IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐藤 公俊の特許一覧

<>
  • 特開-加熱調理方法および加熱調理セット 図1
  • 特開-加熱調理方法および加熱調理セット 図2
  • 特開-加熱調理方法および加熱調理セット 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107614
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】加熱調理方法および加熱調理セット
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/06 20060101AFI20230727BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20230727BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20230727BHJP
   A47J 36/04 20060101ALI20230727BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20230727BHJP
【FI】
F24C7/06 B
F24C15/10 B
F24C7/04 B
A47J36/04
A23L5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008893
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】522033195
【氏名又は名称】佐藤 公俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公俊
【テーマコード(参考)】
3L087
4B035
4B055
【Fターム(参考)】
3L087AA03
3L087AB11
3L087AC21
3L087CA13
3L087CC03
3L087DA24
4B035LC11
4B035LC16
4B035LE05
4B035LP01
4B035LT01
4B035LT20
4B055AA50
4B055BA31
4B055CA01
4B055DB02
4B055DB07
4B055FA01
4B055FB25
4B055FC02
(57)【要約】
【課題】食材を持ち上げることなく食材の加熱面の状態を確認できる。
【解決手段】食材1を加熱する調理方法であって、調理器具4における載置部41に食材1を載置した状態で、載置部41における食材1を載置した面(載置面F1)とは反対側の面(照射面F2)から赤外線3を照射し、載置部41は、赤外線3を透過し、かつ、透明なガラス材料で形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱する調理方法であって、
調理器具における載置部に食材を載置した状態で、前記載置部における前記食材を載置した面とは反対側の面から当該食材に赤外線を照射し、
前記載置部は、前記赤外線を透過し、かつ、透明なガラス材料で形成される
加熱調理方法。
【請求項2】
前記ヒータは、ハロゲンヒータであり、
前記ガラス材料は、ソーダガラス、硼珪酸ガラス、石英およびサファイアの1種以上を主成分とする
請求項1の加熱調理方法。
【請求項3】
前記ヒータは、カーボンヒータであり、
前記ガラス材料は、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムおよび酸化マグネシウムの1種以上を主成分とする
請求項1の加熱調理方法。
【請求項4】
食材を加熱するための加熱調理セットであって、
食材を載置するための載置部を有する調理器具と、
前記載置部における前記食材を載置した面とは反対側の面から赤外線を照射するヒータとを具備し、
前記載置部は、前記赤外線を透過し、かつ、透明なガラス材料で形成される
加熱調理セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を加熱により調理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フライパンや鍋などの調理器具で食材を加熱することで調理をする方法が一般的である。フライパンや鍋は、金属製(例えば鉄やアルミニウム)で形成されるため、不透明である。したがって、調理器具で食材を加熱することで焼く方法(例えば特許文献1)では、食材のうち調理器具と接触している加熱面(下面)が調理中は視認することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-67839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、調理中に加熱面における焼き状態を確認しようとすると、例えばフライ返しや箸などで食材を持ち上げて加熱面をのぞき込むしか確認方法がない。すなわち、加熱面の状態を確認しにくいという問題がある。加熱面の状態が確認しにくいと、食材に対する加熱が不十分になる場合や加熱が過多になりすぎる場合がある。例えば、両面から焼く必要があるお好み焼きやパンケーキ等の食材の場合には、十分に加熱されていない状態で食材を裏返してしまうと、食材の硬さが不足して形が崩れてしまう。一方で、表面にある程度の焼き目が必要な餃子等の食材では、加熱が過多の状態になると、食材が焦げすぎてしまう。
【0005】
以上の通り、食材を適切に加熱調理するには、加熱面の状態を確認することが重要である。以上の事情を考慮して、本発明は、食材を持ち上げることなく加熱面の状態を確認できる新規な調理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理方法は、調理器具における載置部に食材を載置した状態で、前記載置部における前記食材を載置した面とは反対側の面から当該食材に赤外線を照射し、前記載置部は、前記赤外線を透過し、かつ、透明なガラス材料で形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の好適な態様に係る加熱調理方法によれば、食材を持ち上げることなく食材の加熱面の状態(焼き加減)を確認できる新規な調理方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る加熱調理方法を模式的に表す模式図である。
図2】実施例に係る加熱調理方法の写真である。
図3】実施例に係る加熱調理方法の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る加熱調理方法を模式的に表す模式図である。図1に例示される通り、本実施形態に係る加熱調理方法は、食材1に赤外線3を照射することで加熱(すなわち輻射加熱)する。具体的には、加熱調理方法は、調理器具4と赤外線3を照射するヒータ2とを用いる。
【0010】
ヒータ2は、赤外線3(波長780nm以上1mm以下)を照射する照射器具である。例えば、発熱体にハロゲン電球を用いたハロゲンヒータや、発熱体に炭素化合物を用いたカーボンヒータ等がヒータ2として利用される。なお、ヒータ2の形状は、赤外線3を放射する面が調理器具4を載置可能な形状(典型的には平面)が好ましい。
【0011】
調理器具4は、食材1を載置するための載置部41を有する器具である。調理器具4の形状は、任意であるが、例えばフライパン型、鍋型、鉄板型や皿型などが例示される。調理器具4において加熱調理の際に食材1を載置する部分が載置部41である。例えば、調理器具4の形状がフライパン型や鍋型である場合には、底部が載置部41に相当する。
【0012】
以下の説明では、載置部41のうち食材1が載置される面を「載置面F1」と表記し、載置部41のうち載置面F1とは反対側の面を「照射面F2」と表記する。載置面F1側からヒータ2により赤外線3が照射される。
【0013】
具体的には、調理器具4は、透明なガラス材料で形成される。ここで、透明なガラス材料とは、例えば、可視光線(波長範囲360~780nm)を70%以上、好ましくは90%以上透過する材料である。なお、調理器具4の全体が透明なガラス材料で形成される必要はなく、少なくとも載置部41が透明なガラス材料で形成されればよい。
【0014】
具体的には、載置部41に使用されるガラス材料は、使用するヒータ2が照射する赤外線3を透過する材料である。ヒータ2が照射する赤外線3の波長に対して透過率が20%以上であり、好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上である材料がガラス材料として使用される。
【0015】
波長が0.8~2.0μmの範囲内にある赤外線3を照射するヒータ2(例えば0.9~2.0μmの赤外線3を照射するハロゲンヒータ)を使用する場合には、例えば、当該赤外線3を透過するソーダガラス、硼珪酸ガラス、石英およびサファイアの1種以上を主成分(全体の90質量%以上)とするガラス材料が好適に使用される。食材1に十分に赤外線3を照射する観点からは、これらの中でもサファイアが好ましく、費用的な面からは硼珪酸ガラスが好ましい。
【0016】
波長が2~5μmの範囲内にある赤外線3を照射するヒータ2(例えば2~4μmの赤外線3を照射するカーボンヒータ)を使用する場合には、例えば、当該赤外線3を透過するサファイア、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムおよび酸化マグネシウムの1種以上を主成分(全体の90質量%以上)とするガラス材料が好適に使用される。食材1に十分に赤外線3を照射する観点からは、これらの中でもフッ化カルシウムが好ましい。
【0017】
なお、載置部41に使用されるガラス材料は、以上の例示に限定されない。ヒータ2の赤外線3を透過し、かつ、透明であればガラス材料の種類は任意である。なお、ガラス材料には、各種の添加剤なども適宜に含有され得る。
【0018】
図1に例示される通り、食材1を載置部41の載置面F1に載置した状態で、照射面F2側(すなわち、載置部41からみて食材1とは反対側)からヒータ2により赤外線3を照射する。ヒータ2から放射された赤外線3は、載置部41を透過して食材1に照射される。そして、赤外線3は、食材1に吸収されて熱に変化し、食材1の温度を上昇させる。すなわち、食材1が加熱される。
【0019】
ここで、例えば鉄やアルミニウムなどの金属製の載置部を有する調理器具(例えばフライパン)で食材をガスコンロやIH(Induction Heating)ヒータで加熱する加熱調理方法(以下「比較例」という)を想定する。比較例に係る加熱調理方法では、調理中に食材のうち調理器具に接触する面(以下「加熱面」という)における焼き状態を確認しようとすると、例えばフライ返しや箸などで食材を持ち上げて加熱面をのぞき込むしか確認方法がない。したがって、加熱面の状態が確認しにくいという問題がある。加熱面の状態が確認しにくい結果、食材に対する加熱が不十分になる場合や加熱が過多になりすぎる場合がある。
【0020】
それに対して、本実施形態に係る加熱調理方法では、透明な載置部41に食材1を載置するから、食材1を持ち上げることなく、載置部41の照射面F2側から目視することで、食材1の加熱面の状態を確認することができる。したがって、食材1に対する加熱が不十分になる場合や加熱が過多になりすぎる可能性を低減できる。ひいては、最適な焼き加減で食材1を調理することが可能になる。
【0021】
図2には、本実施形態の一例(以下「実施例」という)に係る加熱調理方法で食材1を調理した写真が示されている。実施例では、調理器具4に透明な角皿(耐熱ガラス)を使用して、餃子を食材1として調理した。実施例では、0.9~2.0nmの波長を照射するハロゲンヒータをヒータ2として使用した。図3に示される通り、調理器具4における載置部41の照射面F2側から食材1の焼き目を調理中であっても確認できる。
【0022】
本発明に係る加熱調理方法は、特に、両面から加熱する必要がある(すなわち裏返して焼く必要がある)お好み焼きやパンケーキ、焼き加減が重要になる餃子やステーキなどの各種の食材1に好適に利用される。
【0023】
また、比較例では、調理器具を加熱し、調理器具からの熱伝導で食材を加熱する。すなわち、調理器具自体が高温になる。それに対して、本発明では、載置部41が赤外線3を透過するから、調理器具4(載置部41)の温度は赤外線3では上昇しない。載置部41の温度が赤外線3では上昇しないことで、食材1で発生した余分な熱を載置部41により放散することが可能になる。したがって、過熱による焦げ付きを抑制できるという利点がある。
【0024】
また、調理器具4の温度が赤外線3では上昇しないから、調理の際に調理器具4に接触しても火傷することがない。したがって、図3に例示される通り、調理中に素手で調理器具4を持ち上げて照射面F2側から食材1の加熱面の状態を確認することも可能になる。なお、調理器具4を持ち上げて照射面F2側から食材1の状態を確認することは必須ではない。調理器具4をヒータ2の上に載置した状態で、照射面F2側から食材1の状態を確認してもよい。
【0025】
以上の説明から理解される通り、本発明に係る加熱調理方法は、調理器具4における載置部41に食材1を載置した状態で、載置部41における食材1を載置した面とは反対側の面から当該食材1に赤外線3を照射する。
【0026】
また、本発明は、食材1を加熱するための加熱調理セットであって、食材1を載置するための載置部41を有する調理器具4と、載置部41における照射面F2側から赤外線3を照射するヒータ2とを具備し、載置部41が赤外線3を透過し、かつ、透明なガラス材料で形成される加熱調理セットとしても特定される。
【符号の説明】
【0027】
1 :食材
2 :ヒータ
3 :赤外線
4 :調理器具
41:載置部
F1 :載置面
F2 :照射面
図1
図2
図3