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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107691
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 13/02 20060101AFI20230727BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20230727BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230727BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230727BHJP
【FI】
F21V13/02 200
F21V14/06
F21V23/00 140
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009001
(22)【出願日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】503098724
【氏名又は名称】株式会社オキサイド
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧尾 諭
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】光源からの出力光を効率よく利用して、出力光の色彩を調整することの可能な光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る光源装置は、蛍光体素子と、光源部と、レンズとを備えている。光源部は、蛍光体素子を励起する励起光である入射励起光を蛍光体素子の光入射面に向けて光入射面の法線とは異なる角度で入射させる。レンズは、入射励起光のうち光入射面で反射された光である反射励起光が進行する角度方向に配置される。レンズは、入射励起光のうち光入射面で反射された光である反射励起光と、蛍光体素子から発せられた蛍光光とを合成し、それにより得られた合成光を出力光として外部に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体素子と、
前記蛍光体素子を励起する励起光である入射励起光を前記蛍光体素子の光入射面に向けて前記光入射面の法線とは異なる角度で入射させる第1光源部と、
前記入射励起光のうち前記光入射面で反射された光である反射励起光が進行する角度方向に配置され、前記入射励起光のうち前記光入射面で反射された光である反射励起光と、前記蛍光体素子から発せられた蛍光光とを合成し、それにより得られた合成光を出力光として外部に出力するレンズと
を備えた
光源装置。
【請求項2】
前記蛍光体素子を励起する波長帯とは異なる波長帯の光である入射可視光を、前記入射励起光の光軸と前記入射可視光の光軸とが前記蛍光体素子の光入射面において互いに重なり合うように、前記蛍光体素子の光入射面に向けて入射させる第2光源部を更に備えた
請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記レンズは、当該レンズの光軸と前記反射励起光の光軸とのズレが0°±5°の範囲内となるように配置されている
請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記入射励起光の、前記蛍光体素子の光入射面における入射ビーム径を調整可能な調整機構を更に備えた
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記調整機構は、
前記第1光源部と前記蛍光体素子との間に配置され、前記入射励起光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズを前記入射励起光の光軸上で移動させて、前記集光レンズの位置を調整するレンズ位置調整部と
を有する
請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記入射励起光の光強度を変化させる制御部を更に備えた
請求項2に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体を励起光により励起して、蛍光体より発光する光を出射する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光体光源が、例えば、特許文献1~4に開示されている。
【0003】
特許文献1には、平板状の蛍光体を半導体レーザ光で励起し、それにより得られた蛍光光を光学系レンズにて出力させる構成が開示されている。また、特許文献2には、複数の半導体レーザを用いて蛍光体を励起する構成が開示されている。また、特許文献3には、蛍光体を半導体レーザ光で励起し、蛍光体を透過した、励起光としての半導体レーザ光も出力光として一部利用する構成が開示されている。また、特許文献4には、蛍光体の形状をプリズムとし、半導体レーザ光を蛍光体プリズムの平面に垂直に入射させ、透過した半導体レーザ光を斜面の反射膜で90°方向に光路変更し、蛍光体プリズムのもう一つの平面と平行な出力レンズにより出射させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-074273号公報
【特許文献2】特開2014-002839号公報
【特許文献3】国際公開2019/124046号
【特許文献4】特開2013-254889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、各特許文献では、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光の色彩を調整することについては、開示も示唆もなされていない。従って、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光の色彩を調整することの可能な光源装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る光源装置は、蛍光体素子と、光源部と、レンズとを備えている。光源部は、蛍光体素子を励起する励起光である入射励起光を蛍光体素子の光入射面に向けて光入射面の法線とは異なる角度で入射させる。レンズは、入射励起光のうち光入射面で反射された光である反射励起光が進行する角度方向に配置される。レンズは、入射励起光のうち光入射面で反射された光である反射励起光と、蛍光体素子から発せられた蛍光光とを合成し、それにより得られた合成光を出力光として外部に出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施の形態に係る光源装置によれば、反射励起光と蛍光光とをレンズによって合成し、それにより得られた合成光を出力光として、レンズを介して外部に出力するようにしたので、例えば、入射励起光の、蛍光体素子の光入射面における入射ビーム径を調整したり、入射励起光に合成する、蛍光体素子を励起する波長帯とは異なる波長帯の光の強度を調整したりすることにより、出力光の色彩を調整することができる。従って、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光の色彩を調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る光源装置の構成例を表す図である。
図2】蛍光出力強度の出射角度分布の一例を表す図である。
図3】比較例に係る光源装置の構成例を表す図である。
図4】比較例に係る光源装置の構成例を表す図である。
図5図1の光源装置の構成の一変形例を表す図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る光源装置の構成例を表す図である。
図7】レンズ位置を変化させたときの出力光の色度の一例を表す図である。
図8】励起光以外の入射光の強度を変化させたときの出力光の色度の一例を表す図である。
図9】励起光以外の入射光の強度を、図7とは異なる値に固定した上で、レンズ位置を変化させたときの出力光の色度の一例を表す図である。
図10】励起光の入射角度を変化させたときの出力光の出力強度の一例を表す図である。
図11】励起光の入射角度を変化させたときの出力光の色度座標の一例を表す図である。
図12図6の光源装置の構成の一変形例を表す図である。
図13】本発明の第3の実施の形態に係る光源装置の構成例を表す図である。
図14図13の光源装置の構成の一変形例を表す図である。
図15図13の光源装置の構成の一変形例を表す図である。
図16図14の光源装置の構成の一変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
本発明の第1の実施の形態に係る光源装置1の構成について説明する。図1は、光源装置1の構成例を表したものである。光源装置1は、発光部10と、蛍光体素子20と、レンズ30と、レンズ群40と、レンズ位置調整部50と、制御部60とを備えている。
【0011】
発光部10は、蛍光体素子20を励起する励起光である入射励起光L1を発する。発光部10は、入射励起光L1を蛍光体素子20の光入射面に対して蛍光体素子20の光入射面の法線とは異なる角度で入射させる。発光部10は、入射励起光L1の光軸AX2が蛍光体素子20の光入射面の法線AX1に対して角度θ1で交差する位置に配置されている。蛍光体素子20の光入射面における光軸AX2と法線AX1とのなす角(角度θ1)は、0度よりも大きく90度よりも小さい角度となっており、例えば、35度となっている。発光部10は、例えば、入射励起光L1を発する半導体レーザを含んで構成されている。入射励起光L1の波長は、可視波長域内の波長であり、例えば、青色波長域内の波長である。
【0012】
入射励起光L1の波長は、青色波長域内の波長に限定されるものではなく、蛍光体が励起される光の波長である。発光部10は、入射励起光L1を反射させて蛍光体素子20に入射させるミラ-を有していてもよい。このような場合であっても、蛍光体素子20の光入射面における光軸AX2と法線AX1とのなす角(角度θ1)は、0度よりも大きく90度よりも小さい角度となっており、例えば、45度となっている。発光部10が、本発明の「第1光源部」の一具体例に相当する。
【0013】
蛍光体素子20は、蛍光体を含んで構成されている。蛍光体素子20の材料系としては、例えば、1または複数の希土類元素が添加された、粉体材料を塗布されたものやアルミニウムおよび酸素を含むガーネット構造の単結晶材料、共晶体材料または無機化合物材料の蛍光体が挙げられる。蛍光体素子20は、入射励起光L1が入射する光入射面を有する平板状の素子である。蛍光体素子20では、入射励起光L1が光入射面に入射すると、蛍光体素子20に含まれる蛍光体が入射励起光L1によって励起され、蛍光体から蛍光光L3が発せられる。
【0014】
蛍光光L3は、光入射面のうち、入射励起光L1が入射した箇所から放射光となって外部に出力される。蛍光光L3は、例えば、図2に示したように、出射角度(法線AX1に対する角度)が0度のとき出力強度が最も大きく、出射角度が大きくなるにつれて出力強度が徐々に低下する分布を有している。蛍光光L3を有効に利用するには、蛍光量低下を、出射角度0度のときの値の50%程度にまで抑えることが好ましい。従って、蛍光光L3のうち、蛍光光L3の出射角度が0度以上60度以下の範囲内の成分を利用することができるよう、レンズ30を配置することが好ましい。
【0015】
レンズ30は、入射励起光L1のうち、光入射面で反射された光(以下、「反射励起光L2」と称する。)と、蛍光体素子20から発せられた蛍光光L3とを合成し、それにより得られた合成光を出力光L4として外部に出力する。出力光L4は、例えば、レンズ30によって平行光となっている。レンズ30は、反射励起光L2が進行する角度方向に配置されている。レンズ30は、レンズ30の光軸AX3が反射励起光L2の光軸と重なり合うか、または所定の角度範囲内(例えば光軸AX3の角度±5°の範囲内)で交差する位置に配置されている。このとき、レンズ30は、レンズ30の光軸AX3が法線AX1に対して、光軸AX1側とは反対側に角度θ2で交差する位置に配置されている。角度θ2は、0度よりも大きく90度よりも小さい角度となっており、例えば、35度となっている。レンズ30は、上述したように、蛍光光L3のうち、蛍光光L3の出射角度が0度以上60度以下の範囲内の成分を利用することが可能な位置に配置されていることが好ましい。
【0016】
レンズ群40は、発光部10から発せられた光(入射励起光L1)を蛍光体素子20の光入射面に照射する。レンズ群40は、例えば、発光部10から発せられた光(入射励起光L1)を平行光化するレンズ41と、レンズ41によって平行光化された光(入射励起光L1)を集光するレンズ42とを含んで構成されている。レンズ42は、レンズ42の焦点距離がレンズ42と、蛍光体素子20において入射励起光L1が照射される部分との距離と等しくなるか、または、概ね等しくなる位置に配置される。レンズ42の位置は、レンズ位置調整部50によって調整される。
【0017】
レンズ位置調整部50は、レンズ42を光軸AX2上で移動させて、レンズ42の位置(レンズ42の焦点位置)を調整する機構である。レンズ位置調整部50は、レンズ42を支持する支持部と、支持部を光軸AX2と平行な方向に移動させることの可能な駆動部とにより構成されている。レンズ位置調整部50は、制御部60による制御に従って、レンズ42の位置を調整し、それにより、蛍光体素子20の光入射面に入射する入射励起光L1の入射ビーム径を変化させる。つまり、レンズ位置調整部50は、入射励起光L1の、蛍光体素子20の光入射面における入射ビーム径を調整可能な調整機構となっている。
【0018】
入射励起光L1の入射ビーム径が変化することによって、入射励起光L1の、蛍光体素子20の光入射面における光密度や照射面積が変化し、それによって、反射励起光L2および蛍光光L3の光量が変化する。反射励起光L2および蛍光光L3の光量が変化すると、出力光L4の色彩が変化する。つまり、レンズ位置調整部50は、レンズ42の位置を調整することにより、出力光L4の色彩を調整するようになっている。
【0019】
制御部60は、発光部10に制御信号を出力することにより、発光部10の発光・消光や、入射励起光L1の光強度を制御する。制御部60は、さらに、レンズ位置調整部50に制御信号を出力することにより、レンズ位置調整部50の動作を制御する。レンズ42の位置を調整後、固定することで出力光L4の色彩を固定化できる。
【0020】
[効果]
次に、比較例および上記特許文献1~4と対比して、本実施の形態に係る光源装置1の効果について説明する。
【0021】
図3図4は、比較例に係る光源装置の構成例を表したものである。
【0022】
図3に記載の光源装置では、レンズ120が、レンズ120の光軸が蛍光体素子110の法線と平行となるように配置されており、励起光La、および、励起光Laのうち、蛍光体素子110で反射された光(反射光Lb)がレンズ120に入射しない位置に配置されている。つまり、図3に記載の光源装置では、蛍光体素子110から発せられた蛍光光Lcの一部がレンズ120で平行光化された後、出力光Ldとして出力される。
【0023】
図4に記載の光源装置では、励起光Laがミラー130を透過して蛍光体素子110に垂直に入射し、反射光Lbはミラー130を透過する。その一方で、蛍光体素子110から発せられた蛍光光Lcの一部がレンズ120で平行光化された後、ミラー130で反射され、出力光Ldとして出力される。
【0024】
図3図4に記載の光源装置では、蛍光光Lcだけが出力光Ldとして利用され、励起光Laは出力光Ldとして利用されていない。そのため、出力光Ldの色彩を調整する際には、蛍光体素子110に含まれる蛍光体材料を交換することが必要となる。
【0025】
また、上述の特許文献1,2に記載の光源装置においても、蛍光光だけが出力光として利用され、励起光は出力光として利用されていない。そのため、上述の特許文献1,2に記載の光源装置においても、出力光の色彩を調整する際には、蛍光体材料を交換することが必要となる。
【0026】
また、上述の特許文献3には、蛍光体を透過した励起半導体レーザ光も出力光として一部利用することが記載されている。しかし、上述の特許文献3には、励起半導体レーザ光をどのようにして利用するか具体的な光学設計について開示も示唆もなされていない。そのため、上述の特許文献3の記載からは、出力光の色彩を調整するための具体的な構成について想起することができない。
【0027】
また、上述の特許文献4には、蛍光体プリズムを透過した励起光を、蛍光光とともに出力光として利用することが記載されている。しかし、このようにした場合には、励起光のほとんどが蛍光体プリズムに吸収され、蛍光光と熱に変換されてしまうので、僅かな励起光しか出力光として利用することができない。従って、上述の特許文献4に記載の光源装置では、出力光の色彩を調整することは困難である。
【0028】
一方、本実施の形態では、反射励起光L2と蛍光光L3とがレンズ30によって合成され、それにより得られた合成光が出力光L4として、レンズ30を介して外部に出力される。このとき、例えば、入射励起光L1の、蛍光体素子20の光入射面における入射ビーム径を変化させることにより、入射励起光L1の、蛍光体素子20の光入射面における光密度や照射面積が変化し、それによって、反射励起光L2および蛍光光L3の光量が変化する。反射励起光L2および蛍光光L3の光量が変化すると、出力光L4の色彩が変化する。従って、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光L4の色彩を調整することができる。
【0029】
また、本実施の形態では、レンズ30は、当該レンズ30の光軸AX3と反射励起光L2の光軸とのズレが0°±5°の範囲内となるように配置されている。このように、レンズ30の位置精度を設計することにより、出力光L4の出力強度および色度座標を安定化することができる。
【0030】
<2.第1の実施の形態の変形例>
以下に、光源装置1の変形例について説明する。なお、以下では、上記第1の実施の形態と共通の構成要素に対しては、上記第1の実施の形態で付されていた符号と同一の符号が付される。また、上記第1の実施の形態と異なる構成要素の説明を主に行い、上記第1の実施の形態と共通の構成要素の説明については、適宜、省略するものとする。
【0031】
上記第1の実施の形態において、例えば、図5に示したように、レンズ位置調整部50が省略されていてもよい。このとき、レンズ42の位置は、光源装置1とは別体に設けたレンズ位置調整部を用いて調整される。このようにした場合には、レンズ42の位置に応じた色彩の出力光を得ることができる。
【0032】
<3.第2の実施の形態>
[構成]
本発明の第2の実施の形態に係る光源装置2の構成について説明する。図6は、光源装置2の構成例を表したものである。光源装置2は、上記実施の形態に係る光源装置1に対して、さらに発光部70およびミラー71を設けたものに相当する。
【0033】
発光部70は、蛍光体素子20を励起する波長帯とは異なる波長帯の光(例えば、赤色光)である入射可視光L5を発する。発光部70から発せられる光は、赤色光に限定されるものではない。制御部60は、発光部70の発光・消光や、入射可視光L5の光強度を制御する。制御部60は、例えば、発光部70に制御信号を出力することにより、入射可視光L5の光強度を変化させる。
【0034】
発光部70は、発光部70から発せられた入射可視光L5がミラー71で反射され、蛍光体素子20の光入射面のうち、入射励起光L1が入射する箇所と同じ箇所に入射するように配置されている。ミラー71は、入射励起光L1を透過し、入射可視光L5を反射する機能を有する。ミラー71は、光軸AX2上に配置されており、発光部10とレンズ群40との間に配置されている。ミラー71は、反射後の入射可視光L5の光軸が光軸AX2と重なり合うように配置されている。発光部70およびミラー71からなる光学モジュール(光源部)は、入射可視光L5を、入射励起光L1の光軸と入射可視光L5の光軸とがレンズ群40(さらには蛍光体素子20の光入射面)において互いに重なり合うように、蛍光体素子20の光入射面に向けて入射させる。つまり、ミラー71によって、入射励起光L1と入射可視光L5とが合成され、それにより生成された合成光(入射合成光L6)がレンズ群40を透過した後、蛍光体素子20の光入射面に入射する。発光部70およびミラー71からなるモジュールが、本発明の「第2光源部」の一具体例に相当する。
【0035】
レンズ群40は、入射合成光L6を蛍光体素子20の光入射面に照射する。レンズ41は、入射合成光L6を平行光化する。レンズ42は、レンズ41によって平行光化された光(入射合成光L6)を集光する。
【0036】
レンズ位置調整部50は、制御部60による制御に従って、蛍光体素子20の光入射面に入射する入射合成光L6の入射ビーム径を変化させる。入射合成光L6の入射ビーム径が変化することによって、入射合成光L6の、蛍光体素子20の光入射面における光密度や照射面積が変化し、それによって、反射合成光L7および蛍光光L3の光量が変化する。反射合成光L7は、入射合成光L6のうち、蛍光体素子20の光入射面で反射した光である。反射合成光L7および蛍光光L3の光量が変化すると、レンズ30で合成された出力光L8の色彩が変化する。つまり、レンズ位置調整部50は、レンズ42の位置を調整することにより、出力光L8の色彩を調整するようになっている。
【0037】
図7は、レンズ42の位置を変化させたときの出力光L8の色度の一例を表したものである。図7には、レンズ42が初期位置にあるときの出力光L8の色度が「○」で示され、レンズ42が初期位置から2mm移動したときの出力光L8の色度が「*」で示され、レンズ42が初期位置から4mm移動したときの出力光L8の色度が「▽」で示されている。図7から、レンズ42の位置を変化させることにより、出力光L8の色度が変化することがわかる。
【0038】
なお、図7の結果は、蛍光体素子20としてCeを含むセラミックス等で形成された平板状の蛍光体素子を用いて得られた。このとき、蛍光体素子の厚さは0.2mmであり、θ1,θ2はともに35°であった。また、入射励起光L1の波長は450nmであり、発光部10には、波長450nmのレーザ光を出力する半導体素子を用いた。
【0039】
図8は、入射可視光L5の強度を変化させたときの出力光L8の色度の一例を表す図である。図9は、入射可視光L5の強度を、図7のときの入射可視光L5の強度とは異なる値に固定した上で、レンズ30の位置を変化させたときの出力光の色度の一例を表したものである。図9には、レンズ42が初期位置にあるときの出力光L8の色度が「○」で示され、レンズ42が初期位置から2mm移動したときの出力光L8の色度が「*」で示され、レンズ42が初期位置から4mm移動したときの出力光L8の色度が「▽」で示されている。図8図9から、レンズ42の位置を変化させることにより、出力光L8の色度が変化することがわかる。
【0040】
なお、図8図9の結果は、蛍光体素子20としてCeを含むセラミックス等で形成された平板状の蛍光体素子を用いて得られた。このとき、蛍光体素子の厚さは0.2mmであり、θ1,θ2はともに35°であった。また、入射励起光L1の波長は450nmであり、発光部10には、波長450nmのレーザ光を出力する半導体素子を用いた。また、入射可視光L5の波長は650nmであり、発光部70には、波長650nmのレーザ光を出力する半導体素子を用いた。
【0041】
図10は、図5または図6において、入射励起光L1の入射角度を変化させたときの出力光L8の出力強度の一例を表したものである。図11は、入射励起光L1の入射角度を変化させたときの出力光L8の色度座標の一例を表したものである。図10図11には、θ2を45°とした状態(つまり、レンズ30の位置を固定した状態)で、入射励起光L1の入射角度(角度θ1)を、25°から65°まで5°刻みで変化させたときの出力光L8の出力強度および色度座標が示されている。
【0042】
図10図11から、入射励起光L1の入射角度(角度θ1)を45°±5°の範囲に設定しているときには、出力光L8の出力強度および色度座標の変化が少ないことがわかる。つまり、出力光L8の出力強度および色度座標の安定化の観点からは、レンズ30の位置精度が、θ2=45°±5°の範囲内で許容されると言える。言い換えると、レンズ30は、レンズ30の光軸と反射合成光L7(反射励起光L2)の光軸とのズレが0°±5°の範囲内となるように配置されていることが好ましい。
【0043】
[効果]
本実施の形態では、反射合成光L7と蛍光光L3とがレンズ30によって合成され、それにより得られた合成光が出力光L8として、レンズ30を介して外部に出力される。このとき、例えば、入射合成光L6の、蛍光体素子20の光入射面における入射ビーム径を変化させることにより、入射合成光L6の、蛍光体素子20の光入射面における光密度や照射面積が変化し、それによって、反射合成光L7および蛍光光L3の光量が変化する。反射合成光L7および蛍光光L3の光量が変化すると、出力光L8の色彩が変化する。従って、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光L8の色彩を調整することができる。
【0044】
<4.第2の実施の形態の変形例>
以下に、光源装置2の変形例について説明する。なお、以下では、上記第2の実施の形態と共通の構成要素に対しては、上記第2の実施の形態で付されていた符号と同一の符号が付される。また、上記第2の実施の形態と異なる構成要素の説明を主に行い、上記第2の実施の形態と共通の構成要素の説明については、適宜、省略するものとする。
【0045】
上記第2の実施の形態において、例えば、図12に示したように、レンズ位置調整部50が省略されていてもよい。このとき、レンズ42の位置は、光源装置2とは別体に設けたレンズ位置調整部を用いて調整される。このようにした場合には、レンズ42の位置に応じた色彩の出力光を得ることができる。
【0046】
<5.第3の実施の形態>
[構成]
本発明の第3の実施の形態に係る光源装置3の構成について説明する。図13は、光源装置3の構成例を表したものである。光源装置3は、光源装置2においてミラー71が省略され、さらに光源装置2に対して、さらにコンバイナ80および光ファイバ81,82,83を設けたものに相当する。発光部10、光ファイバ81、コンバイナ80および光ファイバ83からなるモジュールが、本発明の「第1光源部」の一具体例に相当する。発光部70、光ファイバ82、コンバイナ80および光ファイバ83からなるモジュールが、本発明の「第2光源部」の一具体例に相当する。
【0047】
光ファイバ81は、発光部10およびコンバイナ80に接続されており、発光部10から発せられた入射励起光L1を導波し、コンバイナ80に出力する。光ファイバ82は、発光部70およびコンバイナ80に接続されており、発光部70から発せられた入射可視光L5を導波し、コンバイナ80に出力する。コンバイナ80は、光ファイバ81を介して入射した入射励起光L1と、光ファイバ82を介して入射した入射可視光L5とを合成し、それにより得られた合成光(入射合成光L11)を光ファイバ83に出力する。光ファイバ83は、コンバイナ80に接続されており、コンバイナ80から出力された光(入射合成光L11)を導波し、レンズ群40に向けて出力する。
【0048】
レンズ群40は、入射合成光L11を蛍光体素子20の光入射面に照射する。レンズ41は、入射合成光L11を平行光化する。レンズ42は、レンズ41によって平行光化された光(入射合成光L11)を集光する。蛍光体素子20では、入射合成光L11が光入射面に入射すると、蛍光体素子20に含まれる蛍光体が入射した入射合成光L11に含まれる入射励起光L1によって励起され、蛍光体から蛍光光L3が発せられる。
【0049】
レンズ位置調整部50は、制御部60による制御に従って、蛍光体素子20の光入射面に入射する入射合成光L11の入射ビーム径を変化させる。入射合成光L11の入射ビーム径が変化することによって、入射合成光L11の、蛍光体素子20の光入射面における光密度や照射面積が変化し、それによって、反射合成光L12および蛍光光L3の光量が変化する。反射合成光L12は、入射合成光L11のうち、蛍光体素子20の光入射面で反射した光である。反射合成光L12および蛍光光L3の光量が変化すると、レンズ30で合成された出力光L13の色彩が変化する。つまり、レンズ位置調整部50は、レンズ42の位置を調整することにより、出力光L13の色彩を調整するようになっている。
【0050】
本実施の形態においても、レンズ42の位置を変化させることにより、図7図8図9に示したような出力光L8の色度の変化を得ることができる。また、本実施の形態においても、図10図11に示したような出力光L8の出力強度および色度座標の変化を得ることができる。従って、本実施の形態においても、出力光L8の出力強度および色度座標の安定化の観点からは、発光部10およびレンズ30の位置精度が、θ1とθ2との角度差が0°±5°の範囲内で許容されると言える。
【0051】
[効果]
本実施の形態では、反射合成光L12と蛍光光L3とがレンズ30によって合成され、それにより得られた合成光が出力光L13として、レンズ30を介して外部に出力される。このとき、例えば、入射合成光L11の、蛍光体素子20の光入射面における入射ビーム径を変化させることにより、入射合成光L11の、蛍光体素子20の光入射面における光密度や照射面積が変化し、それによって、反射合成光L12および蛍光光L3の光量が変化する。反射合成光L12および蛍光光L3の光量が変化すると、出力光L13の色彩が変化する。従って、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光L13の色彩を調整することができる。
【0052】
<6.第3の実施の形態の変形例>
以下に、光源装置3の変形例について説明する。なお、以下では、上記第3の実施の形態と共通の構成要素に対しては、上記第3の実施の形態で付されていた符号と同一の符号が付される。また、上記第3の実施の形態と異なる構成要素の説明を主に行い、上記第3の実施の形態と共通の構成要素の説明については、適宜、省略するものとする。
【0053】
[変形例A]
上記第3の実施の形態において、例えば、図14に示したように、発光部90および光ファイバ84がさらに設けられていてもよい。発光部90は、蛍光体素子20を励起する波長帯や、発光部70から発せられる入射可視光L5の波長帯とは異なる波長帯の光(例えば、緑色光)である入射可視光を出力する。発光部90から発せられる光は、緑色光に限定されるものではない。制御部60は、発光部90の発光・消光や、発光部90から発せられる光の光強度を制御する。
【0054】
光ファイバ84は、発光部90およびコンバイナ80に接続されており、発光部90から発せられた入射可視光を導波し、コンバイナ80に出力する。コンバイナ80は、光ファイバ81を介して入射した入射励起光L1と、光ファイバ82を介して入射した入射可視光L5と、光ファイバ84を介して入射した入射可視光とを合成し、それにより得られた合成光(入射合成光L11)を光ファイバ83に出力する。光ファイバ83は、コンバイナ80から出力された光(入射合成光L11)を導波し、レンズ群40に向けて出力する。
【0055】
本変形例では、発光部10,70,90から発せられた光がコンバイナ80によって合成される。これにより、例えば、発光部10から青色光を出力させ、発光部70から赤色光を出力させ、発光部90から緑色光を出力させることにより、合成光を白色光もしくは白色光に近い色の光にすることができる。
【0056】
[変形例B]
上記第3の実施の形態において、例えば、図15に示したように、レンズ位置調整部50が省略されていてもよい。このとき、レンズ42の位置は、光源装置3とは別体に設けたレンズ位置調整部を用いて調整される。このようにした場合には、レンズ42の位置に応じた色彩の出力光を得ることができる。
【0057】
[変形例C]
上記変形例Aにおいて、例えば、図16に示したように、レンズ位置調整部50が省略されていてもよい。このとき、レンズ42の位置は、光源装置3とは別体に設けたレンズ位置調整部を用いて調整される。このようにした場合には、レンズ42の位置に応じた色彩の出力光を得ることができる。
【0058】
<7.上記第2および第3の実施の形態およびそれらの変形例に共通の変形例>
上記各実施の形態およびその変形例において、制御部60が、発光部70に制御信号を出力し、入射可視光L5(もしくは入射合成光L11)の光強度を変化させてもよい。このとき、反射合成光L7(もしくは反射合成光L12)の光量が変化し、レンズ30で合成された出力光L13の色彩が変化する。従って、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光L13の色彩を調整することができる。
【0059】
<8.変形例Aおよび変形例Cに共通の変形例>
変形例Aおよび変形例Cにおいて、制御部60が、発光部90に制御信号を出力し、入射可視光L5(もしくは入射合成光L11)の光強度を変化させてもよい。このとき、反射合成光L7(もしくは反射合成光L12)の光量が変化し、レンズ30で合成された出力光L13の色彩が変化する。従って、光源からの出力光を効率よく利用して、出力光L13の色彩を調整することができる。
【0060】
本発明は、レーザディスプレイ(レーザプロジェクタ、レーザTV、ヘッドマウントディスプレイ等)や、レーザ照明(顕微鏡、ヘッドランプ、室内間接照明、植物工場等)、プロジェクションマッピング、医療(レーザメス等)などの様々な分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,2,3…光源装置、10,70,90…発光部、20…蛍光体素子、30,120…レンズ、40…レンズ群、41,42…レンズ、50…レンズ位置調整部、60…制御部、71,130…ミラー、80…コンバイナ、81,82,83,84…光ファイバ、AX1…法線、AX2,AX3…光軸、L1,La…入射励起光、L2,Lb…反射励起光、L3,Lc…蛍光光、L4,L8,L13,Ld…出力光、L5…入射可視光、L6,L11…入射合成光、L7,L12…反射合成光、θ1,θ2…角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16