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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107660
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】マウスパッド
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/039 20130101AFI20230727BHJP
【FI】
G06F3/039
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008954
(22)【出願日】2022-01-24
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 忠史
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AC15
5B087AC16
5B087BB18
(57)【要約】
【課題】抗菌や抗ウィルスの機能低下を抑制すること。
【解決手段】マウスパッド10は、光学式マウス用のマウスパッドである。マウスパッド10は、シート部材11と、塗膜12と、を有する。シート部材11は、上面に複数の突起部11aが設けられたシート部材である。塗膜12は、シート部材11の上面に形成され抗菌及び抗ウィルスの少なくともいずれかの機能を有する塗膜である。シート部材11の複数の突起部11aの高さは、塗膜12の厚さ以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式マウス用のマウスパッドであって、
上面に複数の突起部が設けられたシート部材と、
前記上面に形成され抗菌及び抗ウィルスの少なくともいずれかの機能を有する塗膜と、
を有し、
前記複数の突起部の高さが前記塗膜の厚さ以上である、
マウスパッド。
【請求項2】
請求項1に記載のマウスパッドであって、
前記複数の突起部の高さは一様である、
マウスパッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマウスパッドであって、
前記塗膜は、前記上面のうち前記複数の突起部が設けられていない部分と、前記複数の突起部の部分と、に形成されている、
マウスパッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のマウスパッドであって、
前記複数の突起部は、先端にいくほど、前記複数の突起部の突出方向と直交する面の面積が小さくなる形状である、
マウスパッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のマウスパッドであって、
前記複数の突起部は、前記シート部材の上面のうち少なくとも一部の領域に設けられており、
前記領域のうち前記複数の突起部が占める面積の割合が20%未満である、
マウスパッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のマウスパッドであって、
前記複数の突起部の平均間隔は3[mm]以下である、
マウスパッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のマウスパッドであって、
前記複数の突起部の平均高さは0.7[mm]以下である、
マウスパッド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のマウスパッドであって、
前記複数の突起部は、千鳥配置で設けられている、
マウスパッド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のマウスパッドであって、
前記複数の突起部の色は、前記塗膜と異なる色と異なる、
マウスパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置では、入力手段としてマウスを備えているのが一般的である。近年では、発光素子及び受光素子をマウスに取り付けて光学的にマウスの移動方向及び移動速度を検知する光学式マウスが一般的である。マウスは、机上に載置したマウスパッド上で移動させることで効率的に操作することができる。マウスパッドには、板状体に形成されてマウスの移動操作を効率よく行うために様々な材料が用いられている。
【0003】
ところで、新型コロナウィルスの流行などを背景に抗菌・抗ウィルス機能を付与した製品が増加している。抗菌・抗ウィルス機能を製品に付与する方法として、製品の表面に抗菌・抗ウィルス機能を有する塗料を塗布する手法がある。例えば、特許文献1には、抗菌層を有し抗菌機能があるマウスパッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3157464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マウスパッドは日常的に手が触れる製品であり、抗菌機能や抗ウィルス機能を持つことの意義は大きいが、マウスパッドは光学式マウスが摺動することが前提の製品のため、通常の使用でも表面の抗菌・抗ウィルス塗装が摩耗してしまい、抗菌や抗ウィルスの機能の低下につながる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、抗菌や抗ウィルスの機能低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマウスパッドは、光学式マウス用のマウスパッドであって、上面に複数の突起部が設けられたシート部材と、前記上面に形成され抗菌及び抗ウィルスの少なくともいずれかの機能を有する塗膜と、を有し、前記複数の突起部の高さが前記塗膜の厚さ以上であるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、抗菌や抗ウィルスの機能低下を抑制することのできるマウスパッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例であるマウスパッド10の一例を示す平面図である。
図2】マウスパッド10の一部断面図である。
図3】マウスパッド10の摩耗過程の一例を示す図(その1)である。
図4】マウスパッド10の摩耗過程の一例を示す図(その2)である。
図5】シート部材11の寸法の一例を説明するための図である。
図6】突起部11aの摩耗に応じた塗膜12の残存面積の一例を説明するための図である。
図7】マウスパッド10の他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(実施形態)
<本発明の一実施例であるマウスパッド10>
図1は、本発明の一実施例であるマウスパッド10の一例を示す平面図である。マウスパッド10は、光学式マウス用のマウスパッドである。光学式マウスは、例えば、レーザー方式、ブルーLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)方式、IR(Infrared rays) LED方式、又は光学式(赤色LED方式)のマウスである。
【0012】
マウスパッド10について、マウスパッド10の平面方向と平行であり、かつ互いに直交する2つの方向をX方向(図1の横方向)及びY方向(図1の縦方向)とする。また、マウスパッド10の平面方向と直交する方向をZ方向(図1の奥行方向)とする。また、Z方向の正方向(図1の手前方向)を上方向とし、Z方向の負方向(図1の奥方向)を下方向とする。
【0013】
この場合、マウスパッド10の下方向の面を底面として、マウスパッド10がデスク等に設置される。また、マウスパッド10の上方向の面を上面として、上面に光学式マウスが設置される。
【0014】
マウスパッド10は、略矩形の板状体である。図1においてドット群で示す複数の突起10aは、マウスパッド10の上面における微細な突起である。少なくとも未使用状態のマウスパッド10においては、図1に示すようにマウスパッド10の上面に複数の突起10aが存在する。
【0015】
<マウスパッド10の一部断面>
図2は、マウスパッド10の一部断面図である。図2においては、マウスパッド10を厚さ方向(Z方向)に切断した場合の断面の一部を示している。図2に示すように、マウスパッド10は、少なくともシート部材11及び塗膜12によって構成されている。
【0016】
シート部材11は、一例としてはPET(PolyEthylene Terephthalate)等の素材によって形成される。シート部材11の上面には、上方向(Z方向の正方向)に突出した複数の突起部11aが設けられている。シート部材11の上面は、シート部材11の上方向の面である。すなわち、シート部材11の上面は、光学式マウスが設置される側の面、すなわちマウスパッド10の底面と反対側の面であり、図2においては上側の面である。
【0017】
突起部11aは、シート部材11の上面のうち特定の使用領域11bに設けられており、塗膜12もこの使用領域11bに形成されている。図1図2の例では、シート部材11の上面の全体が使用領域11bとなっている。
【0018】
突起部11aは、上方向(先端)にいくほど、Z方向(突起部11aの突出方向)と直交する面(シート部材11の平面方向と平行な面)の面積が小さくなる形状となっている。図2の例では、突起部11aは、底面が下方向を向き、球面が上方向を向いた半球形状である。複数の突起部11aは、シート部材11の上面に千鳥配置(staggered arrangement)で設けられている。
【0019】
突起部11aの形成は、例えば、型成形やシボ加工やエンボス加工などによって行うことができる。又は、例えばシート部材11となる平坦な板状体にビーズ等の粉体をまぶし、上からコーティングを行うことによって突起部11aを形成してもよい。突起部11aの形成方法は、これらに限らず各種の方法とすることができる。
【0020】
図2に示すように、複数の突起部11aの高さは一様である。突起部11aの高さとは、Z方向(突起部11aの突出方向)における、突起部11aの先端部と、シート部材11の上面のうち突起部11aのない平坦部の位置と、の間の距離である。複数の突起部11aの高さが一様であるとは、例えば、複数の突起部11a上で光学式マウスが摺動可能な程度に、複数の突起部11aの高さが均一であることである。h0は、突起部11aの平均的な高さである。
【0021】
塗膜12は、シート部材11の上面に形成されている。また、塗膜12は、抗菌及び抗ウィルスの少なくともいずれかの機能を有する機能性塗膜である。塗膜12の材料として一例としては酸化チタンを用いることができるが、塗膜12はこれに限らず、抗菌及び抗ウィルスの少なくともいずれかの機能を有する各種の機能性塗膜とすることができる。
【0022】
塗膜12は、シート部材11の上面全体に、一様な方法により形成されている。すなわち、塗膜12は、シート部材11の上面のうち、突起部11aが設けられていない平坦な部分だけでなく、突起部11aの部分にも形成されている。これにより、塗膜12下のシート部材11の突起部11aの形状が塗膜12の形状として現れ、図1に示した突起10aとなる。
【0023】
図2に示すように、塗膜12の厚さは一様である。塗膜12の厚さは、例えば、Z方向における塗膜12の長さである。あるいは、塗膜12の厚さは、例えば、塗膜12の上側の面と下側の面との間の最短距離である。塗膜12の厚さが一様であるとは、例えば、シート部材11の突起部11aの形状が現れた塗膜12の突起10a(図1参照)上で光学式マウスが摺動可能な程度に、塗膜12の厚さが均一であることである。
【0024】
具体的には、塗膜12は、平面方向の全体が一様な方法により形成されることにより、塗膜12の平面方向の各領域の平均的な厚さが均一である。例えば、塗膜12の平面方向の全体を一様な吹き付け塗装により形成する場合、塗膜12の各位置の厚さはドット状に微細にばらつく(一例としては0.05[μm]から0.5[μm]の範囲でばらつく)が、塗膜12を平面方向に分割した各領域(例えば1[cm]四方の正方形の各領域)の平均的な厚さは均一である。
【0025】
図2に示すt0は、塗膜12の平均的な厚さである。t0は、例えば0.05[μm]以上、30[μm]以下の範囲、好ましくは0.05[μm]以上、5[μm]以下の範囲とする。t0を0.05[μm]以上とすることで、欠陥の少ない塗膜12を容易に形成することができる。また、t0を5[μm]より大きくしても、抗菌や光ウィルスの効果は向上しにくいため、t0を5[μm]以下とすることで、少ない塗料により抗菌や光ウィルスの効果を効率よく得ることができる。
【0026】
マウスパッド10においては、光学式マウスの底面が突起10aの先端にのみ接触するため、マウスパッド10と光学式マウスとの接触面積が少なくなり、光学式マウスを滑らかに摺動させることができる。このため、光学式マウスの操作性を向上させることができる。また、光学式マウスの摺動による摩耗が突起10aの先端に限定されるため、塗膜12の残存面積を長期間維持し、マウスパッド10における抗菌や抗ウィルスの機能低下を抑制することができる。
【0027】
また、突起部11aの平均的な高さh0は、塗膜12の平均的な厚さt0以上となっている。これにより、光学式マウスの摺動に伴う摩耗により、突起部11a上に形成された塗膜12が削れても、シート部材11の上面のうち突起部11aが設けられていない部分に形成された塗膜12はそのまま残存するため、マウスパッド10における抗菌や抗ウィルスの機能低下をさらに抑制することができる。
【0028】
また、突起部11aが先端にいくほど突出方向と直交する面の面積が小さくなる形状となっていることにより、使用初期において光学式マウスとの接触面積を小さくして光学式マウスを滑らかに摺動可能にしつつ、例えば突起部11aを細い円柱形状等とする構成と比べて強度を確保し、突起部11aが折れる等の事態を防止することができる。
【0029】
また、突起部11aがシート部材11の上面に千鳥配置で設けられていることにより、突起部11aの占有面積が少なくても光学式マウスの引っかかりが生じにくいため、光学式マウスとの接触面積を減らして摩擦を低減し、光学式マウスを滑らかに摺動させることができる。
【0030】
<マウスパッド10の摩耗過程>
図3及び図4は、マウスパッド10の摩耗過程の一例を示す図である。マウスパッド10の使用期間に応じて、主に光学式マウスの底面との摩擦により、塗膜12のうち突起部11a上に形成されている部分(突起10a)の先端部から摩耗していく。
【0031】
図3は、塗膜12の摩耗により突起部11aの先端がマウスパッド10の表面に露出した状態を示している。この場合、図1に示したマウスパッド10の突起10aの中心部が突起部11aとなる。図3の状態になると、マウスパッド10の使用により、塗膜12とともに突起部11aも摩耗するようになる。ただし、塗膜12と比較して突起部11aは摩耗しにくいため、Z方向におけるマウスパッド10の表面の摩耗速度は低くなる。
【0032】
したがって、シート部材11の上面のうち突起部11aが設けられていない部分に形成された塗膜12が突起部11aより低い状態を長期間維持することができる。このため、シート部材11の上面のうち突起部11aが設けられていない部分に形成された塗膜12の残存期間を長くし、マウスパッド10における抗菌や抗ウィルスの機能低下を抑制することができる。
【0033】
また、突起部11aは、摩耗が進むほど、マウスパッド10と接触する部分の面積が広くなるため、Z方向におけるマウスパッド10の表面の摩耗速度は徐々に低くなる。このため、シート部材11の上面のうち突起部11aが設けられていない部分に形成された塗膜12の残存期間をさらに長くし、マウスパッド10における抗菌や抗ウィルスの機能低下を抑制することができる。
【0034】
図4は、塗膜12及び突起部11aの摩耗により、シート部材11の平坦部に形成された塗膜12の高さと、突起部11aの高さと、が同じになり、マウスパッド10の表面が平坦になった状態を示している。この状態になると、シート部材11の平坦部に形成された塗膜12も摩耗するようになるが、突起部11aも残存しているため、Z方向におけるマウスパッド10の表面の摩耗速度は低くなる。
【0035】
したがって、シート部材11の上面のうち突起部11aが設けられていない部分に形成された塗膜12の残存期間を長くし、マウスパッド10における抗菌や抗ウィルスの機能低下を抑制することができる。
【0036】
<シート部材11の寸法>
図5は、シート部材11の寸法の一例を説明するための図である。図5において、平面図51は、シート部材11の突起部11aを上方向から見た状態を示し、断面図52は、シート部材11を厚さ方向(平面方向に垂直な方向)に切断した場合の断面の一部を示している。Φは、シート部材11の平面方向における突起部11aの直径である。
【0037】
平面図51に示すように、複数の突起部11aは、シート部材11の平面方向において、縦横に交互にずらしながら配置する千鳥配置で設けられている。千鳥配置は、例えば、シート部材11の平面方向において、X方向にW間隔、Y方向にD間隔で整列配置(縦横に整列して並べて配置)された第1位置群と、第1位置群を、X方向にW/2、Y方向にD/2だけ(すなわち斜めに)ずらした第2位置群と、に対する配置と考えることができる。この場合、千鳥配列の突起部11aのX方向の間隔(ピッチ)はWであり、千鳥配列の突起部11aのY方向の間隔(ピッチ)はDである。図5の例では、W=Dである。
【0038】
一例として、W=D=0.92[mm]とし、Φ=0.3[mm]とする。この場合、シート部材11の平面方向における1個の突起部11aの面積は0.07065[mm]となる。平面図51に示す矩形領域51aには、突起部11aが1個と突起部11aの四半分が4個、すなわち2個相当の突起部11aが含まれると考えることができる。矩形領域51aの面積は、W×D=0.8464[mm]である。
【0039】
したがって、矩形領域51aのうち突起部11aが占める面積の割合は、0.07065[mm]×2/0.8464[mm]≒16.7%となる。シート部材11の使用領域11bは矩形領域51aを縦横に隣接配置したものと考えることができるため、使用領域11bのうち複数の突起部11aが占める面積の割合も約16.7%となる。この場合、使用領域11bのうち突起部11aが設けられていない部分が示す面積の割合は約83.3%となる。
【0040】
これにより、塗膜12のうち突起部11a上の部分のすべてが削られた場合でも、塗膜12の残存面積は元の面積の83.3%以上となり、十分な抗菌や抗ウィルスの機能を維持することができる。
【0041】
例えば、使用領域11bのうち複数の突起部11aが占める面積の割合は、20%未満であることが好ましい。これにより、塗膜12のうち突起部11a上の部分のすべてが削られた場合でも、塗膜12の残存面積は元の面積の80%より大きくなり、十分な抗菌や抗ウィルスの機能を維持することができる。
【0042】
さらに、突起部11aを先端にいくほど突出方向と直交する面の面積が小さくなる形状とすることにより、突起部11aの一部がマウスパッド10の表面に露出する状態となっても、突起部11aの残りの部分の上には塗膜12が残存する。このため、塗膜12の残存面積はさらに多くなり、十分な抗菌や抗ウィルスの機能をより長い期間維持することができる。
【0043】
<複数の突起部11aの平均間隔>
複数の突起部11aの平均間隔は、例えば3[mm]以下であることが好ましい。これにより、光学式マウスの一般的なソールが突起部11a間に入り込んで突起部11aに引っかかり、光学式マウスの摺動が妨げられる自体を防止することができる。光学式マウスのソールとは、光学式マウスの摺動しやすさを調整するために、光学式マウスの底面の位置部に設けられる、例えば円形や楕円形のプレートである。
【0044】
複数の突起部11aの平均間隔は、例えば上記のWやDの平均である。又は、突起部11aの平均間隔は、突起部11aのそれぞれについての最短間隔の平均であってもよい。ある突起部11aについての最短間隔とは、その突起部11aと、その突起部11aに最も近い突起部11aと、の間隔である。
【0045】
<複数の突起部の平均高さ>
複数の突起部11aの平均高さh0は、例えば0.7[mm]以下であることが好ましい。これにより、一般的な光学式マウスにおいて十分な光学的読取精度を得ることができる。例えば平均高さh0が0.7[mm]を超えると、光学式マウスの受光素子に対する焦点のズレが大きくなり、十分な精度で光学的読取を行うことが困難になる。
【0046】
<突起部11aの摩耗に応じた塗膜12の残存面積>
図6は、突起部11aの摩耗に応じた塗膜12の残存面積の一例を説明するための図である。例えば、突起部11aの平均的な高さh0を、突起部11aの半径と同じ0.15[mm]とする。また、突起部11aの形状を、図2等の例と同様に、底面が下方向を向き、球面が上方向を向いた半球形状とする。
【0047】
高さh1は、突起部11aの最初の高さh0の90%の高さである。摩耗により突起部11aが高さh1まで削れた場合(10%摩耗した場合)、突起部11aの円形の上面の直径φ1は0.13[mm]となり、突起部11aの円形の上面の面積は0.013[mm]となり、塗膜12の残存面積は元の面積の96.8%となる。
【0048】
高さh2は、突起部11aの最初の高さh0の75%の高さである。摩耗により突起部11aが高さh2まで削れた場合(25%摩耗した場合)、突起部11aの円形の上面の直径φ2は0.20[mm]となり、突起部11aの円形の上面の面積は0.031[mm]となり、塗膜12の残存面積は元の面積の92.7%となる。
【0049】
高さh3は、突起部11aの最初の高さh0の50%の高さである。摩耗により突起部11aが高さh3まで削れた場合(50%摩耗した場合)、突起部11aの円形の上面の直径φ3は0.26[mm]となり、突起部11aの円形の上面の面積は0.053[mm]となり、塗膜12の残存面積は元の面積の87.5%となる。
【0050】
高さh4は、突起部11aの最初の高さh0の25%の高さである。摩耗により突起部11aが高さh3まで削れた場合(75%摩耗した場合)、突起部11aの円形の上面の直径φ4は0.29[mm]となり、突起部11aの円形の上面の面積は0.066[mm]となり、塗膜12の残存面積は元の面積の84.3%となる。
【0051】
このように、突起部11aを先端にいくほど突出方向と直交する面の面積が小さくなる形状とすることにより、突起部11aの一部がマウスパッド10の表面に露出する状態となっても、塗膜12の残存面積の減少を緩やかにし、十分な抗菌や抗ウィルスの機能をより長い期間維持することができる。
【0052】
<マウスパッド10の他の例>
図7は、マウスパッド10の他の一例を示す平面図である。図1等の例では、シート部材11の上面の全体が使用領域11bとなっている構成について説明したが、シート部材11の上面の一部が使用領域11bとなっている構成としてもよい。例えば、シート部材11は、シート部材11の外周に内接する枠部10bと、枠部10bに囲まれた使用領域11bと、によって構成されていてもよい。この場合、図7に示すように、マウスパッド10の表面には、突起部11aや塗膜12が設けられていない枠部10bが露出する。
【0053】
このような場合も、使用領域11bのうち複数の突起部11aが占める面積の割合が20%未満であることが好ましい。これにより、使用領域11bにおいて、塗膜12のうち突起部11a上の部分のすべてが削られた場合でも、塗膜12の残存面積は元の面積の80%より大きくなり、十分な抗菌や抗ウィルスの機能を維持することができる。
【0054】
<複数の突起部11aのインジケータとしての利用>
例えば、シート部材11(突起部11a)と塗膜12とを異なる色にしてもよい。この場合、例えば図1図2等に示したように突起部11aが露出していない初期状態においては、マウスパッド10の表面には塗膜12の色のみが見える。そして、マウスパッド10の表面の摩耗が進み、図3に示したように突起部11aの先端が露出すると、マウスパッド10の表面にはシート部材11の色がドット状に現れる。さらにマウスパッド10の表面の摩耗が進み、図4に示したように突起部11aの露出部分が大きくなると、マウスパッド10の表面に現れたシート部材11の色の部分が大きくなる。これにより、ユーザは、マウスパッド10の表面に現れたシート部材11の色の部分の大きさによって、抗菌や抗ウィルスの機能の低下の度合いを知ることができる。
【0055】
さらにマウスパッド10の表面の摩耗が進み、マウスパッド10の一部の領域(例えば中央部)の突起部11aが底面まで削れた状態では、その領域の塗膜12もすべて削れており、マウスパッド10の表面にはシート部材11の色のみが見える。これにより、ユーザは、その領域の抗菌や抗ウィルスの機能が喪失したことを知ることができる。
【0056】
このように、シート部材11(突起部11a)と塗膜12とを異なる色にすることで、複数の突起部11aを、塗膜12による抗菌や抗ウィルスの機能の残存状態をユーザに知らせるインジケータとしても利用することができる。
【0057】
<寸法の変形例>
図5等において説明したシート部材11の寸法等は一例であり、各種の変形が可能である。例えば、使用領域11bのうち複数の突起部11aが占める面積の割合が20%未満となる範囲で、複数の突起部11aの平均間隔と突起部11aの直径Φとを変更してもよい。すなわち、突起部11aの直径Φを小さくすることで、複数の突起部11aの平均間隔を大きくしても、使用領域11bのうち複数の突起部11aが占める面積の割合が20%未満とすることができる。
【0058】
<マウスパッド10や使用領域11bの平面形状の変形例>
マウスパッド10や使用領域11bの平面形状が略矩形である場合について説明したが、マウスパッド10や使用領域11bの平面形状はこれに限らず、円形状やより複雑な形状など、各種の形状とすることができる。
【0059】
<突起部11aの形状の変形例>
突起部11aが半球形状である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、突起部11aは、楕円半球形状、角錐形状、その他各種の形状であってもよい。
【0060】
また、突起部11aが、先端にいくほど突出方向と直交する面の面積が小さくなる形状である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、突起部11aは、円柱形状、角柱形状、その他各種の形状とすることができる。
【0061】
また、突起部11aは、幾何学的に整った形状に限らず、歪な形状であってもよい。
【0062】
<複数の突起部11aの配置の変形例>
シート部材11の上面に複数の突起部11aを千鳥配置で設ける構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、シート部材11の上面に複数の突起部11aを整列配置やランダム配置で設ける構成としてもよい。
【0063】
以上のように本明細書には以下の事項が開示されている。
【0064】
開示されたマウスパッドは、光学式マウス用のマウスパッドであって、上面に複数の突起部が設けられたシート部材と、前記上面に形成され抗菌及び抗ウィルスの少なくともいずれかの機能を有する塗膜と、を有し、前記複数の突起部の高さが前記塗膜の厚さ以上であるものである。
【0065】
開示されたマウスパッドは、前記複数の突起部の高さは一様であるものである。
【0066】
開示されたマウスパッドは、前記塗膜が、前記上面のうち前記複数の突起部が設けられていない部分と、前記複数の突起部の部分と、に形成されているものである。
【0067】
開示されたマウスパッドは、前記複数の突起部が、先端にいくほど、前記複数の突起部の突出方向と直交する面の面積が小さくなる形状であるものである。
【0068】
開示されたマウスパッドは、前記複数の突起部が、前記シート部材の上面のうち少なくとも一部の領域に設けられており、前記領域のうち前記複数の突起部が占める面積の割合が20%未満であるものである。
【0069】
開示されたマウスパッドは、前記複数の突起部の平均間隔は3[mm]以下であるものである。
【0070】
開示されたマウスパッドは、前記複数の突起部の平均高さは0.7[mm]以下であるものである。
【0071】
開示されたマウスパッドは、前記複数の突起部が、千鳥配置で設けられているものである。
【0072】
開示されたマウスパッドは、前記複数の突起部の色が、前記塗膜と異なる色と異なるものである。
【符号の説明】
【0073】
10 マウスパッド
10a 突起
10b 枠部
11 シート部材
11a 突起部
11b 使用領域
12 塗膜
51a 矩形領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7