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特開2023-107635学習装置、推定装置、学習方法、推定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107635
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】学習装置、推定装置、学習方法、推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230727BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20230727BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20230727BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20230727BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230727BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06N3/08
G06Q10/04
G16H30/00
A61B6/03 360Z
A61B6/03 377
G01T1/161 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008922
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】509349141
【氏名又は名称】京都府公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】角谷 倫之
(72)【発明者】
【氏名】勝田 義之
(72)【発明者】
【氏名】神宮 啓一
(72)【発明者】
【氏名】梶川 智博
(72)【発明者】
【氏名】山田 惠
(72)【発明者】
【氏名】玉木 長良
【テーマコード(参考)】
4C093
4C188
5L049
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093AA26
4C093CA15
4C093CA37
4C093DA03
4C093FD03
4C093FF08
4C093FF31
4C188EE02
4C188FF04
4C188KK24
5L049AA04
5L096AA03
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA18
5L096DA02
5L096EA12
5L096HA11
5L096KA04
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】生理学的な活性を示す画像の取得に要する負担を軽減すること。
【解決手段】本発明の一態様は、生体組織を指定する像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルを、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新するモデル学習部、を備える学習装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を指定する像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルを、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新するモデル学習部、
を備える学習装置。
【請求項2】
前記像条件を満たす生体組織は、肺である、
請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記外観画像は前記肺を写すCT(Computed Tomography)画像が、正常肺実質のCT値の最大値以上を1、最小値以下を0として規格化された画像である、
請求項2に記載の学習装置。
【請求項4】
前記機能画像は、SPECT検査で得られた画像が肺換気値の中央値を用いて規格化された画像である、
請求項2に記載の学習装置。
【請求項5】
生体組織を指定する像条件を満たす生体組織である対象組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データを取得する外観画像データ取得部と、
前記像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを、前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルが、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新された数理モデル、である学習済みの機能画像推定モデルを用い、前記外観画像データ取得部の得た画像データに基づき、前記画像データが示す生体組織の機能画像の画像データを推定する推定部と、
を備える推定装置。
【請求項6】
生体組織を指定する像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルを、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新するモデル学習ステップ、
を有する学習方法。
【請求項7】
生体組織を指定する像条件を満たす生体組織である対象組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データを取得する外観画像データ取得ステップと、
前記像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを、前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルが、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新された数理モデル、である学習済みの機能画像推定モデルを用い、前記外観画像データ取得ステップで得られた画像データに基づき、前記画像データが示す生体組織の機能画像の画像データを推定する推定ステップと、
を有する推定方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の学習装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項5に記載の推定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習装置、推定装置、学習方法、推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療などの疾患の治療には、肺に対するSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査により得られる画像等の、肺の各部の生理学的な活性を示す画像である肺機能画像が用いられる場合がある。生理学的な活性を機能ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-68814号公報
【特許文献2】特開2013-192912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、肺機能画像の取得には、特殊な薬剤を用いる必要があることや、上述の特許文献1に記載のように呼気画像と吸気画像との少なくとも2つの画像を必要とするなど、取得に労力を要する場合があった。また、この事情は肺に限らず、生体組織に共通の課題であった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、生理学的な活性を示す画像の取得に要する負担を軽減する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、生体組織を指定する像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルを、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新するモデル学習部、を備える学習装置である。
【0007】
本発明の一態様は、生体組織を指定する像条件を満たす生体組織である対象組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データを取得する外観画像データ取得部と、前記像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを、前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルが、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新された数理モデル、である学習済みの機能画像推定モデルを用い、前記外観画像データ取得部の得た画像データに基づき、前記画像データが示す生体組織の機能画像の画像データを推定する推定部と、を備える推定装置である。
【0008】
本発明の一態様は、生体組織を指定する像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルを、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新するモデル学習ステップ、を有する学習方法である。
【0009】
本発明の一態様は、生体組織を指定する像条件を満たす生体組織である対象組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データを取得する外観画像データ取得ステップと、前記像条件を満たす生体組織の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを、前記生体組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データに基づいて推定する機能画像推定モデルが、所定の終了条件が満たされるまで、前記像条件を満たす生体組織の機能画像の画像データと前記生体組織の外観画像の画像データとの対を用いて更新された数理モデル、である学習済みの機能画像推定モデルを用い、前記外観画像データ取得ステップで得られた画像データに基づき、前記画像データが示す生体組織の機能画像の画像データを推定する推定ステップと、を有する推定方法である。
【0010】
本発明の一態様は、上記の学習装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
本発明の一態様は、上記の推定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、生理学的な活性を示す画像の取得に要する負担を軽減する技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の機能画像取得システムを説明する説明図。
図2】実施形態における学習装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態における学習装置が備える制御部の構成の一例を示す図。
図4】実施形態における学習装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図5】実施形態における推定装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図6】実施形態における推定装置が備える制御部の構成の一例を示す図。
図7】実施形態における推定装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図8】実施形態の機能画像取得システムを用いた実験の結果の一例を説明する第1の説明図。
図9】実施形態の機能画像取得システムを用いた実験の結果の一例を説明する第2の説明図。
図10】実施形態の機能画像取得システムを用いた実験の結果の一例を説明する第3の説明図。
図11】実施形態の機能画像取得システムを用いた実験の結果の一例を説明する第4の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
図1は、実施形態の機能画像取得システム100を説明する説明図である。機能画像取得システム100は、生体組織を指定する条件である像条件を満たす生体組織(以下「対象組織」という。)の各部の生理学的な活性を示す画像である機能画像の画像データを取得する。より具体的には、機能画像取得システム100は、CT(Computed Tomography)画像等の対象組織の形状及び組成を示す画像である外観画像の画像データ基づいて機能画像の画像データを得る。
【0015】
像条件は、生体組織を指定する予め定められた条件であればどのような条件であってもよい。像条件が指定する生体組織は、例えば肺である。像条件が指定する生体組織は、例えば脳であってもよい。像条件が指定する生体組織は、例えば大腸であってもよい。像条件が指定する生体組織は、必ずしも1つである必要は無く複数であってもよい。
【0016】
機能画像は、例えばSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査で得られる画像である。機能画像は、例えばPET検査(Positron Emission Tomography)検査で得られる画像であってもよい。機能画像は、例えばHe又は129Xeを造影剤として用いたMRI(Magnetic Resonance Imaging)で得られる画像であってもよい。
【0017】
外観画像は、3次元の外観画像から得られた複数の2次元の断面画像の1又は複数であってもよい。3次元の外観画像は、例えば3次元のCTスキャンによって得られる。機能画像もまた、3次元の機能画像から得られた複数の2次元の断面画像の1又は複数であってもよい。3次元の機能画像は、例えば3次元のSPECT検査や、3次元のPET検査や、3次元のMRIで得られる。
【0018】
機能画像取得システム100は、学習装置1と推定装置2とを備える。学習装置1は、対象組織の外観画像の画像データに基づき対象組織の機能画像の画像データを推定する数理モデルを、機械学習により得る。
【0019】
より具体的には学習装置1は、対象組織の外観画像の画像データに基づき対象組織の機能画像の画像データを推定する数理モデル(以下「機能画像推定モデル」という。)を、学習の終了に関する所定の条件(以下「学習終了条件」という。)が満たされるまで、機械学習により更新する。学習装置1は、学習終了条件が満たされた時点の機能画像推定モデルを、学習済みの機能画像推定モデルとして取得する。
【0020】
学習終了条件は、例えば所定の回数の更新が行われた、という条件である。学習終了条件は、例えば更新による機能画像推定モデルの変化が所定の変化より小さいという条件であってもよい。
【0021】
学習の一例を説明する。学習では、対象組織の外観画像の画像データと対象組織の機能画像の画像データとの対(以下「学習用データ」という。)が学習に用いられる。学習用データの集合がいわゆる学習用データセットである。以下、学習用データに含まれる機能画像の画像データを、学習機能画像データという。また、以下、機能画像推定モデルの出力する推定画像の画像データを推定画像データという。機能画像推定モデルの出力する推定画像の画像データとは、機能画像推定モデルが推定した推定画像の画像データである。
【0022】
図1の情報D100は、学習用データセットの一例である。画像D101-1~画像D101-N(Nは1以上の整数)は、それぞれ外観画像の一例である。画像D102-1~画像D102-Nは、それぞれ機能画像の一例である。画像D101-nの画像データと画像D102-nの画像データ(nは1以上N以下の整数)との各対がそれぞれ、学習用データの一例である。ニューラルネットワークD103は、機能画像推定モデルを表現するニューラルネットワークの一例である。各学習用データがニューラルネットワークD103に入力されることで、ニューラルネットワークD103が更新される。
【0023】
学習では、学習用データに含まれる外観画像の画像データに対して機能画像推定モデルが実行される。学習では、機能画像推定モデルの実行の結果出力された推定画像データと、学習機能画像データとに基づき、推定画像データと学習機能画像データとの違いを小さくするように、機能画像推定モデルが更新される。学習終了条件が満たされるまで更新が行われる。学習終了条件が満たされた時点の機能画像推定モデルが、学習済みの機能画像推定モデルである。
【0024】
学習の対象の数理モデルは例えば、畳み込み層によって画像から特徴を抽出するエンコーダと、抽出した特徴を受け取り、確率マップを出力するデコーダと、で構成されるニューラルネットワークで表現される。学習では、ニューラルネットワークのパラメータの値が更新されることで、数理モデルが更新される。
【0025】
推定装置2は、学習済みの機能画像推定モデルを用い、入力された外観画像の画像データに基づいて、外観画像に写る生体組織の機能画像の画像データを推定する。
【0026】
図2は、実施形態における学習装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。学習装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。学習装置1は、プログラムの実行によって制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0027】
より具体的には、プロセッサ91が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、学習装置1は、制御部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び出力部15を備える装置として機能する。
【0028】
制御部11は、学習装置1が備える各種機能部の動作を制御する。制御部11は、例えば機能画像推定モデルを学習により更新する。制御部11は、例えば出力部15の動作を制御する。制御部11は、例えば機能画像推定モデルの学習の実行により生じた各種情報を記憶部14に記録する。制御部11は、例えば得られた学習済みの機能画像推定モデルを記憶部14に記録する。
【0029】
入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部12は、これらの入力装置を学習装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部12は、学習装置1に対する各種情報の入力を受け付ける。
【0030】
通信部13は、学習装置1を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部13は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば学習用データの送信元の装置である。通信部13は、学習用データの送信元との通信により学習用データを取得する。外部装置は、例えば推定装置2である。通信部13は推定装置2との通信によって、学習済みの機能画像推定モデルを推定装置2に出力する。なお、学習用データは、必ずしも通信部13を介して入力される必要は無く、入力部12に入力されてもよい。また、学習用データの一部又は全部は予め記憶部14に記憶済みであってもよい。
【0031】
記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部14は学習装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば入力部12又は通信部13を介して入力された情報を記憶する。記憶部14は、例えば機能画像推定モデルの学習の実行により生じた各種情報を記憶する。記憶部14は、例えば学習が行われる前の機能画像推定モデルを予め記憶する。記憶部14は、得られた学習済みの機能画像推定モデルを記憶してもよい。
【0032】
出力部15は、各種情報を出力する。出力部15は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部15は、これらの表示装置を学習装置1に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部15は、例えば入力部12に入力された情報を出力する。出力部15は、例えば機能画像推定モデルの実行結果を表示してもよい。
【0033】
図3は、実施形態における学習装置1が備える制御部11の構成の一例を示す図である。制御部11は、学習用データ取得部110、モデル学習部120、通信制御部130、記憶制御部140及び出力制御部150を備える。
【0034】
学習用データ取得部110は、学習用データを取得する。学習用データ取得部110は、入力部12又は通信部13に入力された学習用データを取得する。学習用データ取得部110は、記憶部14に記憶済みの学習用データを読み出すことで学習用データを取得してもよい。
【0035】
モデル学習部120は、学習用データを用いて、学習終了条件が満たされるまで機能画像推定モデルを更新する。すなわち、モデル学習部120は、学習用データを用いて機能画像推定モデルの学習を実行することで学習済みの機能画像推定モデルを得る。
【0036】
通信制御部130は通信部13の動作を制御する。記憶制御部140は、記憶部14に各種情報を記録する。出力制御部150は、出力部15の動作を制御する。
【0037】
図4は、実施形態における学習装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。学習用データ取得部110が学習用データを取得する(ステップS101)。次に、モデル学習部120が、学習用データの含む外観画像の画像データに対して機能画像推定モデルを実行する(ステップS102)。学習用データの含む外観画像の画像データに対して機能画像推定モデルを実行により、機能画像推定モデルが推定した画像の画像データが得られる。
【0038】
次に、モデル学習部120は、機能画像推定モデルが推定した画像の画像データと学習用データの含む機能画像の画像データとの違いを小さくするように、機能画像推定モデルを更新する(ステップS103)。次にモデル学習部120は、学習終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS104)。学習終了条件が満たされない場合(ステップS104:NO)、ステップS101の処理に戻り、新たな学習用データが取得される。一方、学習終了条件が満たされる場合(ステップS104:YES)、処理が終了する。学習終了条件が満たされた時点の機能画像推定モデルが、学習済みの機能画像推定モデルである。
【0039】
図5は、実施形態における推定装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。推定装置2は、バスで接続されたCPU等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部21を備え、プログラムを実行する。推定装置2は、プログラムの実行によって制御部21、入力部22、通信部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0040】
より具体的には、プロセッサ93が記憶部24に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、推定装置2は、制御部21、入力部22、通信部23、記憶部24及び出力部25を備える装置として機能する。
【0041】
制御部21は、推定装置2が備える各種機能部の動作を制御する。制御部21は、例えば、学習済みの機能画像推定モデルを実行する。制御部21は、例えば出力部25の動作を制御する。制御部21は、例えば学習済みの機能画像推定モデルの実行により生じた各種情報を記憶部24に記録する。制御部21は、例えば学習済みの機能画像推定モデルの推定の結果を記憶部24に記録する。
【0042】
入力部22は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。入力部22は、これらの入力装置を推定装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部22は、推定装置2に対する各種情報の入力を受け付ける。
【0043】
通信部23は、推定装置2を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部23は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば外観画像の画像データの送信元の装置である。通信部23は、外観画像の画像データの送信元の装置との通信により、外観画像の画像データを取得する。
【0044】
外部装置は、例えば学習装置1である。通信部13は学習装置1との通信によって、学習済みの機能画像推定モデルを取得する。なお、通信部23の取得する外観画像の画像データは、学習済みの機能画像推定モデルの実行の対象である。なお、学習済みの機能画像推定モデルの実行の対象は、必ずしも通信部23に入力される必要は無く、入力部22に入力されてもよい。
【0045】
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部24は推定装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部24は、例えば入力部22又は通信部23を介して入力された情報を記憶する。記憶部24は、例えば学習済みの機能画像推定モデルを記憶する。記憶部24は、例えば学習済みの機能画像推定モデルの実行により生じた各種情報を記憶する。
【0046】
出力部25は、各種情報を出力する。出力部25は、例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部25は、これらの表示装置を推定装置2に接続するインタフェースとして構成されてもよい。出力部25は、例えば入力部22に入力された情報を出力する。出力部25は、例えば学習済みの機能画像推定モデルの推定の結果を表示してもよい。
【0047】
図6は、実施形態における推定装置2が備える制御部21の構成の一例を示す図である。制御部21は、外観画像データ取得部210、推定部220、通信制御部230、記憶制御部240及び出力制御部250を備える。
【0048】
外観画像データ取得部210は、外観画像の画像データを取得する。外観画像データ取得部210は、入力部22又は通信部23に入力された外観画像の画像データを取得する。
【0049】
推定部220は、外観画像データ取得部210の取得した外観画像の画像データに対して、学習済みの機能画像推定モデルを実行する。推定部220は、学習済みの機能画像推定モデルの実行により、実行の対象の画像データが示す生体組織の機能画像の画像データを推定する。
【0050】
通信制御部230は通信部23の動作を制御する。記憶制御部240は、記憶部24に各種情報を記録する。出力制御部250は、出力部25の動作を制御する。
【0051】
図7は、実施形態における推定装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。外観画像データ取得部210が外観画像の画像データを取得する(ステップS201)。次に、推定部220が、ステップS201で得られた外観画像の画像データに対して学習済みの機能画像推定モデルを実行する(ステップS202)。ステップS201で得られた外観画像の画像データに対する学習済みの機能画像推定モデルの実行により、推定部220は、ステップS201で得られた画像データが示す生体組織の機能画像の画像データを推定する。次に、出力制御部250が、出力部25に、ステップS202で得られた推定の結果を出力させる(ステップS203)。
【0052】
<実験結果>
SPECT/CT Ventilation検査が実施された71症例を用いた実験の結果の一例を説明する。実験では肺換気能の機能画像の画像データを推定することが行われた。実験では、各患者のSPECT検査で得られた画像とCT画像とが用いられた。実験では、5分割交差検証が行われた。検証では2つの指標が用いられた。2つの指標の1つは、Spearman’s rank correlation coefficient(Spearman rs)であった。2つの指標の他の1つは、Dice similarity coefficient(DSC)であった。
【0053】
図8は、実施形態の機能画像取得システム100を用いた実験の結果の一例を説明する第1の説明図である。より具体的には図8は、機能画像取得システム100を用いて得た学習済みの機能画像推定モデルを用いて、肺換気能の機能画像の画像データを推定した結果の一例である。
【0054】
図9は、実施形態の機能画像取得システム100を用いた実験の結果の一例を説明する第2の説明図である。より具体的には図9は、図8の推定の結果と比較するためのデータであり、図8の結果の推定に用いられた外観画像の提供者の機能画像である。より具体的には、図9はSPECT検査で得られた画像である。すなわち、図9の画像は、図8が示す推定結果に対する正解の画像である。
【0055】
図8図9とは、図8の画像と図9の画像とが略同一であることを示す。このように学習装置1が得た学習済みの機能画像推定モデルは、外観画像の画像データに基づき、高い精度で機能画像の画像データを推定する。
【0056】
図10は、実施形態の機能画像取得システム100を用いた実験の結果の一例を説明する第3の説明図である。より具体的には、図10は、実験の結果得られた、指標Spearman rsと、DSCのHighと、DSCのMiddleと、DSCのLowと、の値の分布を示す。図10において“CTVIMCD U-Net”は、学習済みの機能画像推定モデルによる推定の結果、を意味する。図10は、特許文献1に記載の方法等の従来の方法よりも、推定の精度が高いことを示す。DSCのHigh、Middle、Lowはそれぞれ順に、肺換気能の、高機能、中機能、低機能を意味する。
【0057】
図11は、実施形態の機能画像取得システム100を用いた実験の結果の一例を説明する第4の説明図である。図11は、実験の結果、指標Spearman rsの値が0.77±0.06であったことを示す。図11は、実験の結果、DSCのHighの値が0.69±0.07であったことを示す。図11は、実験の結果、DSCのMiddleの値が0.50±0.06であったことを示す。図11は、実験の結果、DSCのLowの値が0.75±0.04であったことを示す。このように図11の結果は、特許文献1に記載の方法等の従来の方法よりも、推定の精度が高いことを示す。なお、指標Spearman rsの値は予測値と実測値の相関係数であり、DSCのHighの値は高機能肺領域の一致度であり、DSCのMiddleの値は中機能肺領域の一致度であり、DSCのLowの値は低機能肺領域の一致度である。
【0058】
このように構成された実施形態における学習装置1は、外観画像の画像データに基づいて機能画像の画像データを推定する数理モデルを学習により更新する。得られた学習済みの数理モデルを用いれば、1つの外観画像があれば、造影剤等の特殊な薬剤を用いることなく、高い精度で機能画像の画像データを推定することが可能である。そのため、学習装置1は、生理学的な活性を示す画像の取得に要する負担を軽減することができる。
【0059】
また、このように構成された実施形態における推定装置2は、学習装置1が得た学習済みの数理モデルを用いて、機能画像の画像データの推定を行う。そのため、推定装置2は、生理学的な活性を示す画像の取得に要する負担を軽減することができる。
【0060】
また、このように構成された実施形態における機能画像取得システム100は、学習装置1を備える。そのため、機能画像取得システム100は、生理学的な活性を示す画像の取得に要する負担を軽減することができる。
【0061】
(変形例)
なお、対象組織が肺である場合に、外観画像は肺野を抽出した画像であってもよい。
【0062】
なお、対象組織が肺である場合であって外観画像がCT画像である場合、正常肺実質のCT値の最大値以上を1、最小値以下を0として規格化された画像が外観画像として用いられてもよい。CT画像に写る正常肺実質のCT値は、肺以外の生体組織の像の範囲外にあることが多い。そのためこのスケーリングにより肺実質が持つ情報を強調することが可能である。その結果、機能画像推定モデルの学習の効率は向上し、学習済みの機能画像推定モデルの推定の精度はより一層向上する。なお、CT値の最大値は例えば-250HUであり、最小値は例えば-999HUである。
【0063】
なお、対象組織が肺である場合、機能画像はSPECT検査で得られた画像が肺換気値の中央値を用いて規格化された画像であってもよい。なお、対象組織が肺である場合、機能画像は肺換気値の最大値を用いて規格化された画像であってもよい。
【0064】
なお、機能画像取得システム100、学習装置1及び推定装置2のそれぞれは、ネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、機能画像取得システム100、学習装置1及び推定装置2のそれぞれが備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。
【0065】
なお、機能画像取得システム100、学習装置1及び推定装置2の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0066】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0067】
100…機能画像取得システム、 1…学習装置、 2…推定装置、 11…制御部、 12…入力部、 13…通信部、 14…記憶部、 15…出力部、 110…学習用データ取得部、 120…モデル学習部、 130…通信制御部、 140…記憶制御部、 150…出力制御部、 91…プロセッサ、 92…メモリ、 21…制御部、 22…入力部、 23…通信部、 24…記憶部、 25…出力部、 210…外観画像データ取得部、 220…推定部、 230…通信制御部、 240…記憶制御部、 250…出力制御部、 91…プロセッサ、 92…メモリ、 93…プロセッサ、 94…メモリ
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11