術部位での手術器具の動きを制御する。典型的には、処置で使用される内視鏡を操作するカメラアシスタントが外科医から受け取る口頭による指示に応じてその内視鏡を制御して、外科医は所望する手術部位の視認を行う。あるいは、外科医は、手術器具の動作を停止し、器具を所定の場所にロックし、その後、入力装置を器具から切り離して、内視鏡に連動させて内視鏡の動きを制御する内視鏡モードに入ることで、手術器具を操作するために用いられているのと同じ入力装置を用いて内視鏡を制御できる。内視鏡が操作され所望の視点が得られると、上述の内視鏡モードを終了して、入力装置を内視鏡から引き離し、再度器具に連結させ、これによって外科医は器具の操作を再開できる。
【0005】
しかし、内視鏡のこのような制御方法は非効率でしかない。詳細には、カメラアシスタントが内視鏡を制御する方法は、遅延とエラー(例えば、外科医の位置に対する内視鏡の基準フレームが動くことで外科医が方向を見失う可能性がある)を引き起こす可能性がある。外科医が入力装置を使って内視鏡を制御する方法では、外科医が内視鏡を操作して手術部位における外科医の視点を変更可能にするのに先立って、外科医は外科手術の進行を停止する必要がある。これに対して、一般的な開放型の手術では、外科医は、処置を続けながら、同時に必要または刺激に応じて頭を動かして手術部位における外科医の視点を変えることができる。
【0006】
そのため、外科医が目前の処置を続行できると同時にさらに直感的および簡単に手術部位の見え方を変更可能にできる改良型のマスタ-スレーブシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明のマスタ-スレーブシステムは、第1のエンドエフェクタを支持する第1のマニピュレータと、第2のエンドエフェクタを支持する第2のマニピュレータと、前記第1のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる第1の移動コマンドと、前記第2のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる第2の移動コマンドとを操作者の手から
同時に受けるよう構成された入力装置と、前記入力装置から受信した前記第1の移動コマンドおよび前記第2の移動コマンドに応えて、前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタの所望の移動を決定するよう構成されたプロセッサとを備える。
【0008】
前記入力装置はさらに、操作者によって保持されるための本体を備えていてもよい。前記本体は前記操作者の片手で把持されるよう構成されていてもよい。
【0009】
前記入力装置はさらに、前記第1のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる前記第1の移動コマンドを受け取るための第1の入力部を備えていてもよい。
【0010】
前記プロセッサは複数のモードで作動するよう構成されてもよく、前記複数のモードは、前記プロセッサが前記入力装置を前記第2のエンドエフェクタに作動可能に結合させる結合モードと、前記プロセッサが前記入力装置を前記第2のエンドエフェクタから作動可能な結合を解除する結合解除モードと、前記プロセッサが前記第1の入力部を前記第1のエンドエフェクタに作動可能に結合させる動作モードと、前記プロセッサが前記第1の入力部を前記第1のエンドエフェクタから作動可能な結合を解除する選択モードとを備えていてもよい。
【0011】
前記プロセッサはさらに、クラッチ入力部から受信した信号に応答して前記結合解除モードで作動するよう構成されていてもよい。前記プロセッサはさらに、第2の入力部からの信号の受信に応答して前記動作モードで作動するよう構成されていてもよい。前記プロセッサはさらに、前記プロセッサが前記結合解除モードになると、同時に前記結合解除モードおよび前記選択モードで作動するように構成されていてもよい。
【0012】
前記入力装置はさらに、前記プロセッサが前記結合モードで動作しているとき、前記第2のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる前記第2の移動コマンドを受け取るよう構成されていてもよい。
【0013】
前記第1の入力部は、前記プロセッサが、前記動作モードで動作しているとき、前記第1のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる前記第1の移動コマンドを受け取るよう構成されていてもよい。前記第1の入力部はさらに、前記プロセッサが前記選択モードで動作しているとき、前記入力装置との連結のための第3のエンドエフェクタを選択するよう構成されていてもよい。前記入力装置はさらに、前記第1の入力部による前記第3のエンドエフェクタの選択に応答して前記第3のエンドエフェクタの所望の移動を実行させる第3の移動コマンドを受け取るよう構成されていてもよい。
【0014】
前記入力装置はさらに、前記第1の入力部に結合された駆動機構であって、前記操作者に力のフィードバックを行うために前記第1の入力部に力を加えるよう構成された駆動機構を備えていてもよい。前記入力装置はさらに、前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記第1の入力部に加えられた力を感知するよう構成された力センサを備えていてもよい。前記第1の入力装置はさらに、前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記操作者がいつ前記第1の入力部に接触しているかを検知するよう構成された静電容量センサを備えていてもよい。前記入力装置はさらに、前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記本体に対する前記第1の入力部の位置を感知するよう構成された位置センサを備えていてもよい。
【0015】
前記プロセッサはさらに、前記第1のエンドエフェクタの前記決定された所望の移動に従った前記第1のエンドエフェクタの移動を実行させるよう構成されていてもよい。前記プロセッサはさらに、前記第2のエンドエフェクタの前記決定された所望の移動に従った
前記第2のエンドエフェクタの移動を実行させるよう構成されていてもよい。
【0016】
前記第1のエンドエフェクタは多数の自由度を有していてもよく、前記プロセッサは、前記第1のエンドエフェクタの前記自由度のうちの少なくとも1つを前記第1の入力部に選択的に連結させ、前記第1の入力部の移動に応答して前記第1のエンドエフェクタの前記自由度のうちの前記少なくとも1つの移動を実行させるように構成されていてもよい。
【0017】
前記第1のエンドエフェクタは作業場所の画像を撮像するための画像撮像装置を備えていてもよい。前記画像撮像装置は内視鏡であってもよい。前記マスタ-スレーブシステムはさらに、撮像した前記画像を表示するための表示装置を備えていてもよい。
【0018】
前記プロセッサはさらに、操作者選択参照フレームに対する前記第1の入力部の移動にともなって前記第1のエンドエフェクタの移動を実行させるよう構成されていてもよい。前記操作者選択参照フレームは、前記入力装置に固定されていてもよい。前記操作者選択参照フレームは、前記表示装置に固定されていてもよい。前記プロセッサはさらに、前記表示装置に表示されるような前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタの移動がそれぞれ前記第1の入力部および前記入力装置の動きに対応するように、入力装置参照フレームと第2のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新し、第1の入力部参照フレームと第1のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新するように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下に述べる添付の図面を参照しながら例を用いて本発明を以下に説明する。
図1】マスタ-スレーブシステムを示す図。
図2】ツールをそれぞれ支持する複数のロボットマニピュレータを用いて遠隔手術が施されている患者を示す図。
図3】異なるツールをそれぞれ支持する図2のロボットマニピュレータの2つの例を示す図。
図4】表示装置および入力装置を備える操作者用コンソールを示す図。
図5a】入力部およびクラッチ入力部を備える入力装置の上面図。
図5b図5aの入力装置の斜視図。
図6図1のシステムを模式的に表した図。
図7図4の操作者用コンソールを用いている操作者を示す図。
図8a図5aの入力部を、図4の入力部に固定された操作者選択基準フレームとともに示す図。
図8b図5aの入力部を、図4の表示装置に固定された操作者選択基準フレームとともに示す別の図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、外科手術システムとしての構成例におけるマスタ-スレーブシステム10を示す。システム10は、患者用の台50と、カート70と、操作者用コンソール20とを備える。操作者用コンソール20によって、操作者O(図7に示す)は、1つ以上の入力装置21a、21bを用いて、ツール40a、40b、40cを支持する1つ以上のロボットマニピュレータ80a、80b、80c(図2に示す)を遠隔操作して患者Pに外科手術処置を行うことができる。操作者Oは、例えば、外科医、アシスタント、または学生でありうる。
【0021】
次に図2を参照すると、システム10は、種々のツール40a、40b、40cを支持するための1つ以上のロボットマニピュレータ80a、80b、80cを有する。ロボットマニピュレータ(複数可)80a、80b、80cは図2、3、および6に示すような
ものでありうる。図2、3、および6のこれらロボットマニピュレータ80a、80b、80cは、それぞれ、基部90(図6に示す)から延びるアーム81を有する。アーム81は、その長さに沿った一連の回動ジョイント82、83、84によって有節となっている。アーム81の遠位端には、エンドエフェクタ41a、41b、41cで終端するツール40a、40b、40cがある。エンドエフェクタ41a、41bは手術器具であり、例えば、スムーズジョー、鋸歯状ジョー、グリッパ、一丁のはさみ、縫合用の針、レーザ、メス、ステープラ、焼灼器、吸引器、プライヤ、スカルペル、焼灼器電極などでありうるが、これらに限定されない。あるいは、エンドエフェクタ41cは、内視鏡などの画像撮像装置であってもよい。エンドエフェクタ41a、41b、41cは、アーム81の遠位端で駆動モータ86によって移動するよう駆動されうる。駆動モータ86は、器具のシャフトの内部に沿って延びるケーブルによってエンドエフェクタ41a、41b、41cに結合されうる。
【0022】
図3は、内視鏡41cを支持するロボットマニピュレータ80cおよび器具エンドエフェクタ41aを支持するロボットマニピュレータ80aを示すが、各ロボットマニピュレータ80a、80b、80cはこれらのエンドエフェクタのいずれも支持できることがわかるであろう。
【0023】
次に図4を参照すると、操作者用コンソール20は、ロボットマニピュレータ(複数可)80a、80b、80cを制御するための、連接アセンブリ26に結合された1つ以上の入力装置21a、21bを備える。操作者用コンソール20はまた、操作者Oに遠隔手術の作業場所を視認させるための表示装置30を備える。図4、5a、および5bの入力装置(複数可)21a、21bは、ユーザの手で把持され、システム10に3次元動作を入力するために設計されている。場合によって、入力装置(複数可)21a、21bで、ユーザがシステム10に機能入力をできてもよい。
【0024】
上述の記載は単一の表示装置について参照しているが、他の例では、ロボットシステムは複数の表示装置または複数の画面を備えていてもよい。これらの画面は、遠隔の作業場所を2次元画像および/または3次元画像として視覚的に表示するよう適切に構成される。これらの画面を単一の操作者用コンソール20に備えることができるか、2つ以上のコンソールがそれぞれ少なくとも1つの画面を備えることができる。これにより、例えば、トレーニングのために、コンソール操作者以外の人々が手術の作業場所を視認するのに有用でありうる、追加的に見せるための画面が可能となる。
【0025】
説明をわかりやすくするために、入力装置21bの一例について、図5aおよび図5bに示す互いに直交するX、Y、およびZ軸を参照して述べる。X軸は、入力装置21bの前後方向の軸に直交する。Y軸は入力装置21bの左右の軸に直交する。Z軸は、入力装置21bの上下の軸に平行で、X軸およびY軸に直交する。換言すれば、入力装置21bのZ軸は、入力装置21bの本体を上面から底面まで伸びる線である。
【0026】
図5aおよび図5bの入力装置21bの一例は、右手でつかむように意図されている。鏡像である入力装置21aは、左手用に意図されていることになる。入力装置21bの本体27はヘッド23およびグリップ24を有する。グリップ24は、ユーザの手のひらに置かれるように構成される。これにより、ユーザは、クラッチ入力部22の上に第1指/人差し指を置くことができる。ユーザの親指をクラッチ入力部22に対してヘッド23の反対側に置くことができる、あるいは、ユーザの親指をヘッド23上の入力部25上に置くことができる。この種の装置のユーザ受入検査では、多数のユーザが、このような態様で、手首をニュートラルな位置に置き親指を他の指に対向させて、このような装置を自然に手に取り把持することが確かめられた。この結果、3次元動作入力のために、ユーザの手首は、屈曲、伸長、内転、および外転で自由に動く。
【0027】
図5aおよび図5bの入力装置21bにおいて、クラッチ入力部22は、軸(不図示)を中心にヘッド23に対して回転可能であるトリガーレバーであるとして示されている。クラッチ入力部22は、つまみまたはつまみ入力装置と種々に呼ばれうる。このようなクラッチ入力装置についてのさらに詳細な説明については、本出願人による「ハンドコントローラグリップ(Hand Controller Grip)」という名称の英国特許出願番号GB1616
086.3を参照のこと。さらに、図5aおよび図5bの入力装置21bにおいて、入力部25は、基部上で旋回し、デフォルトの中央位置に対するその位置を制御装置60に通知する親指用スティックであるとして示されている。その後、この位置信号は、さらなる動作入力として、そして任意にシステム10における機能入力として使用されうる。図5aおよび図5bの入力部25は、ユーザの親指で操作されるよう設計されて、典型的には2次元入力を与える。
【0028】
入力部25は幾通りかで関節接続されうる。例えば、入力部25は、入力装置21bのX軸を中心に前後方向Aに旋回可能である。入力部25は、入力装置21bのY軸を中心に左右方向Bにも旋回可能である。入力部25は押しボタンとしても動作し、入力装置21bのZ軸に沿って入力部25が上下方向に動きうる。
【0029】
入力部25は、入力装置21a、21b上に位置するため、ユーザは簡単および自然な態様で使用でき、不注意に作動されることもない。入力部25は、デフォルトでは動作不能な状態にあり、この状態では、システムが入力部25から受信したどのような入力も受理されないであろう。入力部25は、ユーザが接触していることを検出した場合のみ動作可能となってもよい。このために、接触感知パネル(不図示)を、ユーザの親指が接触可能な入力部25の表面に備えることができる。接触感知パネルは、静電容量センサ(不図示)を備え、ユーザの親指が入力部25に接触しているときに入力部25上にユーザの親指が存在することを検出できる。あるいはまたはさらに、触覚フィードバックを与え、入力部25は、ユーザの親指が入力部25に接触している結果起こる任意の揺れおよび振動を検出して、入力部25上にユーザの親指が存在することを検出できる。
【0030】
入力部25はデフォルトで動作可能な状態にあることが好ましい。ユーザが行った入力部25の不注意によるどのような作動も阻止する場合、ニュートラルゾーンを入力部25の接合範囲内に定めることができ、これによっていかなる出力も行われないであろう。例えば、出力信号が出されて、その結果起こる連結するスレーブ装置の任意の動きがシステム内で生成されるまでは、入力部25はある一定の閾値を超えて入力装置21a、21bのX軸を中心に前後方向に旋回する必要が有りうる。合図を視覚的に表示装置30および/または入力装置21a、21bに示して、いかなる出力もシステムに対して行うことのない一連の入力値を入力部25に示してもよい。
【0031】
位置センサをヘッド23内に設けて、本体27に対する入力部25の位置を感知してもよい。位置センサは、入力部25の位置範囲を識別でき、入力部25の旋回の程度または押し込みの程度をさらに正確に認識できる。位置センサは、入力部25の回転軸の周りに配置された回転エンコーダまたは電位差計であってもよい。位置センサに加えてまたは位置センサに代わって、入力装置21bは、入力部25に加えられる力および/または入力部25に加えられる旋回軸に対するトルクを検出するための力および/またはトルクセンサを備えていてもよい。
【0032】
追加的なユーザ入力インターフェースがヘッド23に備えられてもよい。例えば、1つ以上の押しボタン、回転つまみ、ジョイスティック、ロッカースイッチなどがあってもよい。
【0033】
次に図6を参照すると、ロボットマニピュレータ80aの一例が制御装置60によって制御される。制御装置60は入力装置21a、21b、ならびに連接アセンブリ26およびロボットマニピュレータ位置/力センサ85などの他のソースから入力を受ける。
【0034】
連接アセンブリ26は、入力装置21a、21bを支持し、6つの自由度で入力装置21a、21bを動かしうる有節のリンク機構である。連接アセンブリ26の構造は、リンク機構上のセンサにより検出され制御装置60に伝達されうる。このように、入力装置21a、21bの動きを用いて、ロボットマニピュレータ80aの動きを制御できる。連接アセンブリ26の代わりに、入力装置21a、21bが、位置と向きを推定可能な加速度計を備えていてもよい。
【0035】
制御装置60は、非一時的な形態でメモリ62に格納されたコードを実行するプロセッサ61を備える。コードを実行する際、プロセッサ60は、ロボットマニピュレータ80aのジョイント82、83、および84の動きを命令し、入力装置21a、21b、連接アセンブリ26、およびマニピュレータ位置/力センサ85からの入力に応じて器具40aのエンドエフェクタ41aを動かすための1セットの信号を決定する。このコードは、基本的に入力装置21a、21bおよび連接アセンブリ26からの入力によってロボットマニピュレータ80aの動作が指示されるように、構成される。例えば、通常動作モードにおいて、(i)エンドエフェクタ41aの姿勢は、回転自由度に関する入力装置21a、21bの姿勢によって設定されうる。(ii)エンドエフェクタ41aの位置は、平行移動自由度に関する入力装置21a、21bの位置によって設定されうる。(iii)エンドエフェクタ41aのジョーの構成は、本体21に対するクラッチ入力部22または入力部25の位置によって設定されうる。例えば、クラッチ入力部22は、手術器具エンドエフェクタのジョーを操作するために用いられうる。
【0036】
カメラ制御装置
さらに、ロボットマニピュレータ80cが内視鏡41cなどの画像撮像装置を支持している状態で、コードを実行する際、プロセッサ60は、ロボットマニピュレータ80cのジョイント82、83、および84の動きを命令し、入力装置21a、21bの入力部25および位置/力センサからの入力に応じて内視鏡41cを動かすための1セットの信号を決定する。例えば、通常動作モードにおいて、(i)内視鏡41cの遠位端の上下位置は、前後方向Aにおけるデフォルト位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(ii)内視鏡41cの遠位端の左右の位置は、左右方向Bにおけるデフォルト位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(iii)内視鏡41cのズームレベルは前後方向Aにおけるデフォルト位置に対する第2の入力装置21bの入力部25の位置によって設定されうる。(iv)内視鏡41cの遠位端の回転は、左右方向Bにおけるデフォルト位置に対する第2の入力装置21bの入力部25の位置によって設定されうる。なお、第1の入力装置21aは内視鏡41cの回転とズームレベルを制御し、第2の入力装置21bは内視鏡41cの遠位端の上下および左右の動きを制御するように、入力装置21aおよび21bは上述とは逆にも対応付けされうる。あるいは、単一の入力装置21aまたは21bを用いて、内視鏡41cの上述の自由度のすべてを制御する。上述のように、(i)内視鏡41cの遠位端の上下位置は、前後方向Aにおけるデフォルト位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(ii)内視鏡41cの遠位端の左右の位置は、左右方向Bにおけるデフォルト位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。この時点で、操作者Oは入力部25を押して、内視鏡41cの遠位端の動作の上下方向および左右方向の制御から内視鏡41cの回転およびズームレベルの制御に切り替えうる。切り替えが行われると、(iii)内視鏡41cのズームレベルは、前後方向Aにおけるデフォルト位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(iv)内視鏡41cの回転は、左右方向Bにおけるデフォルト位置に対
する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。あるいは、操作者Oは、自身の好みに応じて、入力部25の前後および左右の動きと、内視鏡41cの上下、左右、回転、およびズームレベルとの間の対応付けを選択してもよい。換言すれば、操作者Oは、入力部25のどの自由度を内視鏡41cのどの自由度に対応付けるかを選択できる。これについては以下にさらに詳細に述べる。これにより、システム10の操作者Oは、単一の入力装置21a、21bを用いて、器具エンドエフェクタ41a、41bまたは内視鏡41cのどちらかの操作を止める必要なく、器具エンドエフェクタ41a、41bおよび内視鏡41cを同時に制御できる。
【0037】
ロボットマニピュレータ80cが内視鏡41cなどの画像撮像装置を支持している状態で、コードを実行する際、プロセッサ60は、内視鏡41cを所望の方向に移動させる速さも制御できるように、速度制御を用いて、入力装置21a、21bの入力部25および位置/力センサからの入力に応じて、内視鏡41cを移動させるための1セットの信号を決定してもよい。例えば、入力部25は、ニュートラル位置に戻るよう付勢される構成であってもよい。通常動作モードにおいて、(i)内視鏡41cの遠位端を上下方向に移動させる速さは、前後方向Aにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(ii)内視鏡41cの遠位端を左右方向に移動させる速さは、左右方向Bにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(iii)内視鏡41cのズームレベルを変更する速さは、前後方向Aにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第2の入力装置21bの入力部25の位置によって設定されうる。(iv)内視鏡41cの遠位端の回転が実施される速さは、左右方向Bにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第2の入力装置21bの入力部25の位置によって設定されうる。言い換えれば、操作者Oが内視鏡41cを所望の態様で移動させたいとき、関連する入力装置21a、21bの入力部25を上述の適切な方向のうちの一つへと押すことになる。入力部25を適切な方向にニュートラル位置からどれだけ離れるように押すかで、内視鏡41cを所望の態様でどれだけ早く移動させるかを決定する。操作者Oが入力部25を放すと、内視鏡41cは移動を止め、入力部25はニュートラル位置に戻る。なお、第1の入力装置21aが内視鏡41cの回転およびズームレベルを制御し、第2の入力装置21bが内視鏡41cの遠位端の上下および左右の動きを制御するように、入力装置21aおよび21bは上述とは逆にも対応付けされうる。
【0038】
あるいは、単一の入力装置21aまたは21bを用いて、内視鏡41cの上述の自由度のすべてを、速度制御を用いて制御する。上述のように、入力部25は、ニュートラル位置に戻るよう付勢される構成とされて、(i)内視鏡41cの遠位端を上下方向に移動させる速さは、前後方向Aにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(ii)内視鏡41cの遠位端を左右方向に移動させる速さは、左右方向Bにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。この時点で、操作者Oは入力部25を押して、内視鏡41cの遠位端の動作の上下方向および左右方向の制御から内視鏡41cの回転およびズームレベルの制御に切り替えうる。切り替えが行われると、(iii)内視鏡41cのズームレベルを変更する速さは、前後方向Aにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。(iv)内視鏡41cの回転が実施される速さは、左右方向Bにおけるデフォルトのニュートラル位置に対する第1の入力装置21aの入力部25の位置によって設定されうる。あるいは、操作者Oは、自身の好みに応じて、入力部25の前後および左右の動きと、内視鏡41cの上下、左右、回転、およびズームレベルとの間の対応付けを選択してもよい。換言すれば、操作者Oは、入力部25のどの自由度を内視鏡41cのどの自由度に対応付けるかを選択できる。これについては以下にさらに詳細に述べる。これにより、システム10の操作者Oは、単一の入力装置21a、21bを用いて、器具エンドエフ
ェクタ41a、41bまたは内視鏡41cのどちらかの操作を止める必要なく、器具エンドエフェクタ41a、41bおよび内視鏡41cを同時に制御できる。
【0039】
このように、システム10の操作者Oは、処置中にその処置を止める必要なく内視鏡41cを再配置して異なる作業場所の撮像を行うことができる。このように、内視鏡41cを別のスレーブ装置エンドエフェクタとみなすことができる。
【0040】
マスタ装置-スレーブ装置の関係
図7を参照して、操作者用コンソール20を用いて処理を実行している操作者Oは、入力装置(複数可)21a、21b(マスタ装置)を用いて、1つ以上の遠隔ツール40a、40b、40c(スレーブ装置)の動きを制御する。操作者Oは、表示装置30を通じて作業場所を見ることができる。ロボットマニピュレータ80aおよび80b上に支持された器具エンドエフェクタ41aおよび41bは、連結するそれぞれの入力装置(複数可)21a、21bへの動きおよび機能入力に応じて位置および向きについての移動が実施されるよう操作される。処置中、手術部位とともに器具エンドエフェクタ41a、41bの画像が、ロボットマニピュレータ80c上で支持された内視鏡41cによって撮像され、表示装置30に表示されることで、操作者Oは、入力装置(複数可)21a、21bを用いて器具エンドエフェクタ41a、41bの反応としての動きおよび動作を制御しながらのこのような動きおよび動作を見ることができる。
【0041】
有利にも、制御装置60は、表示装置30に表示されている撮像画像において視認されるように、入力装置21a、21bと、それと連結される器具エンドエフェクタ41a、41bとの関係を確立する。この関係において、画像で操作者Oに表示されるような器具エンドエフェクタ41aまたは41bの向きおよび位置は、操作者の手によって操作されるような連結された入力装置21aまたは21bの向きおよび位置に追随対応する。連結された器具エンドエフェクタ41aまたは41bの向きおよび位置を入力装置の向きおよび位置に対応させることによって、画像中に表示されるように器具エンドエフェクタ41aまたは41bの動きが操作者の手の動きに対応付けられなかった場合に比べて、より直観的に器具エンドエフェクタ41aまたは41bの動きを制御することができる。
【0042】
さらには、制御装置60は、入力部25とそれに連結された内視鏡41cとの間の関係を確立する。この関係において、内視鏡41cの向きおよび位置は、操作者の手によって操作されるような連結された入力部25の向きおよび位置に追随対応する。このように連結された内視鏡41cの向きおよび位置を入力部の向きおよび位置に対応させることによって、内視鏡41cの動きが入力部25の動きに対応付けられなかった場合に比べて、より直観的に内視鏡41cの動きを制御することができる。
【0043】
制御装置60は、入力装置デカルト座標基準系(入力フレーム)における入力装置の位置および向きを、カメラデカルト座標基準系(カメラフレーム)における器具エンドエフェクタ41aまたは41bの位置および向きに対応付けることで、入力装置21a、21bと器具エンドエフェクタ41a、41bとの間の制御を実施する。したがって、操作中、カメラフレーム内での器具エンドエフェクタの位置および向きは、入力フレームでの入力装置21a、21bの位置および向きに対応付けられ、入力フレームでの入力装置21a、21bの現在の位置および向きに対応するカメラフレームでの新しい位置/向きへの器具エンドエフェクタ41aまたは41bの移動が実施される。
【0044】
場合によって、制御装置60は、入力デカルト座標参照系(入力フレーム)における入力装置21a、21bに対する入力部の位置および向きをカメラフレームにおける内視鏡41cの位置および向きに対応付けることで、入力部25と内視鏡41cとの間の制御を実施する。したがって、操作中、入力フレームでの入力部25の現在の位置および向きに
対応するカメラフレームでの新しい位置/向きへの内視鏡41cの移動が実施される。
【0045】
あるいは、制御装置60は、入力フレームでの、入力装置21a、21bに関する、デフォルトのニュートラル位置に対する入力部の位置をカメラフレームでの内視鏡41cの動作の方向および速さに対応付けることで、速度制御を用いた入力部25と内視鏡41cとの間の制御を実施する。しがたって、操作中、入力フレームでのデフォルトのニュートラル位置に対する入力部25の位置に対応する、カメラフレームでの新しい方向への所望の速さによる内視鏡41cの移動が実施される。
【0046】
有利にも、ユーザは入力装置21a、21bを結合解除することができ、入力装置21a、21bをより人間工学的に効率のよい位置および/または向きに動かすことができる。入力装置21a、21bを再係合にすると、入力フレームとカメラフレームとの間の対応付けが更新される。このため、マスタ装置参照フレームを変更でき、入力装置21aと入力装置21bとの間でも変更できる。さらに、マスタ装置(入力装置21a、21b)とスレーブ装置(エンドエフェクタ41a、41b、41c)との間の対応付けのこの更新の結果、表示装置30上で操作者Oに表示されるようなスレーブ装置の期待される動作が生成されるように、入力装置21a、21b経由で移動コマンドが与えられる。
【0047】
画像撮像装置の位置が変わると、視認されている画像における器具エンドエフェクタ41aまたは41bの向きおよび位置も変わりうることが理解されるであろう。この結果、有利にも、器具エンドエフェクタ41a、41bの動きの、入力装置21a、21bの動きへの対応付けの関係が、画像撮像装置によるこのような位置変化の後に再確立される。これにより、マスタ装置とスレーブ装置との間の対応付けがこのように連続的に更新される結果、操作者Oに表示されるようなスレーブ装置の期待される動作が生成されように、入力装置21a、21b経由で動作コマンドが与えられるため、処理を行うときに操作者の直観的な「感覚」を高めることになるであろう。
【0048】
さらに、入力部25の動きと内視鏡41cの遠位端の動きとの間の、さらに直感的な改良された応答を操作者Oに与えるために、制御装置60は、操作者の好みの参照フレームに関連する入力フレームによって、入力部25の位置および向きに基づいた内視鏡41cの遠位端の所望の位置および向きを決定し達成する。この概念が図8aおよび図8bに例示されており、以下に説明する。
【0049】
図8aは、入力装置21aが表示装置30の画面でまっすぐ向くように、操作者Oが入力装置21aを把持している例を示す。操作者Oは、好みの参照フレームを入力装置21aのそれ(すなわち、入力フレーム)と同等となるように設定することを選択できる。この例では、入力部25を操作する前、操作者Oは表示装置30に示すように器具エンドエフェクタ41aを見ることができる。しかし、入力部25が入力装置21の本体に対して左、図8aにおいて文字Lで示す方向に移動すると、内視鏡41cの遠位端も左に移動して、その結果、器具エンドエフェクタ41aの表示画像が表示装置30’に示すように撮像画像の右側に移る。
【0050】
図8bは、入力装置21aを表示装置30の画面の右90度に向かせるように、操作者Oが入力装置21aを把持している別の例を示す。操作者Oが好みの参照フレームを入力フレームと同等になるように設定することを再度選択すると、入力装置21aの本体に対して左、図8bの文字Lに示す方向に入力部25を操作して移動させる結果、内視鏡41cの遠位端が左に移動し、その結果、器具エンドエフェクタ41aの表示画像が表示装置30’に示すように撮像画像の右側に移ることになるであろう。
【0051】
しかし、操作者Oは、好みの参照フレームを画面に対応するよう設定することを選ぶこ
とができる。この例では、入力部25を図8bの文字Lに示す方向に動かす結果、内視鏡41cの遠位端が前方向に動き、その結果器具エンドエフェクタ41aの表示画像が表示装置30”に示されるように拡大して見えるようになるであろう。あるいは、操作者Oは別の所望の参照フレームを選んでもよい。
【0052】
機能入力
上述の例では、画像撮像装置(例えば、内視鏡41c)の3次元動作を与えるための入力部25の使用について述べている。以下の例では、システム10へ機能入力を行うための入力部25の使用について述べる。
【0053】
システム10は、選択的に、入力装置(複数可)21a、21bと器具エンドエフェクタ41、41bのいずれかとを有効に連結させうる。外科手術処置の多くにおいて、操作者が2つ以上の器具エンドエフェクタ41a、41bから選択できることが望ましい。例えば、入力装置21a、21bを、複数の器具エンドエフェクタ41a、41bを制御するために使用できる。入力装置21a、21bは、器具エンドエフェクタ41、41bの一方に作動可能に結合されるとき、この一方の器具エンドエフェクタ41、41bを制御するために使用でき、器具の他方に作動可能に結合されるとき、この他方の器具エンドエフェクタ41a、41bを制御するために使用できる。換言すれば、入力装置21a、21bは、結合モードで作動可能に結合されている器具エンドエフェクタ40a、40bを制御するために使用できる。入力装置21a、21bと器具エンドエフェクタ41a、41bとの結合は、変更可能である。1つの器具エンドエフェクタ41aが、複数の入力装置21a、21bによって制御されうる。器具エンドエフェクタ41aは、1つの入力装置21aに結合可能であり、この1つの入力装置21aによって器具エンドエフェクタ41aの制御が可能となる。この1つの入力装置21aから結合がはずれると、器具エンドエフェクタ41aは別の入力装置21bに結合可能となり、この別の入力装置21bによって器具エンドエフェクタ41aの制御が可能となる。このように、2つ以上の器具エンドエフェクタ41a、41bは、単一の入力装置21と有効に連結されうる。
【0054】
入力装置21aおよび21bは、一度に1つの器具エンドエフェクタ41a、41bに関連付けられる、つまり作動可能に結合可能である。この関連性または結合は、1つの例では、ソフトウェアの制御で実施される。例えば、入力部25を用いてインターフェース内のメニューから選択肢を選択するなどのように、それぞれの入力装置21a、21bを操作してそれぞれの器具エンドエフェクタ41a、41bを選択することで、操作者Oは所望の結合を選択する。適切な器具エンドエフェクタ41a、41bが選択されると、それは入力装置21a、21bと動作可能に係合/結合し、操作者Oは選択された器具エンドエフェクタについて制御できる。これは入力装置21のクラッチ入力部22を用いてなされうる。入力装置21a、21b自体を、この係合を行うために用いる必要はない。操作者用コンソール20上の足踏みペダルまたはスイッチなどの別のボタンまたは制御装置を入力装置21a、21bの代わりにまたは入力装置21a、21bとともに用いることができる。あるいは、クラッチ入力部22以外の入力装置21a、21b上の別のボタンまたは制御装置が、適切な器具エンドエフェクタ41a、41bを入力装置21a、21bに動作可能に係合/結合するための係合入力部として備えられて、操作者Oは選択された器具エンドエフェクタについて制御できる。これにより、器具エンドエフェクタ41a、41bの選択に柔軟性を与える。入力装置21a、21bに作動可能に結合された器具エンドエフェクタ41a、41bは、結合器具エンドエフェクタと称されうる。入力装置21a、21bに作動可能に結合されていない器具エンドエフェクタs 41a、41bは、結合解除器具エンドエフェクタと称されうる。結合解除器具エンドエフェクタは入力装置21a、21bによって能動的に制御されていない。適切には、プロセッサ61は、どの器具エンドエフェクタ41a、41bが結合器具であるかを判定するよう構成される。
【0055】
したがって、プロセッサ61は、多数のモードで動作できる。すなわち、結合モード、結合解除モード、動作モード、および選択モードで動作できる。結合モードでは、入力装置21a、21bは、器具エンドエフェクタ41a、41bに作動可能に結合する。結合解除モードでは、入力装置21a、21bは、器具エンドエフェクタ41a、41bから作動可能な結合が解除されている。器具エンドエフェクタを入力装置21a、21bに作動可能に結合する上述の同じ機構を用いて、該器具エンドエフェクタを該入力装置21a、21bから作動可能な結合を解除できる。例えば、入力装置21a、21bのクラッチ入力部22を用いて、結合する器具エンドエフェクタ41a、41bの作動可能な結合を解除できる。この場合も、入力装置21a、21b自体をこの結合解除を実施するために用いる必要はない。操作者用コンソール20上の足踏みペダルまたはスイッチなどの別のボタンまたは制御装置を入力装置21a、21bの代わりにまたは入力装置21a、21bとともに用いることができる。あるいは、同様にクラッチ入力部22以外の入力装置21a、21b上の別のボタンまたは制御装置を、入力装置21a、21bから連結する器具エンドエフェクタ41a、41bを動作可能な係合/結合からはずすための係合入力部として備えることができる。それまでの器具エンドエフェクタが入力装置21a、21bから作動可能な結合が解除されれば、異なる器具エンドエフェクタが選択されて入力装置21a、21bに作動可能に結合されて、操作者Oは選択された器具について制御できる。
【0056】
選択モードでは、器具40a、40bを入力装置21から結合解除する際に、該入力装置21a、21bの入力部25が3次元入力部として機能することを停止し、自動的に器具エンドエフェクタ選択装置になり、操作者Oが入力装置21a、21bとの連結のための別の器具エンドエフェクタを選択可能となるように、プロセッサ61がさらに構成されうる。1つの例では、2つ以上の入力装置21a、21bを使用しているとき、入力装置21a、21bのうちの1つが結合解除される結果、この入力装置21a、21bに連結した器具エンドエフェクタが結合解除され、結合解除されている入力装置21a、21bの入力部25が単に選択装置になる。これにより、プロセッサは、同時に結合解除モードおよび選択モードで動作できる。別の例では、2つ以上の入力装置21a、21bを使用しているとき、入力装置21a、21bのうちの1つが結合解除される結果、連結する器具エンドエフェクタのすべてが結合解除され、すべての入力装置21a、21bの入力部25が自動的に選択装置になる。
【0057】
すでに述べたように、1つ以上の入力装置21a、21bの入力部25を用いて、画像撮像装置(例えば、内視鏡41c)の種々の自由度(上下、左右、拡大/縮小、およびロール)の制御も可能である。これは動作モードで行える。この動作モードでは、例えば、第1の入力装置21aの入力部25が、内視鏡41cに作動可能に結合されて、その上下および左右の動きを制御でき、第2の入力装置21bの入力部25が、内視鏡41cに作動可能に結合されて、内視鏡41cの拡大/縮小およびロールを制御できる。入力装置21a、21bのクラッチ入力部22を用いて、プロセッサ61を動作モードにして、操作者Oは内視鏡の要求自由度についての制御ができる。あるいは、上述のような入力装置21a、21bの別の係合入力部、または操作者用コンソール20上の足踏みペダルもしくはスイッチなどの別のボタンもしくは制御装置をクラッチ入力部22の代わりにまたはクラッチ入力部22とともに用いて、プロセッサ61を動作モードにすることができる。1つの例では、入力装置21a、21bのうちのいずれか1つが連結する器具エンドエフェクタ41a、41bから結合解除され、他方が連結する器具エンドエフェクタ41a、41bに係合したままで、入力装置21aおよび21bの両方の入力部25がプロセッサ61による内視鏡の自由度の制御からはずれ、両入力部25が器具選択装置となる。
【0058】
操作者に器具選択装置を提供することに加え、システム10に別の機能入力(例えば、メニュー型のインターフェースを通じた、操作者に利用可能である別の提供可能な多数の
モードの選択)を提供するように、入力部25を適合させることができる。1つの例では、システム10がこれらの他の機能の形態に入ると、すべての入力装置21a、21bを、関連付けられた各器具エンドエフェクタ41a、41bから結合解除するように、プロセッサ61が構成されている。さらに、プロセッサ61は、すべての入力部25を内視鏡41cから結合解除するよう構成されている。
【0059】
本発明は、外科用ロボットシステムの文脈の中で述べられてきたが、本発明の異なる局面は、他のマスタ装置-スレーブ装置ロボットシステムに等しく適用されると理解されるべきである。このため、このロボットシステムは、産業用システムまたは他の種類のシステムで有りうる。ロボットは、産業用ロボットまたは他の機能のためのロボットで有りうる。器具は産業用ツールまたは他の形態のツールで有りうる。器具の本体は、ロボットへの解放可能な取り付のためのカップリングおよびカップリングとエンドエフェクタとの間を通る細長いシャフトを備える。
【0060】
ここで述べた制御処理は、装置(複数可)に制御処理を行わせるソフトウェアを実行する1つ以上の物理的処理装置によって行われうる。この物理的処理装置または各物理的処理装置は、CPU、固定機能、またはプログラム可能なハードウェアなどの任意の適切なプロセッサで有りうる。
【0061】
本出願人は、本明細書に説明する個別の特徴を単独で、また、それら2つ以上の特徴の任意の組み合わせをここに開示する。この開示によって、本明細書に開示されたいかなる課題もそれらの特徴またはその特徴の組み合わせによって解決されるか否かに関係なく、かつ本願請求項の範囲に限定されることなく、それらの特徴またはその組み合わせを本明細書全体に基づき当業者の一般的な知識を踏まえて実施できる。本出願人は、本発明の態様がかかる個別の特徴またはその組み合わせのいずれによっても構成されうることを明示する。上述の説明に鑑みると、本発明の範囲内でさまざまな変更を加えうることは当業者にとって明白であろう。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b
【手続補正書】
【提出日】2022-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエンドエフェクタを支持する第1のマニピュレータと、
第2のエンドエフェクタを支持する第2のマニピュレータと、
前記第1のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第1のマスタ装置移動コマンドと、前記第2のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第2のマスタ装置移動コマンドとを操作者の手から同時に受けるよう構成され、前記操作者によって保持されるための本体と、前記第1のマスタ装置移動コマンドを受けるための第1の入力部とを備える入力装置と、
前記入力装置から受信した前記第1のマスタ装置移動コマンドおよび前記第2のマスタ装置移動コマンドに応えて、前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタそれぞれの所望のスレーブ装置移動を決定するよう構成されたプロセッサと、を備え
前記入力装置はさらに、
前記第1の入力部に結合された駆動機構であって、前記操作者に力のフィードバックを行うために前記第1の入力部に力を加えるよう構成された駆動機構、
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記第1の入力部に加えられた力を感知するよう構成された力センサ、
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記操作者がいつ前記第1の入力部に接触しているかを検知するよう構成された静電容量センサ、および
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記本体に対する前記第1の入力部の位置を感知するよう構成された位置センサの、1つ以上を備える、
マスタ-スレーブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記本体は、通常の使用において前記操作者の片手で把持されるよう構成されている、システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、
前記第1のエンドエフェクタの前記決定された所望のスレーブ装置移動に従った前記第1のエンドエフェクタ、
前記第2のエンドエフェクタの前記決定された所望のスレーブ装置移動に従った前記第2のエンドエフェクタの、1つ以上の移動を実行させるよう構成されている、システム。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記第1のエンドエフェクタは作業場所の画像を撮像するための画像撮像装置を備える、システム。
【請求項5】
請求項に記載のシステムにおいて、前記画像撮像装置は内視鏡である、システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載のシステムにおいて、撮像した前記画像を表示するための表示装置をさらに備える、システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、操作者選択参照フレームに対する前記第1の入力部の移動にともなって前記第1のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を決定するよう構成されている、システム。
【請求項8】
請求項に記載のシステムにおいて、前記操作者選択参照フレームは、前記入力装置に固定されているシステム。
【請求項9】
請求項6を引用する7に記載のシステムにおいて、前記操作者選択参照フレームは、前記表示装置に固定されている、システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、前記表示装置に表示された前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタの移動がそれぞれ前記第1の入力部および前記入力装置の動きに対応するように、入力装置参照フレームと第2のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新し、第1の入力部参照フレームと第1のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新するように構成されている、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
本出願人は、本明細書に説明する個別の特徴を単独で、また、それら2つ以上の特徴の任意の組み合わせをここに開示する。この開示によって、本明細書に開示されたいかなる課題もそれらの特徴またはその特徴の組み合わせによって解決されるか否かに関係なく、かつ本願請求項の範囲に限定されることなく、それらの特徴またはその組み合わせを本明細書全体に基づき当業者の一般的な知識を踏まえて実施できる。本出願人は、本発明の態様がかかる個別の特徴またはその組み合わせのいずれによっても構成されうることを明示する。上述の説明に鑑みると、本発明の範囲内でさまざまな変更を加えうることは当業者にとって明白であろう。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
第1のエンドエフェクタを支持する第1のマニピュレータと、
第2のエンドエフェクタを支持する第2のマニピュレータと、
前記第1のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第1のマスタ装置移動コマンドと、前記第2のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第2のマスタ装置移動コマンドとを操作者の手から同時に受けるよう構成された入力装置と、
前記入力装置から受信した前記第1のマスタ装置移動コマンドおよび前記第2のマスタ装置移動コマンドに応えて、前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタそれぞれの所望のスレーブ装置移動を決定するよう構成されたプロセッサと、を備えるマスタ-スレーブシステム。
[態様2]
態様1に記載のシステムにおいて、前記入力装置は、前記操作者によって保持されるための本体であって、通常の使用において前記操作者の片手で把持されるよう構成された本体を備える、システム。
[態様3]
態様1または2に記載のシステムにおいて、前記入力装置は、前記第1のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を実行させる前記第1のマスタ装置移動コマンドを受けるための第1の入力部を備える、システム。
[態様4]
態様3に記載のシステムにおいて、前記プロセッサは複数のモードで動作可能であり、前記複数のモードは、
前記入力装置が前記第2のエンドエフェクタに作動可能に結合する結合モードと、
前記入力装置が前記第2のエンドエフェクタから作動可能な結合が解除されている結合解除モードと、
前記第1の入力部が前記第1のエンドエフェクタに作動可能に結合する動作モードと、
前記第1の入力部が前記第1のエンドエフェクタに作動可能な結合が解除されている選択モードとを備える、システム。
[態様5]
態様4に記載のシステムにおいて、前記プロセッサはクラッチ入力部から受信した信号に応答して前記結合解除モードで作動するよう構成されている、システム。
[態様6]
態様4または5に記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記結合モードにあるとき、前記入力装置は、前記第2のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を実行させる前記第2のマスタ装置移動コマンドを受けるよう構成されている、システム。
[態様7]
態様4から6のいずれかに記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記動作モードにあるとき、前記第1の入力部は、前記第1のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を実行させる前記第1のマスタ装置移動コマンドを受けるよう構成されている、システム。
[態様8]
態様4から7のいずれかに記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記選択モードにあるとき、前記第1の入力部はさらに、前記入力装置と関連付けられる第3のエンドエフェクタを選択するよう構成されている、システム。
[態様9]
態様4から8のいずれかに記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、第2の入力部からの信号の受信に応答して前記動作モードで作動するよう構成されている、システム。
[態様10]
態様8に従属する態様9に記載のシステムにおいて、前記入力装置はさらに、前記第1の入力部による前記第3のエンドエフェクタの選択に応答して前記第3のエンドエフェクタの所望のスレーブ装置移動を実行させる第3のマスタ装置移動コマンドを受けるよう構成されている、システム。
[態様11]
態様4から10のいずれかに記載のシステムにおいて、前記プロセッサが前記結合解除モードになると、前記プロセッサはさらに、同時に前記結合解除モードおよび前記選択モードで作動するよう構成されている、システム。
[態様12]
態様3から11のいずれかに記載のシステムにおいて、前記入力装置はさらに、
前記第1の入力部に結合された駆動機構であって、前記操作者に力のフィードバックを行うために前記第1の入力部に力を加えるよう構成された駆動機構、
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記第1の入力部に加えられた力を感知するよう構成された力センサ、
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記操作者がいつ前記第1の入力部に接触しているかを検知するよう構成された静電容量センサ、および
前記第1の入力部で前記操作者からコマンドが受信されていると判定するために前記本体に対する前記第1の入力部の位置を感知するよう構成された位置センサの、1つ以上を備える、システム。
[態様13]
態様1から12のいずれかに記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、
前記第1のエンドエフェクタの前記決定された所望のスレーブ装置移動に従った前記第1のエンドエフェクタ、
前記第2のエンドエフェクタの前記決定された所望のスレーブ装置移動に従った前記第2のエンドエフェクタの、1つ以上の移動を実行させるよう構成されている、システム。
[態様14]
態様3から13のいずれかに記載のシステムにおいて、
前記第1のエンドエフェクタは多数の自由度を有し、
前記プロセッサは、前記第1のエンドエフェクタの前記自由度のうちの少なくとも1つを前記第1の入力部に選択的に関連させ、前記第1の入力部の移動に応答して前記第1のエンドエフェクタの前記自由度のうちの前記少なくとも1つの移動を実行させるよう構成されている、システム。
[態様15]
態様1から14のいずれかに記載のシステムにおいて、前記第1のエンドエフェクタは作業場所の画像を撮像するための画像撮像装置を備える、システム。
[態様16]
態様15に記載のシステムにおいて、前記画像撮像装置は内視鏡である、システム。
[態様17]
態様15または16に記載のシステムにおいて、撮像した前記画像を表示するための表示装置をさらに備える、システム。
[態様18]
態様3から17のいずれかに記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、操作者選択参照フレームに対する前記第1の入力部の移動にともなって前記第1のエンドエフェクタの前記所望のスレーブ装置移動を決定するよう構成されている、システム。
[態様19]
態様18に記載のシステムにおいて、前記操作者選択参照フレームは、
前記入力装置に固定されているか、または
前記表示装置に固定されている、システム。
[態様20]
態様3から19のいずれかに記載のシステムにおいて、前記プロセッサはさらに、前記表示装置に表示された前記第1のエンドエフェクタおよび前記第2のエンドエフェクタの移動がそれぞれ前記第1の入力部および前記入力装置の動きに対応するように、入力装置参照フレームと第2のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新し、第1の入力部参照フレームと第1のエンドエフェクタ参照フレームとの間の対応付けを継続して更新するように構成されている、システム。